説明

水中油型又は油中水型乳化物を収容した製品及び多層構造容器

【課題】油脂成分を含有した粘調な内容物の容器内側表面への粘着を抑制し、特に容器を傾斜や倒立させて使用する際の内容物の転落性を向上させる事により、利便性を良くし、使用終了時の残存量を少なくする事の出来る表面を有する容器を提供する事である。
【解決手段】本発明は、最内層がポリスチレン、スチレン系共重合体、ポリ環状オレフィン、環状オレフィン系共重合体及びメルトフローレートが10g/10min以上のポリオレフィンからなる群から選ばれた樹脂を含む多層構造容器に水中油型又は油中水型乳化物を収容した製品を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型又は油中水型乳化物を収容した製品及び多層構造容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マヨネーズに代表される油脂成分を含有した粘調な内容物を収納する包装容器として、絞り出し易さの点より、低密度ポリエチレンを主体とする容器が広く使用されている。しかし、このような粘調な内容物は、前記容器の内側表面に粘着し、容器を傾斜や倒立させただけでは排出されないため、その利便性が悪いという問題があった。また、使用終了時の残存量の増大を招いていた。
プラスチック包装容器などに収容された内容物を取り出す際、内容物が容器内壁に付着して残留することを防止するために、プラスチック樹脂に球状シリコンや高級脂肪酸化合物(α−オレフィン・無水マレイン酸共重合体など)を配合した組成物からなる内面層を有する包装容器が提案されている(特許文献1及び特許文献2)。しかしながら、内面層に球状シリコンを添加すると、表面のラフネスが悪くなるため、内容物の転落性は悪くなる。α−オレフィン・無水マレイン酸共重合体を添加したものは、レトルト時のカレーの付着性を抑える事が出来るが、内容物の転落性に関する記載ない。しかしながら、ポリマー同士のブレンド物は表面のラフネスが悪くなる為、内容物の転落性は悪くなる。
【0003】
また、容器からの製品排出性を向上させ、且つ製品残存量を減少させる内側表面性を有する多層プラスチック容器を提供するために、内層にポリエステル、エチレン酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルなどの樹脂を使用することが提案されている(特許文献3)。しかしながら、内層にポリエステルなどの樹脂を使用すると内容物の吸着(吸引)は少なくなるが、内容物の転落性は向上しない。
【0004】
【特許文献1】特開平8−337267号公報
【特許文献2】特開2001−247779号公報
【特許文献3】特表2001−517183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本目的は、油脂成分を含有した粘調な内容物の容器内側表面への粘着を抑制し、特に容器を傾斜や倒立させて使用する際の内容物の転落性を向上させる事により、利便性を良くし、使用終了時の残存量を少なくする事の出来る表面を有する容器を提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、鋭意検討した結果、水中油型又は油中水型乳化物の容器内表面における転落機構を解明した。後述の実施例に示すように、マヨネーズの転落速度を測定した画像の解析結果から、その転落機構が、内容物中の油分成分が先行して容器内表面を濡らし、この油分成分が潤滑剤として働いて内容物を滑り落とす事であることを見出した。この転落機構は、油分成分を含む内容物、特に油分成分が内容物中に安定に分散された水中油型又は油中水型乳化物である内容物の転落において重要であることが分かった。さらに、本発明者等は、この転落機構に基づいて、転落性を向上できる表面の構造と内容物の組成との関係を検討した。その結果、内容物中の水成分と油分成分との濡れのバランスの指標となる水中油の接触角がより低い表面ほど内容物の転落速度が大きくなる事を見出した。特に、容器内表面の水中油の接触角を15°以下とすることで、前記内容物の転落速度が飛躍的に大きくなることが分かった。
【0007】
本発明は上記知見に基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、最内層がポリスチレン、スチレン系共重合体、ポリ環状オレフィン、環状オレフィン系共重合体及びメルトフローレートが10g/10min以上のポリオレフィンからなる群から選ばれた樹脂を含む多層構造容器に水中油型又は油中水型乳化物を収容した製品を提供する。
また、本発明は、水中油型又は油中水型乳化物を収容するための多層構造容器であって、多層構造容器の最内層がポリスチレン、スチレン系共重合体、ポリ環状オレフィン、環状オレフィン系共重合体及びメルトフローレートが10g/10min以上のポリオレフィンからなる群から選ばれた樹脂を含む多層構造容器を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、油脂成分を含有した粘調な内容物の容器内側表面への粘着を抑制し、特に容器を傾斜や倒立させて使用する際の内容物の転落性を向上させる事により、利便性を良くし、使用終了時の残存量を少なくする事の出来る表面を有する多層構造容器が実現した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、最内層がポリスチレン、スチレン系共重合体、ポリ環状オレフィン、環状オレフィン系共重合体及びメルトフローレートが10g/10min以上のポリオレフィンからなる群から選ばれた樹脂を含む多層構造容器に水中油型又は油中水型乳化物を収容した製品である。
ポリスチレンとしては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,2−ジメチルスチレン、α−メチルスチレンなどのモノマーを重合したものが挙げられる。これらのモノマーを2種以上用いて重合したポリスチレンであってもよい。
スチレン系共重合体としては、鎖状又は環状の共役又は非共役ジエンから誘導された単位を含むスチレン−ジエン共重合体、水添スチレン−ジエン共重合体などが挙げられる。鎖状又は環状の共役又は非共役ジエンの単量体としては、例えばブタジエン、イソプレン等の共役ジエン;1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の環状非共役ジエンが挙げられる。具体的なスチレン系共重合体としては、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体などが挙げられる。また、これらのスチレン−ジエン共重合体を公知の水素化法によりジエン部分を水添することで、水添スチレン−ジエン共重合体が得られる。
【0010】
ポリ環状オレフィン、環状オレフィン系共重合体は、エチレン系不飽和結合とビシクロ環とを有する脂環族炭化水素化合物、特にビシクロ[2、2、1]ヘプト−2−エン骨格を有する炭化水素化合物をモノマー成分として重合したポリマーであり、具体的なモノマー成分としては、次のものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0011】
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン誘導体:例えば下記式(1)で表されるビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン誘導体。特に、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、1−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−n−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−イソブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、7−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン。
【化1】

