説明

毛髪染色組成物

本発明は、酸化剤、カーボネートイオン供給源、アルカリ化剤、及び予め形成された染料を含み、pH9.5以下にて利用され、色の送達、強度及び鮮やかさを改良し、現在の染料及び染料前駆体系と適合性がある毛髪の酸化性染色及び酸化性脱色組成物に関する。更に、本発明の組成物は、又、低臭気を示し、現在利用されているアンモニア/過酸化物系に匹敵する高い色落ち及び明るさを送達し、一方で、過酸化物濃度を低減し、毛髪繊維損傷を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン性繊維を脱色及び染色(colouration)するための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ケラチン性繊維、特にヒトの毛髪の色を毛髪染料の塗布により永続的に変えることは周知である。消費者に所望の毛髪の色及び色の強度を提供するために、非常に複雑な化学的プロセスが使用される。永続的な毛髪の染色製剤は、通常毛髪の酸化性染料前駆体を含み、これは毛小皮を通して毛髪中及び毛皮質中に拡散し、次に互いに、及び適した酸化剤と反応して最終的な染料分子を形成することができる。結果として得られるこれらの分子がより大きいため、それらは水及び/又は洗剤によるその後の洗浄の間に毛髪から容易に拡散できず、そのため消費者の所望する色の永続性を送達する。この反応は典型的には、アルカリ化剤及び酸化剤の両存在下における、pHおよそ10の過激な環境において起こる。加えて、予め形成された染料は、色を送達するための方法としての酸化性毛髪染料前駆体の代わりとして又は酸化性毛髪染料前駆体類と組み合わせてのどちらか一方で用いることもできる。これら予め形成された染料は、しばしば強烈な有彩色であり、消費者にその望む鮮やかな色相を与える。更に、消費者は、該毛髪染色プロセスを、所望の毛髪色及び色相及び色の強度を維持するため並びに新しい発毛の被覆を包含する毛髪の連続的で均一な被覆を確実にするために定期的に繰り返す。
【0003】
このような製品の製造者は又、多数の制約内で作業することを必要とされる。これらの製品は消費者の皮膚に直接接触するように設置されるため、染色プロセス中、偶発的に(例えば)目に入ったり、若しくは口に入ったりする可能性が起こり得る。そのため、処方は厳格な安全基準を満たさなければならず、いかなるアレルギー反応も生じてはならない。これらの必要条件を満たすことに加えて、該製品は又、視覚的及び嗅覚的に消費者を満足させなければならない。特に、該製品は、消費者の衣服、特に毛髪の流れに沿った皮膚又は他の物体を不用意に汚すことなく、その製品が消費者によって容易に毛髪に塗布されることができ、所望の効果を提供できることを確実にするために、特定の物理的パラメータを満たす必要がある。
【0004】
製造業者は又、毛髪染色の消費者が、広範囲の異なった色を得るように要求される。消費者には、単に毛髪の天然の色を際立たせることを望む者もいるが、他に灰色を覆うこと又は毛髪色を完全に変えて、異なる自然に見える毛髪色又は人工のものに見える毛髪色にすることを望む者もいる。従って、製造業者は、色や色相が異なる20種類以上の異なる処方を提供して、消費者の一連の特定の要望に対応してよい。これらの配合物は、個々に処方されることが必要であり、通常、酸化性染料及び予め形成された染料を含む異なる染料化合物の混合物を含有する複雑な処方である。結果として、このような製品範囲の製造は、費用がかかり、複雑になる可能性がある。
【0005】
しかしながら、商業的毛髪染色製品は長年の間利用されてきたという事実にもかかわらず、該製品はなお消費者に関連する多くの欠陥を示している。通常、永続的毛髪染料製品は、アルカリ、典型的にはアンモニア供給源を含有する。これが毛髪を膨潤させる目的を果たし、これによって染料前駆体分子が毛髪内に入ることを可能にし、酸化剤(典型的には、過酸化水素)の明るくする効果も向上させる。しかし、アンモニアは又揮発性であり、特に、このような毛髪染料製品が鼻部に近いところで使用される場合、それに伴う臭気はこのような製品の消費者にとって非常に不快である。それ故、消費者が要求する明るさの程度及び色を提供するが、感知可能なアンモニア臭が低減又は除去された毛髪の酸化性染色及び/又は酸化性脱色組成物を提供することが極めて望ましい。
【0006】
実際、現在の毛髪染色製品の別の問題は、必要とされる毛髪色、特に要望される明るくする効果及び白髪の被覆(grey hair coverage)を送達する毛髪染色製品の提供である。染色される白髪の量は、消費者によって大幅に変化する。消費者が求める染色された毛髪の全体的外見の結果は、頭上の生来の有色素の毛髪及び白髪及び根元の新しい成長に対してほぼ同一となるべきであり、根元から先端までの均一な色付着とならなければならない。更に、最初の均一且つ色むらのない被覆が、染色後の洗浄及び乾燥サイクル中に維持されることも重要である。
【0007】
必要な明るさの程度を送達することは、消費者が要望するあらゆる種類の色相(特に、黄色及び金色の色調を必要とするブロンドの色相及び白髪の被覆)を提供するために、特に重要である。このような製品は、通常、要望される明るくする効果を送達するために、高濃度の酸化剤及びアンモニアの使用を必要とするするため、製造業者に特定の困難を課す。しかし、これらの製品内の高濃度のアンモニアの存在に伴う問題に加えて、本明細書中にて上述した如く、それらは、更に毛髪の状態に影響を与え、場合によっては頭皮に軽い皮膚刺激を引き起こす場合がある。特に、毛髪表面の親水性が染色プロセス中に増加し、これが染色中及び直後、その後の洗浄中及び次の染色塗布までの整髪サイクル中の毛髪の感覚認知及びその全体的な扱いやすさを変化させる。それ故、要望される明るさ及び/又は色を、不必要に毛髪を損傷することなく提供する、毛髪の酸化性染色及び/又は酸化性脱色組成物を提供することも極めて望ましい。
【0008】
色強度、鮮やかさ及び強度、通常予め形成された染料を伴う、改良された一連の染料を提供することも特に必要となる。しかし、予め形成された染料だけの使用では、消費者の毛髪色に依存する制限された塗布、例えば赤色の色相が暗褐色の毛髪上で観察し難いという問題をかかえることはない。従って、明るくする工程が必要である。しかし、予め形成された染料は通常の酸化剤系、特に明るいハイライト及びブロンドの色相を提供するために使用される過硫酸塩/過酸化物脱色剤を有する系内では、十分に安定していない。その結果、このような染料(利用される場合)を脱色工程の塗布後に送達しなければならないため、消費者にとってプロセスを長引かせ且つ複雑にする。更に、典型的酸化剤系に関連するあらゆる問題(例えば、悪臭や繊維損傷)も生じる。
【0009】
消費者にとって重要な別の性能領域は、要望する色を完全に顕色させるのに必要とされる時間である。特に、毛髪染料製品の塗布は依然として相対的に時間のかかる方法であり、乾燥及び再整髪(restyling)前に、最終色を顕色させ且つ製品を除去するためには、混合、塗布、放置のために消費者が1時間以上を費やす場合がある。現在の染色製品のほとんどは、最終色を完全に顕色させるために、消費者が製品を毛髪に塗布した段階でじっとしていなければならない時間として、最低でも少なくとも25分必要である。しかし、染料を素早く毛髪へと送達する予め形成された染料系も又、事前に明るくする工程が必要な場合には、時間がかかる。ほとんどの消費者にとって、毛髪染色プロセスは美しさのための定期的な行為の一部であるため、他の全ての条件(即ち、塗布の容易さ、少ない臭い、及び特に言うまでもなく、必要な毛髪の色を、大幅に変更し及び/又は得られる毛髪の色の色落ち度を希望する消費者に提供すること)を満足させつつ、毛髪を染める時間を短縮することが高度に望ましい。
【0010】
毛髪染色製品内で使用される、入手可能な多数の染料がある。しかし、消費者は特定の色の送達を要望するため、毛髪染色剤の製造業者によって提供される色の改善及び増大に対する要望は依然としてある。しかし、新規染料の開発は、費用と時間が非常にかかるため、新規染料の数は時間を経ても大幅に増加しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、消費者に、改良した色落ち及び明るさ、改良した色の送達、持ち上げ及び耐久性、並びに現在利用可能な染料に基づく改良された色及び色の種類を提供する毛髪染色剤を提供することが更に望ましい。
【0012】
以外にも、酸化剤、カーボネートイオン供給源、アルカリ化剤及び予め形成された染料を含む毛髪染色及び/又は脱色系(本明細書中、以下で定義する様に、9.5以下のpHにて利用される)が、根元から先端までの改良された均一な色送達と付着、求められる色落ち及び明るさを有する改良された強度(特に、ブロンドの色相について)、及び優れた白髪の被覆(grey coverage)を提供する毛髪染色及び脱色組成物を提供するということが判明している。更に、本発明の組成物は意外にも、臭いが少なく、現在利用されているアンモニア/過酸化物系に匹敵する高い色落ち及び明るさを送達する一方で、過酸化物濃度を低減し、毛髪繊維損傷を低減する。前記組成物は更に、より短い塗布時間を必要とし、且つ優れた洗浄堅牢度も送達する。
【0013】
