説明

気液混合放出装置

【課題】気体に混合されて放出される液体の粒径を小さくすることができる気液混合放出装置の提供。
【解決手段】気体供給源13から供給された気体を通過させる気体通路25と、液体を貯留するタンク36と、タンク36の液体内に一端が開口し他端が気体通路25に開口する給液通路68と、一端が気体通路25に開口し他端がタンク36の液面上の空間に開口する気体導入通路49とを有し、給液通路68が、気体通路25の周囲を囲む環状通路部61と、環状通路部61の周方向に間隔をあけて複数配置され一端が環状通路部61に開口し他端が気体通路25に開口する排出通路部64とからなり、気体通路25を通って複数の排出通路部64を結ぶように繊維体71が張設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気液混合放出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
気液混合放出装置には、例えば電動式のエアコンプレッサで生成されたエアに液体を混合しつつ放出するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−238154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、気液混合放出装置において、気体に混合されて放出される液体の粒径を小さくする要求があった。
【0005】
本発明は、気体に混合されて放出される液体の粒径を小さくすることができる気液混合放出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、気体供給源から供給された気体を通過させる気体通路と、液体を貯留するタンクと、該タンクの液体内に一端が開口し他端が前記気体通路に開口する給液通路と、一端が前記気体通路に開口し他端が前記タンクの液面上の空間に開口する気体導入通路とを有する気液混合放出装置であって、前記給液通路は、前記気体通路の周囲を囲む環状通路部と、該環状通路部の周方向に間隔をあけて複数配置され一端が該環状通路部に開口し他端が前記気体通路に開口する排出通路部とからなり、前記気体通路を通って複数の前記排出通路部を結ぶように繊維体が張設されていることを特徴としている。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記排出通路部が四カ所以上等間隔で配置されており、前記繊維体が、最も遠い前記排出通路部同士を結ぶように張設された第1張設部と、最も近い前記排出通路部同士を結ぶように張設された第2張設部とを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、気体供給源から供給された気体は、その一部が気体導入通路からタンク内の空間に入り、タンク内の液体を加圧する。すると、タンク内の液体が、給液通路に導入され、気体通路の周囲を囲むように配置された環状通路部から、環状通路部の周方向に間隔をあけて複数配置された排出通路部を通り、排出通路部を結ぶように張設された繊維体を伝って気体通路内に至る。また、残りの気体が気体通路を通過する際に、気体通路内に排出通路部を開口させている給液通路から、エジェクタの原理でタンク内の液体を吸い上げる。これら二つの作用により、タンク内の液体が複数の排出通路部から排出通路部を結ぶように張設された繊維体を伝って気体通路内に至り、気体通路を通過する気体と混合されて放出される。このように繊維体を伝うことで流れが細くなる液体を気体と混合するため、混合後の液体の粒径を小さくすることができる。
【0009】
請求項2に係る発明によれば、排出通路部が四カ所以上等間隔で配置されている場合に、繊維体が、最も遠い排出通路部同士を結ぶように張設された第1張設部と、最も近い排出通路部同士を結ぶように張設された第2張設部とを有しているため、液体をより多くの繊維体に流すことができ、気体に混合された後の液体の粒径を確実に小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る気液混合放出装置を示す分解側面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る気液混合放出装置の装置本体を示す一部を断面とした側面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る気液混合放出装置の放出部材等を示す正面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る気液混合放出装置の放出部材等の変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係る気液混合放出装置を図面を参照しつつ以下に説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る気液混合放出装置11は、装置本体12と、気体供給源としてのブロア13とからなっている。