(1)
(式中、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアルキリデン基であり、nは1〜4の整数である。)
【0012】
トリシクロ[4.3.0.12.5]−3−デセン誘導体:例えば、下記式(2)で表されるトリシクロ[4.3.0.12.5]−3−デセン誘導体。特に、トリシクロ[4.3.0.12.5]−3−デセン、2−メチルトリシクロ[4.3.0.12.5]−3−デセン5−メチルトリシクロ[4.3.0.12.5]−3−デセン。
【化2】

(2)
(式中、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアルキリデン基であり、nは1〜4の整数である。)
【0013】
トリシクロ[4.4.0.12.5]−3−ウンデセン誘導体:例えば、下記式(3)で表されるトリシクロ[4.4.0.12.5]−3−ウンデセン誘導体。特に、トリシクロ[4.4.0.12.5]−3−ウンデセン、10−メチルトリシクロ[4.4.0.12.5]−3−ウンデセン。
【化3】

(3)
(式中、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアルキリデン基であり、nは1〜4の整数である。)
【0014】
テトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン誘導体、例えば、下記式(4)で表されるテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン誘導体。特に、テトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−プロピルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−イソブチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−ヘキシルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−シクロヘキシルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−ステアリルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、5,10−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、2,10−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8,9−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−エチル−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、11,12−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、2,7,9−トリメチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、2,7−ジメチル−9−エチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、9−イソブチル−2,7−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、9,11,12−トリメチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、9−エチル−11,12−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、9−イソブチル−11,12−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、5,8,9,10−テトラメチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−エチリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−エチリデン−9−エチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−エチリデン−9−イソプロピルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−エチリデン−9−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−2R−ドデセン、8−n−プロピリデンテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−エチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−イソプロピルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−イソプロピリデンテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−イソプロピリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−イソプロピリデン−9−エチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−イソプロピリデン−9−イソプロピルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−イソプロピリデン−9−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン。
【化4】

