説明

水ボイラを備える飲料製造装置

所定量の高温飲料を製造するための装置は、水を加熱するためのボイラ室(5)と、ボイラ室(5)の底部(16)付近のボイラ室(5)内部の管状加熱素子(6)とを含む。管状加熱素子(6)の主要部分(7)が、実質的に水平な軸の周りで実質的に螺旋の線に沿って延在する。ボイラ室(5)の底部は、前記水平な軸の周りに円筒形表面の一部の形状を実質的に有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を加熱するためのボイラ室と、ボイラ室の底部付近でボイラ室内部にある管状加熱素子とを備える、所定量の高温飲料を製造するための装置に関する。高温飲料は、コーヒー、紅茶、若しくは、チョコレート、又は、熱湯が高温飲料を製造するための調合室に輸送される如何なる他の飲料でもあり得るし、或いは、高温飲料は、例えば、熱湯が装置を離れた後に紅茶を製造する熱湯であり得る。
【背景技術】
【0002】
一般的に、高温飲料を製造するための装置は、水を加熱するための手段を備え、その手段は、流動ヒータを含み得ることによって、冷水がヒータを通じて調合室に流れる間に、冷水は加熱される。それによって、水が流れるときに、加熱素子はスイッチオンされ、ヒータを通じて流れる水がないときに、それはスイッチオフされる。本発明はそのような流動ヒータには関しないが、水が休止状態にあり且つ調合室に輸送されるために待っている間に水がボイラ室内で加熱されるヒータに関する。
【0003】
そのような装置はEP−A−1502532号に記載されており、その装置は、管状加熱素子を含むボイラ室を備えるコーヒー製造装置であり、それによって、管状加熱素子の主要部分が垂直軸の周りで実質的に螺旋形のコイルに巻回され、その螺旋コイルはボイラ室の下方部分内に位置付けられている。
【0004】
所定量の高温飲料を調合するために、ボイラ室は少なくとも一定の容積を有さなければならず、その容積は調合されるべき高温飲料の前記所定量に対応する。しかしながら、好ましくは、水を所要温度まで加熱するために必要な時間の期間を短縮するために、ボイラ室の容積は可能な限り小さい。他方、ボイラ室の容積は、管状加熱素子を収容するほどに十分に大きくなければならない。
【0005】
管状加熱素子は、好ましくは、被覆ヒータであり、ステンレス鋼又はアルミニウムのような熱伝導性材料の管と、管内部の電気抵抗ワイヤとを含み、ワイヤはコイルに螺旋状に巻回されることによって、コイルは電気絶縁材料内に埋設され、その材料は熱伝導的、例えば、酸化マグネシウムである。実際には、管状加熱素子の主要部分は、垂直軸を有する渦巻形状又は螺旋形状を有する。渦巻形状の場合には、加熱素子の前記主要部分は、ボイラ室の底部に近接して配置され得るが、螺旋形状の場合には、コイルの下方巻のみがボイラ室の底部付近に配置され得る。加熱素子のそのような螺旋形状は、水の余り効果的でない加熱を招く。何故ならば、水の加熱は、好ましくは、冷水がボイラ室に進入する場所の付近のボイラ室の底部付近で起こらなければならないからである。
【0006】
管状加熱素子の主要部分は、湾曲の半径は一定値よりも小さくあり得ないよう湾曲しており、その値は管状加熱素子の仕様に依存する。管状加熱素子が螺旋コイルに巻回されるとき、そのコイルは少なくとも一定の直径を有さなければならず、加熱素子が渦巻きに巻回されるとき、渦巻きの内側巻は一定の直径を有さなければならない。従って、ボイラ室の少なくとも下方部分の水平断面の最小寸法は、加熱素子が湾曲され得る最小半径によって決定される。さらに、熱湯が上方側でボイラ室を離れ、冷水が下からボイラ室に進入するときに、ボイラ室を通じる適当な水流を達成するために、ボイラ室は、実質的な直径寸法(高さ)を有する必要があり、それによって、冷水と熱湯との混合が限定的でなければならない。全てのこれらの要求は、比較的大きな容積のボイラ室を招く。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、水を加熱するためのボイラと、ボイラの底部付近のボイラ室内部の管状加熱素子とを備え、ボイラ室の下方部分の水平断面が比較的小さな寸法を有する、飲料を製造するための装置である。
【0008】
本発明の他の目的は、水を加熱するためのボイラ室と、ボイラ室の底部付近のボイラ室内部の管状加熱素子とを含み、加熱素子は螺旋形状を有し、加熱素子の主要部分はボイラ室の底部付近に配置される、飲料を製造するための装置である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的の一方又は両方を達成するために、管状加熱素子の主要部分は、実質的に水平な軸の周りで実質的に螺旋形状の線に沿って延在する。螺旋状に巻回される管状加熱素子の軸が水平であるとき、コイルの長さは、ボイラ室の下方部分の水平断面の最小寸法を決定し、螺旋コイルは、その長さがその直径よりも小さいよう設計され得る。さらに、螺旋状に巻回される加熱素子の軸が実質的に水平に位置付けられるとき、加熱素子の実質的な部分は、ボイラ室の底部の付近に配置される。
