説明

毛髪着色組成物

【課題】過酸化物濃度、アンモニアの臭気を軽減し毛髪繊維の損傷を軽減した、毛髪着色組成物(高レベルのリフト及びライトニング、並びに所要の染料付着及び白髪の被覆)を提供する。
【解決手段】i)ペルオキシ一炭酸イオンの少なくとも1つの供給源、ii)少なくとも1つのアルカリ化剤、好ましくはアンモニウムイオンの供給源、及びiii)少なくとも1つのラジカルスカベンジャーを含む毛髪着色及び漂白組成物に関し、その際前記組成物は9.5までのpHを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン性繊維の漂白及び着色のための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ケラチン性繊維、特にヒトの毛髪の色を毛髪染料の適用により永続的に変えることは周知である。消費者に所望の毛髪の色及び色の強度を提供するためには、非常に複雑な化学的プロセスが使用される。永続的な毛髪染色製剤は典型的には酸化毛髪染料前駆体を含み、これは毛小皮を通して毛髪中及び毛皮質中に拡散することができ、そこで次に互いに好適な酸化剤と反応して最終的な染料分子を形成することができる。結果として得られるこれらの分子の大きさがより大きいため、それらは水及び/又は洗剤によるその後の洗浄の間に毛髪から容易に拡散できず;そのため消費者の所望する色の永続性を送達する。この反応は典型的には、アルカリ化剤の存在下及び酸化剤の存在下における、pHおよそ10の過激な環境において起こる。更に、消費者はこのプロセスを、所望の毛髪の色及び色相及び色の強度を維持するため、並びに新しい発毛の被覆を包含する毛髪の連続的で均一な被覆を確実にするために定期的に繰り返す。
【0003】
このような製品の製造者はまた、多数の制約内で機能することを要求されている。これらの製品は消費者の皮膚に直接接触するように置かれるため、偶発的に(例えば)目に入ったり、又は口に入ったりする可能性が存在し、これらは染色プロセス中に起こり得る。そのため、製剤は厳格な安全要求事項を満たさなければならず、いかなるアレルギー反応も生じさせてはならない。これらの要求事項を満たすことに加えて、製品はまた、視覚的及び嗅覚的に消費者を満足させなければならない。特に、製品はまた、消費者の衣服、皮膚、又は他の物を不用意に汚すことなく、その製品を消費者が容易に毛髪に適用でき、所望の効果を提供できることを確実にするために、特定の物理的パラメータを満たす必要もある。
【0004】
製造者はまた、毛髪を着色する消費者に、広い範囲の異なる結果の色を提供することを要求される。消費者は、毛髪の自然色を強化することだけを望む場合もあり、また一方では消費者は白髪を被覆すること又は毛髪の色を異なる自然に見える毛髪の色に若しくは「人工的」に見える毛髪の色に完全に変えることを望む場合もある。結果として製造者は、消費者の具体的な要求の範囲に対処するために、様々な色及び色相の20を超える異なる製剤を提供する場合がある。これらの製剤は個々に処方されることが必要であり、典型的には異なる染料化合物の混合物を含有する複雑な処方である。結果としてこのような製品範囲での製造は、費用が高く複雑になる可能性がある。
また一方、商業的毛髪染色製品は長年の間利用されてきたという事実にもかかわらず、その製品はなお消費者に関係する多くの欠陥を示している。
【0005】
典型的には、永続的毛髪染料製品はアルカリ、典型的にはアンモニアの供給源を含有する。これは、毛髪を膨張させ、染料前駆体分子の毛髪中への侵入を可能にする目的に役立ち、また典型的には過酸化水素である酸化剤のライトニング効果を改善する。しかしながら、アンモニアはまた揮発性であり、その関連する臭気はこうした製品の消費者にとって、特にこれらの毛髪染料製品が鼻の領域に近接して用いられる時には極めて不快である。そのため、消費者に所要のライトニングのレベル及び色を送達するが、検出可能なアンモニアの臭気が軽減された又は排除された酸化毛髪着色及び/又は漂白組成物を提供することは極めて望ましい。
【0006】
実際、現在の毛髪着色製品の別の欠陥領域は、所要の毛髪ライトニング効果を送達する毛髪着色製品を提供することである。ライトニングの所要のレベルを送達することは、消費者に要求される色相のすべての範囲を提供するために、特に金髪の色相及び白髪の被覆について提供するために特に重要である。こうした製品は、製造者に特別な困難を課すが、それは所要のライトニング効果を送達するために、それらが通常は酸化剤及びアンモニアの高濃度の使用を必要とするからである。しかしながら、本明細書の上記に論じたような、これらの製品中の高濃度のアンモニアの存在に関連する問題に加えて、これらの高濃度のアンモニア及び/又は酸化剤の存在はまた毛髪の状態に影響し、頭皮に軽い刺激を生じさせる場合がある。特に、毛髪表面の親水性は、着色プロセス中に増加し、これは着色中、着色直後、並びにその後の洗浄及び次の着色剤の適用までの整髪周期の間の、毛髪の感覚認知及びその全体的取扱性を変える。そのため、不必要な毛髪損傷を伴わずに所要のライトニング及び/又は色を送達する、酸化毛髪着色及び/又は漂白組成物を提供することはまた極めて望ましい。
少なくとも幾つかの上記に特定された改善領域について対処するために、幾つかの試みが文献に記載されている。例えば、炭酸塩の使用が次の毛髪着色技術において記載されている。
【0007】
EP435012には、炭酸塩供給源、臭気を発生しないアルカリ過酸化水素及び緩衝剤溶液を含む毛髪染色組成物について記載され、これは短い染色時間を必要とし、染色後に毛髪に損傷をほとんど与えず、刺激臭を生成しない。同様にEP1106166には、アンモニア、炭酸塩(アンモニア塩以外)、遷移金属塩及びキレート化剤を含み、刺激臭を発生せず、皮膚への刺激が少なく、短時間で毛髪の色をより明るい色調に変えることができる毛髪染料組成物が記載されている。PCT国際公開特許WO01/28508は、改善された漂白及び着色を、軽減された臭気及び毛髪の損傷と共に、緩衝剤、pH調整剤又は毛髪膨張剤の必要なく送達する、酸化剤及びアンモニア、炭酸塩、又はカルバミン酸塩を含む毛髪着色製剤を記載している。JP01206825は、アンモニア、アンモニウム塩、及び炭酸塩を含む低刺激性の毛髪着色組成物を記載している。この組成物はまた、脱色に対する抵抗力を改善するために、アルカノールアミンを含んでもよい。
【0008】
JP11343219は、アンモニア、又はアンモニウムイオン、及び炭酸イオンを含む毛髪漂白組成物を開示している。同様にDE29613065U1は、過酸化水素、アンモニウム塩、及び炭酸アルカリ、又は炭酸水素アルカリを含む毛髪漂白粉末を開示している。
【0009】
しかしながら、過酸化水素及び炭酸塩毛髪着色剤系の使用に関連する問題は、特に高濃度の過酸化物及び炭酸塩が存在する場合には、毛髪着色剤組成物が、特定の条件下においては毛髪繊維に著しい損傷を結果としてもたらし得ることであることが今では判明している。結果として、毛髪繊維は実質的に弱くなり、消費者の通常の毛髪保守の決まった手順の間に破断が生じるほど非常に脆性になる場合がある。
【0010】
消費者にとってもう1つの特に重要な性能の領域は、結果として得られる所望の色及びまた白髪の有効な被覆を提供することである。実際、着色される白髪の量は各消費者によってかなり異なるが、最初の被覆が染色後の洗浄及び乾燥周期の間に維持されるという追加の要求事項と共に、消費者に要求される着色された毛髪の結果として得られる全体的な外見は、頭上の天然色素の毛髪及び白髪とほとんど同一であるべきである。
【0011】
そのため、消費者に、改善されたリフト及びライトニング、軽減された損傷、特に軽減された脆性の繊維形成、改善された色の送達、取り込み及び永続性を提供する毛髪着色剤を提供することは更に望ましい。
【0012】
酸化剤、炭酸イオンの供給源、アルカリ化剤、好ましくはアンモニアの供給源、及びpH9.5以下で使用される本明細書の以下に定義されるような特定のラジカルスカベンジャーを含む酸化毛髪着色組成物は、現在使用されているアンモニア/過酸化物系と同じ高レベルのリフト及びライトニングを送達する一方で、過酸化物の濃度を軽減し毛髪繊維の損傷を軽減する弱い臭気の着色組成物を提供することが、驚くべきことに今では判明している。その上、本発明の組成物は現在の染料及び染料前駆体系に適合性があり、並びに金髪の色相のための改善されたリフト及びライトニング、優れた染料の付着及び色、並びに改善された白髪の被覆を結果としてもたらす。
【0013】
文献の多くの文書が、多数の幅広い種類の化合物を記載し、これらは美容ケア製品に用いるためのラジカルスカベンジング活動を有すると考えられてもよい。例えば、EP840593Aは、顕色剤、及び任意にpH8〜11を有するカップラー、並びにアンモニアの臭気を軽減するために及び毛髪の損傷を軽減するためにアミノ酸及びオリゴペプチド及び特定のアルカノールアミン誘導体の混合物を含むアルカリ化剤を含む酸化毛髪着色剤を記載する。米国特許第3899288号は、酸化染料前駆体、及びアンモニアの臭気を軽減するためにアミノ酸のアルカリ金属炭酸塩を含むケラチン性繊維酸化染色組成物を記載する。同様に、DE2215303は、臭気のない組成物を提供するために、グアニジン化合物、アルギニン、プロタミン、又はポリペプチド(polypepetides)酸化染料前駆体、及び過酸化物を含む毛髪染色組成物を開示し、これは皮膚に刺激を生じない。米国特許第3997659号は、臭気を軽減し及び毛髪の損傷を軽減するために、アルギニン又はアルギニン高含有量を有する様々なタンパク質又はペプチド、過酸化物、及び漂白促進剤を含有する毛髪漂白組成物を記載する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、これらの文書のいずれも現在請求される発明の特徴及び効果について記載していない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、i)ペルオキシ一炭酸イオンの少なくとも1つの供給源、ii)アルカリ化剤の少なくとも1つの供給源、好ましくはアンモニウムイオン、及びiii)ラジカルスカベンジャーの少なくとも1つの供給源を含む毛髪着色及び毛髪漂白組成物に関し、その際前記組成物は9.5以下のpHを有する。
【0016】
別の実施形態では、本発明は、ラジカルスカベンジャーの少なくとも1つの供給源を含み、個別包装された構成成分を含む毛髪着色及び漂白キットに関する。
【0017】
更に別の実施形態では、本発明はまた、ペルオキシ一炭酸イオンの少なくとも1つの供給源、好ましくは過酸化水素の供給源を含み、個別包装された酸化構成成分、並びにラジカルスカベンジャーの少なくとも1つの供給源、炭酸イオン、カルバミン酸イオン、及び/又は炭酸水素イオンの少なくとも1つの供給源及び少なくとも1つのアルカリ化剤を含み、個別包装された着色構成成分を含む毛髪着色及び漂白キットに関する。
【0018】
本発明はまた、ペルオキシ一炭酸イオンの少なくとも1つの供給源、少なくとも1つのアルカリ化剤、及びラジカルスカベンジャーの少なくとも1つの供給源を含む組成物を適用する工程を含む毛髪を処置する方法であって、前記組成物が毛髪上に適用され保持される時間の少なくとも50%の間、9.5までのpHを有する方法に関する。
【0019】
本発明はまた、
i)ラジカルスカベンジャーの少なくとも1つの供給源を含む組成物を適用する工程、並びに
ii)ペルオキシ一炭酸イオンの少なくとも1つの供給源及びアルカリ化剤の少なくとも1つの供給源を含む酸化毛髪着色組成物を別個に適用する工程を含み、その際前記工程i)及びii)が互いに交換できる、毛髪を処置する方法に関する。
【0020】
更なる態様では、本発明は、毛髪繊維への損傷を軽減し組成物の臭気を軽減するための請求されたものの使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本明細書は、本発明を特に指摘し明確に請求する特許請求の範囲でまとめられるが、本発明は、以下の説明からより良く理解されるものと考えられる。
【0022】
本明細書で使用する時、処置される「毛髪」という用語は、「生きている」即ち生体上のものであってもよく、又は「生きていない」即ち、かつら、ヘアピース、又は非生体ケラチン性繊維のその他の集合体中のものであってもよい。哺乳類、好ましくはヒトの毛髪が好ましい。しかしながら、羊毛、毛皮、及び他のケラチン含有繊維は本発明による組成物に好適な基材である。
【0023】
特に記載のない限り、すべての百分率は、総組成物の重量によるものである。処置の間に1を超える組成物が用いられる時、特に記載のない限り、考えられる総重量とは、毛髪上に同時に適用されたすべての組成物の総重量(即ち、「頭上」に見出される重量)である。特に記載のない限り、すべての比は重量比である。
【0024】
現在市販されている毛髪永続着色剤製品は、典型的にはアルカリ化剤系、染料前駆体、及び酸化剤の組み合わせを使用して、所望の毛髪の色を消費者に送達する。アルカリ化剤は、典型的には、アンモニア又はアルカノールアミン、例えばモノエタノールアミンであり、酸化剤は、典型的には、過酸化水素又は過酸化水素の固体形態である。消費者に送達される最終的な毛髪の色は、毛髪繊維中のメラニン色素の基礎的な漂白の結果と、予備形成される、即ち直接染料であるか、又は染料前駆体の酸化により毛髪繊維内で形成されるかのいずれかである着色された染料発色団部分の送達との組み合わせである。
【0025】
こうした系についての最適なpHは、典型的には約pH10.0である。この高いpHは、メラニンの所望の漂白を与えるためにペルヒドロキシアニオン(HOO−)の十分な濃度を生成するために必要である。pH9.5未満では、この種についての濃度は添加された過酸化水素濃度(pKa=11.6)の0.01%未満であり、メラニン漂白の量は劇的に低下し、従って所望の最終的な色を与えるのには不十分であることが判明している。
【0026】
しかしながら、本明細書で以上に論じられたように、高いpHを有する組成物は、消費者によりこれらの着色剤系について指摘される多くの不利益を生じる。特に、高いpH(pH9.5を超える)では揮発性アンモニアの濃度が増加し、更に不快な臭気を与える。更に、ペルヒドロキシアニオンを包含する反応性の種は毛髪繊維と反応して、著しい繊維の損傷を結果としてもたらす。この反応性による1つの結果は、毛髪繊維の親水性が著しく増加することであり、これは、着色されていない毛髪と比べて、毛髪を櫛でとかすために必要な力を増加させる。その上、櫛でとかす又は整髪する間に加えられるより大きな力は、毛髪繊維の繊維損傷を増加する結果をもたらす。
【0027】
好ましくは過酸化水素の供給源及び炭酸イオン供給源からその場で形成されるペルオキシ一炭酸イオンの少なくとも1つの供給源、アルカリ化剤の少なくとも1つの供給源、ラジカルスカベンジャーの少なくとも1つの供給源、(以後に定義されるように)、並びに好ましくは染料及び/又は染料前駆体の組み合わせを含む毛髪着色及び漂白組成物は、pH9.5未満、好ましくは7.5〜9.5で所望の毛髪着色結果と同じ又は改善したものを送達することができ、そのため臭気及び毛髪繊維の損傷をかなり軽減することが、驚くべきことに今では判明している。
【0028】
理論に束縛されるものではないが、本発明では、メラニンの漂白の原因である重要な種、即ちペルオキシ一炭酸イオン(−OC(O)OOH)は、9.5を超えるpH値で分解して、酸素及び炭酸水素イオンを形成すると考えられている。7.5未満のpH値では、炭酸水素イオンは分解して二酸化炭素及び水を形成する。9.0のpH値では、メラニンの漂白及び観察される最終的な色は最適レベルである。このように本発明は驚くべきことに、非常に望ましい消費者の要求である改善されたリフト、即ち毛髪のライトニングの送達を可能にする。更に、9.5より低いpHを有する組成物は、不快なアンモニアの臭気が著しく軽減されるだけでなく、毛髪繊維の損傷もまた軽減されるという効果を有する。これらの効果は以後の表1に示される。
【0029】
本発明の更なる態様は、ラジカルスカベンジャー種の使用に関係する。本明細書に定義されるようなラジカルスカベンジャー化合物の添加は、以後の表(2)の引張り強度データに示されるように毛髪繊維内部の強度を維持することが、驚くべきことに今では判明している。この表(2)において、着色前の毛髪と比較した内部強度の損失が示される(15%伸張するための力及び繊維を破断するための力)。
【0030】
理論に束縛されるものではないが、この効果は、過酸化水素及び炭酸アンモニウムを含む毛髪着色剤組成物が使用された時、毛髪着色プロセスの望ましくない副反応が毛髪中で起こり得るという事実に関係すると考えられている。この副反応は、毛髪繊維表面上又は毛髪繊維自体の中のいずれかでの炭酸ラジカルの形成である。これらの炭酸ラジカルは、ケラチンと反応して、毛髪繊維の内部強度の劇的減少をもたらし得る。内部強度のこの損失は、未処置の毛髪に対して、15%伸張するためのその力及び繊維を破断するために必要な力の両方における引張り強度の損失にはっきりと見られる(表2参照)。驚くべきことに、毛髪染料組成物へのラジカルスカベンジャーの添加は、これらの有害な炭酸ラジカルを有効に除去及び/又は不活性化し、それらを相対的に無害な種に迅速に変換する。最適な有効性のために、ラジカルスカベンジャーは、好ましくは、炭酸ラジカルと反応する適切な反応特性を有するべきであり、好ましくは毛髪繊維に迅速に侵入できるべきである。
【0031】
(酸化剤)
本発明による組成物は、このようにペルオキシ一炭酸イオンの供給源を含む。これらのイオンは典型的には、過酸化水素の供給源と炭酸イオンとの間の反応からその場で形成される。結果として、本発明による組成物は、酸化剤の少なくとも1つの供給源を含む組成物を含むか、又はその組成物との組み合わせにより用いられる。本明細書に用いるのに好ましい酸化剤は、水溶性過酸素酸化剤である。本明細書で定義される時、「水溶性」とは、標準状態で、少なくとも0.1g、好ましくは1g、より好ましくは10gの前記酸化剤が1リットルの脱イオン水に溶解され得ることを意味する。酸化剤は、初期可溶化及びメラニンの脱色(漂白)にとって有益であり、並びに毛幹中での酸化染料前駆体の酸化(酸化染色)を促進する。
【0032】
当該技術分野において既知のいずれの酸化剤も、本発明において使用されてもよい。好ましい水溶性酸化剤は、水溶液中に過酸化水素を生成できる無機過酸素物質である。水溶性の過酸素酸化剤は当該技術分野において周知であり、過酸化水素、無機アルカリ金属過酸化物、例えば過ヨウ素酸ナトリウム及び過酸化ナトリウム、及び有機過酸化物、例えば過酸化尿素、メラミン過酸化物、及び無機過水和物の塩の漂白化合物、例えば過ホウ酸、過炭酸、過リン酸、過ケイ酸、過硫酸などのアルカリ金属塩が挙げられる。これらの無機過水和物の塩は、一水和物、四水和物などとして組み込まれてもよい。アルキル及びアリール過酸化物、及び/又はペルオキシダーゼもまた用いられてもよい。所望であれば、2以上のこうした酸化剤の混合物も用いることができる。酸化剤は、水溶液中に提供されてもよいし、又は使用前に溶解される粉末として提供されてもよい。本発明による組成物中に用いるのに好ましいのは、過酸化水素、過炭酸塩(これは酸化剤及び炭酸イオンの両方の供給源を提供するために用いられてもよい)、過流酸塩、及びこれらの組み合わせである。
【0033】
本発明によると、組成物は、約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約1重量%〜約7重量%、最も好ましくは約2重量%〜約5重量%の酸化剤を含む。
【0034】
(炭酸イオン供給源)
本発明によると、従って組成物はまた、炭酸イオン又はカルバミン酸イオン又は炭酸水素イオン又はこれらのいずれかの混合物の少なくとも1つの供給源を含む。これらのイオンのいずれの供給源を使用してもよい。本明細書に用いるのに好適な供給源には、炭酸イオン、カルバミン酸イオン、及び炭酸水素イオン、及びこれらの混合物のナトリウム、カリウム、グアニジン、アルギニン、リチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、アンモニウム塩類、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸グアニジン、炭酸水素グアニジン、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、及びこれらの混合物が挙げられる。過炭酸塩もまた、炭酸イオン及び酸化剤の両方の供給源を提供するために使用されてもよい。炭酸イオン、カルバミン酸イオン、及び炭酸水素イオンの好ましい供給源は、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、カルバミン酸アンモニウム、及びこれらの混合物である。
【0035】
本発明の組成物は、約0.1重量%〜約15重量%、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約1重量%〜約8重量%の炭酸イオンを含んでもよい。好ましくは、存在する場合、アンモニウムイオンと炭酸イオンは組成物中に、約3:1〜1:10、好ましくは約2:1〜1:5の重量比で存在する。本発明の特に好ましい実施形態では、アンモニウムイオンと炭酸イオンの供給源は、単一の供給源、例えば炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム(ammonium hydrogen carbonate)、炭酸水素アンモニウム(ammonium hydrocarbonate)又はこれらの混合物により供給される。
【0036】
(アルカリ化剤の供給源)
本発明によると、組成物はまた、アルカリ化剤の少なくとも1つの供給源、好ましくはアンモニウムイオンの供給源及び/又はアンモニアを含む。当該技術分野において既知のいずれかの剤、例えばアルカノールアミド、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1プロパノール、及び2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、及びグアニジウム塩が用いられてもよい。特に、好ましいアルカリ化剤は、アンモニウムイオンの供給源を提供するものである。アンモニウムイオンのいずれの供給源も、本明細書に用いるのに好適である。好ましい供給源には、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、過炭酸塩、アンモニア、及びこれらの混合物が挙げられる。特に好ましいのは、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、アンモニア、及びこれらの混合物である。
【0037】
本発明の組成物は、約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約0.5重量%〜約5重量%、最も好ましくは約1重量%〜約3重量%のアルカリ化剤、好ましくはアンモニウムイオンを含んでもよい。
【0038】
(ラジカルスカベンジャー)
本発明によると、組成物は更にラジカルスカベンジャーの供給源を含む。本明細書で使用する時、ラジカルスカベンジャーという用語は、炭酸ラジカルと反応して、一連の迅速な反応により炭酸ラジカルをより反応性でない種に変換できる種、即ち炭酸ラジカルスカベンジャーを指す。
【0039】
理論に束縛されるものではないが、炭酸ラジカルを変換するラジカルスカベンジャーの能力(以上に記載されたように)は、以下に示されるように電荷移動反応のエネルギーに左右されると考えられている:(電荷移動反応のエネルギーの計算は以後に詳しく述べる。)
スカベンジャー + CO3*- → スカベンジャー*+ + CO32-
式中、反応のエネルギーは次のように定義される:
ΔHr=ΔHf(生成物) − ΔHf(反応物質)
=ΔHf(スカベンジャー*+) + ΔHf(CO32-) − ΔHf(スカベンジャー) − ΔHf(CO3*-
【0040】
本発明によると、本明細書に用いるのに好適なラジカルスカベンジャーは、約0kcal/mol〜約14kcal/mol、好ましくは約1.5kcal/mol〜約9kcal/molの反応のエネルギーを有する。
【0041】
本明細書に用いるのに好適なラジカルスカベンジャーには、次の一般式:
(I): R1−Y−C(H)(R3)−R4−(C(H)(R5)−Y−R6n
[式中、Yは、NR2、O、又はSであり、好ましくはNR2であり、nは0〜2であり、R4は一価又は二価であり、(a)置換若しくは非置換の、直鎖若しくは分枝鎖の、アルキル、一価若しくは多価不飽和アルキル、ヘテロアルキル、脂肪族、ヘテロ脂肪族(heteroaliphatic)、若しくはヘテロオレフィン系(heteroolefinic systems)、(b)置換若しくは非置換の、単環式若しくは多環式の、脂肪族、アリール(芳香族)、若しくは複素環系、又は(c)置換若しくは非置換の、モノ−、ポリ−若しくはペル−フルオロアルキル系から選択され;(a)、(b)、及び(c)の系は、1〜12個の炭素原子並びにO、S、N、P、及びSiから選択される0〜5個のヘテロ原子を含み;R4は、R3若しくはR5に結合して5、6、若しくは7員環を生成することができ;R1、R2、R3、R5、及びR6は一価であり、独立して本明細書の以上に記載された(a)、(b)及び(c)又はHから選択される]による化合物が挙げられる。
【0042】
好ましくは、R4は、(a)置換若しくは非置換の、直鎖若しくは分枝鎖の、アルキル、ヘテロアルキル、脂肪族、ヘテロ脂肪族(heteroaliphatic)、若しくはヘテロオレフィン系(heteroolefinic systems)、(b)置換若しくは非置換の、単環式若しくは多環式の、脂肪族、アリール(芳香族)、若しくは複素環系、又は(c)置換若しくは非置換の、モノ−、ポリ−若しくはペル−フルオロアルキル系から選択され;より好ましくは、R4は、(a)置換若しくは非置換の、直鎖若しくは分枝鎖の、アルキル、ヘテロアルキル、脂肪族、若しくはヘテロ脂肪族(heteroaliphatic)系、(b)置換若しくは非置換の、アリール、若しくは複素環系、又は(c)置換若しくは非置換の、モノ−、ポリ−若しくはペル−フルオロアルキル系から選択され;より好ましくは、置換若しくは非置換の、直鎖若しくは分枝鎖の、アルキル又はヘテロアルキル系から選択される。
【0043】
好ましくは、本明細書の以上に記載された、(a)、(b)、及び(c)のR4系は、1〜8個の炭素原子、好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜4個の炭素原子、及び0〜3個のへテロ原子;好ましくは0〜2個のへテロ原子;最も好ましくは0〜1個のへテロ原子を含む。系がへテロ原子を含有する時、好ましくはそれらは1個のへテロ原子を含有する。好ましいへテロ原子には、O、S、及びNが挙げられ、より好ましいのはO、及びNであり、最も好ましいのはOである。
好ましくは、R1、R2、R3、R5、及びR6は、独立して上記のR4について定義された系のいずれか、及びHから選択される。
【0044】
別の実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6基のいずれかは置換されている。好ましくは、置換基(類)は、(a)(i)置換若しくは非置換の、直鎖若しくは分枝鎖の、アルキル、一価若しくは多価不飽和アルキル、ヘテロアルキル、脂肪族、ヘテロ脂肪族(heteroaliphatic)、若しくはヘテロオレフィン系(heteroolefinic systems)、(ii)置換若しくは非置換の、単環式若しくは多環式の、脂肪族、アリール(芳香族)、若しくは複素環系、又は(iii)置換若しくは非置換の、モノ−、ポリ−若しくはペル−フルオロアルキル系から成り、(i)、(ii)、及び(iii)の前記系は、1〜10個の炭素原子並びにO、S、N、P、及びSiから選択される0〜5個のヘテロ原子を含むC結合一価置換基の群;(b)SA1、SCN、SO21、SO31、SSA1、SOA1、SO2NA12、SNA12、及びSONA12から成るS結合一価置換基の群;(c)OA1、OCN及びONA12から成るO結合一価置換基の群;(d)NA12、(NA123+、NC、NA1OA2、NA1SA2、NCO、NCS、NO2、N=NA1、N=NOA1、NA1CN、NA1NA23から成るN結合一価置換基の群;(e)COOA1、CON3、CONA12、CONA1COA2、C(=NA1)NA12、CHO、CHS、CN、NC、及びXから成る一価置換基の群;並びに(f)1〜12個の炭素原子及び0〜4個のヘテロ原子を含む、モノ−、ポリ−、又はペル−フルオロアルキル系から成るフルオロアルキル一価置換基から成る群から選択される。
【0045】
以上に記載される(b)〜(e)の群については、A1、A2、及びA3は一価であり、独立して(1)H、(2)置換若しくは非置換の、直鎖若しくは分枝鎖の、アルキル、一価若しくは多価不飽和アルキル、ヘテロアルキル、脂肪族、ヘテロ脂肪族(heteroaliphatic)、若しくはヘテロオレフィン系(heteroolefinic systems)、(3)置換若しくは非置換の、単環式若しくは多環式の、脂肪族、アリール(芳香族)、若しくは複素環系、又は(4)置換若しくは非置換の、モノ−、ポリ−若しくはペル−フルオロアルキル系から選択され;(2)、(3)及び(4)の前記系は、1〜10個の炭素原子並びにO、S、N、P、及びSiから選択される0〜5個のヘテロ原子を含み;Xは、F、Cl、Br、及びIから成る群から選択されるハロゲンである。
【0046】
本明細書に用いるのに好ましい置換基には、ハメット・シグマ・パラ(Hammett Sigma Para)(σp)値−0.65〜+0.75、好ましくは−0.4〜+0.5を有するものが挙げられる。ハメット・シグマ値(Hammett Sigma Values)は、有機化学−反応、機構、及び構造(Advanced Organic Chemistry−Reactions,Mechanisms and Structure)(ジェリー・マーチ(Jerry March)、第5版(2001年)368〜375ページ)に記載されている。理論に束縛されるものではないが、選択された範囲のシグマ・パラ値を有する置換基は、R1及び/又はR2上で置換される時、毛幹に侵入する分子の能力を妨げる場合がある分子量の好ましくない増加を過度に付け加えることなく化合物の毒性特性を改善する場合があると考えられている。幾つかの好ましい置換基及びそれらのハメット・シグマ・パラ(Hammett Sigma Para)値が、以下の表Aに示される。追加の置換基及びそれらの値は3月号(March)の370ページに示される。
【0047】
【表1】

