気体分離膜及びその製造方法
本発明は、二酸化炭素を他の気体成分から分離するための気体分離膜、該気体分離膜への使用に適したポリマー組成物、及びその製造法に関する。特に、本発明は、ターゲット気体成分、例えば二酸化炭素を透過させることができ、且つ第2気体成分よりもターゲット気体成分について選択性を有するホストポリマーを含むポリマー組成物に関する。ポリマー組成物はまた、例えば直径が少なくとも0.5nmであり、且つホストポリマーと比較してターゲット気体に対してより高い透過度を有するポリマー材料のドメインを含む。本発明は、ロベソンの上限を越える透過度及び選択性を有する膜を提供することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる気体成分を分離するための気体分離膜、気体分離膜の用途に適したポリマー組成物、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
気体分子は、溶液拡散メカニズム、クヌーセン拡散及び分子ふるい等、様々な機構によって透過性ポリマー膜を経由して輸送される。透過度、拡散率及び溶解度の間の関係は以下の式で説明することができる:
P=DS
ここで、Pは透過係数(cm3(STP)cmcm−2s−1cmHg−1;膜についての流れの尺度)であり、Dは拡散係数(cm2s−1;膜内の分子の易動度に関する尺度)であり、そしてSは溶解度係数(cm3(STP)cmHg−1;膜内の気体分子の溶解度に関する尺度)である。Pの一般的な単位はバレル(barrer)(10−10cm3(STP)cmcm−2s−1cmHg−1)である。
【0003】
気体分離膜は、酸素に富んだ空気の製造、水分又は二酸化炭素の天然ガスからの分離、並びに石炭及び天然ガス発電所の煙道ガスのようなベントガスからの気体回収を含む様々な工業プロセスで使用され、あるいは使用される可能性がある。発電所の煙道ガスの組成は燃料源により大きく変わるが、煙道ガスは酸化される傾向にあり、一般にN2、O2、H2O、CO2、SO2、NOx及びHClからなる。気体分離膜はターゲット気体成分を気体の混合物から分離する必要がある。混合物状態にある1種以上の他の気体からしばしば分離されるターゲット気体の1つはCO2であり、CO2はその場合にはH2、N2及び/又はCH4から分離されるのが望ましい。他の望ましい気体分離には、O2/N2(すなわち、窒素ガスからの酸素ガス)、He/N2及びHe/CH4が含まれる。
【0004】
気体分離膜に用いられるポリマーは特定の基準を満たさなければならない。1つは、膜が気体を透過させる能力であり、その結果、適度な気体流動が分離中に得られる。第2の基準は、ターゲット気体の他の気体からの選択的分離、すなわち、膜の選択性である。簡単に言うと、選択性は、ターゲット気体の透過度(気体A(PA))を他の気体の透過度(気体B(PB))で除した値として測定される:
PA/PB
第3の基準は、膜が良好な熱的及び機械的性質をもたらし、加圧下で行われ得る分離プロセスにおいて気体分離膜に構造的安定性をもたらす必要があることである。
【0005】
膜の気体に対する透過度、及び、ターゲット気体/他の気体についての膜の選択性という2つの基準は、通常互いに相反するものである。膜の透過度が増加するにつれて、その選択性は減少する傾向がある(全ての気体に対する透過度が増加する傾向にあるため)。同様に、ターゲット気体/別の気体についての膜の選択性が高まるにつれて、ターゲット気体に対する膜の透過度は低下する傾向を示す(ターゲット気体の流れの制限が同様に厳しくなくても、非ターゲット気体が膜を通り抜ける制限は全ての気体の流れを制限する傾向がある)。この効果については試験が行われ、透過度及び選択性の組み合わせの上限がプロットされた。透過度の選択性に対する上限のプロットはロベソンの上限(Journal of Membrane Science, 1991, 62, pg165)として知られている。一般に、ロベソンの上限を越える透過度及び選択性の組み合わせをもたらす膜の開発は難しいことが分っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ターゲット気体を気体混合物から分離する場合の透過度及び選択性の組み合わせを改善することができる、気体分離膜、気体分離膜の形成に適したポリマー組成物、及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、気体混合物中におけるターゲット気体を第2気体成分から分離する気体分離膜を提供し、その膜は、
− ターゲット気体成分を透過させることができ、且つ第2気体成分よりもターゲット気体成分について選択性を有するホストポリマー、及び
− ホストポリマーと比較してターゲット気体に対してより高い透過度を有するポリマー材料のドメイン
を含む。
【0008】
ターゲット気体に対してより高い透過度を有するポリマー材料のドメインは、直径が一般に少なくとも0.5nm、好ましくは少なくとも1nmである。
ホストポリマーは基本レベルの透過度及びターゲット気体成分/第2気体成分についての選択性を提供し、透過度がより高いポリマー材料のドメインは、膜の選択性を極端に低いレベルに低下させることなく、(高度に選択的な膜においてしばしば制限される)ターゲット気体の膜の通り抜けを促進する。これによって、気体分離膜はロベソンの上限を越える透過度と選択性の組み合わせを有することが可能になる。
【0009】
特定の第2成分に対する特定のターゲット気体成分の比率による透過度及び選択性を提供し、そしてまた物理的及び化学的に強固である、適切なホスト膜を選択することによって、どのような気体の組み合わせにも適した膜を製造することができる。
【0010】
ターゲット気体成分としてCO2に特定される気体分離膜の場合、第2気体成分はN2、H2、CH4、O2、H2O、H2S、SOx、NOx、好ましくはH2、N2又はCH4でありうる。ホストポリマー及びドメインポリマー材料をこの原理に基づいて容易に選択することができる見込みのある別のターゲット気体は、He、O2及びN2である。
【0011】
本発明ではまた、気体分離膜を形成するためのポリマー組成物を提供し、そのポリマー組成物は、
− ターゲット気体成分を透過させることができ、且つ第2気体成分よりもターゲット気体成分について選択性を有するホストポリマー、及び
− ホストポリマーと比較してターゲット気体に対してより高い透過度を有するポリマー材料のドメイン
を含む。
【0012】
ドメインは多くの様々な方法によって提供することができる。ある方法では、ドメインはホストポリマーとは別個に、ホストポリマー中に分散されているポリマー粒子を含む。別の方法では、ドメインはホストポリマー内に配置されたポリマー材料部分の凝集領域によって形成される。
【0013】
1つの態様では、ポリマー組成物は、ターゲット気体成分を透過させることができ、且つ第2気体成分よりもターゲット気体成分について選択性を有するホストポリマー、及び少なくとも1nmの粒子サイズを有する第2ポリマー材料のポリマー粒子を組み合わせることによって製造される。ここで、第2ポリマー材料はホストポリマーと比較してターゲット気体に対してより高い透過度を有する。
【0014】
この方法はさらに、
− ターゲット気体成分を透過させることができ、且つ第2気体成分よりもターゲット気体成分について選択性を有するホストポリマー
− 少なくとも0.5nm、好ましくは少なくとも1nmの粒子サイズを有する第2ポリマー材料のポリマー粒子、ここで、第2ポリマー材料はホストポリマーと比較してターゲット気体に対してより高い透過度を有する、及び
− 溶媒
を含む溶液を製造し;そして
溶媒を除去して、ポリマー粒子が分散されているホストポリマーを含むポリマー組成物を製造すること
を含む。
【0015】
別の態様では、ポリマー組成物は、
(i)第1タイプの少なくとも1つの反応性末端基を有するホストポリマー材料又は前駆体を、
(ii)第1タイプの末端基と反応性である第2タイプの少なくとも1つの反応性末端基を有するドメイン形成ポリマー材料セグメント
と反応させて、第2ポリマー材料の多数のセグメントが凝集してホストポリマー内にドメインを形成するポリマー組成物を製造することによって製造される。ここで、ホストポリマーはターゲット気体成分を透過させることができ、且つ第2気体成分よりもターゲット気体成分について選択性を有し、ドメイン形成ポリマー材料はホストポリマーと比較してターゲット気体に対してより高い透過度を有する。
【0016】
ある別の態様では、反応させるホストポリマー材料前駆体は1つ又は2つの反応性末端基を有し、反応させるドメイン形成ポリマー材料セグメントは2つの反応性末端基を有し、そしてこの方法は、ホストポリマー材料対ドメイン形成ポリマー材料を少なくとも2:1モル比で反応させて、ホストポリマー材料の2つのセグメント間にドメイン形成材料のセグメントを含む反応したポリマーの3ブロック単位を含むポリマー組成物を生成させることを含む。特に、モル比で2:1を上回るホストポリマー対ドメイン形成ポリマーが使用される場合、そしてホストポリマー材料が唯一個の反応性末端基を含有する場合、生成物は未反応ホストポリマー材料も含み得る。
【0017】
別の態様では、反応させるホストポリマーは多数の反応性ペンダント基を有し、第2ポリマー材料セグメントはそれぞれ多数の反応性末端基を有し、その結果、反応はホストポリマー材料及び第2ポリマー材料のセグメントを含む架橋ポリマー組成物を生じる。
【0018】
本発明はまた、上記ポリマー材料の気体分離膜としての使用法を提供する。本発明はさらに、気体混合物を上記気体分離膜を経由して又は上記気体分離膜のそばを通過させることを含む、気体混合物中におけるターゲット気体を第2気体成分から分離する方法を提供する。
【0019】
本発明の様々な態様による気体分離膜、ポリマー及び混合物は様々な膜の形態で用いることができる。これには、稠密膜、固有スキン膜又は選択層として作用するよう基体へ付着させた膜などが含まれる。膜は平らなシート、中空繊維又はらせん巻き形態のようなどのような形状でもよい。
【0020】
本発明の利点の1つは、ターゲット成分を分離する膜の能力が、ポリマーフィルムの透過度及び選択性並びにターゲット成分に対するドメインの親和性によって影響されることである。より高い溶解度を有するそのようなドメインを導入することによるターゲット気体に対する膜の溶解度の増加は、ターゲット成分の流動を高め、さらに、ターゲット気体成分/他の気体成分についての望ましい選択性を維持する能力を提供する。本発明の膜及び方法に関する他の利点は、望ましい組成物の膜を、ポリマー原料組成物を変えることにより現存のプロセスを用いて容易に作り上げることができることである。さらなる利点は、膜の構造的一体化を促進するホストポリマーを組み入れる膜の能力により、構造的一体性又は膜形成能力の欠如のため通常は禁じられているドメイン形成ポリマーの使用が実質的に可能となることである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、特定の気体に対するポリマー組成物の透過度を測定するための可変圧気体透過装置のダイヤグラムである。
【図2】図2は、本発明の1つの態様である気体分離膜を形成するためのポリマー組成物の構造をスケッチしたものである。
【図3】図3は、6FDA−ジュレン膜中に2.5w/v%PDMSスターポリマーを含む本発明の別の態様である気体分離膜を形成するためのポリマー組成物の走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図4a】図4aは、「白い小塊」を有する図3のSEMに示される膜領域に関するSEM−エネルギー分散X線分光器(SEM−EDS)結果を示す。
【図4b】図4bは、「黒い領域」を有する図3のSEMに示される膜領域に関するSEM−エネルギー分散X線分光器(SEM−EDS)結果を示す。2つの試料における異なる炭素対シリカ比は顕著な特徴である。
【図5】図5は、二酸化炭素及び窒素透過度に対するコア架橋スターポリマー(CCSP)濃度のグラフであり、これはCCSP濃度増加の二酸化炭素及び窒素透過度への影響を示している。
【図6】図6は、線状ポリイミド膜中にトリブロックコポリマーを含む、本発明の別の態様である気体分離膜を形成するためのポリマー組成物の構造をスケッチしたものである。中心から放射状に広がるより太いラインはポリイミドを表し、これらのラインから広がるより細いラインはPDMSを表す。ミセル状構造がここで描かれているが、形成される正確な構造は様々なブロックの分子量により変わる。
【図7】図7は、二酸化炭素圧の二酸化炭素透過度に対するグラフであり、本発明の1つの態様(アプローチ1)により合成された膜の二酸化炭素透過度への二酸化炭素圧の影響を示す。6FDA−ジュレンを比較として含める。
【図8】図8は、文献に記載の例と比較した本発明の2つの態様(アプローチ1及び2)によりつくられた膜の二酸化炭素/窒素選択性に対する二酸化炭素透過度のグラフである。
【図9】図9は、文献に記載の例と比較した本発明の2つの態様(アプローチ1及び2)によりつくられた膜の二酸化炭素/窒素選択性に対する二酸化炭素透過度のグラフである。この文献からの例は正方形として示す。グラフ中の破線はロベソンの上限である。
【図10a】図10aは、1:1の6FDA:PDMSトリブロックを用いてつくられた膜を含む本発明の別の態様での気体分離膜を形成するためのポリマー組成物の透過電子顕微鏡写真(TEM)である。
【図10b】図10bは、純粋なホモポリマー試料の透過電子顕微鏡写真(TEM)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ホストポリマー/ホストポリマー材料
ホストポリマーは、ターゲット気体に対する透過度及びターゲット気体成分/第2気体成分についての選択性の組み合わせを提供する、本技術分野で公知のどのような気体分離膜ポリマー材料でもよい。
【0023】
ホストポリマーはポリアミド及びポリイミド、例えばアリールポリアミド及びアリールポリイミド;ポリアセチレン;ポリアニリン;ポリスルホン;ポリ(スチレン)、例えばスチレン含有コポリマー、例えばアクリロニトリルスチレンコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー及びスチレン−ビニルベンジルハライドコポリマー;ポリカーボネート;セルロースポリマー、例えば酢酪酸セルロース、プロピオン酸セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、及びニトロセルロース;ポリカーボネート;ポリエーテル;ポリエーテルイミド;ポリエーテルケトン;ポリ(アリールケンエーテル);ポリ(アリーレンオキシド)、例えばポリ(フェニレンオキシド)及びポリ(キシレンオキシド);ポリ(エステルアミド−ジイソシアネート);ポリウレタン;ポリエステル(例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)のようなポリアリーレート)、ポリ(アルキルメタクリレート)、ポリ(アクリレート)、ポリ(フェニレンテレフタレート)、ポリ(フェニレンオキシド);ポリ(ピロロン);ポリスルフィド;ポリ(エチレン)、例えばポリ(エチレンオキシド);ポリ(プロピレン)、固有ミクロ細孔性のポリマー及びポリビニル化合物から一般に選択しうる。
【0024】
好ましいポリマー材料は、反応してA及びBの交互単位を有するポリマーを生じる2つの異なるモノマー単位(「A」及び「B」)から形成される縮合ポリマーである。好ましいホストポリマー材料は、モノマー単位の少なくとも1つに由来するポリマーの主鎖中に芳香族環を含む。ポリマーの「主鎖」は、ポリマー主鎖部分を形成しないペンダント基とは区別すべきである。
【0025】
ホストポリマーは、ターゲット気体に対する透過度及びターゲット気体成分/第2気体成分についての選択性の性質に基づいて選択される。
本技術分野における多くのホストポリマー材料の透過度及び選択性はよく知られており、広く研究されてきており、このデータは定められた用途に適したホストポリマーを見分けるのに用いることができる。ホストポリマーの透過度は少なくとも5バレルであるのが好ましい。
【0026】
特定の気体(例えばターゲット気体)に対する定められたホストポリマーの透過度を計算する好適な方法には以下の二段落において略述する方法が含まれる:
ポリマーを合成し、ジクロロメタン(ARグレード、アジャックス・ファインケム社から入手したままを使用)のような溶媒に2.5w/v%の濃度で溶解する。溶液を0.75μmガラス繊維フィルター(アドバンテック社)に通して濾過し、その後、ガラス流延リングを用いて溶液流延する。乾燥は2段階で完了した。初期乾燥は室温で約48時間であり、流延リングはペトリ皿で覆い、ただちに膜の上を確実にほぼ飽和環境にする。次に、蒸留水を用いてフィルムをガラス器から取り出し、その後、まず80℃で15時間、次に150℃で48時間真空乾燥する。真空オーブン内の絶対圧は約3kPaである。膜は使用するまでデシケーター中に貯蔵する。膜の厚さは約±1μmの精度のマイクロメーター(日本のミツトモ社)を用いて測定する。測定厚みは40〜50μmであることが必要である。