(4)
(式中、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアルキリデン基であり、nは1〜4の整数である。)
【0015】
ペンタシクロ[6.5.1.13.6.02.7.09.13]−4−ペンタデセン誘導体;例えば、下記式(5)で表されるペンタシクロ[6.5.1.13.6.02.7.09.13]−4−ペンタデセン誘導体。特に、ペンタシクロ[6.5.1.13.6.02.7.09.13]−4−ペンタデセン、1,3−ジメチルペンタシクロ[6.5.1.13.6.02.7.09.13]−4−ペンタデセン、1,6−ジメチルペンタシクロ[6.5.1.13.6.02.7.09.13]−4−ペンタデセン、14,15−ジメチルペンタシクロ[6.5.1.13.6.02.7.09.13]−4−ペンタデセン。
【化5】

(5)
(式中、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアルキリデン基であり、nは1〜4の整数である。)
【0016】
ペンタシクロ[7.4.0.12.5 .19.12.08.13]−3−ペンタデセン誘導体、例えば下記式(6)で表されるペンタシクロ[7.4.0.12.5.19.12.08.13]−3−ペンタデセン誘導体。特に、ペンタシクロ[7.4.0.12.5.19.12.08.13]−3−ペンタデセン、メチル置換ペンタシクロ[7.4.0.12.5.19.12.08.13]−3−ペンタデセン。
【化6】

(6)
(式中、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアルキリデン基であり、nは1〜4の整数である。)
【0017】
ペンタシクロ[6.5.1.13.6.02.7.09.13]−4,10−ペンタデカジエン誘導体、例えば下記式(7)で表されるペンタシクロ[6.5.1.13.6.02.7.09.13]−4,10−ペンタデカジエン誘導体。
特に、ペンタシクロ[6.5.1.13.6.02.7.09.13]−4,10−ペンタデカジエン。
【化7】

(7)
(式中、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアルキリデン基であり、nは1〜4の整数である。)
【0018】
ペンタシクロ[8.4.0.12.5.19.12.08.13]−3−ヘキサデセン誘導体、例えば下記式(8)で表されるペンタシクロ[8.4.0.12.5.19.12.08.13]−3−ヘキサデセン誘導体。特に、ペンタシクロ[8.4.0.12.5.19.12.08.13]−3−ヘキサデセン、11−メチル−ペンタシクロ[8.4.0.12.5.19.12.08.13]−3−ヘキサデセン、11−エチル−ペンタシクロ[8.4.0.12.5.19.12.08.13]−3−ヘキサデセン、10,11−ジメチル−ペンタシクロ[8.4.0.12.5 .19.12.08.13]−3−ヘキサデセン。
【化8】

(8)
(式中、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアルキリデン基であり、nは1〜4の整数である。)
【0019】
ペンタシクロ[6.6.1.13.6 .02.7 .09.14]−4−ヘキサデセン誘導体、例えば、下記式(9)で表されるペンタシクロ[6.6.1.13.6.02.7.09.14]−4−ヘキサデセン誘導体。特に、ペンタシクロ[6.6.1.13.6.02.7.09.14]−4−ヘキサデセン、1,3−ジメチルペンタシクロ[6.6.1.13.6.02.7.09.14]−4−ヘキサデセン、1,6−ジメチルペンタシクロ[6.6.1.13.6.02.7.09.14]−4−ヘキサデセン、15,16−ジメチルペンタシクロ[6.6.1.13.6.02.7.09.14]−4−ヘキサデセン。
【化9】

(9)
(式中、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアルキリデン基であり、nは1〜4の整数である。)
【0020】
ヘキサシクロ[6.6.1.13.6 .110.13 .02.7 .09.14]−4−ヘプタデセン誘導体、例えば下記式(10)で表されるヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13 .02.7.09.14]−4−ヘプタデセン誘導体。特に、ヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン、12−メチルヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン、12−エチルヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン、12−イソブチルヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン、1,6,10−トリメチル−12−イソブチルヘキサシクロ[6.6.1.13.6.10.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン。
【化10】

