説明

水中複合体ケーブル及び方法

水中複合体ケーブルの実施形態は、非複合体の導電性コアケーブルと、複数の複合体ワイヤを含む、コアケーブルの周囲の複数の複合体ケーブルと、複合体ケーブルを包囲する絶縁シースと、を含む。他の実施形態は、導電性コアケーブルと、径方向の断面で見たときに、コアケーブルの中心長手方向軸を中心に画定される少なくとも1つの円筒状の層において、コアケーブルの周囲に配置される、流体移送、送電、電気信号伝送、光伝達、重し要素、浮力要素、充填剤要素、又は外装要素から選択される、複数の要素と、中心長手方向軸を中心に少なくとも1つの円筒状の層において、この要素を包囲する複数の複合体ワイヤと、複合体ワイヤを包囲する絶縁シースと、を含む。複合体ワイヤは、金属マトリックス又は高分子複合体ワイヤであってもよい。水中複合体ケーブルの作製及び使用方法もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願はその全体を参照として本明細書に援用する米国特許仮出願第61/226,056号、及び同第61/226,151号(両方とも2009年7月16日出願)の利益を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本開示は全般に、水中複合体ケーブル、並びにその製造及び使用方法に関連する。本開示は更に、水中供給ケーブル又はテザーとして有用な水中複合体ケーブルに関する。
【背景技術】
【0003】
海中ケーブルは、沖合油泉、ロボットの車両操作、海底送電、及び光ファイバーケーブルを含む、様々な海中用途に対して電力及び電気信号を送信するために多く使用される。水中での電力の伝送のためのケーブルは、例えば米国特許第4,345,112(Sugataら)及び米国特許出願公開第2007/0044992号(Bremnes)で既知である。かかる水中送電ケーブルは一般に、伝導性要素及び耐荷重性要素を含み、これらは一般に、ケーブルが海面又は海中において、船舶から敷設され、そこから回収されるときに、破壊することなく、巻き上げ機によるケーブルの引き出し及び巻き上げに十分に耐え得ることが必要とされる。より大きな作用高さが一般に必要とされるが、しかしながら、ケーブルの最大作用高さは、ケーブルがそれ自体の重量下で耐え得る最大荷重及び歪みによって概ね限定される。最大深さ及び電力移動能力はこのように、伝導性要素及び耐荷重性要素の材料特性によって限定される。
【0004】
水中送電ケーブルは通常、金属(例えば、鋼、銅、アルミニウム)伝導体ワイヤ及び/又は耐荷重性要素を使用して製造され、実質的な横断面を一般に有し、これによって金属及び特に銅の比重によって相当な追加重量を備えるケーブルを提供する。更に、銅ワイヤは一般に耐荷重能力に乏しいため、銅伝導体を組み込む水中送電ケーブルが使用され得る水深は多少制限される。米国特許出願公開第2007/0271897号(Hannaら)、同第2007/0237469号(Espen)、並びに米国特許出願公開第2006/0137880号、同第2007/0205009号、及び同第2007/0253778号(全てFigenschou)によって例示されるように、長距離及び深さにわたって(例えば長さ1,000メートル以上)水中にケーブルをうまく敷設するのに必要とされる、高い引張り強度及び破壊強度を達成するために様々なケーブルの設計が提案されてきた。一部の深海の用途に関して、非外装ケーブルは、例えがKEVLAR及び銅を使用して作製されている。それにもかかわらず、海面に配置された機器と、海底に、特に深海に配置された機器との間で大量の電力、流体、及び電流/電気信号を伝送することができる、軽量で、高い引張り強度の供給ケーブル又はテザーが引き続き求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
いくつかの用途では、水中送電ケーブルの構造、並びにそれらの製造及び使用方法を更に改善することが望ましい。特定の用途では、水中送電ケーブルの、例えばそれらの引張り強度及び破壊までの伸長などの、物理的特性を改善することが望ましい。他の用途では、水中送電ケーブルの信頼性を改善し、そのコストを低減することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このように、一態様では、本開示は、非複合体の導電性コアケーブルと、このコアケーブルの周囲の複数の複合体ケーブルであって、この複合体ケーブルは複数の複合体ワイヤを含む、複合体ケーブルと、複数の複合体ケーブルを包囲する絶縁シースと、を含む、水中複合体ケーブルを提供する。いくつかの代表的な実施形態では、水中複合体ケーブルは、第2の複数の複合体ワイヤを更に含み、第2の複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は、径方向の断面で見たときに、コアケーブルの中心長手方向軸の周囲に画定される少なくとも1つの円筒状の層において、複数の複合体ケーブルの周囲に配置される。特定の本好適実施形態では、水中複合体ケーブルは、少なくとも0.5%の破壊限度までの歪みを呈する。
【0007】
いくつかの代表的な実施形態では、水中複合体ケーブルは、流体移送要素、送電要素、電気信号伝送要素、光伝達要素、重し要素、浮力要素、充填剤要素、又は外装要素から選択される、少なくとも1つの要素を含む。特定の代表的な実施形態では、光伝達要素は、少なくとも1つの光ファイバーを含む。追加の代表的な実施形態では、外装要素は、コアケーブルを包囲する複数の繊維を含み、この繊維はポリ(アラミド)繊維、セラミック繊維、炭素繊維、金属繊維、ガラス繊維、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。更なる代表的な実施形態では、水中複合体ケーブルは、コアケーブルを包囲する複数のワイヤを含み、このワイヤは金属ワイヤ、金属マトリックス複合体ワイヤ、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0008】
他の代表的な実施形態では、コアケーブルは、少なくとも1つの金属ワイヤ、1つの金属荷重運搬要素、又はこれらの組み合わせを含む。更なる代表的な実施形態では、コアケーブルは複数の金属ワイヤを含む。追加の代表的な実施形態では、コアケーブルは撚られている。特定の具体的な代表的実施形態では、撚られたコアケーブルは螺旋状に撚られている。
【0009】
追加の代表的実施形態では、コアケーブルの周囲の複数の複合体ケーブルは、径方向の断面で見たときに、コアケーブルの中心長手方向軸を中心に画定される少なくとも2つの円筒状の層に配置される。特定の追加の代表的実施形態では、少なくとも1つの円筒状の層の少なくとも1つは、複合体ケーブルのみを含む。他の追加の代表的実施形態では、少なくとも2つの円筒状の層の少なくとも1つは、流体移送要素、送電要素、光伝達要素、重し要素、充填剤要素、又は外装要素からなる群から選択される、少なくとも1つの要素を更に含む。
【0010】
いくつかの特定の更なる代表的実施形態では、複合体ケーブルの少なくとも1つは、径方向の断面で見たときに、少なくとも1つの複合体ケーブルの中心長手方向軸を中心に撚られた複合体ワイヤの複数の円筒状の層を含む、撚り複合体ケーブルである。特定の代表的実施形態では、少なくとも1つの撚り複合体ケーブルは螺旋状に撚られている。他の代表的実施形態では、複合体ワイヤのそれぞれは、金属マトリックス複合体ワイヤ及び高分子複合体ワイヤからなる群から選択される。更なる代表的実施形態では、絶縁シースは、水中複合体ケーブルの外側表面を形成する。いくつかの代表的実施形態では、絶縁シースは、セラミック、ガラス、(コ)ポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む。
【0011】
他の態様では、本開示は、(a)非複合体の導電性コアケーブルを提供する工程と、(b)このコアケーブルの周囲に複数の複合体ケーブルを配置する工程であって、この複合体ケーブルは複数の複合体ワイヤを含む、工程と、(c)複数の複合体ケーブルを絶縁シースで包囲する工程と、を含む、上記の水中複合体ケーブルを作製する方法を提供する。
【0012】
追加の態様では、本開示は、導電性コアケーブルと、径方向の断面で見たときに、コアケーブルの中心長手方向軸を中心に画定される少なくとも1つの円筒状の層において、コアケーブルの周囲に配置される複数の要素であって、各要素は、流体移送要素、送電要素、電気信号伝送要素、光伝達要素、重し要素、浮力要素、充填剤要素、又は外装要素からなる群から選択される、要素と、コアケーブルの中心長手方向軸を中心に少なくとも1つの円筒状の層において、複数の要素を包囲する複数の複合体ワイヤと、複数の複合体ワイヤを包囲する絶縁シースとを含む、水中複合体ケーブルを提供する。いくつかの代表的実施形態では、複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は撚られて少なくとも1つの複合体ケーブルを形成する。
【0013】
特定の代表的実施形態では、外装要素は、コアケーブルを包囲する複数の繊維を含み、この繊維はポリ(アラミド)繊維、セラミック繊維、炭素繊維、金属繊維、ガラス繊維、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。他の代表的実施形態では、外装要素は、コアケーブルを包囲する複数のワイヤを含み、このワイヤは金属ワイヤ、金属マトリックス複合体ワイヤ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。追加の代表的実施形態では、水中複合体ケーブルは、第2絶縁シースを更に含み、この第2絶縁シースは、複数の要素と複数の複合体ワイヤとの間に配置され、第2絶縁シースは、複数の要素を包囲する。
