説明

気化性誘電体流体で冷却されるモジュール型高電力ドライブスタック

気化性誘電体流体冷却システム(110)と、電力用電子機器を含む複数のモジュール(30)を受け入れるための複数のレシーバー(22)と、を有するキャビネット(20)を備える高電力ドライブスタックシステムが提供される。該モジュールは少なくとも2つのノンラッチング、ドライブレークコネクター(210)により該レシーバーに取り外し可能に取り付け可能である。該少なくとも2つのコネクターの各々は該キャビネットと該モジュールの間の流体接続と電気接続の両者を提供する。

【発明の詳細な説明】
【関連案件の相互参照】
【0001】
本出願は引用によりその開示が明示的にここに組み入れられる2008年5月16日出願の米国特許仮出願第61/053,686号の特典を請求するものである。
【技術分野】
【0002】
ここで説明する本発明は、電力用電子式交流又は直流モータードライブスタックの種々の構成を形成するよう一緒に接続される流体冷却型電力用電子式モジュールに関し、一般的には、種々の応用で使うためにプラグ可能及び拡張可能であり、かつ、該プラグ可能な接続は電力及び冷却剤の両者用接続を提供する、モジュール型モータードライブスタック及び/又は無停電電源装置用のシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電気及び電子部品(例えば、マイクロプロセサー、IGBT’s、電力用半導体等)は冷却されるべき面に直接取り付けられる拡張面付き空冷ヒートシンクにより冷却される場合が最も多い。ファン又はブロワーは該ヒートシンクフィンを横切るよう空気を動かし、該部品により発生される熱を除去する。電力密度の増大、部品の小型化、そしてパッケージングの縮小に伴って、ヒートシンク及び強制空気流れで電気及び電子部品を適切に冷却することは時には可能でなくなる。これが起こると、該部品から熱を除去するために他の方法が使われねばならない。
【0004】
特定的冷却問題例が高電力ドライブスタックに於いて存在する。高電力ドライブスタックは広範な種類の応用品で使われる。この様な応用品は例えば、モーターの駆動、風車又は他の再生可能電源から配電線へ戻すエネルギーの再生、大きな慣性の物体(例えば、大きなホィール)用の制動システム、他を含む。従来の高電力ドライブスタックは典型的に電子制御部、電力用部品、そして冷却部品を含むモノリシックユニットである。該電力部品は一般に入力整流器、IGBTブリッジモジュール、そしてダイナミックブレーキスイッチを含む。該電力用部品は一般にヒートシンク及び/又は冷却ファンを含む該冷却部品に結合される。上記論議のモノリシック設計の変種は該高電力ドライブスタックを幾つかの異なるユニットに分ける。この様な場合、該ドライブは3つの別々のユニット(例えば、入力整流器ユニット、ブレーキユニットそしてインバーターユニット)に分けられてもよい。該ユニットはケーブル及び/又はブスバーで一緒に接続され、別々の囲い内に設置される。上記従来技術のシステムへの更に進んだ改善は、異なるユニットに分けられたドライブに、2つの共通の電気接続点(例えば、DC+及びDC−)から成るドライブを供給することである。加えて、この様なユニットは又、これらの接続点が機械的に整合しており、該整合は該ユニットをモジュール型とさせ、複数のドライブユニットが一緒に接続される時、2本の直線ブスバーを使って一緒に連ならせる、ことをもたらしてもよい。
【0005】
適切な冷却問題に加えて、この様な従来技術のデバイスに付随する種々の他の欠点がある。例えば、唯2つの共通の電気接続点しかない。一般に全ての他の接続は、該デバイスへ直接接続線をハードウエア配線することにより行われねばならない。多くのこの様なデバイスはプラグ可能でない及び/又は除去も出来るよう挿入可能になっておらず、それは該デバイスの除去、修理そして設置を難しくさせ、時間浪費させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許仮出願公開第61/053,686号明細書、2008年5月16日出願
【特許文献2】米国特許出願公開第11/743,735号明細書、2007年3月3日出願
【特許文献3】米国特許第5,132,777号明細書