好ましくは、以上に定義されたラジカルスカベンジャーは、窒素のプロトン化を防ぐために7を超えるpKaを有する。
【0048】
本明細書に用いるのに好適な別のラジカルスカベンジャーは、一般式(II):
【0049】
【化1】

[式中、R1、R2、R3、R4、及びR5は独立して、H、COO-+、Cl、Br、SO3-+、NO2、OCH3、OH、又はC1〜C10の一級若しくは二級アルキルから選択され、MはH若しくはアルカリ金属のいずれかである]による化合物である。好ましくは、以上に記載されたラジカルスカベンジャーは、ヒドロキシ基(hydroxy goup)のプロトン化を確実にするために8.5を超えるpKaを有する。
【0050】
本明細書に用いるのに好適なその他のラジカルスカベンジャーには、(III)ベンジルアミン、イミダゾール、ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン、ヒドロキノン、グアニン、ピラジン、ピペリジン、モルホリン、メチルモルホリン、2メトキシエチルアミン(2methyoxyethylamine)、及びこれらの混合物の群から選択されるものが挙げられる。
【0051】
本発明による好ましいラジカルスカベンジャーは、アルカノールアミン、アミノ糖、アミノ酸、アミノ酸のエステル、及びこれらの混合物の部類から選択される。特に好ましい化合物は、モノエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、5−アミノ−1−ペンタノール、1−アミノ−2−プロパノール、1−アミノ−2−ブタノール、1−アミノ−2−ペンタノール、1−アミノ−3−ペンタノール、1−アミノ−4−ペンタノール、3−アミノ−2−メチルプロパン−1−オール、1−アミノ−2−メチルプロパン−2−オール、3−アミノプロパン−1,2−ジオール、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、グリシン、アルギニン、リジン、プロリン、グルタミン、ヒスチジン、ザルコシン、セリン、グルタミン酸、トリプトファン、及びこれらの混合物、並びにそれらのカリウム、ナトリウム、及びアンモニウム塩のような塩、並びにこれらの混合物である。
【0052】
特に好ましい化合物は、グリシン、ザルコシン、リジン、セリン、2メトキシエチルアミン、グルコサミン、グルタミン酸、モルホリン、ピペルジン、エチルアミン、3−アミノ−1−プロパノール、及びこれらの混合物である。
【0053】
本発明によるラジカルスカベンジャーは、ラジカルスカベンジャーの毛髪繊維中への侵入を促進するために、好ましくは約500未満、好ましくは約300未満、より好ましくは約250未満の分子量を有する。
【0054】
本発明の組成物は、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約1重量%〜約7重量%のラジカルスカベンジャーを含む。好ましくは、ラジカルスカベンジャーは、ラジカルスカベンジャーと炭酸イオンとの重量比が、約2:1〜約1:4であるような量で存在する。ラジカルスカベンジャーはまた好ましくは、アルカリ化剤と同一の種ではないように選択される。本発明の1つの実施形態によると、ラジカルスカベンジャーは、毛髪繊維への適用前に毛髪染色組成物中でその場で形成されてもよい。
【0055】
(pH)
本発明の組成物は、pH9.5以下のpHを有する。好ましくは、本発明の組成物は、約9.5〜約7.5のpH、より好ましくは約9.5〜約8.4、最も好ましくは約9.4〜約8.5のpH、更により好ましくはpH約9.0を有する。
【0056】
好ましくは、本発明の組成物は、毛髪繊維への適用前に、組成物のpHがpH約9.5以下であるように調製される。しかしながら、本発明の別の実施形態では、組成物は、組成物の毛髪繊維への適用時間の間、それからの除去の前に、pHが9.5までであるように処方されてもよい。好ましくは、pHは、組成物の毛髪への適用時間の少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、最も好ましくは少なくとも約80%の時間の間、約9.5までである。より好ましくは、組成物のpHは、毛髪繊維への適用の約10分以内、好ましくは約5分以内の間、pH約9.5までである。
【0057】
組成物のpHは、標準的な実験室用pH電極を装備したメトラー・トレド(Mettler Toledo)MP220又はMP225pH装置のいずれかを用いることにより測定できる。装置は、各使用前に、標準的較正用緩衝剤を用いて及び標準的較正手順を用いて較正される。
【0058】
良好なライトニング及び良好な色の形成のためには、最終的な製剤は、良好な緩衝能又はアルカリ保存性(reserve alkalinity)(これがなければ酸の添加により生じるpHの移動に抵抗する系の能力)を有するべきであることは既知である。アルカリ保存性(reserve alkalinity)は、50mLのメタノール中で完全に混合された0.7mLの着色組成物に添加された0.1Nのメタノール中(methaolic)塩酸を用いた滴定により測定される。滴定の最も正確な終点がpH電極により測定される。混合された着色組成物1g当たり少なくとも0.2ミリ当量の、好ましくは0.4を超える滴定可能なアルカリ性のアルカリ保存性(reserve alkalinity)が、良好なライトニング及び着色のために必要であると判定されている。好適な緩衝系には、アンモニア/酢酸アンモニウム混合物、モノエタノールアミンピロリン酸四ナトリウム、イソプロパノールアミン、安息香酸が挙げられる。
【0059】
(追加構成成分)
本発明の組成物は更に追加の成分を含んでもよく、これには毛髪染色剤、例えば酸化染料前駆体、非酸化染料、増粘剤、溶媒、酵素、界面活性剤、コンディショニング剤、キャリア、酸化防止剤、安定剤、キレート化剤、パーマ活性物質、香料、還元剤(チオ乳酸)、毛髪膨張剤、及び/又はポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。これらの追加構成成分の幾つかについて以後に詳しく述べる。
【0060】
(毛髪染料)
本発明の毛髪着色組成物は、好ましくは、酸化染色組成物を含む毛髪着色組成物である。こうした組成物は、多様な毛髪の色を毛髪に送達する酸化毛髪染料前駆体(一次中間体としても知られる)を含む。これらの小さい分子は酸化剤により活性化され、更なる分子と反応して大きい着色錯体を毛幹中に形成する。
【0061】
前駆体は、単独で又は他の前駆体と組み合わせて用いることができ、1以上を1以上のカップラーと組み合わせて用いることもできる。カップラー(色調整剤又は二次中間体としても知られる)は、活性化された前駆体の存在下で色を形成できる一般に無色の分子であり、特定の色の効果を生成する又は色を安定化させるために、他の前駆体又はカップラーと共に使用される。
【0062】
前駆体及びカップラーの選択は、所望の着色の色、色相、及び強度により決定される。前駆体及びカップラーを本明細書において、単一で又は組み合わせにより用いて、灰色がかった金髪から黒までの範囲の多様な色相を有する染料を提供することができる。
【0063】
これらの化合物は当該技術分野において周知であり、芳香族ジアミン、アミノフェノール、及びそれらの誘導体が挙げられる(酸化染料前駆体の代表的ではあるが、非包括的なリストは、サガリン(Sagarin)の、「化粧品の科学及び技術(Cosmetic Science and Technology)」、「インターサイエンス、特別版(Interscience,Special Edn.)、第2巻、308〜310ページに見出すことができる。)以下に詳しく述べる前駆体は例示のためだけであり、本明細書の組成物及びプロセスを限定する目的でないことは理解される。これらは、
p−フェニレンジアミン誘導体、例えば、ベンゼン−1,4−ジアミン(p−フェニレンジアミンとして一般に知られている)、2−メチル−ベンゼン−1,4−ジアミン、2−クロロ−ベンゼン−1,4−ジアミン、N−フェニル−ベンゼン−1,4−ジアミン、N−(2−エトキシエチル)ベンゼン−1,4−ジアミン、2−[(4−アミノ−フェニル)−(2−ヒドロキシ−エチル)−アミノ]−エタノール、(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミンとして一般に知られている)(2,5−ジアミノ−フェニル)−メタノール、1−(2’−ヒドロキシエチル)−2,5−ジアミノベンゼン、2−(2,5−ジアミノ−フェニル)−エタノール、N−(4−アミノフェニル)ベンゼン−1,4−ジアミン、2,6−ジメチル−ベンゼン−1,4−ジアミン、2−イソプロピル−ベンゼン−1,4−ジアミン、1−[(4−アミノフェニル)アミノ]−プロパン−2−オール、2−プロピル−ベンゼン−1,4−ジアミン、1,3−ビス[(4−アミノフェニル)(2−ヒドロキシエチル)アミノ]プロパン−2−オール、N4,N4,2−トリメチルベンゼン−1,4−ジアミン、2−メトキシ−ベンゼン−1,4−ジアミン、1−(2,5−ジアミノフェニル)エタン−1,2−ジオール、2,3−ジメチル−ベンゼン−1,4−ジアミン、N−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−フェニル)−アセトアミド、2,6−ジエチルベンゼン−1,4−ジアミン、2,5−ジメチルベンゼン−1,4−ジアミン、2−チエン−2−イルベンゼン−1,4−ジアミン、2−チエン−3−イルベンゼン−1,4−ジアミン、2−ピリジン−3−イルベンゼン−1,4−ジアミン、1,1’−ビフェニル−2,5−ジアミン、2−(メトキシメチル)ベンゼン−1,4−ジアミン、2−(アミノメチル)ベンゼン−1,4−ジアミン、2−(2,5−ジアミノフェノキシ)エタノール、N−[2−(2,5−ジアミノフェノキシ)エチル]−アセトアミド、N,N−ジメチルベンゼン−1,4−ジアミン、N,N−ジエチルベンゼン−1,4−ジアミン、N,N−ジプロピルベンゼン−1,4−ジアミン、2−[(4−アミノフェニル)(エチル)アミノ]エタノール、2−[(4−アミノ−3−メチル−フェニル)−(2−ヒドロキシ−エチル)−アミノ]−エタノール、N−(2−メトキシエチル)−ベンゼン−1,4−ジアミン、3−[(4−アミノフェニル)アミノ]プロパン−1−オール、3−[(4−アミノフェニル)−アミノ]プロパン−1,2−ジオール、N−{4−[(4−アミノフェニル)アミノ]ブチル}ベンゼン−1,4−ジアミン、及び2−[2−(2−{2−[(2,5−ジアミノフェニル)−オキシ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]ベンゼン−1,4−ジアミン;1,3−ビス(N(2−ヒドロキシエチル)−N−(4−アミノ−フェニル)アミノ)−2−プロパノール;2,2’−[1,2−エタンジイル−ビス−(オキシ−2,1−エタンジイルオキシ)]−ビス−ベンゼン−1,4−ジアミン;N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニリンジアミン;p−アミノフェノール誘導体、例えば:4−アミノフェノール(p−アミノフェノールとして一般に知られている)、4−メチルアミノフェノール、4−アミノ−3−メチル−フェノール、4−アミノ−2−ヒドロキシメチル−フェノール、4−アミノ−2−メチル−フェノール、4−アミノ−1−ヒドロキシ−2−(2’−ヒドロキエチルアミノメチル)ベンゼン、4−アミノ−2−メトキシメチル−フェノール、5−アミノ−2−ヒドロキシ安息香酸、1−(5−アミノ−2−ヒドロキシ−フェニル)−エタン−1,2−ジオール、4−アミノ−2−(2−ヒドロキシ−エチル)−フェノール、4−アミノ−3−(ヒドロキシメチル)フェノール、4−アミノ−3−フルオロ−フェノール、4−アミノ−2−(アミノメチル)−フェノール、4−アミノ−2−フルオロ−フェノール;1−ヒドロキシ−2,4−ジアミノベンゼン;1−(2’−ヒドロキシエチルオキシ)−2,4−ジアミノベンゼン;2,4−ジアミノ−5−メチルフェネトール;o−フェニレンジアミン誘導体、例えば:3,4−ジアミノ安息香酸及びその塩;o−アミノフェノール誘導体、例えば:2−アミノ−フェノール(o−アミノフェノールとして一般に知られている)、2,4−ジアミノフェノール、2−アミノ−5−メチル−フェノール、2−アミノ−6−メチル−フェノール、N−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−フェニル)−アセトアミド、及び2−アミノ−4−メチル−フェノール;並びに複素環式誘導体、例えば:ピリミジン−2,4,5,6−テトラミン(2,4,5,6−テトラアミノピリジンとして一般に知られている)、1−メチル−1H−ピラゾール−4,5−ジアミン、2−(4,5−ジアミノ−1H−ピラゾール−1−イル)エタノール、N2,N2−ジメチル−ピリジン−2,5−ジアミン、2−[(3−アミノ−6−メトキシピリジン−2−イル)アミノ]エタノール、6−メトキシ−N2−メチル−ピリジン−2,3−ジアミン、2,5,6−トリアミノピリミジン−4(1H)−オン、ピリジン−2,5−ジアミン、1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4,5−ジアミン、1−(4−メチルベンジル)−1H−ピラゾール−4,5−ジアミン、1−(ベンジル)−1H−ピラゾール−4,5−ジアミン、1−(4−クロロベンジル)−1H−ピラゾール−4,5−ジアミン、ピラゾロ[1,5−a]−ピリミジン−3,7−ジアミン、5,6,7−トリメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イルアミンハイドロクロライド、7−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イルアミンハイドロクロライド、2,5,6,7−テトラメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イルアミンハイドロクロライド、5,7−ジ−t−ブチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イルアミンハイドロクロライド、5,7−ジ−トリフルオロメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イルアミンハイドロクロライド、2−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3,7−ジアミンハイドロクロライド;4−ヒドロキシ−2,5,6−トリアミノピリミジン;1−(2’ヒドロキシエチル)−アミノ−3,4−メチレンジオキシベンゼン;及び1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾールサルフェートである。
【0064】
追加の顕色剤には、N−(3−フリルメチル)ベンゼン−1,4−ジアミン;N−チオフェン−3−イルメチル−ベンゼン−1,4−ジアミン;N−(2−フリルメチル)ベンゼン−1,4−ジアミン;N−チオフェン−2−イルメチル−ベンゼン−1,4−ジアミン;4−ヒドロキシ−安息香酸(2,5−ジアミノ−ベンジリデン)−ヒドラジド;3−(2,5−ジアミノ−フェニル)−N−エチル−アクリルアミド;2−[3−(3−アミノ−フェニルアミノ)−プロペニル]−ベンゼン−1,4−ジアミン;2−[3−(4−アミノ−フェニルアミノ)−プロペニル]−ベンゼン−1,4−ジアミン;2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−ベンゼン−1,4−ジアミン;2−ピリジン−2−イル−ベンゼン−1,4−ジアミン;2−[3−(4−アミノ−フェニルアミノ)−プロペニル]−ベンゼン−1,4−ジアミン;2−[3−(3−アミノ−フェニルアミノ)−プロペニル]−ベンゼン−1,4−ジアミン;3−(2,5−ジアミノ−フェニル)−N−エチル−アクリルアミド;2−チアゾール−2−イル−ベンゼン−1,4−ジアミン;4−ヒドロキシ−安息香酸(2,5−ジアミノ−ベンジリデン)−ヒドラジド;3’−フルオロ−ビフェニル−2,5−ジアミン;2−プロペニル−ベンゼン−1,4−ジアミン;2’−クロロ−ビフェニル−2,5−ジアミン;N−チオフェン−3−イルメチル−ベンゼン−1,4−ジアミン;N−(3−フリルメチル)ベンゼン−1,4−ジアミン;4’メトキシ−ビフェニル−2,5−ジアミン;N−(4−アミノ−ベンジル)−ベンゼン−1,4−ジアミン;2−メチル−5−[(1−H−ピロール−2−イルメチル)−アミノ]−フェノール;5−[(フラン−2−イルメチル)−アミノ]−2−メチル−フェノール;5−イソプロピルアミノ−2−メチル−フェノール;ビフェニル−2,4,4’−トリアミンハイドロクロライド;5−(4−アミノ−フェニル)アミノメチル−ベンゼン−1,3−ジアミンハイドロクロライド;5−フェニルアミノメチル−ベンゼン−1,3−ジアミンハイドロクロライド;2−[4−アミノ−2−(3,5−ジアミノ−ベンジルアミノ)−フェノキシ]−エタノールハイドロクロライド;5−(3−アミノ−フェニル)アミノメチル−ベンゼン−1,3−ジアミンハイドロクロライド;N−(2−アミノ−ベンジル)−ベンゼン−1,3−ジアミンハイドロクロライド;N−フラン−2−イルメチル−ベンゼン−1,3−ジアミンハイドロクロライド;2−[(3−アミノ−フェニルアミノ)−メチル]−フェノールハイドロクロライド;4−アミノ−2−プロピルアミノメチル−フェノール;ハイドロクロライド;N−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル−ベンゼン−1,3−ジアミンハイドロクロライド;N−[4−アミノ−2−(2−ヒドロキシ−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−(5−アミノ−2−ヒドロキシフェニル)−アクリルアミド;ハイドロクロライド;4−アミノ−2−(イソプロピルアミノ−メチル)−フェノール;ハイドロクロライド;4−チオフェン−3−イル−ベンゼン−1,3−ジアミン;ハイドロクロライド ハイドロクロライド;5−フェニルアミノメチル−ベンゼン−1,3−ジアミンハイドロクロライド;5−(3−アミノ−フェニル)アミノメチル−ベンゼン−1,3−ジアミンハイドロクロライド;4−チオフェン−3−イル−ベンゼン−1,3−ジアミン;ハイドロクロライド;2’,4’−ジアミノ−ビフェニル−4−オール;ハイドロクロライド;5−シクロブチルアミノ−2−メチル−フェノール;5−シクロブチルアミノ−2−メチル−フェノール;4−アミノ−2−(ピリジン−3−イルアミノメチル)−フェノール;5−(3−アミノ−フェニル)アミノメチル−ベンゼン−1,3−ジアミンハイドロクロライド;5−アリルアミノメチル−ベンゼン−1,3−ジアミンハイドロクロライド;N−(4−アミノ−ベンジル)−ベンゼン−1,3−ジアミンハイドロクロライド;N−ベンジル−ベンゼン−1,3−ジアミンハイドロクロライド;3−[(3−アミノ−フェニルアミノ)−メチル]−フェノールハイドロクロライド;N−(4−メトキシ−ベンジル)−ベンゼン−1,3−ジアミンハイドロクロライド;N−チオフェン−2−イルメチル−ベンゼン−1,3−ジアミンハイドロクロライド;4−アミノ−2−[(2−ヒドロキシ−5−ニトロ−フェニルアミノ)−メチル]−フェノール;ハイドロクロライド;2’,4’−ジアミノ−ビフェニル−4−オールハイドロクロライド;ビフェニル−2,4,4’−トリアミン;5−(4−アミノ−フェニル)アミノメチル−ベンゼン−1,3−ジアミンハイドロクロライド;2−[4−アミノ−2−(3,5−ジアミノ−ベンジルアミノ)−フェノキシ]−エタノールハイドロクロライド;5−アリルアミノメチル−ベンゼン−1,3−ジアミンハイドロクロライド;5−(3−アミノ−フェニル)アミノメチル−ベンゼン−1,3−ジアミンハイドロクロライド;N−(4−アミノ−ベンジル)−ベンゼン−1,3−ジアミンハイドロクロライド;N−ベンジル−ベンゼン−1,3−ジアミンハイドロクロライド;3−[(3−アミノ−フェニルアミノ)−メチル]−フェノールハイドロクロライド;N−(2−アミノ−ベンジル)−ベンゼン−1,3−ジアミンハイドロクロライド;N−(4−メトキシ−ベンジル)−ベンゼン−1,3−ジアミンハイドロクロライド;N−フラン−2−イルメチル−ベンゼン−1,3−ジアミンハイドロクロライド;2−[(3−アミノ−フェニルアミノ)−メチル]−フェノールハイドロクロライド;N−チオフェン−2−イルメチル−ベンゼン−1,3−ジアミンハイドロクロライド;N−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル−ベンゼン−1,3−ジアミンハイドロクロライド;N−[4−アミノ−2−(2−ヒドロキシ−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−(5−アミノ−2−ヒドロキシフェニル)−アクリルアミドハイドロクロライド;4−アミノ−2−プロピルアミノメチル−フェノール;ハイドロクロライド;4−アミノ−2−(イソプロピルアミノ−メチル)−フェノールハイドロクロライド;4−アミノ−2−[(2−ヒドロキシ−5−ニトロ−フェニルアミノ)−メチル]−フェノールハイドロクロライド;2−メチル−5−[(1−H−ピロール−2−イルメチル)−アミノ]−フェノール;5−[(フラン−2−イルメチル)−アミノ]−2−メチル−フェノール;5−イソプロピルアミノ−2−メチル−フェノール;5−シクロブチルアミノ−2−メチル−フェノール;4−アミノ−2−(ピリジン−3−イルアミノメチル)−フェノール;及び5−シクロブチルアミノ−2−メチル−フェノールが挙げられる。
【0065】
好ましい顕色剤には、p−フェニレンジアミン誘導体、例えば:2−メチル−ベンゼン−1,4−ジアミン;ベンゼン−1,4−ジアミン;1−(2,5−ジアミノ−フェニル)−エタノール;2−(2,5−ジアミノ−フェニル)−エタノール;N−(2−メトキシエチル)ベンゼン−1,4−ジアミン;2−[(4−アミノ−フェニル)−(2−ヒドロキシ−エチル)−アミノ]−エタノール;1−(2,5−ジアミノフェニル)エタン−1,2−ジオール;1−(2’−ヒドロキシエチル)−2,5−ジアミノベンゼン;1,3−ビス(N(2−ヒドロキシエチル)−N−(4−アミノ−フェニル)アミノ)−2−プロパノール;2,2’−[1,2−エタンジイル−ビス−(オキシ−2,1−エタンジイルオキシ)]−ビス−ベンゼン−1,4−ジアミン;N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニリンジアミン;及びこれらの混合物;p−アミノフェノール誘導体、例えば:4−アミノ−フェノール、4−メチルアミノ−フェノール、4−アミノ−3−メチル−フェノール、4−アミノ−2−メトキシメチル−フェノール;1−(5−アミノ−2−ヒドロキシ−フェニル)−エタン−1,2−ジオール;1−ヒドロキシ−2,4−ジアミノベンゼン;1−(2’−ヒドロキシエチルオキシ)−2,4−ジアミノベンゼン;4−アミノ−2−アミノメチルフェノール;2,4−ジアミノ−5−メチルフェネトール;4−アミノ−1−ヒドロキシ−2−(2’−ヒドロキシエチルアミノメチル)ベンゼン;1−メトキシ−2−アミノ−4−(2’ヒドロキシエチルアミノ)−ベンゼン;5−アミノサリチル酸及びその塩;及びこれらの混合物;o−フェニルレンジアミン誘導体、例えば:3,4−ジアミノ安息香酸及びその塩;o−アミノフェノール誘導体、例えば:2−アミノ−フェノール、2−アミノ−5−メチル−フェノール、2−アミノ−6−メチル−フェノール、N−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−フェニル)−アセトアミド;2−アミノ−4−メチル−フェノール;及びこれらの混合物;並びに複素環式誘導体、例えば:ピリミジン−2,4,5,6−テトラミン;1−メチル−1H−ピラゾール−4,5−ジアミン;2−(4,5−ジアミノ−1H−ピラゾール−1−イル)エタノール;1−(4−メチルベンジル)−1H−ピラゾール−4,5−ジアミン;1−(ベンジル)−1H−ピラゾール−4,5−ジアミン;N2,N2−ジメチル−ピリジン−2,5−ジアミン;4−ヒドロキシ−2,5,6−トリアミノピリミジン;1−(2’ヒドロキシエチル)−アミノ−3,4−メチレンジオキシベンゼン;及び1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾールサルフェート;及びこれらの混合物が挙げられる。
【0066】
より好ましい顕色剤には、2−メチル−ベンゼン−1,4−ジアミン;ベンゼン−1,4−ジアミン;N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−P−フェニレンジアミン;4−アミノ−フェノール;4−メチルアミノ−フェノール;4−アミノ−3−メチル−フェノール;1−ヒドロキシ−2,4−ジアミノベンゼン;2−アミノ−フェノール;2−アミノ−5−メチル−フェノール;2−アミノ−6−メチル−フェノール;1−メチル−1H−ピラゾール−4,5−ジアミン;1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾールサルフェート;2−(4,5−ジアミノ−1H−ピラゾール−1−イル)エタノール;及びこれらの混合物が挙げられる。
【0067】
本明細書に記載される組成物中に用いるのに好適なカップラーには、フェノール、レゾルシノール、及びナフトール誘導体、例えば:ナフタレン−1,7−ジオール、ベンゼン−1,3−ジオール、4−クロロベンゼン−1,3−ジオール、ナフタレン−1−オール、2−メチル−ナフタレン−1−オール、ナフタレン−1,5−ジオール、ナフタレン−2,7−ジオール、ベンゼン−1,4−ジオール、2−メチル−ベンゼン−1,3−ジオール、7−アミノ−4−ヒドロキシ−ナフタレン−2−スルホン酸、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1,5−ジオール、2−クロロ−ベンゼン−1,3−ジオール、4−ヒドロキシ−ナフタレン−1−スルホン酸、ベンゼン−1,2,3−トリオール、ナフタレン−2,3−ジオール、5−ジクロロ−2−メチルベンゼン−1,3−ジオール、4,6−ジクロロベンゼン−1,3−ジオール、2,3−ジヒドロキシ−[1,4]ナフトキノン;及び1−アセトキシ−2−メチルナフタレン;m−フェニレンジアミン、例えば:2,4−ジアミノフェノール、ベンゼン−1,3−ジアミン、2−(2,4−ジアミノ−フェノキシ)−エタノール、2−[(3−アミノ−フェニル)−(2−ヒドロキシ−エチル)−アミノ]−エタノール、2−メチル(mehyl)−ベンゼン−1,3−ジアミン、2−[[2−(2,4−ジアミノ−フェノキシ)−エチル]−(2−ヒドロキシ−エチル)−アミノ]−エタノール、4−{3−[(2,4−ジアミノフェニル)オキシ]−プロポキシ}ベンゼン−1,3−ジアミン、2−(2,4−ジアミノ−フェニル)−エタノール、2−(3−アミノ−4−メトキシ−フェニルアミノ)−エタノール、4−(2−アミノ−エトキシ)−ベンゼン−1,3−ジアミン、(2,4−ジアミノ−フェノキシ)−酢酸、2−[2,4−ジアミノ−5−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェノキシ]−エタノール、4−エトキシ−6−メチル−ベンゼン−1,3−ジアミン、2−(2,4−ジアミノ−5−メチル−フェノキシ)−エタノール、4,6−ジメトキシ−ベンゼン−1,3−ジアミン、2−[3−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−2−メチル−フェニルアミノ]−エタノール、3−(2,4−ジアミノ−フェノキシ)−プロパン−1−オール、N−[3−(ジメチルアミノ)フェニル]尿素、4−メトキシ−6−メチルベンゼン−1,3−ジアミン、4−フルオロ−6−メチルベンゼン−1,3−ジアミン、2−({3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−4,6−ジメトキシフェニル}−アミノ)エタノール、3−(2,4−ジアミノフェノキシ)−プロパン−1,2−ジオール、2−[2−アミノ−4−(メチルアミノ)−フェノキシ]エタノール、2−[(5−アミノ−2−エトキシ−フェニル)−(2−ヒドロキシ−エチル)−アミノ]−エタノール、2−[(3−アミノフェニル)アミノ]エタノール、2,4−ジアミノ−5−(2’−ヒドロキシエチルオキシ)トルエン;N,N−ジメチル−3−ウレイドアニリン(ureidoaniline);N−(2−アミノエチル)ベンゼン−1,3−ジアミン、4−{[(2,4−ジアミノ−フェニル)オキシ]メトキシ}−ベンゼン−1,3−ジアミン、1−メチル−2,6−ビス(2−ヒドロキシメチルアミノ)ベンゼン;及び2,4−ジメトキシベンゼン−1,3−ジアミン;m−アミノフェノール、例えば:3−アミノ−フェノール、2−(3−ヒドロキシ−4−メチル−フェニルアミノ)−アセトアミド、2−(3−ヒドロキシ−フェニルアミノ)−アセトアミド、5−アミノ−2−メチル−フェノール、5−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−2−メチル−フェノール、5−アミノ−2,4−ジクロロ−フェノール、3−アミノ−2−メチル−フェノール、3−アミノ−2−クロロ−6−メチル−フェノール、5−アミノ−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェノール、2−クロロ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチルアミノ)−フェノール、5−アミノ−4−クロロ−2−メチル−フェノール、3−シクロペンチルアミノ−フェノール、5−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−4−メトキシ−2−メチルフェノール、5−アミノ−4−メトキシ−2−メチルフェノール、3−(ジメチルアミノ)フェノール、3−(ジエチルアミノ)フェノール、5−アミノ−4−フルオロ−2−メチルフェノール、5−アミノ−4−エトキシー2−メチルフェノール、3−アミノー2,4−ジクロロ−フェノール、3−[(2−メトキシエチル)アミノ]フェノール、3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]フェノール、5−アミノ−2−エチル−フェノール、5−アミノ−2−メトキシフェノール、5−[(3−ヒドロキシ−プロピル)アミノ]−2−メチルフェノール、3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−アミノ]プロパン−1,2−ジオール;3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−メチルフェノール;1−メチル−2−ヒドロキシ−4−(2’−ヒドロキシエチル)アミノ−ベンゼン;1,3−ビス−(2,4−ジアミノフェノキシ)プロパン;1−ヒドロキシ−2−メチル−5−アミノ−6−クロロベンゼン;並びに複素環式誘導体、例えば:3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−オール、4−メチル−2−フェニル−2,4−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン、6−メトキシキノリン−8−アミン、4−メチルピリジン−2,6−ジオール、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−オール、1,3−ベンゾジオキソール−5−オール、2−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルアミノ)エタノール、3,4−ジメチルピリジン−2,6−ジオール、5−クロロピリジン−2,3−ジオール、2,6−ジメトキシピリジン−3,5−ジアミン、1,3−ベンゾジオキソール−5−アミン、2−{[3,5−ジアミノ−6−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−ピリジン−2−イル]オキシ}−エタノール、1H−インドール−4−オール、5−アミノ−2,6−ジメトキシピリジン−3−オール、1H−インドール−5,6−ジオール、1H−インドール−7−オール、1H−インドール−5−オール、1H−インドール−6−オール、6−ブロモ−1,3−ベンゾジオキソール−5−オール、2−アミノピリジン−3−オール、ピリジン−2,6−ジアミン、3−[(3,5−ジアミノピリジン−2−イル)オキシ]プロパン−1,2−ジオール、5−[(3,5−ジアミノピリジン−2−イル)オキシ]ペンタン−1,3−ジオール、1H−インドール−2,3−ジオン、インドリン−5,6−ジオール、3,5−ジメトキシピリジン−2,6−ジアミン、6−メトキシピリジン−2,3−ジアミン;3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−アミン;4−ヒドロキシ−N−メチルインドール、1H−5−メチルピラゾール−5−オン、1−フェニル−3−メチルピラゾール−5−オン、2,6−ジメチルピラゾロ[1,5−b]−1,2,4−トリアゾール、2,6−ジメチル[3,2−c]−1,2,4−トリアゾール、6−メチルピラゾロ−[1,5−a]ベンズイミダゾール、2,6−ジヒドロキシピリジン、2,6−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルピリジン、5−メチルピラゾロ[5,1−e]−1,2,3−トリアゾール、5−メチル−6−クロロピラゾロ[5,1−e]−1,2,3−トリアゾール、5−フェニルピラゾロ[5,1−e]−1,2,3−トリアゾール及びその付加塩、1H−2,6−ジメチルピラゾロ[1,5−b]−1,2,4−トリアゾールトシラート、7,8−ジシアノ−4−メチルイミダゾロ−[3,2−a]イミダゾール、2,7−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5−オン、2,5−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−オン、及び2−メチル−5−メトキシメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−オン;6−ヒドロキシベンゾモルホリン;及び3−アミノ−2−メチルアミノ−6−メトキシピリジン;1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン−2,4−ジヒドロ−5,2−フェニル−3H−ピラゾール−3−オンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
好ましいカップラーには、フェノール、レゾルシノール、及びナフトール誘導体、例えば:ナフタレン−1,7−ジオール、ベンゼン−1,3−ジオール、4−クロロベンゼン−1,3−ジオール、ナフタレン−1−オール、2−メチル−ナフタレン−1−オール、ナフタレン−1,5−ジオール、ナフタレン−2,7−ジオール、ベンゼン−1,4−ジオール、2−メチル−ベンゼン−1,3−ジオール、及び2−イソプロピル−5−メチルフェノール;1,2,4−トリヒドロキシベンゼン;1−アセトキシ−2−メチルナフタレン;及びこれらの混合物;m−フェニレンジアミン誘導体、例えば:ベンゼン−1,3−ジアミン、2−(2,4−ジアミノ−フェノキシ)−エタノール、4−{3−[(2,4−ジアミノフェニル)オキシ]−プロポキシ}ベンゼン−1,3−ジアミン、2−(3−アミノ−4−メトキシ−フェニルアミノ)−エタノール、2−[2,4−ジアミノ−5−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェノキシ]−エタノール、及び3−(2,4−ジアミノ−フェノキシ)−プロパン−1−オール;2,4−ジアミノ−5−(2’−ヒドロキシエチルオキシ)トルエン;N,N−ジメチル−3−ウレイドアニリン(ureidoaniline);2,4−ジアミノ−5−フルオロトルエンサルフェート水和物;1−メチル−2,6−ビス(2−ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼン;及びこれらの混合物;m−アミノフェノール誘導体、例えば:3−アミノ−フェノール、5−アミノ−2−メチル−フェノール、5−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−2−メチル−フェノール、及び3−アミノ−2−メチル−フェノール;1−メチル−2−ヒドロキシ−4−(2’−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン;1−ヒドロキシ−3−アミノ−2,4−ジクロロベンゼン;1,3−ビス−(2,4−ジアミノフェノキシ)プロパン;1−ヒドロキシ−2−メチル−5−アミノ−6−クロロベンゼン;5−アミノ−4−クロロ−2−メチルフェノール;及びこれらの混合物;並びに複素環式誘導体、例えば:3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−オール、4−メチル−2−フェニル−2,4−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン、1,3−ベンゾジオキソール−5−オール、1,3−ベンゾジオキソール−5−アミン、1H−インドール−4−オール、1H−インドール−5,6−ジオール、1H−インドール−7−オール、1H−インドール−5−オール、1H−インドール−6−オール、1H−インドール−2,3−ジオン、ピリジン−2,6−ジアミン、2−アミノピリジン−3−オール、4−ヒドロキシ−N−メチルインドール、1H−5−メチルピラゾール−5−オン、1−フェニル−3−メチルピラゾール−5−オン、2,6−ジメチルピラゾロ[1,5−b]−1,2,4−トリアゾール、2,6−ジメチル[3,2−c]−1,2,4−トリアゾール、6−メチルピラゾロ−[1,5−a]ベンズイミダゾール;2,6−ジヒドロキシピリジン;2,6−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルピリジン;6−ヒドロキシベンゾモルホリン;2,6−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルピリジン;3,5−ジアミノ−2,6−ジメトキシピリジン;3−アミノ−2−メチルアミノ−6−メトキシピリジン;1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン−2,4−ジヒドロ−5,2−フェニル−3H−ピラゾール−3−オン;及びこれらの混合物が挙げられる。
【0069】
より好ましいカップラーには、ベンゼン−1,3−ジオール;4−クロロベンゼン−1,3−ジオール;2−メチル−ベンゼン−1,3−ジオール;ベンゼン−1,3−ジアミン;3−アミノ−フェノール;5−アミノ−2−メチル−フェノール;1−メチル−2−ヒドロキシ−4−(2’−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン;4−メチル−2−フェニル−2,4−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン;2−アミノピリジン−3−オール;1−フェニル−3−メチルピラゾール−5−オン;1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン−2,4−ジヒドロ−5,2−フェニル−3H−ピラゾール−3−オン;及びこれらの混合物が挙げられる。
【0070】
本明細書に用いるのに特に好ましい染料には、p−フェニレンジアミン、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、2,5−ジアミノトルエンサルフェート、p−メチルアミノフェノール、N,N−ビス−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミンサルフェート、4−アミノ−2,6−ジクロロフェノール、m−アミノフェノール、4−アミノ−20ヒドロキシトルエン、レゾルシノール、メチルレゾルシノール、ナフトール、2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン、2−アミノ−4−ヒドロキシエチルアミノアニソールサルフェート、2−メチル−5−ヒドロキシエチルアミノフェノール、m−フェニレンジアミンサルフェート、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾールサルフェート、1−アセトキシ−2−メチルナフタレン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0071】
本発明の毛髪着色組成物はまた、非酸化毛髪染料、即ち単独で又は以上に記載した酸化染料と組み合わせて用いてもよい直接染料を包含してもよい。好適な直接染料には、アゾ又はアントラキノン染料、及びベンゼン系のニトロ誘導体及び/又はメラニン前駆体、及びこれらの混合物が挙げられる。こうした直接染料は、色相の変化又はハイライトを送達するのに特に有用である。
【0072】
本発明の毛髪染料組成物は、一般に約0.001%〜約10%の染料を含む。例えば、低い強度の染色、例えば自然な金髪から薄い茶色の毛髪の色相を提供する組成物は、一般に染色組成物の約0.001重量%〜約5重量%、好ましくは約0.1重量%〜約2重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約1重量%の前駆体及びカップラーを含む。より暗い色相、例えば茶色及び黒は典型的には、0.001重量%〜約10重量%、好ましくは約0.05重量%〜約7重量%、より好ましくは約1重量%〜約5重量%の前駆体及びカップラーを含む。
【0073】
(増粘剤)
本発明の組成物は任意に少なくとも約0.01%の増粘剤を更に含んでもよい。増粘剤は好ましくは、滴らずに毛髪に容易に適用できる組成物を提供するために、26℃で約1,000〜40,000cP(1Pa・s〜40Pa・s)の粘度を組成物に提供するために十分な量で含まれる。
【0074】
少なくとも1つの増粘剤が、
(i)結合増粘剤;
(ii)架橋アクリル酸ホモポリマー;
(iii)(メタ)アクリル酸と(C1〜C6)アルキルアクリレートとの架橋コポリマー;
(iv)エステル及びアミド型のエチレンの不飽和モノマーを含有する非イオン性ホモポリマー及びコポリマー;
(v)アクリル酸アンモニウムホモポリマー、及びアクリル酸アンモニウムとアクリルアミドとのコポリマー;
(vi)多糖類;
(vii)C12〜C30脂肪族アルコール、並びに
(viii)粒子状又は結晶性増粘剤
から選択される。
【0075】
(i)本明細書で使用する時、「結合増粘剤」という表現は、親水性単位及び疎水性単位の両方、例えば少なくとも1つのC8〜C30の脂肪鎖及び少なくとも1つの親水性単位を含む両親媒性の増粘剤を意味する。用いられてもよい代表的な結合増粘剤は、
(i)少なくとも1つの脂肪鎖及び少なくとも1つの親水性単位を含む非イオン性両親媒性ポリマー;
(ii)少なくとも1つの親水性単位及び少なくとも1つの脂肪鎖単位を含むアニオン性両親媒性ポリマー;
(iii)少なくとも1つの親水性単位及び少なくとも1つの脂肪鎖単位を含むカチオン性両親媒性ポリマー;並びに
(iv)少なくとも1つの親水性単位及び少なくとも1つの脂肪鎖単位を含む両性両親媒性ポリマー;
から選択される結合ポリマーである。
【0076】
少なくとも1つの脂肪鎖及び少なくとも1つの親水性単位を含む非イオン性両親媒性ポリマーが、例えば次のものから選択されてもよい:
(1)少なくとも1つの脂肪鎖を含む基により変性されたセルロース;例えば:アルキル、アリールアルキル、及びアルキルアリール基から選択される少なくとも1つの脂肪鎖を含む基により変性されたヒドロキシエチルセルロースであって、その際アルキル基は、例えばC8〜C22であり、例えばアクアロン社(Aqualon)により販売される製品ナトロゾルプラス・グレード(Natrosol Plus Grade)330CS(C16アルキル)、及びベロル・ノーベル社(Berol Nobel)により販売される製品ベルモコール(Bermocoll)EHM100、並びにポリアルキレングリコールアルキルフェニルエーテル基により変性されたセルロース、例えばアマコール社(Amerchol)により販売される製品アマーセル・ポリマー(Amercell Polymer)HM−1500(ポリエチレングリコール(15)ノニルフェニルエーテル)。
【0077】
(2)少なくとも1つの脂肪鎖を含む基により変性されたヒドロキシプロピルグアー、例えばランバータイ社(Lamberti)により販売される製品エサフロール(Esaflor)HM22(C22アルキル鎖)、及びローディア・キミー社(Rhodia Chimie)により販売される製品ミラケア(Miracare)XC95−3(C14アルキル鎖)及びRE205−1(C20アルキル鎖)。
【0078】
(3)少なくとも1つの脂肪鎖、例えばC10〜C30アルキル又はアルケニル基を含むポリエーテルウレタン、例えばアクゾ社(Akzo)により販売される製品エルファコス(Elfacos)T210及びエルファコス(Elfacos)T212又はローム・アンド・ハース社(Rohm & Haas)より販売される製品アクリン(Aculyn)44及びアクリン(Aculyn)46。
【0079】
(4)ビニルピロリドンと脂肪鎖疎水性モノマーとのコポリマー;例としては、I.S.P.社により販売される製品アンタロン(Antaron)V216及びガネックス(Ganex)V216(ビニルピロリドン/ヘキサデセンコポリマー)、I.S.P.社により販売される製品アンタロン(Antaron)V220及びガネックス(Ganex)V220(ビニルピロリドン/エイコセンコポリマー)が挙げられる。
【0080】
(5)C1〜C6アルキルアクリレート又はメタクリレートと、少なくとも1つの脂肪鎖を含む両親媒性モノマーとのコポリマー、例えばゴールドシュミット社(Goldschmidt)より名称アンティル(Antil)208として販売されているオキシエチレン化メチルメタクリレート/ステアリルアクリレートコポリマー。
【0081】
(6)親水性アクリレート又はメタクリレートと少なくとも1つの脂肪鎖を含む疎水性モノマーとのコポリマー、例えばポリエチレングリコールメタクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマー。
【0082】
少なくとも1つの親水性単位及び少なくとも1つの脂肪鎖単位を含むアニオン性両親媒性ポリマーは、例えば、少なくとも1つの脂肪鎖アリルエーテル単位、及びエチレンの不飽和アニオン性モノマー単位、例えば、ビニルカルボン酸単位及び更には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、及びこれらの混合物から得られる単位から選択されるビニルカルボン酸単位を含む少なくとも1つの親水性単位を含むものから選択されてもよく、その際脂肪鎖アリルエーテル単位は以下の式:
CH2=C(R1)CH2OBnR(I)
[式中、R1はH及びCH3から選択され、Bはエチレンオキシラジカルであり、nは0及び1〜100の範囲の整数から選択され、Rは、10〜30個の炭素原子、更には例えば10〜24個の炭素原子、及びより更には例えば12〜18個の炭素原子を含むアルキル、アリールアルキル、アリール、アルキルアリール、及びシクロアルキルラジカルから選択される炭化水素系ラジカルから選択される]のモノマーに相当する。
【0083】
1つの実施形態では、式(I)の単位は、例えば、R1がHであり得、nが10と等しいことができ、Rがステアリル(C18)ラジカルであり得る単位である。
【0084】
この型のアニオン性両親媒性ポリマーは、特許EP−0216479B2のエマルション重合プロセスにより記載及び調製される。
【0085】
1つの実施形態では、アニオン性両親媒性ポリマーは、例えば、20重量%〜60重量%のアクリル酸及び/又はメタクリル酸、5重量%〜60重量%の低級アルキル(メタ)アクリレート、2重量%〜50重量%の式(I)の脂肪鎖アリルエーテル、及び0重量%〜1重量%の架橋剤から形成されるポリマーであり、この架橋剤は周知の共重合可能な不飽和ポリエチレンモノマー、例えば、ジアリルフタレート、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート及びメチレンビスアクリルアミドである。
【0086】
こうしたポリマーの例は、メタクリル酸、エチルアクリレート、及びポリエチレングリコール(10EO)ステアリルエーテル(ステアレス−10)の架橋ターポリマー、例えばチバ社(Ciba)より名称サルケア(Salcare)SC80及びサルケア(Salcare)SC90として販売されるものであり、これはメタクリル酸、エチルアクリレート、及びステアレス−10アリルエーテル(40/50/10)の架橋ターポリマーの水性30%エマルションである。
【0087】
アニオン性両親媒性ポリマーは、例えば、不飽和オレフィンのカルボン酸型の少なくとも1つの親水性単位、及び不飽和カルボン酸の(C10〜C30)アルキルエステルのような型の少なくとも1つの疎水性単位を含むものから更に選択されてもよい。不飽和オレフィンのカルボン酸型の親水性単位は、例えば、以下の式(II):
【0088】
【化2】