【0027】
透過度は、定積可変圧力気体透過装置(図1)で測定する。装置は、密閉された膜装置へ進める前に、10気圧の一定圧力で気体を予備加熱ループへ供給することによって操作する。装置は横断面47mmのデッドエンド高圧フィルターホルダーである。加熱ループ及び膜装置は、温度を35℃に制御したオーブンに収容する。透過気体を、水浴に収容した冷却ループに通し、確実に27.5±0.2℃の一定の測定温度にする。データは毎秒1リードの速度で電子的に記録され、各データポイントは100単位圧力測定値の平均である。気体供給圧は0〜7000kPaのMKS Baratron(登録商標)変換機で測定するが、下流体積は0〜1.3kPa絶対圧の相当するモデルで測定する。
【0028】
透過度を測定する上記試験は透過度を評価するための要件を設定することに注意する。膜が商業的に合成されたものであるとき、様々なパラメーターが用いられる。例えば、商業的な合成における溶媒はジクロロメタン以外の溶媒であってもよく、ポリマーの溶媒中の濃度は変更し得る。
【0029】
本発明の気体分離膜では、第2ポリマー材料のドメインがホストポリマー中の第2ポリマー材料のセグメントによって形成し得ることを指摘する。その場合には、特定の気体に対する透過度を計算するためのホストポリマーは、第2ポリマー材料が不在のホストポリマーとして(ホモポリマーとして)測定される。
【0030】
ターゲット気体/第2気体についてのホストポリマーの選択性は、ターゲット気体に対するホストポリマーの透過度を第2気体に対するホストポリマーの透過度で除することによって測定され、各気体に対する透過度は上に略述した方法によって測定される。1つの態様では、ターゲット気体成分/第2気体成分についてのホストポリマーの選択性は少なくとも4、より好ましくは少なくとも8である。気体分離膜の選択性は同様に少なくとも4、より好ましくは同様に少なくとも8である。
【0031】
好適なホストポリマー膜は、総説「発電所煙道ガスからの二酸化炭素を捕捉するためのポリマーCO2/N2気体気体分離膜」、J. Mem. Sci.,279(2006)1−49(以後、「上記総説」と呼ぶ)(参照することによって全て本明細書中に援用されるものとする)に記載されているどのようなポリマーから選択してもよい。
【0032】
一般に、好適なホストポリマー材料はガラス構造を有するか、あるいはパッキングに影響を与えるキンクを有する比較的平らで硬質の構造を有する。従って、芳香族環は気体分離膜用のそのようなホストポリマー材料に見られる一般的な構造のモチーフである。
【0033】
特に二酸化炭素の他の気体からの分離のための、他の好適な種類のホストポリマー材料はポリイミドである。ポリイミドは極性溶媒中でのジアミンとジカルボン酸(例えば二無水物)との(縮合)反応によってしばしば合成される。重合中に形成される中間体はポリアミド酸であり、縮合反応をしてポリイミドを形成する。
【0034】
ポリイミドホストポリマーの形成に適したジカルボン酸/二無水物の例は、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ジフタル酸無水物(6FDA)、3,3’,4,4’−ビスフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、4,4’−オキシジフタル酸無水物(OPDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、1,2,3,5−ベンゼンテトラカルボン酸無水物(PMDA)及び1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)である。
【0035】
ホストポリマーの形成に適したジアミンには、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(ビスAPAF)、4−(4−アミノフェノキシ)ベンゼンアミン(4,4’−ODA)、3−(4−アミノフェノキシ)ベンゼンアミン(3,4’−ODA)、3−(3−アミノフェノキシ)ベンゼンアミン(3,3’−ODA)、1,4−ジアミノジュレン、2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジチオール(DABT)、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン及び3,3´−ジアミノベンジジン(DAB)が含まれる。
第2ポリマー材料のドメイン
第2ポリマー材料のドメイン(ドメイン形成ポリマー材料又はセグメントとも記載される)は、ホストポリマーとは関係のないポリマー粒子によって構成されるか、あるいはホストポリマー構造内の第2ポリマー材料のセグメントによって構成され、(ポリマー組成物内の第2ポリマー材料の相分離により)凝集して第2ポリマー材料のドメインを形成する。
【0036】
第2ポリマー材料の透過度を計算するために、第2ポリマー材料のみからつくられたポリマー試料を透過度試験して、特定の気体、例えばターゲット気体に対する第2ポリマー材料の透過度を計算する。もし入手可能ならば、定められた第2ポリマー材料の透過度に関する文献データに依拠してもよい。第2ポリマー材料はターゲット気体に対して中程度ないし高い透過度(すなわち、ターゲット気体に対する高い溶解度)を有するのが好ましい。
【0037】
第2ポリマー材料(粒子又はセグメントいずれかの形)は、ホストポリマーと比較してターゲット気体に対してより高い透過度を有するどのようなポリマー材料からも選択しうる。一般に、第2ポリマー材料の透過度はホストポリマーと比較してターゲット気体に対して少なくとも50%より透過性であり、好ましくは3倍透過性である。
【0038】
第2ポリマー材料又はドメイン形成ポリマーセグメントは以下のいずれかを含有しているのが好適である:
− 荷電基、好適には荷電末端基
− 1つ以上の極性基(カルボニル、ヒドロキシル、アミン、エーテル、シロキサン等)、好適には極性末端基
− 1つ以上のヘテロ原子(すなわち、非炭素及び水素原子)、例えば酸素、窒素、シリカ、フッ素の存在。
【0039】
第2ポリマー材料のドメイン形成に適したポリマー材料の例は、ポリ二置換シロキサン、例えばポリジアルキルシロキサン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリアルキレンオキシド、例えばポリグリコール、ポリエチレンオキシド又はポリプロピレンオキシド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアセチレン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、高分子電解質、ポリ(イオン性液体)、ポリビニルアルコール及びポリエーテルの1つ又は組み合わせである。
【0040】
第2ポリマー材料は、ホストポリマー材料とは異なる材料である。(詳細は以下に記載するように反応性末端基を導入する官能化の手段として1つ以上の芳香族環が第2ポリマー材料に添加しうることを指摘しておくが)第2ポリマー材料は非芳香族環含有ポリマー材料であるのが好ましい。第2ポリマー材料は、ホストポリマー材料とは異なる形態を一般に有し、ホストポリマー中で凝集する傾向がある。
【0041】
ポリ二置換シロキサンの場合、シロキサン構造における珪素原子上の置換基の例は、ヒドロキシ、アルキル、アリール、アルコキシ及びアリールオキシである。
ドメインを形成するためのポリマー材料の一例はポリジアルキルシロキサンである。ポリジメチルシロキサンは、ホストポリマー及び第2ポリマーのドメインを含むポリマー組成物を形成する技術の説明に以下で用いられる1つの具体的なポリジアルキルシロキサンである。このポリマーが記載されているが、他のポリジアルキルシロキサン、及び他の種類の第2ポリマー材料をポリジメチルシロキサンの代わりに同様に用いうることはいうまでもない。
気体分離膜のポリマー組成物の製造
上記のように、第2ポリマー材料はホストポリマー中に分散された粒子サイズが少なくとも1nmの別個のポリマー粒子を(2成分の物理的混合物として)形成していてもよく、あるいは第2ポリマー材料はホストポリマー中の化学的に結合した構成成分としてポリマー材料のセグメントの形であって、セグメントは組成物中で凝集してドメインを形成する。第1のタイプの状況(第2ポリマー材料が粒子の形である場合)は「アプローチ1」で略述したような1つの一般的な方法によって製造することができる。以下のアプローチ2〜3で略述するように、ホストポリマー中での第2ポリマー材料のセグメントの配置及び配列におけるバリエーションを作り出す代替的な方法はたくさんある。
【0042】
望ましい膜を製造するための別の方法は、荷電基又は極性基をドメイン形成ポリマーに付加することである。このポリマーを次に適当な溶媒中のホストポリマーの溶液に加える。荷電基又は極性基の付加は、アプローチ1により形成されるものと概念的に類似した構造をもたらすはずのミセルの形成を容易にするはずである。
【0043】
この結果により作られるどのような膜も、膜のアニ−リング及び圧縮をもたらす加熱によってさらに調整しうる。これは透過度の低下をもたらすが、選択性の増加によって補われるはずである。加熱の膜への影響は、J.Poly. Sci B:Poly. Phys.,46(2008)1879−1890に記載されている。
アプローチ1
一般に、アプローチ1は
− ターゲット気体成分を透過させることができ、且つ第2気体成分よりもターゲット気体成分について選択性を有するホストポリマー
− 少なくとも0.5nm、好ましくは少なくとも1nmの粒子サイズを有する第2ポリマー材料のポリマー粒子、ここで、第2ポリマー材料はホストポリマーと比較してターゲット気体成分に対してより高い透過度を有する、及び
− 溶媒
を含む溶液を製造すること;及び
溶媒を除去してポリマー粒子が分散しているホストポリマーを含むポリマー組成物を製造すること
を含む。
【0044】
ポリマー粒子はコア架橋スターポリマー、すなわち、架橋された中心コア及び放射状に広がるポリマーアームを有するポリマーでもよい。そのようなコア架橋スターポリマーは本技術分野において公知の技術によってつくることができる。そのようなポリマーの製造についての引例を以下に示す:
1)発明者名Qiao,Greg Guanghua;Connal,Luke Andrew;Wiltshire,James Thomasの「Porous polymeric materials and polymer particles for preparation thereof」と題するWO2007/051252
2)発明者名Solomon,David Henry;Qiao,Greg Guanghua;Abrol,Simmiの「Process for microgel preparation」と題するWO99/58588
3)発明者名Solomon,David Henry;Abrol,Simmi;Kambouris,Peter Agapitos;Looney,Mark Grahamの「A process for preparing microges」と題するWO98/31739
この点については、後述の実施例を参照して更に詳しく説明する。この実施例では、ポリマー粒子は、PDMSのアームを含む架橋PDMSを含むコア架橋スターポリマー(CCSP)によって提供される。これらのPDMSのCCSP粒子は「膜流延溶液」とも呼ばれるホストポリマー材料の溶液に加える。次に、ポリマー組成物(膜)を本技術分野で公知の方法で流延してCCSP PDMSのポリマー粒子を有するホストポリマーを含有する望ましい膜を得る。得られるポリマー組成物は図1に示す構造を有する。図1では、波状の上及び下の線はホストポリマーを表し、黒い円はスターPDMSポリマーの架橋コアを表し、黒い円からの放射状に広がるラインはPDMSアームを表す。
【0045】
この方法に用いるためのホストポリマーの例は、ポリイミド6FDA−ジュレンである。ホストポリマー及びPDMS粒子としてポリイミド6FDA−ジュレンを含むポリマー組成物は、6FDA−ジュレン自体と比較して、CO2透過度の著しい増加及びCO2/N2透過度の少しの低下をもたらす。この方法を、ホストポリマーである、Matrimid5218の登録商標名でハンツマン・アドバンスド・マテリアルズ社が販売するポリイミドに適用すると、CO2透過度の増加が観察される。窒素透過度は検出限界を下回る。
【0046】
好ましくは、ドメインが第2ポリマー材料の粒子によって形成される場合、ポリマー組成物中の粒子の濃度は約50%w/v未満、好ましくは1〜10%w/v、より好ましくは1%w/v未満である。これによって、ポリマー組成物(気体分離膜)は確実に構造的に十分に安定したものとなる。
【0047】
第2ポリマー材料の粒子の分子量は、好ましくは50,000〜10,000,000、より好ましくは70,000〜1,000,000、最も好ましくは100,000〜200,000の数平均分子量である。
【0048】
ポリマー粒子の平均粒子サイズ(直径)は、好ましくは少なくとも0.5nm、より好ましくは少なくとも1nm、さらにより好ましくは少なくとも5nm、最も好ましくは少なくとも10nmである。平均粒子サイズは、好ましくは1000nm未満、より好ましくは80nm未満である。理想的な粒子サイズは15〜50nmの範囲である。
アプローチ2及び3
アプローチ2及び3はそれぞれ、ホストポリマー内における第2ポリマー材料のセグメントの凝集を第2ポリマー材料のドメインの形成として含む。これらのアプローチの違いは、これらのセグメントが導入される方法、用いられるホスト及び第2ポリマー材料の相対量、及び反応性末端基の数にある。これらのファクターは、気体分離膜の形成に用いられる生成ポリマー組成物の最終構造に影響を与える。
【0049】
それぞれの場合、ホストポリマー材料のブロック(又は前駆体)は少なくとも1つの反応性末端基で製造される。反応性末端基は、反応して別のセグメントに対して共有化学結合を形成することができる官能基である。反応性末端基の例は、アミン、カルボン酸又はエステル、ヒドロキシル基等である。ホストポリマー材料の終点となる第1のタイプの反応性末端基は、ドメイン形成ポリマーセグメント上の第2タイプの反応性末端基と反応性である必要がある。従って、第1及び第2タイプの反応性末端基は互いに異なる。
アプローチ2
アプローチ2では、反応させるホストポリマー材料前駆体は1つ又は2つの反応性末端基を有し、反応させるドメイン形成ポリマー材料セグメントは2つの反応性末端基を有し、その方法は、ホストポリマー材料対ドメイン形成ポリマー材料が少なくとも2:1の比となるようにして反応させて、未反応ホストポリマー材料と、ホストポリマー材料の2つのセグメント間にドメイン形成材料のセグメントを含む反応させたポリマーの3ブロック単位との組み合わせを含むポリマー組成物を製造する。通常、少なくとも3:1、より好ましくは約4:1の過剰ホストポリマー材料対ドメイン形成ポリマー材料が用いられる。
【0050】
第2の方法の手順では、ホストポリマー(例えばポリイミド)及びドメイン形成ポリマー(例えばPDMS)の両方を組み込んだブロックコポリマーを製造する。反応させるホストポリマー材料及びドメイン形成ポリマーセグメントの相対量により、ホスト及びドメイン形成ポリマーの交互のセグメントを含むブロックコポリマーが生じ、そして2:1の比又はそれ以上を用いると、形成されるブロックコポリマーのかなりの部分はホスト:ドメイン:ホストのブロックを含むであろう。また未反応ホストポリマーがいくらかあるかもしれず(特に、2:1比を越えるホスト対ドメイン形成ポリマーセグメントを反応させるとき)、そして少量の5−ブロック(ホスト:ドメイン:ホスト:ドメイン:ホスト)コポリマーが形成されるかもしれない。
【0051】
PDMS及びポリイミドの例では、好適な分子量(アプローチ1で説明した好ましい分子量に相当する)を有するビスヒドロキシ又はカルビノール末端PDMSを反応性末端基導入化合物とまず反応させて反応性末端基を導入する。好適な反応性末端基導入化合物の例は4−ニトロフェニルクロロフォルメート(NPC)である。この反応性末端基導入化合物は、PDMSセグメントの各末端でヒドロキシル官能基と反応するためのハロフォルメート末端を含む。この末端基導入化合物は、PDMSの各セグメントの各末端で、アミンと反応性であるカルボン酸エステルを導入する。この官能化反応で加えられた芳香族環は、カルボン酸エステル末端PDMSセグメントがアミンと反応する場合に失われる。
【0052】
反応性末端基で終端された第2ポリマー材料セグメント(反応性末端基を有するPDMS)を次に過剰のアミン末端ポリイミドと反応させて、線状ポリイミド及びトリ−ブロックコポリマー(ポリイミド−PDMS−ポリイミド)の混合物を得る。溶媒流延して膜を形成すると、PDMS及びポリイミド間の乏しい相互作用は、PDMSにPDMSセグメントが凝集する傾向を示す複雑な形態をとらせる。ミセル(図5に示す)、シリンダー及びチャネルを含む構造は全て可能であると予想され、正確な形態は様々なブロックの長さ及び異なるブロック間の相互作用によって決まる。
【0053】