【0012】
ブロア13は、気体としてのエアを供給するもので、使用者により把持されるハンドル15と、このハンドル15に一体に設けられたブロア本体部16と、ハンドル15の下部に着脱可能に設けられたバッテリ17とを有するコードレス式のブロアとなっている。
【0013】
ブロア本体部16は、上記したバッテリ17から給電される図示略の電動モータと、この電動モータで駆動される図示略のファンとを内蔵しており、ファンが回転することにより側部に設けられた吸気口18からエアを吸い込み先端に設けられた送風口19から送出する。なお、送風口19は先端の外径が小径となる段差形状をなしている。
【0014】
ハンドル15には、ハンドル15を把持した状態で操作可能な位置にスイッチ21が設けられており、このスイッチ21のオン・オフでバッテリ17と電動モータとの通電・遮断および通電量を切り換える。よって、ブロア13はスイッチ21の操作量により送風口19から送出する風量を複数段階に調整可能となっている。バッテリ17は、リチウムイオンバッテリ等であり、家庭用の商用電源で繰り返し充電可能なものとなっている。
【0015】
以上のブロア13としては、ゴミ等を吹き飛ばす清掃用等に市販されている汎用製品を用いることができる。なお、気体供給源として、ブロア13に代えて、商用電源で駆動される大型のエアコンプレッサで生成される工場エアや、商用電源で駆動される汎用の小型のエアコンプレッサ等のエア供給源を用いることもできる。さらには、エア以外の気体を供給する気体ボンベ等の気体供給源を用いることも可能である。
【0016】
装置本体12は、図2に示すように、ブロア13の送風口19に取り付けられる筒状のベース部材22と、ベース部材22のブロア13とは反対側に固定される筒状の放出部材23と、放出部材23の内側に嵌合される筒状のガイド部材24とを有しており、これらの内側は、ブロア13の送風口19から供給されたエアを通過させる気体通路25となっている。
【0017】
ベース部材22は、その軸方向の一端側に薄肉の円筒部26が形成されており、その軸方向の中間部には、円筒部26の内周面26aよりも小径の内周面27aを有する厚肉の円筒部27が形成され、その軸方向の他端側に円筒部27の内周面27aよりも大径の内周面28aを有する円筒部28が形成されている。
【0018】
円筒部26には、その円筒部27とは反対側の端部から軸線方向に沿って延在する図示略のスリットが円周方向に等間隔で複数形成されており、また、外周部には全周にわたって周溝29が形成されている。この周溝29には、ネジ30の回転で拡縮可能なホースバンド31が配置されている。このホースバンド31を緩めた状態でブロア13の送風口19をその小径部分においてベース部材22の円筒部26の内周面26a内に嵌合し、ホースバンド31を締め付けることで図示略のスリットの隙間によって円筒部26が縮径することになって、ベース部材22がブロア13の送風口19に取り付けられる。逆に、ホースバンド31を緩めればベース部材22をブロア13から取り外すことができる。
【0019】
ベース部材22の下部には、調整弁35を介してタンク36が固定されている。タンク36は、液体を貯留する上部開口のタンク本体37と、調整弁35を介してベース部材22に取り付けられるとともにタンク本体37の上部開口を閉塞するキャップ38とを有している。キャップ38はタンク本体37に対し螺合により着脱可能となっている。また、調整弁35の下部には、調整弁35内の弁通路40の下部に連通してタンク本体37内の底部近傍まで延出する給液配管41が固定されている。調整弁35の弁通路40の上部は、ベース部材22の円筒部28の内周面28aに開口している。調整弁35は、回転可能に設けられた手動の調整ハンドル43と、調整ハンドル43の回転位置に応じて弁通路40の流路断面積を調整する弁本体44とを有している。
【0020】
ベース部材22には、ブロア13の送風口19に対向するように、厚肉の円筒部27の薄肉の円筒部26側の端面の下部に一端の対向開口部45が開口し、他端がベース部材22から下方に貫通するL字状の導入通路部46が形成されている。また、この導入通路部46の他端にはキャップ38を貫通してタンク36の液面上の空間まで延出する導入配管47が固定されている。ここで、導入通路部46および導入配管47内の通路48が、一端が気体通路25に開口し他端がタンク36の液面上の空間に開口する気体導入通路49を構成しており、この気体導入通路49は一端の上記した対向開口部45がブロア13の送風口19に対向している。なお、キャップ38をタンク本体37に螺合させた状態のタンク36は、導入配管47および給液配管41以外は密閉されている。
【0021】
放出部材23は、内周面23aが一定径であり、小外径の筒状部55と大外径のフランジ部56とを有している。放出部材23は、筒状部55がベース部材22の円筒部28の内側に隙間をもって挿入された状態で、フランジ部56がベース部材22の円筒部28の端面に当接することになり、この状態で、フランジ部56がベース部材22の円筒部28にネジ57で固定される。