[式中、R1は、H、CH3、及びC2H5から選択され、即ちアクリル酸、メタクリル酸、及びエタクリル酸単位である]のモノマーに相当する。また不飽和カルボン酸の(C10〜C30)アルキルエステルのような型の疎水性単位は、例えば、以下の式(III):
【0089】
【化3】

[式中、R1は、H、CH3、及びC2H5から選択され(即ちアクリルレート、メタクリレート、及びエタクリレート単位)、例えば、H(アクリレート単位)及びCH3(メタクリレート単位)から選択され、R2はC10〜C30アルキルラジカル、例えば、C12〜C22アルキルラジカルから選択される]のモノマーに相当する。
【0090】
不飽和カルボン酸の(C10〜C30)アルキルエステルの例には、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、及びドデシルアクリレート、及び対応するメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、及びドデシルメタクリレートが挙げられる。
【0091】
この型のアニオン性両親媒性ポリマーは、例えば、米国特許第3,915,921号、及び第4,509,949号により開示及び調製される。
【0092】
用いることができる代表的なアニオン性両親媒性ポリマーは更に、次のもの:
(i)アクリル酸、以下の式(IV)のエステル:
【0093】
【化4】

[式中、R1は、H及びCH3から選択され、R2はC10〜C30アルキルラジカル、例えば12〜22個の炭素原子を含むアルキルラジカルから選択される]、架橋剤の混合物から形成されるポリマーであって;例えば95重量%〜60重量%のアクリル酸(親水性単位)、4重量%〜40重量%のC10〜C30アルキルアクリレート(疎水性単位)、及び0重量%〜6重量%の架橋重合可能なモノマーから得られるポリマー、若しくは98重量%〜96重量%のアクリル酸(親水性単位)、1重量%〜4重量%のC10〜C30アルキルアクリレート(疎水性単位)、及び0.1重量%〜0.6重量%の架橋重合可能なモノマーから得られるポリマー;又は
(ii)アクリル酸及びラウリルメタクリレートを含むモノマーの混合物から形成されるポリマーであって、例えば66重量%のアクリル酸及び34重量%のラウリルメタクリレートから形成されるポリマーから選択されてもよい。
【0094】
架橋剤は、基(V)を含むモノマーであり得、
【0095】
【化5】

