説明

毛髪用組成物

【課題】ダメージヘアに対しても湿潤時から乾燥後まで良好な滑り性、柔軟性を付与することができる毛髪用組成物を提供する。
【解決手段】(A)下記一般式(1)


(式中、R、Rはそれぞれ独立して、ポリオキシエチレンで表される基であり、R〜Rはそれぞれ独立して上記一般式(2)で表される基、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基、Xは一価のアニオンを表す。)で表されるビスヒドロキシエーテルカチオン化合物を0.1〜10質量%、(B)芳香族アルコールを0.01〜10質量%および(C)高級アルコールを0.1〜20質量%含有する毛髪用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪用組成物に関し、更に詳しくはダメージヘアに対しても湿潤時から乾燥後まで良好な滑り性、柔軟性を付与することができ、特に乾燥後の滑り性、柔軟性に優れる毛髪用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪をシャンプー等で洗髪すると毛髪の汚れのみならず、毛髪表面を保護している油分も同時に除去されてしまい、毛髪の柔軟性が失われ、艶のないくし通りの悪い髪となり、毛髪の損傷、枝毛、切れ毛が発生し易くなる。そこで毛髪にコンディショニング効果(柔軟性、滑り性、サラサラ感、潤い感)を付与する目的で、カチオン界面活性剤である第4級アンモニウム塩を主成分とする毛髪用組成物で処理するが、乾燥後の滑り性、柔軟性、潤い感が十分でない場合があり、乾燥後の滑り性を向上させるためにシリコーン油等を配合する方法が知られている。しかしながら、シリコーン油等を配合する場合、配合量により系の安定性等に影響を及ぼすことがあり配合量の制約を受けることもある。
【0003】
そこで、第4級アンモニウム塩の代わりにビスアミドカチオンを配合し、毛髪のコンディショニング効果(滑り性、サラサラ感)に優れ、低刺激で生分解性が良好な毛髪用組成物(特許文献1)やビスカチオンを配合した毛髪用組成物(特許文献2)が提案されている。しかしながら、これらの提案では染毛剤やパーマ剤等の化学的損傷、洗髪後のドライヤーによる熱やブラッシング等の摩擦による物理的損傷により発生するダメージヘアに対して、十分満足のいく湿潤時から乾燥後までの良好な滑り性、柔軟性の付与、特に乾燥後の滑り性、柔軟性に優れる毛髪用組成物は得られていない。
【特許文献1】特開2003−113045号公報(1−7頁)
【特許文献2】特開2006−199636号公報(1−9頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダメージヘアは、毛髪表面が親水化している上、内部のタンパク質や脂質などが溶出しているため、十分なコンディショニング効果が得られる毛髪用組成物を得るのはこれまで以上に困難である。本発明は、ダメージヘアに対しても湿潤時から乾燥後まで良好な滑り性、柔軟性を付与することができる毛髪用組成物を開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、
(A)下記一般式(1)
【化1】

