説明

毛髪洗浄剤組成物

【課題】泡立ち及び洗い流し時のきしみを軽減し、且つヘアリンス及びヘアトリートメント剤の有効成分が毛髪に有効に吸着することにより、乾燥後(洗い上がり後)の毛髪の感触を向上させる毛髪洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、(A)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを0.5〜5質量%、(B)アニオン性界面活性剤を4〜15質量%、(C)アクリル酸及びメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムをモノマー単位として含む両性ポリマーを0.05〜0.2質量%、並びに(D)カチオン化セルロース誘導体を0.1〜1質量%を含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の界面活性剤及びポリマーを含有する毛髪洗浄剤組成物に関し、さらに詳しくは、泡立ち及び洗い流し時のきしみを減らし、かつ乾燥後(洗い上がり後)の毛髪の感触(例えば、柔らかさ)を向上できる毛髪洗浄剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ヘアシャンプーに配合される界面活性剤としてアニオン性界面活性剤が知られている。アニオン性界面活性剤は、毛髪の洗浄力及び泡立ち等を向上させる。しかしながら、アニオン性界面活性剤は、洗浄力が高いため、毛髪のすすぎ時にきしみが生じ、指通りが悪化するという問題があった。そこで、すすぎ時のきしみを改善する目的で水溶性ポリマー及び油性成分が配合される場合がある。しかしながら、それらの成分の含有量が多いと、シャンプーのすすぎ後に適用されるヘアリンス及びヘアトリートメント剤の有効成分の毛髪への吸着が妨げられるという問題があった。
【0003】
従来より、特許文献1に開示されるシャンプー組成物が知られている。かかるシャンプー組成物は、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種、ポリオキシエチレンアルキルジエーテル、並びにカチオン化ポリマー等を配合する。このシャンプー組成物は、洗髪時及び洗髪後の指通り等が良好で、シャンプー後に使用するヘアリンス及びヘアトリートメント剤の効果を発揮することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−29939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に開示されるシャンプー組成物は、泡立ちが不十分という問題があった。泡立ちを改善するために、ノニオン性界面活性剤を配合すると、洗浄力が強くなり、すすぎ時にきしみが生じ、指通りが悪くなるという弊害が生じる。一方、すすぎ時のきしみを改善する目的でポリマー等をさらに配合すると、上述したように、ヘアリンス及びヘアトリートメント剤の有効成分の毛髪への吸着性が阻害されるという問題が生ずる。
【0006】
本発明は、本発明者らの鋭意研究の結果、特定の界面活性剤及びポリマーを併用することにより、上記問題が解決されることを見出したことによりなされたものである。
本発明の目的は、泡立ち及び洗い流し時のきしみを軽減し、且つヘアリンス及びヘアトリートメント剤の有効成分が毛髪に有効に吸着することにより、乾燥後(洗い上がり後)の毛髪の感触を向上させる毛髪洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の毛髪洗浄剤組成物は、(A)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを0.5〜5質量%、(B)アニオン性界面活性剤を4〜15質量%、(C)アクリル酸及びメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムをモノマー単位として含む両性ポリマーを0.05〜0.2質量%、並びに(D)カチオン化セルロース誘導体を0.1〜1質量%を含有することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の毛髪洗浄剤組成物において、前記(C)両性ポリマーの含有量に対する前記(D)カチオン化セルロース誘導体の含有量の質量比は、1〜15であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の毛髪洗浄剤組成物において、更に、(E)ベタイン系両性界面活性剤を含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の毛髪洗浄剤組成物によれば、泡立ち及び洗い流し時のきしみを軽減し、且つヘアリンス及びヘアトリートメント剤の有効成分が毛髪に有効に吸着することにより、乾燥後(洗い上がり後)の毛髪の感触を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る毛髪洗浄剤組成物を具体化した実施形態について説明する。毛髪洗浄剤組成物は、(A)ポリオキシエチレン(以下、「POE」という)ソルビタン脂肪酸エステル、(B)アニオン性界面活性剤、(C)アクリル酸及びメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムをモノマー単位として含む両性ポリマー、並びに(D)カチオン化セルロース誘導体を含有し、好ましくは更に(E)ベタイン系両性界面活性剤を含有する。