(10)
(式中、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアルキリデン基であり、nは1〜4の整数である。)
【0021】
ヘプタシクロ[8.7.0.12.9.14.7.111.17.03.8.012.16]−5−エイコセン誘導体、例えば、下記式(11)で表されるヘプタシクロ[8.7.0.12.9.14.7.111.17.03.8.012.16]−5−エイコセン誘導体。特に、ヘプタシクロ[8.7.0.12.9.14.7.111.17.03.8.012.16]−5−エイコセン。
【化11】

(11)
(式中、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアルキリデン基であり、nは1〜4の整数である。)
【0022】
ヘプタシクロ[8.7.0.13.6.110.17.112.15.02.7.011.16]−4−エイコセン誘導体、例えば、下記式(12)で表されるヘプタシクロ[8.7.0.13.6.110.17.112.15.02.7.011.16]−4−エイコセン誘導体。特に、ヘプタシクロ[8.7.0.13.6.110.17.112.15.02.7.011.16]−4−エイコセン、ジメチル置換ヘプタシクロ[8.7.0.13.6.110.17.112.15.02.7.011.16]−4−エイコセン。
【化12】

(12)
(式中、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアルキリデン基であり、nは1〜4の整数である。)
【0023】
ヘプタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.03.8.012.17]−5−ヘンエイコセン誘導体、例えば、下記式(13)で表されるヘプタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.03.8.012.17]−5−ヘンエイコセン誘導体。特に、ヘプタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.03.8.012.17]−5−ヘンエイコセン。
【化13】

(13)
(式中、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアルキリデン基であり、nは1〜4の整数である。)
【0024】
ヘプタシクロ[8.8.0.14.7 .111.18 .113.16 .03.8 .012.17]−5−ヘンエイコセン誘導体、例えば下記式(14)で表されるヘプタシクロ[8.8.0.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ヘンエイコセン誘導体。特に、ヘプタシクロ[8.8.0.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ヘンエイコセン、15−メチル−ヘプタシクロ[8.8.0.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ヘンエイコセン、トリメチル置換ヘプタシクロ[8.8.0.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ヘンエイコセン。
【化14】

(14)
(式中、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアルキリデン基であり、nは1〜4の整数である。)
【0025】
オクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ドコセン誘導体、例えば、下記式(15)で表されるオクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ドコセン誘導体。特に、オクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ドコセン、15−メチルオクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ドコセン、15−エチルオクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.013.16.03.8.012.17]−5−ドコセン。
【化15】

(15)
(式中、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアルキリデン基であり、nは1〜4の整数である。)
【0026】
ノナシクロ[10.9.1.14.7.113.20.115.18.02.10.03.8.012.21.014.19]−5−ペンタコセン誘導体、例えば下記式(16)で表されるノナシクロ[10.9.1.14.7.113.20.115.18.02.10.03.8.012.21.014.19]−5−ペンタコセン誘導体。特に、ノナシクロ[10.9.1.14.7.113.20.115.18.02.10.03.8.012.21.014.19]−5−ペンタコセン、ドリメチル置換ノナシクロ[10.9.1.14.7.113.20.115.18.02.10.03.8.012.21.014.19]−5−ペンタコセン。
【化16】

(16)
(式中、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアルキリデン基であり、nは1〜4の整数である。)
【0027】
ノナシクロ[10.10.1.15.8.114.21.116.19.02.11.04.9.013.22.015.20]−6−ヘキサコセン誘導体、例えば、下記式(17)で表されるノナシクロ[10.10.1.15.8.114.21.116.19.02.11.04.9.013.22.015.20]−6−ヘキサコセン誘導体。特に、ノナシクロ[10.10.1.15.8.114.21.116.19.02.11.04.9.013.22.015.20]−6−ヘキサコセン。
【化17】