不飽和結合が互いに共役していない少なくとも1つの他の重合可能な基を有する。例えば、ポリアリルスクロース及びポリアリルペンタエリスリトールのようなポリアリルエーテルを挙げてもよい。
【0096】
上述の前記ポリマーの中で、例えば、ノベオン社(Noveon)により商標名ペムレン(Pemulen)TR1、ペムレン(Pemulen)TR2、カーボポール(Carbopol)1382として販売される製品、更には例えばペムレン(Pemulen)TR1及びS.E.P.C.社により名称コーテックス(Coatex)SXとして販売される製品を挙げてもよい。
【0097】
好適なアニオン性両親媒性脂肪鎖ポリマーには、例えば、アマコール社(Amerchol)により名称ビスコフォーベ(Viscophobe)DB1000として販売されている、メタクリル酸/メチルアクリレート/エトキシル化アルキルジメチル−メタ−イソプロペニルベンジルイソシアネートコポリマーが挙げられる。
【0098】
用いられるカチオン性両親媒性ポリマーは、例えば、四級化されたセルロース誘導体及びアミノ側基を含むポリアクリレートから選択される。
【0099】
四級化されたセルロース誘導体は、例えば;少なくとも1つの脂肪鎖を含む基、例えば少なくとも8個の炭素原子を含むアルキル、アリールアルキル、及びアルキルアリール基、及びこれらの混合物により変性された四級化されたセルロース、少なくとも1つの脂肪鎖を含む基、例えば少なくとも8個の炭素原子を含むアルキル、アリールアルキル、及びアルキルアリール基、及びこれらの混合物により変性された四級化されたヒドロキシエチルセルロースから選択される。
【0100】
例えば疎水基を有するアミノ側基を含む四級化された及び四級化されていないポリアクリレート、例えばステアレス20(ポリオキシ−エチレン化(20)ステアリルアルコール)及び(C10〜C30)アルキルPEG−20イタコネートである。
上記の四級化されたセルロース及びヒドロキシエチルセルロースが有するアルキルラジカルは、例えば8〜30個の炭素原子を含有する。例えばアリールラジカルは、フェニル、ベンジル、ナフチル、及びアンスリル基から選択される。
【0101】
C8〜C30の脂肪鎖を含む四級化されたアルキルヒドロキシエチル−セルロースの例は、アマコール社(Amerchol)により販売される製品クァトリソフト(Quatrisoft)LM200、クァトリソフト(Quatrisoft)LM−X529−18−A、クァトリソフト(Quatrisoft)LM−X529−18B(C12アルキル)、及びクァトリソフト(Quatrisoft)LM−X529−8(C18アルキル)、並びにクローダ社(Croda)により販売される製品クローダセル(Crodacel)QM、クローダセル(Crodacel)QL(C12アルキル)、及びクローダセル(Crodacel)QS(C18アルキル)である。
アミノ側鎖を含むポリアクリレートの例は、ナショナル・スターチ社(National Starch)からのストラクチャ・プラス(Structure Plus)である。
【0102】
少なくとも1つの親水性単位及び少なくとも1つの脂肪鎖単位を含む両性両親媒性ポリマーの中で、例えば、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド/アクリル酸/C10〜C30アルキルメタクリレートコポリマーを挙げてもよく、その際アルキルラジカルは、例えば、ステアリルラジカルである。
【0103】
(ii)架橋アクリル酸ホモポリマーの中で挙げてもよいのは、糖系のアリル型アルコールエーテルと架橋したもの、例えばノベオン社(Noveon)により名称カーボポール(Carbopol)980、981、954、2984、及び5984として販売される製品、又は3Vシグマ社(3V Sigma)により名称シンザレン(Synthalen)M、シンザレン(Synthalen)L、及びシンザレン(Synthalen)Kとして販売される製品である。
【0104】
(iii)(メタ)アクリル酸とC1〜C6アルキルアクリレートとの架橋コポリマーが、例えば、コーテックス社(Coatex)により名称ビスコーテックス(Viscoatex)538Cとして販売される38%の活性物質を含む水性分散液としてのメタクリル酸とエチルアクリレートとの架橋コポリマー、及びローム・アンド・ハース社(Rohm & Haas)により名称アクリン(Aculyn)33として販売される28%の活性物質を含む水性分散液としてのアクリル酸とエチルアクリレートとの架橋コポリマーから選択されることができる。メタクリル酸とエチルアクリレートとの架橋コポリマーには、ノベオン社(Noveon)により名称カーボポール・アクアSF−1(Carbopol Aqua SF-1)として製造及び販売される30%の活性物質を含む水性分散液が挙げられる。
【0105】
(iv)エステル及び/又はアミド型のエチレンの不飽和モノマーを含む非イオン性ホモポリマー又はコポリマーの中では、サイテック社(Cytec)により名称:サイアネーマー(Cyanamer)P250(ポリアクリルアミド);USコスメティックス社(US Cosmetics)によりPMMA MBX−8C(メチルメタクリレート/エチレングリコールジメタクリレートコポリマー);ローム・アンド・ハース社(Rohm & Haas)によりアクリロイド(Acryloid)B66(ブチルメタクリレート/メチルメタクリレートコポリマー);コボ社(Kobo)によりBPA500(ポリメチルメタクリレート)として販売される製品を挙げてもよい。
【0106】
(v)挙げてもよいアンモニウムアクリレートホモポリマーには、ヘキスト社(Hoechst)により名称マイクロサップ(Microsap)PAS5193として販売される製品が挙げられる。
【0107】
アンモニウムアクリレートとアクリルアミドとのコポリマーには、ヘキスト社(Hoechst)により名称ボーズポール C ヌーボー(Bozepol C Nouveau)として販売される製品、又はヘキスト社(Hoechst)により販売される製品PAS5193が挙げられる(これは、文献FR−2416723、米国特許第2,798,053号及び同第2,923,692号に記載され及び調製される)。
【0108】
(vi)多糖類は、例えば、グルカン、変性及び非変性デンプン(例えば小麦、トウモロコシ、又は米のような穀物から、キマメのような野菜、及びジャガイモ又はカッサバ(cassaya)のような塊茎から得られるものなど)、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、デキストラン、セルロース及びその誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロース)、マンナン、キシラン、リグニン、アラバン、ガラクタン、ガラクツロナン、キチン、キトサン、グルクロノキシラン、アラビノキシラン、キシログルカン、グルコマンナン、ペクチン酸及びペクチン、アルギン酸及びアルギネート、アラビノガラクタン、カラギーナン、寒天、グリコサミノグリカン、サクシノグルカン、アラビアゴム、トラガカントゴム、ガッティゴム(ghatti gums)、カラヤガム、カロブガム、ガラクトマンナン、例えばグアーガム、及びその非イオン性誘導体(ヒドロキシプロピルグアー)、及びキサンタンガム、及びこれらの混合物から選択される。
【0109】
例えば、好適な多糖類は、「工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)」、カーク・オスマー(Kirk-Othmer)、第3版、1982年、第3巻、896〜900ページ、及び第15巻、439〜458ページ、「天然のポリマー(Polymers in Nature)」、E.A.マクレガー(E.A.MacGregor)及びC.T.グリーンウッド(C.T.Greenwood)、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)により出版、第6章、240〜328ページ、1980年、及び「産業用ゴム類−多糖類及びその誘導体(Industrial Gums−Polysaccharides and their Derivatives)」、ロイ・L.ホイッスラー(Roy L.Whistler)編集、第2版、アカデミック・プレス社(Academic Press Inc.)により出版に記載されており、これら3つの出版物の内容はそのすべてを本明細書に参考として組み込まれる。
【0110】
例えば、デンプン、グアーガム、及びセルロース及びその誘導体を用いることができる。好適なデンプンは、例えば無水グルコース単位である基本的な部分を含むポリマー形態の巨大分子を包含する。これらの部分の数及びそれらの組み立ては、アミロース(直鎖ポリマー)とアミロペクチン(分枝鎖ポリマー)を識別することを可能にする。アミロース及びアミロペクチンの相対的割合、またそれらの重合度は、デンプンの植物源の関数として変化し得る。用いられるデンプン分子の植物源は、穀物又は塊茎であってもよい。したがって、デンプンは、例えば、トウモロコシデンプン、米デンプン、キャッサバ(cassaya)デンプン、タピオカデンプン、大麦デンプン、ジャガイモデンプン、小麦デンプン、サトウモロコシデンプン、及び豆デンプンから選択され得る。デンプンは一般に白色粉末の形態であり、これは冷水には不溶性であり、3〜100ミクロンの範囲の基本粒径を有する。デンプンは任意に、C1〜C6ヒドロキシアルキル化又はC1〜C6アシル化(例えばアセチル化)されていてもよい。デンプンはまた、加熱処置をされていてもよい。二デンプンリン酸塩(Distarch phosphates)又は二デンプンリン酸塩が豊富な化合物、例えばアベベ社(Avebe)によりプレジェル(Prejel)VA−70−T AGGL(ゼラチン化されたヒドロキシプロピル化キャッサバ(cassaya)二デンプンリン酸塩)若しくはプレジェル(Prejel)TK1(ゼラチン化されたキャッサバ(cassaya)二デンプンリン酸塩)若しくはプレジェル(Prejel)200(ゼラチン化されたアセチル化キャッサバ(cassaya)二デンプンリン酸塩)の参照により販売される製品、又はナショナル・スターチ社(National Starch)からのストラクチャ(Structure)ZEA(ヒドロキシプロピル化トウモロコシ二デンプンリン酸塩)、ナショナル・スターチ社(National Starch)からのストラクチャ(Structure)XL(ヒドロキシプロピル化デンプンリン酸塩(starch phosphate))もまた用いられてもよい。
【0111】
グアーガムもまた、変性又は非変性であってもよい。非変性グアーガムは、例えば、ユニペクチン社(Unipectine)により名称ビドガム(Vidogum)GH175として、及びメイホール社(Meyhall)により名称メイロ−グアー(Meyro-Guar)50及びジャガー(Jaguar)Cとして販売される製品である。変性された非イオン性グアーガムは、例えば、C1〜C6ヒドロキシアルキル基により変性されている。ヒドロキシアルキル基の中では、例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、及びヒドロキシブチル基が挙げられてもよい。これらのグアーガムは、当該技術分野において周知であり、ヒドロキシプロピル基により変性されたグアーガムを得るために、例えばプロピレンオキシドのような相当するアルケンオキシドとグアーガムを反応させることにより調製できる。グアーガムに存在する遊離のヒドロキシ基の数により消費されるアルキレンオキシド分子の数に相当する、ヒドロキシアルキル化度は、例えば、0.4〜1.2の範囲であってもよい。
【0112】
ヒドロキシアルキル基により任意に変性されたこうした非イオン性グアーガムは、例えば、ローディア・キミー(Rhodia Chimie)(メイホール(Meyhall))社により商標名ジャガー(Jaguar)HP8、ジャガー(Jaguar)HP60、及びジャガー(Jaguar)HP120、ジャガー(Jaguar)DC293、及びジャガー(Jaguar)HP105、又はアクアロン社(Aqualon)により名称ガラクタソール(Galactasol)4H4FD2として販売されている。
【0113】
好適なセルロースには、例えば、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースが挙げられ、例えばアクアロン社(Aqualon)により名称クルーセル(Klucel)EF、クルーセル(Klucel)H、クルーセル(Klucel)LHF、クルーセル(Klucel)MF、及びクルーセル(Klucel)Gとして販売される製品が挙げられる。
【0114】
(vii)C12〜C30脂肪族アルコールは、例えば、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、又はこれらの混合物から選択される。脂肪族アルコールが増粘剤として用いられる場合、約6を超えるHLB値を有する少なくとも1つの追加の界面活性剤が一般的に包含されて、脂肪族アルコールと共に二層を形成する。最も有用な二層構造には、脂肪族アルコールの平行な二層が水により膨張して半固体のクリームを形成するゲルネットワーク相、及び脂肪族アルコールの二層がほぼ球状の単一層状又は多層状集合体に湾曲された小胞分散物が挙げられる。
【0115】
(viii)粒子状及び結晶性増粘剤は、例えば、粘土、燻蒸シリカ、微結晶セルロース、トリヒドロキシステアリン(チキシンR(ThixcinR))、エチレングリコールモノステアレート及びジステアレート、又はこれらの混合物である。粒子状又は結晶性増粘剤は、当該技術分野において周知である機構、例えば粒子凝集、「ハウス・オブ・カード(house of card)」の粒子配列、又は結晶性繊維形成により作用する。
【0116】
(コンディショニング剤)
本発明の組成物は、コンディショニング剤を含む組成物を含んでもよく、又はそれとの組み合わせにおいて用いられてもよい。本明細書に用いるのに好適なコンディショニング剤は、シリコーン物質、アミノシリコーン、脂肪族アルコール、ポリマー樹脂、ポリオールカルボン酸エステル、カチオン性ポリマー、カチオン性界面活性剤、不溶性の油及び油に由来する物質、並びにこれらの混合物から選択される。追加の物質には、鉱油及びその他の油、例えばグリセリン及びソルビトールが挙げられる。
【0117】
コンディショニング剤は、一般に組成物の約0.05重量%〜約20重量%、好ましくは約0.1重量%〜約15重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約10重量%、更により好ましくは約0.2重量%〜約2重量の濃度で用いられる。
【0118】
特に有用なコンディショニング物質は、カチオン性ポリマーである。カチオン性ポリマー型のコンディショナーは、美容組成物により処置されたケラチン繊維の少なくとも1つの美容特性を改善するような当業者に既知のものから選択されてもよい。カチオン性ポリマーは、ポリマーの主鎖の一部を形成してもよいか又はポリマー主鎖に直接結合する側鎖置換基に有されてもよい、一級、二級、三級、及び四級アミン基から選択される少なくとも1つのアミン基の単位を含むものから選択することができる。こうしたカチオン性ポリマーは一般に、500〜5×106、又はより好ましくは1000〜3×106の範囲の数平均分子量を有する。用いられてもよいポリアミン、ポリアミノアミド及びポリ四級アンモニウム型のポリマーには次のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
1)アクリル酸又はメタクリル酸エステル又はアミドから得られるホモポリマー及びコポリマー。これらのポリマーのコポリマーはまた、一群のアクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアシルアミド、その窒素原子上で低級(C1〜C4)アルキルから選択される少なくとも1つの基により置換されたアクリルアミド及びメタクリルアミド、アクリル酸及びメタクリル酸及びこれらのエステル、ビニルピロリドン及びビニルカプロラクタムのようなビニルラクタム、並びにビニルエステルから選択されてもよいコモノマーから得られる少なくとも1つの単位を含むことができる。こうしたポリマーの例には次のものが挙げられる。
【0120】
アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメトサルフェートとのコポリマーであって、その例にはINCI命名法によりポリクオタニウム(Polquaternium)−5として知られるポリマー、例えばハーキュレス社(Hercules)により名称レテン(Reten)210、レテン(Reten)220、レテン(Reten)230、レテン(Reten)240、レテン(Reten)1104、レテン(Reten)1105、レテン(Reten)1006、及びナルコ社(Nalco)によりメルクァット(Merquat)5、メルクァット(Merquat)5SFとして販売される製品が挙げられる。
【0121】
ビニルピロリドンとジメチルアミノプロピルメタクリルアミドとのコポリマーであって、その例にはINCI命名法によりポリクオタニウム−28として知られるポリマー、例えばインターナショナル・スペシャルティー・プロダクツ社(International Speciality Products)(ISP)により、名称ガフクァット(Gafquat)HS−100として販売される製品が挙げられる。
【0122】
ビニルピロリドンとジアルキルアミノアルキルアクリレート類又はメタクリレート類(methactylates)とのコポリマーであって、その例にはINCI命名法によりポリクオタニウム(Polquaternium)−11として知られるポリマー、例えばインターナショナル・スペシャリティー・プロダクツ社(International Speciality Products)(ISP)により、名称ガフクァット(Gafquat)440、ガフクァット(Gafquat)734、ガフクァット(Gafquat)755、ガフクァット(Gafquat)755N、及びBASF社によりルビクァット(Luviquat)PQ11PM、及びシノ・リオン社(Sino Lion)によりポリクァット(Polyquat)−11として販売される製品が挙げられる。
【0123】
ビニルピロリドン、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドと、メタクリロイルアミノプロピルラウリルジモニウムクロライドとのコポリマーであって、その例にはINCI命名法によりポリクオタニウム−55として知られるポリマー、例えばインターナショナル・スペシャリティー・プロダクツ社(International Speciality Products)(ISP)により、名称スタイレーゼ(Styleze)W−20として販売される製品が挙げられる。
【0124】
アクリル酸、アクリルアミド、及びメタクリルアミドプロピルトリモニウムクロライドのコポリマーであって、その例にはINCI命名法によりポリクオタニウム−53として知られるポリマー、例えばナルコ社(Nalco)により名称メルクァット(Merquat)2003として販売される製品が挙げられる。
【0125】
ジメチルアミノプロピルアクリレート(dimethyaminopropylacrylate)(DMAPA)、アクリル酸、及びアクリロニトロゲン、及びジエチルサルフェートのコポリマーであって、その例にはINCI命名法によりポリクオタニウム−31として知られるポリマー、例えばリポ社(Lipo)により、名称ハイパン(Hypan)QT100として販売される製品が挙げられる。
【0126】
アクリルアミド、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロライド、2−アミドプロピルアクリルアミドスルホネート、及びジメチルアミノプロピルアクリレート(dimethyaminopropylacrylate)(DMAPA)のコポリマーであって、その例にはINCI命名法によりポリクオタニウム−43として知られるポリマー、例えばクラリアント社(Clairant)により、名称ボーズクァット(Bozequat)4000として販売される製品が挙げられる。
【0127】
アクリル酸、メチルアクリレート、及びメタクリルアミドプロピルトリモニウムクロライドのコポリマーであって、その例にはINCI命名法によりポリクオタニウム−47として知られるポリマー、例えばナルコ社(Nalco)により市販される名称メルクァット(Merquat)2001及びメルクァット(Merquat)2001Nとして販売される製品が挙げられる。
【0128】
メタクリロイルエチルベタイン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、及びメタクリロイルエチルトリメチルアンモニウムクロライドのコポリマーであって、その例にはINCI命名法によりポリクオタニウム−48として知られるポリマー、例えばグー・ケミカル社(Goo Chemcial)により、名称プラサイズ(Plascize)L−450として販売される製品が挙げられる。
【0129】
アクリル酸ジアリルジメチルアンモニウムクロライド及びアクリルアミドのコポリマーであって、その例にはINCI命名法によりポリクオタニウム39として知られるポリマー、例えばナルコ社(Nalco)により名称メルクァット(Merquat)3330及びメルクァット(Merquat)3331として販売される製品が挙げられる。
【0130】
更なる例には、メタクリルアミド(methacrylamide)メタクリルアミド(methacrylamido)−プロピルトリモニウム及びメタクリロイルエチルトリメチルアンモニウムクロライドのコポリマー、及びその他のモノマーとホモポリマー化又は共重合されたそれらの誘導体が挙げられ、その例にはINCI命名法により、ポリクオタニウム−8、ポリクオタニウム−9、ポリクオタニウム−12、ポリクオタニウム−13、ポリクオタニウム−14、ポリクオタニウム−15として知られるポリマー、例えばローム社(Rohm)により名称ロハギット(Rohagit)KF720Fとして販売される製品、ポリクオタニウム−30、例えばキメックス社(Chimex)により名称メクソメア(Mexomere)PXとして販売される製品、ポリクオタニウム−33、ポリクオタニウム−35、ポリクオタニウム−36、例えばロン社(Rhon)により名称プレックス(Plex)3074Lとして販売される製品、ポリクオタニウム45、例えばロン社(Rhon)により名称プレックス(Plex)3073Lとして販売される製品、ポリクオタニウム49、例えばグー・ケミカルズ社(Goo Chemcials)により、名称プラサイズ(Plascize)L−440として販売される製品、ポリクオタニウム50、例えばグー・ケミカルズ社(Goo Chemcials)により、名称プラサイズ(Plascize)L−441として販売される製品、ポリクオタニウム−52が挙げられる。
【0131】
2)カチオン性多糖類、例えばカチオン性セルロース及びカチオン性ガラクトマンナンガム。カチオン性多糖類の中で挙げてもよいのは、例えば、四級アンモニウム基を含むセルロースエーテル誘導体、及びカチオン性セルロースコポリマー、又は水溶性四級アンモニウムモノマーによりグラフトされたセルロース誘導体、並びにカチオン性ガラクトマンナンガムである。例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0132】
ヒドロキシエチルセルロース及びジアリルジメチルアンモニウムクロライドのコポリマーであって、その例にはINCI命名法によりポリクオタニウム−4として知られるポリマー、例えばナショナル・スターチ社(National Starch)により名称セルクァット(Celquat)L200及びセルクァット(Celquat)H100として販売される製品が挙げられる。
【0133】
ヒドロキシエチルセルロース及びトリメチルアンモニウム置換エポキシドのコポリマーであって、その例にはINCI命名法によりポリクオタニウム−10として知られるポリマー、例えばA&Eコノック社(A&E Connock)により名称AECポリクオタニウム−10(AEC Polyquaternium-10)、トーホー社(Toho)によりカチナル(Catinal)C−100、カチナル(Catinal)HC−35、カチナル(Catinal)HC−100、カチナル(Catinal)HC−200、カチナル(Catinal)LC−100、カチナル(Catinal)LC−200、ナショナル・スターチ社(National Starch)によりセルクァット(Celquat)SC−240C、セルクァット(Celquat)SC−230M、デッカー社(Dekker)によりデカクァット(Dekaquat)400、デカクァット(Dekaquat)3000、アクゾ・ノベル社(Akzo Nobel)によりレオガード(Leogard)GP、リタ社(RITA)により、リタ・ポリクタ(RITA Polyquta)400リタ(RITA)、ポリクタ(Polyquta)3000、アマコール社(Amerchol)によりユーケア・ポリマー(UCARE Polymer)JR−125、ユーケア・ポリマー(UCARE Polymer)JR−400、ユーケア・ポリマー(UCARE Polymer)JR−30M、ユーケア・ポリマー(UCARE Polymer)LK、ユーケア・ポリマー(UCARE Polymer)LR400、ユーケア・ポリマー(UCARE Polymer)LR30Mとして販売される製品が挙げられる。
【0134】
ヒドロキシエチルセルロース及びラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドのコポリマーであって、その例にはINCI命名法によりポリクオタニウム−24として知られるポリマー、例えばアマコール社(Amerchol)により名称クァトリソフト・ポリマー(Quatrisoft polymer)LM−200として販売される製品が挙げられる。
【0135】