【0012】
(A)POEソルビタン脂肪酸エステルは、非イオン性界面活性剤の一種であり、泡立ち及び洗髪時の指通りを向上させるために配合される。(A)POEソルビタン脂肪酸エステルの具体例としては、例えばソルボンT-20(東邦化学工業社製、モノラウリン酸POEソルビタン(20E.O))、ソルボンT-60(東邦化学工業社製、モノステアリン酸POEソルビタン)、ソルボンT-80(東邦化学工業社製、モノオレイン酸POEソルビタン(20E.O))、NIKKOL TL-10(日光ケミカルズ社製、POEヤシ油脂肪酸ソルビタン(20E.O))、NIKKOL TP-10EX(日光ケミカルズ社製、モノパルミチン酸POEソルビタン(20E.O))、NIK KOL TS-30V(日光ケミカルズ社製、トリステアリン酸POEソルビタン(20E.O))、NIKKOL TI-10V(日光ケミカルズ社製、イソステアリン酸POEソルビタン(20E.O))、NIKKOL TO-106V(日光ケミカルズ社製、モノオレイン酸POEソルビタン(6E.O))、NIKKOL TO-30V(日光ケミカルズ社製、トリオレイン酸POEソルビタン(20E.O))が挙げられる。これらの中で、NIKKOL TL-10(日光ケミカルズ社製、POEヤシ油脂肪酸ソルビタン(20E.O))が好ましい。
【0013】
毛髪洗浄剤組成物中における(A)POEソルビタン脂肪酸エステルの含有量は、0.5〜5質量%、好ましくは0.7〜3質量%、より好ましくは1〜1.5である。(A)POEソルビタン脂肪酸エステルの含有量が0.5質量%未満の場合、泡立ち及び洗髪時の指通りを向上させる効果が低下するおそれがある。また、泡質(泡のクリーミーさ)が悪化するおそれがある。一方、(A)POEソルビタン脂肪酸エステルの含有量が5質量%を超えると、泡立ち及び洗髪時の指通りを向上させる効果が低下するおそれがある。
【0014】
(B)アニオン性界面活性剤は、毛髪の洗浄力及び泡立ちを向上させるために配合される。(B)アニオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、硫酸エステル塩型のアニオン性界面活性剤、リン酸エステル塩型のアニオン性界面活性剤、スルホン酸塩型のアニオン性界面活性剤、及びカルボン酸塩型のアニオン性界面活性剤が挙げられる。硫酸エステル塩型のアニオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、1)ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、セチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩、2)POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム、POEラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリルエーテル硫酸アンモニウム、POEアルキルエーテル硫酸ナトリウム、POEアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン、POEアルキルエーテル硫酸ジエタノールアミン、POEアルキルエーテル硫酸アンモニウム等のアルキル及びPOEアルキルフェニルエーテル硫酸塩などのアルキルアリルエーテル硫酸エステル塩、3)硬化ヤシ油脂肪酸グリセリル硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル塩の硫酸エステル塩、4)高級脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、5)硫酸化ヒマシ油が挙げられる。
【0015】
リン酸エステル塩型のアニオン性界面活性剤の具体例としては、例えばラウリルリン酸、POEラウリルエーテルリン酸、POEオレイルエーテルリン酸、POEセチルエーテルリン酸、POEステアリルエーテルリン酸、POEアルキルエーテルリン酸、POEアルキルフェニルエーテルリン酸、及びそれらの塩(ナトリウム塩、トリエタノールアミン塩)が挙げられる。
【0016】
スルホン酸塩型のアニオン性界面活性剤の具体例としては、例えば1)テトラデセンスルホン酸塩等のα−オレフィンスルホン酸塩、2)高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、3)ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム等の高級脂肪酸アミドのスルホン酸塩、4)ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、5)スルホコハク酸ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、POEスルホコハク酸二ナトリウム、POEスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、スルホコハク酸POEラウロイルエタノールアミドエステル二ナトリウム、ウンデシレノイルアミドエチルスルホコハク酸二ナトリウム等のスルホコハク酸塩が挙げられる。