上述の確認されている改善領域の少なくともいくつかに対処するために、多数の試みが文献に記載されている。例えば、カーボネートの使用が、次の毛髪染色技術に記載されている。しかし、これらの参考文献のいずれも、本発明にて特許請求される特徴を開示していない。
【0014】
欧州特許第435012号は、必要とする染色時間が短く、毛髪への損傷がほとんど無く、且つ染色後のカーボネートによる刺激臭が無く、臭いを発生しないアルカリ過酸化水素及び緩衝液を含む毛髪染色組成物について記載している。同様に、欧州特許第1106166号は、アンモニア、カーボネート(アンモニア塩以外)、遷移金属塩及びキレート剤を含有し、刺激臭を発せず、皮膚への刺激が少なく、毛髪色を短時間でより明るい色調に変えることができる毛髪染料組成物について記載している。PCT国際公開特許WO01/28508は、緩衝剤、pH調整剤又は毛髪膨潤剤を必要とせずに、臭いと毛髪損傷を低減させ、改善された染色及び脱色を提供する、酸化剤及び炭酸アンモニウム及び/又はカルバミン酸アンモニウムを含む毛髪染色処方について記載している。日本国特許第01206825号は、アンモニア、アンモニウム塩及びカーボネートを含む低刺激性毛髪染色組成物について記載している。米国特許第2004/0083557号は、良好な色落ち、及び低臭気性を提供するための、毛髪の酸化性染料前駆体、金属シアネート、アルカリ化剤及び酸化剤、好ましくは金属重炭酸塩を含む毛髪染色組成物について記載している。
【0015】
PCT国際公開特許WO 04/014328には、過酸化物酸化剤類、特定の酸化剤類、及び塩類を放出する少なくとも1つの水溶性炭酸塩を含む、より有効に色を供給し、前記組成物の塗布時間が2〜60分である、ワンステップ毛髪着色組成物類が記載されている。米国特許第2004/0098814号には、毛髪を多数の連続した短い処理に付する毛髪の永続的な着色方法が記載されており、そのために前記処理はシャンプー又はコンディショナー基材中の染料中間体、塩を放出する水溶性炭酸塩、及び水溶性アンモニウム塩を含んでいる。米国特許第2004/0098816号は、毛髪を規定の時間間隔がある多数の処理に付し、処理組成物がキレート剤と組み合わされた炭酸アンモニウムを含む、段階的永続的毛髪染色方法についても記載している。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、(i)少なくとも1つのペルオキシモノカーボネートイオン供給源、(ii)アルカリ化剤、好ましくはアンモニウムイオンの少なくとも1つの供給源、(iii)少なくとも1つの予め形成された染料を含む毛髪染色又は脱色組成物に関する(ここで、該組成物は、9.5以下のpHを有する)。
【0017】
本発明の別の観点では、本発明の組成物を塗布し、該組成物を毛髪上に2〜60分間放置し、引き続き該組成物を毛髪からすすぎ落とす工程を含む毛髪の酸化的染色又は酸化的脱色方法に関する。
【0018】
本発明の別の態様は、少なくとも2つの連続的な毛髪の酸化的染色又は酸化的脱色処理工程を含む連続的な毛髪の酸化的染色又は酸化的脱色方法で、ここで、各処理間の時間が1日〜60日であり、且つ各処理が、本発明の組成物を提供し、該組成物を毛髪に塗布し、該組成物を毛髪上に20分未満の時間保持し、引き続き、該組成物を毛髪からすすぎ落とす工程を含む方法に関する。
【0019】
本発明の更なる観点は、少なくとも1つの過酸化水素供給源を含む、個別包装された酸化用成分と、個別包装された染色成分であって、次を含むもの、カーボネートイオン、カルバメートイオン及び/又はヒドロカーボネートイオン、及びこれらの混合物の少なくとも1つの供給源、少なくとも1つのアルカリ化剤及び少なくとも1つの予め形成された染料、から成る、毛髪染色又は脱色用キットに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本明細書は、本発明を詳しく指摘し明確に請求する特許請求の範囲でまとめられるが、本発明は、以下の説明からより良く理解されるものと考えられる。
【0021】
本明細書中で用いる場合、処理される「毛髪」という用語は、「生体の」、即ち生きている体上にあるか、あるいは「非生体の」、即ちかつら、ヘアピース又は非生体性ケラチン性繊維のその他集合体である。哺乳類、好ましくはヒトの毛髪が好ましい。しかしながら、羊毛、毛皮及びその他のケラチン含有繊維は、本発明の組成物に適した基質である。
【0022】
特に記述されない限り、すべての百分率は、総組成物の重量によるものである。処理時に2つ以上の組成物が使用される場合、考慮される総重量は、特に指示がない限り、毛髪に同時に塗布される全組成物の総重量(即ち、「頭上に」ある重量)である。特に記載のない限り、すべての比率は重量比である。
【0023】
現在販売されている毛髪永続的染色製品は、通常、所望の毛髪色を消費者に提供するための、アルカリ化剤系、染料前駆体及び酸化剤の組み合わせを使用する。前記アルカリ化剤は、通常アンモニア又はモノエタノールアミンのようなアルカノールアミンであり、該酸化剤は、典型的には、過酸化水素又は固形の過酸化水素である。消費者に提供される最終毛髪色は、毛髪繊維内のメラニン色素の脱色のもと、及び染色色素発色団部分(直接染料として作用するか、毛髪繊維内の染料前駆体の酸化により形成される)の送達の結果の組み合わせである。
【0024】
このような系に最適なpHは、典型的には、約pH10.0である。この高いpHは、十分な濃度のペルヒドロキシアニオン(HOO−)を生成して、所望の脱色をメラニンに行うために必要である。pHが9.5を下回ると、本種の濃度は、加えた過酸化水素濃度(pKa=11.6)の0.01%未満であり、メラニン脱色量が劇的に低下し、従って所望の最終色を与えるには不十分となることが見出されている。
【0025】
しかしながら、本明細書中にて上述のように、高いpHを有する組成物は、消費者によってこれらの染色剤系について指摘された多くの欠点を引き起こす。特に、揮発性アンモニアの濃度は、高いpH(pH9.5より上)にて増加し、不快な臭気を増大させる。更に、ペルヒドロキシアニオン類を含む反応種は、毛髪繊維と反応し、明らかな繊維損傷をもたらす。本反応性の1つの帰結は、毛髪繊維の親水性が大幅に増大し、これにより、染色されていない毛髪と比較して毛髪を櫛で梳くために必要な力が増加する。更に、櫛で梳いている間及び整髪の間に作用するより大きな力によって、毛髪繊維の繊維損傷が増大する。
【0026】
意外にも、少なくとも1つのペルオキシモノカーボネートイオンの供給源(好ましくは過酸化水素供給源及びカーボネートイオン供給源からその場で形成される)、並びに少なくとも1つのアルカリ化剤供給源並びに本明細書中下記にて定義される予め形成された染料の組み合わせを含む毛髪染色及び脱色組成物が、pH9.5以下にて、臭気及び毛髪繊維への損傷を低減しつつ、現在利用可能な製品よりもより少ない時間で、所望の毛髪色の改良された結果(例えば、改良された鮮やかな色、改良された色送達、均一な色付着及び洗浄堅牢度)を送達できるいうことが現在判明している。
【0027】
理論に束縛されるものではないが、本発明において、メラニンの脱色を担う重要な種、即ちペルオキシモノカーボネートイオン(−OC(O)OOH)は、9.5より大きなpHにて分解し、酸素及び炭酸水素イオンを形成すると考えられている。7.5より小さなpHにて、該炭酸水素イオンは分解して、二酸化炭素及び水を形成する。pH9.0にて、メラニンの脱色及び最終色が、最適濃度にて観察される。このため、意外にも、本発明により色落ちが改善される、即ち、消費者が高度に所望する毛髪を明るくすることが可能となる。更に、9.5よりも低いpHを有する組成物は、不快なアンモニア臭を大幅に低減し、これが所望の明るさ及び色を心地よい化粧品類似の香りと共に送達する毛髪染色製品の形成を可能とするという利点を有する。加えて、該ペルオキシモノカーボネートイオンでは、9.0より低いpHにて、現在の染色系よりも繊維損傷がより少ない。特に、これはより良い毛髪繊維の外観、従って改良された毛髪の光沢及び色の外観を与える。更に、この系の低減された繊維損傷によって、根元から先端までの取り込み量の少なさ(特に、先端が物理的に(角皮が失われる等)又は化学的に重大な損傷を受けている)が、大幅に低減され、結果として色付着がより一層均一となる。更に、該カーボネート系の低減された繊維損傷により、送達される色の洗浄堅牢度も改善される。
【0028】
理論に束縛されるものではないが、特許請求される組成物は、それを相溶するカーボネート系内で使用することにより(予め形成された染料とは独立して使用されなければならない相溶しない水酸化アンモニウム/過酸化物系とは対照的に)、異なった色を送達すると考えられている。前記カーボネート系が、予め形成された染料を素早く送達することと組み合わせて毛髪をより高速に明るくでき、顕色時間を必要とせずに、消費者の毛髪に所望の最終色をより素早く送達する組成物になるとも考えられている。これは、前記組成物の塗布時間を大幅に低減できることを意味する。
【0029】
酸化剤
本発明の組成物はこのため、ペルオキシモノカーボネートイオン供給源を含む。これらのイオンは通常、過酸化水素の供給源とカーボネートイオン供給源との間の反応からその場で形成される。従って、本発明の組成物は、少なくとも1つの酸化剤供給源を含む組成物を含む、又はそれとの組み合わせで使用される。本明細書に用いるのに好ましい酸化剤は、水溶性過酸素酸化剤である。本明細書で定義される時、「水溶性」とは、標準状態で、少なくとも0.1g、好ましくは1g、より好ましくは10gの前記酸化剤が1リットルの脱イオン水に溶解され得ることを意味する。酸化剤は、初期可溶化及びメラニンの脱色(脱色)にとって有益であり、並びに毛幹中での酸化性染料前駆体の酸化(酸化染色)を促進する。