【発明の概要】
【0007】
少なくとも1つの利点が、高電力ドライブスタックシステムにより提供される。該スタックシステムは、システム電源と誘電体流体冷却システムと予め決められた位置に配置された複数のレシーバーとを有していて該レシーバーの少なくとも1つが少なくとも2つのレシーバーコネクターを有し且つ該少なくとも2つのレシーバーコネクターが該レシーバーの1つ内に予め決められた位置を有する複数のレシーバーを有する共通のサポート構造体、並びに電力用部品と該電力用部品に付随する誘電体流体冷却回路と少なくとも2つのモジュールコネクターとを有する少なくとも1つのモジュールを備え、該少なくとも2つのモジュールコネクターは予め決められた位置に配置されて該電力用部品の少なくとも1部分に電気的に接続され、そして該電力部品に付随する該誘電体流体冷却回路に流体的に接続されており、そして各モジュールコネクターは該モジュールと該共通のサポート構造体との間の電気接続部及び流体接続部を形成するために対応するレシーバーコネクターと嵌合する。
【0008】
少なくとも1つの利点が冷却及び電力用システムにより提供される。該冷却及び電力用システムは、少なくとも1つの電力用シリコンデバイスを冷却するよう位置付けられたエバポレーターを有する気化性誘電体流体冷却システムを具備しており、該気化性誘電体流体冷却システムの流体導管の少なくとも部分は又該電力用シリコンデバイスへの電気接続も提供する。
【0009】
少なくとも1つの利点が、プラグ及び嵌合用ソケットを具備するコネクターにより提供される。該プラグ及びソケットは少なくとも部分的には中空のチューブとして形成され、該チューブの少なくとも1部分はその長さに沿って導電性であり、該プラグ及びソケットは該プラグ及びソケット間の電気接続を形成するよう作られ、該プラグ及びソケットは該プラグ及びソケット間の流体接続を形成するよう作られる。
【0010】
少なくとも1つの利点がシリコンデバイスを冷却及び給電する方法により提供される。該方法は、気化性誘電体冷媒を利用する冷却システムを提供することにより該電力用シリコンデバイスを冷却する電力用シリコンデバイスを提供する過程を具備しており、該冷却システムは複数の流体導管とポンプとコンデンサーとそしてエバポレーターとを有しており、該エバポレーターが該電力用シリコンデバイスを冷却するよう位置付けられており、該電力用シリコンデバイスを提供する過程と、該流体導管の少なくとも1部分を利用して該電力用シリコンデバイスに該電源を電気的に接続することにより該シリコンデバイスに給電する過程とを具備する。
【0011】
本発明の更に進んだ特徴は、図面と連携して考慮した時、下記詳細説明から明らかになる。加えて、本発明の特定の特徴は図解された幾つかの実施例の1つ以上に関して上記で説明され、この様な特徴は、何等かの与えられた又は特定の応用に望ましく有利な、他の実施例の1つ以上の他の特徴と組み合わされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の実施例が附属する図面を参照して更に詳細にここで説明される。
【図1】本発明の側面による例示用高電力電子スタックシステムの斜視図である。
【図2】本発明の側面による例示用高電力電子スタックシステムの略図である。
【図3】組み合わせ電気及び冷却流体コネクターの組立分解斜視図を示す。
【図4】図3のコネクターの断面斜視図を示す。
【図5】TO−247デバイスを使うプリント回路基板組立体の側面図である。
【図6】帯電コールドプレートに直接接合されたシリコンダイを使う双モジュールレイアウトの平面図である。
【図7】ディスク又はパックで使われる気化性誘電体冷却の表現を示す。
【図8】ディスク又はパックで使われる気化性誘電体冷却のもう1つの表現を示す。
【図9】典型的ディスク型半導体パッケージングを示す。
【実施例1】
【0013】