【0017】
カルボン酸塩型のアニオン性界面活性剤の具体例としては、例えばラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン塩、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ステアロイル−L−グルタミン酸二ナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸ナトリウム、ラウロイルアスパラギン酸ナトリウムなどのN−アシルアミノ酸塩、N−ラウロイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム、N−ラウロイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム等のN−アシル−N−アルキルアミノ酸塩、POEラウリルエーテル酢酸ナトリウムなどのエーテルカルボン酸塩、ヤシ油脂肪酸加水分解コラーゲンカリウムなどのN−アシルペプチド塩等が挙げられる。
【0018】
毛髪洗浄剤組成物中における(B)アニオン性界面活性剤の含有量は、4〜15質量%、好ましくは6〜13質量%、より好ましくは8〜12質量%である。(B)アニオン性界面活性剤の含有量が4質量%未満の場合、泡立ち及び洗浄力が低下する。また、毛髪洗浄剤組成物を構成する成分が分離するおそれがある。一方、(B)アニオン性界面活性剤の含有量が15質量%を超えると洗い流し時にきしみが生ずるおそれがある。
【0019】
(C)アクリル酸及びメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムをモノマー単位として含有する両性ポリマーは、洗髪時の指通り及び洗い上がり後の毛髪の感触を向上させるために配合する。(C)アクリル酸及びメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムをモノマー単位として含有する両性ポリマーの具体例としては、例えばアクリル酸/塩化メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム/アクリル酸メチル共重合体(ポリクオタニウム−47)、アクリル酸/塩化メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム/アクリルアミド共重合体(ポリクオタニウム−39)、アクリル酸/塩化メタクリルアミドプロピルトリメチル アンモニウム/アクリルアミド共重合体(ポリクオタニウム−53)、及びアクリル酸/塩化メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム共重合体(ポリクオタニウム−22)を挙げることができる。これらの中で、アクリル酸/塩化メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム/アクリル酸メチル共重合体(ポリクオタニウム−47)が好ましい。
【0020】
毛髪洗浄剤組成物中における上記(C)両性ポリマーの含有量は、0.05〜0.2質量%、好ましくは0.075〜0.175質量%、より好ましくは0.1〜0.15質量%である。上記(C)両性ポリマーの含有量が0.05質量%未満の場合、洗い流し時のきしみが増し、洗髪中の指通りが悪くなるとともに、泡立ちが低下するおそれがある。また、上記(C)両性ポリマーの含有量が0.2質量%を超えると泡立ちが低下するとともに、洗い上がり後のトリートメント成分の効果が十分に発揮されない。
【0021】
(D)カチオン化セルロース誘導体は、洗髪時及び洗い流し時の指通り、並びに洗い上がり後の毛髪の感触を向上させるために配合する。(D)カチオン化セルロース誘導体の具体例は、例えばヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド及びヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド共重合体が挙げられる。ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドの市販品としては、例えばポリマーJR−125(ユニオンカーバイド社製)、ポリマーJR−400(ユニオンカーバイド社製)、ポリマーLR−400(ユニオンカーバイド社製)、カチナールLC−100(東邦化学工業製)、カチナールHC−100(東邦化学工業製)、カチナールLC−200(東邦化学工業製)、及びカチナールHC−200(東邦化学工業製)が挙げられる。ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド共重合体の市販品としては、例えばセルコートL−200(ナショナルスターチ社製)及びセルコートH−60(ナショナルスターチ社製)が挙げられる。
