説明

気泡シート及びコンクリートの養生方法

【課題】天井や壁面に打設されたコンクリートを養生するにあたり、そのコンクリート打設面への敷設が容易で、かつ、敷設した後もコンクリート打設面に水を追加供給することができるコンクリート用養生シートとして特に好適に利用できる気泡シート、及びそのような気泡シートを利用したコンクリートの養生方法を提供する。
【解決手段】中空状に膨出する多数の突起20が所定の配列で形成された長尺状のキャップフィルム2と、キャップフィルム2の長手方向に沿って突起20の開口部側に積層される長尺状のバックフィルム3とを有する気泡シート1であって、バックフィルム3の幅方向の長さWが突起20の配列幅よりも短くなるようにすることによって、バックフィルム3によって突起20の開口部が封止されたバックフィルム積層領域Rと、突起20の開口部が封止されていないバックフィルム非積層領域Rとが幅方向に隣接して形成されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打設されたコンクリートを養生するために、コンクリート打設面に敷設して使用するのに特に好適な気泡シート、及びそのような気泡シートを用いたコンクリートの養生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
打設したコンクリートが、十分な水和反応がなされないうちに急速に乾いてしまうと、その耐久性が低下するなどの不具合が生じてしまう。このため、建築工事や土木工事などの現場でコンクリートを打設した後には、通常、コンクリート打設面に散水するとともに、養生シートで覆ってコンクリートが急速に乾いてしまうのを防止している。
本出願人のうち一人は、このような養生シートとして、現場での作業性がよく、保温性にも優れた安価なコンクリート用養生シートを先に提案した(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−65558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のコンクリート用養生シートをはじめとする従来の養生シートは、床面に打設されたコンクリートを養生する場合には、そのまま床面に敷設するだけでよいが(特許文献1の図10参照)、天井や壁面に打設されたコンクリートに対しては、支持材を用いてコンクリート打設面に密着させなければならず(特許文献1の図11参照)、その作業性に改善の余地があった。
【0005】
また、打設したコンクリート耐久性を向上させるには、できるだけ長期にわたってコンクリートが濡れている状態を維持して、水和反応が十分になされるようにするのが好ましい。
しかしながら、従来の養生シートでは、養生シートを敷設した後のコンクリート打設面に水を追加供給することができず、はじめに散水した水が乾いてしまうまでの間しかコンクリートを濡れた状態にしておくことができなかった。
【0006】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、天井や壁面に打設されたコンクリートを養生するにあたり、そのコンクリート打設面への敷設が容易で、かつ、敷設した後もコンクリート打設面に水を追加供給することができるコンクリート用養生シートとして特に好適に利用できる気泡シート、及びそのような気泡シートを利用したコンクリートの養生方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る気泡シートは、中空状に膨出する多数の突起が所定の配列で形成された長尺状のキャップフィルムと、前記キャップフィルムの長手方向に沿って前記突起の開口部側に積層される長尺状のバックフィルムとを有し、前記バックフィルムの幅方向の長さが前記突起の配列幅よりも短くなるようにすることによって、前記バックフィルムによって前記突起の開口部が封止されたバックフィルム積層領域と、前記突起の開口部が封止されていないバックフィルム非積層領域とが幅方向に隣接して形成された構成としてある。
【0008】
また、本発明に係るコンクリートの養生方法は、上記したような気泡シートを、前記突起の頂面側がコンクリート打設面と対向するように敷設し、前記コンクリート打設面に当接する前記突起の周囲に形成される空隙を負圧にして、前記気泡シートを前記コンクリート打設面に密着させる方法としてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の気泡シートは、コンクリート用養生シートとして特に好適に利用でき、天井や壁面に打設されたコンクリートに対しても、そのコンクリート打設面に容易に敷設することができるだけでなく、敷設した後もコンクリート打設面に水を追加供給することができる。そして、このような気泡シートを利用した本発明のコンクリートの養生方法によれば、コンクリート打設面が常に濡れた状態とすることができ、打設されたコンクリートの水和反応を十分なものとして、コンクリートの耐久性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る気泡シートの実施形態の概略を示す平面図である。