(式中、R、Rはそれぞれ独立して、下記一般式(2)
【化2】

(Rは直鎖又は分岐した炭素数6〜30のアルキル基、アルケニル基もしくはヒドロキシアルキル基、Aはエチレン基および/又はプロピレン基、nは0又は1以上の整数、mは1〜5の整数を表す。)
で表される基であり、R〜Rはそれぞれ独立して上記一般式(2)で表される基、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基、Xは一価のアニオンを表す。)
で表されるビスヒドロキシエーテルカチオン化合物を0.1〜10質量%、(B)芳香族アルコールを0.01〜10質量%および(C)高級アルコールを0.1〜20質量%含有することにより、上記要件を満たす毛髪用組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明によれば特定の(A)ビスヒドロキシエーテルカチオン化合物を0.1〜10質量%と(B)芳香族アルコールを0.01〜10質量%と(C)高級アルコールを0.1〜20質量%含有する毛髪用組成物が、ダメージヘアに対しても湿潤時から乾燥後まで良好な滑り性、柔軟性を付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明の毛髪用組成物について詳述する。
本発明に使用される前記(A)ビスヒドロキシエーテルカチオン化合物に係る上記一般式(1)において、R〜Rはそれぞれ独立して上記一般式(2)で表される基、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基であるが、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、特に好ましくはメチル基、エチル基である。Xは一価のアニオンであり、ハロゲン化イオン、硫酸メチルイオン等が挙げられ、特に塩化物イオンが好ましい。上記一般式(2)において、Rは直鎖又は分岐した炭素数6〜30、好ましくは炭素数12〜24、更に好ましくは炭素数14〜22のアルキル基、アルケニル基もしくはヒドロキシアルキル基である。Aはエチレン基および/又はプロピレン基であり、特に好ましくはエチレン基である。またnは0又は1以上の整数であり、好ましくは0〜50の整数、更に好ましくは0〜20の整数、最も好ましくは0〜5の整数である。mは1〜5の整数であり、1か2が特に好ましい。
【0008】
本発明に使用される(A)成分のビスヒドロキシエーテルカチオン化合物の製造方法としては特に限定はないが、具体的な例を以下に示す。なお、以下の製造例では中間体としてポリオキシアルキレンアルキルエーテルを使用しているが、前記一般式(2)におけるnが0の場合はこれに代えて高級アルコールを使用すればよい。
【0009】
<3級アミン化合物の合成>
まず、高級アルコール(1モル)に触媒として対高級アルコール0.5〜1%のKOHを加え、100〜130℃で脱水後、180℃まで昇温し3atmを維持しつつ、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド(1〜50モル)を導入し、目的のポリオキシアルキレン(以下POAと略す)アルキルエーテルが得られる。また、得られたPOAアルキルエーテルは減圧蒸留等で精製し用いることもできる。POAアルキルエーテルは他の方法でも製造でき、製造方法としては特に限定はない。
【0010】
次に、POAアルキルエーテル(1モル)とBFエーテル錯体(BF純分で対高級アルコール0.5%)を仕込み、常温〜90℃の範囲(融点がある場合は融点以上の温度)で撹拌しながらエピクロルヒドリン(1〜1.5モル)を1〜2時間かけて滴下し、更にそのままの温度で約5時間熟成を行い、1−クロロ−3−POAアルコキシ−2−ヒドロキシプロパンを得る。ここで、得られた1−クロロ−3−POAアルコキシ−2−ヒドロキシプロパンは、減圧蒸留等を行い精製することも出来る。
【0011】
続いて、1−クロロ−3−POAアルコキシ−2−ヒドロキシプロパン(1モル)と25%NaOH(1.5〜2モル)を仕込み50〜90℃で8時間熟成を行い、熟成後撹拌を止め2層分離し、水層をカット後必要で有れば更に温水で洗浄し、脱水して1,2−エポキシ−3−POAアルコキシプロパンを得る。ここで、得られた1,2−エポキシ−3−POAアルコキシプロパンは減圧蒸留等を行い精製することも出来る。
【0012】
この1,2−エポキシ−3−POAアルコキシプロパン(1〜2モル)にジアルキルアミン(1〜1.5モル)、或いはモノアルキルアミン(0.8〜1.0モル)のガス或いは水溶液を常温〜120℃で速やかに添加し、同温度で5時間〜20時間熟成する。またジアルキルアミンの代わりにジヒドロキシアルキルアミン(又はモノアルキルアミンの代わりにモノヒドロキシアルキルアミン)を用いて合成することもできる。本反応にはアセトン等のケトン類或いはエタノール、イソプロパノール等の低級アルコールなどの溶剤を用いても良い。更に、同温で過剰のジメチルアミン(或いはモノメチルアミン)及び溶剤、水を用いた場合はそれらを減圧留去し、目的の3級アミン化合物(N−(3−POAアルコキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジアルキルアミン或いはN,N−ビス−(3−POAアルコキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N−アルキルアミン)が得られる。ここで、得られた3級アミン化合物は減圧蒸留等で精製し用いることもできる。