【0030】
本発明では、当該技術分野において既知のいずれの酸化剤も使用してよい。好ましい水溶性酸化剤は、水溶液中に過酸化水素を生じさせることができる無機過酸素物質である。水溶性過酸素酸化剤は当該技術分野において周知であり、過酸化水素、無機アルカリ金属過酸化物、例えば過ヨウ素酸ナトリウム及び過酸化ナトリウム、並びに有機過酸化物、例えば過酸化尿素、メラミン過酸化物、及び無機過水和物塩の脱色化合物、例えば過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過ケイ酸塩、過硫酸塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。これらの無機過水和物塩は、一水和物、四水和物などとして組み込まれてもよい。アルキル及びアリール過酸化物、並びに/又はペルオキシダーゼを用いてもよい。所望であれば、2つ以上のこうした酸化剤の混合物を用いることができる。酸化剤は、水溶液で、又は使用前に溶解される粉末として提供されてもよい。本発明の組成物内で使用するのに好ましいのは、過酸化水素、過カーボネート(酸化剤及びカーボネートイオンの両方の供給源を提供するために使用される)、過硫酸塩及びこれらの組み合わせである。
【0031】
本発明によると、組成物は、約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約1重量%〜約7重量%、最も好ましくは約2重量%〜約5重量%の酸化剤を含む。
【0032】
カーボネートイオン供給源
本発明によれば、前記組成物は従って、少なくともカーボネートイオン又はカルバメートイオン又は炭酸水素イオン又はこれらの任意の混合物の供給源も含む。これらのイオンのいかなる供給源を利用してもよい。本明細書に用いるのに好適な供給源としては、炭酸イオン、カルバミン酸イオン、及び炭酸水素イオンのナトリウム塩、カリウム塩、グアニジン塩、アルギニン塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、及びアンモニウム塩、並びにこれらの混合物、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸グアニジン、炭酸水素グアニジン、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、及びこれらの混合物が挙げられる。炭酸イオン及び酸化剤の双方の供給源を得るために、過炭酸塩を使用してもよい。炭酸イオン、カルバミン酸イオン、及び炭酸水素イオンの好ましい供給源は、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、カルバミン酸アンモニウム、及びこれらの混合物である。
【0033】
本発明の組成物は、約0.1重量%〜約15重量%、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約1重量%〜約8重量%のカーボネートイオンを含んでよい。好ましくは、存在する場合は、アンモニウムイオン及びカーボネートイオンは、前記組成物中に3:1〜1:10、好ましくは2:1〜1:5の重量比で存在する。 本発明の特に好ましい実施形態において、アンモニウムイオン及びカーボネートイオンの供給源は、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、ヒドロ炭酸アンモニウム又はこれらの混合物等の単一供給源によって提供される。
【0034】
アルカリ化剤供給源
本発明によると、組成物は更に、アルカリ化剤、好ましくはアンモニウムイオン及び/又はアンモニアの少なくとも1つの供給源を含む。アルカノールアミドのような当該技術分野において既知のいかなる剤、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1プロパノール、並びに2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール及びグアニジウム塩を用いてもよい。特に好ましいアルカリ化剤は、アンモニウムイオンの供給源をもたらすものである。いずれのアンモニウムイオン供給源も本明細書で用いるのに好適である。好ましい供給源としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、過炭酸塩、アンモニア、及びこれらの混合物が挙げられる。特に好ましいのは、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、アンモニア及びこれらの混合物である。
【0035】
本発明の組成物は、約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約0.5重量%〜約5重量%、最も好ましくは約1重量%〜約3重量%のアルカリ化剤、好ましくはアンモニウムイオンを含んでもよい。
【0036】
pH
本発明の組成物は、pH9.5以下のpHを有する。好ましくは、本発明の組成物は、約9.5〜約7.5、より好ましくは約9.5〜約8.4、最も好ましくは約9.4〜約8.5、更に一層好ましくは約9.0のpHを有する。
【0037】
好ましくは、本発明の組成物は、毛髪繊維への塗布に先だって、該組成物のpHが約9.5以下になるように調製される。しかしながら、本発明の別の実施形態では、前記組成物が毛髪繊維から除去されるまでの塗布中に、組成物のpHが9.5以下になるように処方されてもよい。好ましくは、前記組成物の毛髪への塗布時間の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも80%で、pHが約9.5以下である。より好ましくは、前記組成物のpHは、毛髪繊維への塗布の10分以内にて、好ましくは5分以内にて9.5以下である。
【0038】
前記組成物のpHは、メトラートレド社(Mettler Toledo)製MP220又はMP225pH装置(実験室用標準pH電極を装着)を使用して測定できる。前記装置は、毎回使用前に、較正用標準緩衝剤及び標準較正手順を使用して較正される。
【0039】
良好に色を明るくすること及び良好に色を形成することのためには、最終配合物が良好な緩衝能又は予備アルカリ度(系が酸の添加によって、それが無ければ引き起こされるpH変動に抵抗する力)を有するべきであることが知られている。該予備アルカリ度は、メトラー社(Mettler)製DL70自動滴定装置を使用し、0.1Nメタノール塩酸を、50mLのメタノール中に完全に混合させた0.7mLの染色剤生成物に添加して測定する。該電極は較正され、次に、pHの急激な変化によって引き起こされる最も鋭い終点に到達するために必要な酸の量を測定するために使用する。本方法を用いて、良好に色を明るくすること及び染色するために必要な予備アルカリ度は、0.1Nの、好ましくは0.4Nより大のエタノール塩酸が少なくとも0.2mLであることが判明している。適した緩衝系は、アンモニア/酢酸アンモニウム混合物、モノエタノールアミンピロリン酸四ナトリウム、イソプロパノールアミン、安息香酸を含む。
【0040】
染料
本発明によれば、前記組成物は少なくとも1つの予め形成された染料前駆体を含む。これらの化合物は、当技術分野において既知であり、且つ酸性染料、塩基性染料、分散染料及び反応染料を含む。代表的ではあるが完全ではない表を、(i)「色指数」(第3版、染め物師及びカラリスト協会(Society of Dyers & Colourists)(ブラッドフォード、ウェストヨークシャー州)・米国繊維科学者及びカラリスト協会(the American Association of Textile Chemists & Colourists)(リサーチ・トライアングル・パーク)、1971年) 並びに(ii)「国際化粧品成分辞典(International Cosmetic Ingredient Dictionary)」(第10版、2004年)に見ることができる。
【0041】