【図2】図1中一点鎖線で囲む部分を示す要部拡大図とそのA−A端面図である。
【図3】本発明に係る気泡シートの実施形態の製造工程の一例を示す説明図である。
【図4】本発明に係るコンクリート養生方法の実施形態についての説明図である。
【図5】図4のB−B端面を示す説明図である。
【図6】図4C−C端面を示す説明図である。
【図7】本発明に係る気泡シートの実施形態の変形例を示す説明図である。
【図8】本発明に係る気泡シートの実施形態の他の変形例を示す説明図である。
【図9】本発明に係る気泡シートの実施形態の他の変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
[気泡シート]
まず、本実施形態に係る気泡シートについて説明する。
図1は、本実施形態に係る気泡シートの概略を示す平面図である。また、図2(a)は、図1中一点鎖線で囲む部分を示す要部拡大図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A端面図である。
【0013】
これらの図に示すように、気泡シート1は、中空状に膨出する多数の突起20が所定の配列で形成された長尺状のキャップフィルム2の背面側、すなわち、突起20の開口部側に、その長手方向に沿って長尺状のバックフィルム3を積層してなるものである。
【0014】
バックフィルム3は、キャップフィルム2に形成された突起20の開口部を封止して、当該突起20内に空気を封入するために積層されるものであるところ、本実施形態にあっては、バックフィルム3の幅方向の長さWが、キャップフィルム2に形成されている突起20の配列幅よりも短くなるようにしている。このため、バックフィルム3は、突起20が形成されている全ての範囲には及ばず、当該範囲の幅方向の一端側又は両端側を除いた部分を帯状に覆うようにして積層されることになる。
【0015】
したがって、本実施形態の気泡シート1には、積層されたバックフィルム3によって開口部が封止され、内部に空気が封入された突起20aが存在するバックフィルム積層領域Rと、開口部がバックフィルム3で封止されていない突起20bが存在する領域Rを含むバックフィルム非積層領域Rとが、幅方向に隣接して形成されることになる。
【0016】
さらに、本実施形態では、バックフィルム非積層領域Rの端縁に沿って、突起20(20b)が形成されていない平坦な領域Rが所定の幅Wで形成されるようにしてある。したがって、バックフィルム非積層領域Rには、このような平坦な領域Rと、開口部がバックフィルム3で封止されていない突起20bが存在する領域Rとの両方が含まれ、これらが幅方向に隣接して形成されることになる。
【0017】
ここで、図1及び図2に示す例において、気泡シート1は、幅方向に対称となっており、バックフィルム非積層領域Rがバックフィルム積層領域Rの幅方向両端縁側に設けられている。このため、キャップフィルム2に形成されている突起20の配列幅は、開口部がバックフィルム3で封止されていない突起20bが存在する領域Rの幅方向の長さWを二倍した値を、バックフィルム3の幅方向の長さWに加えた値と等しくなる。すなわち、キャップフィルム2に形成されている突起20の配列幅をW20とすると、W20=W+W×2なる関係が成り立つことになる。
【0018】
このような気泡シート1は、例えば、図3に示すようにして製造することができる。図3は、本実施形態に係る気泡シートの製造工程の一例を示す説明図であり、図3(b)は、図3(a)のZ−Z矢視図である。
【0019】
気泡シート1を製造するには、まず、外周面に多数の吸引孔41が設けられた成形ロール40に、溶融状態にあるキャップ用フィルム2aを連続供給する。これによって、中空状に膨出する多数の突起20を真空成形し、当該突起20が所定の配列で形成されたキャップフィルム2を成形する。
なお、吸引孔41のそれぞれは、図示しない真空ポンプにつながれており、吸引孔41内を真空吸引することによって真空成形がなされるようになっている。また、吸引孔41の配列は、キャップフィルム2に形成しようとする突起20の配列に応じて適宜決定される。
【0020】
このようにして成形されたキャップフィルム2には、溶融状態で連続供給されてきたバックフィルム3が、押圧ロール50で圧着されて、突起20の開口部を封止するように熱融着によって積層される。
このとき、本実施形態にあっては、キャップフィルム2に積層されるバックフィルム3の幅方向の長さWが、キャップフィルム2に形成される突起20の配列幅よりも短くなるようにしてある。これにより、気泡シート1には、前述したようなバックフィルム積層領域Rとバックフィルム非積層領域Rとが幅方向に隣接して形成される。