好ましくは、ホスト−ドメイン−ホストのブロックコポリマーの分子量は、特にPDMSとポリイミド6−FDA−ジュレンの組み合わせの場合、68,000を越える。これは構造的に安定した膜を提供するのに役立つ。製造された最も成功したアミン末端ポリイミドはこの下限より大きかった。
【0054】
アプローチ2の方法はアプローチ1の方法に比べて多くの利点を有する。合成段階はより順調に進行し、スケールアップするのにより容易である。アプローチ2の下での仕上げは、手間のかかる精製段階を必要としない。別の利点は、ホストポリマーを有するブロックコポリマーのセグメント中に配置されるので、PDMSがポリマー組成物中に強制的に分散させられることである。さらに、より大きな分子量はより大きな構造的安定性をもたらすと予想される。
【0055】
このアプローチによって作り上げられる膜は、ドメイン材料と同一の組成を有する線状ポリマーを加えることによってさらに調整することができる。これをドメイン領域に収納してドメインの大きさ及び形態を変化させることができる。
【0056】
アプローチ2で製造されたポリマー組成物の二酸化炭素の透過度は、可塑化の程度を修正するために多数の二酸化炭素圧において測定した。これらの結果は図6に示す。
他の文献のポリマー(データは総説から得た)との比較で、アプローチ1及び2から形成された膜の二酸化炭素透過度及び二酸化炭素/窒素選択性を図8に示す。
アプローチ3
アプローチ3は、ある方法で製造される第2ポリマー材料セグメントとホストポリマー材料前駆体との間の反応を含む。
【0057】
一般に架橋ポリマー材料セグメントである「第2」ポリマー材料セグメントは官能化されて、多数の(2つ以上)反応性末端基が導入される。第2ポリマー材料セグメントへ導入される多数の反応性末端基は、第2ポリマー材料セグメントを凝集させるか、あるいはミセル(すなわち、ドメイン)を形成させる性質を有することがさらに望ましい。第2ポリマー材料セグメントを凝集させる(適当な溶媒中で)傾向がある多数の反応性末端基の好適な性質は疎水性である。「第2」ポリマー材料セグメントの反応性末端基は、ホストポリマー材料前駆体上の相当する反応性末端基に対して反応性であるように選択される。
【0058】
ホストポリマー材料前駆体上の反応性末端基は、新しい官能基の付加によってもたらすことができ、あるいはホストポリマー材料前駆体は、第2ポリマー材料セグメント上の反応性末端基と反応することができる官能基をすでに含んでいてもよい。1つの例では、ポリイミドホストポリマー材料は、第1アミンと反応して共有結合又は架橋を形成するイミド環を含む。従って、第2ポリマー材料セグメントがアミン反応性末端基を含む場合、これらはポリイミドのイミンと反応してターゲットポリマー組成物を形成する。
【0059】
この方法によって製造されるポリマーは2つの注目に値する利点を有する。第1に、少ない体積又は小セグメントの第2ポリマー(ターゲット気体に対して親和性である)がホストポリマー膜へ導入され、そして第2に、気体分離膜が架橋し、これが膜の可塑化への傾向を低下させるはずである。
【0060】
このアプローチは、アミン反応性末端基を有する「第2ポリマー材料」としてのアミン末端ポリエチレングリコールポリマー、及びアミンと反応するイミド環を含むホストポリマーとしての6FDA−ジュレンに適用された。
更なる製造の詳細
ブロック−コポリマーの方法(アプローチ2及び3)で、第2ポリマー材料がホストポリマーに共有結合している場合、第2ポリマー材料はポリマー組成物の0.1重量%、ポリマー組成物の50%以下、好ましくは0.5〜10%を構成しうる。これは、ブロック−コポリマーの形成に用いられるホストポリマー材料部分の分子量、第2ポリマー材料(ドメインを形成する)のセグメントの分子量、及び用いられるそれぞれの相対量の選択によって達成される。
【0061】
ホストポリマーセグメントの分子量は、好適には10,000〜500,000g/モル、好ましくは30,000〜100,000g/モルである。
(アプローチ2により製造された)ブロック−コポリマー組成物中のホストポリマー及び第2ポリマーの相対量により、様々な微細構造が得られる。ジブロック(2−ブロック)コポリマーについて得られる微細構造はかなり研究されており、ホストポリマー中の第2ポリマーの球から、不規則混合物、円筒形、2連続構造、孔あき層及びラメラまで及ぶ。同様に、トリブロックコポリマーについては、形態は不規則混合物、球、円筒形、2連続構造、孔あき層及びラメラまでに及ぶ。
【0062】
ターゲット気体に対する気体分離膜の透過度及び選択性の組み合わせを改善する本技術分野で公知の他の方法では、ナノサイズのキャビティが膜に導入され、これによりホストポリマーである膜に対するターゲット気体の可溶化及び透過が促進される。そのような技術は上記の技術と組み合わせ用いられ、より高い透過度(ターゲット気体に対する)のポリマーのドメインがホストポリマーに導入され、その結果、ホストポリマーはそのようなキャビティも含みうる。
【0063】
適切な大きさ(及びキャビティサイズの狭い分布)のポリイミドにおけるキャビティを生成させるのに適した1つの方法では、ポリイミド膜(本発明の場合は、ポリイミドホストポリマー及びドメインを含む膜)を約350〜450℃の温度で熱的転位させる。これらの処理条件では、ポリイミドポリマー成分の鎖構造が、鎖のパッキングに影響するように変化する。得られる材料は熱的に安定であり、生じる構造的転位は基本的なポリマー構造の部分燃焼(すなわち炭化)が生じるまで進行しない。炭化を引き起こす、そのような過度の熱処理は膜の物理的性質(堅牢性)に悪影響を及ぼす。
【0064】
熱処理は、好適には、フィルムに適用する温度を、目標温度まで適切な速度(例えば約5〜10℃/分)で上昇させ、フィルムを目標温度である時間(約1時間)保持し、その後、室温にゆっくり冷却することを含む。
【0065】
これらのタイプのポリマーは本発明と組み合わせてホストポリマー系として用いることができる。熱処理に適した材料又はナノ粒子、例えばゼオライト、ナノポーラスカーボン、シリカ等を組み込むことによって、改善された性能を有する膜を製造することが可能となる。
気体分離膜
気体分離膜は、任意の好適な形態に構築されてよい。これらの形態には、平らで目の詰んだ膜、非対称中空繊維、非対称フラットシート及び複合フラットシート並びにらせん巻き膜が含まれる。
【0066】
気体分離膜の選択性は少なくとも4であり、ターゲット気体に対する透過度は少なくとも5バレルであることが好ましい。
気体分離膜は、0.05〜100マイクロメーターの選択層の厚さを有するのが好ましい。
【実施例】
【0067】
6FDA−ジュレンの一般的な合成
このホストポリマーは、アミン末端6FDA−ジュレンを少し過剰な1,4−ジアミノジュレンと反応させることによって合成される:
【0068】
【化1】
【0069】
実施例1:PDMSコア架橋スターポリマーを組み込んだ6FDA−ジュレン膜の合成
6FDA−ジュレン(250mg)及びPDMSスターポリマー(1.3mg)のジクロロメタン溶液10mLをつくった。溶液をレベル流延リング(直径65mm)に注ぎ、軽く蓋をした。流延リングを一晩放置して、ジクロロメタンを蒸発させた。蒸留水を加えて膜をガラスから離した。膜を一晩空気乾燥し、その後、100℃に4日間保って、全ての溶媒を確実に除去した。膜は使用前、デシケーターで保存した。
実施例2:PDMSコア架橋スターポリマーを組み込んだ6FDA−ジュレン膜の単一気体試験
実施例1からの膜を定積可変圧単一気体リグで35℃にて試験した。窒素(10大気上流圧)、酸素(10大気上流圧)、二酸化炭素(10大気上流圧)の順で気体を試験した。較正した体積は2173.97cm3を占め、これを一定温度(301.5K)に保った。
実施例3:PDMSコア架橋スターポリマーを組み込んだ6FDA−ジュレン膜の合成
6FDA−ジュレン(250mg)及びPDMSスターポリマー(1.9mg)のジクロロメタン溶液10mLをつくった。溶液をレベル流延リング(直径65mm)に注ぎ、軽く蓋をした。流延リングを一晩放置して、ジクロロメタンを蒸発させた。蒸留水を加えて膜をガラスから離した。膜を一晩空気乾燥し、その後、100℃に4日間保って、全ての溶媒を確実に除去した。膜は使用前、デシケーターで保存した。
実施例4:PDMSコア架橋スターポリマーを組み込んだ6FDA−ジュレン膜の単一気体試験
実施例3からの膜を定積可変圧単一気体リグで35℃にて試験した。窒素(10大気上流圧)、メタン(10大気上流圧)、二酸化炭素(10大気上流圧)の順で気体を試験した。較正した体積は2173.97cm3を占め、これを一定温度(301.5K)に保った。
実施例5:PDMSコア架橋スターポリマーを組み込んだMatrimid5218膜の合成
Matrimid5218(250mg)及びPDMSスターポリマー(1.3mg)のジクロロメタン溶液10mLをつくった。溶液をレベル流延リング(直径65mm)に注ぎ、軽く蓋をした。流延リングを一晩放置して、ジクロロメタンを蒸発させた。蒸留水を加えて膜をガラスから離した。膜を一晩空気乾燥し、その後、100℃に4日間保って、全ての溶媒を確実に除去した。膜は使用前、デシケーターで保存した。
実施例5の試験:
実施例4からの膜を定積可変圧単一気体リグで35℃にて試験した。窒素(10大気上流圧)、酸素(10大気上流圧)、二酸化炭素(10大気上流圧)の順で気体を試験した。較正した体積は2173.97cm3を占め、これを一定温度(301.5K)に保った。
実施例6:NPC官能化PDMSの合成
【0070】
【化2】
【0071】
ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンMW=980(7.02mL)をジクロロメタン(17mL)に溶解した。この溶液に4−ニトロフェニルクロロホルメート(0.800g)及びピリジン(0.53mL)を加えた。溶液は24時間攪拌した。溶液を濾過し、次に、溶媒を減圧下で除去した。その後、ポリマーをペトロリウムスピリットに抽出した。ペトロリウムスピリットを減圧下で除去して粘性液を得た。ペトロリウムスピリットをその後使用したときは再度ポリマーを抽出した。溶液を濾過し、溶媒を減圧下で除去して無色の液体を得た。
実施例7:低分子量アミン官能化6FDA−ジュレンの合成
6FDA(3.000g)及び1,4−ジアミノジュレン(1.110g)の無水N−メチルピロリドン(20mL)溶液をアルゴン下で24時間攪拌した。無水酢酸(1.7mL)及びトリエチルアミン(0.7mL)を加え、溶液をさらに24時間攪拌した。溶液を急速攪拌メタノール(200mL)にゆっくり加え、沈殿したポリマーを濾過によって集めた。ポリマーをジクロロメタン(35mL)に溶解し、急速攪拌メタノール(200mL)へゆっくり加えた。固体を濾過によって集め、白色固体(3.683g)を得た。
実施例8:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:1の比)ポリマーの合成
【0072】
【化3】
【0073】
実施例6からのNPC官能化PDMS(0.0231g)及び実施例7からのアミン官能化6FDA−ジュレン(1.000g)のジクロロメタン(20mL)溶液を24時間攪拌した。溶液をメタノール(200mL)にゆっくり加え、固体を濾過によって集めた。固体はメタノール及びヘキサンで洗浄した。
実施例9:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:1の比)膜の合成
実施例8で合成したポリマー(250mg)のジクロロメタン溶液10mLをつくった。溶液をレベル流延リング(直径65mm)に注ぎ、軽く蓋をした。流延リングを一晩放置して、ジクロロメタンを蒸発させた。蒸留水を加えて膜をガラスから離した。膜を一晩空気乾燥し、その後、100℃に4日間保って、全ての溶媒を確実に除去した。膜は使用前、デシケーターで保存した。
実施例10:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:1の比)膜の単一気体試験
実施例9からの膜を定積可変圧単一気体リグで35℃にて試験した。窒素(10大気上流圧)、メタン(10大気上流圧)、二酸化炭素(2、5、10、15及び20大気上流圧)の順で気体を試験した。較正した体積は2173.97cm3を占め、これを一定温度(301.5K)に保った。
実施例11:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:2の比)ポリマーの合成
実施例6からのNPC官能化PDMS(0.0103g)及び実施例7からのアミン官能化6FDA−ジュレン(0.894g)のジクロロメタン(20mL)溶液を24時間攪拌した。溶液をメタノール(100mL)にゆっくり加え、固体を濾過によって集めた。固体はメタノール及びヘキサンで洗浄した。
実施例12:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:2の比)膜の合成
実施例11で合成したポリマー(250mg)のジクロロメタン中の10mL溶液をつくった。溶液をレベル流延リング(直径65mm)に注ぎ、軽く蓋をした。流延リングを一晩放置して、ジクロロメタンを蒸発させた。蒸留水を加えて膜をガラスから離した。膜を一晩空気乾燥し、その後、100℃に4日間保って、全ての溶媒を確実に除去した。膜は使用前、デシケーターで保存した。
実施例13:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:2の比)膜の単一気体試験
実施例12からの膜を定積可変圧単一気体リグで35℃にて試験した。窒素(10大気上流圧)、メタン(10大気上流圧)、二酸化炭素(2、5、10、15及び20大気上流圧)の順で気体を試験した。較正した体積は2173.97cm3を占め、これを一定温度(301.5K)に保った。
実施例14:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:4の比)ポリマーの合成
実施例6からのNPC官能化PDMS(0.0101g)及び実施例7からのアミン官能化6FDA−ジュレン(1.944g)のジクロロメタン(20mL)溶液を24時間攪拌した。溶液をメタノール(100mL)へゆっくり加え、固体を濾過によって集めた。固体はメタノール及びヘキサンで洗浄した。
実施例15:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:4の比)膜の合成
実施例14で合成したポリマー(250mg)のジクロロメタン溶液10mLをつくった。溶液をレベル流延リング(直径65mm)に注ぎ、軽く蓋をした。流延リングを一晩放置して、ジクロロメタンを蒸発させた。蒸留水を加えて膜をガラスから離した。膜を一晩空気乾燥し、その後、100℃に4日間保って、全ての溶媒を確実に除去した。膜は使用前、デシケーターで保存した。
実施例16:PDMSコア架橋スターポリマーを組み込んだ6FDA−ジュレン膜の合成
6FDA−ジュレン(250mg)及びPDMSスターポリマー(2.5mg)のジクロロメタン溶液10mLをつくった。溶液をレベル流延リング(直径65mm)に注ぎ、軽く蓋をした。流延リングを一晩放置して、ジクロロメタンを蒸発させた。蒸留水を加えて膜をガラスから離した。膜を一晩空気乾燥し、その後、100℃に4日間保って、全ての溶媒を確実に除去した。形成された膜は亀裂があるため、それほど理想的ではなかった。
実施例17:PDMSコア架橋スターポリマーを組み込んだ6FDA−ジュレン膜の合成
6FDA−ジュレン(250mg)及びPDMSスターポリマー(3.3mg)のジクロロメタン溶液10mLをつくった。溶液をレベル流延リング(直径65mm)に注ぎ、軽く蓋をした。流延リングを一晩放置して、ジクロロメタンを蒸発させた。蒸留水を加えて膜をガラスから離した。膜を一晩空気乾燥し、その後、100℃に4日間保って、全ての溶媒を確実に除去した。形成された膜は亀裂があるため、それほど理想的ではなかった。
実施例18:拡大分子量アミン末端6FDA−ジュレンポリマーの合成
6FDA(3.000g)及び1,4−ジアミノジュレン(1.109g)の無水N−メチルピロリドン(20mL)溶液をアルゴン下で24時間攪拌した。さらに1,4−ジアミノジュレン(0.110g)を加え、溶液をさらに24時間攪拌した。無水酢酸(1.7mL)及びトリエチルアミン(0.7mL)を加え、溶液をさらに24時間攪拌した。溶液を急速攪拌メタノール(200mL)にゆっくり加え、沈殿したポリマーを濾過によって集めた。ポリマーをジクロロメタン(35mL)に溶解し、急速攪拌メタノール(200mL)へゆっくり加えた。固体を濾過によって再度集めた。
実施例19:NPC末端ポリジメチルシロキサンの合成
カルビノール末端ポリジメチルシロキサンMW=1000−1250(0.98g)をジクロロメタン(15mL)に溶解した。この溶液に4−ニトロフェニルクロロホルメート(0.702g)を加えた。溶液は6時間攪拌した。ピリジン(5mL)を加え、溶液をさらに24時間攪拌した。溶液を濾過し、次に、体積を減圧下で約5mLにまで減少させた。溶液をペトロリウムスピリット(30mL)にゆっくり注いだ。溶液を濾過し、溶媒を減圧下で除去して粘性液を得た。ペトロリウムスピリットをその後使用したときは再度ポリマーを抽出した。溶液を濾過し、溶媒を減圧下で除去して粘性の無色液体を得た。