本明細書に用いるのに好適な染料としては、次のものが挙げられる。酸性染料の例:アシッドレッド27(C.I.16185)、アシッドレッド51(C.I.45430)、アシッドレッド18(C.I.16255)、アシッドレッド92(C.I.45410)、アシッドレッド94(C.I.45440)、アシッドレッド52(C.I.45100)、アシッドイエロー23(C.I.19140)、食用黄色3(C.I.15985)、食用緑色3(C.I.42053)、食用青色2(C.I.42090)、アシッドブルー74(C.I.73015)、顔料レッド57−1(C.I.15850)、アシッドレッド33(C.I.17200)、アシッドレッド87(C.I.45380)、アシッドオレンジ7(C.I.15510)、アシッドレッド95(C.I.45425)、アシッドイエロー73(C.I.45350)、アシッドイエロー3(C.I.47005)、アシッドグリーン25(C.I.61570)、ソルベントグリーン7(C.I.59040)、ソルベントバイオレット13、アシッドグリーン5(C.I.42095)、アシッドブルー5(C.I.42052)、アシッドブルー9(C.I.42090)、アシッドオレンジ24(C.I.20170)、アシッドバイオレット9(C.I.45190)、食用赤色6(C.I.16155)、アシッドレッド26(C.I.16150)、食用赤色1(C.I.14700)、アシッドレッド88(C.I.15620)、アシッドオレンジ20(C.I.14600)、アシッドイエロー40(C.I.18950)、アシッドイエロー1(C.I.10316)、アシッドイエロー36(C.I.13065)、アシッドイエロー11(C.I.18820)、アシッドグリーン1(C.I.10020)、アシッドグリーン3(C.I.42085)、アシッドバイオレット43(C.I.60730)、アシッドブラック1(C.I.20470)、アシッドブラック52(C.I.15711)、アシッドブルー1(C.I.42045)、アシッドブルー3(C.I.42051)、アシッドブルー62(C.I.62045)、アシッドブラウン13(C.I.10410)、アシッドグリーン50(C.I.44090)、アシッドオレンジ3(C.I.10385)、アシッドオレンジ6(C.I.14270)、アシッドレッド14(C.I.14720)、アシッドレッド35(C.I.18065)、アシッドレッド73(C.I.27290)、アシッドレッド184(C.I.15685)、及びブリリアントブラック1(C.I.28440)。
【0042】
塩基性染料の例としては、塩基性青7(C.I.42595)、塩基性青16(C.I.12210)、塩基性青22(C.I.61512)、塩基性青26(C.I.44045)、塩基性青99(C.I.56059)、塩基性青117、塩基性紫10(C.I.45170)、塩基性紫14(C.I.42515)、塩基性茶16(C.I.12250)、塩基性茶17(C.I.12251)、塩基性茶2(C.I.50240)、塩基性赤12(C.I.48070)、塩基性赤22(C.I.11055)、塩基性赤51、塩基性赤76(C.I.12245)、塩基性赤118(C.I.12251:1)、塩基性橙31、塩基性橙69、塩基性黄28(C.I.48054)、塩基性黄57(C.I.12719)、塩基性黄87、及び塩基性黒2(C.I.11825);四級窒素原子を芳香環骨格の側鎖中に含有する塩基性染料、例えば、日本特許公報(公告)第58−2204号及び日本特許出願(公開)第9−118832号に開示される染料、及び例えば、日本特許公表公報第10−502946号及び日本特許出願(公開)第10−182379号及び第11−349457号に開示される塩基性染料が挙げられる。
【0043】
酸性染料及び塩基性染料以外の直接染料の例としては、2−アミノ−3−ニトロフェノール、2−アミノ−4−ニトロフェノール、2−アミノ−5−ニトロフェノール、4−アミノ−3−ニトロフェノール、2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール、4−ヒドロキシプロピルアミノ−3−ニトロフェノール、3−ニトロ−p−ヒドロキシエチルアミノフェノール、2−ニトロ−p−フェニレンジアミン、4−ニトロ−o−フェニレンジアミン、4−ニトロ−m−フェニレンジアミン、6−ニトロ−o−トルイジン、6−ニトロ−p−トルイジン、ヒドロキシエチル−2−ニトロ−p−トルイジン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−ニトロ−p−フェニレンジアミン、2−クロロ−5−ニトロ−N−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、2−ニトロ−5−グリセリメチルアニリン、4−アミノ−2−ニトロフェニルアミン−2−カルボン酸、2−クロロ−6−エチルアミノ−4−ニトロフェノール、3−メチルアミノ−4−ニトロフェノキシエタノール、N−エチル−3−ニトロ−PABA、ピクラミン酸、2−ヒドロキシエチルピクラミン酸、4−ニトロフェニルアミノエチル尿素、ソルベント紫13(C.I.60725)、ソルベント黄44(C.I.56200)、分散赤17(C.I.11210)、分散紫1(C.I.61100)、分散紫4(C.I.61105)、分散黒9、分散青377、分散青23、分散青3(C.I.61505)、分散青7(C.I.62500)、HC紫1号、HC緑1号、HC青2号、HC青7号、HC青8号、HC青9号、HC青10号、HC青12号、HC青14号、HC橙1号、HC橙2号、HC橙3号、HC赤1号、HC赤3号、HC赤7号、HC赤8号、HC赤9号、HC赤10号、HC赤11号、HC赤13号、HC赤14号、HC赤16号、HC紫2号、HC黄2号、HC黄4号、HC黄5号、HC黄6号、HC黄7号、HC黄9号、HC黄10号、HC黄11号、HC黄12号、HC黄13号、HC黄14号、及びHC黄15号が挙げられる。
【0044】
本明細書に用いるのに好ましい予め形成された染料は、塩基性赤51、塩基性橙31、塩基性黄87、塩基性青99、塩基性茶16、塩基性赤76、塩基性黄57、塩基性茶17、塩基性赤118、塩基性橙69、HC赤3、HC青2、HC黄2、分散青377、アシッド紫43、ソルベント紫13、2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール及びこれらの混合物から選択してよい。
【0045】
本発明の組成物は、典型的には約0.01重量%〜10.0重量%、好ましくは約0.01重量%〜3.0重量%の前記の予め形成された染料を含む。
【0046】
追加成分
本発明の組成物としては、毛髪染色剤例えば、酸化性染料前駆体等、非酸化性染料、増粘剤、溶剤、酵素、界面活性剤、コンディショニング剤、担体、酸化防止剤、安定剤、キレート剤、パーマ用活性物質、香料、還元剤(チオ乳酸)、毛髪膨潤剤類及び/又はポリマー類を更に含む追加成分が挙げられるが、これらに限定するものではない。これら追加成分のいくつかについては、後で詳細に述べる。
【0047】
毛髪染料
本発明の毛髪染色組成物は、予め形成された染料に加えて追加の毛髪染料物質を含んでよい。こうした組成物は、多様な毛髪の色を毛髪に送達する酸化毛髪染料前駆体(一次中間体としても知られる)を含む。これらの小さい分子は酸化剤により活性化され、更なる分子と反応してより大きい染色錯体を毛幹中に形成する。前駆体は、単独で又は他の前駆体と組み合わせて用いることができ、1つ以上の前駆体を1つ以上のカップラーと組み合わせて用いることもできる。カップラー(色調整剤又は二次中間体としても知られる)は、一般に、活性化された前駆体類の存在下で色を形成できる無色の分子類であり、特定の色の効果を生成するため又は色を安定化させるために、他の前駆体類又はカップラー類と共に使用される。
【0048】
前駆体及びカップラーの選択は、所望の染色の色、色相及び強度により決定される。前駆体及びカップラーを、本明細書において、単一で又は組み合わせにより用いて、灰色がかったブロンド色から黒までの範囲の多様な色相を有する染料を提供することができる。
【0049】
これらの化合物は、当該技術分野において周知であり、芳香族ジアミン類、アミノフェノール類、芳香族ジオール類及びこれらの誘導体が挙げられる(酸化性染料前駆体の代表的ではあるが非包括的なリストは、「化粧品の科学及び技術(Cosmetic Science and Technology)」(サガリン(Sagarin)著、インターサイエンス(Interscience)、特別版、第2巻、308〜310頁)に見ることができる)。以下に述べる前駆体は、例示のためだけのものであり、本明細書の組成物及びプロセスを限定する目的でないことを理解すべきである。以下のものが挙げられる。
【0050】
1,7−ジヒドロキシナフタレン(1,7−ナフタレンジオール)、1,3−ジアミノベンゼン(m−フェニレンジアミン)、1−メチル−2,5−ジアミノベンゼン(トルエン−2,5−ジアミン)、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール)、1,3−ジヒドロキシ−4−クロロベンゼン、(4−クロロレゾルシノール)、1−ヒドロキシ−2−アミノベンゼン、(o−アミノフェノール)、1−ヒドロキシ−3−アミノベンゼン(m−アミノフェノール)、1−ヒドロキシ−4−アミノ−ベンゼン(p−アミノフェノール)、1−ヒドロキシナフタレン(1−ナフトール)、1,5−ジヒドロキシナフタレン(1,5−ナフタレンジオール)、2,7−ジヒドロキシナフタレン(2,7−ナフタレンジオール)、1−ヒドロキシ−2,4−ジアミノベンゼン(4−ジアミノフェノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン)、1−ヒドロキシ−4−メチルアミノベンゼン(p−メチルアミノフェノール)、6−ヒドロキシベンゾ−モルホリン(ヒドロキシベンゾモルホリン)、1−メチル−2−ヒドロキシ−4−アミノベンゼン(4−アミノ−2−ヒドロキシ−トルエン)、3,4−ジアミノ安息香酸(3,4−ジアミノ安息香酸)、1−メチル−2−ヒドロキシ−4−(2’−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン(2−メチル−5−ヒドロキシ−エチルアミノ−フェノール)、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン(1,2,4−トリヒドロキシベンゼン)、1−フェノール−3−メチルピラゾール−5−オン(フェニルメチルピラゾロン)、1−(2’−ヒドロキシエチルオキシ)−2,4−ジアミノベンゼン(2,4−ジアミノフェノキシ−エタノールHCL)、1−ヒドロキシ−3−アミノ−2,4−ジクロロベンゼン(3−アミノ−2,4−ジクロロ−フェノール)、1,3−ジヒドロキシ−2−メチルベンゼン(2−メチルレゾルシノール)、1−アミノ−4−ビス−(2’−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン(N,N−ビス(2−ヒドロキシ−エチル)−p−フェニレン−ジアミン、2,4,5,6−テトラアミノピリミジン(HC赤16)、1−ヒドロキシ−3−メチル−4−アミノベンゼン(4−アミノ−m−クレゾール)、1−ヒドロキシ−2−アミノ−5−メチルベンゼン(6−アミノ−m−クレゾール)、1,3−ビス−(2,4−ジアミノフェノキシ)プロパン(1,3−ビス−(2,4−ジアミノ−フェノキシ)−プロパン)、1−(2’−ヒドロキシエチル)−2,5−ジアミノベンゼン(ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミンサルフェート)、1−メトキシ−2−アミノ−4−(2’−ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼン(2−アミノ−4−ヒドロキシエチルアミノアニソール)、1−ヒドロキシ−2−メチル−5−アミノ−6−クロロベンゼン(5−アミノ−6−クロロ−o−クレゾール)、1−ヒドロキシ−2−アミノ−6−メチルベンゼン(6−アミノ−o−クレゾール)、1−(2’−ヒドロキシエチル)−アミノ−3,4−メチレンジオキシベンゼン(ヒドロキシエチル−3,4−メチレンジオキシ−アニリンHCl)、2,6−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルピリジン(2,6−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルピリジン)、3,5−ジアミノ−2,6−ジメトキシピリジン(2,6−ジメトキシ−3,5−ピリジンジアミン)、5,6−ジヒドロキシインドール(5,6−ジヒドロキシ−インドール)、4−アミノ−2−アミノメチルフェノール(2−アミノエチル−p−アミノ−フェノールHCl)、2,4−ジアミノ−5−メチルフェネトール(2,4−ジアミノ−5−メチル−フェネトールHCl)、2,4−ジアミノ−5−(2’−ヒドロキシエチルオキシ)トルエン(2,4−ジアミノ−5−メチルフェノキシエタノールHCl)、5−アミノ−4−クロロ−2−メチルフェノール(5−アミノ−4−クロロ−o−クレゾール)、4−アミノ−1−ヒドロキシ−2−(2’−ヒドロキシエチルアミノメチル)ベンゼン(ヒドロキシエチルアミノメチル−p−アミノフェノールHCl)、4−アミノ−1−ヒドロキシ−2−メトキシメチルベンゼン(2−メトキシメチル−p−アミノフェノールHCl)、1,3−ビス(N(2−ヒドロキシエチル)−N−(4−アミノ−フェニル)アミノ)−2−プロパノール(ヒドロキシプロピル−ビス−(N−ヒドロキシ−エチル−p−フェニレンジアミン)HCl)、6−ヒドロキシインドール(Hydorxyindole)(6−ヒドロキシ−インドール)、2,3−インドリンジオン(イサチン)、3−アミノ−2−メチルアミノ−6−メトキシピリジン(HC青7号)、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン−2,4−ジヒドロ−5,2−フェニル−3H−ピラゾール−3−オン、2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン(2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン)、5−アミノ−サリチル酸、1−メチル−2,6−ビス(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)ベンゼン(2,6−ヒドロキシエチルアミノ−トルエン)、4−ヒドロキシ−2,5,6−トリアミノピリミジン(2,5,6−トリアミノ−4−ピリミジノールサルフェート)、2,2’−[1,2−エタンジイル−ビス−(オキシ−2,1−エタンジイルオキシ)]−ビス−ベンゼン−1,4−ジアミン(PEG−3,2’,2’−DI−p−フェニレンジアミン)、5,6−ジヒドロキシインドリン(ジヒドロキシインドリン)、N,N−ジメチル−3−ウレイドアニリン(m−ジメチル−アミノ−フェニル尿素)、2,4−ジアミノ−5−フルオロトルエンサルフェート水和物(4−フルオロ−6−メチル−m−フェニレンジアミンサルフェート)及び1−アセトキシ−2−メチルナフタレン(1−ヒドロキシエチル(HYDROXYYETHYL)−4,5−ジアミノピラゾールサルフェート)。これらは、分子形態又は過酸化物適合性塩の形態で使用することができる。
【0051】
好ましい酸化性前駆体は、2−メチル−ベンゼン−1,4−ジアミン;ベンゼン−1,4−ジアミン;N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン;4−アミノ−フェノール;4−メチルアミノ−フェノール;4−アミノ−3−メチル−フェノール;1−ヒドロキシ−2,4−ジアミノベンゼン;2−アミノ−フェノール;2−アミノ−5−メチル−フェノール;2−アミノ−6−メチル−フェノール;1−メチル−1H−ピラゾール−4,5−ジアミン;1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾールサルフェート;2−(4,5−ジアミノ−1H−ピラゾール−1−イル)エタノール;
ベンゼン−1,3−ジオール;4−クロロベンゼン−1,3−ジオール;2−メチル−ベンゼン−1,3−ジオール;ベンゼン−1,3−ジアミン;3−アミノ−フェノール;5−アミノ−2−メチル−フェノール;1−メチル−2−ヒドロキシ−4−(2’−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン;4−メチル−2−フェニル−2,4−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン;2−アミノピリジン−3−オール;1−フェニル−3−メチルピラゾール−5−オン;1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン−2,4−ジヒドロ−5,2−フェニル−3H−ピラゾール−3−オン;及びこれらの混合物から選択されてよい。
【0052】
本発明の毛髪染料組成物は、一般的に、約0.001%〜約10%の染料を含む。例えば、低強度の染色、例えば自然な金髪から薄茶色の毛髪の色合いを提供する組成物は、一般に染色組成物の約0.001重量%〜約5重量%、好ましくは約0.1重量%〜約2重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約1重量%の前駆体及びカップラーを含む。より暗い色相、例えば茶色及び黒は、典型的には、0.001重量%〜約10重量%、好ましくは約0.05重量%〜約7重量%、より好ましくは約1重量%〜約5重量%の前駆体及びカップラーを含む。
【0053】
ラジカルスカベンジャー
本発明によると、前記組成物はラジカルスカベンジャー供給源を含んでよい。本明細書で使用する時、用語「ラジカルスカベンジャー」は、炭酸塩ラジカルと反応してその炭酸塩ラジカルを一連の速い反応によって、より反応性の低い種、即ち炭酸塩ラジカルスカベンジャーへと変換させることのできる種である。ラジカルスカベンジャー類としては、次の一般式に従う化合物が挙げられる:
(I): R1−Y−C(H)(R3)−R4−(C(H)(R5)−Y−R6n
式中、YはNR2、O、又はS、好ましくはNR2であり、nは0〜2であり、R4は一価又は二価であるとともに、(a)置換若しくは非置換の直鎖状若しくは分枝状のアルキル系、モノ不飽和若しくはポリ不飽和アルキル系、ヘテロアルキル系、脂肪族系、ヘテロ脂肪族系、又はヘテロオレフィン系、(b)置換若しくは非置換の単環式若しくは多環式脂肪族系、アリール系、又は複素環式系、あるいは(c)置換若しくは非置換のモノフルオロ、ポリフルオロ若しくはペルフルオロアルキル系から選択され、(a)、(b)、及び(c)の系は、1〜12個の炭素原子、並びにO、S、N、P、及びSiから選択される0〜5個のヘテロ原子を含み、R4はR3又はR5と結合して5、6、若しくは7員環を作り出すことができ、R1、R2、R3、R5、及びR6は一価であるとともに、上に示した(a)、(b)、及び(c)、又はHから独立して選択される。
【0054】
