説明

水中で溶解することのできる又は分解することのできる繊維複合材料及びその製品

本発明は、天然の繊維及び/又は合成の繊維を含む又は天然の繊維及び/又は合成の繊維からからなる繊維複合材料に関する。前記繊維複合材料は、前記複合材料の前記繊維の少なくとも一部が扁平断面を有しかつ前記複合材料が水中又は他の液体中で溶解し又は分解することができることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然の繊維及び/又は合成の繊維を含む又は天然の繊維及び/又は合成の繊維からからなる繊維複合材料であって、当該複合材料の当該繊維の少なくとも一部が扁平断面を示しかつ当該繊維複合材料が容易に水中又は他の液体中で分解可能である又は溶解可能である、当該繊維複合材料に関連する。本発明はまた、前記繊維複合材料から製造される製品又は前記繊維複合材料を含む製品及び当該繊維複合材料の製造方法にも関連する。本発明はまた、とりわけ、扁平断面を有する繊維の使用であって、これらの繊維を含む繊維複合材料の水中又は穂家の液体中での分解特性又は溶解特性を改善するための当該使用にも関連する。
【背景技術】
【0002】
(最新技術)
例えば、乳児ケア用の又は個人的衛生用の湿性生地(moist cloth)、おむつ、女性用衛生製品などのような使い捨ての物品又は単用物品(single-use article)は概して、柔らかくかつ多くの場合吸収性の表面を有することを特徴とし、さらにまた、当該プロセス中に崩壊することなくそれらの目的を果たすことができるように、水分の存在下でさえ高弾性、高強度及び構造的完全性を有することを特徴とする。例えば、化学繊維であるポリエステル又はポリプロピレン及びビスコースを含む繊維複合材料布地(フリース布地)は、これらの材料特性を示し得る。
【0003】
しかしながら、そのような型の既知のポリマー材料は、それらから製造される複合材料構造体が水中で分解しない又は水中で十分に分解しないという不都合を有する。従って、それらは通常の家庭廃棄物を経て処分しなければならず、普通の家庭用下水道システムによって、例えば、トイレで洗い流すことによって処分することができない。とりわけ、狭い穴の水圧管路が配管される国々において、例えばイタリアにおいては、当該システムに入り込む不溶性材料又は十分に溶解しない材料に起因する管閉塞が重大な問題を引き起こす。
【0004】
とりわけフリース生地及び他の不織構造体のような個人的衛生製品用に使用することのできるポリマー材料の下水道システムによる簡易化された処分及びまた、全体として改善された生分解性が望まれる。当該材料の繊維複合材料構造体は、下水処理場でもはや認識できないほどに下水管中で既に分解する又は溶解するべきである。
【0005】
水中で分散することのできる又は水中で洗い流すことのできる材料用の温度感受性組成物又はイオン感受性組成物を記載する出版物が、知られている。例えば、DE 102 91 388 T1は、水中で分散可能なポリマー、それらの製造方法及びそれらが使用される目的物を記載する。おむつ、湿性ティッシュ(moistened wipe)などのような単用物品の廃棄性の厄介な性質はまた、前記文献にも記載される。冷水中での当該物品の好ましい廃棄性を獲得するために、ポリアクリル酸ナトリウム及びスチレンエマルションを含む組成物を提案する。
【0006】
何の問題もなく下水道システム中にフリース構造体を処分するためのEP 1 138 823 B1に記載される方法は、明確な繊維長分布を有する繊維混合物を使用することに存する。当該繊維混合物は実質的に、10mmの最大繊維長を有する繊維及びまた、1mmの最大繊維長を有するある割合のマイクロファイバーからからなる。水の存在下でマイクロファイバーが溶解される結果として、当該フリース構造体は分解される。
【0007】
EP 1 044 104 B1において、説明される当該目的は、水中で又は生物学的に分解可能なポリマーの当該フリース構造体の不可欠な部分としての使用により達成される。当該廃棄物処理システムにおけるこの特定のポリマー層の溶解の結果として、当該フリースはより小さい構成物へと分解する。しかしながら、多くの最終用途に関して、これらの組成物は、吸水度、強度、分解性、生分解性などに関する好ましい特性を示さない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(本発明の目的の明確な記述)