本発明の1側面は、モジュール型高電力ドライブスタックに於けるそれらの様なシリコンデバイスを冷却し、給電する装置と方法を提供することであり、該装置と方法の提供が、気化性誘電体冷媒を利用し、そして該モジュールが、該モジュール又は接続デバイスの広範な組立及び分解を要すること無しに、必要な様に簡単に挿入され、そしてキャビネットから除去される仕方で、電源への電気接続を提供もするために、該冷却システムの少なくとも1部分を利用する、冷却システムを提供することに依る。この様なモジュール型、高電力ドライブスタック10の実施例が図1で示される。ここで使われる時、語句“高電力”は交流50ボルト又は直流120ボルトより高い電圧又は50アンペアより上の電流を有する回路を意味する。該ドライブスタック10はキャビネットとしてここで示される共通のサポート構造体20又はラックを有しており、該構造体又はラックは該キャビネット20のレシーバー(示されてない)内へスライドする複数のモジュール30を収容する。該キャビネット20は鋼又はアルミニウム(又はどんな他の適当な材料でもよい)で作られてもよく、1つ以上のモジュール30を蓄えるために平行で垂直のレール又はラックレールをオプションで有してもよい。該キャビネット20は又追加のサポート用に床、壁及び/又は天井に固定されてもよい。当業者が容易に評価する様に、上で電子機器をサポートするためにどんな適当なラックが本発明で使われてもよい。加えて、キャビネット20はモジュール30を垂直配向でスタックするよう図解されているが、適当な共通のサポート構造体20は部品を水平配向で蓄えるためにも好適であることは容易に評価されよう。該ドライブスタック10は更に冷却システム110を有し、該冷却システムのコンデンサー120が該ドライブスタック10の頂部に取り付けられて示されている。
【0014】
該高電力ドライブスタック10の実施例の略図が図2で示される。キャビネット20は誘電体流体冷却システム110と複数のモジュール30を囲んでいる。該誘電体流体冷却システム110は複数の流体導管112、コンデンサー120(周囲空気122がコンデンサー120を通過することを可能にする仕方で該キャビネット20の頂部に取り付けられる)、ポンプ130そしてコールドプレートエバポレーター140又は他の熱交換器を有するが、該コールドプレート140はモジュール30上に設置され、そしてIGBT’sの対としてここで示される電力用部品40を、該電力部品40の近くのヒートシンクを冷却することにより又は誘電体流体の該電力用部品40との直接接触を可能にすることにより、冷却するよう位置付けられる。該誘電体流体冷却システム110は更に、該コンデンサー120とポンプ130の間の流体リザーバー又は液体レシーバー150、又は該コンデンサー120への入り口の前の蒸気セパレーター(示されてない)、又はフィルター(示されてない)、又は他の適当なデバイス、の様な他の部品を有してもよい。本発明の
1実施例では、該誘電体流体冷却システム110は気化性誘電体冷媒を利用する。該冷媒は図2の流体導管112の隣の矢印により示される方向に該誘電体流体冷却システム110を通るようポンプ130により汲み上げられる。誘電体流体通路を提供することに加えて、流体導管112A及び112Bは、流体導管112AがDC−バスとなり、流体導管112BがDC+バスとなるよう、ワイヤ161及び162によりシステム直流電源に電気的に接続される。該DC−バス112AとDC+バス112Bは、コンデンサー120とポンプ130を有する該誘電体流体冷却システム110の部分から非導電チューブ状アイソレーター114により電気的に分離される。
【0015】
モジュール30は該キャビネット20内の予め決められた位置に位置付けられる複数のレシーバー22の1つ内へスライドする。該レシーバー22は予め決められた位置に位置付けられた少なくとも2つのレシーバーコネクター24A、24Bを有する。該レシーバーコネクターの1つ24Aは供給導管及びDC−バス112Aを通して誘電体流体源に流体的及び電氣的に接続され、一方もう1つのレシーバーコネクター24Bは戻り導管及びDC+バス112Bを通る誘電体流体用戻りラインに取り付けられ、流体的、電気的に接続される。該モジュール30は、該レシーバーコネクター24A、24Bがそれぞれモジュールコネクター34A、34Bと契合し、それぞれ該キャビネット20と該モジュール30の間の流体接続及び電氣的接続部210を作るよう、予め決められた位置に位置付けられた少なくとも2つのモジュールコネクター34A、34Bを有する。本発明の1実施例では、該流体及び電氣的接続部210は、該モジュール30を該レシーバー22内へ及び該レシーバー外へ単に動かすことにより接続及び遮断され、該接続部210はドライブレーク接続部及びノンラッチング接続部である。該モジュール30は、該モジュール30を該キャビネット20内へ固定し、接続部210を保持するために該モジュール30が該レシーバー22内へ充分に挿入された時、該レシーバー22に又は該キャビネット20の他の部分に固定されてもよい。