【0022】
筒状部55の軸方向両端にはベース部材22との隙間を封止するOリング58,59が配置されている。ここで、これらOリング58,59の間位置に、調整弁35の弁通路40の上部が開口しており、これらOリング58,59と放出部材23とベース部材22とで、調整弁35の弁通路40に連通する円環状の環状通路部61が形成されている。
【0023】
放出部材23には、筒状部55のフランジ部56側に、筒状部55を斜めに貫通して複数、具体的には図3に示すように12本の円筒状の排出管63が固定されている。複数の排出管63は、放出部材23の円周方向に等間隔で配置されている。すべての排出管63は、同内径、同外径、同長さであり、図2に示すように放出部材23の内周面23aから放出部材23の内側の気体通路25内に同等長さ突出し、それぞれの中心線が放出部材23の内周面23aの中心線に交わる姿勢で先端側ほど放出部材23の軸方向におけるフランジ部56側に位置するように等角度で傾斜している。排出管63の内側は排出通路部64となっており、よって、排出通路部64は、環状通路部61の周方向に間隔をあけて複数配置され、一端が環状通路部61に開口し他端が気体通路25に開口している。言い換えれば、排出通路部64は、気体通路25における気体の流れ方向下流側ほど気体通路25の径方向の中央側に位置するように傾斜している。
【0024】
そして、環状通路部61と、全ての排出通路部64と、上記した給液配管41内の通路66と、調整弁35の弁通路40とが、給液通路68を構成しており、この給液通路68は、一端となる給液配管41の通路66の下部開口部がタンク本体37内に貯留された液体内に開口し、他端となる複数の排出通路部64の先端開口部が気体通路25に開口している。
【0025】
ガイド部材24は、放出部材23の内周面23a内に嵌合されており、一定径の内周面24aと、一定径の外周面24bと、軸方向一端にあって端側ほど大径となるテーパ内周面24cと、軸方向他端にあって端側ほど小径となるテーパ外周面24dとを有している。テーパ外周面24dの傾斜は排出管63の傾斜と同等になっている。このガイド部材24は、一定径の外周面24bにおいて、放出部材23の一定径の内周面23aに嵌合することになり、その際に、テーパ外周面24dが排出管63に当接する。ガイド部材24は、一定径の内周面24aとテーパ内周面24cとが気体通路25を構成することになる。ガイド部材24は、軸方向の位置が環状通路部61と略一致しており、その結果、環状通路部61は、ガイド部材24内の気体通路25の周囲を囲むように形成されている。
【0026】
上記した複数の排出管63には、それぞれの排出通路部64を通ってケブラー(登録商標)繊維からなる繊維体71が対応するもの同士の間に張設されている。つまり、図3に示すように、排出通路部64は上記したように偶数カ所設けられており、繊維体71として、最も遠い180°異なる位置にある排出通路部64同士を気体通路25を通って結ぶ第1張設部71aが、180°異なる位置にある排出通路部64同士のすべての組み合わせに対して張設されており、また、最も近い隣り合う排出通路部64同士を気体通路25を通って結ぶ第2張設部71bが、隣り合う排出通路部64同士のすべての組み合わせに対して張設されている。なお、第1張設部71aと第2張設部71bとを両方張設するためには、排出通路部64が四カ所以上必要である。また、四カ所以上であれば、排出通路部64が必ずしも偶数カ所である必要はなく、奇数カ所であっても良い。
【0027】
すべての第1張設部71aは、排出通路部64が配置された位置の気体通路25の径方向に沿い、その中心線を通っている。よって、すべての第1張設部71aは、排出通路部64が配置された位置の気体通路25の中心上で重なり合っている。また、すべての第2張設部71bは、排出通路部64が配置された位置の気体通路25の周方向に沿っている。よって、すべての第2張設部71bは、連続して環状に繋がっている。なお、繊維体71は、第1張設部71aおよび第2張設部71bの張設時に、適宜、筒状部55の外周側(環状通路部61側)でも周方向に張設されることになる。また、繊維体71の張設時に形成される結び目は、筒状部55の外周側に配置されており、第1張設部71a、第2張設部71bおよび排出通路部64内に張設される第3張設部71cには一切設けられることはない。
【0028】
すべての第1張設部71aの両端には、排出通路部64内に挿通される上記した第3張設部71cが設けられており、すべての第2張設部71bの両端にも、排出通路部64内に挿通される第3張設部71cが設けられている。よって、すべての排出通路部64について、一つの排出通路部64内には、三カ所の第3張設部71cが挿通されている。繊維体71は、その三本分の外径が、排出通路部64の径つまり排出管63の内径よりも小径となっており、三カ所の第3張設部71cが排出通路部64内に隙間をもって挿通されている。
【0029】
