説明

毛髪化粧料

【課題】 良好な指通り性が確保でき、かつごわつきを取って根元から毛先まで均一なおさまりが得られる毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】 本発明の毛髪化粧料は、ショ糖脂肪酸エステル、並びにN−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンと高級アルコールおよび/またはステロール類とのエステルが、少なくとも配合されていることを特徴とするものである。なお、本発明の毛髪化粧料は、HLBが1〜7のショ糖脂肪酸エステルとHLBが8〜17のショ糖脂肪酸エステルとが配合されていることが好ましく、また、ペンタエリスチトールと脂肪酸とのテトラエステルが配合されていることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪に塗布することで、毛髪の絡みがほぐれて良好な指通り性が確保でき、かつ根元から毛先まで均一なおさまりが得られる毛髪化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、縮毛をストレート形状に矯正する縮毛矯正処理が盛んに行われている。縮毛矯正処理を施した毛髪においては、根元の新生部は、くせによって広がりやすく、また、一度でも縮毛矯正処理を施した部分は直毛となっているものの、毛先に近づくにつれて度重なる縮毛矯正処理によってダメージが蓄積している。このように、縮毛矯正処理を施した毛髪においては、各部分での状態が異なることから、おさまりが悪く、ごわつき、広がりやすい傾向がある。
【0003】
また、縮毛矯正処理や、その他の化学的処理によってダメージを受けた毛髪、および軟毛は、特に濡れた状態のときに絡みが生じやすく、乾燥させた仕上がり時に指通り性が悪くなる傾向がある。
【0004】
このようなことから、縮毛矯正処理などの化学処理などによって、ごわつきが生じて、おさまりが悪くなったり、絡みが生じやすく指通り性が悪化したりした毛髪に対し、これらの問題を解消する技術の開発が求められている。
【0005】
例えば、特許文献1〜3には、毛髪の広がりを抑制できる毛髪保護剤が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開平11−79943号公報
【特許文献2】特開平11−79944号公報
【特許文献3】特開2002−332216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1〜3に記載の毛髪保護剤によれば、毛髪の広がりを抑制でき、そのおさまりを良好にすることができる。
【0008】
しかしながら、縮毛矯正処理は、長年にわたって繰り返し施すことが多いが、これに付随して、従来にも増して毛髪の部分ごとのダメージの度合いが大きくなるなど、毛髪の部分ごとの状態が大きく異なっている場合も多く、こうした毛髪に対して、ごわつきを取っておさまりをよくしたり、良好な指通り性を付与したりすることは難しいこともあり、こうした点において、特許文献1〜3に記載の毛髪保護剤は未だ改善の余地を残している。
【0009】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、良好な指通り性が確保でき、かつごわつきを取って根元から毛先まで均一なおさまりが得られる毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ショ糖脂肪酸エステルが配合された毛髪化粧料は、塗布時の毛髪への馴染みをよくしたり、仕上がり時の毛髪の指通り性や毛髪に均一なおさまりを付与したりする作用を、ある程度は備えている。しかし、例えば縮毛矯正処理を繰り返し施すなどして、特に濡れた状態で絡みが生じやすく、また、乾燥時にごわつき、おさまりが悪くなりがちな毛髪に対しては、前記の作用は必ずしも十分ではない。
【0011】
他方、本発明者らは、N−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンと高級アルコールおよび/またはステロールとのエステルを用いた毛髪化粧料であれば、縮毛矯正処理を繰り返し施した毛髪であっても、仕上がり時の指通り性を良好にし、また、均一なおさまりを付与できることを見出した。しかしながら、N−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンと高級アルコールおよび/またはステロールとのエステルを配合した毛髪化粧料では、毛髪への塗布時の馴染みが不十分であることも判明した。
【0012】
そこで、本発明者らは更に検討を重ね、ショ糖脂肪酸エステルと、N−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンと高級アルコールおよび/またはステロールとのエステルとを併用して毛髪化粧料を構成すれば、縮毛矯正処理を繰り返し施した毛髪であっても、仕上がり時の指通り性を良好にし、また、均一なおさまりを付与できることに加えて、塗布時の毛髪への馴染みも良好にできることを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
すなわち、前記目的を達成し得た本発明の毛髪化粧料は、ショ糖脂肪酸エステル、並びにN−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンと高級アルコールおよび/またはステロールとのエステルが、少なくとも配合されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の毛髪化粧料は、塗布時にすばやく毛髪に馴染み、サラサラとしたすべり感を毛髪に付与でき、更に毛髪の広がりを抑制することができる。そのため、本発明の毛髪化粧料によれば、特に濡れた状態で絡みが生じやすく、また、乾燥時にごわつき、おさまりが悪くなりがちな縮毛矯正処理を繰り返し施した毛髪であっても、絡みがほぐれて仕上がり時(乾燥後)に良好な指通り性が確保でき、また、根元から毛先まで均一なおさまりが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の毛髪化粧料は、ショ糖脂肪酸エステル、並びにN−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンと高級アルコールおよび/またはステロールとのエステルが、少なくとも配合されているものである。