【0014】
更に他の態様では、本開示は、(a)導電性コアケーブルを提供する工程と、(b)径方向の断面で見たときに、コアケーブルの中心長手方向軸を中心に画定される少なくとも1つの円筒状の層において、コアケーブルの周囲に複数の要素を配置する工程であって、各要素は、流体移送要素、送電要素、電気信号伝送要素、光伝達要素、重し要素、浮力要素、充填剤要素、又は外装要素からなる群から選択される、工程と、(c)この複数の要素を、コアケーブルの中心長手方向軸を中心に少なくとも1つの円筒状の層に配置された複数の複合体ワイヤで包囲する工程と、(d)複数の複合体ワイヤを絶縁シースで包囲する工程と、を含む、上記の水中複合体ケーブルを作製する方法を提供する。
【0015】
本開示による水中複合体ケーブルの代表的な実施形態は、その利用を可能にし、様々な用途に利点をもたらす、様々な機能及び性質を有し得る。本開示のいくつかの代表的な実施形態による水中複合体ケーブルは、低密度、高弾性、高強度、疲労耐性、及び伝導度を含む、改善された材料特性による改善された能力を呈し得る。したがって、本開示による代表的な水中複合体ケーブルは、既存の非複合体ケーブルと比較して、より大きな又は少なくとも同等の電力転送能力を備えながら、大いに増加した最大作用高さ、最大使用荷重、及び破壊強度を呈する。更に、本開示による水中複合体ケーブルの代表的な実施形態は、非複合体水中ケーブルと比べて、海水で重量がより軽く、したがって、より容易に海底に敷設され、海底から取り除かれ得る。水中複合体ケーブルの疲労耐性もまた、非複合体ケーブルと比べて改善され得る。
【0016】
本開示の例示的な実施形態の種々の態様及び利点の概要がまとめられてきた。上記の本開示の概要は、本発明の特定の代表的な実施形態の図示された各実施形態又は全ての実現形態を説明することを意図したものではない。図及び以下の詳細な説明は、本明細書に開示された原理を使用するいくつかの好ましい実施形態を更に具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本開示の代表的実施形態を添付の図面を参照して更に説明する。
【図1A】本開示の代表的な実施形態による代表的な水中複合体電力ケーブルの横断端面図。
【図1B】本開示の代表的な実施形態による代表的な水中複合体電力ケーブルの横断端面図。
【図1C】本開示の代表的な実施形態による代表的な水中複合体電力ケーブルの横断端面図。
【図2A】本開示の水中複合体電力ケーブルの代表的な実施形態を提供するのに有用な代表的な複合体ケーブルの横断端面図。
【図2B】本開示の水中複合体電力ケーブルの代表的な実施形態を提供するのに有用な代表的な複合体ケーブルの横断端面図。
【図2C】本開示の水中複合体電力ケーブルの代表的な実施形態を提供するのに有用な代表的な複合体ケーブルの横断端面図。
【図2D】本開示の水中複合体電力ケーブルの代表的な実施形態を提供するのに有用な代表的な複合体ケーブルの横断端面図。
【図3A】本開示の水中複合体電力ケーブルの代表的な実施形態の提供に有用な、螺旋状に撚られた複合体ワイヤの周囲に撚られた、複数の金属ワイヤを含む1つ以上の層を含む、様々な複合体ケーブルの横断端面図。
【図3B】本開示の水中複合体電力ケーブルの代表的な実施形態の提供に有用な、螺旋状に撚られた複合体ワイヤの周囲に撚られた、複数の金属ワイヤを含む1つ以上の層を含む、様々な複合体ケーブルの横断端面図。
【図3C】本開示の水中複合体電力ケーブルの代表的な実施形態の提供に有用な、螺旋状に撚られた複合体ワイヤの周囲に撚られた、複数の金属ワイヤを含む1つ以上の層を含む、様々な複合体ケーブルの横断端面図。
【図3D】本開示の水中複合体電力ケーブルの代表的な実施形態の提供に有用な、螺旋状に撚られた複合体ワイヤの周囲に撚られた、複数の金属ワイヤを含む1つ以上の層を含む、様々な複合体ケーブルの横断端面図。
【図3E】本開示の水中複合体電力ケーブルの代表的な実施形態の提供に有用な、螺旋状に撚られた複合体ワイヤの周囲に撚られた、複数の金属ワイヤを含む1つ以上の層を含む、様々な複合体ケーブルの横断端面図。
【図4A】本開示の水中複合体電力ケーブルの代表的な実施形態の提供に有用な、撚り複合体ワイヤコアの周囲に保持手段を含む、代表的な撚り複合体ケーブルの側面図。
【図4B】本開示の水中複合体電力ケーブルの代表的な実施形態の提供に有用な、撚り複合体ワイヤコアの周囲に様々な保持手段を含む、代表的な水中複合体ケーブルの横断端面図。
【図4C】本開示の水中複合体電力ケーブルの代表的な実施形態の提供に有用な、撚り複合体ワイヤコアの周囲に様々な保持手段を含む、代表的な水中複合体ケーブルの横断端面図。
【図4D】本開示の水中複合体電力ケーブルの代表的な実施形態の提供に有用な、撚り複合体ワイヤコアの周囲に様々な保持手段を含む、代表的な水中複合体ケーブルの横断端面図。
【図5】本開示の水中複合体電力ケーブルの代表的な実施形態の提供に有用な、撚り複合体ワイヤコアの周囲の保持手段と、撚り複合体ワイヤコアの周囲に撚られた複数の金属ワイヤを含む1つ以上の層と、を含む、代表的な撚り複合体ケーブルの横断端面図。
【図6A】本開示のいくつかの実施形態による、様々な代表的な外装要素を組み込む水中複合体電力ケーブルの代表的な実施形態の横断端面図。
【図6B】本開示のいくつかの実施形態による、様々な代表的な外装要素を組み込む水中複合体電力ケーブルの代表的な実施形態の横断端面図。
【図6C】本開示のいくつかの実施形態による、様々な代表的な外装要素を組み込む水中複合体電力ケーブルの代表的な実施形態の横断端面図。
【図7】銅又は鋼伝導体を使用して、対応する水中ケーブルに、本開示の複合体伝導体を使用する、代表的な水中複合体電力ケーブルの相対的強度、弾性率、導電率を比較する表。
【0018】
図中、同じ参照番号は、同様の要素を指す。本明細書に含まれる図は、縮尺図ではなく、これらの図中、複合体ケーブルの構成要素は、選択された特徴を強調するために採られたサイズである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
説明及び特許請求の範囲で特定の用語が使用されており、大部分は周知であるが、いくらか説明を必要とする場合がある。本明細書で使用されるとき、「ワイヤ」が「脆性」であると述べる場合は、そのワイヤがごくわずかな可塑性変形を伴い、引張り荷重下で破壊することを意味する。
【0020】
用語「ワイヤ」は一般に、延性金属ワイヤ、金属マトリックス複合体ワイヤ、ポリマーマトリックス複合体ワイヤ、光ファイバーワイヤ、及び流体移送のための中空管状ワイヤを含むように使用される。
【0021】
ワイヤの変形に関して使用されるとき、用語「延性」は、そのワイヤが曲げの最中に破壊又は破損することなく実質的に可塑性変形されることを意味する。
【0022】
ワイヤの変形に関して使用される用語「曲げ」又は「曲がる」には、二次元の曲げ、及び/又は、撚り中にワイヤを螺旋状に曲げることを含む三次元の曲げが含まれる。曲げ変形を有するワイヤを指す場合、これは、そのワイヤが引張り及び/又はねじり力によってもたらされた変形をも有する可能性を除外するものではない。
【0023】
「顕著な弾性曲げ」変形とは、ワイヤが、そのワイヤの半径の最高10,000倍までの曲率半径で曲げられたときに起こる曲げ変形を意味する。この顕著な弾性曲げ変形は、円形断面のワイヤに適用される場合、ワイヤの外側繊維における少なくとも0.01%の歪みを付与し得る。
【0024】
用語「複合体ワイヤ」は、一緒に束ねられた、組成物又は形態の異なる材料の組み合わせから形成されたワイヤであり、脆性又は非延性の性質を呈するものを指す。
【0025】
用語「非複合体の導電性コアケーブル」は、単一ワイヤ、若しくは複合体ワイヤではない複数のワイヤを含み得るケーブルを意味し、ワイヤは電流を伝導ことができ、テザー又は供給ケーブルの中心に形成される。
【0026】
用語「金属マトリックス複合体ワイヤ」は、1つ以上の延性金属相を含むマトリックスに束ねられた、1つ以上の強化材料を含む複合体ワイヤを指す。
【0027】
用語「ポリマーマトリックス複合体ワイヤ」は、1つ以上のポリマー相を含むマトリックスに束ねられた、1つ以上の強化材料を含む複合体ワイヤを指す。
【0028】
用語「セラミック」は、ガラス、結晶性セラミック、ガラスセラミック、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0029】
用語「多結晶性」とは、主に複数の結晶性グレインを有し、そのグレイン寸法が、そのグレインの存在する繊維の直径よりも小さいような、材料を意味する。
【0030】
用語「ケーブル化」及び「撚る」は、「ケーブル化された(される)」及び「撚られた(撚られる)」として交換可能な用語として使用される。
【0031】
用語「撚り」は、螺旋状に撚られたケーブルの撚り層にあるワイヤが、螺旋状に巻かれている状態を指す。
【0032】
用語「撚り方向」は、螺旋状に撚られた層におけるワイヤの撚られた方向を指す。螺旋状に撚られる層の撚り方向を判定するには、そのケーブルが観測者とは反対の方向を指した状態で、観測者が、その螺旋状に撚られたワイヤ層の表面を見る。ワイヤ撚りが、撚りが観測者から離れて進行するに従って、時計方向に回転するように見える場合、そのケーブルは「右旋撚り」を有すると記述される。ワイヤ撚りが観測者から離れるに従って反時計方向に回転するように見える場合、そのケーブルは「左旋撚り」を有すると記述される。