本発明の目的は、繊維複合材料、とりわけ、フィラメント状形態又はフリース形態のポリマー材料又はポリマー混合物を利用可能にすることに存し、当該繊維複合材料は水中、とりわけ流水中で十分に溶解可能でありそのため洗い流すことが可能であり、同時に、水分の存在下においてもその意図される用途に必要とされる強度及び弾性を示す。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、天然の繊維及び/又は合成の繊維を含む又は天然の繊維及び/又は合成の繊維からからなる繊維複合材料であって、当該複合材料の当該繊維の少なくとも一部が扁平断面を示しかつ当該繊維複合材料が容易に水中又は他の液体中で分解可能である又は溶解可能であることを特徴とする、当該繊維複合材料によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本出願との関連で用語“繊維複合材料”は、種々の単一の繊維の複合材料を意味するものと理解されるべきである。これに関連して、当該繊維複合材料は、1つより多い型の同じ繊維材料(例えば、扁平繊維及び円形繊維)の単一の繊維及び/又は異なる繊維材料からできている繊維で構成されていてもよい。例えば、規則正しいフィラメント状構造を示す織物構造体と対照的に、繊維複合材料は好ましくは、規則正しい構造を持たない。本出願との関連で用語“扁平繊維”は、それぞれの繊維の縦軸に垂直なその断面が少なくとも1:2のアスペクト比を示す繊維を意味することが理解されるべきである。
【0011】
本出願との関連で表現“容易に水中又は他の液体中で分解可能である又は溶解可能である”は、下記に記載される“フラッシャビリティー試験(flushability test)”(この点について、図2も参照)において以下の数の回転後に顕微鏡的に認識できる明確な溶解現象を示す繊維複合材料を意味することが理解されるべきである:12回転、好ましくは10回転、さらにどの場合にも好ましくは、9、8、7及び6回転、さらに非常にとりわけ好ましくは、5回転。当該繊維複合材料の分解性又は溶解性を評価するための当該“フラッシャビリティー試験”は、流出物システムにおける機械的荷重をシミュレートする。そのために、100mmの内径及び1000mmの長さを有する一方の端を塞いだプラスチック管を330mmに達する水柱が生じるように水で満たす。試験する繊維複合材料のサンプルを、寸法 MD 220mm及びCD 110mm(MD=機械方向、縦方向;及びCD=交差方向、横方向)に準備し、水で満たされた管の中に置く。中心に支えられかつ回転できる当該プラスチック管を、ねじ込み可能なキャップによって密封する。どの場合にも当該管を約180°回転することによって、トイレの水洗レバーをシミュレートする。当該回転を、当該フリースの結び付きにおける亀裂及び穴の部分的な形成を伴う明確な開口を認めることができるような回数まで行う;図2を参照。180°の回転の数は、当該測定結果を構成する。
この試験を、好ましくは、不織構造体の分解性のために用いる。
【0012】
本発明の当該繊維複合材料の当該繊維材料は、とりわけ、天然の繊維及び/又は合成の繊維、好ましくは、ビスコース繊維を含むポリマー材料である。とりわけ好ましい変種(variant)において、該繊維材料の一部は水中にそれ自身可溶性である。
【0013】
慣習的に用いられるビスコース繊維又はポリマー繊維は、ほぼ丸い(circular)又は円形の(round)断面を示す。対照的に、本発明と関連して用いられる当該繊維は、変更された断面、とりわけ扁平の、好ましくは、当該繊維の縦軸と垂直な概して長方形の及び/又は台形の断面を示す。個々の繊維は従って、テープ様形状を有する。
【0014】
本発明と関連して用いられる扁平繊維は、好ましくは、さらに刻み目のある(銃眼付きの胸壁様)表面を示してもよい。そのような型の表面構造は、当該繊維の表面積を増大させ、その水分を吸収する能力を増強する。当該最終製品の吸収性は、それによって滑らかな表面を有する繊維と比べて増大される。扁平繊維は好ましくは、セルロース系繊維、とりわけ好ましくは、ビスコース繊維である。
【0015】