(17)
(式中、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアルキリデン基であり、nは1〜4の整数である。)
【0028】
環状オレフィンの他の例としては、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ベンジル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−トリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(エチルフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(イソプロピルフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(ビフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(β−ナフチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(α−ナフチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(アントラセニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン、8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10 ]−3−ドデセン、8−メチル−8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン、8−ベンジル−テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10 ]−3−ドデセン、8−トリル−テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10 ]−3−ドデセン、8−(エチルフェニル)−テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10 ]−3−ドデセン、8−(イソプロピルフェニル)−テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10 ]−3−ドデセン、8,9−ジフェニル−テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10 ]−3−ドデセン、8−(ビフェニル)テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10 ]−3−ドデセン、8−(β−ナフチル)テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10 ]−3−ドデセン、8−(αナフチル)−テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10 ]−3−ドデセン、8−(アントラセニル)−テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10 ]−3−ドデセン、(シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物)にシクロペンタジエンをさらに付加した化合物、11,12−ベンゾ−ペンタシクロ[6.5.1.13.6 .02.7 .09.13]−4−ペンタデセン、11,12−ベンゾ−ペンタシクロ[6.6.1.13.6 .02.7 .09.14]−4−ヘキサデセン、11−フェニル−ヘキサシクロ[6.6.1.13.6 .110.13 .02.7 .09.14 ]−4−ヘプタデセン、14,15−ベンゾ−ヘプタシ3Nロ[8.7.0.12.9 .14.7 .111.17 .03.8 .012.16 −5−エイコセン]が挙げられる。
【0029】
環状オレフィン系共重合体は、50〜22モル%、特に40〜22モル%の環状オレフィンと残余のエチレンとから誘導され、且つ200℃以下、特に150〜60℃のガラス転移点(Tg)を有するのがよい。
ポリ環状オレフィン、環状オレフィン系共重合体は、オレフィンと環状オレフィンとを、それ自体公知のバナジウム系触媒或いはメタロセン系触媒の存在下にランダム重合させることにより得られる。オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンなどが挙げられる。好適な環状オレフィン系樹脂(COC)は、三井石油化学株式会社から、アペルの商品名で市販されている。
【0030】
ポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(LVLDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)又はこれらのブレンド物等が挙げられる。好ましくは、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(LVLDPE)などのポリエチレンである。本発明で用いるポリオレフィンは、メルトフローレートが10g/10min以上である。好ましくは、15g/10min以上である。
【0031】
本発明で用いる多層構造容器は、上記最内層以外に、バリヤー層、中間層、また必要により接着層を有してもよい。
バリヤー層には、バリヤー性樹脂を使用することができる。バリヤー性樹脂としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を挙げることができる。例えば、エチレン含有量が20〜60モル%、好ましくは、25〜50モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以上、好ましくは、99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が使用される。バリヤー性樹脂の他の例としては、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)、ポリグリコール酸等を挙げることができる。
【0032】
中間層には、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂から、その使用態様や要求される機能により適宜選択できる。例えば、オレフィン系樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂などが挙げられる。
オレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(LVLDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)又はこれらのブレンド物等が挙げられる。
熱可塑性ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、又はこれらの共重合ポリエステル、さらに、これらのブレンド物等が挙げられる。
【0033】
接着層には、接着剤樹脂を用いることができる。接着剤樹脂としては、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸を主鎖又は側鎖に、1〜700ミリイクイバレント(meq)/100g樹脂、好ましくは10〜500meq/100g樹脂の濃度で含有する重合体が挙げられる。例えば、エチレン−アクリル酸共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、アクリル酸グラフトポリオレフイン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、共重合ポリエステル、共重合ポリアミド等があり、これらを2種以上の組み合わせたものでもよい。
【0034】
上記多層構造容器に収容される内容物としては、水中油型又は油中水型乳化物が挙げられる。
水中油型乳化物としては、例えば日本農林規格(JAS)で定義されるドレッシング、半固体状ドレッシング、乳化液状ドレッシング、サラダドレッシング、フレンチドレッシングなどが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではなく、広くマヨネーズ類、ドレッシング類と言われる水中油型乳化物が含まれる。また、化粧品や医薬類なども含まれる。本発明においては、半固体状ドレッシングを内容物とした場合に、内容物の転落性の向上が顕著である。
油中水型乳化物としては、バター、マーガリン類などが挙げられる。また、化粧品や医薬類なども含まれる。
水中油型又は油中水型乳化物中に含まれる油分成分としては、例えば蜜蝋、木蝋、カルナバ蝋、カカオ脂、オリーブ油、ツバキ油、ヒマシ油、ヤシ油、パーム油、菜種油、綿実油、大豆油、マッコウ鯨油、豚脂、牛脂、ロジンなどの植物及び動物性の油脂又は蝋、これらの油脂を加水分解又はエステル交換したモノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセライド、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの合成又は天然の飽和及び不飽和脂肪酸、更にラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、などの飽和又は不飽和アルコール、前述の脂肪酸とアルコールからなるエステル、固形パラフィン、ワックス、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、流動パラフィン、シリコーンオイルなどの鉱物系の油性化合物などが挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を混合しても良い。
なお、水中油型又は油中水型乳化物として、油分含量が15〜80重量%、好ましくは20〜50重量%である場合に、内容物の転落性の向上が顕著である。
【0035】
本発明で用いる多層構造容器の製造には、それ自体公知の成型法を用いることができる。
例えば、樹脂の種類に応じた数の押出機を用いて、多層多重ダイを用いて押出成形を行うことで多層フィルム、多層シート、多層パリソン又は多層パイプ等が成形できる。また、樹脂の種類に応じた数の射出成形機を用いて、同時射出法や逐次射出法等の共射出成形によりボトル成型用の多層プリフォームを製造することができる。このような多層フィルム、パリソン、プリフォームなどをさらに加工することにより、多層構造容器を得ることができる。
フィルム等の包装材料は、種々の形態のパウチや、トレイ・カップの蓋材として用いることができる。パウチとしては、例えば、三方又は四方シールの平パウチ類、ガセット付パウチ類、スタンディングパウチ類、ピロー包装袋等が挙げられる。製袋は公知の製袋法で行うことができる。また、フィルム又はシートを、真空成形、圧空成形、張出成形、プラグアシスト成形等の手段に付することにより、カップ状、トレイ状等の包装容器が得られる。
【0036】
多層フィルムや多層シートの製造には、押出コート法や、サンドイッチラミネーションを用いることができる。また、予め形成された単層及び多層フィルムをドライラミネーションによって積層することもできる。例えば、熱可塑性樹脂層/酸素吸収層/熱可塑性樹脂(シーラント)層から成る3層共押出フィルムに透明蒸着フィルムをドライラミネーションにより積層する、ドライラミネートにより積層した2軸延伸PETフィルム/アルミ箔の2層フィルムに酸素吸収層/シーラント層の2層をアンカー剤を介して押出コートする、又はドライラミネートにより積層したバリアコーティングフィルム/ポリエチレンの2層フィルムにポリエチレン単層フィルムをポリエチレンベースの酸素吸収性樹脂組成物を介してサンドイッチラミネーションする方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、パリソン、パイプ又はプリフォームを一対の割型でピンチオフし、その内部に流体を吹込むことにより容易にボトルやチューブを成形できる。また、パイプ、プリフォームを冷却した後、延伸温度に加熱し、軸方向に延伸すると共に、流体圧によって周方向にブロー延伸することにより、延伸ブローボトル等が得られる。
【実施例】
【0037】
(1)内容物転落速度測定方法
固体試料として実施例の容器より30mm×30mmの平坦な試験片を切り出した。この試験片を、内層が上になるように、滑落法キットDM−SAを装着した固液界面解析システムDropMaster700(協和界面科学(株)製)の試料台に固定した。液体試料としてキューピーマヨネーズ(キューピー(株)製、油分含有量約60%)を用い、液体試料の重量60mg、傾斜角85°、室温23℃、湿度50%RHの条件で、接触角を経時時間毎(サンプリングタイム5sec)に測定することにより経時毎の画像を取得した。次に取得した画像中において、前進接触角の端点の座標からサンプリング時間毎の移動距離を計算し、グラフを作製した。後述比較例1の容器におけるグラフを図1に示す。このグラフ同様に後述の実施例すべてにおいてだいたい直線となり、この傾きより速度を算出した。
(2)水中油の接触角測定方法