好ましくは、R4は、(a)置換若しくは非置換の直鎖状若しくは分枝状のアルキル系、ヘテロアルキル系、脂肪族系、ヘテロ脂肪族系、又はヘテロオレフィン系、(b)置換若しくは非置換の単環式若しくは多環式脂肪族系、アリール系、又は複素環式系、あるいは(c)置換若しくは非置換のモノフルオロ、ポリフルオロ若しくはペルフルオロアルキル系から選択され、より好ましくは、R4は、(a)置換若しくは非置換の直鎖状若しくは分枝状のアルキル系、ヘテロアルキル系、脂肪族系、又はヘテロ脂肪族系、(b)置換若しくは非置換のアリール系、又は複素環式系、あるいは(c)置換若しくは非置換のモノフルオロ、ポリフルオロ若しくはペルフルオロアルキル系から選択され、より好ましくは、置換若しくは非置換の直鎖状若しくは分枝状のアルキル系又はヘテロアルキル系から選択される。
【0055】
好ましくは、本明細書で上述した(a)、(b)、及び(c)のR4系は、1〜8個の炭素原子、好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜4個の炭素原子、及び0〜3個のへテロ原子、好ましくは0〜2個のへテロ原子、最も好ましくは0〜1個のへテロ原子を含む。前記系がへテロ原子を含む場合、前記系が1個のへテロ原子を含むのが好ましい。好ましいへテロ原子としては、O、S、及びNが挙げられ、より好ましいのはO及びNであり、最も好ましいのはOである。
【0056】
好ましくは、R1、R2、R3、R5、及びR6は、上記のR4について定義された系のいずれかから、及びHから独立して選択される。別の実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6基のいずれかは置換されている。好ましくは、置換基(類)は、(a)(i)置換若しくは非置換の直鎖状若しくは分枝状のアルキル系、モノ不飽和若しくはポリ不飽和アルキル系、ヘテロアルキル系、脂肪族系、ヘテロ脂肪族系、又はヘテロオレフィン系、(ii)置換若しくは非置換の単環式若しくは多環式脂肪族系、アリール系、又は複素環式系、あるいは(iii)置換若しくは非置換のモノフルオロ、ポリフルオロ若しくはペルフルオロアルキル系から成るC結合型の一価の置換基の群であって、前記(i)、(ii)、及び(iii)の系は、1〜10個の炭素原子、並びにO、S、N、P、及びSiから選択される0〜5個のヘテロ原子を含むC結合型の一価の置換基の群、(b)SA1、SCN、SO21、SO31、SSA1、SOA1、SO2NA12、SNA12、及びSONA12から成るS結合型の一価の置換基の群、(c)OA1、OCN及びONA12から成るO結合型の一価の置換基の群、(d)NA12、(NA123+、NC、NA1OA2、NA1SA2、NCO、NCS、NO2、N=NA1、N=NOA1、NA1CN、NA1NA23から成るN結合型の一価の置換基の群、(e)COOA1、CON3、CONA12、CONA1COA2、C(=NA1)NA12、CHO、CHS、CN、NC、及びXから成る一価の置換基の群、並びに(f)1〜12個の炭素原子及び0〜4個のヘテロ原子を含むモノフルオロ、ポリフルオロ若しくはペルフルオロアルキル系から成るフルオロアルキルの一価の置換基から成る群から選択される。
【0057】
上述の(b)〜(e)の群では、A1、A2及びA3は一価であり、(1)H、(2)置換若しくは非置換の直鎖状若しくは分枝状のアルキル系、モノ不飽和若しくはポリ不飽和アルキル系、ヘテロアルキル系、脂肪族系、ヘテロ脂肪族系、又はヘテロオレフィン系、(3)置換若しくは非置換の単環式若しくは多環式脂肪族系、アリール系、又は複素環式系、あるいは(4)置換若しくは非置換のモノフルオロ、ポリフルオロ若しくはペルフルオロアルキル系から独立して選択され、前記(2)、(3)、及び(4)の系は、1〜10個の炭素原子、並びにO、S、N、P、及びSiから選択される0〜5個のヘテロ原子を含み、XはF、Cl、Br及びIから成る群から選択されるハロゲンである。
【0058】
好ましくは、上記で定義したラジカルスカベンジャーは、窒素のプロトン化を防止するために、7を超えるpKaを有する。
【0059】
界面活性剤
本発明の組成物は、少なくとも約0.01%の界面活性剤を更に含んでよい。本明細書に用いるのに適した界面活性剤は、一般に、約8〜約30個の炭素原子の親油性の鎖長を有し、アニオン性、非イオン性、両性及びカチオン性界面活性剤、並びにこれらの混合物から選択されることができる。
【0060】
ポリマー
本発明の組成物は、所望により、少なくとも約0.01%のポリマーを更に含んでよい。前記ポリマーは、例えば結合ポリマー、架橋アクリル酸ホモポリマー、(メタ)クリル酸及び(C1〜C6)アルキルアクリレートの架橋コポリマー又はポリサッカライドから選択されることができる。下記に述べる様に、該ポリマーは、増粘剤として使用してもよく、更にコンディショニング剤として使用してもよい。該ポリマーは、一般に組成物の、約0.01重量%〜約20.0重量%、好ましくは約0.1重量%〜約5重量%の濃度で用いられる。
【0061】
コンディショニング剤
本発明の組成物は、コンディショニング剤を含む組成物を含んでもよく、又はそれとの組み合わせにおいて用いられてもよい。本明細書に用いるのに好適なコンディショニング剤は、シリコーン物質、アミノシリコーン類、脂肪族アルコール類、ポリマー樹脂類、ポリオールカルボン酸エステル類、カチオン性ポリマー類、カチオン性界面活性剤、不溶性の油及び油に由来する物質、並びにこれらの混合物から選択される。追加の物質としては、鉱油類及びその他の油類、例えばグリセリン及びソルビトールが挙げられる。特に有用なコンディショニング材料類は、カチオン性ポリマー類及びシリコーン類である。カチオン性ポリマー型のコンディショナーは、第一級、第二級、第三級及び第四級アミン基であって、ポリマー主鎖の一部を形成するか又はポリマー主鎖に直接結合する側鎖置換基に含まれる場合のあるアミン基から選択される少なくとも1つのアミン基の単位を含むものから選択することができる。
【0062】
シリコーンは、ポリアルキルシロキサン油、トリメチルシリル又はヒドロキシジメチルシロキサン末端基を含有する直鎖ポリジメチルシロキサン(polydiemthylsiloxane)油、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジメチルフェニルシロキサン又はポリジメチルジフェニルシロキサン油、シリコーン樹脂、その一般的構造中に、1つ又は多数の有機官能基(類)を有する有機官能シロキサン(同一又は異なり、該シロキサン鎖に直接結合している)又はこれらの混合物から選択されることができる。該有機官能基(類)は:ポリエチレンオキシ及び/又はポリプロプレンオキシ基、(ペル)フルオロ基、チオール基、置換又は非置換のアミノ基、カルボキシレート基、ヒドロキシル化された基、アルコキシル化された基、クオタニウムアンモニウム基、両性及びベタイン基、から選択される。該シリコーンは、ニート流体又は予め形成されたエマルションの形態のどちらか一方にて使用することができる。
【0063】
コンディショニング剤は、一般に組成物の約0.05重量%〜約20重量%、好ましくは約0.1重量%〜約15重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約10重量%、更により好ましくは約0.2重量%〜約2重量の濃度で用いられる。
【0064】
キレート剤
本発明によると、組成物はキレート化剤を含んでよい。キレート剤は、当該技術分野において周知であり、各々が金属イオンとキレートを形成できる分子又は異なった分子の混合物を指す。キレート剤は、当該技術分野において周知であり、その非包括的なリストは、AEマーテル(AE Martell)及びRMスミス(RM Smith)著、「臨界安定度定数(Critical Stability Constants)」(第1巻、プレナム出版(Plenum Press)(ニューヨーク&ロンドン(1974年))、並びにAEマーテル(AE Martell)及びRDハンコック(RD Hancock)著、「水溶液中の金属錯体(Metal Complexes in Aqueous Solution)」(プレナム出版(Plenum Press)(ニューヨーク&ロンドン)、1996年刊)に見出すことができ、両方共本明細書に参考として組み込まれる。
【0065】
本明細書に用いるのに適したキレート剤の例には、EDDS(エチレンジアミン二コハク酸)、カルボン酸(特に、アミノカルボン酸)、ホスホン酸(特に、アミノホスホン酸)及びポリリン酸(特に、直鎖ポリリン酸)、それらの塩及び誘導体が挙げられる。
【0066】
キレート剤は、本発明の組成物中に安定剤及び/又は防腐剤として組み込まれてもよい。加えて、キレート剤は、毛髪繊維の損傷について効果を提供し、従ってそれらは本発明の毛髪損傷の様相を更に改善するために使用されてもよいことが判明している。本発明のキレート化剤の濃度は、ジアミン−N,N’−ジポリ酸及びモノアミンモノアミド−N,N’−ジポリ酸キレート化剤(例えばEDDS)のような最も有効なキレート化剤を例として、約0.1%、好ましくは少なくとも約0.25%、より好ましくは約0.5%の低さであってもよい。より有効でないキレート剤は、キレート剤の有効性によって、より好ましくは、組成物の少なくとも約1重量%、更により好ましくは約2重量%を超える濃度で用いられる。約10重量%の高さの濃度を用いることもできるが、この濃度を超えると、著しい処方の問題が生じる場合がある。
【0067】
溶媒
