説明

毛髪改質剤及びそれを含む毛髪のボリューム感を向上させる毛髪化粧料

【課題】 充分なボリューム感を毛髪等のケラチン質繊維に付与し、しかも持続性、感触の点でも優れた毛髪改質剤を提供する。
【解決手段】(A)一般式(1)
【化1】


[但し、上記式(1)において、Rは炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を表す。]
で示される両性界面活性剤と、
(B)一般式(2)
【化2】


[但し、上記式(2)において、Rは炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基]
で示されるアミノアルコールを含有し、A成分とB成分の配合重量比率が99:1〜80:20であることを特徴とする毛髪改質剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーマ、ブリーチ、ヘアカラー等の化学的処理で損傷し、弱体化した毛髪や生まれつき細い毛髪に、持続性のあるボリューム感を与え、かつ柔軟化し、よりしなやかなで柔らかい感触とさせることができる毛髪改質剤組成物及びそれを含む毛髪のボリューム感を向上させる毛髪化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
毛髪は、紫外線、遊離塩素等の生活環境や、ヘアケア、ヘアメイク等の人為行動により多くの損傷を受けている。損傷を受けた毛髪の洗髪では、シャンプー主成分である界面活性剤により毛髪の皮脂や毛髪構成蛋白質までが溶出し、毛髪が弱体化する事が知られている。
【0003】
また、近年コールドパーマ、ヘアカラー、ヘアブリーチ等の頻度が増え、薬剤による化学的処理も毛髪の構成蛋白質の溶出や構造変化を促進し、損傷に拍車をかけている。
このような弱体化した損傷毛や、生まれつき細く柔らかい毛髪は、ボリューム感がないためスタイリングしずらいという問題を有している。
【0004】
スタイリング性は、女性にとってはヘアメイク行動上特に重要な要素であり、毛髪にボリューム感を与える化粧料、化粧法は以前より開発され、報告されてきた。
【0005】
(1)アニオン界面活性剤と多価金属塩を組み合わせる方法(特許文献1)
(2)有機溶媒と芳香族化合物を組み合わせる方法(特許文献2)
(3)シリコーン類、ペプチド類、高分子等皮膜形成剤を用いる方法(例えば、特許文献3)
【0006】
これら従来技術のうち、(1)及び(2)は毛髪内部の補強を目指し、(3)は毛髪表面の補強を目指した技術である。
【0007】
一方、本発明に用いられる化合物に関しては、以下の様な性能があることが本発明者らによって明らかにされてきた。(特許文献4)
【0008】
すなわち、(i)他の界面活性剤との相溶性に優れること、(ii)他の界面活性剤を組み合わせることにより粘度構築が可能であること、(iii)特に硫黄含有アニオンとの特定の範囲の配合は希釈しても粘度が低下しない特殊なレオロジー性質を有すること、(iv)通常の洗浄力を有しているにも係わらず染色毛の色落ちが他の界面活性剤に比較して少ないこと、(v)遊離塩素を捕捉して、人体への遊離塩素の影響を軽減する、等の特性を有することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平06−172138号公報
【特許文献2】特許第2119260号公報
【特許文献3】特開昭60−112710号公報
【特許文献4】米国公開2007−0265181号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の毛髪改質効果を狙った化粧料に関して、(1)の方法は効果が出るまで時間がかかり、しかもその効果が十分で無い、(2)の方法は比較的短時間で毛髪の弾性を改善し、この弾性は長期間保持できる特性があるが、配合上の制約があり要件薬剤を一度に多量に配合品に添加できない欠点があり、配合製剤が制限される。
【0011】
(3)の方法は、最も一般的に用いられている方法であるが、一度処理した後、洗髪することにより毛髪改善効果を失ってしまうという欠点がある。
【0012】
従って、充分なボリューム感を毛髪等のケラチン質繊維に付与し、しかも持続性、感触の点でも優れた毛髪改質剤が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、特定の両性界面活性剤組成物と特定のアミノアルコールを特定の割合で含む毛髪改善剤を配合した毛髪化粧料を試作、モニター試験にかけていたところ、多数のモニターより毛髪にボリューム感が出てきたとの回答を得た。更に鋭意検討の結果、特定の両性界面活性剤組成物が毛髪の表面に付着するなどの毛髪増大効果を有すると同時に髪に柔軟性を与える効果があることを確認して本発明を完成させた。
【0014】
すなわち、本発明は、
(1) (A)一般式(1)
【0015】
【化1】

【0016】
[但し、上記式(1)において、Rは炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を表す。]
で示される両性界面活性剤と、
(B)一般式(2)
【0017】
【化2】