【0016】
本発明の毛髪化粧料に係るショ糖脂肪酸エステルとしては、例えば、ショ糖ベヘン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル(ステアリン酸スクロース、ジステアリン酸スクロース、トリステアリン酸スクロース、ポリステアリン酸スクロースなど)、ショ糖パルミチン酸エステル(パルミチン酸スクロース、ヘキサパルミチン酸スクロースなど)、ショ糖ミリスチン酸エステル(ミリスチン酸スクロースなど)、ショ糖ラウリン酸エステル(ラウリン酸スクロース、ジラウリン酸スクロース、ポリラウリン酸スクロースなど)、ショ糖エルカ酸エステル(ペンタエルカ酸スクロース、ヘキサエルカ酸スクロースなど)、ショ糖オレイン酸エステル(オレイン酸スクロース、ポリオレイン酸スクロースなど)などが挙げられ、これらのうちの1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
なお、ショ糖脂肪酸エステルには、種々のHLB(Hydrophile−Lipophile Balance)値を有するものが存在するが、本発明の毛髪化粧料においては、HLBが1〜7のショ糖脂肪酸エステル(以下、「低HLBショ糖脂肪酸エステル」という。)と、HLBが8〜17のショ糖脂肪酸エステル(以下、「高HLBショ糖脂肪酸エステル」という。)とを併用することが好ましい。低HLBショ糖脂肪酸エステルと、高HLBショ糖脂肪酸エステルとを併用することで、塗布時の毛髪への馴染みのよさがより向上し、また、仕上がり時の毛髪の均一なおさまりがより良好となる。また、低HLBショ糖脂肪酸エステルとしてHLBが4〜6のものを使用し、かつ高HLBショ糖脂肪酸エステルとしてHLBが13〜16のものを使用することが更に好ましく、この場合には、仕上がり時の毛髪の指通り性も更に向上する。なお、ショ糖脂肪酸エステルのHLBは、通常、ショ糖脂肪酸エステルのメーカーによって公表されており、本発明では、こうした情報に基づいて、使用するショ糖脂肪酸エステルのHLBを選択することができる。
【0018】
前記の低HLBショ糖脂肪酸エステルと高HLBショ糖脂肪酸エステルとを併用する場合、低HLBショ糖脂肪酸エステルと高HLBショ糖脂肪酸エステルとの使用比率は、それぞれのHLBによって変動し得るが、例えば、質量比で、1:5〜5:1とすることが好ましい。
【0019】
毛髪化粧料におけるショ糖脂肪酸エステルの配合量は、本発明の効果をより良好に確保する観点からは、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、また、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。
【0020】
本発明の毛髪化粧料で使用するN−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンと高級アルコールおよび/またはステロールとのエステルは、ショ糖脂肪酸エステルと併用されることで、毛髪表面に付着して、毛髪にさらさらとした感触を付与し、また、毛髪の広がりを抑制する作用を有している。そのため、本発明の毛髪化粧料が塗布された毛髪では、絡みがほぐれて仕上がり時(毛髪の乾燥時)に良好な指通り性が確保でき、また、根元から毛先まで均一なおさまりが得られる。
【0021】
N−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンと高級アルコールおよび/またはステロールとのエステルを形成するためのN−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンに係る長鎖アシル基は、例えば、炭素数が6〜22の直鎖状または分岐状の飽和または不飽和のアシル基であることが好ましい。具体的には、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、2−エチルヘキサン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、硬化パーム核油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸などの各種脂肪酸から誘導され得るアシル基が挙げられる。なお、前記の長鎖アシル基は、その水素原子の一部がヒドロキシル基で置換されていてもよい。
【0022】
N−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンと高級アルコールおよび/またはステロールとのエステルを形成するための高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール(セチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物)、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルデカノール、デシルテトラデカノールなどの炭素数が10〜24のアルコールが挙げられる。これらの中でも、デシルテトラデカノールが好ましい。
【0023】