【0016】
各モジュール30は、完全な交流及び/又は直流ドライブスタックを作るために使われる高電力機能を行うよう1つ以上のモジュール30の電力用部品40を利用する種々の回路を有するよう非常に構成し易い。該ドライブスタックは次いで、交流/直流電気モーターのトルクと速度を調整するよう制御器(示されてない)と連携して使われてもよい。該モジュール30は精確なシステム要求を充たすよう誂えられる広範な種類の交流/直流ドライブスタックを形成するためにビルディングブロックの様に一緒にプラグされてもよい。この様な構成の例は引用によりここに組み入れられる、共通に所有される米国特許出願である特許文献2に示される。
【0017】
接続部210の実施例が図3及び4で示される。接続部210はレシーバーコネクター24とモジュールコネクター34を有する。モジュールコネクター34は3つまでのコネクターを収容出来る絶縁雌型サポート342を有する。銅パイプ344は適当な絶縁材料346で絶縁され、該サポート342を通るよう位置付けられる。該モジュールコネクター34は更に、ポペットシール組立体350と環状導電性接触部材352とを収容する導電性雌型カップリング/接触ボデイ348を有する。銅パイプ344の露出部分はポペットシール組立体350の導電部分と接触し、該組立体は導電性雌型カップリング/接触ボデイ348に導電的に結合し、該ボデイは環状導電接触部材352と導電的に結合される。レシーバーコネクター24は3つまでのコネクターを収容出来る絶縁された雄型サポート242を有する。銅パイプ244は適当な絶縁材料246で絶縁され、該サポート242を通るよう位置付けられる。レシーバーコネクター24は更にバルブコアシール組立体250を収容する導電性雄型カップリング/接触ボデイ248を有する。該銅パイプ244の露出部分は該導電性雄型カップリング/接触ボデイ248に接触する。
【0018】
図4に示す様に、雄型カップリング/接触ボデイ248は雌型カップリング/接触ボデ
イ348内に挿入され、該環状導電接触部材352と契合し、それにより該接続部210を通る電気接続を提供する。該接続部210は又ノンラッチング、ドライブレーク流体接続を提供する。該ポペットシール組立体350は、該モジュール30がレシーバー20内に位置付けられない時は該モジュールコネクター34を通る流体流れを防止する。同様に、バルブコアシール組立体250は、該モジュール30がレシーバー20内に位置付けられない時は該レシーバーコネクター24を通る流体流れを防止する。該モジュール30がレシーバー20内に位置付けられ、接続部210を創ると、該バルブコアシール組立体はバルブコア組立体により契合され、該接続部210越えの流体接続部を開く。組み合わせ流体及び電氣的接続部210は該高電流コネクター用冷却を提供し、モジュール30用に求められる相互接続の寸法と数を減じる。レシーバー及びモジュール部品が雄及び/又は雌接続の用語で説明されたが、当業者は該接続が互換性があり、すなわち該コネクターが互換性があることを容易に評価するであろう。示された実施例は多くの可能な接続部の1つに過ぎず、本発明は示された接続部の構成に限定されない。この概念は、高電流及び冷却剤の両者を使用するデバイス間で高電流及び冷却剤の両者を担う両端にこのプラグ可能な組み合わせコネクターを有する柔軟なコネクター又はホースを含んでもよい。例えば、バッテリー電力パックとモータードライブ又は無停電電源装置との間の様に。
【0019】
上記論議は該システム10に焦点合わせされた。しかしながら、組み合わせ電気及び流体接続部の導入は一般にモジュール30及び電力用部品40での追加の利点を提供する。今モジュール30の給電された部品40に焦点を合わせると、もしヒートシンクが電力用シリコンデバイス40へ及び該デバイスからの冷却剤と電流の両者を運ぶため使われる場合、該ヒートシンクは電力用半導体デバイス40のパッケージング及び冷却を改善する機会を提供する。このタイプの気化性誘電体流体システムが改善する可能性がある従来の電力用半導体デバイスの幾つかの分野がある。