【0018】
[但し、上記式(2)において、R1は炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基]
で示されるアミノアルコールを含有し、A成分とB成分の配合重量比率が99:1〜80:20であることを特徴とする毛髪改質剤組成物。
【0019】
(2) (1)記載の毛髪改質剤組成物を含有することを特徴とする毛髪化粧料。
に関するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、パーマ、ブリーチ、ヘアカラー等の化学的処理で損傷し、弱体化して固くもろくなった毛髪や生まれつき細く柔らかい毛髪へボリューム感を与え、柔軟性を与え優れた手触り感を与える毛髪化粧料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例の帯電防止効果を示す毛束の写真である。写真は左からSAMPLE01、SAMPLE02、SAMPLE03、SAMPLE04の結果である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0023】
本発明の一般式(1)及び(2)で示される両性界面活性剤に関して詳細に説明する。
【0024】
一般式(1)で示される両性界面活性剤は、下記化学式に示すようにエポキシアルカンにアミンを反応させた後ハロカルボン酸によりベタイン化により得る方法によって得ることができる。
【0025】
【化3】

【0026】
[但しRは前定義に同じ]
一般式(1)で示される両性界面活性剤の好適例としては、N−(2−ヒドロキシドデシル)−N−ヒドロキシエチル−N−メチルグリシン、N−(2−ヒドロキシデシル)−N−ヒドロキシエチル−N−メチルグリシン、N−(2−ヒドロキシウンデシル)−N−ヒドロキシエチル−N−メチルグリシンが挙げられる。
一般式(2)の化合物は、モノクロル酢酸による4級化前の一般式(1)の原料でもあるが、本件発明では必須成分である。
【0027】
通常実施される製造方法(例えば製造例1、製造例2)によって一般式(1)のベタインを製造する場合、一般式(2)で示されるアミンが5〜10%未反応物として残る場合もあるが、その未反応物も含めて一般式(1)と一般式(2)の化合物の混合割合は99:1〜80:20であることが好ましい。
一般式(1)と一般式(2)の化合物の混合割合は99:1〜80:20に対して一般式(2)の化合物が多すぎる場合は、一般式(2)の化合物は水溶性に乏しいため低温安定性を損ねる為好ましくない。
【0028】
一般式(1)と一般式(2)の化合物の混合割合は99:1〜80:20に対して一般式(2)の化合物が少なすぎる場合は、ボリューム感付与効果が弱くなり好ましくない。
その他ベタイン化反応の副生物として無機塩、グリコール酸等を含有するが、これらはトッピング処理、電気透析処理、逆浸透膜処理により除去することがより好ましい。
【0029】
本発明の毛髪改質剤組成物を含む毛髪化粧料は、透明液状、ジェル状、クリーム状、乳液状、ムース状等の剤形から適宜選択することができ、シャンプー、リンス、トリートメント、コンディショナー、ヘアリキッド、育毛ローション等の形態とすることができる。
各剤形に対する本発明の毛髪改質剤組成物の添加量は、外相が親水性の場合0.5〜30重量%添加することが好ましく、外相が親油性の場合0.5〜10重量%の割合で配合することが好ましい。
【0030】
本発明の毛髪改質剤組成物の添加量が前述範囲より少ない場合は、発明の効果が出にくく好ましくなく、前述範囲を超えて多い場合、各種剤形の安定性に問題が出る場合があり好ましくない。いづれにしても本発明組成物は従来の毛髪改質剤に比較して高い配合量を実施することが出来、その応用範囲は広い。
【0031】
本発明の毛髪化粧料には、動物、植物、魚貝類、微生物由来の抽出物、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル類、シリコーン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、一般式(1)以外の両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、被膜剤、紫外線吸収剤、消炎剤、金属封鎖剤、低級アルコール、糖類、アミノ酸類、有機アミン類、合成樹脂エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料及び海洋深層水を必要に応じて1種乃至は2種以上用いてもよい。
【実施例】
【0032】
本発明の内容を実施例により更に詳細に説明する。
製造例1 一般式(2) N−2−ヒドロキシアルキル−N−2−ヒドロキシエチル−N−メチルアミン