【0033】
用語「中心軸」及び「中心長手方向軸」は交換可能な用語として使用され、多層螺旋撚りケーブルの半径方向での中心に位置する、共通の長手方向軸を意味する。
【0034】
用語「撚り角度」は、螺旋状に撚られたケーブルの中心長手方向軸に対して、撚られたワイヤによって形成される角度を指す。
【0035】
用語「交差角度」は、螺旋状に撚られたワイヤケーブルの、隣接するワイヤ層の撚り角度間の相対的な(絶対的な)差を意味する。
【0036】
用語「撚り長さ」は、螺旋状に撚られたケーブルの中心長手方向軸を中心に、螺旋状に撚られたある層内のある単一ワイヤが、螺旋状に完全に1回転する間の、その撚りケーブルの長さを指す。
【0037】
用語「連続繊維」とは、平均繊維直径に比較して、相対的に無限である長さを有する繊維を意味する。これは典型的に、アスペクト比(すなわち、繊維の平均直径に対する繊維の長さの比)1×10以上(いくつかの実施形態においては、少なくとも1×10、又は更に少なくとも1×10)を有する繊維を意味する。典型的に、そのような繊維は約15cmから少なくとも数メートルの桁の長さを有し、更には数キロメートル以上の桁の長さをも有し得る。
【0038】
本開示は、水中複合体ケーブルに関連する。水中複合体ケーブルは、例えば、電力、動力、及び情報を海面から海中底部へと伝送させるため、及び底部内に収容される、遠隔的に操作される車両ケーブルのための水中テザー又は供給ケーブルとして、様々な用途で使用され得る。他の使用には、流体を沖合の油及びガス井へと、又はこれらから流体を伝送するための介在ケーブル及びライザーが挙げられる。更に他の使用は、湿潤環境(例えば湿地、熱帯雨林等)における地中又は架空送電ケーブルである。地中又は架空送電ケーブル及び用途の例は、同時係属の米国特許仮出願第61/226,151号、表題「INSULATED COMPOSITE POWER CABLE AND METHOD OF MAKING AND USING」(2009年7月16日出願)に記載される。
【0039】
複合体材料は改善された性能を提供し、より大きな深度及び増加した電力移動を可能にする。典型的に供給ケーブル又はテザーケーブルは、具体的な深度(例えば典型的に深度3,000m)用に設計されている。ケーブルは6,000m以上の深度まで延びるのが望ましい。ケーブルを破損せずに,3,000mの深度までケーブルを敷設する、又は延ばすことは、非常に難しい場合がある。軽量で、低歪みで高い耐荷重能力を提供するために、低密度で、より高い弾性率の複合体材料を提供することが望ましい。
【0040】
水中電力ケーブルにとって他の重要な検討事項は、海水中の単位長さ当たりのケーブルの重量である。ケーブルの重量及び強度は、ケーブルが、それ自体の重量下でその機械的負荷限界(すなわち破壊強度)を超えることなく敷設され得る又は延ばされ得る深度を決定する。更に、修理を実施するために海面にケーブルを上げることが必要である場合があり、これは必然的に大きな重量のケーブルを引き上げることが必要とし、強力な巻き上げ機及び大きな支援船の使用を必要とする可能性がある。水中ケーブルの疲労耐性もまた重要であり得る。供給ケーブルは、5年の寿命にわたって頻繁に巻き上げられ、一般的に、ケーブルが巻き上げられる度に一連の滑車を通過する。これは、全体のケーブル重量を支持するため、伸長が最大である滑車において、非常に高い引張り及び曲げ荷重を生じさせる。更なる動的曲げ荷重が、海面波によるプラットフォームの垂直及び水平の上下運動により生じる場合がある。複合体ケーブルはしたがって、水中の送電ケーブルの疲労耐性の改善を提供することができる。
【0041】
本開示の様々な代表的な実施形態を、特に図面を参照しながら説明する。本開示の代表的な実施形態は、開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正や変更が可能である。したがって、本開示の実施形態は以下に記述する代表的な実施形態に限定されず、請求項及びそれと同等の任意のものに定められた制限によって支配されるものと理解されたい。
【0042】
ここで図1Aを参照すると、一態様では、本開示は、水中複合体ケーブル20のコア11において非複合体耐荷重性導体ケーブル16と、コア11を中心に配置される複数の複合体ケーブル10であって、この複合体ケーブル10は複数の複合体ワイヤを含む、複合体ケーブル10と、複数の複合体ケーブル10を包囲する絶縁シース26と、を含む、水中複合体ケーブル20を提供する。
【0043】
図1Aによって図示されているいくつかの代表的な実施形態では、少なくとも2つの円筒状の層がコア11の周囲に形成され、第1の円筒状の層22は導電性非複合体ケーブル14の周囲に形成され、複数の複合体ケーブル10を含む第2の円筒状の層24は第1の円筒状の層22の周囲に形成される。図1Aにより図示されている特定の実施形態では、コア11は耐荷重性導体ケーブル16を含み、第1の円筒状の層22は任意に複数の導電性非複合体ケーブル14を含み、これは伝導体及び/又は耐荷重性要素、並びに他の任意の要素12であってもよく、これは流体移送要素、送電要素、電気信号伝送要素、光伝達要素、重し要素、浮力要素、充填剤要素、又は外装要素から選択され得る。図1Aにより図示されている具体的な代表的実施形態では、少なくとも2つの円筒状の層(22及び24)の少なくとも1つは(この場合では円筒状の層24)は、複数の複合体ケーブル10のみを含む。
【0044】
図1Aは、具体的なコア11を備える特定の実施形態、並びに複合体ケーブル10、任意の追加の導電性非複合体ケーブル14、及び/又はコアの周囲に少なくとも2つの円筒状の層のそれぞれを形成するのに使用される要素12の具体的な配置を図示しているが、他の配置を有する他の実施形態が可能であることは理解されるであろう。
【0045】
したがって、例えば、特に図1Bを参照し、本開示はまた、水中複合体ケーブル20’のコア11’’において、非複合体導電性マルチワイヤケーブル14と、コア11’’の周囲の複数の複合体ケーブル10であって、複合体ケーブル10は複数の複合体ワイヤを含む、複合体ケーブル10と、複数の複合体ケーブル10を包囲する絶縁シース26と、を含む、水中複合体ケーブル20’を提供する。図1Bによって図示されている特定の実施形態では、コア11’は導電性非複合体ケーブル14を含み、複数の複合体ケーブル10は、径方向の断面で見たときに、コア11’の中心長手方向軸の周囲に画定される、少なくとも2つの円筒状の層(第1の(内側)円筒状の層22’及び第2の(外側)の円筒状の層24’)においてコア’の周囲に対称に配置される。
【0046】
図1Bにより図示されている特定の実施形態では、少なくとも2つの円筒状の層22’及び24’のそれぞれは、追加的に他の任意の要素12を含み、これは、流体移送要素、送電要素、電気信号伝送要素、光伝達要素、重し要素、浮力要素、充填剤要素、又は外装要素から選択され得る。任意の要素のいずれかは、好ましくは、複合体強化要素、例えば金属マトリックス及び/又はポリマーマトリックス複合体ワイヤ、ロッド、チューブ、層等で強化された要素であってもよい。図1Bに示されるように、複数の複合体ケーブル10は、少なくとも2つの円筒状の層22’及び24’のいずれか1つ又は両方を完全に形成する必要はなく、複合体ケーブル10は、1つ以上の任意の非複合体導電性ケーブル14及び/又は任意の要素12を備えて、層に組み合わされてもよい。
【0047】
図1Cにより図示されている他の代表的な実施形態では、本開示はまた、水中複合体ケーブル20’’のコア11’’において、非複合体導電性単一ワイヤケーブル5と、コア11’’の周囲の複数の複合体ケーブル10であって、複合体ケーブル10は複数の複合体ワイヤを含む、複合体ケーブル10と、複数の複合体ケーブル10を包囲する絶縁シース26と、を含む、水中複合体ケーブル20’’を提供する。図1Cによって図示されている特定の実施形態では、コア11’’は非複合体導電性単一ワイヤケーブル5を含み、複数の複合体ケーブル10は、径方向の断面で見たときに、コア11’の中心長手方向軸の周囲に画定される、少なくとも2つの円筒状の層(第1の(内側)円筒状の層22’及び第2の(外側)の円筒状の層24’)においてコア11’の周囲に非対称に配置される。
【0048】
図1Cにより図示されている特定の実施形態では、少なくとも2つの円筒状の層22’’及び24’’のそれぞれは、追加的に他の任意の要素12を含み、これは、流体移送要素、送電要素、電気信号伝送要素、光伝達要素、重し要素、浮力要素、充填剤要素、又は外装要素から選択され得る。図1Cに示されるように、複数の複合体ケーブル10は、少なくとも2つの円筒状の層22’’及び24’’のいずれか1つ又は両方を完全に形成する必要はなく、複合体ケーブル10は、1つ以上の任意の非複合体導電性ケーブル14及び/又は任意の要素12を備えて、層に組み合わされてもよい。
【0049】
他の追加の代表的実施形態では、少なくとも2つの円筒状の層の少なくとも1つは、流体移送要素、送電要素、光伝達要素、重し要素、充填剤要素、又は外装要素からなる群から選択される、少なくとも1つの要素を更に含む。したがって、図1A〜1Cによって図示されているように、水中複合体ケーブルは、流体移送要素、送電要素、電気信号伝送要素、光伝達要素、重し要素、浮力要素、充填剤要素、又は外装要素から選択される、少なくとも1つの要素12を任意に含み得る。特定の代表的な実施形態では、光伝達要素は、少なくとも1つの光ファイバーを含む。更に、図1A〜1Cにより図示されている具体的な例示の実施形態において示されるように、コア(11、11’、又は11’’)は、非複合体導電性ケーブルを含み、これは単一の金属ワイヤケーブル5、マルチワイヤ金属ケーブル14、又は金属ワイヤ及び金属耐荷重性要素の組み合わせ16から選択されてもよい。