【0020】
1つの改善の可能性のある範囲は典型的電力用シリコンモジュールである。シリコンダイとヒートシンクの間の熱的インピーダンスの大きさを構成する2つのバリヤは、帯電したシリコンデバイスとベースプレートの間の絶縁体と、次いで該ベースプレートとヒートシンクの間の機械的接合部である。シリコンダイの配置は帯電したヒートシンク上へ直接置かれてもよく、合計の熱的インピーダンスは著しく減じられる。
【0021】
改善の可能性あるもう1つの分野は高いサイクル負荷を有する応用品に於いてである。異なる材料間の熱膨張係数の差は該デバイス内に機械的応力を引き起こし、そして長い期間が過ぎると、劣化そして結果的に故障を引き起こす。コールドプレート内の気化性誘電体冷却流体内の相変化のために、該電力用モジュール内の熱負荷変化により引き起こされたベースプレート温度の変化は最小化される。加えて、もし電力用シリコンダイが帯電したヒートシンクに直接接合される場合、該シリコンとそのベースプレートの間の機械的インターフエースの数は減じられ得る。最後に、もし該ヒートシンクが、長期間安定性用に銅よりも改良された機械的特性を有するアルシック(ALSiC)の様な材料で作られる場合、機械的故障が起こるまでに印加可能な温度サイクルはより多くの、そしてより高い温度差の、サイクルとすることが出来る。
【0022】
改良の可能性あるなおもう1つの分野は電流導体としてのヒートシンク(複数を含む)の使用に於いてである。この使用法は、電力用半導体デバイスへの機械的相互結合の数とボンドワイヤの数を減じることを可能にする。
【0023】
改良の可能性あるもう1つ分野は、電力用半導体デバイスがスイッチ動作する時、電圧変化の速さが容量性結合を介して何等かの局所的グラウンド/アース平面へ電流を誘起することに関する。これらの高周波電流は、該電流が近くの電子システム、例えば通信デバイス又はコンピュータ内に電磁干渉を引き起こすので、望ましくない。アースされたベー
スプレートを有するモジュールは典型的に、該スイッチするデバイスと共有する大地電位にある該モジュールベースプレートの近接さと大表面面積のために多量の電流を発生する。アースに対し浮動電位で動作する冷却剤の能力は、アース、又はアースを基準にする機器の設置シャシー、例えばハイブリッド車又は航空機のフレーム、へ流れる容量性で結合され、高周波でスイッチされる電流を減じることが出来る。これは電磁波ノイズ(EMC)放射を減じる。
【0024】
又注目されるのは、該冷却剤は電荷を運ぶイオンを有さず、回路故障、追加的加熱そして接続部の電気化学的腐食を引き起こす冷却剤内を流れる漏洩電流の可能性を除去することである。
【0025】
電力用デバイスがスイッチ動作する時、該デバイスとそれらの電源又はスナバーキャパシターとの間の非常に高速の電流変化がある。この電流通路に何等かのインダクタンスがあるなら、該インダクタンスは半導体デバイス間に電圧スパイクを引き起こし、該スパイクは故障を引き起こす。帯電ヒートシンク上にデバイスを設置することはこのインダクタンスを減じさせる。これは電流流れにより発生される反対磁場を打ち消す平行プレート構造を使うことにより達成される。
【0026】
汲み上げられる冷媒は、該冷媒が効果的な誘電体なのでアースに対し高電位で動作するブスバー及びデバイスの冷却に良く適合している。これは同じ流体回路が異なる電位で動作する直列の多くのデバイスを冷却することを可能にする。又、該システムの相変化性質のために、該冷却剤は、該冷却剤が該直列のヒートシンクを通過する時沸騰温度の非常に少ない変化しか有せず、その事実は多数のデバイスが同じ動作温度に保たれることを可能にする。該冷却剤は、冷却剤漏れがどんな高電圧絶縁バリヤ間の電気絶縁破壊をも引き起こさないので安全である。
【0027】