2リットル4ツ口フラスコにN−Me−モノエタノールアミン504.0g(エポキシの1.05当量)を入れて80℃に昇温して、C12,14エポキシ(ダイセル製、AOEX24 DG−009)1256.8g(6.39mol)を3時間かけて滴下して、80℃で終夜攪拌した。ガスクロでエポキシ残がN.D.であることを確認して、80℃のまま真空ポンプで過剰のアミンを留去してN−2−ヒドロキシアルキル−N−2−ヒドロキシエチル−N−メチルアミン1735gを得た。
【0033】
製造例2 一般式(1) N−2−ヒドロキシアルキル−N−2−ヒドロキシエチル−N−メチルグリシン水溶液
次に、5リットル4ツ口フラスコにN−2−ヒドロキシアルキル−N−2−ヒドロキシエチル−N−メチルアミン810.1g(2.98mol)と水1961gを加えて70℃まで昇温した。モノクロル酢酸ナトリウムの80%水溶液(493.0g、アミンの1.4当量)と48% NaOH 400g(モノクロル酢酸の1.2当量)をpH=7〜8の範囲で2時間かけて滴下した。97℃に昇温してpH=7〜8の範囲で48% NaOH 40g(モノクロル酢酸の0.1当量)を適宜添加しながら17時間熟成した。室温に冷却後、水を加え、総重量3775gとしてN−2−ヒドロキシアルキル−N−2−ヒドロキシエチル−N−メチルグリシン水溶液を取り上げた。乾残=35.4%、NaCl=6.3%、有効成分(乾残−NaCl)=29.1%、グリコール酸=2.8%、HPLC(UV)からベタイン化収率=92% 従って8%の一般式(2)の残分があることになる。
製造例2の生成物のH1−NMR 重水中測定
0.9ppm 3H
1.3〜1.5ppm 20H
3.4ppm 3H
3.5〜4.3ppm 9H
【0034】
製造例3 脱塩N−2−ヒドロキシアルキル−N−2−ヒドロキシエチル−N−メチルグリシン水溶液
製造例2で試作したN−2−ヒドロキシアルキル−N−2−ヒドロキシエチル−N−メチルグリシン水溶液をRO膜処理してN−2−ヒドロキシアルキル−N−2−ヒドロキシエチル−N−メチルグリシン水溶液の濃度を同一として、塩分を1.5%に減じた。
【0035】
実施例1〜2、比較例1〜4
毛髪増大効果
製造例1〜3の化合物及び比較として、
ペリセア L-30 ジラウロイルグルタミン酸リシンNa (旭化成ケミカルズ社製)、
プロモイスEFLS (成和化成社製)
の市販されている毛髪改質剤に対して毛髪増大効果に関する実験を行った。
【0036】
電子顕微鏡で毛髪の太さを測定した。
ブリーチ毛束((株)ビューラックス製BR・3、長さ10cm、重さ1g)から直毛14本を選び、電子顕微鏡測定ステージに固定した。28箇所を測定し、イニシャル毛髪径を測定した。
下表の配合比率の毛髪処理剤を200g調整し、浸漬時間が5分になるようにステージごとディッビングし、ついで水道水1Lで1分間×2回すすいで、グロッケを真空ポンプで減圧して10分間乾燥した。電顕で28箇所を測定し、太さの変化量のトップとアンダーを4点ずつカットして、20点の測定値を統計処理した。
更に、累計浸漬時間が15分、30分となるように同一サンプルに連続浸漬を行い各種サンプルが毛髪の大きさにどのような変化をもたらすか検討した。イニシャルを100として増加した直径のパーセント表記である。
また本試験測定溶液に官能評価用の毛束を5分浸漬し、水道水流水中で2分間すすぎ、自然乾燥後の乾燥後手触り<毛髪表面感触>を評価した。評価は、5名のパネラーにより比較例2の処理毛を基準に官能評価で行なった。
【0037】
官能評価基準<毛髪表面感触>
感触が比較例2より優れていると感じる 3点
感触が比較例2と同等である 2点
感触が比較例2に劣る 1点
の評価基準において
基準点合計が12〜15点 ◎
基準点合計が9〜11点 ○
基準点合計が5〜8点 ×
で評価し表中に記載した
結果を表に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
最も毛髪直径を増大させたのは比較例4の化合物(製造例1)であるが、毛束浸漬後の官能評価では毛髪表面の手触りが悪く、髪がゴワつくという評価となった。毛髪表面への付着の均質性が悪く、髪質改善剤としては不十分な性能であることが判明した。その他の毛髪改質剤及びブランクである比較例2の毛束の手触りには差が見られなかった。
【0040】
毛髪直径の増加率は比較例4を除けば実施例1が最も優れており、短期間に優れた毛髪への吸着乃至は浸透が発生しているものと考えられる。即ち本件発明には一般式(1)で示されるベタインと一般式(2)で示されるアミンの両者が配合されている事が必要である。
【0041】
毛髪の弾性回復、柔軟化作用
本発明組成物が、毛髪増大効果に優れる事が判明したので、その増大効果により毛髪の力学パラメータがどのように変化するのかを純曲げ試験機(カトーテック株式会社製、KESFB2−S型)により計測した。
その折り曲げの際の応力[B値(gf・cm/cm)]を測定した。このB値は、毛髪の一方を固定し、等速で曲げたときの曲げ弾性を示す数値であって、数値が大きいほど毛髪が固い(より強いバネ)ことを示す。
まず、健常毛と強度のダメージ(ブリーチ)毛に関して折り曲げの応力を測定した。
【0042】
【表2】