実施例20:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:1の比)ポリマーの合成
実施例17からのNPC官能化PDMS(3.6mg)及び実施例16からのアミン官能化6FDA−ジュレン(0.300g)のジクロロメタン(20mL)溶液を24時間攪拌した。溶液をヘキサン(20mL)にゆっくり加え、固体を濾過によって集めた。固体はメタノール及びヘキサンで洗浄した。白色固体を真空オーブンで100℃にて17時間乾燥した。
実施例21:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:1の比)膜の合成
実施例18で合成したポリマー(250mg)のジクロロメタン溶液10mLをつくった。溶液をレベル流延リング(直径65mm)に注ぎ、軽く蓋をした。流延リングを一晩放置して、ジクロロメタンを蒸発させた。蒸留水を加えて膜をガラスから離した。膜を一晩空気乾燥し、その後、100℃に4日間保って、全ての溶媒を確実に除去した。膜は使用前、デシケーターで保存した。
実施例22:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:1の比)膜の単一気体試験
実施例19からの膜を定積可変圧単一気体リグで35℃にて試験した。窒素(10大気上流圧)、メタン(10大気上流圧)、二酸化炭素(10大気上流圧)の順で気体を試験した。較正した体積は2173.97cm3を占め、これを一定温度(301.5K)に保った。
実施例23:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:2の比)ポリマーの合成
実施例17からのNPC官能化PDMS(1.8mg)及び実施例16からのアミン官能化6FDA−ジュレン(0.300g)のジクロロメタン(20mL)溶液を24時間攪拌した。溶液をヘキサン(20mL)にゆっくり加え、固体を濾過によって集めた。固体はメタノール及びヘキサンで洗浄した。白色生成物を真空オーブンで100℃にて17時間乾燥した。
実施例24:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:2の比)膜の合成
実施例21で合成したポリマー(250mg)のジクロロメタン溶液10mLをつくった。溶液をレベル流延リング(直径65mm)に注ぎ、ゆるくカバーした。流延リングを一晩放置して、ジクロロメタンを蒸発させた。蒸留水を加えて膜をガラスから離した。膜を一晩空気乾燥し、その後、100℃に4日間保って、全ての溶媒を確実に除去した。膜は使用前、デシケーターで保存した。
実施例25:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:2の比)膜の単一気体試験
実施例22からの膜を定積可変圧単一気体リグで35℃にて試験した。窒素(10大気上流圧)、メタン(10大気上流圧)、二酸化炭素(10大気上流圧)の順で気体を試験した。較正した体積は2173.97cm3を占め、これを一定温度(301.5K)に保った。
試験結果
上記のとおりに製造されたポリマーについて前述の透過度試験を行った。透過度試験結果は表1及び2に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
図9は、実施例3、10及び13で合成された膜の二酸化炭素/メタン選択性についての二酸化炭素透過度を、文献記載のポリマーと比較したものである。ロベソンの上限は破線で示す。ここに挙げる全ての実施例は、上限を著しく越える高い透過度及び選択性の組み合わせを示す。
【0077】
本技術分野における当業者にとって、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく多くの変更をなしえることは明らかであろう。
請求の範囲及び本発明の上記説明において、文脈が用語又は必要な意味を表すために別の使用法を必要とする場合を除き、「含む(comprise)」の用語、又は「よりなる(comprise)」若しくは「からなる(comprising)」のような変形体は包括的な意味で用いており、すなわち、前記特徴事項の存在を具体的に規定するために用いられているが、本発明の様々な態様における更なる特徴の存在又は追加を排除するものではない。
【符号の説明】
【0078】
1.標準圧ゲージ 0〜4000kPa
2.圧力変換器 0〜6800kPa
3.タイプK熱電対
4.圧力変換器 0〜10Torr
5.データ測定PC
6.シリンダーガス供給部
7.加熱ループ
8.膜ホルダー
9.ファン強制オーブン
10.較正体積
11.ベント
12.真空供給部
13.真空供給部
14.圧力開放部
15.サーモスタット制御水浴
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる気体成分を分離するための気体分離膜、気体分離膜の用途に適したポリマー組成物、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
気体分子は、溶液拡散メカニズム、クヌーセン拡散及び分子ふるい等、様々な機構によって透過性ポリマー膜を経由して輸送される。透過度、拡散率及び溶解度の間の関係は以下の式で説明することができる:
P=DS
ここで、Pは透過係数(cm3(STP)cmcm−2s−1cmHg−1;膜についての流れの尺度)であり、Dは拡散係数(cm2s−1;膜内の分子の易動度に関する尺度)であり、そしてSは溶解度係数(cm3(STP)cmHg−1;膜内の気体分子の溶解度に関する尺度)である。Pの一般的な単位はバレル(barrer)(10−10cm3(STP)cmcm−2s−1cmHg−1)である。
【0003】
気体分離膜は、酸素に富んだ空気の製造、水分又は二酸化炭素の天然ガスからの分離、並びに石炭及び天然ガス発電所の煙道ガスのようなベントガスからの気体回収を含む様々な工業プロセスで使用され、あるいは使用される可能性がある。発電所の煙道ガスの組成は燃料源により大きく変わるが、煙道ガスは酸化される傾向にあり、一般にN2、O2、H2O、CO2、SO2、NOx及びHClからなる。気体分離膜はターゲット気体成分を気体の混合物から分離する必要がある。混合物状態にある1種以上の他の気体からしばしば分離されるターゲット気体の1つはCO2であり、CO2はその場合にはH2、N2及び/又はCH4から分離されるのが望ましい。他の望ましい気体分離には、O2/N2(すなわち、窒素ガスからの酸素ガス)、He/N2及びHe/CH4が含まれる。
【0004】
気体分離膜に用いられるポリマーは特定の基準を満たさなければならない。1つは、膜が気体を透過させる能力であり、その結果、適度な気体流動が分離中に得られる。第2の基準は、ターゲット気体の他の気体からの選択的分離、すなわち、膜の選択性である。簡単に言うと、選択性は、ターゲット気体の透過度(気体A(PA))を他の気体の透過度(気体B(PB))で除した値として測定される:
PA/PB
第3の基準は、膜が良好な熱的及び機械的性質をもたらし、加圧下で行われ得る分離プロセスにおいて気体分離膜に構造的安定性をもたらす必要があることである。
【0005】
膜の気体に対する透過度、及び、ターゲット気体/他の気体についての膜の選択性という2つの基準は、通常互いに相反するものである。膜の透過度が増加するにつれて、その選択性は減少する傾向がある(全ての気体に対する透過度が増加する傾向にあるため)。同様に、ターゲット気体/別の気体についての膜の選択性が高まるにつれて、ターゲット気体に対する膜の透過度は低下する傾向を示す(ターゲット気体の流れの制限が同様に厳しくなくても、非ターゲット気体が膜を通り抜ける制限は全ての気体の流れを制限する傾向がある)。この効果については試験が行われ、透過度及び選択性の組み合わせの上限がプロットされた。透過度の選択性に対する上限のプロットはロベソンの上限(Journal of Membrane Science, 1991, 62, pg165)として知られている。一般に、ロベソンの上限を越える透過度及び選択性の組み合わせをもたらす膜の開発は難しいことが分っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ターゲット気体を気体混合物から分離する場合の透過度及び選択性の組み合わせを改善することができる、気体分離膜、気体分離膜の形成に適したポリマー組成物、及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、気体混合物中におけるターゲット気体を第2気体成分から分離する気体分離膜を提供し、その膜は、
− ターゲット気体成分を透過させることができ、且つ第2気体成分よりもターゲット気体成分について選択性を有するホストポリマー、及び
− ホストポリマーと比較してターゲット気体に対してより高い透過度を有するポリマー材料のドメイン
を含む。
【0008】
ターゲット気体に対してより高い透過度を有するポリマー材料のドメインは、直径が一般に少なくとも0.5nm、好ましくは少なくとも1nmである。
ホストポリマーは基本レベルの透過度及びターゲット気体成分/第2気体成分についての選択性を提供し、透過度がより高いポリマー材料のドメインは、膜の選択性を極端に低いレベルに低下させることなく、(高度に選択的な膜においてしばしば制限される)ターゲット気体の膜の通り抜けを促進する。これによって、気体分離膜はロベソンの上限を越える透過度と選択性の組み合わせを有することが可能になる。
【0009】
特定の第2成分に対する特定のターゲット気体成分の比率による透過度及び選択性を提供し、そしてまた物理的及び化学的に強固である、適切なホスト膜を選択することによって、どのような気体の組み合わせにも適した膜を製造することができる。
【0010】
ターゲット気体成分としてCO2に特定される気体分離膜の場合、第2気体成分はN2、H2、CH4、O2、H2O、H2S、SOx、NOx、好ましくはH2、N2又はCH4でありうる。ホストポリマー及びドメインポリマー材料をこの原理に基づいて容易に選択することができる見込みのある別のターゲット気体は、He、O2及びN2である。
【0011】
本発明ではまた、気体分離膜を形成するためのポリマー組成物を提供し、そのポリマー組成物は、
− ターゲット気体成分を透過させることができ、且つ第2気体成分よりもターゲット気体成分について選択性を有するホストポリマー、及び
− ホストポリマーと比較してターゲット気体に対してより高い透過度を有するポリマー材料のドメイン
を含む。
【0012】
ドメインは多くの様々な方法によって提供することができる。ある方法では、ドメインはホストポリマーとは別個に、ホストポリマー中に分散されているポリマー粒子を含む。別の方法では、ドメインはホストポリマー内に配置されたポリマー材料部分の凝集領域によって形成される。
【0013】
1つの態様では、ポリマー組成物は、ターゲット気体成分を透過させることができ、且つ第2気体成分よりもターゲット気体成分について選択性を有するホストポリマー、及び少なくとも1nmの粒子サイズを有する第2ポリマー材料のポリマー粒子を組み合わせることによって製造される。ここで、第2ポリマー材料はホストポリマーと比較してターゲット気体に対してより高い透過度を有する。
【0014】
この方法はさらに、
− ターゲット気体成分を透過させることができ、且つ第2気体成分よりもターゲット気体成分について選択性を有するホストポリマー
− 少なくとも0.5nm、好ましくは少なくとも1nmの粒子サイズを有する第2ポリマー材料のポリマー粒子、ここで、第2ポリマー材料はホストポリマーと比較してターゲット気体に対してより高い透過度を有する、及び
− 溶媒
を含む溶液を製造し;そして
溶媒を除去して、ポリマー粒子が分散されているホストポリマーを含むポリマー組成物を製造すること
を含む。
【0015】
別の態様では、ポリマー組成物は、
(i)第1タイプの少なくとも1つの反応性末端基を有するホストポリマー材料又は前駆体を、
(ii)第1タイプの末端基と反応性である第2タイプの少なくとも1つの反応性末端基を有するドメイン形成ポリマー材料セグメント
と反応させて、第2ポリマー材料の多数のセグメントが凝集してホストポリマー内にドメインを形成するポリマー組成物を製造することによって製造される。ここで、ホストポリマーはターゲット気体成分を透過させることができ、且つ第2気体成分よりもターゲット気体成分について選択性を有し、ドメイン形成ポリマー材料はホストポリマーと比較してターゲット気体に対してより高い透過度を有する。
【0016】
ある別の態様では、反応させるホストポリマー材料前駆体は1つ又は2つの反応性末端基を有し、反応させるドメイン形成ポリマー材料セグメントは2つの反応性末端基を有し、そしてこの方法は、ホストポリマー材料対ドメイン形成ポリマー材料を少なくとも2:1モル比で反応させて、ホストポリマー材料の2つのセグメント間にドメイン形成材料のセグメントを含む反応したポリマーの3ブロック単位を含むポリマー組成物を生成させることを含む。特に、モル比で2:1を上回るホストポリマー対ドメイン形成ポリマーが使用される場合、そしてホストポリマー材料が唯一個の反応性末端基を含有する場合、生成物は未反応ホストポリマー材料も含み得る。
【0017】
別の態様では、反応させるホストポリマーは多数の反応性ペンダント基を有し、第2ポリマー材料セグメントはそれぞれ多数の反応性末端基を有し、その結果、反応はホストポリマー材料及び第2ポリマー材料のセグメントを含む架橋ポリマー組成物を生じる。
【0018】
本発明はまた、上記ポリマー材料の気体分離膜としての使用法を提供する。本発明はさらに、気体混合物を上記気体分離膜を経由して又は上記気体分離膜のそばを通過させることを含む、気体混合物中におけるターゲット気体を第2気体成分から分離する方法を提供する。
【0019】
本発明の様々な態様による気体分離膜、ポリマー及び混合物は様々な膜の形態で用いることができる。これには、稠密膜、固有スキン膜又は選択層として作用するよう基体へ付着させた膜などが含まれる。膜は平らなシート、中空繊維又はらせん巻き形態のようなどのような形状でもよい。
【0020】
本発明の利点の1つは、ターゲット成分を分離する膜の能力が、ポリマーフィルムの透過度及び選択性並びにターゲット成分に対するドメインの親和性によって影響されることである。より高い溶解度を有するそのようなドメインを導入することによるターゲット気体に対する膜の溶解度の増加は、ターゲット成分の流動を高め、さらに、ターゲット気体成分/他の気体成分についての望ましい選択性を維持する能力を提供する。本発明の膜及び方法に関する他の利点は、望ましい組成物の膜を、ポリマー原料組成物を変えることにより現存のプロセスを用いて容易に作り上げることができることである。さらなる利点は、膜の構造的一体化を促進するホストポリマーを組み入れる膜の能力により、構造的一体性又は膜形成能力の欠如のため通常は禁じられているドメイン形成ポリマーの使用が実質的に可能となることである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、特定の気体に対するポリマー組成物の透過度を測定するための可変圧気体透過装置のダイヤグラムである。
【図2】図2は、本発明の1つの態様である気体分離膜を形成するためのポリマー組成物の構造をスケッチしたものである。
【図3】図3は、6FDA−ジュレン膜中に2.5w/v%PDMSスターポリマーを含む本発明の別の態様である気体分離膜を形成するためのポリマー組成物の走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図4a】図4aは、「白い小塊」を有する図3のSEMに示される膜領域に関するSEM−エネルギー分散X線分光器(SEM−EDS)結果を示す。
【図4b】図4bは、「黒い領域」を有する図3のSEMに示される膜領域に関するSEM−エネルギー分散X線分光器(SEM−EDS)結果を示す。2つの試料における異なる炭素対シリカ比は顕著な特徴である。
【図5】図5は、二酸化炭素及び窒素透過度に対するコア架橋スターポリマー(CCSP)濃度のグラフであり、これはCCSP濃度増加の二酸化炭素及び窒素透過度への影響を示している。
【図6】図6は、線状ポリイミド膜中にトリブロックコポリマーを含む、本発明の別の態様である気体分離膜を形成するためのポリマー組成物の構造をスケッチしたものである。中心から放射状に広がるより太いラインはポリイミドを表し、これらのラインから広がるより細いラインはPDMSを表す。ミセル状構造がここで描かれているが、形成される正確な構造は様々なブロックの分子量により変わる。
【図7】図7は、二酸化炭素圧の二酸化炭素透過度に対するグラフであり、本発明の1つの態様(アプローチ1)により合成された膜の二酸化炭素透過度への二酸化炭素圧の影響を示す。6FDA−ジュレンを比較として含める。
【図8】図8は、文献に記載の例と比較した本発明の2つの態様(アプローチ1及び2)によりつくられた膜の二酸化炭素/窒素選択性に対する二酸化炭素透過度のグラフである。