本発明の繊維複合材料において記載された扁平繊維の使用の過程で見出された有利な効果は、水中又は他の液体中における繊維複合材料の著しく改善された溶解性又は分解性であり、実際面では、そのような型の繊維複合材料又はそれらから製造される一般的な洗浄物品及び身繕い(grooming)物品としての物品を用いることができ、相当の制限なしに従来の家庭用下水道システムによって処分することができるという結果を有する。当該フリース繊維がトイレによって洗い流すことができ、下水道システム及び下水処理場のどちらにおいても、閉塞もいずれの他の問題も引き起こさないので、これはいわゆる“フラッシャビリティー(flushability)”(上記を参照)と命名される。扁平繊維の相互の減少した密着性及び当該フリース材料へ追加的に含まれる当該円形の繊維への減少した密着性のために及び/又はより緩んだ(looser)当該繊維複合材料のために、当該繊維複合材料は極めてより迅速に液体中で溶解し、そこで十分短い時間で、十分小さい複合材料部分に分解される。
【0016】
本発明の繊維複合材料は、好ましくは、不織フリース又は糸を構成する。これに関連してとりわけ好ましいのは、繊維材料の混合物を特徴とする本発明の繊維複合材料である。
【0017】
本発明の繊維複合材料の繊維は、とりわけポリマー繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ビスコース繊維及び/又はセルロース繊維を含んでいてもよく、他の繊維、例えば、混合比を変化させてポリエステル繊維及び/又はポリエチレン繊維と混合して調製し既知の構造を形成させてもよい。とりわけ、そのような型の材料混合物を、繊維複合材料布地へ加工してもよい。従って、家庭分野における乳児ケア用若しくは個人的衛生用又は他の目的用の乾燥又は湿性の用途が見出される。衛生分野又は医療分野(例えば、月経衛生、創傷包帯など)におけるそのような型の本発明の材料の有用性が同様に獲得される。当該繊維複合材料布地の産業上の利用性もまた有利である。
【0018】
実際には、当該全体の繊維材料に関する扁平繊維の割合は、原則に基づいて、1wt%〜約100wt%であってもよく、扁平繊維の割合は概して、10wt%〜90wt%である。優れた特性が、とりわけ 20wt%〜80wt%、優先的に30wt%〜70wt% の扁平繊維の割合で獲得されてもよい。
【0019】
とりわけ有利な特性が、40wt%に達する割合のポリエステルの扁平繊維(とりわけ、PET)及び60wt%に達する割合のビスコースの扁平繊維からからなるポリマー混合物である本発明の繊維複合材料によって示される。ビスコース繊維がフリース構造へ柔らかさ及び吸収性を与える一方、ポリエステルの扁平繊維はとりわけ、必須の強度を担う。
【0020】
当該繊維複合材料、とりわけフリースにおいて用いられる扁平繊維の繊度は、概して、0.9 dtex 〜 9.0 dtex であってもよく、本発明のフリースに関する繊度は、優先的に 1.5 dtex 〜 3.0 dtex である。
【0021】
本発明の繊維複合材料において用いられる扁平繊維の切断長さは、概して、4mm〜75mmであってもよく、そのために、本発明のフリース繊維に関する切断長さは、優先的に20mm〜50mmであってもよい。
【0022】
本発明の繊維複合材料の比重又は前記繊維複合材料において用いられる扁平繊維の比重は、概して、10g/m2〜500g/m2であってもよく、そのために、本発明の繊維複合材料、とりわけフリース形態の繊維複合材料に関する比重は、優先的に40g/m2〜150g/m2である。これに関連してとりわけ好ましいのは、50g/m2〜150g/m2の比重である。
【0023】
実験室試験において、本発明の繊維複合材料を含む又は構成する不織又はいわゆる紙加工(paper process)で製造された構造は、丸い断面を有する従来のビスコース繊維の参照構造と比べて水中での著しくより高い溶解速度を提示した。同時に、乾燥状態と湿性状態のどちらにおいても、従来の参照構造と比べて著しい構造強度の減少を検出することはできなかった。円形のビスコース繊維又は円形のビスコース繊維を示す繊維複合材料布地と比較して、本発明のビスコース繊維若しくは扁平繊維又は本発明のビスコース繊維若しくは扁平繊維を示す繊維複合材料布地は、より高い柔軟性及び柔らかさを示す。
【0024】
適用の際、とりわけ他の繊維との混合において同様に重要である水分挙動及び吸収性によってからなる因子は、採用される本発明の扁平繊維に関して、既知の一般的な繊維に関するものと全く同程度に優れている。