【0050】
更なる代表的な実施形態では、水中複合体ケーブルは、第2の複数の複合体ワイヤを更に含み、第2の複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は、径方向の断面で見たときに、コアケーブルの中心長手方向軸の周囲に画定される少なくとも1つの円筒状の層において、複数の複合体ケーブルの周囲に配置される。図1B〜1Cによって図示されているいくつかの代表的な実施形態において、第2の複数の複合体ワイヤは、1つ以上の追加の複合体ケーブル10の形体で提供されてもよい。図1Bによって図示されているいくつかの特定の実施形態では、第2の複数の複合体ワイヤは、コア11’を中心に対称に配置された複数の複合体ケーブル10及び第1の円筒状の層22’を含み、任意の非複合体導電性ケーブル14及び/又は任意の要素12を備えて、第2の円筒状の層24’を形成する。図1Cによって図示されている追加の特定の実施形態では、第2の複数の複合体ワイヤは、コア11’を中心に非対称に配置された複数の複合体ケーブル10及び第1の円筒状の層22’を含み、任意の比複合体導電性ケーブル14及び/又は任意の要素12を備えて、第2の円筒状の層24’’を形成する。
【0051】
更に、いくつかの代表的な実施形態では、本開示は、1つ以上の複合体ケーブル10を含む水中複合体ケーブル(例えば、20、20’、20’’)を含み、これは複数の撚り複合体ワイヤを含み、これは撚られてもよく、より好ましくは螺旋状に撚られてもよい。この複合体ワイヤは非延性であり得、よって、螺旋構造を維持しようとする従来のケーブル撚りプロセス中には、十分に変形されないことがある。よって、本開示は、いくつかの実施形態において、より高い引張り強度の撚り複合体ケーブルを提供し、更には、いくつかの実施形態において、撚りケーブルにおけるワイヤの螺旋構造を維持するための手段を提供する。このようにして、撚りケーブルは、中間物品又は最終物品として好都合に提供され得る。この撚り複合体ケーブルは、中間物品として使用される場合、送電ケーブル、例えば、水中送電ケーブル、又は流体の移送ケーブル(例えば介在ケーブル)として最終物品に後で組み込むことができる。
【0052】
このように、図2A〜2Dは、代表的な複合体ケーブル10の横断端面図を図示し、これは撚られてもよく、又はより好ましくは螺旋状に撚られたケーブルであってもよく、これは本開示のいくつかの非限定的な代表的実施形態により、水中複合体ケーブル(例えば、20、20’、20’’)の形成に使用されてもよい。図2A及び2Cに示す代表的な実施形態によって図示されるように、複合体ケーブル10は、中心長手方向軸を画定する単一複合体ワイヤ2と、第1撚り方向において単一複合体ワイヤ2の周囲に撚られ得る複数の第1複合体ワイヤ4を含む第1層と、第1撚り方向で複数の第1複合体ワイヤ4の周囲に撚られ得る複数の第2複合体ワイヤ6を含む、第2層と、を含み得る。
【0053】
所望により、図2Cに示されるように、複数の第3複合体ワイヤ8を含む第3層16が、第1撚り方向で、複数の第2複合体ワイヤ6の周囲に撚られて、複合体ケーブル10を形成し得る。所望により、複合体ワイヤの第4の層(図示せず)又は更に多くの追加層が、第1撚り方向で複数の複合体ワイヤ6の周囲に撚られて複合体ケーブルを形成してもよい。
【0054】
図2B及び2Dに示される他の代表的な実施形態では、複合体ケーブル10は、中心長手方向軸を画定する単一非複合体ワイヤ1(これは、例えば延性金属ワイヤであってもよい)と、第1撚り方向において単一非複合体ワイヤ1の周囲に撚られ得る複数の第1複合体ワイヤ4を含む第1層と、第1撚り方向で複数の第1複合体ワイヤ4の周囲に撚ら得る複数の第2複合体ワイヤ6を含む、第2層14と、を含み得る。
【0055】
所望により、図2Dに示されるように、複数の第3複合体ワイヤ8を含む第3層16が、第1撚り方向で、複数の第2複合体ワイヤ6の周囲に撚られて、複合体ケーブル10を形成し得る。所望により、複合体ワイヤの第4の層(図示せず)又は更に多くの追加層が、第1撚り方向において複数の複合体ワイヤ6の周囲に撚られて複合体ケーブルを形成してもよい。
【0056】
上記のとおり、いくつかの代表的な実施形態において、複合体ケーブル10は複数の複合体ワイヤを含む。いくつかの代表的な実施形態では、1つ以上の複合体ケーブル10が撚られてもよい。特定の代表的な実施形態では、コア(例、11、11’又は11’’)を含む導電性非複合体ケーブルは、別の方法で又は追加で撚られてもよい。特定の具体的な代表的実施形態では、撚りケーブルは、全体的に複合体であろうと、部分的に複合体であろうと、全体的に非複合体であろうと、螺旋状に撚られてもよい。好適な撚り方法、構造、及び材料は米国特許出願公開第2010/0038112号(Grether)に開示されている。
【0057】
水中複合体ケーブル(例えば20、20’、又は20’’)の形成に使用される、螺旋状に撚られた複合体ケーブル10に関する本開示の更なる代表的な実施形態では、複合体ワイヤ(例えば4、6、及び8)の2つ以上の撚られた層が、中心長手方向軸を画定する単一中心複合体ワイヤ2(図2A〜2C)又は非複合体ワイヤ1(図2B〜2D)を中心に螺旋状に巻き付けられてもよく、ただし、複合体ワイヤのそれぞれ後続層は、複合体ワイヤのそれぞれ直前層と同じ撚り方向で巻かれる。更に、各層(12、14及び16)について右旋撚りが使用されてもよいが、各層(12、14及び16)について、代わりに左旋を使用してもよいことが理解されるであろう。
【0058】
いくつかの代表的な実施形態(図2A〜2D)では、撚り複合体ケーブル10は、中心長手方向軸を画定する単一複合体ワイヤ2(図2A〜2C)又は非複合体ワイヤ1(図2B〜2D)と、中心長手方向軸9に対して画定される第1撚り角度で、第1撚り方向で第1撚り長さを有して、単一複合体ワイヤ2の周囲に撚られる、複数の第1複合体ワイヤ4と、中心長手方向軸に対して画定される第2撚り角度で、第1撚り方向で第2撚り長さを有し、複数の第1複合体ワイヤ4の周囲に撚られる、複数の第2複合体ワイヤ6と、を含む。
【0059】
追加の代表的な実施形態では、撚り複合体ケーブル10は所望により、中心長手方向軸に対して画定される第3撚り角度で、第1撚り方向で第3撚り長さを有し、複数の第2複合体ワイヤ6の周囲に撚られる複数の第3複合体ワイヤ8を更に含み、第2撚り角度と第3撚り角度との相対的な差は約4°以下である。
【0060】
更なる代表的な実施形態(図示なし)において、この撚りケーブルは、その共通の長手方向軸に対して画定される第1撚り角度で、第1撚り方向で複数の第3複合体ワイヤ8の周囲に撚られる複合体ワイヤの追加の(例えば後続の)層(例えば第4、第5、又はそれ以降の層の)を更に含んでもよく、各層の複合体ワイヤが特徴的な撚り長さを有し、第3撚り角度と第4又はそれ以降の撚り角度との相対的な差は、約4°以下である。撚り複合体ワイヤの4層又はそれ以上の層が採用されている実施形態では、好ましくは、直径0.5mm以下の複合体ワイヤが利用される。
【0061】
いくつかの代表的な実施形態において、第1撚り角度と第2撚り角度との間の相対的な(絶対的な)差は、0°より大きく、約4°以下である。特定の代表的な実施形態において、1つ以上の第1撚り角度と第2撚り角度、第2撚り角度と第3撚り角度との間の相対的な(絶対的な)差は、4°以下、3°以下、2°以下、1°以下、又は0.5°である。特定の代表的な実施形態において、1つ以上の第1撚り角度は、第2撚り角度に等しく、第2撚り角度は第3撚り角度に等しく、及び/又は各後続撚り角度は直前の撚り角度に等しい。
【0062】
更なる実施形態において、1つ以上の第1撚り長さは第2撚り長さ以下であり、第2撚り長さは第3撚り長さ以下であり、第4撚り長さはすぐ後続の撚り長さ以下であり、及び/又は各後続撚り長さは直前の撚り長さ以下である。他の実施形態において、1つ以上の第1撚り長さは第2撚り長さに等しく、第2撚り長さは第3撚り長さに等しく、及び/又は各後続撚り長さは直前の撚り長さに等しい。いくつかの実施形態において、当該技術分野において既知のように、平行撚りを使用することが好ましいことがある。
【0063】
更なる代表的な実施形態では、複合体ケーブルは複数の金属ワイヤを更に含み得る。複数の金属ワイヤ(例えば、28、28’、28’’)を含む様々な代表的な撚り複合体ケーブル(例えば10’、10’’)が、図3A〜3Eにおいて横断端面図によって図示されている。図3A〜3Eの例示した実施形態それぞれにおいて、複合体ワイヤ(4、6、及び8)は、中心長手方向軸を画定する単一中心複合体コアワイヤ2の周囲に、好ましくは複合体ワイヤ(4、6、及び8)のそれぞれ対応する層と同じ撚り方向(図示せず)で撚られる。そのような撚り方向は時計方向(右旋撚り)又は反時計方向(左旋撚り)であってもよい。撚り複合体ケーブル10は、先に示したように(図1A〜1C)、例えば水中複合体テザー、水中複合体供給ケーブル、介在ケーブル等の最終的な水中複合体ケーブル(例えば、図1A〜1Cに先に示した20、20’、20’’)に後で組み込まれる中間体物品として使用されてもよい。
【0064】