【図9】図9は、文献に記載の例と比較した本発明の2つの態様(アプローチ1及び2)によりつくられた膜の二酸化炭素/窒素選択性に対する二酸化炭素透過度のグラフである。この文献からの例は正方形として示す。グラフ中の破線はロベソンの上限である。
【図10a】図10aは、1:1の6FDA:PDMSトリブロックを用いてつくられた膜を含む本発明の別の態様での気体分離膜を形成するためのポリマー組成物の透過電子顕微鏡写真(TEM)である。
【図10b】図10bは、純粋なホモポリマー試料の透過電子顕微鏡写真(TEM)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ホストポリマー/ホストポリマー材料
ホストポリマーは、ターゲット気体に対する透過度及びターゲット気体成分/第2気体成分についての選択性の組み合わせを提供する、本技術分野で公知のどのような気体分離膜ポリマー材料でもよい。
【0023】
ホストポリマーはポリアミド及びポリイミド、例えばアリールポリアミド及びアリールポリイミド;ポリアセチレン;ポリアニリン;ポリスルホン;ポリ(スチレン)、例えばスチレン含有コポリマー、例えばアクリロニトリルスチレンコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー及びスチレン−ビニルベンジルハライドコポリマー;ポリカーボネート;セルロースポリマー、例えば酢酪酸セルロース、プロピオン酸セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、及びニトロセルロース;ポリカーボネート;ポリエーテル;ポリエーテルイミド;ポリエーテルケトン;ポリ(アリールケンエーテル);ポリ(アリーレンオキシド)、例えばポリ(フェニレンオキシド)及びポリ(キシレンオキシド);ポリ(エステルアミド−ジイソシアネート);ポリウレタン;ポリエステル(例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)のようなポリアリーレート)、ポリ(アルキルメタクリレート)、ポリ(アクリレート)、ポリ(フェニレンテレフタレート)、ポリ(フェニレンオキシド);ポリ(ピロロン);ポリスルフィド;ポリ(エチレン)、例えばポリ(エチレンオキシド);ポリ(プロピレン)、固有ミクロ細孔性のポリマー及びポリビニル化合物から一般に選択しうる。
【0024】
好ましいポリマー材料は、反応してA及びBの交互単位を有するポリマーを生じる2つの異なるモノマー単位(「A」及び「B」)から形成される縮合ポリマーである。好ましいホストポリマー材料は、モノマー単位の少なくとも1つに由来するポリマーの主鎖中に芳香族環を含む。ポリマーの「主鎖」は、ポリマー主鎖部分を形成しないペンダント基とは区別すべきである。
【0025】
ホストポリマーは、ターゲット気体に対する透過度及びターゲット気体成分/第2気体成分についての選択性の性質に基づいて選択される。
本技術分野における多くのホストポリマー材料の透過度及び選択性はよく知られており、広く研究されてきており、このデータは定められた用途に適したホストポリマーを見分けるのに用いることができる。ホストポリマーの透過度は少なくとも5バレルであるのが好ましい。
【0026】
特定の気体(例えばターゲット気体)に対する定められたホストポリマーの透過度を計算する好適な方法には以下の二段落において略述する方法が含まれる:
ポリマーを合成し、ジクロロメタン(ARグレード、アジャックス・ファインケム社から入手したままを使用)のような溶媒に2.5w/v%の濃度で溶解する。溶液を0.75μmガラス繊維フィルター(アドバンテック社)に通して濾過し、その後、ガラス流延リングを用いて溶液流延する。乾燥は2段階で完了した。初期乾燥は室温で約48時間であり、流延リングはペトリ皿で覆い、ただちに膜の上を確実にほぼ飽和環境にする。次に、蒸留水を用いてフィルムをガラス器から取り出し、その後、まず80℃で15時間、次に150℃で48時間真空乾燥する。真空オーブン内の絶対圧は約3kPaである。膜は使用するまでデシケーター中に貯蔵する。膜の厚さは約±1μmの精度のマイクロメーター(日本のミツトモ社)を用いて測定する。測定厚みは40〜50μmであることが必要である。
【0027】
透過度は、定積可変圧力気体透過装置(図1)で測定する。装置は、密閉された膜装置へ進める前に、10気圧の一定圧力で気体を予備加熱ループへ供給することによって操作する。装置は横断面47mmのデッドエンド高圧フィルターホルダーである。加熱ループ及び膜装置は、温度を35℃に制御したオーブンに収容する。透過気体を、水浴に収容した冷却ループに通し、確実に27.5±0.2℃の一定の測定温度にする。データは毎秒1リードの速度で電子的に記録され、各データポイントは100単位圧力測定値の平均である。気体供給圧は0〜7000kPaのMKS Baratron(登録商標)変換機で測定するが、下流体積は0〜1.3kPa絶対圧の相当するモデルで測定する。
【0028】
透過度を測定する上記試験は透過度を評価するための要件を設定することに注意する。膜が商業的に合成されたものであるとき、様々なパラメーターが用いられる。例えば、商業的な合成における溶媒はジクロロメタン以外の溶媒であってもよく、ポリマーの溶媒中の濃度は変更し得る。
【0029】
本発明の気体分離膜では、第2ポリマー材料のドメインがホストポリマー中の第2ポリマー材料のセグメントによって形成し得ることを指摘する。その場合には、特定の気体に対する透過度を計算するためのホストポリマーは、第2ポリマー材料が不在のホストポリマーとして(ホモポリマーとして)測定される。
【0030】
ターゲット気体/第2気体についてのホストポリマーの選択性は、ターゲット気体に対するホストポリマーの透過度を第2気体に対するホストポリマーの透過度で除することによって測定され、各気体に対する透過度は上に略述した方法によって測定される。1つの態様では、ターゲット気体成分/第2気体成分についてのホストポリマーの選択性は少なくとも4、より好ましくは少なくとも8である。気体分離膜の選択性は同様に少なくとも4、より好ましくは同様に少なくとも8である。
【0031】
好適なホストポリマー膜は、総説「発電所煙道ガスからの二酸化炭素を捕捉するためのポリマーCO2/N2気体気体分離膜」、J. Mem. Sci.,279(2006)1−49(以後、「上記総説」と呼ぶ)(参照することによって全て本明細書中に援用されるものとする)に記載されているどのようなポリマーから選択してもよい。
【0032】
一般に、好適なホストポリマー材料はガラス構造を有するか、あるいはパッキングに影響を与えるキンクを有する比較的平らで硬質の構造を有する。従って、芳香族環は気体分離膜用のそのようなホストポリマー材料に見られる一般的な構造のモチーフである。
【0033】
特に二酸化炭素の他の気体からの分離のための、他の好適な種類のホストポリマー材料はポリイミドである。ポリイミドは極性溶媒中でのジアミンとジカルボン酸(例えば二無水物)との(縮合)反応によってしばしば合成される。重合中に形成される中間体はポリアミド酸であり、縮合反応をしてポリイミドを形成する。
【0034】
ポリイミドホストポリマーの形成に適したジカルボン酸/二無水物の例は、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ジフタル酸無水物(6FDA)、3,3’,4,4’−ビスフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、4,4’−オキシジフタル酸無水物(OPDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、1,2,3,5−ベンゼンテトラカルボン酸無水物(PMDA)及び1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)である。
【0035】
ホストポリマーの形成に適したジアミンには、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(ビスAPAF)、4−(4−アミノフェノキシ)ベンゼンアミン(4,4’−ODA)、3−(4−アミノフェノキシ)ベンゼンアミン(3,4’−ODA)、3−(3−アミノフェノキシ)ベンゼンアミン(3,3’−ODA)、1,4−ジアミノジュレン、2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジチオール(DABT)、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン及び3,3´−ジアミノベンジジン(DAB)が含まれる。
第2ポリマー材料のドメイン
第2ポリマー材料のドメイン(ドメイン形成ポリマー材料又はセグメントとも記載される)は、ホストポリマーとは関係のないポリマー粒子によって構成されるか、あるいはホストポリマー構造内の第2ポリマー材料のセグメントによって構成され、(ポリマー組成物内の第2ポリマー材料の相分離により)凝集して第2ポリマー材料のドメインを形成する。
【0036】
第2ポリマー材料の透過度を計算するために、第2ポリマー材料のみからつくられたポリマー試料を透過度試験して、特定の気体、例えばターゲット気体に対する第2ポリマー材料の透過度を計算する。もし入手可能ならば、定められた第2ポリマー材料の透過度に関する文献データに依拠してもよい。第2ポリマー材料はターゲット気体に対して中程度ないし高い透過度(すなわち、ターゲット気体に対する高い溶解度)を有するのが好ましい。
【0037】
第2ポリマー材料(粒子又はセグメントいずれかの形)は、ホストポリマーと比較してターゲット気体に対してより高い透過度を有するどのようなポリマー材料からも選択しうる。一般に、第2ポリマー材料の透過度はホストポリマーと比較してターゲット気体に対して少なくとも50%より透過性であり、好ましくは3倍透過性である。
【0038】
第2ポリマー材料又はドメイン形成ポリマーセグメントは以下のいずれかを含有しているのが好適である:
− 荷電基、好適には荷電末端基
− 1つ以上の極性基(カルボニル、ヒドロキシル、アミン、エーテル、シロキサン等)、好適には極性末端基
− 1つ以上のヘテロ原子(すなわち、非炭素及び水素原子)、例えば酸素、窒素、シリカ、フッ素の存在。
【0039】
第2ポリマー材料のドメイン形成に適したポリマー材料の例は、ポリ二置換シロキサン、例えばポリジアルキルシロキサン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリアルキレンオキシド、例えばポリグリコール、ポリエチレンオキシド又はポリプロピレンオキシド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアセチレン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、高分子電解質、ポリ(イオン性液体)、ポリビニルアルコール及びポリエーテルの1つ又は組み合わせである。
【0040】
第2ポリマー材料は、ホストポリマー材料とは異なる材料である。(詳細は以下に記載するように反応性末端基を導入する官能化の手段として1つ以上の芳香族環が第2ポリマー材料に添加しうることを指摘しておくが)第2ポリマー材料は非芳香族環含有ポリマー材料であるのが好ましい。第2ポリマー材料は、ホストポリマー材料とは異なる形態を一般に有し、ホストポリマー中で凝集する傾向がある。
【0041】
ポリ二置換シロキサンの場合、シロキサン構造における珪素原子上の置換基の例は、ヒドロキシ、アルキル、アリール、アルコキシ及びアリールオキシである。
ドメインを形成するためのポリマー材料の一例はポリジアルキルシロキサンである。ポリジメチルシロキサンは、ホストポリマー及び第2ポリマーのドメインを含むポリマー組成物を形成する技術の説明に以下で用いられる1つの具体的なポリジアルキルシロキサンである。このポリマーが記載されているが、他のポリジアルキルシロキサン、及び他の種類の第2ポリマー材料をポリジメチルシロキサンの代わりに同様に用いうることはいうまでもない。
気体分離膜のポリマー組成物の製造
上記のように、第2ポリマー材料はホストポリマー中に分散された粒子サイズが少なくとも1nmの別個のポリマー粒子を(2成分の物理的混合物として)形成していてもよく、あるいは第2ポリマー材料はホストポリマー中の化学的に結合した構成成分としてポリマー材料のセグメントの形であって、セグメントは組成物中で凝集してドメインを形成する。第1のタイプの状況(第2ポリマー材料が粒子の形である場合)は「アプローチ1」で略述したような1つの一般的な方法によって製造することができる。以下のアプローチ2〜3で略述するように、ホストポリマー中での第2ポリマー材料のセグメントの配置及び配列におけるバリエーションを作り出す代替的な方法はたくさんある。
【0042】
望ましい膜を製造するための別の方法は、荷電基又は極性基をドメイン形成ポリマーに付加することである。このポリマーを次に適当な溶媒中のホストポリマーの溶液に加える。荷電基又は極性基の付加は、アプローチ1により形成されるものと概念的に類似した構造をもたらすはずのミセルの形成を容易にするはずである。
【0043】
この結果により作られるどのような膜も、膜のアニ−リング及び圧縮をもたらす加熱によってさらに調整しうる。これは透過度の低下をもたらすが、選択性の増加によって補われるはずである。加熱の膜への影響は、J.Poly. Sci B:Poly. Phys.,46(2008)1879−1890に記載されている。
アプローチ1
一般に、アプローチ1は
− ターゲット気体成分を透過させることができ、且つ第2気体成分よりもターゲット気体成分について選択性を有するホストポリマー
− 少なくとも0.5nm、好ましくは少なくとも1nmの粒子サイズを有する第2ポリマー材料のポリマー粒子、ここで、第2ポリマー材料はホストポリマーと比較してターゲット気体成分に対してより高い透過度を有する、及び
− 溶媒
を含む溶液を製造すること;及び
溶媒を除去してポリマー粒子が分散しているホストポリマーを含むポリマー組成物を製造すること
を含む。
【0044】
ポリマー粒子はコア架橋スターポリマー、すなわち、架橋された中心コア及び放射状に広がるポリマーアームを有するポリマーでもよい。そのようなコア架橋スターポリマーは本技術分野において公知の技術によってつくることができる。そのようなポリマーの製造についての引例を以下に示す:
1)発明者名Qiao,Greg Guanghua;Connal,Luke Andrew;Wiltshire,James Thomasの「Porous polymeric materials and polymer particles for preparation thereof」と題するWO2007/051252
2)発明者名Solomon,David Henry;Qiao,Greg Guanghua;Abrol,Simmiの「Process for microgel preparation」と題するWO99/58588
3)発明者名Solomon,David Henry;Abrol,Simmi;Kambouris,Peter Agapitos;Looney,Mark Grahamの「A process for preparing microges」と題するWO98/31739
この点については、後述の実施例を参照して更に詳しく説明する。この実施例では、ポリマー粒子は、PDMSのアームを含む架橋PDMSを含むコア架橋スターポリマー(CCSP)によって提供される。これらのPDMSのCCSP粒子は「膜流延溶液」とも呼ばれるホストポリマー材料の溶液に加える。次に、ポリマー組成物(膜)を本技術分野で公知の方法で流延してCCSP PDMSのポリマー粒子を有するホストポリマーを含有する望ましい膜を得る。得られるポリマー組成物は図1に示す構造を有する。図1では、波状の上及び下の線はホストポリマーを表し、黒い円はスターPDMSポリマーの架橋コアを表し、黒い円からの放射状に広がるラインはPDMSアームを表す。
【0045】
この方法に用いるためのホストポリマーの例は、ポリイミド6FDA−ジュレンである。ホストポリマー及びPDMS粒子としてポリイミド6FDA−ジュレンを含むポリマー組成物は、6FDA−ジュレン自体と比較して、CO2透過度の著しい増加及びCO2/N2透過度の少しの低下をもたらす。この方法を、ホストポリマーである、Matrimid5218の登録商標名でハンツマン・アドバンスド・マテリアルズ社が販売するポリイミドに適用すると、CO2透過度の増加が観察される。窒素透過度は検出限界を下回る。
【0046】
好ましくは、ドメインが第2ポリマー材料の粒子によって形成される場合、ポリマー組成物中の粒子の濃度は約50%w/v未満、好ましくは1〜10%w/v、より好ましくは1%w/v未満である。これによって、ポリマー組成物(気体分離膜)は確実に構造的に十分に安定したものとなる。
【0047】
第2ポリマー材料の粒子の分子量は、好ましくは50,000〜10,000,000、より好ましくは70,000〜1,000,000、最も好ましくは100,000〜200,000の数平均分子量である。
【0048】