上記したホースバンド31には、図1に示すもう一つのホースバンド66によって円筒状のハンドル75が取り付けられている。そして、使用者は、ブロア13のハンドル15を一方の片手(右手)で、装置本体12のハンドル75を他方の片手(左手)で把持してこの気液混合放出装置11を操作することになる。
【0030】
具体的に、使用者は、例えば、殺菌剤等の消毒液や農薬等、目的に応じた液体をタンク36内に注入した状態で、ブロア13のハンドル15と装置本体12のハンドル67とを把持し、ブロア13のハンドル15に付設されたスイッチ21をオンすると、ブロア13が吸気口18からエアを吸い込み先端に設けられた送風口19から送出する。すると、エアの一部が気体導入通路49からタンク36内の空間に入ってタンク36内の液体を加圧することになり、また、エアの残りが気体通路25を通過する際に、気体通路25内に配置された給液通路68の全ての排出通路部64から、エジェクタの原理で液体を吸い上げる。これら二つの作用により、タンク36内の液体が、給液通路68を構成する、給液配管41内の通路66と、調整弁35の弁通路40と、環状通路部61と、全ての排出通路部64とを介して、気体通路25に至る。なお、液体は、排出通路部64を通る際には、繊維体71の毛細管現象によっても気体通路25に至ることになる。そして、液体の一部は、排出通路部64から気体通路25に放出されるとすぐに、気体通路25を通過するエアと混合されることになり、その際には、比較的大きな粒径で放出部材23のブロア13とは反対側の放出口77から外部に噴霧されることになる。また、液体の残りの一部は、排出通路部64を結ぶように張設された繊維体71の第1張設部71aおよび第2張設部71bを毛細管現象により伝って細い流れとなって気体通路25内に至り、気体通路25を通過するエアと混合されて小さな粒径で霧化されて放出部材23の放出口77から外部に噴霧される。
【0031】
このとき、調整弁35の調整ハンドル43を調整することで、噴霧される気液混合流体内の液体の割合を調整することができる。併せて、スイッチ21の操作によりブロア13の風量を調整することができるため、噴射する気液混合流体の詳細な調整が可能となっている。
【0032】
以上に述べた本実施形態に係る気液混合放出装置11によれば、気体通路25を通って複数の排出通路部64を結ぶように繊維体71が張設されているため、繊維体71を伝うことで流れが細くなる液体を気体と混合することができ、よって、気体に混合された後の液体の粒径を小さくすることができる。
【0033】
また、排出通路部64が四カ所以上等間隔で配置されており、繊維体71が、最も遠い排出通路部64同士を結ぶように張設された第1張設部71aと、最も近い排出通路部64同士を結ぶように張設された第2張設部71bとを有しているため、液体をより多くの繊維体71に流すことができ、気体に混合された後の液体の粒径を確実に小さくすることができる。
【0034】
なお、図4に示すように、繊維体71の第2張設部71bを、周方向に隣り合う排出通路部64を一つおきに結ぶように張設しても良い。この場合、すべての排出通路部64について、一つの排出通路部64内に、繊維体71の二本分が挿通されることになり、繊維体71は、その二本分の外径が、排出通路部64の径よりも小径となっている。
【符号の説明】
【0035】
11 気液混合放出装置
13 ブロア(気体供給源)
25 気体通路
35 タンク
49 気体導入通路
61 環状通路部
64 排出通路部
68 給液通路
71 繊維体
71a 第1張設部
71b 第2張設部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体供給源から供給された気体を通過させる気体通路と、
液体を貯留するタンクと、
該タンクの液体内に一端が開口し他端が前記気体通路に開口する給液通路と、
一端が前記気体通路に開口し他端が前記タンクの液面上の空間に開口する気体導入通路とを有する気液混合放出装置であって、
前記給液通路は、
前記気体通路の周囲を囲む環状通路部と、
該環状通路部の周方向に間隔をあけて複数配置され一端が該環状通路部に開口し他端が前記気体通路に開口する排出通路部とからなり、
前記気体通路を通って複数の前記排出通路部を結ぶように繊維体が張設されていることを特徴とする気液混合放出装置。
【請求項2】
前記排出通路部が四カ所以上等間隔で配置されており、
前記繊維体が、最も遠い前記排出通路部同士を結ぶように張設された第1張設部と、最も近い前記排出通路部同士を結ぶように張設された第2張設部とを有することを特徴とする請求項1記載の気液混合放出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−255252(P2011−255252A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129229(P2010−129229)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(503332466)有限会社ガリュー (6)
【Fターム(参考)】