図3A〜3Eは、撚り複合体ケーブル(例えば10’及び10’’)の代表的な実施形態を図示し、ここでは延性ワイヤ(例えば28、28’、28’’)、例えば延性金属伝導体ワイヤの1つ以上の追加層が撚られ、より好ましくは図2Aの代表的な複合体ケーブル10の周囲に螺旋状に撚られている。しかしながら、本開示はこれらの代表的な実施形態に限定されるものではなく、他の複合体ケーブルコア(例えば、図2B、2C及び2D等の複合体ケーブル10)を用いた他の実施形態も、本開示の範囲内であることが理解されよう。
【0065】
したがって、図3Aによって図示された特定の実施形態において、撚り複合体ケーブル10’は、図2Aに示す、撚り複合体コアケーブル10の周囲に撚られた複数の第1延性ワイヤ28を含む。図3Bに図示される追加の実施形態において、撚り複合体ケーブル10’は、図4Aの撚り複合体ケーブル10の複数の第1延性ワイヤ28の周囲に撚られた、複数の第2延性ワイヤ28’を含む。図4Cに図示される更なる実施形態において、撚り複合体ケーブル10’は、図2Aの撚り複合体ケーブル10の、複数の第2延性ワイヤ28’の周囲に撚られた、複数の第3延性ワイヤ28’’を含む。
【0066】
図3A〜3Cによって図示される特定の実施形態において、対応する撚りケーブル10’は、図2Aの撚り複合体ケーブル10を含むコアを有し、これは中心長手方向軸を画定する単一ワイヤ2と、第1撚り方向で単一複合体ワイヤ2の周囲に撚られる複数の第1複合体ワイヤ4を含む第1層と、第1撚り方向で複数の第1複合体ワイヤ4の周囲に撚られる複数の第2複合体ワイヤ6を含む第2層と、を含む。特定の代表的な実施例において、複数の第1延性ワイヤ28は、隣接する放射状層(例えば、複数の第2複合体ワイヤ6を含む第2層)とは逆の撚り方向で撚られる。
【0067】
他の代表的な実施例において、複数の第1延性ワイヤ28は、隣接する放射状層(例えば、複数の第2複合体ワイヤ6を含む第2層)と同じ撚り方向で撚られる。更なる代表的な実施形態において、複数の第1延性ワイヤ28、複数の第2延性ワイヤ28’、又は複数の第3延性ワイヤ28’’の少なくとも1つは、隣接する放射状層(例えば複数の第2複合体ワイヤ6を含む第2層)とは逆の撚り方向で撚られる。
【0068】
更なる代表的な実施形態において、各延性ワイヤ(28、28’、又は28’’)は、中心長手方向軸に対して実質的に垂直の方向に、円形、楕円形、又は台形から選択される断面形状を有する。図3A〜3Cは、各延性ワイヤ(28、28’、又は28’’)が、中心長手方向軸に対して実質的に垂直の方向に、実質的に円形の断面形状を有する実施形態を示す。図3Dに示された特定の実施形態において、撚り複合体ケーブル10’’は、図2Aに示す撚られた複合体コアケーブル10の周囲に撚られる、複数の第1のほぼ台形形状の延性ワイヤ28を含む。図3Eに図示される更なる実施形態において、撚り複合体ケーブル10’’は更に、図2Aの撚り複合体ケーブル10の周囲に撚られた、複数の第2のほぼ台形形状の延性ワイヤ28’を含む。
【0069】
更なる代表的な実施形態において、これら延性ワイヤ(28、28’、又は28’’)の一部又は全ては、中心長手方向軸に対して実質的に垂直の方向に、「Z」又は「S」形(図示なし)の断面形状を有し得る。そのような形状のワイヤは当該技術分野において既知であり、例えば、相互に連結するケーブル外層を形成するのに望ましいことがある。
【0070】
追加の実施形態において、延性ワイヤ(28、28’、又は28’’)は、銅、アルミニウム、鉄、亜鉛、コバルト、ニッケル、クロム、チタン、タングステン、バナジウム、ジルコニウム、マンガン、ケイ素、これらの合金、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む。
【0071】
図3A〜3Eは、中心長手方向軸を画定する単一の中心複合体コアワイヤ2を示しているが、図2B及び2Dに先に図示されるように、単一の中心複合体コアワイヤ2は別の方法として延性金属ワイヤ1であり得ることも、併せて理解される。更に、複合体ワイヤの各層はある撚り長さを呈し、複合体ワイヤの各層の撚り長さは異なっていてよく、又は好ましくは、同じ撚り長さであり得ることが理解される。
【0072】
更に、いくつかの代表的な実施形態において、各複合体ワイヤは、中心長手方向軸に対して実質的に垂直の方向に、全般に円形、楕円形、又は台形の断面形状を有する。特定の代表的な実施形態において、複合体ワイヤはそれぞれ、全般に円形の断面形状を有し、各複合体ワイヤの直径は約0.1mm以上であり、より好ましくは0.5mm以上であり、更により好ましくは1mm以上であり、更により好ましくは2mm以上であり、最も好ましくは3mm以上であり、かつ、約15mm以下であり、より好ましくは10mm以下であり、更により好ましくは5mm以下であり、更により好ましくは4mm以下であり、最も好ましくは3mm以下である。他の代表的な実施形態において、各複合体ワイヤの直径は1mm未満、又は5mmを超え得る。
【0073】
典型的に、全般に円形の断面形状を有する単独中心ワイヤの平均直径は、約0.1mm〜約15mmの範囲である。いくつかの実施形態において、単独中心ワイヤの平均直径は望ましくは約0.1mm以上、0.5mm以上、1mm以上、2mm以上、3mm以上、4mm以上、又は最高約5mmである。他の実施形態において、単独中心ワイヤの平均直径は約0.5mm未満、約1mm未満、約3mm未満、約5mm未満、約10mm未満、又は約15mm未満である。
【0074】
図3A〜3Eに図示されていない追加の代表的な実施形態において、撚り複合体ケーブルは、中心長手方向軸を画定する単一ワイヤの周囲に、3つを超える複合体ワイヤの撚られた層を含み得る。特定の代表的な実施形態において、複合体ケーブルの各層における各複合体ワイヤは、同じ構造及び形状であり得るが、これは、本明細書に記述される利点を達成するのに必須ではない。
【0075】
更なる態様において、本開示は、複合体コアと、その複合体コアの周囲の導体層とを含む、撚り送電ケーブルの様々な実施形態を提供し、この複合体コアは、上述の任意の撚り複合体ケーブルを含み得る。いくつかの実施形態において、この送電ケーブルは、水中送電ケーブルであり得る。特定の代表的な実施形態において、この導体層は、複合体ケーブルコアの実質的に全表面に接触する金属層を含む。他の代表的な実施形態において、この導体層は、複合体ケーブルコアの周囲に撚られた複数の延性金属伝導体ワイヤを含む。
【0076】
複数の複合体ワイヤを(例えば2、4、6)を、及び所望により延性金属ワイヤ(例えば、28、28’、28’’)を含む標準的な複合体ケーブルに関して、そのいくつかの実施形態において、撚り中又は撚り後に、例えばテープの上巻き(接着剤の有無を問わず)又は結合剤(例えば米国特許第6,559,385(B1)号(Johnsonら)を参照)などの保持手段を用いて、複合体ワイヤ(例えば、少なくとも、図4A〜4Dの第2層14における複数の第2複合体ワイヤ6)を一緒に保持することが望ましい。図4A〜4D、及び図5は、撚った後に複合体ワイヤを一緒に保持するため、テープ18の形状の保持手段を使用している様々な実施形態を図示する。
【0077】
図4Aは、代表的な、保持手段を用いた撚り複合体ケーブル10’’’の側面図であり、代表的な保持手段は、図1Aの撚られた複合体コアケーブル10に部分的に適用されたテープ18を含み、テープ18は、複合体ワイヤ(2、4、6)(複合体ワイヤ6の外側層のみが図4Aに示されているが)の周囲に巻き付けられている。図1Aの代表的な撚り複合体ケーブル10が、説明目的で図4A〜4Dに示されているが、本開示の任意の撚り複合体ケーブル(例えば、図2B〜2Dの撚り複合体ケーブル10、図3A〜3Cの撚り複合体ケーブル10’、図3A〜3Cの撚り複合体ケーブル10’’等)が、本明細書に記載される説明のいずれかの実施形態において、特に図に示されているこれらの実施形態において、図1Aの代表的な撚り複合体ケーブル10と置き換えられてもよいということが理解される。
【0078】
図4Bに示すように、テープ18は、接着層32備える支持体27を含み得る。別の方法としては、図4Cに示すように、テープ18は、接着剤なしで、支持体27のみを含み得る。特定の実施形態では、テープ18は複合体ワイヤを包囲する電気絶縁シースとして機能することができる。
【0079】
特定の代表的な実施形態において、テープ18は、図4Aに示すように、各後続の巻きを、隙間なくかつ重なりなしに、前の巻きに境を接するように巻き付けることができる。別の方法としては、いくつかの実施形態において、後続の巻きは、各巻きの間に隙間を残すような間隔があるように、あるいは前の巻きに重なるように、離間することができる。1つの好ましい実施形態において、テープ18は、各巻きが、前の巻きに対して、テープ幅の約1/3〜1/2重なるように巻き付けられる。特定の本好適実施形態では、テープ18の巻き付けは、複合体コアケーブル10の外面の部分のみを被覆する。好ましくは、複合体コアケーブル10の外面の最大でも90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、又は更には25%がテープ18によって被覆される。
【0080】
図4Bは、保持手段が、接着剤32を備える支持体27を含むテープ18である、図4Aの撚りケーブルの端面図である。この代表的な実施形態において、好適な接着剤には例えば、(メタ)アクリレート(コ)ポリマー系接着剤、ポリ(α−オレフィン)接着剤、ブロックコポリマー系接着剤、天然ゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、及びホットメルト接着剤が挙げられる。感圧性接着剤は、特定の実施形態において好ましいことがある。
