説明

毛髪改善剤

【課題】使用に際して手間がかからず、また使用者の健康面への悪影響が一切なく、白髪を黒褐色に変色させると共にコンディショニング効果をも備えた毛髪改善剤の提供。
【解決手段】染毛剤として、硫酸銀と植物性染料であるヘマティンを必須成分とし、さらに硫酸第一鉄およびタマネギ根エキスが含まれ、コンディショニング剤として、ローマカミツレエキス、オドリコソウエキス、ゴボウエキス、アルニカエキス、ローズマリーエキス、オランダカラシエキス、セイヨウキズタエキス、ニンニクエキスおよびマツエキス等の植物エキス並びにオリーブ油、スクワランおよびフェニルトリメチコン等が含まれている毛髪改善剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白髪を黒褐色に変色させると共にコンディショニング効果をも備えた毛髪改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、頭髪を染めるものとしては、カラースプレーに代表される一次的染毛剤とカラーリンスに代表される半永久的染毛剤とヘアダイに代表される永久的染毛剤とがあるが、頭髪の大部分が白髪の場合には、通常、ヘアダイが使用されている。
【0003】
ヘアダイにはアミン系、フェノール系およびその混合型等、種々のものが知られているが、例えばアミン系の酸化系染毛剤では、先ず第一液として酸化染料前駆物質を毛髪に浸透させて、該前駆物質同士、または該前駆物質と他の酸化染料前駆物質とを、第二液としての過酸化水素等の酸化剤の存在下で反応させて毛髪の染色を行っている。
【特許文献1】特開平8−208568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した染毛の場合、第一液と第二液とを混合しなければならないため、手間がかかる上、毛髪中に残留する過酸化水素が毛髪中のシスティンと反応してシスティン酸を生成し、これが毛髪を傷める他、前記アミン系等の薬剤が頭皮から人体に吸収されることで痒みや皮膚炎を生じさせる他、ガンを誘発する等、使用者の健康面においても種々の問題があった。
【0005】
本発明の目的は、使用に際して手間がかからず、また使用者の健康面への悪影響が一切なく、しかも毛髪のコンディショニング効果が得られる毛髪改善剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明は、染毛剤として、硫酸銀とヘマティンが含まれている毛髪改善剤である。
【0007】
ヘマティンは、例えばマメ科の植物から採取される天然染料である。
【0008】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載の毛髪改善剤について、染毛剤として、更に硫酸第一鉄およびタマネギ根エキスが含まれているものである。
【0009】
請求項3記載の本発明は、前記請求項1または請求項2記載の毛髪改善剤について、更にコンディショニング剤が含まれていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4記載の本発明は、前記請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項記載の毛髪改善剤について、コンディショニング剤として、少なくとも植物エキスが用いられているものである。
【0011】
請求項5記載の本発明は、前記請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項記載の毛髪改善剤について、植物エキスが、ローマカミツレエキス、オドリコソウエキス、ゴボウエキス、アルニカエキス、ローズマリーエキス、オランダカラシエキス、セイヨウキズタエキス、ニンニクエキスおよびマツエキスのうちの少なくとも一種以上を含むものであることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の本発明は、前記請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項記載の毛髪改善剤について、コンディショニング剤として、更にオリーブ油、スクワランおよびフェニルトリメチコンを含むものである。
【0013】