【0013】
<3級アミン化合物の2量化>
次に、得られた前記3級アミン化合物(1モル)をアセトン等のケトン類或いはエタノール、イソプロパノール等の低級アルコールなどの溶剤或いは水混合液に溶解し、エピクロロヒドリン(0.5モル)を析出温度〜90℃で2〜5時間掛けて滴下し、同温のまま5〜10時間熟成する。これとは別にアセトン等のケトン類或いはエタノール、イソプロパノール等の低級アルコールなどの溶剤或いは水混合液中で、前記3級アミン化合物(0.5モル)の塩酸(0.5モル)塩を析出温度〜90℃で調整し、3級アミン化合物−エピクロロヒドリン反応系に同温のまま2〜5時間掛けて滴下し、同温のまま5〜10時間熟成し、目的とする(A)ビスヒドロキシエーテルカチオン化合物を製造することができる。3級アミン化合物の2量化には、1,3−ジクロロ−2−プロパノールを使用することもできる。
【0014】
(A)成分の毛髪用組成物中の配合量は0.1〜10質量%であるが、0.5〜8質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。(A)成分の配合量が0.1質量%を下回ると毛髪に十分なコンディショニング効果が得られず、10質量%を超えても効果が向上せず好ましくない。
【0015】
本発明に使用される(B)芳香族アルコールとしては、具体的にはフェノキシエタノール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、クレゾール、p-クロロ−m−キシレノール、フェネチルアルコール、フェネチルプロピルアルコール、p−tert−ブチルフェノール、カテコール、ヒドロキシキノン、フェニルエチルアルコール、レゾルシノール、フェノールなどが挙げられ、これらの中で、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノールが特に好適に用いられる。本発明ではこれらの芳香族アルコールの中から1種または2種以上を任意に用いることができる。
【0016】
(B)成分の毛髪用組成物中の配合量は0.01〜10質量%であるが、0.05〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。(B)成分の配合量が0.01質量%を下回ると、毛髪に十分なコンディショニング効果、配合品の防腐効果が十分に得られず、10質量%を超えても効果が向上せず好ましくない。
【0017】
本発明に使用される(C)高級アルコールとしては、具体的には、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、バチルアルコール、イソステアリルアルコール等が挙げられ、これらの中でもセトステアリルアルコール、ステアリルアルコールが特に好適に用いられる。本発明では、これらの高級アルコ−ルの中から1種又は2種以上を任意に用いることができる。
【0018】
(C)成分の毛髪用組成物中の配合量は、0.1〜20質量%であるが、3〜8質量%が好ましい。(C)成分の配合量が0.1質量%を下回ると期待される効果が不十分となり、また20質量%を超えても使用後の感触が悪くなり好ましくない。
【0019】
更に、本発明の毛髪用組成物には、(D)シリコーンおよび/又はシリコーン誘導体を配合することができる。具体的には、ジメチコン、ジメチコノール、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロペンタシロキサン等の環状ポリシロキサン、3次元網目構造を有するシリコーン樹脂、シリコーンゴム、アミノ変性シリコーン、脂肪酸変性ポリシロキサン、アルコール変性シリコーン、脂肪族変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等の変性シリコーン誘導体が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0020】
(D)成分の毛髪用組成物中の配合量は、優れたコンディショニング効果と安定性が得られる点で0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましい。
【0021】
更に、本発明の毛髪用組成物には、(E)多価アルコールを配合することができる。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン等が挙げられるが、特に限定されるものではない.
【0022】
(E)成分の毛髪用組成物全量中の配合量は、優れたコンディショニング効果が得られ、かつべとつきが生じない点で0.01〜10質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましい。
【0023】
更に、本発明の毛髪用組成物には、(F)下記一般式(3)で表される3級アミン化合物を配合することができる。
【化1】