電力用半導体パッケージングは3つの主なグループに分かれる。1)個別デバイスは、分離、又は非分離搭載基板を伴うプリント基板搭載用の低電力モールドプラスチックパッケージである。2)モジュールは、片面シリコン搭載及びボンドワイヤ構造を有する中電力デバイスである。該デバイスは、分離ベースプレート上に搭載され、プラスチックハウジング内に封じられる。3)ディスク又はカプセルデバイスは高電力応用品用であり、良好な熱伝導及び電氣伝導度を提供するために一緒にクランプされた非分離フェースプレートを有する両面ディスク構造を使う。適用され得る、上に列挙した多くの利点を提供する、気化性誘電体冷却を各パッケージタイプに適用する方法が以下に示される。
【0028】
個別デバイス。コールドプレートは、TO−247パッケージの様なプリント回路基板に搭載された帯電ケース部品と連携して使われ、ヒートシンクを含む電力用組立体全体が図5に示す様に非常に費用効果的電力モジュール用に噴流半田付けされる。コールドプレートヒートシンク402、404は、ヒートシンク402に入って来る及びヒートシンク404を出て行く流体通路を有する取り付けられたIGBTデバイス440と、該プリント回路基板408に全て半田付けされたデバイス間に搭載されたスナバーキャパシター406と、を有して示される。該組立体は非常にコンパクトで、上記で列挙した利点の多くを引き出す。
【0029】
モジュール。これらのデバイスの典型的構造では、シリコンダイは絶縁体に半田付けされ、該絶縁体は今度は銅ベースプレートへ半田付けされる。デバイス間の電気接続は該絶縁体上の銅ストリップによるか又はボンドワイヤによるか何れかで行われる。図6はモジュールレイアウト530と、気化性誘電体流体ベースのヒートシンク502を使った設計と、を示す。このレイアウト530は対応するフライバックダイオードを有する典型的双IGBTモジュール用である。該組立体は取り付けられたIGBT506とダイオードデ
バイス508の電位で動作する2つのヒートシンク502、504を使う。流体は矢印516で示される様に該ヒートシンク502に入り、矢印518で示される様に出る。これは非常にコンパクトなモジュールを可能にして、上記で列挙した利点の多くを引き出す。平行プレート構造と電力用接続点の配置は該スナバーキャパシターへの非常に低いインダクタンスの通路を提供することが分かる。ヒートシンク502と504の間のパイプは510で示される様に電気的に分離されていることが注目される。
【0030】
ディスク又はパック型デバイス。この冷却システムをディスク型デバイスに適用することには幾つかの利点の可能性がある。ディスク型デバイスの典型的構造が図9で示される。半導体ディスク940とリング絶縁体908は外側のシールされたケース902内に置かれ、2枚の銅ディスク904、906間にクランプされるが、該ディスクは熱と電流を該デバイスの外面に伝達する。組み立てられたデバイス910(組み立てられたものとしては示されてない)は密封され、不活性ガスで充たされる。次いでヒートシンクは該カプセルの両側に設置され、良好な熱及び電流伝達を保証するよう正しい、同じ力を該組立体に提供するために特殊なクランプ機構が使われる。
【0031】
図7で示す1実施例では、気化性誘電体流体コールドプレート702がデバイス910の両側に位置付けられ、クランプ704により一緒にクランプされる。冷却剤流体は706でコールドプレートヒートシンクに入り、708で出る。この構成は寸法と重さの意味で従来の空気冷却より優る幾つかの利点を提供する。又、該デバイスの面は高い電位にあるので、水は、非常に純粋でイオンフリーである場合のみ、冷却剤として使われてもよい。この状態では水は腐食性であり得る。誘電体冷却剤はその性質上イオンフリーであり、非腐食性である。これは非常にコンパクトなモジュールを可能にして、上記で列挙した幾つかの利点を引き出す。
【0032】
図8に示すもう1つの実施例では、冷媒はヒートシンクとして示される支持用銅ディスク906’に806及び808で直接入り、出るよう流れ、該ヒートシンクはシリコン電力用ディスク940を囲み、クランプ804により一緒にクランプされる。冷却用パイプはデバイス940へそしてデバイス940から電流及び冷却剤の両者を運ぶために使われる。これは2つの熱的及び電流インターフェースを除去し、該組立体の寸法は減じられる。しかしながら、クランプ用機構のニーヅは除かない。これは非常にコンパクトなモジュールを可能にする。
【0033】