【0022】
毛髪洗浄剤組成物中における(D)カチオン化セルロース誘導体の含有量は、0.1〜1質量%、好ましくは0.2〜0.8質量%、より好ましくは0.4〜0.6質量%である。(D)カチオン化セルロース誘導体の含有量が0.1質量%未満の場合、洗い流し時にきしみが生じるとともに、洗い上がり後のトリートメント成分の効果が十分に発揮されない。一方、(D)カチオン化セルロース誘導体の含有量が1質量%を超えると泡立ちが低下するとともに、洗い上がり後のトリートメント成分の効果が十分に発揮されない。
【0023】
(C)アクリル酸及びメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムをモノマー単位として含有する両性ポリマーの含有量に対する(D)カチオン化セルロース誘導体の含有量の質量比(質量比=(D)/(C))は、好ましくは1〜15、より好ましくは、3〜12である。質量比をかかる範囲内に規定することにより、泡立ち及び洗い上がり後のトリートメント成分の効果の発揮をより向上させることができる。
【0024】
(E)ベタイン系両性界面活性剤は、泡立ち及び洗い流し時の指通りをより向上させる。したがって、毛髪洗浄剤組成物は、好ましくは(E)ベタイン系両性界面活性剤を含有する。(E)ベタイン系両性界面活性剤の具体例は、例えば2−ウンデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ココアミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ココベタイン、及びヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインを挙げることができる。
【0025】
毛髪洗浄剤組成物中における(E)ベタイン系両性界面活性剤の含有量は、0.1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%である。(E)ベタイン系両性界面活性剤の含有量が0.1質量%未満の場合、泡立ち及び洗い流し時の指通りをより向上させる効果が十分に発揮されない。一方、(E)ベタイン系両性界面活性剤の含有量が10質量%を超えると洗い流し時にきしみが生ずるおそれがある。
【0026】
毛髪洗浄剤組成物は必要に応じて前述した成分以外の成分、例えば溶媒、上記以外の水溶性ポリマー(水溶性高分子化合物)、油性成分、多価アルコール、上記以外の界面活性剤、糖、防腐剤、キレート化剤、安定剤、pH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン、香料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、及び無機塩を含有してもよい。
【0027】
溶媒の具体例としては、例えば水及び有機溶媒が挙げられる。有機溶媒の具体例としては、例えばエタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、及びベンジルオキシエタノールが挙げられる。水溶性ポリマーの具体例としては、アニオン性ポリマー、上記以外のカチオン性ポリマー、上記以外の両性ポリマー、及び非イオン性ポリマーが挙げられる。カチオン性ポリマーの具体例としては、例えばポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム液、カチオン化グアーガム、及びキトサンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドが挙げられる。非イオン性の半合成ポリマーの具体例として、例えばヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。
【0028】
油性成分は、毛髪にうるおい感を付与する。そのため、毛髪洗浄剤組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内において油性成分を含有する。油性成分の具体例としては、例えば油脂、ロウ、高級アルコール、炭化水素、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル、及びシリコーンが挙げられる。
【0029】
油脂の具体例としては、例えばオリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、及び月見草油が挙げられる。ロウの具体例としては、例えばミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、及びラノリンが挙げられる。
【0030】
高級アルコールの具体例としては、例えばセチルアルコール(セタノール)、2−ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、デシルテトラデカノール、及びラノリンアルコールが挙げられる。
【0031】