請求項7記載の本発明は、前記請求項6記載の毛髪改善剤について、更にブチレングリコール、グリセリン、ポリアクリルアミド、水添ポリイソブテン、ラウレス−7、フェノキシエタノール、EDTA−2Na、メチルパラベン、プロピルパラベンおよび水を含むものである。
【0014】
請求項8の本発明は、前記請求項7記載の毛髪改善剤について、オリーブ油7.0%、スクワラン7.0%、ブチレングリコール7.0%、グリセリン3.5%、フェニルトリメチコン3.0%、タマネギ根エキス3.0%、ポリアクリルアミド2.4%、硫酸第一鉄1.0%、水添ポリイソブテン1.44%含まれ、水を除く残りの成分がそれぞれ1.0%以下含まれており、残部が水であることを特徴とするものである。
【0015】
請求項9記載の本発明は、請求項8記載の毛髪改善剤の製造方法であって、真空乳化釜に、先ずオリーブ油、スクワラン、ブチレングリコール、グリセリン、フェニルトリメチコン、タマネギ根エキス、ポリアクリルアミド、硫酸第一鉄および水添ポリイソブテンのそれぞれを全量入れて、撹拌することにより各成分を均一に混合し、該混合物を更に撹拌しながら、水を全量加えることで該水に前記各成分を溶け込ませ、次にその溶液に残りの成分を均一に混合させることを特徴とする。
【0016】
請求項10記載の本発明は、請求項9記載の毛髪改善剤の製造方法について、真空乳化釜内で、それぞれの撹拌混合を常温で行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の毛髪改善剤は、染毛剤として、硫酸銀とヘマティンが含まれているため、これを白髪に付けた場合、先ず硫酸銀に太陽光等の光が作用して金属銀の析出による変色が発生し、またこれと重畳的にヘマティンによる染色も行われ、その結果、本毛髪改善剤の使用当初は白髪が薄い褐色に変色し、その後、本毛髪改善剤を毎日1回程度繰り返して毛髪に塗布することで最終的に白髪が黒褐色に変色する。
【0018】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載の毛髪改善剤について、染毛剤として、更に硫酸第一鉄およびタマネギ根エキスが含まれており、これらが反応することで前述した白髪の染毛効果が更に助長される。この他、本発明にかかる毛髪改善剤によれば、従来のヘアダイのように、使用直前に第一液と第二液とを混合するといった手間を必要とせず、しかも使用に伴って毛髪を傷めたり、痒みや皮膚炎を伴ったり、ガンを誘発するといった種々の問題もない。また、このような効果は前記請求項1記載の毛髪改善剤においても同様である。
【0019】
請求項3記載の本発明は、前記請求項1または請求項2記載の毛髪改善剤について、更にコンディショニング剤が含まれているため、前述した白髪の染毛効果の他に、髪に潤い等が得られて毛質自体の改善も図られる。
【0020】
請求項4および請求項5記載の毛髪改善剤によれば、特に天然の植物エキスによって髪に十分な保湿効果と滑らかさが得られる。
【0021】
請求項6記載の毛髪改善剤は、コンディショニング剤として、更にオリーブ油、スクワランおよびフェニルトリメチコンを含むものであるため、前記コンディショニング効果に加えて髪にまとまり感やしっとり感が得られる。
【0022】
請求項7および請求項8記載の本発明かかる毛髪改善剤によれば、性状がクリーム状でとなるため、これを手や櫛につけて白髪の生え際から毛先に向かって馴染ませるように塗布して使用することができるという利点があり、また従来のヘアダイのような悪臭もなく、ほぼ無臭とすることができる。この他、本発明かかる毛髪改善剤は、従来の一次的な染毛剤のように、着用する衣類や就寝している枕に色移りするおそれがなく、更に肌の弱い人でも使用することができる。
【0023】
請求項9および請求項10記載の製造方法によれば、前記本発明にかかる毛髪改善剤を容易且つ安定的に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態について説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。後述する配合量はいずれも重量%である。
【0025】
(実施形態1)
【0026】