【0021】
このようにして製造された気泡シート1は、剥離ロール6によって成形ロール4から剥離され、図示しない巻き取りロールに巻き取られていく。
ここで、図3に示す例では、キャップ用フィルム2aは、図示しない押し出し機に取り付けられたフラットダイ21から、材料樹脂を押し出すことによって連続供給されるようになっている。同様に、バックフィルム3は、図示しない押し出し機に取り付けられたフラットダイ31から、材料樹脂を押し出すことによって連続して供給されるようになっている。各フラットダイ21,31から押し出されてくるキャップ用フィルム2a及びバックフィルム3の厚みは、それぞれの材料樹脂の吐出量やラインスピードなどを適宜調整することで所定の厚みとすることができるが、通常は、5〜120μm程度とすることができる。
【0022】
また、気泡シート1を製造するにあたり、その材料樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂を単独で、又は二種以上を混合して用いることができる。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンホモポリマー、又はプロピレンと他のオレフィンとの共重合体などが例示できる。プロピレンと共重合される他のオレフィンとしては、エチレン、ブテン−1、イソブチレン、ペンテン−1などのα−オレフィンが挙げられ、これらの他のオレフィンとの共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。
また、ポリエチレン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖状超低密度ポリエチレン(LVLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが例示できる。
【0023】
[コンクリート養生方法]
次に、本実施形態に係るコンクリート養生方法について説明する。
図4は、本実施形態に係るコンクリート養生方法の説明図であり、図5(a)は、図4のB−B端面図、図5(b)は、図5(a)中一点鎖線で囲む部分を示す要部拡大図である。また、図6は、図4のC−C端面図に相当する説明図である。
【0024】
本実施形態は、前述したような気泡シート1をコンクリート用養生シートとして利用するものであり、気泡シート1をコンクリート打設面10に敷設してコンクリートを養生する。図4は、コンクリート打設面10に敷設された気泡シート1をバックフィルム3側からみており、気泡シート1は、キャップフィルム2に形成された突起20の頂面側がコンクリート打設面10と対向するように敷設される。これにより、コンクリート打設面10に当接する突起20の周囲に空隙Sが形成されるようにしてある。
【0025】
また、気泡シート1をコンクリート打設面10に敷設するにあたり、その長手方向の端部には、気泡シート1とは別に用意したフィルム材4を重ねて配設する。これによって、気泡シート1の長手方向端部とコンクリート打設面10との間の隙間が、フィルム材4によって塞がれるようにする(図5(a)参照)。
なお、フィルム材4を配設するにあたり、フィルム材4は、粘着テープ又は接着剤などの適宜手段によって気泡シート1に取り付けるようにすればよい。
【0026】
また、コンクリート打設面10に敷設する際に、気泡シート1には、その任意の部位、好ましくは、長手方向端部近傍に通気孔5を穿設しておく。そして、かかる通気口5から吸引して、コンクリート打設面10に当接する突起20の周囲に形成された空隙Sから空気を抜くことによって、当該空隙S内が負圧になるようにする。このようにすることで、気泡シート1がコンクリート打設面10に密着し、空隙S内が負圧に維持されている限り、気泡シート1がコンクリート打設面10から脱落しないようにすることができる。したがって、天井や壁面に打設されたコンクリートに対しても、そのコンクリート打設面10に気泡シート1を容易に敷設することが可能になる。
【0027】
ここで、空隙S内を負圧に維持するには、空隙S内を気密にすることが求められる。このため、本実施形態にあっては、図4に示すように、気泡シート1の長手方向の端部に薄肉のフィルム材4を重ねて配設しており、これによって、気泡シート1の長手方向端部側からの空気の侵入を防いでいる。
なお、本実施形態では、フィルム材4を配設して、気泡シート1の長手方向端部とコンクリート打設面10との間の隙間を塞いでいるが、当該隙間からの空気の侵入を防ぐことができれば、フィルム材4によらなくてもよい。例えば、粘着テープなどを直に貼り付けて、当該隙間を塞ぐようにしてもよい。
【0028】
また、気泡シート10の幅方向の端部には、開口部がバックフィルム3で封止されていない突起20bが存在する領域Rを含むバックフィルム非積層領域Rが形成されている。本実施形態では、このようなバックフィルム非積層領域Rを形成しておくことで、気泡シート1の幅方向端部側からの空気の侵入を防いでいる。