【0010】
好適実施態様において、ボイラ室の底部は、前記水平軸の周りの円筒形平面の一部の形状を実質的に有する壁を含む。そのような形状を有することで、ボイラ室の底壁は、ボイラ内の水の加熱操作の実質的部分がボイラ室の底部付近で起こるよう、管状加熱素子のコイル形状部分の半分に近接して配置され得る。
【0011】
好ましくは、ボイラ室の水入口は、ボイラ室の底部の前記円筒形表面の円の円弧に実質的に沿って配置される。それによって、水流は、加熱素子のコイルの下方で、ボイラ室の最下方部分内のボイラ室に進入するので、ボイラ室に流入する冷水の効果的な加熱が起こる。
【0012】
好適実施態様において、管状加熱素子の1つの端部分、及び、好ましくは、両方の端部分が、ボイラ室のより高い壁(上方壁)を通じて延在するので、加熱素子に電力を供給するための接続手段は、ボイラ室の上方側に配置される。これらの端部分の1つ、しかしながら、好ましくは、管状加熱素子の1つ端部分、より好ましくは、両方の端部分は、加熱素子の温度が所定値よりも上昇するときに管状加熱素子を通じて流れる電流を遮断するためのヒューズを含む。例えば、ボイラ室が完全に水で満たされないとき、加熱素子のより高い部分、即ち、両方の前記2つの端部分は、水に熱を移転し得ないので、前記より高い部分の温度は高過ぎるようになる。加熱素子の前記より高い部分内にヒューズを配置することによって、ヒューズの温度は加熱素子の最高温度と共に上昇するので、それらは加熱素子を時間内に遮断し得る。好ましくは、安全性のために、2つのヒューズ(管状加熱素子の各端部分内に1つずつ)があるので、失敗の可能性は最小に減少される。管状加熱素子の端部分内のヒューズは、EP−A−1081986号に開示されている。
【0013】
2つのヒューズ(各端部分内に1つのヒューズ)の最適な位置を得るために、好ましくは、管状加熱素子の1つの端部分、より好ましくは、両方の端部分は、実質的に直線であり、実質的に垂直方向にボイラ室内部に位置付けられる。好ましくは、管状加熱素子の両方の直線端部分は、ボイラ室のより高い壁(上方壁)から管状加熱素子の螺旋形状の軸を通じる水平平面に実質的に延在する。それによって、比較的長い直線部分が存在する管状加熱素子の効果的な構成が得られる。
【0014】
好適実施態様において、ボイラ室の容積は、調合されるべき高温飲料の量よりも少ない。異なる量の高温飲料が調合され得る場合には、ボイラ室の容積は、調合され得る高温飲料の最大量よりも少ない。従って、調合室に供給される水の温度は、一定の注入時間後に減少し、それは調合室内の適切な抽出操作を達成するために望ましくあり得る。
【0015】
本発明は、さらに、所定量の高温飲料を製造するための方法に関し、水がボイラ室の内で加熱され、ボイラ室は、ボイラ室の底部の付近に管状加熱素子を含み、環状加熱素子の主要部分が、実質的に水平な軸の周りの実質的に螺旋形の線に沿ってボイラ室内部に延在する。
【0016】
本発明は、ボイラ室と、ボイラ室内部の管状加熱素子とを含む飲料製造装置内の水を加熱するためのボイラの記載を用いて今やさらに解明され、2つの図から構成される図面が参照される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
2つの図面は概略的な表示に過ぎず、本発明の解明に関連する部分のみが表示されている。
【0018】
両方の図面はボイラの垂直な断面を示しており、それらの2つの断面は互いに対して垂直に位置付けられている。ボイラは、上方部分1と下方部分2とを有する筐体を含み、それらの2つの部分1,2は、それらが水密な容器を形成するよう、それぞれのフランジ3,4を通じて互いに取り付けられている。筐体1,2はボイラ室5を取り囲んでいる。ボイラ室5の内部には、管状の加熱素子6があり、その加熱素子6は断面図では表されておらず、側面図(図1)及び正面図(図2)で表されている。
【0019】
加熱素子6の主要部分7は、水平軸の周りに螺旋形状に巻回されている。管状の加熱素子6の2つの端部分8,9は直線であり、垂直方向に上方壁10に延び、その上方壁10はボイラの筐体の上方部分1の一部である。端部分8,9は、ボイラ室5の外部に達するよう、上方壁10の孔を通過している。電力を供給するためのワイヤが、加熱素子6の接触部材11に接続され得る。