【0081】
更なる代表的な実施形態において、テープ18が弾性曲げ変形を維持するのに十分強く、かつその包まれた構成をそれ自体だけで保持することができる、又は必要に応じて十分に拘束されるという条件で、テープ18又は支持体27の好適な材料には、金属ホイル(特にアルミニウム)、ポリエステル、ポリイミド、及びガラス強化支持体が挙げられる。1つの特に好ましい支持体20はアルミニウムである。そのような支持体は、好ましくは厚さが0.002〜0.005インチ(0.05〜0.13mm)であり、幅は撚り複合体ケーブル10の直径に基づいて選択される。例えば、2層の撚り複合体ワイヤを有し(例えば4Aに示すもの)、直径約0.5インチ(1.3cm)を有する、撚られた複合体コアケーブル10については、幅1.0インチ(2.5cm)を有するアルミニウムテープが好ましい。
【0082】
現在好ましい市販のテープには、次の金属ホイルテープが挙げられる(3M Company(St.Paul,MN)から入手可能):テープ438、厚さ0.005インチ(0.13mm)アルミ支持体、アクリル接着剤付き、合計テープ厚さ0.0072インチ(0.18mm);テープ431、厚さ0.0019インチ(0.05mm)アルミニウム支持体、アクリル接着剤付き、合計テープ厚さ0.0031インチ(0.08mm);及びテープ433、厚さ0.002インチ(0.05mm)アルミニウム支持体、シリコーン接着剤付き、合計テープ厚さ0.0036インチ(0.09mm)。好適な金属ホイル/ガラスクロステープは、実施例に記述されているように、テープ363(3M Company(St.Paul,MN)から入手可能)である。好適なポリエステル支持体テープには、厚さ0.001インチ(0.03mm)のポリエステル支持体、シリコーン系接着剤、及び合計テープ厚さ0.0018インチ(0.03mm)の、ポリエステルテープ8402(3M Company(St.Paul,MN)から入手可能)が挙げられる。
【0083】
図4Cは、テープ18が接着剤のない支持体27を含む、図4Aの撚られたケーブルの端面図である。テープ18が接着剤なしの支持体27であるとき、支持体27の好適な材料には、接着剤付きの使用において上述したもののうち任意のものが含まれ、好適な支持体は、厚さが0.002〜0.005インチ(0.05〜0.13mm)、幅1.0インチ(2.54cm)を有するアルミニウム支持体である。
【0084】
接着剤32の有無を問わず、テープ18を保持手段として使用する場合、テープは、当該技術分野において既知であるような従来型のテープ巻き装置で、撚りケーブルに適用することができる。好適なテープ巻き装置には、例えばモデル番号CT−300同心テーピングヘッドなどの、Watson Machine,International(Patterson,New Jersey)から入手可能なものが挙げられる。テープ上巻きステーションは一般に、ケーブル撚り装置の出口に配置され、ケーブル10が巻き取りスプール上に巻かれる前に、螺旋状に撚られた複合体ワイヤに適用される。テープ18は、弾性変形された複合体ワイヤの撚り配置を保持できるよう選択される。
【0085】
図4Dは、複合体ワイヤ(2、4、6)をその撚り配置に保持するよう、図2Aの撚り複合体コアケーブル10に適用される結合剤34の形体での保持手段を用いた、撚り複合体ケーブル10’’’の別の代表的な実施形態を図示する。好適な結合剤34には、6〜20個の炭素原子を含むモノマーと、米国特許第5,112,882号(Babuら)に記述されているような光架橋剤と、から誘導された、1つ以上のポリ(α−オレフィン)ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、及びテトラポリマーが挙げられる。これらの材料の放射線硬化は、剥離及び剪断接着特性の有利なバランスを有する接着フィルムを提供する。
【0086】
別の方法としては、結合剤34は熱硬化性材料を含み得、これにはエポキシが含まれるがこれに限定されない。いくつかの結合剤について、上述のように、ワイヤがケーブル化装置から出る際に、撚り複合体コアケーブル10上に結合剤34を押し出すか又は別の方法でコーティングすることが好ましい。別の方法としては、結合剤34は、転写テープとして供給される接着剤の形態で適用することができる。この場合、結合剤34は転写又は剥離シート(図示なし)に適用される。この剥離シートで、撚り複合体コアケーブル10の複合体ワイヤの周囲が包まれる。次に支持体を除去すると、接着剤層が結合剤34として残る。更なる実施形態において、接着剤32又は結合剤34は所望により、それぞれ個々の複合体ワイヤ周囲に、又は、複合体ワイヤと非複合体ワイヤの任意の好適な層の間に適用されることが望ましい場合がある。
【0087】
更に、図5によって図示されている特定の実施形態では、撚り複合体ケーブル10’’は、複数の第1延性ワイヤ28と、図4Cによって図示される、テープが巻き付けられた複合体コアケーブル10’’’の周囲に撚られた複数の第2延性ワイヤ28’’と、複数の第1延性ワイヤ28の周囲に撚られた複数の第2延性ワイヤ28’と、を含む。テープ18は、図2Aに示される複合体コアの周囲に支持体27を巻きつけることによって形成され、これは、中心長手方向軸を画定する単一複合体ワイヤ2と、第1撚り方向において単一の複合体ワイヤ2の周囲に撚られ得る複数の第1複合体ワイヤ4を含む第1層と、第1撚り方向で複数の第1複合体ワイヤ4の周囲に撚ら得る、複数の第2複合体ワイヤ6を含む第2層と、を含む。
【0088】
1つの本好適実施形態において、保持手段は、撚り複合体コアケーブル10’’’の合計直径に著しい増加をもたらさない。好ましくは、保持手段を含む撚り複合体ケーブルの外径は、保持手段を除外した複数の撚り複合体ワイヤ(2、4、6、8等)の外径の110%以下であり、より好ましくは105%以下であり、最も好ましくは102%以下である。
【0089】
複合体ワイヤには、従来型のケーブル化装置で撚られているときに、顕著な量の弾性曲げ変形が行われることが認識されよう。ワイヤの螺旋構成を保持するための保持手段が存在しない場合、この顕著な弾性曲げ変形によって、ワイヤの撚りをほどく、又は曲げ形状を元に戻すような作用が生じ得る。よって、いくつかの実施形態において、保持手段は、複数の撚り複合体ワイヤ(図2Aの2、4、6)の顕著な弾性曲げ変形を保持するよう選択される。
【0090】
更に、撚り複合体ケーブル10’’(又は10’、10’’’等)の目的用途によっては、特定の保持手段がその用途に、より好適であることが示唆され得る。例えば、撚り複合体ケーブル10’’が水中複合体テザー又は供給ケーブルにおいて送電に使用される場合は、この用途で曝され得る温度、深度、及びその他の条件で、この送電が悪影響を受けないように、結合剤24、又は接着剤22を使用しないテープ18のいずれかを選択すべきである。接着テープ18が保持手段として使用されるとき、接着剤32と支持体27との両方が、この目的用途に好適となるよう選択されるべきである。
【0091】
特定の代表的な実施形態において、撚り複合体ワイヤ(例えば図2Aの2、4、6)はそれぞれ、後に詳しく述べるように、マトリックス内に複数の連続繊維を含む。ワイヤは複合体であるため、延性金属ワイヤでは可能であるようなケーブル化又は撚り操作中の可塑性変形を一般に受け入れない。例えば、延性ワイヤを含む先行技術の構成において、従来のケーブル化プロセスは、複合体ワイヤを螺旋形状に恒久的かつ可塑的に変形させるよう実行することができる。本開示は、従来の非複合体ワイヤに比べ、優れた望ましい特性を提供できる、複合体ワイヤの使用を可能にする。この保持手段により、この撚り複合体ケーブルを後続の最終物品に、例えば水中複合体テザー又は供給ケーブルに組み込まれるときに、便利に取り扱うことが可能になる。
【0092】
図6A〜6Cに図示される追加の態様では、本開示は、コアケーブル(11、11’、11’’)(例えば、導電性コアケーブル、光ファイバーケーブル、構造的要素、及び/又は流体運搬要素若しくはチューブ)と、径方向の断面で見たときに、コアケーブルの中心長手方向軸の周囲に画定される少なくとも1つの円筒状の層(例えば、図6A〜6Bに関してそれぞれ22’’、22’’’、22’’’’)においてコア要素(図6A〜6Bに関してそれぞれ11、11’、11’’)の周囲に配置される複数の要素12と、導電性コアケーブル(11、11’、11’’)の中心長手方向軸の周囲に、少なくとも1つの円筒状の層(例えば、図6Aの24’’’;図6B〜6Cの24)において複数の要素12を包囲する複数の複合体ワイヤ(これは1つ以上の複合体ケーブル10の形体であってもよい)と、シース26であって、これは複数の複合体ワイヤを包囲する絶縁性シースであってもよい、シース26と、を含む、水中複合体ケーブル30を提供する。各要素12は好ましくは、流体移送要素、送電要素、電気信号伝送要素、光伝達要素、重し要素、浮力要素、充填剤要素、又は外装要素からなる群から選択される。
【0093】
いくつかの代表的な実施形態では、シース26は望ましい特徴を有してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、シース26は絶縁性であってもよい(すなわち、電気的に絶縁性であり及び/又は熱的若しくは音響的に絶縁性)。特定の代表的な実施形態では、シース26は、下層のコアケーブル(11、11’、11’’)、複数の要素12、及び任意の複数の導電性非複合体ケーブル14に対する保護機能を提供する。保護機能は、例えば、改善された耐穿刺性、改善された耐食性、高温若しくは低温に対する改善された耐性、改善された摩擦抵抗等であってもよい。