炭化水素の具体例としては、例えばパラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、及びワセリンが挙げられる。高級脂肪酸の具体例としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、及びラノリン脂肪酸が挙げられる。アルキルグリセリルエーテルの具体例としては、例えばバチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、及びイソステアリルグリセリルエーテルが挙げられる。
【0032】
エステルの具体例としては、例えばアジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、10〜30の炭素数を有する脂肪酸からなるコレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジエトキシエチル、及び2−エチルヘキサン酸セチルが挙げられる。これらの油性成分の具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0033】
シリコーンの具体例としては、例えばジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン(ジメチコノール)、650〜10000の平均重合度を有する高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン(例えば、(PEG/PPG/ブチレン/ジメチコン)コポリマー)、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、及びフッ素変性シリコーンが挙げられる。これらのシリコーンのうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0034】
多価アルコールの具体例としては、例えばグリコール、及びグリセリンが挙げられる。グリコールの具体例としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、及び1,3−ブチレングリコールが挙げられる。グリセリンの具体例としては、例えばグリセリン、ジグリセリン、及びポリグリセリンが挙げられる。
【0035】
界面活性剤は、洗浄成分として配合されるほか、乳化剤又は各成分を可溶化させる可溶化剤として配合される。また、組成物の粘度を調整したり、粘度安定性を向上させる。界面活性剤の具体例としては、カチオン性界面活性剤、上記以外の両性界面活性剤、及び上記以外の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0036】
カチオン性界面活性剤の具体例としては、例えば塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、及びメチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウムが挙げられる。
【0037】
両性界面活性剤の具体例としては、例えばラウロアンホ酢酸ナトリウム及びココアンホ酢酸ナトリウムが挙げられる。
非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばエーテル型非イオン性界面活性剤、及びエステル型非イオン性界面活性剤が挙げられる。エーテル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばPOEセチルエーテル(セテス)、POEステアリルエーテル(ステアレス)、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル(オレス)、POEラウリルエーテル(ラウレス)、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル、及びPOEセチルステアリルジエーテルが挙げられる。
【0038】
エステル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばモノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、及びラウリン酸ポリグリセリルが挙げられる。これらの界面活性剤の具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0039】
糖の具体例としては、例えばソルビトール、マルトース、及びN−アセチルグルコサミンが挙げられる。防腐剤の具体例としては、例えばパラベン、メチルパラベン及び安息香酸ナトリウムが挙げられる。キレート化剤の具体例としては、例えばエデト酸(エチレンジアミン四酢酸(EDTA))及びその塩類、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類、並びにヒドロキシエタンジホスホン酸(エチドロン酸、HEDP)及びその塩類が挙げられる。
【0040】
