説明

気体混入水生成装置及び加湿装置

【課題】小型にして気体混入水を効率良く生成するとともに、気体の混入率の調節が容易に行なえる気体混入水生成装置及び加湿装置を得る。
【解決手段】一端から他端に向かって次第に大径となる円錐状の嵌合孔(7)が形成されたケーシング(6)を設け、前記嵌合孔(7)に微小間隙(S)を保持して嵌合する円錐状の回転体(20)を設けるとともに、該回転体(20)の外周に小ピッチの凹凸部(21)を形成し、前記ケーシング(6)に、前記嵌合孔(7)の小径側に連通する液体流入路(8)、及び気体流入路(9)と、前記嵌合孔(7)の大径側外周部に連通する流出路(17)とを設け、前記回転体(20)を回転させるモーター(26)を設ける。また、前記液体流入路(8)に水槽(2)内の水を供給し、前記流出路(17)から流出した気体混入水を水槽(2)内に流出させ、該水槽(2)内の水を霧化して外部に噴出する霧化装置(30)を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水にオゾン、酸素、二酸化炭素等の気体を混入して水の鮮度保持、消毒等を行なう気体混入水生成装置、及び前記気体の混入した気体混入水を食品収容ケース、食品等に噴出させて食品の鮮度保持、消毒等を行なう加湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
殺菌作用を有するオゾンを水に混入させ、このオゾン混入水を霧化させて収穫した魚類、野菜等の生鮮食料品に噴霧し、該生鮮食料品に付着した有害な微生物、害虫を駆除するとともに、該生鮮食料品に水分を補給することにより、前記生鮮食料品の鮮度を保持することは一般に知られている。
【0003】
前記従来のものは、オゾン発生器により作られたオゾンを水槽内で気泡状に噴出させてオゾン混入水を生成するようにしていたため、オゾン混入水を効率良く生成することができないとともに、オゾンの混入率を調節するすることが困難になるものであった。
【特許文献1】特開平10−225507号公報。
【特許文献2】特開平4−108333号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、小型にして気体混入水を効率良く生成するとともに、気体の混入率の調節が容易に行なえる気体混入水生成装置及び加湿装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために以下の如く構成したものである。即ち、請求項1に係る発明は、一端から他端に向かって次第に大径となる円錐状の嵌合孔が形成されたケーシングを設け、前記嵌合孔に微小間隙を保持して嵌合する円錐状の回転体を設けるとともに、該回転体の外周に小ピッチの凹凸部を形成し、前記ケーシングに、前記嵌合孔の小径側に連通する液体流入路、及び気体流入路と、前記嵌合孔の大径側外周部に連通する流出路とを設け、前記回転体を回転させるモーターを設ける構成にしたものである。
請求項2に係る発明は、前記気体混入水生成装置の液体流入路に水槽内の水を供給し、前記気体混入水生成装置の流出路から流出した気体混入水を前記水槽内に流出させるようにしたものである。
請求項3に係る発明は、前記液体流入路に水を供給し、気体流入路にオゾンを供給するようにしたものである。
請求項4に係る発明は、請求項1記載の気体混入水生成装置と水槽とを設け、前記気体混入水生成装置の液体流入路に前記水槽内の水を供給し、前記気体混入水生成装置の流出路から流出した気体混入水を前記水槽内に流出させ、前記水槽内の水を霧化して外部に噴出する霧化装置を設ける構成にしたものである。
請求項5に係る発明は、請求項4の加湿装置の気体流入路にオゾンを供給するようにしたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に係る発明は、モーターによって回転体を回転させ、液体流入路から液体を、また、気体流入路から気体を流入させると、前記液体及び気体がケーシング側の嵌合孔と回転体との微小間隙を、その小径側から大径側に向かって流通することになる。この流通過程において、前記液体及び気体が回転体の外周に形成した凹凸部によって攪拌され、液体内に気体が混入した気体混入水が生成され、該気体混入水は嵌合孔の大径側外周部に連通させた流出路から外部に流出することになる。