N−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンと高級アルコールおよび/またはステロールとのエステルを形成するためのステロールとしては、例えば、フコステロール、ジトステロール、コレステロール、カンペステロール、スチグマステロール、フィトステロールなどが挙げられる。これらの中でも、コレステロールおよびフィトステロールが好ましく、フィトステロールがより好ましい。
【0024】
毛髪化粧料には、N−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンと高級アルコールとのエステルのみを使用してもよく、N−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンとステロールとのエステルのみを使用してもよく、N−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンと高級アルコールとのエステルと、N−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンとステロールとのエステルとを併用してもよい。また、N−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンと高級アルコールとのエステルには、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。更に、N−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンとステロールとのエステルには、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、N−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンと高級アルコールおよび/またはステロールとのエステルの使用による前記の効果がより良好になる点で、N−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンと高級アルコールとのエステルと、N−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンとステロールとのエステルとを併用することがより好ましい。
【0025】
ここで、N−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンと高級アルコールとのエステルとしては、N−ミリストイル−N−メチル−β−アラニン(長鎖アシル基がミリスチル酸から誘導され得るミリストイル基)と、デシルテトラデカノールとのエステル、すなわち、N−ミリストイル−N−メチル−β−アラニンデシルテトラデシルが更に好ましい。また、N−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンとステロールとのエステルとしては、N−ミリストイル−N−メチル−β−アラニンと、フィトステロールとのエステル、すなわち、N−ミリストイル−N−メチル−β−アラニンフィトステリルが更に好ましい。
【0026】
よって、本発明の毛髪化粧料には、N−ミリストイル−N−メチル−β−アラニンデシルテトラデシルと、N−ミリストイル−N−メチル−β−アラニンフィトステリルとを併用することが特に好ましく、この場合に、N−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンと高級アルコールおよび/またはステロールとのエステルと、前記のショ糖脂肪酸エステルとを併用した本発明の前記効果が特に良好となる。
【0027】
毛髪化粧料におけるN−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンと高級アルコールおよび/またはステロールとのエステルの配合量は、本発明の効果をより良好に確保する観点からは、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。ただし、毛髪化粧料中のN−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンと高級アルコールおよび/またはステロールとのエステルの量が多すぎると、仕上がり時の毛髪にべたつきが生じたり、硬さが出たりする虞がある。よって、毛髪化粧料におけるN−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンと高級アルコールおよび/またはステロールとのエステルの配合量は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。
【0028】
また、本発明の毛髪化粧料には、ペンタエリスリトールと脂肪酸とのテトラエステルを配合することが好ましい。かかるエステルを配合することで、毛髪化粧料の毛髪への馴染みのよさ、仕上がり時の指通り性、および仕上がり時の毛髪のおさまりのよさが、より一層向上する。なお、ペンタエリスリトールと脂肪酸とのテトラエステルの配合による前記の効果は、ショ糖脂肪酸エステルとして低HLBショ糖脂肪酸エステルと高HLBショ糖脂肪酸エステルとを併用した場合に、特に顕著となる。
【0029】
ペンタエリスリトールと脂肪酸とのテトラエステルとしては、例えば、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチルなどが挙げられ、これらのうちの1種のみを使用してもよく、複数種を併用してもよい。
【0030】
毛髪化粧料におけるペンタエリスリトールと脂肪酸とのテトラエステルの配合量は、かかるエステルの使用による前記の効果をより良好に確保する観点から、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。ただし、毛髪化粧料中のペンタエリスリトールと脂肪酸とのテトラエステルの量が多すぎると、塗布後の毛髪にべたつきが生じる虞がある。よって、毛髪化粧料におけるペンタエリスリトールと脂肪酸とのテトラエステルの配合量は、8質量%以下であることが好ましく、6質量%以下であることがより好ましい。