(式中、R、Rの少なくとも一方/又は両方は、下記一般式(4)
【化2】

(Rは直鎖又は分岐した炭素数6〜30のアルキル基、アルケニル基もしくはヒドロキシアルキル基、Aはエチレン基および/又はプロピレン基、nは0又は1以上の整数、mは1〜5の整数を表す。)
で表される基であり、残りは炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基、Rは炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基を表す。)
【0024】
上記一般式(4)において、Rは直鎖又は分岐した炭素数6〜30、好ましくは炭素数12〜24、更に好ましくは炭素数14〜22のアルキル基、アルケニル基もしくはヒドロキシアルキル基であり、特にアルキル基が好ましい。Aはエチレン基および/又はプロピレン基であり、特に好ましくはエチレン基である。またnは0又は1以上の整数であり、好ましくは0〜50の整数、更に好ましくは0〜20の整数、最も好ましくは0〜5の整数である。mは1〜5の整数であり、1か2が特に好ましい。上記一般式(3)において、R、Rの残りは炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、特に好ましくはメチル基、エチル基である。Rは炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、特に好ましくはメチル基、エチル基である。
【0025】
(F)3級アミン化合物としては、(N−(3−POAアルコキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチルアミン或いはN,N−ビス−(3−POAアルコキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N−メチルアミン)又は(N−(3−アルコキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチルアミン或いはN,N−ビス−(3−アルコキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N−メチルアミン)が挙げられ、高級アルコールに必要に応じアルキレンオキサイドを付加し、更にエピハロヒドリンを反応させ、次にアルカリによりエポキシを閉環し、モノ(ジ)アルキルアミン又はモノ(ジ)ヒドロキシアルキルアミンと反応させて得られる3級アミン化合物の中から1種又は2種以上を任意に用いることができる。(F)3級アミン化合物は、前記(A)成分の製造中間体として得られるものであってもよい。
【0026】
(F)成分の毛髪用組成物中の配合量は優れたコンディショニング効果が得られる点で0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜5質量%がより好ましく、0.1〜3質量%が特に好ましい。
【0027】
更に、本発明の毛髪用組成物には、(G)無機酸及び/又は有機酸を配合することができる。具体的には、無機酸としては塩酸、硫酸、リン酸等が挙げられ、有機酸としては酢酸、乳酸、グリコール酸、クエン酸、グルタミン酸、リンゴ酸、コハク酸等が挙げられ、これらの中で乳酸、クエン酸が特に好適に用いられる。本発明ではこれらの無機酸/有機酸の中から1種または2種以上を任意に用いることができる。
【0028】
(G)成分の毛髪用組成物中の配合量は、(F)成分1モルに対して0.3〜5モル倍が好ましく、0.5モル〜3モル倍がより好ましい。本毛髪用組成物の感触、製品の安定性の点でpH2〜8、特に3〜6に調整されるのが好ましい。
【0029】
本発明は、以上の各成分を特定の配合組成で混合することによって製造される。その配合組成は、開発担当者が通常行っている配合試験によって決定することができる。
【0030】
本発明の毛髪用組成物には、さらに化粧料、医薬品などに通常使用される界面活性剤、薬効剤、抗炎症剤、殺菌剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、有機および無機粉体、粘度調整剤、色素などを必要に応じて配合することができる。また、発明の効果を損なわない範囲で固形油分、半固形油分を加えることができる。具体的には、化粧料などで通常使用されるものでよく、使用目的や要求機能などにより適宜選択され、例えば、流動パラフィン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素類、イソプロピルパルミテート、オクタン酸セチル、オレイン酸オレイル等のエステル油、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、トリオクタン酸グリセリル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤、ツバキ油、オリーブ油、アボガド油、ホホバ油等の動植物油脂類等、カチオン化セルロース、カチオン化グアガム、ジアリルジメチルアンモニウム系高分子等の陽イオン変性水溶性高分子類、香料などが挙げられる。
【0031】
本発明の毛髪用組成物は、毛髪に使用する任意の組成物に適用可能であり、シャンプー等の毛髪洗浄剤、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアスプレー、スタイリング剤等の毛髪処理剤等が挙げられ、使用形態も毛髪に塗布し全体になじませた後すすぎ流すものや、洗い流さないもの等いずれも含まれるが、本発明の毛髪用組成物は塗布後すすぎ流して使用するヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメントに特に好適である。
【実施例】
【0032】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、表1と表2に本明細書記載の方法で合成したビスヒドロキシエーテルカチオン化合物(ビスカチオン化合物と略す)1〜7、表3に3級アミン化合物1〜4を示し(表中Aがエチレン基の場合EO、プロピレン基の場合POと略号で示した)、比較に用いたビスカチオン化合物及びビスアミドカチオン化合物を表4に示した。また、実施例1〜10及び比較例1〜5に係るヘアリンス剤を常法により調製し、効果の測定を実施し、結果を表5〜7に示した。含有量は質量%である。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
【表3】