含量の型及び割合に応じて、当該繊維は、光沢があるように、艶消しのように又は色の付いたように見えてもよい。
【0025】
ビスコース繊維又は扁平繊維を有する本発明の繊維複合材料の製造方法は、従来の円形のビスコース繊維を有する繊維複合材料及び繊維複合材料の布地に関する既知の製造法と一致する。従来の科学技術は、例えば、水流交絡(hydroentanglement)、エアレイド法(air-laid process)又はフリースニードリング(fleece needling)が挙げられるが、これらに限られない。当該科学技術は実際に知られ検証されており、従って、本発明の新規の繊維複合材料の製造及びそれから形成される物品の製造は、非常に単純化される。
【0026】
本発明の繊維複合材料は、セルロース系繊維、とりわけビスコース繊維がもっぱら使用される限りにおいて、完全に生分解性であり、オコテックス標準ステージ1(Okotex Standard Stage 1)に合致していると認定できる。
【0027】
本発明の一部分はまた、本発明の繊維複合材料から又はそれらを用いることによる明確な用途のための物品(中間製品又は最終製品)を製造することである。これらには、フリース布地及び繊維素地、家庭において及び/又は洗浄用に使用することのできる拭き取り生地、吸収性フリース生地、衛生生地若しくは乳児用生地及び/又は個人的衛生生地が含まれる。専門的な用途のための物品もまた、本発明の繊維複合材料から又はそれを使用することによって製造されてもよい。当該物品としては例えば、専門的なフリース布地又は専門的なフリース材料及びフィルター布地又はフィルター材料が挙げられる。
【0028】
本発明のとりわけ好ましい物品は、少なくとも2つの層を含み、当該層の1つが実質的に本発明の繊維複合材料からからなる種々の用途のための生地である。従って明確な用途のために、例えば、とりわけ容易に溶解できる層が存在する一方、他の層は、必要とされるならば、本発明の繊維複合材料よりも容易に溶解可能でない又は分解可能でない。しかしながら、当該追加的な層もまた同様に、少なくともそれらの構造に関しては、容易に分解可能である又は溶解可能であることが好ましい。これに関連して、少なくとも1つの追加的な層がセルロース繊維パルプからからなることが非常にとりわけ好ましい。
【0029】
生地を形成するための本発明の繊維複合材料でできている層とセルロースパルプでできている追加的な層の組み合わせは、優れたフラッシャビリティー(flushability)(すなわち、下水道システムにおいて、繊維複合材料のその構造が十分かつよく溶解する)を提供される生地が製造されるという結果をもたらす。同時に、当該生地は、対応する拭き取り特性(wiping property)及び吸い込み特性(suction property)を有する荒い側面(セルロースパルプ)及び当該荒い側面のものとは異なる特性を有する柔らかい側面を保有する。従って、例えば、乳児ケアの身繕い生地として採用される場合には、当該荒い側面は、ザラザラした汚染物質を吸収するために用いられてもよいが、本発明の繊維複合材料を含む当該柔らかい側面は、多くの皮膚接触を伴う繊細な洗浄のために用いることができる。
【0030】
本発明の不可欠な部分はまた、扁平断面を有する繊維の使用であって、これらの繊維を含む繊維複合材料の水中又は他の液体中における分解特性又は溶解特性を改善する目的のための前記使用である。
【0031】
提示される材料以外であって他の構造体(例えば、編み糸(yarn)、織布地(woven fabric)、編布地(knitted fabric)など)と組み合わせた扁平繊維、とりわけ、繊維産業におけるビスコース扁平繊維の本発明の使用もまた考えられる。
【0032】
本発明の不可欠な部分はまた、本発明の繊維複合材料の製造であり、以下のステップを含む:
a)扁平繊維を提供すること、
b)必要に応じて追加的な繊維を提供すること、及び
c)前記繊維をつないで繊維複合材料を形成し、前記複合材料が容易に水中又は他の液体中で分解可能である又は溶解可能であるようにすること。
【0033】
(例示的な実施態様)
本発明を、添付の図面を参照して、好ましい例示的な実施態様に基づき、以下にさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0034】