【0031】
本発明の毛髪化粧料では、主たる溶媒(分散媒を含む。以下同じ。)として水を使用することが好ましい。なお、溶媒には、水のみを使用してもよく、必要に応じて、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール(炭素数が6以下のアルコール)などの有機溶媒を、溶媒全量中5質量%以下程度の量で水と併用してもよい。毛髪化粧料における溶媒の配合量は、例えば、60〜90質量%とすることが好ましい。
【0032】
また、本発明の毛髪化粧料には、前記の各成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の毛髪化粧料などの化粧料に使用されている各種成分を配合することができる。このような成分としては、例えば、界面活性剤、油性成分、湿潤剤、防腐剤、キレート剤、香料、着色剤などが挙げられる。
【0033】
界面活性剤としては、例えば、各種の、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤(ショ糖脂肪酸エステルを除く)および両性界面活性剤が使用できる。カチオン性界面活性剤としては、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムなどの塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウムなどが挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0034】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類(ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなど)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン2−デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン水添ラノリン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリンエーテルなど)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル(モノステアリン酸ソルビタンなど)、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンベンジルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルポリグリコシド、N−アルキルジメチルアミンオキシド、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、コカミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどが挙げられる。
【0035】
油性成分としては、例えば、油脂、炭化水素、前記の各種エステル以外のエステル類、高級アルコール、シリコーンなどが挙げられる。湿潤剤としては、例えば、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ピロリドンカルボン酸などが挙げられる。防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノールなどが挙げられる。
【0036】
本発明の毛髪化粧料には、例えば、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ヘアコンディショナーなどが含まれる。
【0037】
本発明の毛髪化粧料は、通常、シャンプーで洗浄した後の毛髪に対して適量塗布し、必要に応じてその後水洗する方法により使用される。本発明の毛髪化粧料を塗布する前に毛髪の洗浄に使用されるシャンプーに関しては、特に制限はなく、従来から知られている各種シャンプーを用いることができる。
【0038】
また、本発明の毛髪化粧料は、洗い流さないタイプの毛髪化粧料とすることもでき、この場合は、適量を毛髪に均一に塗布して馴染ませる方法により使用できる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。なお、以下の表1〜表3では毛髪化粧料全体で100%となるように、各成分の配合量を%で示すが、その%はいずれも質量%であり、また、表1〜表3中ではその%の表示を省略し、配合量を表す数値のみで表示する。
【0040】
実施例1〜9および比較例1〜4
実施例1〜9および比較例1〜4の毛髪化粧料を、表1〜表3に示す組成で調製した。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
なお、表1〜表3において、精製水の欄の「計100とする」とは、毛髪化粧料を構成する精製水以外の各成分の合計量に、精製水の量を加えて100%となるようにしたことを意味している。
【0045】
また、実施例1〜9および比較例1〜4の毛髪化粧料の調製に使用した原材料は、以下の通りである。
(1)N−ミリストイル−N−メチル−β−アラニンフィトステリル/N−ミリストイル−N−メチル−β−アラニンデシルテトラデシル:味の素社製「エルデュウAPS−307(商品名)」。
(2)ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル):味の素社製「エルデュウCL−202(商品名)」。
(3)トリステアリン酸スクロース:三菱化学フーズ社製「サーフホープ SE COSME C−1803(商品名)」。