ポリマー粒子の平均粒子サイズ(直径)は、好ましくは少なくとも0.5nm、より好ましくは少なくとも1nm、さらにより好ましくは少なくとも5nm、最も好ましくは少なくとも10nmである。平均粒子サイズは、好ましくは1000nm未満、より好ましくは80nm未満である。理想的な粒子サイズは15〜50nmの範囲である。
アプローチ2及び3
アプローチ2及び3はそれぞれ、ホストポリマー内における第2ポリマー材料のセグメントの凝集を第2ポリマー材料のドメインの形成として含む。これらのアプローチの違いは、これらのセグメントが導入される方法、用いられるホスト及び第2ポリマー材料の相対量、及び反応性末端基の数にある。これらのファクターは、気体分離膜の形成に用いられる生成ポリマー組成物の最終構造に影響を与える。
【0049】
それぞれの場合、ホストポリマー材料のブロック(又は前駆体)は少なくとも1つの反応性末端基で製造される。反応性末端基は、反応して別のセグメントに対して共有化学結合を形成することができる官能基である。反応性末端基の例は、アミン、カルボン酸又はエステル、ヒドロキシル基等である。ホストポリマー材料の終点となる第1のタイプの反応性末端基は、ドメイン形成ポリマーセグメント上の第2タイプの反応性末端基と反応性である必要がある。従って、第1及び第2タイプの反応性末端基は互いに異なる。
アプローチ2
アプローチ2では、反応させるホストポリマー材料前駆体は1つ又は2つの反応性末端基を有し、反応させるドメイン形成ポリマー材料セグメントは2つの反応性末端基を有し、その方法は、ホストポリマー材料対ドメイン形成ポリマー材料が少なくとも2:1の比となるようにして反応させて、未反応ホストポリマー材料と、ホストポリマー材料の2つのセグメント間にドメイン形成材料のセグメントを含む反応させたポリマーの3ブロック単位との組み合わせを含むポリマー組成物を製造する。通常、少なくとも3:1、より好ましくは約4:1の過剰ホストポリマー材料対ドメイン形成ポリマー材料が用いられる。
【0050】
第2の方法の手順では、ホストポリマー(例えばポリイミド)及びドメイン形成ポリマー(例えばPDMS)の両方を組み込んだブロックコポリマーを製造する。反応させるホストポリマー材料及びドメイン形成ポリマーセグメントの相対量により、ホスト及びドメイン形成ポリマーの交互のセグメントを含むブロックコポリマーが生じ、そして2:1の比又はそれ以上を用いると、形成されるブロックコポリマーのかなりの部分はホスト:ドメイン:ホストのブロックを含むであろう。また未反応ホストポリマーがいくらかあるかもしれず(特に、2:1比を越えるホスト対ドメイン形成ポリマーセグメントを反応させるとき)、そして少量の5−ブロック(ホスト:ドメイン:ホスト:ドメイン:ホスト)コポリマーが形成されるかもしれない。
【0051】
PDMS及びポリイミドの例では、好適な分子量(アプローチ1で説明した好ましい分子量に相当する)を有するビスヒドロキシ又はカルビノール末端PDMSを反応性末端基導入化合物とまず反応させて反応性末端基を導入する。好適な反応性末端基導入化合物の例は4−ニトロフェニルクロロフォルメート(NPC)である。この反応性末端基導入化合物は、PDMSセグメントの各末端でヒドロキシル官能基と反応するためのハロフォルメート末端を含む。この末端基導入化合物は、PDMSの各セグメントの各末端で、アミンと反応性であるカルボン酸エステルを導入する。この官能化反応で加えられた芳香族環は、カルボン酸エステル末端PDMSセグメントがアミンと反応する場合に失われる。
【0052】
反応性末端基で終端された第2ポリマー材料セグメント(反応性末端基を有するPDMS)を次に過剰のアミン末端ポリイミドと反応させて、線状ポリイミド及びトリ−ブロックコポリマー(ポリイミド−PDMS−ポリイミド)の混合物を得る。溶媒流延して膜を形成すると、PDMS及びポリイミド間の乏しい相互作用は、PDMSにPDMSセグメントが凝集する傾向を示す複雑な形態をとらせる。ミセル(図5に示す)、シリンダー及びチャネルを含む構造は全て可能であると予想され、正確な形態は様々なブロックの長さ及び異なるブロック間の相互作用によって決まる。
【0053】
好ましくは、ホスト−ドメイン−ホストのブロックコポリマーの分子量は、特にPDMSとポリイミド6−FDA−ジュレンの組み合わせの場合、68,000を越える。これは構造的に安定した膜を提供するのに役立つ。製造された最も成功したアミン末端ポリイミドはこの下限より大きかった。
【0054】
アプローチ2の方法はアプローチ1の方法に比べて多くの利点を有する。合成段階はより順調に進行し、スケールアップするのにより容易である。アプローチ2の下での仕上げは、手間のかかる精製段階を必要としない。別の利点は、ホストポリマーを有するブロックコポリマーのセグメント中に配置されるので、PDMSがポリマー組成物中に強制的に分散させられることである。さらに、より大きな分子量はより大きな構造的安定性をもたらすと予想される。
【0055】
このアプローチによって作り上げられる膜は、ドメイン材料と同一の組成を有する線状ポリマーを加えることによってさらに調整することができる。これをドメイン領域に収納してドメインの大きさ及び形態を変化させることができる。
【0056】
アプローチ2で製造されたポリマー組成物の二酸化炭素の透過度は、可塑化の程度を修正するために多数の二酸化炭素圧において測定した。これらの結果は図6に示す。
他の文献のポリマー(データは総説から得た)との比較で、アプローチ1及び2から形成された膜の二酸化炭素透過度及び二酸化炭素/窒素選択性を図8に示す。
アプローチ3
アプローチ3は、ある方法で製造される第2ポリマー材料セグメントとホストポリマー材料前駆体との間の反応を含む。
【0057】
一般に架橋ポリマー材料セグメントである「第2」ポリマー材料セグメントは官能化されて、多数の(2つ以上)反応性末端基が導入される。第2ポリマー材料セグメントへ導入される多数の反応性末端基は、第2ポリマー材料セグメントを凝集させるか、あるいはミセル(すなわち、ドメイン)を形成させる性質を有することがさらに望ましい。第2ポリマー材料セグメントを凝集させる(適当な溶媒中で)傾向がある多数の反応性末端基の好適な性質は疎水性である。「第2」ポリマー材料セグメントの反応性末端基は、ホストポリマー材料前駆体上の相当する反応性末端基に対して反応性であるように選択される。
【0058】
ホストポリマー材料前駆体上の反応性末端基は、新しい官能基の付加によってもたらすことができ、あるいはホストポリマー材料前駆体は、第2ポリマー材料セグメント上の反応性末端基と反応することができる官能基をすでに含んでいてもよい。1つの例では、ポリイミドホストポリマー材料は、第1アミンと反応して共有結合又は架橋を形成するイミド環を含む。従って、第2ポリマー材料セグメントがアミン反応性末端基を含む場合、これらはポリイミドのイミンと反応してターゲットポリマー組成物を形成する。
【0059】
この方法によって製造されるポリマーは2つの注目に値する利点を有する。第1に、少ない体積又は小セグメントの第2ポリマー(ターゲット気体に対して親和性である)がホストポリマー膜へ導入され、そして第2に、気体分離膜が架橋し、これが膜の可塑化への傾向を低下させるはずである。
【0060】
このアプローチは、アミン反応性末端基を有する「第2ポリマー材料」としてのアミン末端ポリエチレングリコールポリマー、及びアミンと反応するイミド環を含むホストポリマーとしての6FDA−ジュレンに適用された。
更なる製造の詳細
ブロック−コポリマーの方法(アプローチ2及び3)で、第2ポリマー材料がホストポリマーに共有結合している場合、第2ポリマー材料はポリマー組成物の0.1重量%、ポリマー組成物の50%以下、好ましくは0.5〜10%を構成しうる。これは、ブロック−コポリマーの形成に用いられるホストポリマー材料部分の分子量、第2ポリマー材料(ドメインを形成する)のセグメントの分子量、及び用いられるそれぞれの相対量の選択によって達成される。
【0061】
ホストポリマーセグメントの分子量は、好適には10,000〜500,000g/モル、好ましくは30,000〜100,000g/モルである。
(アプローチ2により製造された)ブロック−コポリマー組成物中のホストポリマー及び第2ポリマーの相対量により、様々な微細構造が得られる。ジブロック(2−ブロック)コポリマーについて得られる微細構造はかなり研究されており、ホストポリマー中の第2ポリマーの球から、不規則混合物、円筒形、2連続構造、孔あき層及びラメラまで及ぶ。同様に、トリブロックコポリマーについては、形態は不規則混合物、球、円筒形、2連続構造、孔あき層及びラメラまでに及ぶ。
【0062】
ターゲット気体に対する気体分離膜の透過度及び選択性の組み合わせを改善する本技術分野で公知の他の方法では、ナノサイズのキャビティが膜に導入され、これによりホストポリマーである膜に対するターゲット気体の可溶化及び透過が促進される。そのような技術は上記の技術と組み合わせ用いられ、より高い透過度(ターゲット気体に対する)のポリマーのドメインがホストポリマーに導入され、その結果、ホストポリマーはそのようなキャビティも含みうる。
【0063】
適切な大きさ(及びキャビティサイズの狭い分布)のポリイミドにおけるキャビティを生成させるのに適した1つの方法では、ポリイミド膜(本発明の場合は、ポリイミドホストポリマー及びドメインを含む膜)を約350〜450℃の温度で熱的転位させる。これらの処理条件では、ポリイミドポリマー成分の鎖構造が、鎖のパッキングに影響するように変化する。得られる材料は熱的に安定であり、生じる構造的転位は基本的なポリマー構造の部分燃焼(すなわち炭化)が生じるまで進行しない。炭化を引き起こす、そのような過度の熱処理は膜の物理的性質(堅牢性)に悪影響を及ぼす。
【0064】
熱処理は、好適には、フィルムに適用する温度を、目標温度まで適切な速度(例えば約5〜10℃/分)で上昇させ、フィルムを目標温度である時間(約1時間)保持し、その後、室温にゆっくり冷却することを含む。
【0065】
これらのタイプのポリマーは本発明と組み合わせてホストポリマー系として用いることができる。熱処理に適した材料又はナノ粒子、例えばゼオライト、ナノポーラスカーボン、シリカ等を組み込むことによって、改善された性能を有する膜を製造することが可能となる。
気体分離膜
気体分離膜は、任意の好適な形態に構築されてよい。これらの形態には、平らで目の詰んだ膜、非対称中空繊維、非対称フラットシート及び複合フラットシート並びにらせん巻き膜が含まれる。
【0066】
気体分離膜の選択性は少なくとも4であり、ターゲット気体に対する透過度は少なくとも5バレルであることが好ましい。
気体分離膜は、0.05〜100マイクロメーターの選択層の厚さを有するのが好ましい。
【実施例】
【0067】
6FDA−ジュレンの一般的な合成
このホストポリマーは、アミン末端6FDA−ジュレンを少し過剰な1,4−ジアミノジュレンと反応させることによって合成される:
【0068】
【化1】
【0069】
実施例1:PDMSコア架橋スターポリマーを組み込んだ6FDA−ジュレン膜の合成
6FDA−ジュレン(250mg)及びPDMSスターポリマー(1.3mg)のジクロロメタン溶液10mLをつくった。溶液をレベル流延リング(直径65mm)に注ぎ、軽く蓋をした。流延リングを一晩放置して、ジクロロメタンを蒸発させた。蒸留水を加えて膜をガラスから離した。膜を一晩空気乾燥し、その後、100℃に4日間保って、全ての溶媒を確実に除去した。膜は使用前、デシケーターで保存した。
実施例2:PDMSコア架橋スターポリマーを組み込んだ6FDA−ジュレン膜の単一気体試験
実施例1からの膜を定積可変圧単一気体リグで35℃にて試験した。窒素(10大気上流圧)、酸素(10大気上流圧)、二酸化炭素(10大気上流圧)の順で気体を試験した。較正した体積は2173.97cm3を占め、これを一定温度(301.5K)に保った。
実施例3:PDMSコア架橋スターポリマーを組み込んだ6FDA−ジュレン膜の合成
6FDA−ジュレン(250mg)及びPDMSスターポリマー(1.9mg)のジクロロメタン溶液10mLをつくった。溶液をレベル流延リング(直径65mm)に注ぎ、軽く蓋をした。流延リングを一晩放置して、ジクロロメタンを蒸発させた。蒸留水を加えて膜をガラスから離した。膜を一晩空気乾燥し、その後、100℃に4日間保って、全ての溶媒を確実に除去した。膜は使用前、デシケーターで保存した。
実施例4:PDMSコア架橋スターポリマーを組み込んだ6FDA−ジュレン膜の単一気体試験
実施例3からの膜を定積可変圧単一気体リグで35℃にて試験した。窒素(10大気上流圧)、メタン(10大気上流圧)、二酸化炭素(10大気上流圧)の順で気体を試験した。較正した体積は2173.97cm3を占め、これを一定温度(301.5K)に保った。
実施例5:PDMSコア架橋スターポリマーを組み込んだMatrimid5218膜の合成
Matrimid5218(250mg)及びPDMSスターポリマー(1.3mg)のジクロロメタン溶液10mLをつくった。溶液をレベル流延リング(直径65mm)に注ぎ、軽く蓋をした。流延リングを一晩放置して、ジクロロメタンを蒸発させた。蒸留水を加えて膜をガラスから離した。膜を一晩空気乾燥し、その後、100℃に4日間保って、全ての溶媒を確実に除去した。膜は使用前、デシケーターで保存した。
実施例5の試験:
実施例4からの膜を定積可変圧単一気体リグで35℃にて試験した。窒素(10大気上流圧)、酸素(10大気上流圧)、二酸化炭素(10大気上流圧)の順で気体を試験した。較正した体積は2173.97cm3を占め、これを一定温度(301.5K)に保った。
実施例6:NPC官能化PDMSの合成
【0070】
【化2】
【0071】
ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンMW=980(7.02mL)をジクロロメタン(17mL)に溶解した。この溶液に4−ニトロフェニルクロロホルメート(0.800g)及びピリジン(0.53mL)を加えた。溶液は24時間攪拌した。溶液を濾過し、次に、溶媒を減圧下で除去した。その後、ポリマーをペトロリウムスピリットに抽出した。ペトロリウムスピリットを減圧下で除去して粘性液を得た。ペトロリウムスピリットをその後使用したときは再度ポリマーを抽出した。溶液を濾過し、溶媒を減圧下で除去して無色の液体を得た。
実施例7:低分子量アミン官能化6FDA−ジュレンの合成
6FDA(3.000g)及び1,4−ジアミノジュレン(1.110g)の無水N−メチルピロリドン(20mL)溶液をアルゴン下で24時間攪拌した。無水酢酸(1.7mL)及びトリエチルアミン(0.7mL)を加え、溶液をさらに24時間攪拌した。溶液を急速攪拌メタノール(200mL)にゆっくり加え、沈殿したポリマーを濾過によって集めた。ポリマーをジクロロメタン(35mL)に溶解し、急速攪拌メタノール(200mL)へゆっくり加えた。固体を濾過によって集め、白色固体(3.683g)を得た。
実施例8:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:1の比)ポリマーの合成
【0072】
【化3】
【0073】
実施例6からのNPC官能化PDMS(0.0231g)及び実施例7からのアミン官能化6FDA−ジュレン(1.000g)のジクロロメタン(20mL)溶液を24時間攪拌した。溶液をメタノール(200mL)にゆっくり加え、固体を濾過によって集めた。固体はメタノール及びヘキサンで洗浄した。
実施例9:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:1の比)膜の合成
実施例8で合成したポリマー(250mg)のジクロロメタン溶液10mLをつくった。溶液をレベル流延リング(直径65mm)に注ぎ、軽く蓋をした。流延リングを一晩放置して、ジクロロメタンを蒸発させた。蒸留水を加えて膜をガラスから離した。膜を一晩空気乾燥し、その後、100℃に4日間保って、全ての溶媒を確実に除去した。膜は使用前、デシケーターで保存した。
実施例10:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:1の比)膜の単一気体試験
実施例9からの膜を定積可変圧単一気体リグで35℃にて試験した。窒素(10大気上流圧)、メタン(10大気上流圧)、二酸化炭素(2、5、10、15及び20大気上流圧)の順で気体を試験した。較正した体積は2173.97cm3を占め、これを一定温度(301.5K)に保った。
実施例11:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:2の比)ポリマーの合成
実施例6からのNPC官能化PDMS(0.0103g)及び実施例7からのアミン官能化6FDA−ジュレン(0.894g)のジクロロメタン(20mL)溶液を24時間攪拌した。溶液をメタノール(100mL)にゆっくり加え、固体を濾過によって集めた。固体はメタノール及びヘキサンで洗浄した。
実施例12:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:2の比)膜の合成
実施例11で合成したポリマー(250mg)のジクロロメタン中の10mL溶液をつくった。溶液をレベル流延リング(直径65mm)に注ぎ、軽く蓋をした。流延リングを一晩放置して、ジクロロメタンを蒸発させた。蒸留水を加えて膜をガラスから離した。膜を一晩空気乾燥し、その後、100℃に4日間保って、全ての溶媒を確実に除去した。膜は使用前、デシケーターで保存した。