本発明の組成物にて使用するのに適した適した溶剤としては、水、ブトキシジグリコール、プロピレングリコール、アルコール(変性)、エトキシジグリコール、イソプロピルアルコール、ヘキシレングリコール、ベンジルアルコール及びジプロピレングリコールが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0068】
最終的に、本発明の組成物は、水性組成物、粉末、ジェル又は水中油型エマルションなどの任意の通常形態にて提供される。本発明の組成物の好ましい形態は、耐塩性増粘剤又は水中油型エマルションを含む粘稠な溶液である。
【0069】
本明細書に記載される方法の実施例及び実施形態の使用は、単に例示することが目的であり、本発明の範囲から逸脱することなくその種々の変更又は変形が当業者に提示されることは理解される。
【0070】
酸化毛髪染料組成物は、別個の容器として個別包装された成分において、酸化性染料前駆体、及び好適なキャリア中のアルカリ化剤を含む染料成分(エマルションについては「染料クリーム」又は溶液については「染料液」とも呼ばれる)並びに;酸化剤を含む過酸化水素成分(同様にエマルションについては「過酸化水素クリーム」又は溶液については「過酸化水素液」とも呼ばれる)を含むキットにおいて通常販売される。本発明によれば、前記の予め形成された染料は、染料成分内に含まれていてよく、又はあるいは、別個の予め形成された染料成分内に含まれていてよい。消費者は、染料成分(類)及び過酸化水素成分を、使用直前に共に混合し、それを毛髪上へ塗布する。本明細書において後述する表に示す処方例を使って、これらの得られた混合物を説明する。
【0071】
(毛髪すべてへの均一な塗布を保証するため)数分間混合物を処理した後、染色が起きるために十分な量で酸化性染料又は脱色組成物を(通常、約2〜60分、好ましくは約30〜45分)毛髪上に残留させる。次に、消費者は、彼/彼女の毛髪を水道水で完全にすすいで、乾燥させる。毛髪が元の色から所望する色に変化したことを確認できる。
【0072】
酸化性染料組成物及び酸化性脱色組成物中に存在する時、任意のコンディショニング剤が第3の容器において提供され得る。後者の場合、すべての3つの組成物は使用直前に混合され共に塗布されることができるか、又は第3の容器中の内容物は、他の容器の混合の結果として得られる酸化性染料組成物又は酸化性脱色組成物の直後の後処置として、(任意のすすぎ工程の後に)塗布され得る。
【0073】
本発明は、各種のパッケージ用及び小出し用器具にて実施されてもよい。これら分与装置類は、独立して又は互いに組み合わせて使用されてよい別個の装置類の形態で供給することができる。典型的に、毛髪着色又は脱色組成物類は、別々の単一又は複数の区分の容器類の中に収容されているので、前記組成物は使用前に互いに別個に貯蔵することができる。前記組成物は、次に、混合手段によって共に混合され、塗布手段によって消費者の毛髪に塗布される。
【0074】
本発明で使用することが可能である最も一般的なパッケージング用器具は、顕色剤を、ボトル、チューブ、エアゾール、又は袋のような容器内に保存すること、及び染料ローションを顕色剤容器内の追加の区画内に、又は同一であることができる別個の容器(例えば、2つの部分からなる小袋又はエアゾールシステム)又はボトル及びチューブシステムのような異なる別個の容器内に個別に保存することを含む。
【0075】
消費者は、顕色剤ローション及び染料ローションを任意の手段にて混合してよい。これには、単純に混合用ボウルを使用して、その中へローションを分配し、好ましくは器具などの混合手段を用いて混合することが含まれる。あるいは、他のローションの容器内へローションの1つを追加して(典型的には、染料ローションは顕色剤ローションへ追加される)、次に手で振って混合するか、又は器具を使って混合してもよい。別のシステムは、単独の容器又は袋内の染料及び顕色剤ローションの分離隔室間にあるシールの穿孔又は変位と、続いて容器内又は別個及び/又は追加の容器内にて手動で混合することも含む。
【0076】
このような器具の一例は、いわゆる「ツイスト・アンド・ゴー(twist and go)」器具である。これらの器具によって、消費者は、染料を含む容器の底をひねって、連結部分を開き、染料を含むボトルの底と顕色剤を含むボトルの最上部を接触させることができる。2つの成分は混合され、消費者は分配用のボトルの可撓性最上部を絞って、製品を分配する。
【0077】
あるいは、ローションが分配の動きによって混合される、より複雑な器具を利用してもよい。このような複雑なシステムの例は、2つの部分からなるエアゾールシステム例えば、缶入りの袋(bag-in-can)又はピストンである。染料及び顕色剤は、1個の器具の中にある2個のエアゾール缶に別々に保管され、噴射剤を使って缶又は缶の中のバッグ又はピストン内の内容物に圧力を加え、バルブが分配をコントロールする。消費者がバルブを動かすと、染料及び顕色剤が同時に缶から分配され、製品を毛髪上に分配する直前に静的ミキサーによって共に混合される。染料対顕色剤の比は、製品の粘度、缶圧力、又はバルブを通る流路寸法の変更によって操作できる。更に、製品は泡にして、ムース状で送り出すことができる。
【0078】
このような複雑なシステムの別の実施例は、デュアルピストンスクリューシステムを利用する。染料及び顕色剤は、システム内の別個のピストンシリンダーシステムに保持され、消費者がボタンを作動させると、2個のスクリューが回転し、内部のデュアルピストンがシリンダー内の液体に圧力を加え、従って製品が混合ステーションに移動させられて、分配用ノズルから出る。染料対顕色剤の比は、包装容器の円筒直径によって操作できる。更に、混合を手助けするため、直列型静的ミキサーを使用することが可能であり、このようなシステムは完全に使い捨て又は完全に詰め替え可能であることができる。
【0079】
更に別のシステムは、1つ以上の手動ポンプを利用する。製品は、折り畳み可能な袋の中で予め混合してもよい。消費者がポンプを作動させると、ポンプ内の液体が分配される。手動で作動させたポンプが直立位置に戻ると、それは製品を折り畳み可能な袋から押し出す。あるいは、染料及び顕色剤ローションを毛髪に送達するために2個の袋及び2個のポンプを使用するデュアルシステムを取り付けることができる。あるいは、2個の袋に接続された単一ポンプが、ポンプ内に混合箇所を組み込むことによって、製品を送達することができる。他の実施例は、製品をポンプシステムに接続するために、剛性ボトル及びディップチューブを使用する。最終的に、ボトル内層がボトル外層から分離してボトル内容物を空にすることができる、層状に剥離するボトルを手動ポンプと組み合わせてを使用することが可能である。
典型的には、これらの複雑なシステムは、製品の配置とは独立して、製品を塗布できるという利点がある。
【0080】
本明細書中にて上述した器具は、毛髪上への製品塗布を手助けするための、製品送出及び/又は塗布用具と組み合わせて使用することもできる。又、これらの器具は、容器又は櫛やブラシのような別個のアプリケーター器具の1つにノズルが取り付けられているという非常に単純な性質のものであってもよい。このような櫛及びブラシは、素早く、むらのない被覆、又は根元/生え際のタッチアップ又はハイライト又はストリークにするかどうかといった特定の効果を達成するために、用いることができる。あるいは、容器又は容器の1つには、櫛を取り付けてもよく、又は分配用ノズルの代わりに櫛を取り付けてもよく、製品は中空の櫛の歯及び櫛の歯に設けられた分配用開口部を通って分配される。櫛の歯は、製品塗布及び特に根元から先端への均一性を向上させるため、櫛の歯に沿った単一又は複数の開口部と共に提供されてもよい。製品の分配は、例えば、層状剥離ボトル又は上述した任意のメカニズムによって容器に加えられた機械的圧力によって行うことができる。前記櫛は、例えば、塗布を更に容易にするために容器上に取り付けられてもよく、垂直に設置されてもよく(いわゆるバーティコーム(verticomb))又は消費者があらゆる領域に届くような角度で取り付けられてもよい。全ての器具は、消費者に毛髪への塗布のための一連の異なった用具を提供できるように、互いに交換可能になるように設計されてもよい。
【0081】
塗布するための器具は、特定の効果例えば、ハイライト、例えば、ハイライト用の櫛、ブラシ、及び用具並びにハイライト用キャップの手助けを実現するための器具も含んでよい。
【0082】
更なる器具の技術を、製品が毛髪内に浸透するのを手助けするために使用することができる。このような技術の例としては、加熱器具、紫外線器具及び超音波器具が挙げられる。
【0083】
使用方法
本発明の毛髪の酸化的染色又は酸化的脱色方法の1つによれば、これは消費者の毛髪に塗布した場合に9.5以上のpHを有する、又は前記組成物を毛髪に塗布する少なくとも50%の時間は9.5以下のpHを有する本発明の毛髪の酸化性染色組成物を塗布する工程を含む。あるいは、個々の組成物は、混合時又は消費者への塗布時に9.5以下のpHとなるような様々なpH度を有してもよい。
【0084】
本発明によれば、毛髪を染色又は脱色する方法は、(毛髪全体に満遍なく塗布するため)本発明の組成物を毛髪に塗布し、好ましくは該混合物を2〜3分間作用させる実施形態も含む。次に、色を発現させるために、約20分未満、好ましくは約15分未満、より好ましくは約5分から約10分、最も好ましくは約10分の時間、前記組成物を毛髪上に残留させる。その後、消費者は彼/彼女の毛髪を水で完全にすすいで、乾燥及び/又は毛髪を通常通り整髪する。