先ず、本実施形態にかかる毛髪改善剤の成分構成について説明すると、オリーブ油7.0%、スクワラン7.0%、ブチレングリコール(BG)7.0%、グリセリン3.5%、フェニルトリメチコン3.0%、タマネギ根エキス3.0%、ポリアクリルアミド2.4%、硫酸第一鉄1.0%、水添ポリイソブテン1.44%、ヘマティン0.98%、ラウレス−7 0.8%、硫酸銀0.98%、ローマカミツレエキス0.8%、オドリコソウエキス0.7%、ゴボウエキス0.7%、アルニカエキス0.5%、ローズマリーエキス0.6%、オランダカラシエキス0.7%、セイヨウキズタエキス0.3%、ニンニクエキス0.4%、マツエキス0.3%、フェノキシエタノール0.6%、EDTA−2Na0.9%、メチルパラベン0.8%、プロピルパラベン0.5%および残部精製水とする。
【0027】
次に、前記成分構成とした毛髪改善剤の製造方法について説明すると、一般に知られている真空乳化釜に、先ずオリーブ油、スクワラン、ブチレングリコール(BG)、グリセリン、フェニルトリメチコン、タマネギ根エキス、ポリアクリルアミド、硫酸第一鉄および水添ポリイソブテンをそれぞれ全量入れて、高速撹拌することにより前記各原料を均一に混合する。
【0028】
次に、前記混合物を撹拌しながら精製水の全量を加えることによって、該精製水に前記各原料を溶かし込む。その後、これを更に撹拌しながら、ヘマティン、ラウレス−7、硫酸銀、ローマカミツレエキス、オドリコソウエキス、ゴボウエキス、アルニカエキス、ローズマリーエキス、オランダカラシエキス、セイヨウキズタエキス、ニンニクエキス、マツエキス、フェノキシエタノール、EDTA−2Na、メチルパラベンおよびプロピルパラベンの各全量を順次均一に混合することによって最終的に毛髪改善剤を得る。
【0029】
(実施形態2)
【0030】
本実施形態にかかる毛髪改善剤の成分構成について説明すると、オリーブ油7.0%、スクワラン7.0%、ブチレングリコール(BG)7.0%、グリセリン3.5%、フェニルトリメチコン3.0%、タマネギ根エキス3.0%、ポリアクリルアミド2.4%、硫酸第一鉄1.0%、水添ポリイソブテン1.44%、ヘマティン0.98%、ラウレス−7 0.75%、硫酸銀0.90%、ローマカミツレエキス0.85%、オドリコソウエキス0.6%、ゴボウエキス0.8%、アルニカエキス0.6%、ローズマリーエキス0.7%、オランダカラシエキス0.5%、セイヨウキズタエキス0.4%、ニンニクエキス0.25%、マツエキス0.3%、フェノキシエタノール0.9%、EDTA−2Na0.85%、メチルパラベン0.8%、プロピルパラベン0.6%および残部精製水とする。
【0031】
なお、本実施形態にかかる毛髪改善剤の製造方法は、前記実施形態1と同様である。
【0032】
(実施形態3)
【0033】
本実施形態にかかる毛髪改善剤の成分構成について説明すると、オリーブ油7.0%、スクワラン7.0%、ブチレングリコール(BG)7.0%、グリセリン3.5%、フェニルトリメチコン3.0%、タマネギ根エキス3.0%、ポリアクリルアミド2.4%、硫酸第一鉄1.0%、水添ポリイソブテン1.44%、ヘマティン0.95%、ラウレス−7 0.75%、硫酸銀0.95%、ローマカミツレエキス0.95%、オドリコソウエキス0.8%、ゴボウエキス0.75%、アルニカエキス0.8%、ローズマリーエキス0.65%、オランダカラシエキス0.45%、セイヨウキズタエキス0.45%、ニンニクエキス0.30%、マツエキス0.35%、フェノキシエタノール0.75%、EDTA−2Na0.75%、メチルパラベン0.75%、プロピルパラベン0.55%および残部精製水とする。
【0034】
なお、本実施形態にかかる毛髪改善剤の製造方法は、前記実施形態1と同様である。
【0035】
[評価試験]
【0036】
白髪が目立つ男性と女性とを合わせて20人について、毎日の朝1回だけ実施形態1にかかる毛髪改善剤を一旦、手や櫛等に付けて、該毛髪改善剤を白髪の生え際部分から毛先に向かって馴染ませるように適量塗布した。また、シャンプーによる洗髪は試験期間中も通常通り行ったが、別途、市販のトリートメントやコンディショナーの使用は行わなかった。これは本発明にかかる毛髪改善剤のコンディショニング効果を確認するためである。
【0037】