【0029】
すなわち、図6(a)に図4のC−C端面図を示すが、バックフィルム非積層領域Rにあっては、開口部がバックフィルム3で封止されていない突起20bの周囲にも空隙Sが形成される。そして、当該空隙S内の空気が抜かれて負圧にされると、空気が封入されていない突起20bは負圧に抗しきれずに、図6(b)に示すように潰れてしまう。すると、バックフィルム非積層領域Rがコンクリート打設面10に密着するようになり、これによってコンクリート打設面10と気泡シート1との間に空気が侵入するのを防いでいる。
【0030】
このとき、バックフィルム非積層領域Rがコンクリート打設面10に密着しても、当該領域Rには、突起20bが潰れた痕跡が残り、バックフィルム非積層領域Rとコンクリート打設面10との間には微小の空隙Sが存在することになる。そして、この微小の空隙Sは、突起20aの周囲に形成された空隙Sに連通しており、バックフィルム非積層領域Rの途中で空隙Sから空隙Sに向かう空気の流れが途切れてしまうことがない。これによって、コンクリート打設面10に対するバックフィルム非積層領域Rの密着性が高まり、コンクリート打設面10から領域Rが剥がれ難くなっている。
ここで、コンクリート打設面10に対するバックフィルム非積層領域Rの密着性を高めるにあたり、バックフィルム非積層領域Rに含まれる領域Rの幅Wは100〜500mmとするのが好ましい。
【0031】
このようにしてバックフィルム非積層領域Rをコンクリート打設面10に密着させるにあたり、当該領域Rの幅方向端部側に向かうにつれて、空気の吸引圧が低下することが考えられる。このため、バックフィルム非積層領域Rに含まれる領域Rに存在する突起20bの高さを、図7に示すように、当該領域Rの幅方向端部側に向かって低くなるようにして、幅方向端部側の突起20bが潰れ易くなるようにしてもよい。
【0032】
また、バックフィルム非積層領域Rにおいて突起20bの周囲に形成される空隙S内を空気が流れ易くするという観点から、突起20bの平面形状が、図8に示すように、当該領域Rの幅方向とほぼ平行な長軸を有する楕円状となるようにしてもよい。
【0033】
また、バックフィルム非積層領域Rにおける突起20bの配列は、図9に示すような櫛歯状となるように、突起20bの一部を間引いたものとすることもできる。このとき、櫛歯状の配列の間隔W7は、100〜500mm程度とするのが好ましく、櫛歯状配列の幅W8は、30〜50mm程度とするのが好ましい。このようにしても、コンクリート打設面10に対するバックフィルム非積層領域Rの密着性を高めることができる。
【0034】
また、本実施形態では、気泡シート1の幅方向端部側からの空気の侵入をより確実に防ぐために、バックフィルム非積層領域Rの端縁に沿って、突起20(20b)が形成されていない平坦な領域Rを形成している。この平坦な領域Rの幅Wは、このことを考慮して設定され、20〜300mm程度とするのが好ましい。このような範囲を超えて平坦な領域Rの幅が長くなりすぎてしまうと、当該領域Rがコンクリート打設面10から剥がれ易くなってしまう傾向にある。
【0035】
また、本実施形態では、気泡シート1の幅方向端部側からの空気の侵入を防ぐために、バックフィルム非積層領域Rを形成しているが、バックフィルム非積層領域Rは、キャップフィルム2のみの一層からなる構成なので、その肉厚が薄く比較的柔軟で撓み易くなっている。
したがって、トンネルなどの作業現場において、気泡シート1をコンクリート打設面10に敷設する際に、強風であおられて、気泡シート1の幅方向端縁側に位置するバックフィルム非積層領域Rがめくれるなどしても、作業者が手を添えるだけで容易に元にもどすことでき、作業性に優れたものとなる。
このような観点から、キャップフィルム2の肉厚は、突起20の形成が可能な範囲でできるだけ薄肉にするのが好ましく、具体的には、5〜100μm程度とするのが好ましい。また、キャップフィルム2の材料は、前述した材料樹脂の中から柔軟性に優れたものを用いるのが好ましく、バックフィルム3とは異なる材料樹脂を用いて成形してもよい。
【0036】
また、本実施形態にあっては、コンクリート打設面10に当接する突起20の周囲に形成された空隙Sを気密にすることで、当該空隙Sを通水路として機能させることもできる。このようにすることで、気泡シート1を敷設した後も、コンクリート打設面10に水を追加供給することが可能となる。
【0037】
特に図示しないが、通気孔5に加え、気泡シート1の任意の部位に、給水孔を穿設しておき、これらの孔にポンプを接続することで、空隙Sを通水路として水を循環させることも可能である。
このようにすることで、コンクリート打設面10が常に濡れた状態とすることができ、打設されたコンクリートの水和反応を十分なものとして、コンクリートの耐久性を向上させることが可能になる。
【0038】