【0094】
好ましくは、シース26は、熱可塑性高分子材料、より好ましくは、高密度ポリオレフィン(例えば、高密度ポリエチレン)、中密度ポリオレフィン(例えば、中密度ポリエチレン)、及び/又は熱可塑性フルオロポリマーを含む。好適なフルオロポリマーには、フッ化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、テトラフルオロエチレンポリマー(TFV)が挙げられる。特に好適なフルオロポリマーは、商標DYNEON THV FLUOROPLASTICS、DYNEON ETFE FLUOROPLASTICS、DYNEON FEP FLUOROPLASTICS、DYNEON PFA FLUOROPLASTICS、及びDYNEON PVDF FLUOROPLASTICSで販売されているものである(全て3M Company(St.Paul,MN)から入手可能)。
【0095】
いくつかの代表的な実施形態では、シース26は、外装要素を更に含み、これは好ましくは強度要素としても機能する。図6A〜6Bに示される他の代表的な本好適実施形態では、外装及び/又は強度要素39は、コアケーブルを包囲し、円筒状の層38に配置されている複数のワイヤ37を含む(図6A〜6B)。好ましくは、ワイヤ37は、金属(例えば鋼)ワイヤ、金属マトリックス複合体ワイヤ、ポリマーマトリックス複合体ワイヤ、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0096】
図6A〜6Bに示されるいくつかの代表的な実施形態では、水中複合体ケーブル30は、外装、すなわち強化層(例えば32、36)を更に含み得る。特定の代表的な実施形態では、外装層は、少なくともコアケーブル(11、11’’)を包囲する1つ以上の円筒状の層(例えば32、36)を含む。図6A〜6Bに示されるいつかの代表的な実施形態では、外装、すなわち強化層(32、36)は水中複合体ケーブル30内に半径方向に形成されるテープ又は布地層(例えば、32、36)の形体をとってもよく、好ましくは、少なくともコアケーブル(11、11’’)及び複数の複合体ワイヤ、並びにより好ましくは、図6A〜6Bに図示されるように、要素12及び任意の導電性非複合体ケーブル14を包囲するか、又はこれらの周囲に巻き付けられる、複数の繊維を含む。好ましくは、繊維はポリ(アラミド)繊維、セラミック繊維、ホウ素繊維、炭素繊維、金属繊維、ガラス繊維、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0097】
特定の実施形態では、外装、すなわち強化層(32、36)及び/又はシース26は、導電性複合体若しくは非複合体ケーブルの絶縁性要素として機能し得る。かかる実施形態では、外装、すなわち強化層(32、36)及び/又はシース26は、好ましくは、上記のとおり絶縁性材料、より好ましくは絶縁性高分子材料を含む。
【0098】
図6A〜6Cによって図示される特定の代表的な実施形態では、コア(11、11’、11’’)を含む撚り複合体ケーブル及び/又は導電性非複合体ケーブルは、少なくとも1つの、好ましくは複数の延性金属ワイヤを含む。追加の代表的な実施形態では、複数の金属ワイヤのそれぞれは、径方向の断面で見たときに、円形、楕円形、台形、S字形、及びZ字形からなる群から選択される断面形状を有する。特定の代表的な現好適実施形態では、複数の金属ワイヤの少なくとも一部分は、流体を移送するのに有用な中空ワイヤ又はチューブを含んでもよい。
【0099】
いくつかの具体的な代表的実施形態では、複数の金属ワイヤは、鉄、鋼、ジルコニウム、銅、スズ、カドミウム、アルミニウム、マンガン、亜鉛、コバルト、ニッケル、クロム、チタン、タングステン、バナジウム、これら相互の合金、他の金属とのこれらの合金、シリコンとのこれらの合金、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1つの金属を含む。
【0100】
いくつかの具体的な追加の代表的実施形態では、水中電力ケーブル30内の複合体ケーブル10内の複合体ケーブル10の少なくとも1つは、径方向の断面で見たときに、少なくとも1つの複合体ケーブルの中心長手方向軸を中心に撚られた複合体ワイヤの複数の円筒状の層を含む、撚り複合体ケーブルである。特定の代表的実施形態では、少なくとも1つの撚り複合体ケーブルは螺旋状に撚られている。特定の具体的な代表的実施形態では、各円筒状の層は、それぞれ隣接する円筒状の層の撚り方向と同じ撚り方向で撚られている。特定の本好適実施形態では、それぞれ隣接する円筒状の層の撚り角度間の相対的な差は、3°以下である。
【0101】
追加の代表的な実施形態では、複数の導電性非複合体ケーブル14は、伝導体及び/又は耐荷重性軸受要素であってもよく、1つ以上の円筒状の層に含まれ得る。更に、本開示の水中複合体ケーブル30の任意の実施形態において、複数の要素12、及び任意の複数の導電性非複合体ケーブル14は、水中複合体ケーブル30の中心長手方向軸を中心に撚られた様々な放射状の層を形成し得るということが理解されるであろう(図6A〜6Cを参照)。好ましくは、それぞれ撚られた放射状の層はケーブルの中心長手方向軸を中心に螺旋状に撚られている。
【0102】
更なる代表的な実施形態では、複合体ワイヤは、円形、楕円形、及び台形からなる群から選択される断面形状を有する。いくつかの代表的な実施形態では、複合体ワイヤのそれぞれは、繊維強化複合体ワイヤである。特定の代表的な実施形態では、繊維強化複合体ワイヤのうち少なくとも1つは、繊維トウ又は単繊維のうちの1つで強化される。他の代表的実施形態では、複合体ワイヤのそれぞれは、金属マトリックス複合体ワイヤ及び高分子複合体ワイヤからなる群から選択される。更なる代表的な実施形態において、複合体ワイヤのいくつかは、金属マトリックス複合体ワイヤ及びポリマーマトリックス複合体ワイヤであるように選択される。特定の他の代表的な実施形態では、高分子複合体ワイヤは、ポリマーマトリックス内に少なくとも1つの連続繊維を含む。いくつかの代表的な実施形態において、少なくとも1本の連続繊維は、金属、炭素、セラミック、ガラス、又はこれらの組み合わせを含む。
【0103】
いくつかの代表的な実施形態では、少なくとも1つの連続繊維は、チタン、タングステン、ホウ素、形状記憶合金、炭素、カーボンナノチューブ、グラファイト、炭化ケイ素、ポリ(アラミド)、ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)、又はこれらの組み合わせを含む。特定の代表的な実施形態では、ポリマーマトリックスは、エポキシ、エステル、ビニルエステル、ポリイミド、ポリエステル、シアン酸エステル、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリエチルエチルケトン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される(コ)ポリマーを含む。
【0104】
他の代表的な実施形態では、金属マトリックス複合体ワイヤは、金属マトリックス内に少なくとも1つの連続繊維を含む。いくつかの代表的な実施形態では、少なくとも1つの連続繊維は、セラミック、ガラス、カーボンナノチューブ、炭素、炭化ケイ素、ホウ素、鉄、鋼、鉄合金、タングステン、チタン、形状記憶合金、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む。特定の代表的な実施形態では、金属マトリックスは、アルミニウム、亜鉛、スズ、マグネシウム、これらの合金、又はこれらの組み合わせを含む。特定の本好適実施形態では、金属マトリックスはアルミニウムを含み、少なくとも1つの連続繊維はセラミック繊維を含む。好適なセラミック繊維は、商標NEXTELセラミック繊維(3M Company(St.Paul.MN))として入手可能であり、例えばNEXTEL 312セラミック繊維を含む。いくつかの特定の本好適実施形態では、セラミック繊維は多結晶性α−Alを含む。
【0105】
更なる代表的実施形態では、絶縁シースは、水中複合体ケーブルの外側表面を形成する。いくつかの代表的実施形態では、絶縁シースは、セラミック、ガラス、(コ)ポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む。
【0106】
本開示は任意の好適な複合体ワイヤと共に実施することができるが、特定の代表的な実施形態において、複合体ワイヤのそれぞれが、マトリックス中に少なくとも1つの連続繊維トウ、又は連続単繊維を含む、繊維強化複合体ワイヤとなるよう選択される。
【0107】
複合体ワイヤの好ましい実施形態は、マトリックス中に複数の連続繊維を含む。本好適繊維は、多結晶性α−Alを含む。これらの、複合体ワイヤの好ましい実施形態は、好ましくは、0.4%以上の破壊引張り歪み、より好ましくは0.7%以上の破壊引張り歪みを有する。いくつかの実施形態において、金属マトリックス複合体コア内の繊維の数の85%以上(実施形態によっては、90%以上、又は更には95%以上)が連続している。
【0108】
本開示に使用し得る他の複合体ワイヤには、ガラス/エポキシワイヤ、炭化ケイ素/アルミニウム複合体ワイヤ、炭素/アルミニウム複合体ワイヤ、炭素/エポキシ複合体ワイヤ、炭素/ポリエチルエチルケトン(PEEK)ワイヤ、炭素/(コ)ポリマーワイヤ、及びこれら複合体ワイヤの組み合わせが挙げられる。
【0109】