安定剤の具体例としては、例えばフェナセチン、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、及びタンニン酸が挙げられる。pH調整剤の具体例としては、例えば乳酸、レブリン酸、グリコール酸、酒石酸、リンゴ酸、ピロリドンカルボン酸(PCA)、コハク酸、クエン酸、タウリン、グルタミン酸、及びアルギニンが挙げられる。酸化防止剤の具体例としては、例えばアスコルビン酸、及び亜硫酸塩が挙げられる。無機塩の具体例としては、例えば塩化ナトリウム、及び炭酸ナトリウムが挙げられる。
【0041】
毛髪洗浄剤組成物の剤型は特に限定されず、具体例として、例えば固体状、液状、ゲル状、フォーム状、及びクリーム状が挙げられる。剤型が固体状である場合、添加剤として、さらに分散剤、例えばステアリン酸金属塩、タルク、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、及びデンプンを配合してもよい。
【0042】
毛髪洗浄剤組成物の用途は、毛髪に適用されるものであれば特に限定されず、例えば洗髪剤(ヘアシャンプー)、ヘアトリートメント、ヘアコンディショナー、及びパーマネントウエーブ処理後、毛髪脱色・脱染処理後、又は染毛処理後に適用される各種後処理剤が挙げられる。
【0043】
特に、本実施形態の毛髪洗浄剤組成物は、ハイダメージ毛(ダメージの累積された毛髪、例えば染毛又は脱色処理を複数回繰り返し施された毛髪、熱・紫外線を繰り返し受けた毛髪、及びコーミング又はブラシングを繰り返し受けた毛髪)に対して適用した場合に優れた洗髪時又は洗い流し時の指通りの向上効果を発揮する。
【0044】
本実施形態に係る毛髪洗浄剤組成物は以下の利点を有する。
(1)本実施形態に係る毛髪洗浄剤組成物は、(A)POEソルビタン脂肪酸エステルを0.5〜5質量%、(B)アニオン性界面活性剤を4〜15質量%、(C)アクリル酸及びメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムをモノマー単位として含む両性ポリマーを0.05〜0.2質量%、並びに(D)カチオン化セルロース誘導体を0.1〜1質量%を含有する。したがって、泡立ち及び洗い流し時のきしみを軽減し、且つヘアリンス及びヘアトリートメント剤の有効成分が毛髪に有効に吸着することにより、乾燥後(洗い上がり後)の毛髪の感触(例えば柔らかさ)を向上させることができる。
【0045】
(2)好ましくは、(C)両性ポリマーの含有量に対する(D)カチオン化セルロース誘導体の含有量の質量比は、1〜15である。したがって、泡立ち及び洗い上がり後のトリートメント成分による効果をより向上させることができる。
【0046】
(3)好ましくは、更に、(E)ベタイン系両性界面活性剤を含有する。したがって、泡立ち及び洗い流し時の指通りをより向上させることができる。
(4)好ましくは、ハイダメージ毛用の処理剤として適用することができる。したがって、優れた洗髪時又は洗い流し時の指通りの向上効果を付与することができる。
【0047】
前記実施形態は以下のように変更されてもよい。
・前記実施形態の毛髪洗浄剤組成物は、各配合成分が分離されることにより、複数剤式に構成されてもよい。
【実施例】
【0048】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。
表1〜3に示す各成分を含有する、毛髪洗浄用組成物をそれぞれ調製した。表1〜3における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。次に、得られた各毛髪洗浄用組成物を、染毛又は脱色処理を複数回繰り返し施されたハイダメージ毛の女性20名の毛髪に適量塗布し、常法に従い、洗髪処理し、その後、毛髪を水で洗い流した。次に、リンス及びトリートメント剤による毛髪処理を各1回ずつ施し、毛髪を温風で乾燥した。
【0049】
洗髪処理時における泡立ちの良さ及び洗髪時の指通りについて下記に示す方法に従い評価を行った。また、洗い流し時における指通りについて下記に示す方法に従い評価を行った。乾燥処理後の毛髪について、洗い上がり後の毛髪の感触として下記に示す方法に従い評価を行った。各評価結果を表1〜3に示す。
【0050】
尚、表中「成分」欄における「A〜E」の表記は、本願請求項記載の各成分に対応する化合物を示す。表中「成分」欄における「a〜d」の表記は、本願請求項記載の対比化合物を示す。
【0051】
<泡立ちの良さの評価>
20名のパネラーのうち、泡立ちが良い(起泡性に優れる)と評価したパネラーの数が、17人以上の場合を「非常に優れる:5」とし、13〜16人の場合を「優れる:4」とし、9〜12人の場合を「良好:3」とし、5〜8人の場合を「やや不良:2」とし、4人以下の場合を「不良:1」として評価した。
【0052】
<洗髪時の指通り評価>
20名のパネラーのうち、洗髪時の指通りが良いと評価したパネラーの数が、17人以上の場合を「非常に優れる:5」とし、13〜16人の場合を「優れる:4」とし、9〜12人の場合を「良好:3」とし、5〜8人の場合を「やや不良:2」とし、4人以下の場合を「不良:1」として評価した。
【0053】
<洗い流し時の指通り評価>
20名のパネラーのうち、洗い流し時の指通りが良いと評価したパネラーの数が、17人以上の場合を「非常に優れる:5」とし、13〜16人の場合を「優れる:4」とし、9〜12人の場合を「良好:3」とし、5〜8人の場合を「やや不良:2」とし、4人以下の場合を「不良:1」として評価した。