【0043】
健常毛はブリーチ毛に比較して柔らかい数値を示している。この事実と引っ張り応力測定において、健常毛がブリーチ毛に対して破断応力が一般的に強いことを考えあわせれば、ブリーチ毛の内部構造には欠損等があり毛髪繊維の持つ柔軟性が失われより固い弾性を有するものと解釈される。
【0044】
ブリーチ毛を対して実施例1溶液に30分間浸漬し、2回すすぎ後20℃・湿度60%の恒温恒湿室で自然乾燥させた後折り曲げの応力を測定した。その結果ブリーチ毛を本発明組成物で処理すると弾性強度が減少してダメージ毛を柔らかくする方向に作用することが判明した。
更に以下の式を用いて、ブリーチ毛の粘弾性性質が本発明組成物によりどの程度健常毛に近づいたかを評価した。
【0045】
【数1】

【0046】
【表3】

【0047】
表3の結果より明らかなように、ブリーチ毛に対して実施例1の組成物を作用させることにより弾性を健常毛に近づけていることを意味する。この事は、本発明組成物がブリーチ毛の毛髪を太くすると同時に弾性性質を健常毛に近づけていることを意味する。通常の皮膜形成成分や油脂成分によりブリーチ毛を処理した場合は、毛髪を増大させる事はあるが、弾性性質は固くなる方向に作用するのに対して、本発明組成物は弾性性質を柔らかくする方向に作用する特徴がある。
【0048】
毛髪増大効果の維持実験 毛髪処理剤塗布後の洗浄による効果の維持性能の確認
本発明組成物の特徴として、一度毛髪に処理した後、再度シャンプーを実施しても毛髪改質剤の減量が極めて少ないことが、シャンプー後の毛髪径測定により明らかになった。
【0049】
ブリーチ毛束((株)ビューラックス製BR・3、長さ10cm、重さ1g)の毛束から直毛14本を選び、電顕測定ステージに固定した。28箇所を測定し、イニシャル毛髪径を測定した。
次にブリーチ毛束を実施例1の処理溶液に30分浸漬して、2回すすぎ後20℃・湿度60%の恒温恒湿室で自然乾燥してその毛束から直毛14本を選び、電顕測定ステージに固定した。28箇所を測定し、毛髪増大効果を測定した。
次に毛束をSLES5.0%(pH6.0)の簡易シャンプー溶液に30分浸漬して、2回すすぎ後20℃・湿度60%の恒温恒湿室で自然乾燥してその毛束から直毛14本を選び、電顕測定ステージに固定した。28箇所を測定しシャンプー耐性径を測定した。
【0050】
比較例として実施例1の処理液の変わりに塩化ラウリルトリメチルアンモニウム1%溶液を用いた以外は前述の手法を使用して、各種毛髪径を測定して、イニシャルを100として増加した直径のパーセント表記する。シャンプー行為により毛髪増大効果がどのように変化するかを確認した結果を以下に示す。
【0051】
【表4】