ヒドロキシプロピルグアーの誘導体であって、その例には、INCI命名法によりグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロライドとして知られるポリマー、例えばトーホー社(Toho)により名称カチナル(Catinal)CG−100、カチナル(Catinal)CG−200、コグニス社(Cognis)によりコスメディア・グアー(Cosmedia Guar)C−261N、コスメディア・グアー(Cosmedia Guar)C−261N、コスメディア・グアー(Cosmedia Guar)C−261N、フリーダム・ケミカル・ダイアモルト社(Freedom Chemical Diamalt)によりダイアガム(DiaGum)P5070、ハーキュレス(Hercules)/アクアロン社(Aqualon)によりN−ハンスカチオン性グアー(N-Hance Cationic Guar)、ローディア社(Rhodia)によりハイ−ケア(Hi-Care)1000、ジャガー(Jaguar)C−17、ジャガー(Jaguar)C−2000、ジャガー(Jaguar)C−13S、ジャガー(Jaguar)C−14S、ジャガー・エクセル(Jaguar Excel)、ニッポン・スターチ社(Nippon Starch)によりキプロガム(Kiprogum)CW、キプロガム(Kiprogum)NGKとして販売される製品が挙げられる。
【0136】
グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロライドのヒドロキシプロピル誘導体であって、その例には、INCI命名法によりヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロライドとして知られるポリマー、例えばローディア社(Rhodia)により名称ジャガー(Jagaur)C−162として販売される製品が挙げられる。
【0137】
3)ポリアルキレンポリアミンとポリカルボン酸との縮合に続く二官能性剤によるアルキル化の結果として得られるポリアミノアミド誘導体。誘導体の中で、例えばアジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピル/ジエチレントリアミンを挙げてもよい。
【0138】
4)2つの一級アミン基及び少なくとも1つの二級アミン基を含むポリアルキレンポリアミンと、ジグリコール酸及び3〜8個の炭素原子を含む飽和脂肪族ジカルボン酸から選択されるジカルボン酸(decarboxylic acid)との反応により得られるポリマー。こうした誘導体の非限定例には、アジピン酸/エポキシプロピル(epxoypropyl)/ジエチレントリアミンが挙げられる。
【0139】
5)ジアルキルジアリルアミン(dialkdiallylamine)又はジアルキルジアリルアンモニウム(dialkyldiallyammonium)のシクロポリマー(Cyclopolymers)であって、このポリマーの中で次のものを挙げてもよい。
【0140】
ジメチルジアリルアンモニウムクロライドポリマー(Dimethyldiallyammonium chloride polymers)であって、その例には、INCI命名法によりポリクオタニウム−6として知られるポリマー、例えばナルコ社(Nalco)により名称メルクァット(Merquat)100、ローディア社(Rhodia)によりミラポール(Mirapol)100、コスメティック・レオロジーズ社(Cosmetic Rheologies)によりレオケア(Rheocare)CC6、A&Eコノック社(A&E Connock)によりAECポリクオタニウム−6(AEC Polyquaternium-6)、CPS社によりアゲクァット(Agequat)400、3V社(3V Inc.)によりコンディショナー(Conditioner)P6、SNF社によりフロケア(Flocare)C106、クラリアント社(Clariant)によりゲナミン(Genamin)PDAC、マッキンタイア社(McIntyre)によりマッカーニウム(Mackernium)006として販売される製品が挙げられる。
【0141】
アクリルアミド及びジメチルジアリルアンモニウムクロライドモノマーのコポリマーであって、その例にはINCI命名法によりポリクオタニウム−7として知られるポリマー、例えばA&Eコノック社(A&E Connock)により名称AECポリクオタニウム−7(AEC Polyquaternium-7)、CPS社によりアゲクァット(Agequat)−5008、アゲクァット(Agequat)C−505、3V社(3V Inc.)によりコンディショナー(Conditioner)P7、SNF社によりフロケア(Flocare)C107、マッキンタイア社(McIntyre)によりマッカーニウム(Mackernium)007、マッカーニウム(Mackernium)007S、トーホー社(Toho)によりMEポリマー(ME Polymer)09W、ナルコ社(Nalco)によりメルクァット(Merquat)550、メルクァット(Merquat)2200、メルクァット(Merquat)S、ローディア社(Rhodia)によりミラポール(Mirapol)550、コスメティック・レオロジーズ社(Cosmetic Rheologies)によりレオケア(Rheocare)CC7、レオケア(Rheocare)CCP7、チバ社(Ciba)によりサルケア(Salcare)HSP−7、サルケア(Salcare)SC10、サルケア・スーパー(Salcare Super)7として販売される製品が挙げられる。
【0142】
ジメチルジアリルアンモニウムクロライド及びアクリル酸のコポリマーであって、その例にはINCI命名法によりポリクオタニウム−22として知られるポリマー、例えばナルコ社(Nalco)により名称メルクァット(Merquat)280及びメルクァット(Merquat)295として販売される製品が挙げられる。
【0143】
6)[−N+(R1)(R2)−A1−N+(R3)(R4)−B1−][2X−]に相当する繰返し単位を含む四級ジアンモニウムポリマーであって、式中、同一であっても、又は異なっていてもよいR1、R2、R3、及びR4は、1〜20個の炭素原子を含む脂肪族、脂環式、及びアリール脂肪族(arylaliphatic)ラジカル並びに低級ヒドロキシアルキル脂肪族ラジカルから選択されるか、又はR1、R2、R3、及びR4は共に若しくは別個に、それらが結合する窒素原子と、窒素以外の第2のヘテロ原子を任意に含む複素環を構成するか、又はR1、R2、R3、及びR4は、ニトリル、エステル、アシル、及びアミド基、及び−CO−O−R5−D及び−CO−NH−R5−D[式中R5はアルキレン基から選択され、Dは四級アンモニウム基から選択される]の基から選択される少なくとも1つの基により置換される直鎖若しくは分枝鎖C1〜C6アルキルラジカルから選択される。同一であっても、又は異なっていてもよいA1及びB1は、2〜20個の炭素原子を含む直鎖及び分枝鎖の、飽和又は不飽和ポリメチレン基から選択される。主環に結合した又は挿入されたポリメチレン基は、芳香環、酸素及びイオウ原子、並びにスルホキシド、スルホン、ジスルフィド、アミノ、アルキルアミノ、ヒドロキシル、四級アンモニウム、ウレイド、アミド、及びエステル基から選択される少なくとも1つの存在を含んでもよく、X−は、無機及び有機酸から得られるアニオンである。Dは、グリコール残基、ビス−二級ジアミン残基、ビス−一級ジアミン残基、又はウレイレン基から選択される。その例にはINCI命名法によりヘキサジメスリンクロライド(Hexadimethrine chloride)として知られるポリマーが挙げられ、この場合、R1、R2、R3、及びR4は、それぞれメチルラジカルであり、A1は(CH2)3であり、B1は(CH2)6であり、X=Clである。その更なる例には、INCI命名法によりポリクオタニウム−34として知られるポリマーが挙げられ、この場合、R1及びR2はエチルラジカルであり、R3及びR4はメチルラジカルであり、A1は(CH2)3であり、B1は(CH2)3であり、X=Brであり、例えばキメックス社(Chimax)により名称メクソメア(Mexomere)PAXとして販売される製品が挙げられる。
【0144】
7)式[−N+(R6)(R7)−(CH2)r−NH−CO−(CH2)q−(CO)t−NH−(CH2)s−N+(R8)(R9)−A−][2X−]の繰返し単位を含むポリ四級アンモニウムポリマーであって、式中、同一であっても、又は異なっていてもよいR6、R7、R8、及びR9は、水素原子、及びメチル、エチル、プロピル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、及び−CH2CH2(OCH2CH2)pOHラジカル[式中、pは0又は1〜6の範囲の整数である]から選択され、式中、R6、R7、R8、及びR9はすべてが同時に水素原子を表さない。同一であっても、又は異なっていてもよいR及びsは、それぞれ1〜6の範囲の整数であり、qは0又は1〜34の範囲の整数であり、X−はハライドのようなアニオンである。Tは、0又は1に等しくなるように選択される整数である。Aは、−CH2−CH2−O−CH2−CH2−のような二価のラジカルから選択される。例としては、次のものが挙げられる。
【0145】
INCI命名法によりポリクオタニウム−2として知られるポリマーであって、その場合r=s=3、q=0、t=0であり、R6、R7、R8、及びR9はメチル基であり、並びにAは、−CH2−CH2−O−CH2−CH2であり、例えばエソックス(Ethox)から名称エスポール(Ethpol)PQ−2、及びローディア社(Rhodia)によりミラポール(Mirapol)A−15として販売される製品が挙げられる。
INCI命名法によりポリクオタニウム−17として知られるポリマーであって、その場合r=s=3、q=4、t=1であり、R6、R7、R8、及びR9はメチル基であり、並びにAは、−CH2−CH2−O−CH2−CH2である。
INCI命名法によりポリクオタニウム18として知られるポリマーであって、その場合r=s=3、q=7、t=1であり、R6、R7、R8、及びR9はメチル基であり、並びにAは、−CH2−CH2−O−CH2−CH2である。
【0146】
ポリクオタニウム−2とポリクオタニウム−17との反応により形成されるブロックコポリマーとして、INCI命名法によりポリクオタニウム27として知られるポリマー、例えばローディア社(Rhodia)により名称ミラポール(Mirapol)175として販売される製品。
【0147】
8)ビニルピロリドンとビニルイミダゾール及び任意にビニルカプロラクタムとのコポリマーであって、その例にはメチルビニルイミダゾリウムクロライド及びビニルピロリドンから形成されるポリクオタナリー(Polyquaternary)−16としてINCI命名法により知られるポリマー、例えばBASF社により名称ルビクァット(Luviquat)FC370、ルビクァット(Luviquat)FC550、ルビクァット(Luviquat)FC905、ルビクァット(Luviquat)HM−552として販売される製品が挙げられる。又はビニルカプロラクタム及びビニルピロリドンとメチルビニルイミダゾリウムメトサルフェートとのコポリマーであって、その例にはINCI命名法によりポリクオタニウム−46として知られるポリマー、例えばBASF社により名称ルビクァット・ホールド(Luviquat Hold)として販売される製品が挙げられる。又はビニルピロリドン及び四級化されたイミダゾリンのコポリマーであって、その例にはINCI命名法によりポリクオタナリー(poylquaterary)44として知られるポリマー、例えばBASF社により名称ルビクァット・ケア(Luviquat Care)として販売される製品が挙げられる。
【0148】
9)ポリアミン、例えばCTFA事典において、参照名ポリエチレングリコール(15)タローポリアミンとして、コグニス(Cognis)により販売される製品ポリクアート(Polyquart)H。
【0149】
10)架橋メタクリロイルオキシ(C1〜C4)アルキルトリ(C1〜C4)アルキルアンモニウム塩ポリマーであって、例えばメチルクロライドにより四級化されたジメチルアミノエチルメタクリレートのホモポリマー化により、又はアクリルアミドと、メチルクロライドにより四級化されたジメチルアミノエチルメタクリレートとの共重合により得られるポリマーであって、ホモポリマー化若しくは共重合は、その後メチレンビスアクリルアミドのようなオレフィンの不飽和を含む化合物により架橋され、その例にはINCI命名法によりポリクオタニウム−37として知られるポリマー、例えば3Vシグマ社(3V sigma)により名称シンザレン(Synthalen)CN、シンザレン(Synthalen)CR、シンザレン(Synthalen)CUとして販売される製品、又は別の媒体中での分散液として、例えばチバ社(Ciba)により名称サルケア(Salcare)SC95及びサルケア(Salcare)SC96、又はコスメティック・レオロジーズ社(Cosmetic Rheologies)によりレオケア(Rheocare)CTH(E)として販売される製品が挙げられる。又はその別の例では、INCI命名法によりポリクオタニウム−32として知られるポリマーが挙げられ、又は鉱油中での分散体として販売される時には、例えばチバ社(Ciba)により、名称サルケア(Salcare)SC92として販売される製品が挙げられる。
【0150】
11)カチオン性ポリマーの更なる例には、INCI命名法によりポリクオタニウム51として知られるポリマー、例えばNOF社により名称リピデュア(Lipidure)−PMBとして販売される製品、INCI命名法によりポリクオタニウム54として、例えばミツイ(Mitsui)により名称クォルティ(Qualty)−Hyとして販売される製品、及びINCI命名法によりポリクオタニウム56として、例えば三洋化成(Sanyo chemicals)により名称ヘアロール(Hairrol)UC−4として販売される製品が挙げられる。
【0151】
12)カチオン性基及び/又はカチオン性基にイオン化する場合がある基を含むシリコーンポリマー。例えば:一般式(R10−N+(CH3)2)−R11−(Si(CH3)2−O)x−R11−(N+(CH3)2)−R10)のカチオン性シリコーンであって、式中、R10はココヤシ油から得られるアルキルであり、R11は(CH2CHOCH2O(CH2)3であり、xは20〜2000の数であり、その例にはINCI命名法によりクオタニウム80として知られるポリマー、例えばゴールドシュミット社(Goldschmidt)により市販される名称アビルクアット(Abil Quat)3272、及びアビルクアット(Abil Quat)3474として販売される製品が挙げられる。
【0152】
カチオン性基にイオン化する場合がある基を含有するシリコーンであって、例えば少なくとも10個の繰返しシロキサン−(Si(CH3)2−O)単位をポリマー鎖の中に含有し、末端アミノ官能基、グラフトアミノ官能基、又は末端及びグラフトアミノ官能基の混合物のいずれかを有するアミノシリコーン。官能基の例としては、アミノエチルアミノプロピル、アミノエチルアミノイソブチル(aminoethylaminoisobutly)、アミノプロピルであるが、これらに限定されない。グラフトポリマーの場合は、末端のシロキサン単位は(CH3)3Si−O又はR12(CH3)2Si−Oのいずれかであり得、その場合R12は、OH又はOR13であり得、その場合R13は、C1〜C8アルキル基、又は両方の官能末端基の混合物であり得る。これらのシリコーンはまた、予備形成されたエマルションとして入手可能である。(CH3)3Si−Oの末端シロキサン単位を有するポリマーであって、その例にはINCI命名法によりトリメチルシリルアモジメチコンとして知られるポリマー、例えばダウ・コーニング社(Dow Corning)により名称DC−2−8566、DC7224、及びDC−2−8220として販売される製品、及びGEシリコーンズ社(GE Silicones)により市販されるSF1708、及びSM2125、及びワッカー・シリコーンズ社(Wacker silicones)により市販されるワッカー・ベルシル(Wacker Belsil)ADM653が挙げられる。更なる例には、(R12O)(CH3)2Si−Oの末端シロキサン単位を有するポリマーが挙げられ、その場合R12は、OH若しくはOR13であり得、その場合R13は、C1〜C8アルキル基、又は両方の官能末端基の混合物であり、INCI命名法によりアモジメチコンとして知られ、例えばワッカー・シリコーンズ社(Wacker silicones)により市販される名称ワッカー・ベルシル(Wacker Belsil)ADM1100、ワッカー・ベルシル(Wacker Belsil)ADM1600、ワッカー・ベルシル(Wacker Belsil)ADM652、ワッカー・ベルシル(Wacker Belsil)ADM6057E、ワッカー・ベルシル(Wacker Belsil)ADM8020として販売される製品、ダウ・コーニング社(Dow Corning)により市販されるDC929、DC939、及びDC949、並びにGEシリコーンズ社(GE Silicones)により市販されるSM2059が挙げられる。
【0153】
カチオン性基にイオン化する場合がある基を含有するシリコーンであって、例えば少なくとも10個の繰返しシロキサン−(Si(CH3)2−O)単位をポリマー鎖の中に含有し、末端アミノ官能基、グラフトアミノ官能基、又は末端及びグラフトアミノ官能基の混合物のいずれかを、追加の官能基と共に有するシリコーン。追加の官能基には、ポリオキシアルキレン、アミンとカルビノールの反応生成物、アルキル鎖を挙げることができる。例えば、INCI命名法によりメトキシPEG/PPG−7/3アミノプロピルジメチコンとして知られる製品であって、例えばデグサ社(Degussa)により市販されるアビルソフト(Abil Soft)AF100の名称で販売される製品。例えば、INCI命名法によりビス(C13〜15アルコキシ)PGアモジメチコンとして知られる製品、例えばダウ・コーニング社(Dow Corning)により市販されるDC8500の名称で販売される製品。
【0154】
(界面活性剤)
本発明による組成物は、1以上の界面活性剤を更に含んでもよい。本明細書に用いるのに好適な界面活性剤は、一般に、約8〜約30個の炭素原子の親油性の鎖長を有し、アニオン性、非イオン性、両性、及びカチオン性界面活性剤、及びこれらの混合物から選択することができる。界面活性剤の総濃度は、約1重量%〜約60重量%、好ましくは約2重量%〜約30重量%、より好ましくは約8重量%〜約25重量%、特には約10重量%〜約20重量%である。
【0155】
本発明の組成物は、アニオン性及び両性界面活性剤と1以上の非イオン性界面活性剤との混合物を好ましくは含む。アニオン性構成成分は、その場合組成物の約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは約0.1重量%〜約15重量%、より好ましくは約5重量%〜約15重量%の範囲で存在してもよく;両性又は非イオン性構成成分は独立して、約0.1重量%〜約15重量%、好ましくは約0.5重量%〜約10重量%、より好ましくは約1重量%〜約8重量%の範囲で存在してもよい。
【0156】
単独で又は混合物として用いることができるアニオン性界面活性剤の例として、例えば、次の化合物:アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルアミドエーテルサルフェート、アルキルアリールポリエーテルサルフェート、モノグリセリドサルフェート;アルキルスルホネート、アルキルホスフェート、アルキルアミドスルホネート、アルキルアリールスルホネート、a−オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート;アルキルスルホサクシネート、アルキルエーテルスルホサクシネート、アルキルアミドスルホサクシネート;アルキルスルホサクシナメート;アルキルスルホアセテート;アルキルエーテルホスフェート;アシルサルコシネート;アシルイセチオネート、及びN−アシルタウレートの塩(例えば、ナトリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、アミノアルコール塩、及びマグネシウム塩のアルカリ塩)を挙げてもよい。すべてのこれらの様々な化合物のアルキル又はアシルラジカルは、例えば8〜24個の炭素原子を含み、アリールラジカルは、例えば、フェニル及びベンジル基から選択される。また用いることができるアニオン性界面活性剤の中では、脂肪酸の塩、例えば、オレイン酸、リシノール酸、パルミチン酸、及びステアリン酸、ココヤシ油の酸、又は硬化ココヤシ油の酸の塩;アシルラジカルが8〜20個の炭素原子を含むアシルラクチレート(acyl lactylates)をまた挙げてもよい。弱アニオン性界面活性剤、例えばアルキル−D−ガラクトシドロン酸(alkyl-D-galactosiduronic acids)及びそれらの塩、並びにポリオキシアルキレン化(C6〜C24)アルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化(C6〜C24)アルキルアリールエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化(C6〜C24)アルキルアミドエーテルカルボン酸、及びそれらの塩、例えば、2〜50個のエチレンオキシド基を含むもの、並びにこれらの混合物もまた用いることができる。多糖類のアニオン性誘導体、例えば、アルキルポリグルコシドのカルボキシアルキルエーテルもまた用いることができる。
【0157】
非イオン性界面活性剤は、周知の化合物である(例えば、この点についてはM.R.ポーター(M.R.Porter)による「界面活性剤便覧(Handbook of Surfactants)」、ブラッキー・アンド・サン(Blackie & Son)(グラスゴー及びロンドン)により出版、1991年、116〜178ページ参照)。それらは、例えば8〜18個の炭素原子を含む脂肪鎖を含む、例えばポリエトキシル化、ポリプロポキシル化、及びポリグリセロール化脂肪酸、アルキルフェノール、α−ジオール及びアルコールから選択することができ、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド基の数が、例えば2〜200の範囲であり、グリセロール基の数が、例えば2〜30の範囲であることができる。エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドと脂肪族アルコールとの縮合物;好ましくは2〜30モルのエチレンオキシドを有するポリエトキシル化脂肪族アミド並びにそれらのモノエタノールアミン及びジエタノールアミン誘導体、例えば平均1〜5、例えば1.5〜4のグリセロール基を含むポリグリセロール化脂肪族アミド;2〜30モルのエチレンオキシドを含有するもののようなポリエトキシル化脂肪族アミン;2〜30モルのエチレンオキシドを有するソルビタンのオキシエチレン化脂肪酸エステル;スクロースの脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、N−アルキルグルカミン誘導体、アミンオキシド、例えば(C10〜C14)アルキルアミンオキシド、又はN−アシルアミノプロピルモルホリンオキシドをまた挙げてもよい。
【0158】
両性界面活性剤は、例えば脂肪族二級及び三級アミン誘導体から選択することができ、その際脂肪族ラジカルは、8〜22個の炭素原子を含み、少なくとも1つの水溶性アニオン性基(例えばカルボキシレート、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネート)を含む直鎖及び分枝鎖から選択され;また(C8〜C20)アルキルベタイン、スルホベタイン、(C8〜C20)アルキルアミド(C1〜C6)アルキルベタイン又は(C8〜C20)アルキルアミド(C1〜C6)アルキルスルホベタインを挙げてもよい。
【0159】
アミン誘導体の中では、例えば米国特許第2,528,378号、及び第2,781,354号に記載され、及び構造:
2−CON HCH2CH2−N+(R3)(R4)(CH2COO-)(VI)
[式中:R2は、加水分解されたココヤシ油中に存在する酸R2−COOHから得られるアルキルラジカル、及びヘプチル、ノニル、及びウンデシルラジカルから選択され、R3は、β−ヒドロキシエチル基であり、及びR4は、カルボキシメチル基である];並びに
5−CONHCH2CH2−N(B)(C)(VII)
[式中、Bは、−CH2CH2OX’を表し、Cは、−(CH2z−Y’を表し、z=1又は2であり、X’は、−CH2CH2−COOH基及び水素原子から選択され、Y’は、−COOH及び−CH2−CHOH−SO3Hラジカルから選択され、R5は、ココヤシ油又は加水分解された亜麻仁油中に存在する酸R5−COOHのアルキルラジカル、C7、C9、C11及びC13アルキルラジカル、C17アルキルラジカル及びそのイソ形態、及び不飽和C17ラジカルのようなアルキルラジカルから選択される]を有するような名称ミラノール(Miranol)として販売される製品を挙げてもよい。これらの化合物は、CTFA事典、第5版、1993年において、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、ラウロアンホ二酢酸二ナトリウム、カプリルアンホ二酢酸二ナトリウム(disodium caprylamphodiacetate)、カプリロアンホ二酢酸二ナトリウム(disodium capryloamphodiacetate)、ココアンホ二プロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホ二プロピオン酸二ナトリウム、カプリルアンホ二プロピオン酸二ナトリウム(disodium caprylamphodipropionate)、カプリロアンホ二プロピオン酸二ナトリウム(disodium capryloamphodipropionate)、ラウロアンホ二プロピオン酸、及びココアンホ二プロピオン酸の名称のもとに分類されている。ジエチルアミノプロピルココアスパルタミド(diethyl aminopropyl cocoaspartamid)の塩もまた用いることができる。
【0160】
カチオン性界面活性剤は次のものから選択されてもよい:A)以下の一般式(VIII)の四級アンモニウム塩:
【0161】
【化6】