【0036】
【表4】

【0037】
本実施例中で用いた試験方法は下記の通りである。
【0038】
(柔軟性、滑り性と総合評価)
ブリーチ処理等施していない健康黒髪(健常毛)20g(長さ20cm)を束ねて、アニオン界面活性剤を主成分とする市販のシャンプーで洗浄した。続いて表5〜7に示す処方により調整したヘアリンス剤1.0gを均一に塗布し、30秒間40℃の流水ですすいだ。塗布時〜(すすぎ時)〜タオルドライまでの湿潤時の柔軟性、滑り性、並びに乾燥後の柔軟性、滑り性を10名の専門パネラーにて、官能的に比較し、下記基準で評価した。また、健康黒髪にブリーチ処理を30分行った損傷毛髪束(20g×20cm)についても同様の処理を施し、塗布時〜(すすぎ時)〜タオルドライまでの湿潤時の柔軟性、滑り性、並びに乾燥後の柔軟性、滑り性を10名の専門パネラーにて、同様の評価を行った。
◎:良いと答えた人が9人以上の場合
○:良いと答えた人が6〜8人の場合
△:良いと答えた人が3〜5人の場合
×:良いと答えた人が2人以下の場合
また総合評価については、官能評価の結果をポイント制(◎:3ポイント、○:2ポイント、△:1ポイント、×:0ポイント)にしてその合計より、下記基準で評価した。
◎:10ポイント以上
○:7〜9ポイント
△:4〜6ポイント
×:3ポイント以下
【0039】
【表5】

【0040】
【表6】

【0041】
【表7】

【0042】
実施例1〜10及び比較例1〜5より明らかなように、 本発明の毛髪用組成物は、毛髪に対して塗布からすすぎ、乾燥までの湿潤時並びに乾燥後の滑り性、柔軟性及び総合評価で、いずれも優れた性能を示した。
【0043】
また、本発明の毛髪用組成物は、毛髪のコンディショニング効果に優れ、ダメージヘアに対しても湿潤時から乾燥後まで良好な滑り性、柔軟性を与えることができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)
【化1】

(式中、R、Rはそれぞれ独立して、下記一般式(2)
【化2】

(Rは直鎖又は分岐した炭素数6〜30のアルキル基、アルケニル基もしくはヒドロキシアルキル基、Aはエチレン基および/又はプロピレン基、nは0又は1以上の整数、mは1〜5の整数を表す。)
で表される基であり、R〜Rはそれぞれ独立して上記一般式(2)で表される基、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基、Xは一価のアニオンを表す。)
で表されるビスヒドロキシエーテルカチオン化合物を0.1〜10質量%、(B)芳香族アルコールを0.01〜10質量%および(C)高級アルコールを0.1〜20質量%含有する毛髪用組成物。
【請求項2】
更に、(D)シリコーンおよび/又はシリコーン誘導体を0.1〜10質量%配合してなる請求項1記載の毛髪用組成物。
【請求項3】
更に、(E)多価アルコールを0.01〜10質量%を配合してなる請求項1又は2記載の毛髪用組成物。
【請求項4】
成分(B)の芳香族アルコールがフェノキシエタノール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノールから選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の毛髪用組成物。
【請求項5】
更に、(F)下記一般式(3)
【化1】

(式中、R、Rの少なくとも一方/又は両方は、下記一般式(4)
【化2】

(Rは直鎖又は分岐した炭素数6〜30のアルキル基、アルケニル基もしくはヒドロキシアルキル基、Aはエチレン基および/又はプロピレン基、nは0又は1以上の整数、mは1〜5の整数を表す。)
で表される基であり、残りは炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基、Rは炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基を表す。)
で表される3級アミン化合物を0.01〜10質量%配合してなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の毛髪用組成物。
【請求項6】
更に(G)無機酸及び/又は有機酸を含有し、pHが2〜8である請求項1〜5のいずれか1項に記載の毛髪用組成物。

【公開番号】特開2009−96742(P2009−96742A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268194(P2007−268194)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(000221797)東邦化学工業株式会社 (188)
【Fターム(参考)】