説明

毛髪変形処理剤組成物

【課題】施術後の毛髪の感触を損なうことなく、高いウェーブ形成効率が得られる毛髪変形処理剤を提供する。
【解決手段】還元剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤からなり、第2剤が更に0.1〜2.0質量%の(A)成分:パラフェノールスルホン酸の金属塩と、0.03〜0.65質量%の(B)成分:塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体と、を含有する毛髪変形処理剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪変形処理剤組成物に関し、更に詳しくは本発明は、ウェーブ形成効率が高く、しかも変形処理後の毛髪の感触も良好な毛髪変形処理剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
還元剤が配合されたパーマネントウェーブ剤や縮毛矯正剤等の毛髪変形処理剤を用いて、毛髪にウェーブを掛けたり、縮毛を矯正したりする毛髪変形処理が行われている。毛髪変形処理は、還元剤によって毛髪ケラチン中のシスチンのジスルフィド結合を切断する過程を含むため、毛髪の損傷とそれに伴う施術後の毛髪感触(手触り)の悪化が避けられない。この問題を改善するため、例えば、シスチンとシリコーンとの共重合体を利用することが提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】フレグランス ジャーナル社発行の「FRAGRANCE JOURNAL」,2001年4月15日,第29巻,第4号,p.117〜118。
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−149478号公報。 上記の非特許文献1では、シスチンとシリコーンとの共重合体であるヘアコンディショニングコポリマーが紹介されており、この共重合体を毛髪に浸透させることにより、毛髪中にジスルフィド結合を補充してウェーブの持続性を向上させるとしている。更に、共重合体を毛髪の表面で高分子化させ被膜を形成することで、ウェーブの持続性がより向上し毛髪の感触も向上するとしている。 上記の特許文献1に開示された毛髪変形処理剤は、還元剤と、上記の非特許文献1の場合と類似したシスチンとシリコーンとの共重合体である高分子とを組合わせて配合することで、ウェーブを形成すると共に毛髪表面に高分子の被膜を形成し、毛髪の感触とウェーブの持続性の向上を図っている。又、この毛髪変形処理剤は、タンパク収れん剤を併用して毛髪内を脱水することにより、ウェーブの持続性を更に向上させることができるとしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで毛髪変形処理においては、変形(ウェーブ)の強さの指標であるウェーブ形成効率の向上を求めて、毛髪変形処理剤における還元剤あるいは酸化剤の配合量を増やす場合があり、この場合には、より強い毛髪損傷と感触悪化が引き起こされる恐れがある。
【0006】
本願発明者の研究によれば、非特許文献1のヘアコンディショニングコポリマーや、特許文献1の毛髪変形処理剤は、ウェーブの持続性の向上や感触の改善に有効であるが、上記のようなウェーブ形成効率向上の代償としての強い毛髪損傷と感触悪化に対しては有効ではない。即ち、毛髪変形処理において、高いウェーブ形成効率と施術後の毛髪の良好な感触を両立させることは、必ずしも容易ではなかった。
【0007】
そこで本発明は、毛髪の感触を損なうことなく高いウェーブ形成効率が得られる毛髪変形処理剤を提供することを、解決すべき技術的課題とする。
【0008】
本願発明者は、上記課題の解決手段を追求する過程で、特定のカチオン性ポリマーとパラフェノールスルホン酸の金属塩を毛髪変形処理剤の第2剤に併用することで、施術後の毛髪の感触を損なうことなく、高いウェーブ形成効率が得られる毛髪変形処理が可能となることを見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(第1発明の構成)
上記課題を解決するための本願第1発明の構成は、還元剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤からなり、第2剤が更に0.1〜2.0質量%の下記(A)成分及び0.03〜0.65質量%の下記(B)成分を含有する、毛髪変形処理剤組成物である。
【0010】
(A)パラフェノールスルホン酸の金属塩。
【0011】
(B)塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体。
【0012】
上記の第1発明において、(A)成分及び(B)成分の含有量は第2剤中の質量%数で表したものである。
【0013】
(第2発明の構成)
上記課題を解決するための本願第2発明の構成は、前記第1発明に係る毛髪変形処理剤組成物において、(A)成分がパラフェノールスルホン酸亜鉛である。
【0014】
(第3発明の構成)
上記課題を解決するための本願第3発明の構成は、前記第1発明又は第2発明に係る毛髪変形処理剤組成物において、(B)成分の含有量に対する(A)成分の含有量の質量比(A)/(B)が0.25〜22の範囲内である。
【0015】
この第3発明において、質量比(A)/(B)は毛髪変形処理剤組成物の第2剤に配合された(A)成分と(B)成分についての質量比であって、仮に(A)成分や(B)成分が第1剤に配合されていても、それらの成分は関係しない。
【発明の効果】
【0016】