【0052】
塩化ラウリルトリメチルアンモニウム溶液も実施例1の処理液も4〜5%の毛髪増大効果を示すが、簡易シャンプー液処理により増大効果が減少していることが分かる。しかしながら実施例1の処理液の増大効果は負の数値になっていないので、本発明組成物乃至はそれを含有する頭髪化粧料を繰り返し使用することにより、毛髪増大効果は増加していく可能性がある。
【0053】
帯電防止効果
強度のダメージ(ブリーチ)毛を各種界面活性剤溶液(濃度 0.5%、pH 6)に6時間ディッピング後、すすいだ。乾燥後、樹脂製の櫛で5回ずつコーミングした。
図1に示す写真の結果となった。SAMPLE02以外はコーミングにより毛髪が帯電し毛先が広がっている様子が分かる。
【0054】
各毛束を官能評価にかけたところ本発明毛髪処理剤で処理した毛束の官能評価が最も優れており、毛束の官能評価においては、「やわらかい」「指滑りが良い」等の評価を得た。
【0055】
SAMPLE01 水洗のみ
SAMPLE02 本発明処理剤 実施例2使用
SAMPLE03 POEラウリルサルフェート
SAMPLE04 ココアミドベタイン
【0056】
即ち本件発明組成物は、毛髪増大効果を有し、特にダメージ毛に関してはその粘弾性を健常毛に回復する効果を有し、乾燥後帯電防止効果を与えブラッシングでの纏り性、に優れ表面感触を柔らかく指滑りの良いものに改善する。更に本発明組成物の効果は耐シャンプー性に優れるので、累積的に毛髪を本発明組成物により処理することで相乗的な改善効果が期待できることが実施例により判明した。
以下本発明組成物を配合した毛髪化粧料処方例を提示する。
【0057】
実施例3 本発明毛髪改質剤組成物を使用したパール状シャンプー
N−ラウロイルアラニンアルギニン塩 12.0
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン塩 4.0
ビスコセーフ(R) LMPE (注1) 3.5
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 1.0
製造例2の両性界面活性剤 6.0
カチオン化セルロース 0.1
カチオン化グァーガム 0.1
ポリオキシプロピレンヤシ油脂肪酸イソプロパノールアミド 3.0
ジステアリン酸エチレングリコール 2.0
クエン酸 pH6.5とする量
メチルパラベン 0.5
ピロクトンオラミン 0.3
グリチルリチン酸2K 0.3
EDTA 0.1
塩化ナトリウム 0.5
香料 0.3
精製水 to 100%
注1: 川研ファインケミカル社製
本シャンプーは一般式1の両性化合物と一般式2のアミンが91.3:8.7の割合で6.0%含有された処方組成物である。
【0058】
実施例4 本発明毛髪改質剤組成物を使用した透明シャンプー
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(3E.O.) 5.0
製造例1のアミン 1.0
製造例2の両性界面活性剤 10.0
ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン 1.0
ラウロイルサルコシンナトリウム 3.5
ラウロイルアミドアミンオキシド 1.0
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.2
ベヘニルアルコール 1.0
プロピレングリコール 3.0
ε−ポリリジン 0.5
ポリオキシエチレンベヘニルエーテル 0.1
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.1
香料 0.1
リンゴ酸 pH6.5とする量
精製水 to 100%
本シャンプーは一般式1の両性化合物と一般式2のアミンが80.4:19.6の割合で11.0%含有された処方組成物である。
【0059】
実施例5 本発明毛髪改質剤組成物を使用したヘアコンディショナー
A成分、B成分を別々に80度まで加熱してA成分にB成分を添加して乳化させ、60度まで冷却してC成分を配合する手順で作成した。
A 塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.00
A ポリオキシエチレン(2モル)オレイルエーテル 2.00
A グリセリンモノステアレート 1.00
A モノステアリン酸エチレングリコール 2.00
A スクワラン 1.00
A アスタキサンチン 0.01
A BHT 0.01
B メチルパラペン 0.10
B セリン 0.50
B ヒアルロン酸ナトリウム 0.50
B ポリオキシエチレン(60モル)硬化ヒマシ油 2.00
B 製造例1のアミン 0.50
B 製造例2の両性界面活性剤 5.00
C 香料 0.10
B 精製水 to 100%
本ヘアコンディショナーは一般式1の両性化合物と一般式2のアミンが80.4:19.6の割合で5.5%含有された処方組成物である。
【0060】
実施例6 本発明毛髪改質剤組成物を使用した育毛ローション
ミノキシジル 2.0
イソプロピルアルコール 50.0
エタノール 10.0
製造例1のアミン 0.5
製造例2の両性界面活性剤 5.0
ラウリン酸ジエタノールアミド 0.5
精製水 to 100%
本育毛ローションは一般式1の両性化合物と一般式2のアミンが80.4:19.6の割合で5.5%含有された処方組成物である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の毛髪改質剤組成物を含む毛髪用化粧料は、透明液状、ジェル状、クリーム状、乳液状、ムース状等の剤形から適宜選択することができ、シャンプー、リンス、トリートメント、コンディショナー、ヘアリキッド等の形態とすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一般式(1)
【化1】

[但し、上記式(1)において、Rは炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を表す。]
で示される両性界面活性剤と、
(B)一般式(2)
【化2】

[但し、上記式(2)において、Rは炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基]
で示されるアミノアルコールを含有し、A成分とB成分の配合重量比率が99:1〜80:20であることを特徴とする毛髪改質剤組成物。
【請求項2】
請求項1記載の毛髪改質剤組成物を含有することを特徴とする毛髪化粧料。

【図1】
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【公開番号】特開2011−37729(P2011−37729A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184241(P2009−184241)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(390003001)川研ファインケミカル株式会社 (48)
【Fターム(参考)】