式中、X-は、ハライド(クロライド、ブロマイド、及びイオダイド)、(C2〜C6)アルキルサルフェート、例えばメチルサルフェート、ホスフェート、アルキル及びアルキルアリールスルホネート、及び有機酸から得られるアニオン、例えばアセテート及びラクテートから選択されるアニオンであり、
i)同一であっても、又は異なっていてもよいラジカルR1〜R3は、1〜4個の炭素原子を含む直鎖及び分枝鎖脂肪族ラジカル、並びにアリール及びアルキルアリールのような芳香族ラジカルから選択される。脂肪族ラジカルは、少なくとも1個のヘテロ原子、例えば酸素、窒素、イオウ、及びハロゲンを含むことができる。脂肪族ラジカルは、例えば、アルキル、アルコキシ、及びアルキルアミドラジカルから選択され、
4は、16〜30個の炭素原子を含む直鎖及び分枝鎖アルキルラジカルから選択される。
【0162】
カチオン性界面活性剤は、例えば、ベヘニルトリメチルアンモニウム塩(例えばクロライド)である。
【0163】
ii)同一であっても、又は異なっていてもよいラジカルR1及びR2は、1〜4個の炭素原子を含む直鎖及び分枝鎖脂肪族ラジカル、並びにアリール及びアルキルアリールのような芳香族ラジカルから選択される。脂肪族ラジカルは、少なくとも1個のヘテロ原子、例えば酸素、窒素、イオウ、及びハロゲンを含むことができる。脂肪族ラジカルは、例えば約1〜4個の炭素原子を含むアルキル、アルコキシ、アルキルアミド、及びヒドロキシアルキルラジカルから選択され;
同一であっても、又は異なっていてもよいR3及びR4は、12〜30個の炭素原子を含む直鎖及び分枝鎖アルキルラジカルから選択され、前記アルキルラジカルはエステル及びアミド官能から選択される少なくとも1つの官能を含む。
【0164】
3及びR4は、例えば、(C12〜C22)アルキルアミド(C2〜C6)アルキル及び(C12〜C22)アルキルアセテートラジカルから選択される。
【0165】
カチオン性界面活性剤は、例えば、ジセチルジメチルアンモニウム塩(例えば、クロライド)から選択される;
B)イミダゾリニウムの四級アンモニウム塩、例えば以下の式(IX)のもの:
【0166】
【化7】