もう1つの実施例では、冷媒は半導体ディスクの面に直接接触して位置付けられ、クランプ機構は除去される。引用によりここに組み入れられる特許文献3は小さい半田付けされた接触フィラメントを使って半導体ディスクを該デバイスの電流を運ぶ部材に結合するシステムを説明する。これは異なる熱膨張係数を有する2つの材料を結合する問題を避ける。コールドプレートは該ディスクの両側に直接接合される。ディスク型のモジュール用の結合のアイデアは、従来のパッケージングの解決策に比して4つの熱的及び電流インターフェースと、高価で失敗し勝ちなクランプシステムのニーヅと、を除去するデバイスを設計するために、気化性誘電体冷却を用い、モジュールへそしてモジュールから電流をも運ぶ冷却剤接続を使用するここで提示した概念と組み合わされてもよい。
【0034】
主として高電力ドライブスタック用として示されたが、本発明の側面は他の可能な応用を含む。この概念の可能な応用はハイブリッド電気車両用である。該気化性誘電体流体冷却剤源は現在ある空調用流体ループ内へ分液されてもよく、現在ある空調用流体ループと共通の熱交換器を共有してもよい。車両では、該冷却剤はバッテリー又は燃料電池直流電源、モータードライブ電子機器、モーター捲き線を通り、次いで該源へ戻るよう汲み上げられてもよい。これはプラグ可能なコネクターで達成されてもよく、サービスを非常に簡単にさせる。
【0035】
本発明が或る好ましい実施例又は複数実施例に関して示され、説明されたが、本明細書及び添付図面を読み、理解すると、等価な変更及び変型が当業者に浮かぶことは明らかである。特に上記説明の要素(部品、組立体、デバイス、複合体他)により行われる種々の機能に関しては、この様な要素を説明するために使われた用語(“手段”への言及を含む)は、例え、本発明のここで図解された例示用の実施例又は複数実施例の機能を行う開示された構造体と構造的に等価でなくても、他の様に示されてない限り、説明された要素の特定の機能を行う(すなわち、機能的に等価である)どんな要素にも対応するよう意図されている。加えて、本発明の特定の特徴が幾つかの図解実施例の1つ以上のみに関して上記で説明されたが、この様な特徴は、何等かの与えられた又は特定の応用のために望ましく、有利な様に、他の実施例の1つ以上の他の特徴と組み合わされてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
システム電源、誘電体流体冷却システム、そして予め決められた位置に配置された複数のレシーバーを有し、該レシーバーの少なくとも1つは、少なくとも2つのレシーバーコネクターを有し、該少なくとも2つのレシーバーコネクターが該レシーバーの1つの内に予め決められた位置を有している共通のサポート構造体と、
電力用部品、該電力用部品に付随する誘電体流体冷却回路、そして少なくとも2つのモジュールコネクターを有し、該少なくとも2つのモジュールコネクターが予め決められた位置に配置され、該電力用部品の少なくとも1部分に電気的に接続され、そして該電力用部品に付随する該誘電体流体冷却回路に流体的に接続されている少なくとも1つのモジュールと、を具備しており、そして
各モジュールコネクターは、該モジュールと該共通のサポート構造体との間の電気接続と流体接続を形成するために、対応するレシーバーコネクターと嵌合する高電力ドライブスタックシステム。
【請求項2】
該誘電体流体冷却システムと該誘電体流体冷却回路が気化性誘電体冷媒を利用する請求項1記載のシステム。
【請求項3】
更に複数のモジュールを有する請求項2記載のシステム。
【請求項4】
該複数のモジュールが一緒にスタックされ、該共通のサポート構造体に固定される請求項3記載のシステム。
【請求項5】
該共通のサポート構造体がラック又はキャビネットである請求項4記載のシステム。
【請求項6】
該誘電体流体冷却システムが複数の流体導管と、ポンプと、コンデンサーと、そしてエバポレーターとを有しており、該エバポレーターが該少なくとも1つのモジュール上に位置付けられる請求項2記載のシステム。
【請求項7】
対応するレシーバーコネクターと嵌合する各モジュールコネクターにより形成される該電気接続及び該流体接続がドライブレーク接続である請求項2記載のシステム。
【請求項8】