(実施例1)
2.4 dtex の繊度及び38mmの繊維長を有するビスコース扁平繊維から、50g/m2の単位面積あたりの重量を有するフリース構造体を、最新技術に相当するハイドロニードリング(hydroneedling)プラントを用いて5×106Pa(50 bar)の水圧及び70m/分間の輸送速度(transport speed)で製造した。本明細書の記載に基づいて行ったフラッシュビリティー試験(flushability test)の過程において、フリースの分解は、わずか7回転後に観察された。41,8 N/5cmのMD Dry及び12,9 N/5cmのCD Dryの伸張強度を測定した。最新技術に相当するハイドロニードリング(hydroneedling)プラントを用いて5×106Pa(50 bar)の水圧及び50m/分間の輸送速度(transport speed)で製造したほぼ丸い(circular)断面、1.7 dtex の繊度及び38mmの切断長さを有するビスコース繊維でできている比較されうるフリース構造体は、50g/m2の単位面積あたりの重量の場合は、わずか12回転後にフリースの初めの分解を示した。
【0035】
(実施例2)
2.4 dtex の繊度及び38mmの切断長さを有するビスコース扁平繊維を、5×106Pa(50 bar)の水圧及び100m/分間の輸送速度(transport speed)で実施例1に記載されるとおりに調製して50g/m2の単位面積あたりの重量を有するフリース構造体を形成した。記載したフラッシュビリティー試験(flushability test)法に従って、フリースの初めの分解が、わずか5回転後に観察された。
【0036】
(実施例3)
ほぼ丸い(circular)断面、1.7 dtex の繊度及び38mmの切断長さを有するビスコース繊維との50%/50%の混合物中の2.4 dtex の繊度及び38mmの切断長さを有するビスコース扁平繊維を用いて実施例1及び2と比較できる製法で製造したフリース構造体に関しては、記載されたフラッシュビリティー試験(flushability test)に従って、フリースの初めの分解が、7回転後に認められた。
【0037】
(実施例4)
記載された当該試験方法において、第1の層としてフリース全体について重量で 65 % の割合の実施例1に記載されるビスコース扁平繊維及び第2の層としてフリース全体について重量で 35 % の割合のセルロース系パルプ材料からからなるフリース構造体は、10回転後にフリースの初めの分解を示した。当該層を、水流交絡(hydroentanglement)によってつないだ。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、本発明の繊維複合材料の繊維構造の拡大した断面を示す。個々のビスコース繊維又は扁平繊維をここに見ることができ、これらがテープ様の様式で伸びることが明らかとなる。当該繊維の縦軸に垂直なそれらの断面は、扁平である。個々のビスコース繊維の表面は細長い溝を示し、どの場合にも縦方向であり、従って、個々の繊維の断面が滑らかな縁外観を示さずむしろ刻み目のある(銃眼付きの胸壁様)縁外観を示す。
【図2】図2は、繊維複合材料構造、ここではフリース構造の分解の始まりを図解する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然の繊維及び/又は合成の繊維を含む又は天然の繊維及び/又は合成の繊維からからなる繊維複合材料であって、前記複合材料の前記繊維の少なくとも一部が扁平断面を示しかつ前記繊維複合材料が容易に水中又は他の液体中で分解可能である又は溶解可能であることを特徴とする、前記繊維複合材料。
【請求項2】
前記繊維の少なくとも一部が長方形断面及び/又は台形断面であることを特徴とする、請求項1記載の繊維複合材料。
【請求項3】
ビスコース繊維及び/又はセルロース繊維を含む又はビスコース繊維及び/又はセルロース繊維からからなる、請求項1又は2のいずれか1項記載の繊維複合材料。
【請求項4】
ポリマー繊維、とりわけ、ポリエステル繊維及び/又はポリプロピレン繊維を含む又はポリマー繊維、とりわけ、ポリエステル繊維及び/又はポリプロピレン繊維からからなる、請求項1〜3のいずれか1項記載の繊維複合材料。
【請求項5】