【0085】
本発明の更なる代替的実施形態によれば、毛髪の染色及び/又は脱色方法は、少なくとも2つの連続的な毛髪の酸化的染色又は酸化的脱色処理工程を含む、連続的な毛髪の酸化的染色又は酸化的脱色を行う方法であって、ここで各処理間の時間が1〜60日、好ましくは1〜40日、より好ましくは1〜28日、更により好ましくは1〜14日、最も好ましくは1〜7日である工程を含む。このような実施形態においては、頭上に組成物を保持するのは約20分未満の時間でもよく、好ましくは約10分未満、最も好ましくは約2分〜約5分である。
【0086】
以上に記載されたキットは、当該技術分野において周知であり、各容器内の組成物は、標準的手法のいずれか1つを使用して製造でき、これらには、a)「水中油型」プロセス、b)「転相」プロセス、及びc)「ワンポット(One-pot)」プロセスが挙げられる。
【0087】
例えば、「ワンポット(One-pot)」プロセスにおいては、ポリマー及びキレート剤が水に事前に溶かされ、脂肪質が追加され、次に組成物全体が約70〜80度まで加熱される。エマルションが次に続く場合には、冷却をコントロールし、所望によりせん断工程を施すことで、最終構造化生成物を形成する。ペルオキシモノカーボネートイオンの供給源、染料類及びアンモニアを提供する物質並びに所望により溶媒の追加、並びにpH調製によって、染料クリームの調製プロセスが完成する。
【0088】
アクリレートポリマー類を含む溶液の場合、これらは過酸化水素成分内へ配合される。グリコール溶媒及び脂肪成分は、染料成分内に配合される。組成物の使用前に染料及び過酸化水素成分が共に混合され、ポリマーのアクリル酸基がpH上昇と共に脱プロトン化され、高分子マイクロゲルが生成されると、構造化生成物が生成される。2元混合でゲルを形成する、これら毛髪染色用2元水性組成物の製造についての更なる詳細は、米国特許第5,376,146号(キャスパーソン(Casperson)ら)及び同第5,393,305号(コーエン(Cohen)ら)に見ることができる。
【0089】
本発明の組成物は、米国特許第6,156,076号(キャスパーソン(Casperson)ら)及び同6,106,578号(ジョーンズ(Jones))に記載されているように、ポリエーテルポリウレタンを増粘剤(例えば、アキュリン(Aculyn)(登録商標)46)として含む2元水性組成物として調合することもできる。
【実施例】
【0090】
次の例は、本発明の酸化性染色組成物及びその製造方法を示す。本明細書に記載される実施例及び実施形態は、単に例示することが目的であり、本発明の範囲から逸脱することなくその種々の変更又は変形が当業者に提示されることは理解される。
【0091】
【表1−1】

【0092】
【表1−2】

【0093】
【表2−1】

【0094】
【表2−2】

【0095】
【表3−1】

【0096】
【表3−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪染色又は脱色組成物であって、
(i)少なくとも1つのペルオキシモノカーボネートイオン供給源、
(ii)アルカリ化剤、好ましくはアンモニウムイオンの少なくとも1つの供給源、
(iii)少なくとも1つの予め形成された染料、
を含み、該組成物は9.5以下のpHを有する、組成物。
【請求項2】
前記ペルオキシモノカーボネートイオン供給源が、少なくとも1つの過酸化水素供給源と、カーボネートイオン、カルバメートイオン、及び/又は炭酸水素イオン、及びこれらの混合物の少なくとも1つの供給源とを含む、請求項1に記載の毛髪染色又は脱色組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つの予め形成された染料が、塩基性赤51、塩基性橙31、塩基性黄87、塩基性青99、塩基性茶16、塩基性赤76、塩基性黄57、塩基性茶17、塩基性赤118、塩基性橙69、HC赤3、HC青2、HC黄2、分散青377、酸性紫43、ソルベント紫13、2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール及びこれらの混合物から選択される、請求項1又は2に記載の毛髪染色又は脱色組成物。
【請求項4】
前記組成物が、7.5〜9.5のpHを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の毛髪染色組成物。
【請求項5】
前記組成物が、酸化性染料前駆体であって、好ましくは、
2−メチル−ベンゼン−1,4−ジアミン;ベンゼン−1,4−ジアミン;N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン;4−アミノ−フェノール;4−メチルアミノ−フェノール;4−アミノ−3−メチル−フェノール;1−ヒドロキシ−2,4−ジアミノベンゼン;2−アミノ−フェノール;2−アミノ−5−メチル−フェノール;2−アミノ−6−メチル−フェノール;1−メチル−1H−ピラゾール−4,5−ジアミン;1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾールサルフェート;2−(4,5−ジアミノ−1H−ピラゾール−1−イル)エタノール;ベンゼン−1,3−ジオール;4−クロロベンゼン−1,3−ジオール;2−メチル−ベンゼン−1,3−ジオール;ベンゼン−1,3−ジアミン;3−アミノ−フェノール;5−アミノ−2−メチル−フェノール;1−メチル−2−ヒドロキシ−4−(2’−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン;4−メチル−2−フェニル−2,4−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン;2−アミノピリジン−3−オール;1−フェニル−3−メチルピラゾール−5−オン;1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン−2,4−ジヒドロ−5,2−フェニル−3H−ピラゾール−3−オン;及びこれらの混合物から選択される酸化性染料前駆体を更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の毛髪染色又は脱色組成物。
【請求項6】
前記組成物が、
a.0.1重量%〜10重量%、好ましくは1重量%〜7重量%の過酸化水素、
b.0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%の前記アルカリ化剤、
c.0.1〜15重量%、好ましくは1重量%〜10重量%の、カーボネートイオン、カルバメートイオン、及び/又は炭酸水素イオンの前記少なくとも1つの供給源、
d.0.01重量%〜10.0重量%、好ましくは0.1重量%〜3重量%の前記少なくとも1つの予め形成された染料
を含む、請求項2に記載の毛髪染色又は脱色組成物。
【請求項7】
毛髪染色又は脱色用キットであって、
(i)少なくとも1つの過酸化水素供給源を含む、個別包装された酸化用成分、
(ii)個別包装された染色成分であって、次を含むもの
(a)カーボネートイオン、カルバメートイオン及び/又はヒドロカーボネートイオン、ペルオキシモノカーボネートイオン、及びこれらの混合物の少なくとも1つの供給源、
(b)少なくとも1つのアルカリ化剤、及び
(c)少なくとも1つの予め形成された染料、
から成る、キット。
【請求項8】
毛髪の酸化的染色又は酸化的脱色方法であって、少なくとも1つのペルオキシモノカーボネートイオン供給源と、少なくとも1つのアルカリ化剤と、少なくとも1つの予め形成された染料とを含む組成物を塗布する工程を含み、ここで、該組成物を毛髪に塗布し、毛髪上に保持する少なくとも50%の時間は、該組成物が9.5以下のpHを有する、方法。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物を塗布し、該組成物を毛髪上に2〜60分間放置し、及び引き続き、該組成物を毛髪からすすぎ落とす工程を含む、毛髪の酸化的染色又は酸化的脱色方法。
【請求項10】
前記組成物が、20分未満の時間毛髪上に保持される、請求項9に記載の毛髪の酸化的染色又は酸化的脱色方法。
【請求項11】
少なくとも2つの連続的な酸化的毛髪染色又は酸化的毛髪脱色処理工程を含む連続的な酸化的毛髪染色又は酸化的毛髪脱色の方法であって、ここで、各処理間の時間が1日〜60日であり、且つ各処理が、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物を提供し、該組成物を毛髪に塗布し、且つ該組成物を毛髪上に20分未満の時間保持し、引き続き該組成物を毛髪からすすぎ落とす工程を含む、方法。

【公表番号】特表2008−521833(P2008−521833A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543619(P2007−543619)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/043460
【国際公開番号】WO2006/060567
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】