なお、コンクリート打設面10に水を追加供給するに際しては、空隙Sに十分な量の水をまんべんなく循環させることが望まれることから、少なくともバックシート積層領域Rに存在する突起20aの形状は、コンクリート打設面10との接触面積を小さくするとともに、通水量を多くすることができる円錐台状とするのが好ましい。
【0039】
また、気泡シート1の前述した以外の各部の寸法は、その用途に応じて適宜設定することができるが、気泡シート1をコンクリート用養生シートとして利用する場合、例えば、気泡シート1の長さは900〜25000mm程度、幅W2は1000〜2500mm程度とすることができ、バックフィルム3の幅W3は1000〜2500mm程度とすることができる。
【0040】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0041】
例えば、前述した実施形態では、気泡シート1を幅方向に対称として、バックフィルム積層領域Rの幅方向両端縁側にバックフィルム非積層領域Rが同じ幅Wで形成されている。このような態様は、気泡シート1の幅方向端部側からの空気の侵入をより確実に防ぐ上で好ましいが、気泡シート1は必要に応じて幅方向に非対称としてもよい。
【0042】
また、前述した実施形態では、キャップフィルム2に形成された突起20の配列は、幅方向に直線状に並ぶ突起20の列が、個々の突起20が互い違いとなるように長手方向に並ぶように配列されたものとしたが、これに限定されない。突起20の配列は、例えば、突起20を格子状に配列させたものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、打設されたコンクリートを養生するための技術として利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 気泡シート
2 キャップフィルム
20 突起
3 バックフィルム
R バックフィルム積層領域
バックフィルム非積層領域
平坦な領域
S 空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空状に膨出する多数の突起が所定の配列で形成された長尺状のキャップフィルムと、
前記キャップフィルムの長手方向に沿って前記突起の開口部側に積層される長尺状のバックフィルムとを有し、
前記バックフィルムの幅方向の長さが前記突起の配列幅よりも短くなるようにすることによって、
前記バックフィルムによって前記突起の開口部が封止されたバックフィルム積層領域と、前記突起の開口部が封止されていないバックフィルム非積層領域とが幅方向に隣接して形成されたことを特徴とする気泡シート。
【請求項2】
前記バックフィルム非積層領域が、前記バックフィルム積層領域の幅方向両端縁側に設けられている請求項1に記載の気泡シート。
【請求項3】
前記バックフィルム非積層領域の端縁に沿って、前記突起が形成されていない平坦な領域が所定の幅で形成されている請求項1又は2のいずれか一項に記載の気泡シート。
【請求項4】
前記バックフィルム非積層領域に配列される前記突起の高さが、前記バックフィルム非積層領域の幅方向端部側に向かって低くなるようにした請求項1〜3のいずれか一項に記載の気泡シート。
【請求項5】
前記バックフィルム非積層領域に配列される前記突起の平面形状が、前記バックフィルム非積層領域の幅方向とほぼ平行な長軸を有する楕円状となるようにした請求項1〜4のいずれか一項に記載の気泡シート。
【請求項6】
前記バックフィルム非積層領域における前記突起の配列を櫛歯状とした
請求項1〜5のいずれか一項に記載の気泡シート。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の気泡シートを、前記突起の頂面側がコンクリート打設面と対向するように敷設し、
前記コンクリート打設面に当接する前記突起の周囲に形成される空隙を負圧にして、前記気泡シートを前記コンクリート打設面に密着させることを特徴とするコンクリート養生方法。
【請求項8】
前記空隙内を気密にし、前記空隙を通水路として水を循環させる請求項7に記載のコンクリート養生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−202437(P2011−202437A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71737(P2010−71737)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【特許番号】特許第4580461号(P4580461)
【特許公報発行日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000199979)川上産業株式会社 (203)
【出願人】(303057365)株式会社間組 (138)
【Fターム(参考)】