第1発明によれば、毛髪変形処理剤組成物の第2剤が(A)成分と(B)成分を含有するので、毛髪変形処理において、施術後の毛髪の感触を損なうことなく高いウェーブ形成効率が得られる。そして、毛髪変形処理剤における還元剤あるいは酸化剤の配合量を通常の場合よりある程度まで増量しても、この効果は得られる。この効果を得るためには、第2剤が0.1〜2.0質量%の(A)成分及び0.03〜0.65質量%の(B)成分を含有する必要がある。
【0017】
(A)成分であるパラフェノールスルホン酸の金属塩には強いタンパク収れん作用があるため、毛髪に浸透して毛髪を脱水することにより、毛髪を収れんさせる。その結果、毛髪を引き締めてウェーブ形成効率を向上させる。
【0018】
(B)成分である塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体は、カチオン性部分を構成する塩化ジメチルジアリルアンモニウムのモノマーに対してアニオン性部分を構成するアクリル酸のモノマーが混在する状態の共重合体である。そのため、カチオン性部分に基づいて毛髪の感触向上効果を示すと同時に、そのデメリットであるウェーブ形成効率の低下をアニオン性部分が打ち消す働きがあることが分かった。この効果を良好に発揮するためには、共重合体を構成するカチオン性モノマーとアニオン性モノマーのモル比が6.5:3.5〜9.5:0.5程度のバランスの範囲内にあることが好ましい。
【0019】
なお、(B)成分に近いカテゴリーの高分子であっても、上記のようなカチオン性モノマーとアニオン性モノマーの構成比率のバランスを備えないものでは上記の効果は得られない。カチオン性モノマーが上記のバランスの範囲を超えて過剰なもの、例えばポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウムであるナルコジャパン社製の「マーコート100」では、実質的に全カチオン性の高分子になるため、上記の効果が確保されない。逆に、アニオン性モノマーが上記のバランスの範囲を超えて過剰なもの、例えば、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体であるナルコジャパン社製の「マーコートプラス3330」では、実質的にカチオン性ではなく両性の高分子であるため、やはりこの効果が確保されない。
【0020】
第2剤における(A)成分の含有量が0.1質量%未満であると十分なウェーブ形成効率の向上効果が得られず、その含有量が2.0質量%を超えると施術後の毛髪の感触が悪くなってしまう。一方、第2剤における(B)成分の含有量が0.03質量%未満であると施術後の毛髪の感触改善効果が得られず、その含有量が0.65質量%を超えると十分なウェーブ形成効率の向上効果が得られない。即ち、第2剤における(A)成分と(B)成分の含有量がそれぞれ上記の範囲内にある場合に、十分なウェーブ形成効率の向上効果と、施術後の毛髪の感触改善効果がバランス良く両立する。
【0021】
第2発明によれば、(A)成分がパラフェノールスルホン酸亜鉛であるため、毛髪変形処理剤組成物のウェーブ形成効率が一層向上する。
【0022】
第3発明によれば、第2剤における(B)成分の含有量に対する(A)成分の含有量の質量比(A)/(B)が0.25〜22の範囲内であるため、施術後の毛髪の感触を損なうことなく高いウェーブ形成効率が得られるという効果が一層向上する。この質量比(A)/(B)が0.25未満であると、十分なウェーブ形成効率が得られ難くなる恐れがある。一方、この質量比(A)/(B)が22を超えると、施述後の毛髪の感触について満足できる結果が得られ難くなる恐れがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明を実施するための形態を、その最良の形態を含めて説明する。
【0024】
〔毛髪変形処理剤組成物〕
本発明に係る毛髪変形処理剤組成物は、還元剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤からなり、第2剤が更に(A)成分:パラフェノールスルホン酸の金属塩と、(B)成分:塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体を含有する。毛髪変形処理剤組成物の第1剤と第2剤は、例えば、パーマネントウェーブ剤あるいは縮毛矯正剤の第1剤及び第2剤として構成される。
【0025】
毛髪変形処理剤組成物の第2剤における(A)成分の含有量は0.1〜2.0質量%の範囲内であるが、より好ましくは、0.2〜1.2質量%の範囲内である。第2剤における(B)成分の含有量は0.03〜0.65質量%の範囲内であるが、より好ましくは、0.1〜0.35質量%の範囲内である。
【0026】
第2剤における(A)成分と(B)成分の含有量は上記の範囲内である限りにおいて制約されないが、両成分の含有量の質量比(A)/(B)が0.25〜22の範囲内であることが好ましく、質量比(A)/(B)が0.55〜12の範囲内であることが更に好ましい。
【0027】
毛髪変形処理剤組成物の第1剤と第2剤は乳化物、溶液、分散液等として調製される。毛髪変形処理剤組成物の剤型は、流動性を有した形態であれば特に限定されず、例えば、液状、霧状、フォーム状、クリーム状、ゲル状等とすることができる。毛髪変形処理剤組成物の毛髪への塗布方法は特に限定されず、ノズルの付いた容器を用いた塗布方法、スプレー(噴霧)による塗布方法等を使用することができる。こうした毛髪変形処理剤組成物は、通常は第1剤を毛髪に塗布し、所定時間放置後に水洗し、次いで第2剤を毛髪に塗布した後、所定時間放置後に水洗される。その過程で毛髪はウェーブ形成され、あるいは縮毛矯正される。