請求項2に係る発明は、水槽の水が液体流入路から流入し、該水と気体流入路から流入した気体とが前記微小間隙を流通する過程で攪拌されて気体混入水となり、該気体混入水が流出路から前記水槽内に流出することになる。これにより、水槽内の水が時間経過とともに気体を含んだ気体混入水となり、前記気体の種類を選択することによって水槽内の水の水質改善、浄化等が行なえることになる。
請求項3に係る発明は、液体流入路から水が、また、気体流入路からオゾンが流入し、これらが前記微小間隙を流通する過程でオゾン混入水となり、オゾンの殺菌作用で水、あるいは水槽内で生息している雑菌、害虫等を死滅させることになる。
請求項4に係る発明は、水槽の水が前記微小間隙−水槽間を循環する過程で時間経過とともに気体を含んだ気体混入水となり、該気体混合水が霧化装置によって霧化され、水槽外に噴霧されることになる。これにより、部屋、食品収容ケース等の室内を加湿するとともに、該室内の環境を改善することになる。
請求項5に係る発明は、オゾン混入水が霧化装置によって霧化され、水槽外に噴霧されることになり、部屋、食品収容ケース等の室内を加湿するとともに、オゾンの殺菌作用により前記室内で生息している雑菌、害虫等を死滅させることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図において、図1は本発明の実施例を示す略画した側面断面図、図2は微小間隙部の拡大断面図、図3は回転体の側面図である。図1において、1は加湿装置であり、水槽2内に気体混入水生成装置5、及び霧化装置30を配置してなる。
【0008】
前記気体混入水生成装置5は図1〜図3に示すようになっている。即ち、ケーシング6の軸心部に、下部から上部に向かって次第に大径となる倒立円錐状の嵌合孔7を形成し、該嵌合孔7に同じく倒立円錐状の回転体20を微小間隙、本例では約1mmの間隙Sを保持して嵌合させる。
【0009】
前記ケーシング6の下部軸心部に、前記嵌合孔7の下端軸心部に連通する液体流入路8を形成し、該液体流入路8を水槽2の底部に開口させる。また、前記ケーシング6の下端外周部に、嵌合孔7の下端外周部に連通する連通する気体流入路9を形成し、該気体流入路9に、水槽2外に設置したオゾン発生装装置14の供給管15を接続する。15aはオゾンの供給量を調節する調節弁である。
【0010】
前記ケーシング6の上部軸心部に、前記嵌合孔7の上端から段状に拡開する環状の集合路16、及び該集合路16に連通してケーシング6の側面から水槽2内に開口する流出路17を形成する。
【0011】
前記回転体20は、その外周に、図2、図3に示すように多数の溝(凹凸部)21を格子状に交差させて形成する。そして、図1に示すように、回転体20の軸心部に連結ボルト22を下側から挿通し、該連結ボルト22の上端部を中継軸23の下端軸心部にねじ連結する。中継軸23は下端部を段状に大径にして前記回転体20の上部に嵌合させ、回転体20の上部に横向きに螺合させた止めボルト24を前記中継軸23の大径部に圧接して回転体20と中継軸23とを一体的に連結する。
【0012】
前記ケーシング6の上部に取付台25を固定し、該取付台25の上部に10,000rpm以上で回転するモーター(DCモーター)26を取り付ける。前記取付台25の中心部に前記中継軸23を回転自在に取付け、該中継軸23の上端を前記モーター26の出力軸に連結する。なお、前述した溝21に換え、回転体20の外周に斑点状の凹部、又は凸部を形成するようにしてもよい。
【0013】
前記霧化装置30は、従来から知られている超音波式のもので、超音波振動子31を微振動させて水槽内の水を霧化し、この霧化した水を誘導ケース32によって外部に誘導する。前記霧化装置30は、前記オゾン発生装置14、及びモーター26、即ち、気体混入水生成装置5が作動して一定時間経過した後に作動されるようになっている。なお、前記誘導ケース32内にファンを取付け、該ファンによって霧化した水を強制的に外部に噴出させるようにしてもよい。
【0014】
前記実施例によれば、オゾン発生装置14を作動させた状態で、モーター26を起動させて回転体20を高速回転させると、嵌合孔7と回転体20との微小間隙Sに上向きの自吸作用が発生し、液体流入路8に水槽2の水が、また、気体流入路9にオゾンが流入し、これらが嵌合孔7と回転体20との微小間隙Sを、その小径側(下部)から大径側(上部)に向かって流通することになる。このとき、前記回転体20の外周に格子状の溝21が形成されており、前記水及びオゾンが前記溝内を出入りして攪拌され、オゾンが数十μm の微細気泡となって水内に効率良く溶解され、高濃度のオゾン混入水が生成されることになる。