【0054】
<洗い上がり後の毛髪の感触評価>
20名のパネラーのうち、洗い上がり後の毛髪の感触が良いと評価したパネラーの数が、17人以上の場合を「非常に優れる:5」とし、13〜16人の場合を「優れる:4」とし、9〜12人の場合を「良好:3」とし、5〜8人の場合を「やや不良:2」とし、4人以下の場合を「不良:1」として評価した。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
【表3】

表1,2に示すように、各実施例は、各項目において良好以上の評価が得られた。(C)両性ポリマーの含有量に対する(D)カチオン化セルロース誘導体の含有量の質量比が1以上の実施例19、21は、同質量比が1未満の実施例13と比べて洗い流し時の指通り及び洗い上がり後の毛髪の感触がより向上することが確認される。(C)両性ポリマーの含有量に対する(D)カチオン化セルロース誘導体の含有量の質量比が15以下の実施例20,22は、同質量比が15を超える実施例18と比べて洗い上がり後の毛髪の感触がより向上することが確認される。(E)ベタイン系両性界面活性剤をさらに含有する実施例23,28は、他の実施例に比べて、各項目における評価が高いことが分かった。
【0058】
一方、表3に示すように、(A)成分を含有しない比較例1及び(A)成分の代わりにPOE硬化ヒマシ油を使用する比較例13は、各実施例に対して、特に泡立ち及び洗髪時の指通りの評価が低いことが分かった。また、(B)成分を含有しない比較例2及び(B)成分の代わりに両性界面活性剤を使用する比較例14は、各実施例に対して、特に泡立ちの評価が低いことが分かった。また、(C)成分を含有しない比較例3及び(C)成分の代わりにヒドロキシエチルセルロースを使用する比較例15は、各実施例に対して、特に洗髪時の指通り及び洗い上がり後の毛髪の感触の評価が低いことが分かった。また、(D)成分を含有しない比較例4及び(D)成分の代わりにヒドロキシエチルセルロースを使用する比較例16は、各実施例に対して、特に洗い流し時の指通り及び洗い上がり後の毛髪の感触の評価が低いことが分かった。
【0059】
(A)成分の含有量が0.5質量%未満の比較例5は、各実施例に対して、特に泡立ちの評価が低いことが分かった。(A)成分の含有量が5質量%を超える比較例6は、各実施例に対して、特に洗髪時の指通りの評価が低いことが分かった。(B)成分の含有量が4質量%未満の比較例7は、各実施例に対して、特に泡立ちの評価が低いことが分かった。(B)成分の含有量が15質量%を超える比較例8は、各実施例に対して、特に洗い流し時の指通りの評価が低いことが分かった。(C)成分の含有量が0.05質量%未満の比較例9は、各実施例に対して、特に洗髪時の指通り、洗い流し時の指通り及び洗い上がり後の毛髪の感触の評価が低いことが分かった。(C)成分の含有量が0.2質量%を超える比較例10は、各実施例に対して、特に泡立ち及び洗い上がり後の毛髪の感触の評価が低いことが分かった。(D)成分の含有量が0.1質量%未満の比較例11は、各実施例に対して、特に洗い流し時の指通り及び洗い上がり後の毛髪の感触の評価が低いことが分かった。(D)成分の含有量が1質量%を超える比較例12は、各実施例に対して、特に泡立ち及び洗い上がり後の毛髪の感触の評価が低いことが分かった。
【0060】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。(イ)ハイダメージ毛に適用されることを特徴とする前記毛髪洗浄剤組成物の使用方法。(ロ)前記(E)ベタイン系両性界面活性剤は、0.1〜10質量%含有することを特徴とする前記毛髪洗浄剤組成物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを0.5〜5質量%、(B)アニオン性界面活性剤を4〜15質量%、(C)アクリル酸及びメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムをモノマー単位として含む両性ポリマーを0.05〜0.2質量%、並びに(D)カチオン化セルロース誘導体を0.1〜1質量%、を含有することを特徴とする毛髪洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記(C)両性ポリマーの含有量に対する前記(D)カチオン化セルロース誘導体の含有量の質量比は、1〜15であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項3】
更に、(E)ベタイン系両性界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の毛髪洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2012−246270(P2012−246270A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120764(P2011−120764)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】