固液界面解析システムDropMaster700(協和界面科学(株)製)に三態系キットを装着し、キット内の容器に蒸留水注入した。この蒸留水中に固体試料としては前述の試験片を内層が下になるように固定し、液体試料としてオレイン酸(和光純薬工業(株)製)を用いて、液体試料の体積2μl、室温23℃、湿度50%RHの条件で、接触角を測定した。
【0038】
(実施例1)
外層として40mm押出機に低密度ポリエチレンであるスミカセンF108−2(住友化学(株)製、滑剤オレイン酸アミド300ppm、MI=0.4g/min)、接着層として30mm副押出機AにモディックL522(三菱化学(株)製)、バリヤー層として30mm副押出機BにエバールF101B((株)クラレ製)、中間層として50mm主押出機にスミカセンF108−2(住友化学(株)製)、内層として30mm副押出機Cに低密度ポリエチレンであるノバテックLJ803(日本ポリエチレン(株)製、滑剤無添加、MI=22g/min)の樹脂ペレットを供給した。温度210℃の多層ダイヘッドより溶融パリソンを押し出し、公知の溶融ブロー成形法によりノズル径φ30、内容量500ml、重量19gのマヨネーズ形状の5種6層多層容器を作製した。この容器について、内容物転落速度及び水中油の接触角を測定した。内容物転落速度の結果を図2に示す。なお、層構成は下記のとおりである。
外層/接着層/バリヤー層/接着層/ 中間層/内層
重量% 20 2.5 5 2.5 50 20
【0039】
(実施例2)
外層として40mm押出機にスミカセンF108−2(住友化学(株)製)、接着層として30mm副押出機AにアドマーSF730(三井化学(株)製)、バリヤー層として30mm副押出機BにエバールF101B((株)クラレ製)、中間層として50mm主押出機にスミカセンF108−2(住友化学(株)製)、内層として30mm副押出機CにポリスチレンであるHRM24N(東洋ポリスチレン(株)製)の樹脂ペレットを供給した。温度210℃の多層ダイヘッドより溶融パリソンを押し出し、公知の溶融ブロー成形法によりノズル径φ30、内容量500ml、重量19gのマヨネーズ形状の5種7層多層容器を作製した。この容器について、内容物転落速度及び水中油の接触角を測定した。内容物転落速度の結果を図2に示す。なお、層構成は下記のとおりである。
外層/接着層/バリヤー層/接着層/ 中間層/接着層/内層
重量% 20 2.5 5 2.5 57.5 2.5 10
【0040】
(実施例3)
外層として40mm押出機にスミカセンF108−2(住友化学(株)製)、接着層として30mm副押出機AにアドマーSF730(三井化学(株)製)、バリヤー層として30mm副押出機BにエバールF101B((株)クラレ製)、中間層として50mm主押出機にスミカセンF108−2(住友化学(株)製)、内層として30mm副押出機Cに環状オレフィン共重合体であるAPL6509T(三井化学(株)製)の樹脂ペレットを供給した。温度210℃の多層ダイヘッドより溶融パリソンを押し出し、公知の溶融ブロー成形法によりノズル径φ30、内容量500ml、重量19gのマヨネーズ形状の5種7層多層容器を作製した。この容器について、内容物転落速度及び水中油の接触角を測定した。内容物転落速度の結果を図2に示す。なお、層構成は下記のとおりである。
外層/接着層/バリヤー層/接着層/ 中間層/接着層/内層
重量% 20 2.5 5 2.5 57.5 2.5 10
【0041】
(実施例4)
内層として30mm副押出機Cに低密度ポリエチレンであるノバテックLJ903(日本ポリエチレン(株)製、滑剤無添加、MI=50g/min)の樹脂ペレットを用いた以外は実施例1と同様に容器を作製した。この容器について、内容物転落速度及び水中油の接触角を測定した。内容物転落速度の結果を図2に示す。
【0042】
(実施例5)
内層として30mm副押出機Cに低密度ポリエチレンであるノバテックLC706(日本ポリエチレン(株)製、滑剤無添加、MI=12g/min)の樹脂ペレットを用いた以外は実施例1と同様に容器を作製した。この容器について、内容物転落速度及び水中油の接触角を測定した。内容物転落速度の結果を図2に示す。
【0043】
(比較例1)
内外層として40mm押出機に現在マヨネーズ用容器の生産で使用している低密度ポリエチレンであるスミカセンF108−2(住友化学(株)製、滑剤オレイン酸アミド300ppm、MI=0.4g/min)、接着層として30mm副押出機AにモディックL522(三菱化学(株)製)、バリヤー層として30mm副押出機BにエバールF101B((株)クラレ製)、中間層として50mm主押出機にスミカセンF108−2(住友化学(株)製)の樹脂ペレットを供給した。温度210℃の多層ダイヘッドより溶融パリソンを押し出し、公知の溶融ブロー成形法によりノズル径φ30、内容量500ml、重量19gのマヨネーズ形状の4種6層多層容器を作製した。この容器について、内容物転落速度及び水中油の接触角を測定した。内容物転落速度の結果を図2に示す。なお、層構成は下記のとおりである。
外層/接着層/バリヤー層/接着層/ 中間層/内層
重量% 20 2.5 5 2.5 50 20
【0044】
(比較例2)
外層として40mm押出機にスミカセンF108−2(住友化学(株)製)、接着層として30mm副押出機AにモディックL522(三菱化学(株)製)、バリヤー層として30mm副押出機BにエバールF101B((株)クラレ製)、中間層として50mm主押出機にスミカセンF108−2(住友化学(株)製)、内層として30mm副押出機Cにエチレン−ビニルアルコール共重合体であるエバールF101B((株)クラレ製)の樹脂ペレットを供給した。温度210℃の多層ダイヘッドより溶融パリソンを押し出し、公知の溶融ブロー成形法によりノズル径φ30、内容量500ml、重量19gのマヨネーズ形状の5種7層多層容器を作製した。この容器について、内容物転落速度及び水中油の接触角を測定した。内容物転落速度の結果を図2に示す。なお、層構成は下記のとおりである。
外層/接着層/バリヤー層/接着層/ 中間層/接着層/内層
重量% 20 2.5 5 2.5 57.5 2.5 10
【0045】
(実施例6)
固体試料として実施例3の容器を用い、内容物転落速度測定と同様に試料台に固定し、液体試料としてキューピーハーフ(キューピー(株)製、油分含有量約30%)を用い、液体試料の重量60mg、傾斜角85°、室温23℃、湿度50%RHの条件で、ゼロ時間と1時間後の接触角を測定することにより画像を取得した。次に取得した画像中において、前進接触角の端点の座標から移動距離を計算した。結果を表1に示す。
【0046】
(比較例3)
固体試料として比較例1の容器を用いた以外は実施例6と同様に試験を行い、移動距離を計算した。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】