【0028】
〔(A)成分と(B)成分〕
(A)成分であるパラフェノールスルホン酸の金属塩としては、例えば、パラフェノールスルホン酸ナトリウム、パラフェノールスルホン酸カリウム、パラフェノールスルホン酸カルシウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛等が挙げられる。とりわけ、パラフェノールスルホン酸亜鉛が好ましい。
【0029】
(B)成分である塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体としては、としては、例えば、ナルコジャパン社製のマーコート280、マーコート295が挙げられる。これらはいずれも(B)成分の水溶液である。マーコート280、マーコート295に含有される塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体のカチオン性モノマーとアニオン性モノマーのモル比は、マーコート280ではおよそ6.5:3.5、マーコート295ではおよそ9.5:0.5である。
【0030】
〔還元剤と酸化剤〕
毛髪変形処理剤組成物の第1剤に含有させる還元剤としては、亜硫酸塩、酸性亜硫酸塩、L−システイン、N−アセチルシステイン、チオ乳酸、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトエタノール、ジチオスレイトール、ジチオエリスリトール、トリプロピルホスフィンおよびそれらの塩類等が例示される。
【0031】
毛髪変形処理剤組成物の第2剤に含有させる酸化剤としては、過酸化水素、過酸化尿素、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過炭酸アンモニウム、過ホウ酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム等が例示される。
【0032】
第1剤における還元剤の含有量や、第2剤における酸化剤の含有量は、特段に限定されず、例えば通常の毛髪変形処理剤組成物における含有量とすることができる。即ち、還元剤については第1剤中の通常の含有量である0.5〜11質量%程度、酸化剤については第2剤中の通常の含有量である0.5〜9質量%程度とすることができる。なお、本発明の場合、ウェーブ形成効率の向上のために、第1剤中の還元剤の含有量あるいは第2剤中の酸化剤の含有量をある程度増量しても、施術後の毛髪の良好な感触を維持することができる。その意味では、第1剤中の還元剤の含有量を12質量%程度まで増量し、若しくは第2剤中の酸化剤の含有量を10質量%程度まで増量しても良い
〔その他の配合成分〕
毛髪変形処理剤組成物の第1剤及び/又は第2剤には、上記の成分以外にも、有機溶剤、油性成分、界面活性剤、増粘剤、pH調整剤等を適宜に選択して、適宜な含有量となるように配合することができる。
【0033】
有機溶剤としては、炭素数1〜3の一価アルコール(低級アルコール)、多価アルコールとしてのグリコール類及びグリセリン類、並びにジエチレングリコール低級アルキルエーテル等が挙げられる。
【0034】
炭素数1〜3の一価アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、及びイソプロパノールが挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。グリセリン類としては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。ジエチレングリコール低級アルキルエーテルとしては、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エチルカルビトール)等が挙げられる。
【0035】
油性成分としては、油脂、ロウ類、高級アルコール、高級脂肪酸、エステル類、シリコーン類、炭化水素等が挙げられる。
【0036】
油脂としては、オリーブ油、ローズヒップ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、茶実油、サザンカ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、牛脂、カカオ脂、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、小麦胚芽油、ハトムギ油、ブドウ種子油、アボカド油、カロット油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、アマニ油、ヤシ油、ミンク油、卵黄油等が挙げられる。
【0037】
ロウ類としては、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリン等が挙げられる。
【0038】
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ラノリンアルコール等が挙げられる。
【0039】
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。
【0040】