実施例13:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:2の比)膜の単一気体試験
実施例12からの膜を定積可変圧単一気体リグで35℃にて試験した。窒素(10大気上流圧)、メタン(10大気上流圧)、二酸化炭素(2、5、10、15及び20大気上流圧)の順で気体を試験した。較正した体積は2173.97cm3を占め、これを一定温度(301.5K)に保った。
実施例14:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:4の比)ポリマーの合成
実施例6からのNPC官能化PDMS(0.0101g)及び実施例7からのアミン官能化6FDA−ジュレン(1.944g)のジクロロメタン(20mL)溶液を24時間攪拌した。溶液をメタノール(100mL)へゆっくり加え、固体を濾過によって集めた。固体はメタノール及びヘキサンで洗浄した。
実施例15:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:4の比)膜の合成
実施例14で合成したポリマー(250mg)のジクロロメタン溶液10mLをつくった。溶液をレベル流延リング(直径65mm)に注ぎ、軽く蓋をした。流延リングを一晩放置して、ジクロロメタンを蒸発させた。蒸留水を加えて膜をガラスから離した。膜を一晩空気乾燥し、その後、100℃に4日間保って、全ての溶媒を確実に除去した。膜は使用前、デシケーターで保存した。
実施例16:PDMSコア架橋スターポリマーを組み込んだ6FDA−ジュレン膜の合成
6FDA−ジュレン(250mg)及びPDMSスターポリマー(2.5mg)のジクロロメタン溶液10mLをつくった。溶液をレベル流延リング(直径65mm)に注ぎ、軽く蓋をした。流延リングを一晩放置して、ジクロロメタンを蒸発させた。蒸留水を加えて膜をガラスから離した。膜を一晩空気乾燥し、その後、100℃に4日間保って、全ての溶媒を確実に除去した。形成された膜は亀裂があるため、それほど理想的ではなかった。
実施例17:PDMSコア架橋スターポリマーを組み込んだ6FDA−ジュレン膜の合成
6FDA−ジュレン(250mg)及びPDMSスターポリマー(3.3mg)のジクロロメタン溶液10mLをつくった。溶液をレベル流延リング(直径65mm)に注ぎ、軽く蓋をした。流延リングを一晩放置して、ジクロロメタンを蒸発させた。蒸留水を加えて膜をガラスから離した。膜を一晩空気乾燥し、その後、100℃に4日間保って、全ての溶媒を確実に除去した。形成された膜は亀裂があるため、それほど理想的ではなかった。
実施例18:拡大分子量アミン末端6FDA−ジュレンポリマーの合成
6FDA(3.000g)及び1,4−ジアミノジュレン(1.109g)の無水N−メチルピロリドン(20mL)溶液をアルゴン下で24時間攪拌した。さらに1,4−ジアミノジュレン(0.110g)を加え、溶液をさらに24時間攪拌した。無水酢酸(1.7mL)及びトリエチルアミン(0.7mL)を加え、溶液をさらに24時間攪拌した。溶液を急速攪拌メタノール(200mL)にゆっくり加え、沈殿したポリマーを濾過によって集めた。ポリマーをジクロロメタン(35mL)に溶解し、急速攪拌メタノール(200mL)へゆっくり加えた。固体を濾過によって再度集めた。
実施例19:NPC末端ポリジメチルシロキサンの合成
カルビノール末端ポリジメチルシロキサンMW=1000−1250(0.98g)をジクロロメタン(15mL)に溶解した。この溶液に4−ニトロフェニルクロロホルメート(0.702g)を加えた。溶液は6時間攪拌した。ピリジン(5mL)を加え、溶液をさらに24時間攪拌した。溶液を濾過し、次に、体積を減圧下で約5mLにまで減少させた。溶液をペトロリウムスピリット(30mL)にゆっくり注いだ。溶液を濾過し、溶媒を減圧下で除去して粘性液を得た。ペトロリウムスピリットをその後使用したときは再度ポリマーを抽出した。溶液を濾過し、溶媒を減圧下で除去して粘性の無色液体を得た。
実施例20:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:1の比)ポリマーの合成
実施例17からのNPC官能化PDMS(3.6mg)及び実施例16からのアミン官能化6FDA−ジュレン(0.300g)のジクロロメタン(20mL)溶液を24時間攪拌した。溶液をヘキサン(20mL)にゆっくり加え、固体を濾過によって集めた。固体はメタノール及びヘキサンで洗浄した。白色固体を真空オーブンで100℃にて17時間乾燥した。
実施例21:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:1の比)膜の合成
実施例18で合成したポリマー(250mg)のジクロロメタン溶液10mLをつくった。溶液をレベル流延リング(直径65mm)に注ぎ、軽く蓋をした。流延リングを一晩放置して、ジクロロメタンを蒸発させた。蒸留水を加えて膜をガラスから離した。膜を一晩空気乾燥し、その後、100℃に4日間保って、全ての溶媒を確実に除去した。膜は使用前、デシケーターで保存した。
実施例22:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:1の比)膜の単一気体試験
実施例19からの膜を定積可変圧単一気体リグで35℃にて試験した。窒素(10大気上流圧)、メタン(10大気上流圧)、二酸化炭素(10大気上流圧)の順で気体を試験した。較正した体積は2173.97cm3を占め、これを一定温度(301.5K)に保った。
実施例23:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:2の比)ポリマーの合成
実施例17からのNPC官能化PDMS(1.8mg)及び実施例16からのアミン官能化6FDA−ジュレン(0.300g)のジクロロメタン(20mL)溶液を24時間攪拌した。溶液をヘキサン(20mL)にゆっくり加え、固体を濾過によって集めた。固体はメタノール及びヘキサンで洗浄した。白色生成物を真空オーブンで100℃にて17時間乾燥した。
実施例24:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:2の比)膜の合成
実施例21で合成したポリマー(250mg)のジクロロメタン溶液10mLをつくった。溶液をレベル流延リング(直径65mm)に注ぎ、ゆるくカバーした。流延リングを一晩放置して、ジクロロメタンを蒸発させた。蒸留水を加えて膜をガラスから離した。膜を一晩空気乾燥し、その後、100℃に4日間保って、全ての溶媒を確実に除去した。膜は使用前、デシケーターで保存した。
実施例25:トリブロック6FDA−ジュレン/PDMS(1:2の比)膜の単一気体試験
実施例22からの膜を定積可変圧単一気体リグで35℃にて試験した。窒素(10大気上流圧)、メタン(10大気上流圧)、二酸化炭素(10大気上流圧)の順で気体を試験した。較正した体積は2173.97cm3を占め、これを一定温度(301.5K)に保った。
試験結果
上記のとおりに製造されたポリマーについて前述の透過度試験を行った。透過度試験結果は表1及び2に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
図9は、実施例3、10及び13で合成された膜の二酸化炭素/メタン選択性についての二酸化炭素透過度を、文献記載のポリマーと比較したものである。ロベソンの上限は破線で示す。ここに挙げる全ての実施例は、上限を著しく越える高い透過度及び選択性の組み合わせを示す。
【0077】
本技術分野における当業者にとって、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく多くの変更をなしえることは明らかであろう。
請求の範囲及び本発明の上記説明において、文脈が用語又は必要な意味を表すために別の使用法を必要とする場合を除き、「含む(comprise)」の用語、又は「よりなる(comprise)」若しくは「からなる(comprising)」のような変形体は包括的な意味で用いており、すなわち、前記特徴事項の存在を具体的に規定するために用いられているが、本発明の様々な態様における更なる特徴の存在又は追加を排除するものではない。
【符号の説明】
【0078】
1.標準圧ゲージ 0〜4000kPa
2.圧力変換器 0〜6800kPa
3.タイプK熱電対
4.圧力変換器 0〜10Torr
5.データ測定PC
6.シリンダーガス供給部
7.加熱ループ
8.膜ホルダー
9.ファン強制オーブン
10.較正体積
11.ベント
12.真空供給部
13.真空供給部
14.圧力開放部
15.サーモスタット制御水浴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体混合物中におけるターゲット気体を第2気体成分から分離する気体分離膜であって、
− ターゲット気体成分を透過させることができ、且つ第2気体成分よりもターゲット気体成分について選択性を有するホストポリマー、及び
− ホストポリマーと比較してターゲット気体に対してより高い透過度を有するポリマー材料のドメイン
を含む前記気体分離膜。
【請求項2】
ポリマー材料のドメインの直径が、少なくとも0.5nm、好ましくは少なくとも1nmである、請求項1に記載の気体分離膜。
【請求項3】
気体分離膜がロベソンの上限を上回る透過度及び選択性の組み合わせを有する、請求項1又は2に記載の気体分離膜。
【請求項4】
ターゲット気体成分が、CO2、He、O2及びN2よりなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項5】
ターゲット気体成分がCO2であり、第2気体成分がN2、H2、CH4、O2、H2O、H2S、SOx及びNOxよりなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項6】
ホストポリマーのターゲット気体に対する透過度が少なくとも5バレルである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項7】
ターゲット気体成分/第2気体成分についてのホスト膜の選択性が少なくとも4である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項8】
気体分離膜の選択性が少なくとも4である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項9】
ホストポリマーが芳香族環含有ポリマーである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項10】
ホストポリマーが、ポリアミド及びポリイミド;ポリアセチレン;ポリアニリン;ポリスルホン;ポリ(スチレン);ポリカーボネート;セルロースポリマー;ポリカーボネート;ポリエーテル;ポリエーテルイミド;ポリエーテルケトン;ポリ(アリールケンエーテル);ポリ(アリーレンオキシド);ポリ(エステルアミド−ジイソシアネート);ポリウレタン;ポリエステル;ポリ(フェニレンオキシド);ポリ(ピロロン);ポリスルフィド;ポリ(エチレン);固有ミクロ細孔性ポリマー、ポリビニル化合物並びにそれらのコポリマーよりなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項11】
ホストポリマーがポリイミドである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項12】
ポリイミドが、ジアミンと、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ジフタル酸無水物(6FDA)、3,3’,4,4’−ビスフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、4,4’−オキシジフタル酸無水物(OPDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、1,2,3,5−ベンゼンテトラカルボン酸無水物(PMDA)及び1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)よりなる群から選択されるジカルボン酸又は二無水物との反応により得られる、請求項11に記載の気体分離膜。
【請求項13】
ポリイミドが、ジカルボン酸又は二無水物と、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(ビスAPAF)、4−(4−アミノフェノキシ)ベンゼンアミン(4,4’−ODA)、3−(4−アミノフェノキシ)ベンゼンアミン(3,4’−ODA)、3−(3−アミノフェノキシ)ベンゼンアミン(3,3’−ODA)、1,4−ジアミノジュレン、2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジチオール(DABT)、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン及び3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)よりなる群から選択されるジアミンジとの反応により得られる、請求項11又は12に記載の気体分離膜。
【請求項14】
第2ポリマー材料の透過度がホストポリマーと比較してターゲット気体に対して少なくとも50%より高い透過度である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項15】
第2ポリマー材料が、ポリ二置換シロキサン、ポリアルキレンオキシド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアセチレン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、高分子電解質、ポリ(イオン性液体)、ポリビニルアルコール及びポリエーテル、又はそれらの組み合わせよりなる群から選択される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項16】
第2ポリマー材料が非芳香族環含有ポリマー材料である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項17】
第2ポリマー材料が、荷電末端基、あるいはカルボニル、ヒドロキシル、アミン、エーテル又はシロキサンのような極性末端基のいずれかを含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項18】
ドメインが第2ポリマー材料の粒子によって形成される、請求項1〜17のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項19】
ポリマー組成物中の第2ポリマー材料粒子の濃度が、約50%w/v未満、好ましくは1〜10%w/v、より好ましくは1%w/v未満である、請求項18に記載の気体分離膜。
【請求項20】
第2ポリマー材料の分子量が、50,000〜10,000,000の数平均分子量である、請求項18に記載の気体分離膜。
【請求項21】
ポリマー粒子の平均粒子サイズが、少なくとも5nmであり且つ80nm未満である、請求項18〜20のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項22】
第2ポリマー材料の粒子が、コア架橋スターポリマーである、請求項18〜21のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項23】
第2ポリマー材料のドメインが、ホストポリマーのセグメントに共有結合した第2ポリマー材料のセグメントを含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項24】
第2ポリマー材料が、ポリマー組成物の重量に対して0.1〜50重量%を構成する、請求項23に記載の気体分離膜。
【請求項25】
ホストポリマーセグメントの分子量が、好適には10,000〜500,000g/モルである、請求項23又は24に記載の気体分離膜。
【請求項26】
選択層の厚さが、0.05〜100μmである、請求項1〜25のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項27】
気体分離膜を形成するためのポリマー組成物であって、
− ターゲット気体成分を透過させることができ、且つ第2気体成分よりもターゲット気体成分について選択性を有するホストポリマー、及び
− ホストポリマーと比較してターゲット気体に対してより高い透過度を有するポリマー材料のドメイン
を含むポリマー組成物。
【請求項28】
ターゲット気体成分を透過させることができ、且つ第2気体成分よりもターゲット気体成分について選択性を有するホストポリマー、及び、少なくとも0.5nm、好ましくは少なくとも1nmの粒子サイズを有する第2ポリマー材料のポリマー粒子を組み合わせることを含む気体分離膜ポリマー組成物の製造方法であって、第2ポリマー材料がホストポリマーと比較してターゲット気体に対してより高い透過度を有する上記の方法。