(4)ジステアリン酸スクロース:三菱化学フーズ社製「サーフホープ SE COSME C−1805(商品名)」。
(5)ステアリン酸スクロース:三菱化学フーズ社製「サーフホープ SE COSME C−1811(商品名)」。
(6)ラウリン酸スクロース:三菱化学フーズ社製「サーフホープ SE COSME C−1215L(商品名)」。
(7)テトラオクタン酸ペンタエリスリチル:日清オイリオ社製「サラコス508」。
(8)ジメチルポリシロキサン:ダウコーニング社製「BY11−007」。
【0046】
肩よりも長く、縮毛矯正処理を2回以上繰り返した毛髪を有する女性10名をパネリストとし、それぞれに専門の評価者1名ずつを付け、これらパネリストの毛髪を用いて、各実施例および比較例の毛髪化粧料の使用による効果を評価した。
【0047】
まず、各パネリストの毛髪を、下記組成のシャンプー10gを用いて洗浄し、シャンプーを水で洗い流した。前記シャンプーは、ラウレス硫酸Na:12質量%、ラウラミドプロピルベタイン:3質量%、コカミドメチルMEA:3質量%、ポリクオタニウム−10:0.5%、および水を配合し、更にpH調整剤でpHを約6.7に調整して全体を100質量%としたものである。
【0048】
その後、各パネリストの頭部の左半分の毛髪には、標準品として比較例1の毛髪化粧料5gを塗布し、右半分には、実施例1〜9または比較例2〜4の毛髪化粧料5gを塗布した後水洗し、乾燥させた。そして、実施例1〜9および比較例2〜4の毛髪化粧料の塗布時の馴染みのよさ、並びに実施例1〜9および比較例2〜4の毛髪化粧料により処理した毛髪の仕上がり時(乾燥後)の指通りのよさ、および仕上がり時の均一なおさまりのよさを、前記専門の評価者が、比較例1の毛髪化粧料の場合と比較した上で下記評価基準に従って点数付けし、全評価者の点数を合計した。これらの評価結果を表4に示す。
5点:非常によい。
4点:よい。
3点:普通。
2点:悪い。
1点:非常に悪い。
【0049】
【表4】

【0050】
表4から明らかなように、実施例1〜9の毛髪化粧料は、塗布時の毛髪への馴染みが良く、また、これらの毛髪化粧料を用いて処理した毛髪は、仕上がり時の指通りが良好で、かつ均一におさまっている。
【0051】
特に、ペンタエリスリトールと脂肪酸とのテトラエステルを配合した実施例4の毛髪化粧料の場合には、仕上がり時の毛髪の均一なおさまりが、より良好である。また、低HLBショ糖脂肪酸エステルと高HLBショ糖脂肪酸エステルとを併用した実施例5〜8の毛髪化粧料の場合には、塗布時の毛髪への馴染み、および仕上がり時の毛髪の均一なおさまりが、より良好である(更に、実施例5、7の毛髪化粧料の場合には、仕上がり時の毛髪の指通りも、より良好である。)。そして、低HLBショ糖脂肪酸エステルと高HLBショ糖脂肪酸エステルとを併用したことに加えて、ペンタエリスリトールと脂肪酸とのテトラエステルも配合した実施例9の毛髪化粧料の場合には、塗布時の毛髪への馴染み、仕上がり時の毛髪の指通り、および仕上がり時の均一なおさまりのいずれもが極めて良好である。
【0052】
これに対し、ショ糖脂肪酸エステルを配合していない比較例2の毛髪化粧料、並びにN−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンと高級アルコールおよび/またはステロールとのエステルを配合していない比較例3の毛髪化粧料の場合には、塗布時の毛髪への馴染み、仕上がり時の毛髪の指通り、および仕上がり時の均一なおさまりのいずれもが劣っている。
【0053】
また、比較例4の毛髪化粧料は、N−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンと高級アルコールおよび/またはステロールとのエステルに代えて、N−長鎖アシル酸性アミノ酸エステル[ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)]を配合したものであるが、この比較例4の毛髪化粧料の場合でも、塗布時の毛髪への馴染み、仕上がり時の毛髪の指通り、および仕上がり時の均一なおさまりのいずれもが、比較例2や比較例3の毛髪化粧料の場合とほぼ同等であり、実施例1〜9の毛髪化粧料の場合に比べて劣っている。これらの結果から、N−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンと高級アルコールおよび/またはステロールとのエステルを、ショ糖脂肪酸エステルと組み合わせて毛髪化粧料を構成することが、前記効果の確保の上で重要であることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショ糖脂肪酸エステル、並びにN−長鎖アシル−N−メチル−β−アラニンと高級アルコールおよび/またはステロールとのエステルが、少なくとも配合されていることを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項2】
HLBが1〜7のショ糖脂肪酸エステルと、HLBが8〜17のショ糖脂肪酸エステルとが配合されている請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
ペンタエリスリトールと脂肪酸とのテトラエステルが更に配合されている請求項1または2に記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2010−120917(P2010−120917A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308146(P2008−308146)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(592255176)株式会社ミルボン (138)
【Fターム(参考)】