エステル類としては、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソオクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、セバシン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ステアリル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸トリイソデシル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、脂肪酸(C10−30)(コレステリル/ラノステリル)、乳酸ラウリル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸オクチルドデシル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ラノリン誘導体等が挙げられる。
【0041】
シリコーン類としては、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、脂肪酸変性ポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、グリセリン変性シリコーン、脂肪族アルコール変性ポリシロキサン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。
【0042】
炭化水素としては、α−オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、スクワラン、ポリブテン、パラフィン、ポリエチレン末、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。
【0043】
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。
【0044】
非イオン性界面活性剤の具体例としては、エーテル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤等が挙げられる。エーテル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレン(以下、POEという。)セチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0045】
エステル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、モノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル等が挙げられる。
【0046】
カチオン性界面活性剤としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0047】
アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸エステル塩、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸及びその塩、N−ラウロイルグルタミン酸塩類、N−ラウロイルメチル−β−アラニン塩類等が挙げられる。
【0048】
両性界面活性剤としては、2−ウンデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ココアミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
【0049】
増粘剤としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
【0050】
pH調整剤は、有機酸及び有機酸塩または、無機酸及び無機酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、有機酸としては、例えばクエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、レブリン酸、酢酸、酪酸、吉草酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、マンデル酸等が挙げられる。有機酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。無機酸としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、ホウ酸等が挙げられる。
【0051】
毛髪変形処理剤組成物の第1剤及び/又は第2剤には、更に、その他の成分として、ソルビトール、マルトース等の糖類、パラベン等の防腐剤、フェナセチン、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、タンニン酸等の安定剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、紫外線吸収剤等が挙げられる。また「医薬部外品原料規格」(1991年6月発行、薬事日報社)に収載されるものから選ばれる少なくとも一種を配合してもよい。
【実施例】
【0052】
以下に本発明の実施例を比較例と共に説明する。本発明の技術的範囲は以下の実施例及び比較例によって限定されない。
【0053】
〔毛髪変形処理剤組成物の調製〕
末尾の表1に示す実施例1〜実施例6、表2に示す実施例7〜実施例12、表3に示す実施例13〜実施例17、表4に示す比較例1〜比較例6、表5に示す比較例7〜比較例13に係る毛髪変形処理剤組成物であるパーマ剤のそれぞれ第1剤と第2剤を常法に従って調製した。
【0054】