試験期間中は、雨や曇りの日もあって、太陽光が十分に照らない時があったが、どの処方者についても本発明にかかる毛髪改善剤の使用開始後数日で白髪が先ず薄い褐色に変化し、更にその後の使用によって、薄い褐色だった毛髪が濃い褐色となり、最終的には個人差はあるものの、大体、使用後5日〜7日程度で当初の白髪が自然な黒褐色の髪へと変化した。また、前述した通り、試験期間中は別途、市販のトリートメントやコンディショナーを使用しなかったが、処方者の毛髪は痛むことなく、むしろ処方者の総合的な評価として、毛髪改善剤の使用当初と比較して毛髪に滑らかさやしっとりとした感触が認められた。
【0038】
また、以上の試験の他に、太陽光が一切差し込まず、蛍光灯の光だけがあたる室内において、動物のヤクの白毛に毎日1回だけ実施形態1にかかる毛髪改善剤を塗布した。その結果、毛髪改善剤の使用後18日程度で当初の白毛が完全な黒褐色に変化した。したがって、本発明にかかる毛髪改善剤の染毛作用は、屋外は勿論、電灯による人工的な光の下でも得られることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明にかかる毛髪改善剤は、前述したように、使用にあたって従来のヘアダイのような種々の問題を伴わず、1日1回だけ白髪に塗布するだけで優れた染毛効果およびコンディショニング効果が得られるため、幅広い利用が期待できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
染毛剤として、硫酸銀とヘマティンが含まれている、毛髪改善剤。
【請求項2】
染毛剤として、更に硫酸第一鉄およびタマネギ根エキスが含まれている、請求項1記載の毛髪改善剤。
【請求項3】
更にコンディショニング剤が含まれている、請求項1または請求項2記載の毛髪改善剤。
【請求項4】
コンディショニング剤として、少なくとも植物エキスが用いられている、請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項記載の毛髪改善剤。
【請求項5】
植物エキスが、ローマカミツレエキス、オドリコソウエキス、ゴボウエキス、アルニカエキス、ローズマリーエキス、オランダカラシエキス、セイヨウキズタエキス、ニンニクエキスおよびマツエキスのうちの少なくとも一種以上を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項記載の毛髪改善剤。
【請求項6】
コンディショニング剤として、更にオリーブ油、スクワランおよびフェニルトリメチコンを含む、請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項記載の毛髪改善剤。
【請求項7】
更にブチレングリコール、グリセリン、ポリアクリルアミド、水添ポリイソブテン、ラウレス−7、フェノキシエタノール、EDTA−2Na、メチルパラベン、プロピルパラベンおよび水を含む、請求項6記載の毛髪改善剤。
【請求項8】
オリーブ油7.0%、スクワラン7.0%、ブチレングリコール7.0%、グリセリン3.5%、フェニルトリメチコン3.0%、タマネギ根エキス3.0%、ポリアクリルアミド2.4%、硫酸第一鉄1.0%、水添ポリイソブテン1.44%含まれ、水を除く残りの成分がそれぞれ1.0%以下含まれており、残部が水である請求項7記載の毛髪改善剤。
【請求項9】
真空乳化釜に、先ずオリーブ油、スクワラン、ブチレングリコール、グリセリン、フェニルトリメチコン、タマネギ根エキス、ポリアクリルアミド、硫酸第一鉄および水添ポリイソブテンのそれぞれを全量入れて、撹拌することにより各成分を均一に混合し、該混合物を更に撹拌しながら、水を全量加えることで該水に前記各成分を溶け込ませ、次にその溶液に残りの成分を均一に混合させることを特徴とする請求項8記載の毛髪改善剤の製造方法。
【請求項10】
真空乳化釜内で、それぞれの撹拌混合を常温で行うことを特徴とする、請求項9記載の毛髪改善剤の製造方法。

【公開番号】特開2008−303165(P2008−303165A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−150916(P2007−150916)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(507186702)
【Fターム(参考)】