【0020】
例えば、ボイラ室5内に水が存在しない場合には、或いは、十分な水が存在しない場合には、加熱素子6が熱くなり過ぎるときに、加熱素子6を通じる電流をスイッチオフするために、管状の加熱素子6の各直線端部分8,9はヒューズを収容し得る。
【0021】
ボイラ室5内の水の温度は、加熱素子6の螺旋形状部分7のより高い側の辺りの水準で筐体の下方部分2の壁を通じて達する温度センサ12を用いて検出される。センサ12は、ボイラ室5内の水の温度が所定値、例えば、95°よりも高いときに、加熱素子6への電力供給をスイッチオフするために、バイメタルセンサであり得る。センサ12は、加熱操作を制御するために、ボイラ室5内の水の温度を測定するための検出器でもあり得る。
【0022】
飲料製造装置の調合室に熱湯を供給するために、加熱水はボイラの上方側で水出口13を通じてボイラ室5を離れ、冷水はボイラの下方側付近の水入口14を通じてボイラ室5に注入され得る。それによって、ボイラ室に進入する冷水は、案内板15によってボイラ室5の底壁16に向かって案内され、その底壁16は、図2に示されるように、半円筒形状を有する。冷水が管状加熱素子6の螺旋形状部分7の下方の底壁16付近でボイラ室5に進入するよう、底壁16と案内板15の縁部との間には円の円弧形状を有する水通路17がある。
【0023】
上述のような所定量の高温飲料を製造するための装置のボイラの実施態様は一例に過ぎず、多くの実施態様が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図2の線I−Iに沿うボイラの断面図である。
【図2】図1の線II−IIに沿うボイラの断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラ室と、該ボイラ室の底部の付近の前記ボイラ室の内部の管状加熱素子とを備える、所定量の高温飲料を製造するための装置であって、前記環状加熱素子の主要部分が、実質的に水平な軸の周りで実質的に螺旋形の線に沿って延在することを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記ボイラ室の前記底部は、前記水平な軸の周りの円筒形平面の一部の形状を実質的に有する壁を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ボイラ室の水入口が、前記円筒形表面の一端部で実質的に円の円弧に沿って配置されることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記環状加熱素子の少なくとも1つの端部分、好ましくは、両方の端部分が、前記ボイラ室のより高い壁を通じて延びることを特徴とする、上記請求項のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記環状加熱素子の少なくとも1つの端部分、好ましくは、両方の端部分は、前記加熱素子の温度が所定値よりも上に上昇するときに前記環状加熱素子を通じて流れる電流を遮断するためのヒューズを含むことを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記環状加熱素子の少なくとも1つの端部分、好ましくは、両方の端部分は、実質的に直線であり、実質的に垂直方向に位置付けられることを特徴とする、請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
前記ボイラ室の容積は、調合されるべき高温飲料の量よりも少ないことを特徴とする、上記請求項のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
水がボイラ室の内で加熱され、前記ボイラ室は、その底部の付近に管状加熱素子を含む、所定量の高温飲料を製造するための方法であって、前記環状加熱素子の主要部分が、実質的に水平な軸の周りの実質的に螺旋形の線に沿って延在することを特徴とする、方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−508556(P2009−508556A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530677(P2008−530677)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【国際出願番号】PCT/IB2006/053094
【国際公開番号】WO2007/034343
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】