【0048】
以上の結果から明らかのように、実施例の容器にする事により内容物であるマヨネーズの転落速度が向上している事が分かる。従って、本発明により、油脂成分を含有した粘調な内容物の容器内側表面への粘着を抑制し、特に容器を傾斜や倒立させて使用する際の内容物の転落性が向上し、利便性も良くなり、使用終了時の残存量を少なくする事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】液体試料のサンプリング時間毎における移動距離の結果を示す。
【図2】内容物転落速度測定の結果を示す。
【図3】内容物転落速度と水中油の接触角の相関図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最内層がポリスチレン、スチレン系共重合体、ポリ環状オレフィン、環状オレフィン系共重合体及びメルトフローレートが10g/10min以上のポリオレフィンからなる群から選ばれた樹脂を含む多層構造容器に水中油型又は油中水型乳化物を収容した製品。
【請求項2】
前記乳化物が半固体状ドレッシングである請求項1記載の水中油型又は油中水型乳化物を収容した製品。
【請求項3】
前記乳化物の油分含量が15〜80重量%である請求項1又は2記載の水中油型又は油中水型乳化物を収容した製品。
【請求項4】
水中油型又は油中水型乳化物を収容するための多層構造容器であって、多層構造容器の最内層がポリスチレン、スチレン系共重合体、ポリ環状オレフィン、環状オレフィン系共重合体及びメルトフローレートが10g/10min以上のポリオレフィンからなる群から選ばれた樹脂を含む多層構造容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−284066(P2007−284066A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−109794(P2006−109794)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】