不織フリース又は糸であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の繊維複合材料。
【請求項6】
種々の繊維材料の混合物であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項記載の繊維複合材料。
【請求項7】
前記扁平繊維の繊度が 0.9 dtex 〜 9.0 dtex、好ましくは 1.5 dtex 〜 3.0 dtex であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載の繊維複合材料。
【請求項8】
前記扁平繊維の切断長さが4mm〜75mm、好ましくは20mm〜50mmであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項記載の繊維複合材料。
【請求項9】
前記扁平繊維の断面の外側縁の幅/長さ比率が1:2〜1:20、好ましくは1:4〜1:8であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項記載の繊維複合材料。
【請求項10】
比重が10g/m2〜500g/m2、好ましくは40g/m2〜150g/m2であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項記載の繊維複合材料。
【請求項11】
前記扁平繊維の割合が1wt%〜100wt%、好ましくは10wt%〜90wt%であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項記載の繊維複合材料。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項記載の繊維複合材料からからなる又は請求項1〜11のいずれか1項記載の繊維複合材料を含む、フリース材料又は繊維素地。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項記載の繊維複合材料からからなる又は請求項1〜11のいずれか1項記載の繊維複合材料を含む、家庭において及び/又は洗浄用に使用することのできる拭き取り生地、吸収性フリース生地、衛生生地若しくは乳児用生地及び/又は個人的衛生生地。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか1項記載の繊維複合材料からからなる又は請求項1〜11のいずれか1項記載の繊維複合材料を含む、専門的なフリース布地、専門的なフリース材料、フィルター布地又はフィルター材料。
【請求項15】
少なくとも2つの層を含み、当該層の1つが実質的に請求項1〜11のいずれか1項記載の繊維複合材料からからなる、請求項13記載の生地。
【請求項16】
追加的な層が同様に容易に分解可能である又は溶解可能である、請求項15記載の生地。
【請求項17】
少なくとも1つの追加的なパルプの層がセルロース繊維からからなる、請求項16記載の生地。
【請求項18】
扁平断面を有する繊維の使用であって、これらの繊維を含む繊維複合材料の水中又は他の液体中における分解特性又は溶解特性を改善するための、前記使用。
【請求項19】
請求項1〜11のいずれか1項記載の繊維複合材料の製造方法であって:
a)扁平繊維を提供すること、
b)必要に応じて追加的な繊維を提供すること、及び
c)前記繊維をつないで繊維複合材料を形成し、前記複合材料が容易に水中又は他の液体中で分解可能である又は溶解可能であるようにすること、
を含む、前記製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−546917(P2008−546917A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516313(P2008−516313)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【国際出願番号】PCT/EP2006/063224
【国際公開番号】WO2006/134132
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(507405429)ケルハイム ファイバーズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【Fターム(参考)】