表1〜表5において各成分の含有量を示す数値は、それぞれパーマ剤の第1剤又は第2剤における質量%を示している。又、表の左側の欄外に「(A)」と表記した成分は本発明の(A)成分であることを、「(B)」と表記した成分は本発明の(B)成分であることを、「(A比)」と表記した成分は本発明の(A)成分に対する比較用の成分であることを、「(B比)」と表記した成分は本発明の(B)成分に対する比較用の成分であることを、それぞれ示している。又、(B)成分である塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体はカチオン性モノマーとアニオン性モノマーのモル比が異なる2通りのものを使用したので、カチオン性モノマー:アニオン性モノマーのモル比を成分名の後にカッコ書きで表記した。
【0055】
又、表1〜表5の各実施例及び各比較例について、「(A)合計」と表記した項には第2剤における(A)成分の合計含有量を、「(B)合計」と表記した項には第2剤における(B)成分の合計含有量を、「(A)/(B)」と表記した項には第2剤における(B)成分の含有量に対する(A)成分の含有量の質量比を、それぞれ示している。この質量比(A)/(B)を計算できない場合には「(A)/(B)」の項に「−」を表記した。従って(A)成分が第2剤に配合されているが(B)成分は第1剤に配合されている比較例13では「(B)合計」の項が「0」で「(A)/(B)」の項は「−」であり、このような場合には評価項目欄から分かるように本発明の効果が得られない。
【0056】
〔毛髪変形処理剤組成物の評価〕
各実施例及び各比較例について評価用毛束として長さ20cm、重量0.8gの同様な毛束を用いた。これらの評価用毛束はいずれも、予めホーユー株式会社製のブリーチ剤である「プロマスターEX LT」によってブリーチ処理を2回繰返して施しておいたものであり、これらを用いて、以下の「ウェーブ形成効率」と「施術後の毛髪感触」を評価した。
【0057】
(ウェーブ形成効率の評価)
評価用毛束を霧吹きにて湿らせたもとで、評価用毛束の上端をロッドに固定し、下端に45gの重りを吊るすことにより、評価用毛束に一定の力(重りの重力)を均一に加えた状態にした。この状態で評価用毛束を直径1.5cmのロッドに巻き、各実施例、各比較例の第1剤1mlをそれぞれ均一に塗布して37℃で15分間放置した後、評価用毛束を水洗いして第1剤を除去した。
【0058】
続いて各実施例、各比較例の第2剤0.5mlをそれぞれ該当する評価用毛束に塗布して、室温で7分間放置した後、再度同じ第2剤0.5mlをそれぞれ塗布して室温で7分間放置した。そして評価用毛束を水洗した後にロッドから外し、毛髪変形処理を終了した。このように毛髪変形処理が施された評価用毛束について、下記の式(1)に従ってウェーブ形成効率Wを算出した。
【0059】
W(%)=〔ロッド径/ウェーブ径の実測値〕×100・・・式(1)
ウェーブ形成効率Wが44.5%以上である場合を評価点「5」、43.0%以上で44.5%未満である場合を評価点「4」、41.5%以上で43.0%未満である場合を評価点「3」、40.0%以上で41.5%未満である場合を評価点「2」、40.0%未満である場合を評価点「1」として、これらの評価点を表1〜表5の「ウェーブ形成効率の評価」の項に示した。又、これらの評価点には、実際に算出されたウェーブ形成効率W(%)の数値をカッコ書きで付記した。
【0060】
(施術後の毛髪感触の官能評価)
上記のウェーブ形成効率の評価において記載した毛髪変形処理後の各実施例、各比較例に係る評価用毛束について、それぞれ10名のパネラーが、手触りにより「感触が良い」又は「感触が良いとは言えない」の二者択一で評価した。「感触が良い」と評価したパネラーが、9名以上であった場合を評価点「5」、7名〜8名であった場合を評価点「4」、5名〜6名であった場合を評価点「3」、3名〜4名であった場合を評価点「2」、2名以下であった場合を評価点「1」として、これらの評価点を表1〜表5の「施術後の毛髪感触の官能評価」の項に示した。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

【0063】
【表3】

【0064】
【表4】

【0065】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明によって、施術後の毛髪の感触を損なうことなく、高いウェーブ形成効率が得られる毛髪変形処理剤が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤からなり、第2剤が更に0.1〜2.0質量%の下記(A)成分及び0.03〜0.65質量%の下記(B)成分を含有することを特徴とする毛髪変形処理剤組成物。
(A)パラフェノールスルホン酸の金属塩。
(B)塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体。
【請求項2】
前記(A)成分がパラフェノールスルホン酸亜鉛であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪変形処理剤組成物。
【請求項3】
前記(B)成分の含有量に対する(A)成分の含有量の質量比(A)/(B)が0.25〜22の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の毛髪変形処理剤組成物。

【公開番号】特開2012−46438(P2012−46438A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188637(P2010−188637)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】