【請求項29】
前記方法が、ホストポリマーを、数平均分子量が50,000〜10,000,000の第2ポリマー材料の粒子と組み合わせることを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記方法が、ホストポリマーを、平均粒子サイズが少なくとも5nmであり且つ80nm未満である第2ポリマー材料の粒子と組み合わせることを含む、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
前記方法が、ホストポリマーを、コア架橋スターポリマーである第2ポリマー材料の粒子と組み合わせることを含む、請求項28〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
ポリマー組成物のホストポリマー及び粒子が溶媒と組み合わされ、且つ、前記方法が、溶媒を除去して、ホストポリマーが、該ホストポリマー中にポリマー粒子が分散されている状態で含まれているポリマー組成物を製造することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
(i)第1タイプの少なくとも1つの反応性基を有するホストポリマー材料又は前駆体を、
(ii)第1タイプの反応性基に対して反応性を有する第2タイプの少なくとも1つの反応性末端基を有するドメイン形成ポリマー材料セグメント
と反応させて、第2ポリマー材料の多数のセグメントが凝集してホストポリマー内にドメインを形成するポリマー組成物を製造することを含む、気体分離膜ポリマー組成物の製造方法であって、ホストポリマーはターゲット気体成分を透過させることができ、且つ第2気体よりもターゲット気体について選択性を有し、また、ドメイン形成ポリマー材料はホストポリマーと比較してターゲット気体に対してより高い透過度を有する、上記の方法。
【請求項34】
反応させるホストポリマー材料前駆体が、1つ又は2つの反応性末端基を有し、反応させるドメイン形成ポリマー材料セグメントが2つの反応性末端基を有し、且つ、前記方法が、ホストポリマー材料対ドメイン形成ポリマー材料を少なくとも2:1のモル比で反応させて、ホストポリマー材料の2つのセグメント間にドメイン形成材料のセグメントを含む反応したポリマーの3ブロック単位を含むポリマー組成物を製造することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
反応させるホストポリマー材料が多数の反応性基を含み、第2ポリマー材料セグメントがそれぞれ多数の反応性末端基を有し、その結果、反応はホストポリマー材料及び第2ポリマー材料のセグメントを含む架橋ポリマー組成物を生じる、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
ポリマー材料の気体分離膜としての使用であって、ポリマー材料が
− ターゲット気体成分を透過させることができ、且つ第2気体成分よりもターゲット気体成分について選択性を有するホストポリマー、及び
− ホストポリマーと比較してターゲット気体に対してより高い透過度を有するポリマー材料のドメイン
を含む、上記の使用。
【請求項37】
気体混合物中においてターゲット気体を第2気体成分から分離する方法であって、気体混合物を、
− ターゲット気体成分を透過させることができ、且つ第2気体成分よりもターゲット気体成分について選択性を有するホストポリマー、及び
− ホストポリマーと比較してターゲット気体に対してより高い透過度を有するポリマー材料のドメイン
を含む気体分離膜中を通過させる又は気体分離膜のそばを通過させることを含む方法。
【請求項1】
気体混合物中におけるターゲット気体を第2気体成分から分離する気体分離膜であって、
− ターゲット気体成分を透過させることができ、且つ第2気体成分よりもターゲット気体成分について選択性を有するホストポリマー、及び
− ホストポリマーと比較してターゲット気体に対してより高い透過度を有するポリマー材料のドメイン
を含む前記気体分離膜。
【請求項2】
ポリマー材料のドメインの直径が、少なくとも0.5nm、好ましくは少なくとも1nmである、請求項1に記載の気体分離膜。
【請求項3】
気体分離膜がロベソンの上限を上回る透過度及び選択性の組み合わせを有する、請求項1又は2に記載の気体分離膜。
【請求項4】
ターゲット気体成分が、CO2、He、O2及びN2よりなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項5】
ターゲット気体成分がCO2であり、第2気体成分がN2、H2、CH4、O2、H2O、H2S、SOx及びNOxよりなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項6】
ホストポリマーのターゲット気体に対する透過度が少なくとも5バレルである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項7】
ターゲット気体成分/第2気体成分についてのホスト膜の選択性が少なくとも4である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項8】
気体分離膜の選択性が少なくとも4である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項9】
ホストポリマーが芳香族環含有ポリマーである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項10】
ホストポリマーが、ポリアミド及びポリイミド;ポリアセチレン;ポリアニリン;ポリスルホン;ポリ(スチレン);ポリカーボネート;セルロースポリマー;ポリカーボネート;ポリエーテル;ポリエーテルイミド;ポリエーテルケトン;ポリ(アリールケンエーテル);ポリ(アリーレンオキシド);ポリ(エステルアミド−ジイソシアネート);ポリウレタン;ポリエステル;ポリ(フェニレンオキシド);ポリ(ピロロン);ポリスルフィド;ポリ(エチレン);固有ミクロ細孔性ポリマー、ポリビニル化合物並びにそれらのコポリマーよりなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項11】
ホストポリマーがポリイミドである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項12】
ポリイミドが、ジアミンと、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ジフタル酸無水物(6FDA)、3,3’,4,4’−ビスフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、4,4’−オキシジフタル酸無水物(OPDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、1,2,3,5−ベンゼンテトラカルボン酸無水物(PMDA)及び1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)よりなる群から選択されるジカルボン酸又は二無水物との反応により得られる、請求項11に記載の気体分離膜。
【請求項13】
ポリイミドが、ジカルボン酸又は二無水物と、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(ビスAPAF)、4−(4−アミノフェノキシ)ベンゼンアミン(4,4’−ODA)、3−(4−アミノフェノキシ)ベンゼンアミン(3,4’−ODA)、3−(3−アミノフェノキシ)ベンゼンアミン(3,3’−ODA)、1,4−ジアミノジュレン、2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジチオール(DABT)、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン及び3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)よりなる群から選択されるジアミンジとの反応により得られる、請求項11又は12に記載の気体分離膜。
【請求項14】
第2ポリマー材料の透過度がホストポリマーと比較してターゲット気体に対して少なくとも50%より高い透過度である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項15】
第2ポリマー材料が、ポリ二置換シロキサン、ポリアルキレンオキシド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアセチレン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、高分子電解質、ポリ(イオン性液体)、ポリビニルアルコール及びポリエーテル、又はそれらの組み合わせよりなる群から選択される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項16】
第2ポリマー材料が非芳香族環含有ポリマー材料である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項17】
第2ポリマー材料が、荷電末端基、あるいはカルボニル、ヒドロキシル、アミン、エーテル又はシロキサンのような極性末端基のいずれかを含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項18】
ドメインが第2ポリマー材料の粒子によって形成される、請求項1〜17のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項19】
ポリマー組成物中の第2ポリマー材料粒子の濃度が、約50%w/v未満、好ましくは1〜10%w/v、より好ましくは1%w/v未満である、請求項18に記載の気体分離膜。
【請求項20】
第2ポリマー材料の分子量が、50,000〜10,000,000の数平均分子量である、請求項18に記載の気体分離膜。
【請求項21】
ポリマー粒子の平均粒子サイズが、少なくとも5nmであり且つ80nm未満である、請求項18〜20のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項22】
第2ポリマー材料の粒子が、コア架橋スターポリマーである、請求項18〜21のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項23】
第2ポリマー材料のドメインが、ホストポリマーのセグメントに共有結合した第2ポリマー材料のセグメントを含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項24】
第2ポリマー材料が、ポリマー組成物の重量に対して0.1〜50重量%を構成する、請求項23に記載の気体分離膜。
【請求項25】
ホストポリマーセグメントの分子量が、好適には10,000〜500,000g/モルである、請求項23又は24に記載の気体分離膜。
【請求項26】
選択層の厚さが、0.05〜100μmである、請求項1〜25のいずれか一項に記載の気体分離膜。
【請求項27】
気体分離膜を形成するためのポリマー組成物であって、
− ターゲット気体成分を透過させることができ、且つ第2気体成分よりもターゲット気体成分について選択性を有するホストポリマー、及び
− ホストポリマーと比較してターゲット気体に対してより高い透過度を有するポリマー材料のドメイン
を含むポリマー組成物。
【請求項28】
ターゲット気体成分を透過させることができ、且つ第2気体成分よりもターゲット気体成分について選択性を有するホストポリマー、及び、少なくとも0.5nm、好ましくは少なくとも1nmの粒子サイズを有する第2ポリマー材料のポリマー粒子を組み合わせることを含む気体分離膜ポリマー組成物の製造方法であって、第2ポリマー材料がホストポリマーと比較してターゲット気体に対してより高い透過度を有する上記の方法。
【請求項29】
前記方法が、ホストポリマーを、数平均分子量が50,000〜10,000,000の第2ポリマー材料の粒子と組み合わせることを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記方法が、ホストポリマーを、平均粒子サイズが少なくとも5nmであり且つ80nm未満である第2ポリマー材料の粒子と組み合わせることを含む、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
前記方法が、ホストポリマーを、コア架橋スターポリマーである第2ポリマー材料の粒子と組み合わせることを含む、請求項28〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
ポリマー組成物のホストポリマー及び粒子が溶媒と組み合わされ、且つ、前記方法が、溶媒を除去して、ホストポリマーが、該ホストポリマー中にポリマー粒子が分散されている状態で含まれているポリマー組成物を製造することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
(i)第1タイプの少なくとも1つの反応性基を有するホストポリマー材料又は前駆体を、
(ii)第1タイプの反応性基に対して反応性を有する第2タイプの少なくとも1つの反応性末端基を有するドメイン形成ポリマー材料セグメント
と反応させて、第2ポリマー材料の多数のセグメントが凝集してホストポリマー内にドメインを形成するポリマー組成物を製造することを含む、気体分離膜ポリマー組成物の製造方法であって、ホストポリマーはターゲット気体成分を透過させることができ、且つ第2気体よりもターゲット気体について選択性を有し、また、ドメイン形成ポリマー材料はホストポリマーと比較してターゲット気体に対してより高い透過度を有する、上記の方法。
【請求項34】
反応させるホストポリマー材料前駆体が、1つ又は2つの反応性末端基を有し、反応させるドメイン形成ポリマー材料セグメントが2つの反応性末端基を有し、且つ、前記方法が、ホストポリマー材料対ドメイン形成ポリマー材料を少なくとも2:1のモル比で反応させて、ホストポリマー材料の2つのセグメント間にドメイン形成材料のセグメントを含む反応したポリマーの3ブロック単位を含むポリマー組成物を製造することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
反応させるホストポリマー材料が多数の反応性基を含み、第2ポリマー材料セグメントがそれぞれ多数の反応性末端基を有し、その結果、反応はホストポリマー材料及び第2ポリマー材料のセグメントを含む架橋ポリマー組成物を生じる、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
ポリマー材料の気体分離膜としての使用であって、ポリマー材料が
− ターゲット気体成分を透過させることができ、且つ第2気体成分よりもターゲット気体成分について選択性を有するホストポリマー、及び
− ホストポリマーと比較してターゲット気体に対してより高い透過度を有するポリマー材料のドメイン
を含む、上記の使用。
【請求項37】
気体混合物中においてターゲット気体を第2気体成分から分離する方法であって、気体混合物を、
− ターゲット気体成分を透過させることができ、且つ第2気体成分よりもターゲット気体成分について選択性を有するホストポリマー、及び
− ホストポリマーと比較してターゲット気体に対してより高い透過度を有するポリマー材料のドメイン
を含む気体分離膜中を通過させる又は気体分離膜のそばを通過させることを含む方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【公表番号】特表2011−502049(P2011−502049A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532378(P2010−532378)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001639
【国際公開番号】WO2009/059360
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(510124249)シーオー2 シーアールシー・テクノロジーズ・プロプライエタリー・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001639
【国際公開番号】WO2009/059360
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(510124249)シーオー2 シーアールシー・テクノロジーズ・プロプライエタリー・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
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