【0015】
前記生成されたオゾン混入水は、嵌合孔7の大径側(上部)から集合路16に流出した後、流出路17から水槽2内に流出する。これにより、水槽2内の水が時間経過とともにオゾンを含んだオゾン混入水となる。なお、前記微小間隙Sでのオゾン混入率の調節は、調節弁15aを操作することによって行なう。
【0016】
前記水槽2内の水に規定のオゾンが混入すると、霧化装置30が作動し、前記水槽2内の水(オゾン混入水)が霧化されつつ、外部に向けて噴出される。この噴出物を、例えば魚類、野菜等が収容された食品収容ケース等に導入すると、殺菌作用を有するオゾンによって食品収容ケースの空間部で浮遊、あるいは魚類、野菜等に付着している雑菌、害虫等を死滅させるとともに、魚類、野菜等の乾燥を防止し、鮮度を保持することになる。
【0017】
また、霧化装置30を省略し、気体混入水生成装置5を魚類が生息している水槽内に配置し、気体流入路9に酸素(空気)を供給すると、前記水槽内の水に空気が混入し、水槽内の魚類が安定して生息することになる。なお、前記気体流入路9には、気体混入水生成装置5の用途によってオゾン、酸素(空気)、二酸化炭素等の気体を選択して供給するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例を示す略画した側面断面図である。
【図2】微小間隙部の拡大断面図である。
【図3】回転体の側面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 加湿装置
2 水槽
5 気体混入水生成装置
6 ケーシング
7 嵌合孔
8 液体流入路
9 気体流入路
14 オゾン発生装置
15 供給管
16 集合路
17 流出路
20 回転体
21 溝(凹凸部)
22 連結ボルト
23 中継軸
24 止めボルト
25 取付台
26 モーター
30 霧化装置
31 超音波振動子
32 誘導ケース
S 微小間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端から他端に向かって次第に大径となる円錐状の嵌合孔(7)が形成されたケーシング(6)を設け、前記嵌合孔(7)に微小間隙(S)を保持して嵌合する円錐状の回転体(20)を設けるとともに、該回転体(20)の外周に小ピッチの凹凸部(21)を形成し、前記ケーシング(6)に、前記嵌合孔(7)の小径側に連通する液体流入路(8)、及び気体流入路(9)と、前記嵌合孔(7)の大径側外周部に連通する流出路(17)とを設け、前記回転体(20)を回転させるモーター(26)を設けたことを特徴とする気体混入水生成装置。
【請求項2】
請求項1記載の気体混入水生成装置(5)の液体流入路(8)に水槽(2)内の水を供給し、前記気体混入水生成装置(5)の流出路(17)から流出した気体混入水を前記水槽(2)内に流出させることを特徴とする請求項1記載の気体混入水生成装置。
【請求項3】
液体流入路(8)に水を供給し、気体流入路(9)にオゾンを供給したことを特徴とする請求項1又は2記載の気体混入水生成装置。
【請求項4】
請求項1記載の気体混入水生成装置(5)と水槽(2)とを設け、前記気体混入水生成装置(5)の液体流入路(8)に前記水槽(2)内の水を供給し、前記気体混入水生成装置(5)の流出路(17)から流出した気体混入水を前記水槽(2)内に流出させ、前記水槽(2)内の水を霧化して外部に噴出する霧化装置(30)を設けたことを特徴とする加湿装置。
【請求項5】
液体流入路(8)に水を供給し、気体流入路(9)にオゾンを供給したことを特徴とする請求項4記載の加湿装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−307494(P2007−307494A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−139980(P2006−139980)
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【出願人】(592040619)株式会社ヤマザキ (10)
【Fターム(参考)】