式中、R5は、8〜30個の炭素原子を含むアルケニル及びアルキルラジカル、例えばタローの脂肪酸誘導体から選択され、
6は、水素原子、C1〜C4アルキルラジカル、並びに8〜30個の炭素原子を含むアルケニル及びアルキルラジカルから選択され、R7は、C1〜C4アルキルラジカルから選択され、R8は、水素原子、及びC1〜C4アルキルラジカルから選択され、X-は、ハライド、ホスフェート、アセテート、ラクテート、アルキルサルフェート、アルキルスルホネート、及びアルキルアリールスルホネートから選択されるアニオンである。
【0167】
1つの実施形態では、R5及びR6は、例えば12〜21個の炭素原子を含むアルケニル及びアルキルラジカル、例えばタローの脂肪酸誘導体から選択されるラジカルの混合物であり、R7はメチルであり、R8は水素である。こうした製品は、例えばクオタニウム−27(CTFA 1997)又はクオタニウム−83(CTFA 1997)であり、これらはウィットコ社(Witco)により名称「レウォクァット(Rewoquat)(登録商標)」W75、W90、W75PG、及びW75HPGとして販売される、
C)−式(X)のジ四級アンモニウム塩:
【0168】
【化8】

式中、R9は、約16〜30個の炭素原子を含む脂肪族ラジカルから選択され、
同一であっても、又は異なっていてもよいR10、R11、R12、R13及びR14は、水素及び1〜4個の炭素原子を含むアルキルラジカルから選択され、
-は、ハライド、アセテート、ホスフェート、ニトレート、及びメチルサルフェートから選択されるアニオンである。こうしたジ四級アンモニウム塩には、例えば、プロパンタロージアンモニウムジクロライドが挙げられ;
D)以下の式(XI)の少なくとも1つのエステル官能を含む四級アンモニウム塩:
【0169】
【化9】

式中:
R15は、C1〜C6アルキルラジカル、及びC1〜C6ヒドロキシアルキル、及びジヒドロキシアルキルラジカルから選択され;
R16は:ラジカルR19C(O)−、直鎖及び分枝鎖の、飽和及び不飽和C1〜C22炭化水素系ラジカルR20、及び水素原子から選択され、R18は:ラジカルR21C(O)−、直鎖及び分枝鎖の、飽和及び不飽和C1〜C6炭化水素系ラジカルR22、並びに
水素原子から選択され、同一であっても、又は異なっていてもよいR17、R19、及びR21は、直鎖及び分枝鎖の、飽和及び不飽和C7〜C21炭化水素系ラジカルから選択され;同一であっても、又は異なっていてもよいn、p、及びrは、2〜6の範囲の整数から選択され;yは、1〜10の範囲の整数から選択され;同一であっても、又は異なっていてもよいx及びzは、0〜10の範囲の整数から選択され;X−は、単純な及び複雑な有機及び無機アニオンから選択されるアニオンであり;ただしx+y+zの合計は1〜15であり、xが0である時R16はR20であり、zが0である時R18はR22であることを条件とする。
【0170】
1つの実施形態では、式(XV)のアンモニウム塩を用いることができ、式中:
R15は、メチル及びエチルラジカルから選択され、x及びyは1に等しく;zは0又は1に等しく;n、p、及びrは2に等しく;R16は:ラジカルR19C(O)−、メチル、エチル、及びC14〜C22炭化水素系ラジカル、及び水素原子から選択され;同一であっても、又は異なっていてもよいR17、R19、及びR21は、直鎖及び分枝鎖の、飽和及び不飽和C7〜C21炭化水素系ラジカルから選択され;R18は:ラジカルR21C(O)−及び水素原子から選択される。こうした化合物は、例えば、コグニス社(Cognis)により名称デヒコート(Dehyquart)として、ステパン社(Stepan)によりステパンクァット(Stepanquat)として、セカ社(Ceca)によりノキサミウム(Noxamium)として、及びレウォ−ウィットコ社(Rewo-Witco)によりレウォクァット(Rewoquat)WE18として販売される。
【0171】
(キレート化剤)
本発明によると、組成物はキレート化剤を含んでもよい。キレート化剤は、当該技術分野において周知であり、それぞれが金属イオンとキレートを形成できる分子又は異なる分子の混合物を指す。キレート化剤は、当該技術分野において周知であり、その非包括的なリストは、AE・マーテル(AE Martell)及びRM・スミス(RM Smith)の、臨界安定度定数(Critical Stability Constants)、第1巻、プレナム出版(Plenum Press)、ニューヨーク&ロンドン(1974年)、並びにAE・マーテル(AE Martell)及びRD・ハンコック(RD Hancock)の、水溶液中の金属錯体(Metal Complexes in Aqueous Solution)、プレナム出版(Plenum Press)、ニューヨーク&ロンドン(1996年)に見出すことができ、両方共本明細書に参考として組み込まれる。
【0172】
本明細書に用いるのに好適なキレート化剤の例には、EDDS(エチレンジアミン二コハク酸)、カルボン酸(特に、アミノカルボン酸)、ホスホン酸(特に、アミノホスホン酸)、及びポリリン酸(特に、直鎖ポリリン酸)、それらの塩及び誘導体が挙げられる。
【0173】
キレート化剤は、本発明の組成物中に安定剤及び/又は防腐剤として組み込まれてもよい。加えて、キレート化剤は、毛髪繊維の損傷について効果を提供し、従ってそれらは本発明の毛髪損傷の様相を更に改善するために使用されてもよいことが判明している。本発明のキレート化剤の濃度は、ジアミン−N,N’−ジポリ酸及びモノアミンモノアミド−N,N’−ジポリ酸キレート化剤(例えばEDDS)のような最も有効なキレート化剤について約0.1%、好ましくは少なくとも約0.25%、より好ましくは約0.5%の低さであってもよい。より有効でないキレート化剤は、キレート化剤の有効性によって、より好ましくは、組成物の少なくとも約1重量%、更により好ましくは約2重量%を超える濃度で用いられる。約10重量%の高さの濃度を用いることもできるが、この濃度を超えると、著しい処方の問題が生じる場合がある。
【0174】
(溶媒)
本発明の組成物中に用いるのに好適な溶媒は、水、ブトキシジグリコール、プロピレングリコール、アルコール(変性)、エトキシジグリコール、イソプロピルアルコール、ヘキシレングリコール、ベンジルアルコール、及びジプロピレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0175】
最後に、本発明による組成物は、例えば水性組成物、粉末、ゲル、又は水中油型エマルションのような、いずれかの通常の形態において提供され得る。本発明による組成物のために好ましい形態は、塩に耐性がある増粘剤を含む濃縮溶液又は水中油型エマルションである。
【0176】
(使用方法)
本明細書に記載された使用方法の実施例及び実施形態は例示だけが目的であり、それを考慮した様々な変更又は変形が、本発明の範囲から逸脱することなく当業者に示唆されるであろうことが理解される。
【0177】
酸化毛髪染料組成物は、別個の容器のように個別包装された構成成分において、酸化染料、前駆体、及び典型的には好適なキャリア中のアンモニアであるアルカリ化剤を含む染料構成成分(エマルションについては「染料クリーム」又は溶液については「染料液」とも呼ばれる)並びに;酸化剤(通常は、過酸化水素)を含む過酸化水素構成成分(同様にエマルションについては「過酸化水素クリーム」又は溶液については「過酸化水素液」とも呼ばれる)を含むキットにおいて通常販売される。消費者は、染料構成成分と過酸化水素構成成分とを共に使用直前に混合し、それを毛髪上に適用する。以後の表中に与えられる例示された製剤は、これらの結果の混合物を示す。
【0178】
同様に、漂白組成物もまた、典型的には2又は3個の別個の容器の中に個別包装された2又は3の構成成分を含むキットとして通常販売される。第1の構成成分はアンモニウムイオン供給源(例えば、アンモニア)を含み、第2の構成成分は酸化剤を含み、及び第3(任意)の構成成分は第2の酸化剤を含む。漂白組成物は、上記の組成物を使用直前に混合することにより得られる。
【0179】
(毛髪すべてへの均一な適用を保証するため)数分間混合作業をした後、染色が起きるために十分な量で酸化染料組成物を毛髪上に残留させる(通常、約30分間)。次に消費者は、彼の/彼女の毛髪を水道水で完全にすすぎ、それを乾かす。毛髪が、その元の色から所望の色に変化したのが観察される。
【0180】
酸化染料組成物及び漂白組成物中に存在する時、任意のコンディショニング剤が第3の容器において提供され得る。後者の場合、すべての3つの組成物は使用直前に混合され共に適用されることができるか、又は第3の容器中の内容物は、他の容器の混合の結果として得られる酸化染料組成物又は漂白組成物の直後の後処置として、(任意のすすぎ工程の後に)適用され得る。
【0181】
酸化毛髪染料組成物については、ラジカルスカベンジャーは、染料構成成分内、若しくは過酸化水素構成成分内に含まれてもよく、又は別個に包装された別個のラジカルスカベンジャー構成成分として含まれてもよい。同様に、漂白組成物については、ラジカルスカベンジャーは、アンモニウムイオン供給源構成成分内、酸化剤構成成分内、又は第2の酸化剤構成成分内、若しくは別個のラジカルスカベンジャー構成成分内に含まれてもよいし、又は2以上の構成成分内に含まれてもよい。好ましくは、しかしながらラジカルスカベンジャーは、染料構成成分内に含まれる。
【0182】
本発明によると、ラジカルスカベンジャーは毛髪繊維に、毛髪処置プロセス中の異なる時間で適用されてもよい。本発明による毛髪の1つの処置方法によると、これは、少なくとも1つのラジカルスカベンジャーを含む組成物を別個に適用する工程、次いで酸化毛髪着色組成物又は別個の組成物を適用する工程を含む。酸化毛髪着色組成物又は酸化毛髪着色組成物類は、ペルオキシアニオンの少なくとも1つの供給源、少なくとも1つのアルカリ化剤、及び炭酸イオン、カルバミン酸イオン、及び/又は炭酸水素イオンの少なくとも1つの供給源を含んでもよい。これらの工程は、いずれの順番で実行されてもよく、好ましくはラジカルスカベンジャー適用工程は、酸化毛髪着色工程の適用の前に実行される。好ましくは酸化毛髪着色組成物又は酸化毛髪着色組成物類は、消費者の毛髪に適用される時に9.5までのpHを有するか、又は組成物が毛髪に適用される時間の少なくとも約50%の間、9.5までのpHを有する。あるいは、個々の組成物は、混合時、又は消費者への適用時にpHが9.5までであるように、異なるpHレベルを有していてもよい。
【0183】
あるいは、本発明はまた、毛髪を処置する方法が、少なくとも1つの酸化剤、炭酸イオン、カルバミン酸イオン、又は炭酸水素イオンの少なくとも1つの供給源、少なくとも1つのアルカリ化剤、及び少なくとも1つのラジカルスカベンジャーを含む組成物を適用することを含み、組成物が毛髪に適用される時間の少なくとも約50%の間、組成物が9.5までのpHを有する実施形態を包含する。
【0184】
以上に記載されたキットは、当該技術分野において周知であり、各容器内の組成物は、標準的手法のいずれか1つを使用して製造でき、これらには、a)「水中油型」プロセス、b)「転相」プロセス、及びc)「1ポット」プロセスが挙げられる。
【0185】
例えば、「1ポット」プロセスでは、ポリマー及びキレート化剤が水中に予備溶解され、脂肪物質が添加され、次いで全組成物が約70〜80℃に加熱される。エマルションの場合には最終的構造化製品を形成するために、制御冷却及び任意の剪断プロセスが次に続く。ペルオキシ一炭酸イオンの供給源、ラジカルスカベンジャー及びアンモニア、及び任意に溶媒、染料を提供する物質の添加、並びにpHの調整により、染料クリームの製造プロセスは完了する。
【0186】
アクリレートポリマーを含む液体溶液の場合には、これらは過酸化水素構成成分中に処方される。グリコール溶媒及び脂肪構成成分は、染料構成成分中に処方される。染料及び過酸化水素構成成分が、組成物の使用前に共に混合される時、pHが上昇する時のポリマーアクリル酸基の脱プロトン化の結果としてポリマーのマイクロゲルを生成し、構造化製品が形成される。2部分を混合する時にゲルを形成する、毛髪を着色するためのこれらの2部分水性組成物の製造についての更なる詳細は、米国特許第5,376,146号(キャスパーソン(Casperson)ら)、及び米国特許第5,393,305号(コーエン(Cohen)ら)に見出すことができる。
【0187】
本発明の組成物はまた、米国特許第6,156,076号(キャスパーソン(Casperson)ら)、及び米国特許第6,106,578号(ジョーンズ(Jones))に記載されるように、ポリエーテルポリウレタンを増粘剤(例えば、アクリン(Aculyn)(登録商標)46)として含む2部分水性組成物として処方することもできる。
【実施例】
【0188】
次の実施例は、本発明による酸化染料組成物及びそれらの製造方法を示す。本明細書に記載された実施例及び実施形態は例示だけが目的であり、それを考慮した様々な変更又は変形が、本発明の範囲から逸脱することなく当業者に示唆されるであろうことが理解される。
【0189】
エマルション製剤1〜10の実施例
【0190】
【表2】