対応するレシーバーコネクターと嵌合する各モジュールコネクターにより形成される該電気接続及び該流体接続がノンラッチング接続である請求項7記載のシステム。
【請求項9】
該モジュールコネクターと該レシーバーコネクターがプラグ及びソケットの接続を形成する請求項1記載のシステム。
【請求項10】
各プラグ及びソケットの接続が少なくとも部分的に中空チューブとして形成され、該チューブの少なくとも1部分がその長さに沿って導電性であり、該チューブが、該プラグが該チューブ内に挿入された時流体通路を提供する請求項9記載のシステム。
【請求項11】
該モジュールが更に、コールドプレートを有し、該コールドプレートに直接接合された電力用部品の電位で該コールドプレートが動作する請求項1記載のシステム。
【請求項12】
該電力用部品に付随する該モジュール誘電体流体冷却回路の少なくとも部分が、電流を運ぶブスバーとして使われる請求項1記載のシステム。
【請求項13】
該少なくとも1つのモジュールの該電力用部品がシリコンディスク又はダイである請求項1記載のシステム。
【請求項14】
該少なくとも1つのモジュールが更に該シリコンディスク又はダイの両側にヒートシンクを有しており、該モジュール誘電体流体冷却回路が両ヒートシンクを通過しており、該モジュール誘電体流体冷却回路の少なくとも1部分が又該電力用シリコンディスク又はダイへの電気接続を提供する請求項13記載のシステム。
【請求項15】
該少なくとも1つのモジュールが更に該シリコンディスク又はダイの両側にヒートシンクを有しており、該モジュール誘電体流体冷却回路が該両ヒートシンクを通過しており、該モジュール誘電体流体冷却回路の少なくとも1部分が又該電力用シリコンディスク又はダイへの電気接続を提供する請求項13記載のシステム。
【請求項16】
該モジュール誘電体流体冷却回路の誘電体流体が該モジュールの該シリコンディスク又はダイの少なくとも1部分に直接接触しており、該モジュール誘電体流体冷却回路の少なくとも1部分が又該電力用シリコンディスク又はダイへ電気接続を提供する請求項1記載のシステム。
【請求項17】
少なくとも1つの電力用シリコンデバイスを冷却するよう位置付けられたエバポレーターを有する気化性誘電体流体冷却システムを具備しており、該気化性誘電体流体冷却システムの流体導管の少なくとも1部分が又該電力用シリコンデバイスへの電気接続を提供する冷却及び電力システム
【請求項18】
プラグ及び嵌合するソケットを具備しており、該プラグ及びソケットは少なくとも部分的に中空チューブとして形成され、該チューブの少なくとも1部分はその長さに沿って導電性であり、該プラグ及びソケットは該プラグ及びソケットの間の電気接続を形成するよう作られており、該プラグ及びソケットは該プラグ及びソケットの間の流体接続を形成するよう作られているコネクター。
【請求項19】
電力用シリコンデバイスを提供する過程と、
気化性誘電体冷媒を利用する冷却システムを提供することにより該電力用シリコンデバイスを冷却する過程であって、該冷却システムが複数の導管とポンプとコンデンサーとそしてコールドプレートとを有しており、該コールドプレートが該コールドプレートを通過する液体冷媒の気化を促進することにより該電力用シリコンデバイスを冷却するよう位置付けられている冷却する過程と、
電源を提供する過程と、
該流体導管の少なくとも1部分を利用して該電源を該電力用シリコンデバイスに電気的に接続することにより該シリコンデバイスに給電する過程と、を具備するシリコンデバイスを冷却して給電する方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−524081(P2011−524081A)
【公表日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509788(P2011−509788)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/044311
【国際公開番号】WO2009/140672
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(500207958)パーカー−ハニフイン・コーポレーシヨン (10)
【Fターム(参考)】