エマルション製剤11〜20の実施例
【0191】
【表3】

濃縮された水溶液製剤1〜10の実施例
【0192】
【表4】

上記の組成物は、軽減した損傷において毛髪を染色するために有用である。酸化染料前駆体及びカップラー(上記の実施例ではパラ−アミノフェノール、メタ−アミノフェノール、及びレゾルシノール)を包含しない同様な組成物は、毛髪を漂白(ライトニング)するために用いることができる。
【0193】
(試験手順)
(電荷移動エネルギーの計算)
電荷移動反応に伴うすべての種の分子構造(反応物質及び生成物)は、分子モデリングパッケージ富士通キャッシュ(FUJITSU CAChe)バージョン6.1に実装されたソフトウェアMOPAC2002、バージョン2.2を用いてエネルギーを最小にするために最適化される(J.J.P.スチュアート(J.J.P.Stewart)、富士通株式会社(Fujitsu Limited)、日本、東京(1999年))。構造最適化は、「半経験的」方法のオースティンモデル(Austin Model)1(AM1.(M.J.S.デュワー(M.J.S.Dewar)ら、米国化学会誌(J.Am.Chem.Soc.)107、3902〜3909(1985年))として既知の量子力学的方法に基づく。
【0194】
MOPACによって計算された生成熱(ΔHf)は、25℃の標準状態における要素についての分子生成時に使用される又は放出されるエネルギーである。非ラジカル種の生成熱(Scav及びCO32-)は、制限型ハートリー・フォック(Restricted Hartree Fock)(RHF)スキームを用いて計算される奇数の電子を有する化学種の生成熱(ΔHf)、例えばラジカル種Scav*+及びCO3-は、非制限型ハートリー・フォック(Unrestricted Hartree Fock)(UHF)スキームを用いて計算される。
【0195】
伴うすべての化学種に対する水の溶媒効果は、キャッシュ(CAChe)に実装された溶媒和方法コスモ1(COSMO1)(COnductor-like Screening MOdel)を用いて考慮される(A.クラムト(A.Klamt)及びG.シューマン(G.Schuumann)、化学会誌パーキン報告書2(J.Chem.Soc.Perkin Transactions 2)、799〜805ページ、(1993年))。すべての種の分子構造が真に最適化されたことを確認するために、赤外線振動スペクトルが計算される:負の振動数が存在しないことは真の最小値に達していることを示す。
【0196】
次にすべての化学物質の生成熱が上記の手順に従って計算され、電荷移動反応のエネルギーを計算するために用いられる。幾つかのラジカルスカベンジャーについて得られた値が以下に与えられる:
【0197】
【表5】

【0198】
(試験評価手順)
本発明による組成物によって毛髪に与えられる効果を評価するために2つの異なる試験方法が用いられた。これらの方法(インストロン(Instron)コーミングと引張試験)を以下に詳細に記載する。
【0199】
試験される各組成物について、ヒトの未処置の黒いヘアピースが用いられた。「未処置の毛髪」とは、化学的に処置されていない、例えば、ヒューゴー・ロイヤー・インターナショナル社(Hugo Royer International Ltd)(GU479ND、バークシャー州サンドハースト、スワンパーク、レークサイド・ビジネスパーク10)で購入できる毛髪を意味する。それらを次の手順に従って段階ごとに処置した。
【0200】
試験される組成物を含む漂白組成物を、等しい重量で、過酸化水素エマルション基礎組成物と染料エマルション基礎組成物(pH=9.0)を混合することにより調製する。達成されたライトニングの測定ができるように、毛髪染料エマルション基礎組成物には染料を加えなかった。
【0201】
過酸化水素エマルション基礎組成物は、
a)10%のステアリルアルコール及び5%のセテアレス(cetereth)25を含むエマルション基礎プレミックス35重量%;
b)1%のDTPA四ナトリウム、0.4%HEDP、1%水酸化ナトリウム(32%純度)及び適量の水を含む安定化溶液25%
c)水14%;
d)過酸化水素(35%純度)溶液26%
を含有する。
【0202】
染料エマルション基礎組成物は、
a)亜硫酸ナトリウム0.2重量%;
b)アスコルビン酸0.2%;
c)過酸化水素エマルション基礎に用いられたのと同じエマルション基礎プレミックス44.5%;
d)炭酸アンモニウム6%
e)ラジカルスカベンジャー又はラジカルスカベンジャーの混合物の試験される量
f)水酸化ナトリウムによるpH=9.0へのpH調整
g)水適量
を含有する。
【0203】
対照漂白組成物もまた調製する。この組成物は、炭酸アンモニウム6%を水酸化アンモニウム8%で置き換えること及びpHがpH=10.0に調整されることを除き、以上に記載された試験組成物として、本明細書の上記の過酸化水素エマルション基礎組成物と、毛髪染料エマルション基礎組成物との等量の混合物を含む。
【0204】
処置される毛髪1gについて2gの試験される漂白組成物をヘアピースに適用して十分にマッサージした。次にヘアピースを、プラスチックフィルムで包み、移動させて30℃のオーブン中に入れた。30分後、それらをオーブン及び包んだフィルムから取り出して1分間水(2.38グレイン/L(9グレイン/ガロン)の硬度を有する水道水)ですすいだ。毛髪1gについて0.1gのシャンプーを次に添加し、毎分少なくとも150ストロークの速度で30秒間搾り、その後30秒間すすいだ。シャンプーの適用を繰り返し、次に毛髪を周囲温度で乾燥させた。
【0205】
(インストロン・コーミング(Instron Combing)手順)
用いられる未処置の毛髪を、重量6g及び長さ25.4センチ(10インチ)のピースに作成した。ピースを上記のようにエマルション製剤により1周期処置した。ピースを測定前に濡らした。
【0206】
試験のために用いられる装置は、インストロン・コーミング(Instron Combing)用の付属品(特別注文)及び10Nと評定されるインストロン固定ロードセル(Instron Static Load Cell)付きインストロン(Instron)5500シリーズ引張り試験機(Instron 5500 series Tensile Tester)であった。ピースを機器上に設置し、ピースを梳かすために必要な力を測定した。伸張速度は15mm/秒であり、伸張長さは240mmであり、読み取り時間間隔は0.5秒であった。すべての実験において、各ピースについて少なくとも5回の読み取りを実行し、各処置について少なくとも10のピースを用いた。
【0207】
(引張り試験機)
用いられる未処置の毛髪を、重量1.5g及び長さ15cm(6.0インチ)のピースに作成した。ピースを上記のようにエマルション製剤により繰返し3周期で処置した。試験のために用いられる装置は、ダイアストロン・ミニチュア引張り試験機(Diaston Miniature Tensile Tester)MTT670であった。未処置の毛髪及び処置された毛髪の両方からの毛髪ストランドを、適切なヘアピースから切り取り、清潔な表面に設置してすべての繊維が毛根から毛先まで同じ方向に向くことを確実にする。次に単一の繊維を、2つの真鍮のフェルールに通して所定位置にクランプ固定する。次に繊維を、ダイアストロン・ミニチュア引張り試験機(Diastron Miniature Tensile Tester)MTT670のカルーセル上に、合計100の繊維となる(50繊維が未処置であり、50繊維が処置されている)処置された繊維と未処置の繊維との間の交互の10のグループで設置する。実験の実行を開始する前に、試料を脱イオン化(di-ionised)水中で濡らし、繊維を完全に水中に浸漬することを確実にする。
【0208】
試料を、ダイアストロン・ミニチュア引張り試験機(Diastron Miniature Tensile Tester)上で、標準操作手順に従って実行し、応力−ひずみ曲線を得る。応力−ひずみ曲線及び引っ張り方法の詳細については、クラレンス・R・ロビンズ(Clarence R Robbins)の、ヒトの毛髪の化学的及び物理的挙動(Chemical & Physical Behavior of Human Hair)、第3版、シュプリンガー出版(Springer-Verlag)、1994年、300ページを参照のこと。処置された及び未処置の繊維についての結果が、多因子分散分析統計(multi-factor Anova statistics)により比較され、未処置の繊維に対して提示された。
【0209】
(ライトニング試験)
ライトニングを、ミノルタ(Minolta)CM3600D分光光度計を用いて測定した。各ピースについて8回の読み取りを行い、3ピースの平均を測定した。dL値を、処置後のL値から未処置の毛髪のL値を引き算して計算した。
【0210】
(アンモニア臭気試験)
アンモニア臭気は、以下に記載されるように資格を有する調香師によって評価される。毛髪1gについて2gの試験組成物を用いて、30gの試験組成物着色剤を、ヘアピースに適用した。組成物を注射器により、ヘアピースの長さに下方へジグザグの動作を用いて適用した。臭気強度及び特徴を評価して次の尺度に従って記録した:5−アンモニアなし、4−僅かなアンモニア、3−中程度のアンモニア、2−強いアンモニア、1−極めて強いアンモニア、及び0−圧倒的なアンモニア。
【0211】
(試験結果)
【0212】
【表6】

*1周期の処置。1処置につき50データ点−高いコーミング力のために現在の着色製品について高い標準偏差99%信頼まで有意。
【0213】
【表7】

s=未処置の毛髪に対して95%信頼まで有意、S=未処置の毛髪に対して99%%信頼まで有意。
【0214】
上記の試験結果から、本発明による製剤は所要のライトニングを送達するが、その一方で、適用中に、より少ない繊維の損傷及び悪臭を生じることが明らかに観察できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)ペルオキシ一炭酸イオンの少なくとも1つの供給源、
ii)アルカリ化剤の少なくとも1つの供給源、好ましくはアンモニウムイオン、及び
iii)ラジカルスカベンジャーの少なくとも1つの供給源
を含み、9.5以下のpHを有する毛髪着色組成物。
【請求項2】
ペルオキシ一炭酸イオンの前記供給源が、過酸化水素の少なくとも1つの供給源、並びに、炭酸イオン、カルバミン酸イオン、及び/又は炭酸水素イオン、並びにこれらの混合物の少なくとも1つの供給源を含む、請求項1に記載の毛髪着色組成物。
【請求項3】
アルカリ化剤の前記少なくとも1つの供給源が、アンモニウムイオンの供給源である、請求項1に記載の毛髪着色組成物。
【請求項4】
前記組成物が7.5〜9.5のpHを有する、請求項1に記載の毛髪着色組成物。
【請求項5】
前記組成物が、
i)0.1重量%〜10重量%、好ましくは1重量%〜7重量%の過酸化水素
ii)0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%の前記アルカリ化剤
iii)0.1〜15重量%、好ましくは1重量%〜8重量%の炭酸イオン、カルバミン酸イオン、及び/又は炭酸水素イオンの前記少なくとも1つの供給源
iv)0.1重量%〜10重量%、好ましくは1重量%〜7重量%の前記ラジカルスカベンジャー
を含む、請求項2に記載の毛髪着色組成物。
【請求項6】
前記アンモニウムイオンと前記炭酸イオンとの重量比が3:1〜1:10である、請求項2及び3に記載の毛髪着色組成物。
【請求項7】
前記ラジカルスカベンジャーと前記炭酸イオンとの重量比が2:1〜1:4である、請求項2に記載の毛髪着色組成物。
【請求項8】
前記ラジカルスカベンジャーが、0kcal/mol〜14kcal/molの電荷移動反応エネルギーを有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の毛髪着色組成物。
【請求項9】
前記ラジカルスカベンジャーが、式(I):
(I):R1−Y−C(H)(R3)−R4−(C(H)(R5)−Y−R6n
[式中、Yは、NR2、O、又はSであり、nは0〜2であり、R4は一価又は二価であり、(a)置換若しくは非置換の、直鎖若しくは分枝鎖の、アルキル、一価若しくは多価不飽和アルキル、ヘテロアルキル、脂肪族、ヘテロ脂肪族、若しくはヘテロオレフィン系、(b)置換若しくは非置換の、単環式若しくは多環式の、脂肪族、アリール(芳香族)、若しくは複素環系、又は(c)置換若しくは非置換の、モノ−、ポリ−若しくはペル−フルオロアルキル系から選択され;(a)、(b)及び(c)の前記系は、1〜12個の炭素原子並びにO、S、N、P及びSiから選択される0〜5個のヘテロ原子を含み;R4は、R3若しくはR5に結合して5、6、若しくは7員環を生成することができ;R1、R2、R3、R5及びR6は一価であり、独立して:(a)、(b)及び(c)又はHから選択される]
による化合物から、
式(II):
【化1】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5は独立して、H、COO-+、Cl、Br、SO3-+、NO2、OCH3、OH、又はC1〜C10の一級若しくは二級アルキルから選択され、MはH若しくはアルカリ金属又はこれらの混合物である]
による化合物から、並びに、(III)ベンジルアミン、イミダゾール、ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン、ヒドロキノン、グアニン、ピラジン、ピペリジン、モルホリン、メチルモルホリン、2−メトキシエチルアミン(2-methyoxyethylamine)及びこれらの混合物の群から選択される化合物から、
選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の毛髪着色組成物。
【請求項10】
前記ラジカルスカベンジャーが、アルカノールアミン、アミノ糖、アミノ酸、アミノ酸のエステル、及びこれらの混合物から選択される、請求項9に記載の毛髪着色組成物。
【請求項11】
前記ラジカルスカベンジャーが、モノエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、5−アミノ−1−ペンタノール、1−アミノ−2−プロパノール、1−アミノ−2−ブタノール、1−アミノ−2−ペンタノール、1−アミノ−3−ペンタノール、1−アミノ−4−ペンタノール、3−アミノ−2−メチルプロパン−1−オール、1−アミノ−2−メチルプロパン−2−オール、3−アミノプロパン−1,2−ジオール、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、グリシン、グルタミン酸、アルギニン、リジン、プロリン、グルタミン、ヒスチジン、ザルコシン、セリン、トリプトファン、並びに上記のもののカリウム、ナトリウム及びアンモニウム塩、並びにこれらの混合物から選択される、請求項9に記載の毛髪着色組成物。
【請求項12】
前記ラジカルスカベンジャーが、グルコサミン、グリシン、グルタミン酸、ザルコシン、リジン、セリン、2−メトキシエチルアミン、モルホリン、ピペリジン、エチルアミン、3−アミノ−1−プロパノール、及びこれらの混合物から選択される、請求項9に記載の毛髪着色組成物。
【請求項13】
i)ラジカルスカベンジャーの少なくとも1つの供給源を含み、個別包装された構成成分
を含む、毛髪着色キット。
【請求項14】
i)過酸化水素の少なくとも1つの供給源を含み、個別包装された酸化構成成分
ii)ラジカルスカベンジャーの少なくとも1つの供給源、炭酸イオン、カルバミン酸イオン及び/又は炭酸水素イオンの少なくとも1つの供給源、並びに少なくとも1つのアルカリ化剤を含み、個別包装された着色構成成分
を含む、請求項13に記載の毛髪着色キット。
【請求項15】
ペルオキシ一炭酸イオンの少なくとも1つの供給源、少なくとも1つのアルカリ化剤及びラジカルスカベンジャーの少なくとも1つの供給源を含む組成物を適用する工程を含む毛髪を処置する方法であって、その際前記組成物が、前記組成物が前記毛髪上に適用され保持される時間の少なくとも50%の間、9.5までのpHを有する方法。
【請求項16】
i)ラジカルスカベンジャーの少なくとも1つの供給源を含む組成物を適用する工程、並びに
ii)ペルオキシ一炭酸イオンの少なくとも1つの供給源及びアルカリ化剤の少なくとも1つの供給源を含む酸化毛髪着色組成物を別個に適用する工程
を含み、その際前記工程i)及びii)が互いに交換できる、毛髪を処置する方法。
【請求項17】
毛髪繊維への損傷を軽減するための、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項18】
前記組成物の臭気を軽減するための、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物の使用。

【公開番号】特開2008−266344(P2008−266344A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−133266(P2008−133266)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【分割の表示】特願2006−515099(P2006−515099)の分割
【原出願日】平成16年6月1日(2004.6.1)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】