好適なガラス繊維の例には、当該技術分野において既知であるように、A−Glass、B−Glass、C−Glass、D−Glass、S−Glass、AR−Glass、R−Glass、グラスファイバー及びパラグラスが挙げられる。他のガラス繊維も使用することができるが、このリストは限定的ではなく、例えばCorning Glass Company(Corning,NY)から市販されている様々な種類のガラス繊維が存在する。
【0110】
いくつかの代表的な実施形態において、連続ガラス繊維が好ましい場合がある。典型的には、連続ガラス繊維は、約3μm〜約19μmの範囲の平均繊維直径を有する。いくつかの実施形態において、ガラス繊維は、少なくとも3GPa、4GPa、及び/又は更には少なくとも5GPaの平均引張り強度を有する。いくつかの実施形態において、ガラス繊維は、約60GPa〜95GPa、又は約60GPa〜約90GPaの範囲の弾性率を有する。
【0111】
好適なセラミック繊維の例には、金属酸化物(例えばアルミナ)繊維、窒化ホウ素繊維、炭化ケイ素繊維、及びこれらの繊維の任意の組み合わせが挙げられる。典型的に、セラミック酸化物繊維は、結晶性セラミック、及び/又は結晶性セラミックとガラスとの混合物(すなわち、繊維は結晶性セラミックとガラス相の両方を含み得る)である。典型的には、そのような繊維は、50m以上の桁の長さを有し、キロメートル又はそれ以上の桁の長さを有することさえできる。典型的には、連続セラミック繊維は、約5μm〜約50μm、約5μm〜約25μm、約8μm〜約25μm、又は更に約8μm〜約20μmの、範囲の平均繊維直径を有する。いくつかの実施形態において、この結晶性セラミック繊維は、1.4GPa以上、1.7GPa以上、2.1GPa以上、又は更には2.8GPaの平均引張り強度を有する。いくつかの実施形態において、この結晶性セラミック繊維は、70GPaを超え約1000GPa以下、又は更には420GPa以下の弾性率を有する。
【0112】
好適な単繊維セラミック繊維の例には、炭化ケイ素繊維が挙げられる。典型的に、炭化ケイ素単繊維は、結晶性セラミック、及び/又は結晶性セラミックとガラスとの混合物(すなわち、繊維は結晶性セラミックとガラス相の両方を含み得る)である。典型的には、そのような繊維は、50m以上の桁の長さを有し、キロメートル又はそれ以上の桁の長さを有することさえできる。典型的には、連続炭化ケイ素単繊維は、約100μm〜約250μmの範囲の平均繊維直径を有する。いくつかの実施形態において、この結晶性セラミック繊維は、2.8GPa以上、3.5GPa以上、4.2GPa以上、及び/又は更には6GPaの平均引張り強度を有する。いくつかの実施形態において、この結晶性セラミック繊維は、250GPaを超え約500GPa以下、又は更には430GPa以下の弾性率を有する。
【0113】
好適なアルミナ繊維は、例えば、米国特許第4,954,462号(Woodら)及び同第5,185,299号(Woodら)に記載されている。いくつかの実施形態では、アルミナ繊維は多結晶性アルファアルミナ繊維であり、理論上の酸化物系で、アルミナ繊維の総重量を基準として、99重量%を超えるAl及び0.2〜0.5重量%のSiOを含む。別の態様では、いくつかの望ましい多結晶性アルファアルミナ繊維は、平均粒径1マイクロメートル未満(又は、いくつかの実施形態においては、更には0.5マイクロメートル未満)のアルファアルミナを含む。別の様態では、いくつかの実施形態において、多結晶性アルファアルミナ繊維の平均引張り強度は、1.6GPa以上(いくつかの実施形態では、2.1GPa以上、又は更には2.8GPa以上)である。代表的なアルファアルミナ繊維は、商品名「NEXTEL 610」(3M Company(St.Paul,MN))として市販されている。
【0114】
好適なアルミノシリケート繊維は、例えば、米国特許第4,047,965号(Karstら)に記述されている。代表的なアルミノシリケート繊維は、商品名「NEXTEL 440」、「NEXTEL 550」、及び「NEXTEL 720」(3M Company(St.Paul,MN))として販売されている。アルミノボロシリケート繊維は、例えば、米国特許第3,795,524号(Sowman)に記述されている。代表的なアルミノボロシリケート繊維は、商品名「NEXTEL 312」(3M Company(St.Paul,MN))として販売されている。窒化ホウ素繊維は、例えば、米国特許第3,429,722号(Economy)及び同第5,780,154号(Okanoら)に記述されている。更に、代表的な炭化ケイ素繊維は、例えば、COI Ceramics(San Diego,CA)から500繊維のトウの商品名「NICALON」が、日本の宇部興産(Ube Industries)から商品名「TYRANNO」が、Dow Corning(Midland,MI)から商品名「SYLRAMIC」が、市販されている。
【0115】
好適な炭素繊維には、例えばPANEX(登録商標)及びPYRON(登録商標)(ZOLTEK(Bridgeton,MO)から入手可能)、THORNEL(CYTEC Industries,Inc.(Paterson,NJ)から入手可能)、HEXTOW(HEXCEL,Inc.(Southbury,CT)から入手可能)、及びTORAYCA(東レ株式会社(TORAY Industries,Ltd.)(日本・東京)から入手可能)など市販されている炭素繊維が挙げられる。そのような炭素繊維は、ポリアクリロニトリル(PAN)前駆体から誘導され得る。その他の好適な炭素繊維には、当該技術分野において既知のように、PAN−IM、PAN−HM、PAN UHM、PITCH又はレーヨン副産物が挙げられる。
【0116】
追加の好適な市販されている繊維には、ALTEX(住友化学株式会社(Sumitomo Chemical Company)(日本・大阪)から入手可能)、ALCEN(株式会社ニチビ(Nitivy Company,Ltd.)(日本・東京)から入手可能)が挙げられる。
【0117】
好適な繊維には更に、形状記憶合金(マルテンサイト形質転換を起こす金属合金で、形質転換温度より下の温度で双晶化メカニズムにより変形可能となり、形質転換温度より上に加熱されて双晶組織が元の相に戻ると、このような変形が元に戻り得る)が挙げられる。市販されている形状記憶合金繊維があり、例えばJohnson Matthey Company(West Whiteland,PA)から入手可能である。
【0118】
いくつかの実施形態において、セラミック繊維がトウ内にある。トウは、繊維分野で既知であり、複数の(個別の)繊維(典型的には100本以上、より典型的には400本以上の繊維)がロービング様形状に集まったものを指す。いくつかの実施形態において、トウは、トウ当たり780本以上の個別繊維を含み、場合によっては、トウ当たり2600本以上の個別繊維、又は別の場合では、トウ当たり5200本以上の個別繊維を含む。セラミック繊維のトウは一般に、300m、500m、750m、1000m、1500m、2500m、5000m、7500m及びそれ以上を含む、様々な長さで入手可能である。繊維は、円形又は楕円形である断面形状を有し得る。
【0119】
市販されている繊維は典型的に、潤滑性をもたらし、取り扱い中に繊維ストランドを保護するために、製造中に繊維に添加される有機糊剤を典型的に含み得る。糊剤は、例えば、繊維から離れた糊剤を溶解又は燃焼させることによって除去することができる。典型的には、金属マトリックス複合体ワイヤを形成する前に、糊剤を除去することが望ましい。繊維はまた、例えば繊維の湿潤性を強化するために使用されているコーティングを有していることがあり、これが繊維と溶融金属マトリックス材料との間の反応を低下又は阻害する。このようなコーティング、及びこのようなコーティングを提供するための技法は、繊維及び複合体の分野で既知である。
【0120】
更なる代表的な実施形態において、複合体ワイヤはそれぞれ、金属マトリックス複合体ワイヤと高分子複合体ワイヤから選択される。好適な複合体ワイヤは、例えば、米国特許第6,180,232号、同第6,245,425号、同第6,329,056号、同第6,336,495号、同第6,344,270号、同第6,447,927号、同第6,460,597号、同第6,544,645号、同第6,559,385号、同第6,723,451号、及び同第7,093,416号に開示されている。
【0121】
1つの本好適繊維強化金属マトリックス複合体ワイヤは、セラミック繊維強化アルミニウムマトリックス複合体ワイヤである。セラミック繊維強化アルミニウムマトリックス複合体ワイヤは、好ましくは、ほぼ純粋な元素アルミニウム、又は純粋なアルミニウムと最高約2重量%(マトリックスの合計重量に対して)の銅との合金のいずれかのマトリックス内に封入された、多結晶性α−Alの連続繊維を含む。好ましい繊維は、寸法が約100nm未満の等軸晶グレインを含み、繊維直径が約1〜50μmの範囲である。約5〜25μmの範囲の繊維直径が好ましく、約5〜15μmの範囲の繊維直径が最も好ましい。
【0122】
本開示の好ましい繊維強化複合体ワイヤは、1立方センチメートル当たり約3.90〜3.95グラムの繊維密度を有する。好ましい繊維の中には、Minnesota Mining and Manufacturing Company(St.Paul,MN)に付与された米国特許第4,954,462号(Woodら)に記述されているものがある。好ましい繊維は、商品名「NEXTEL 610」アルファアルミナ系繊維(3M Company(St.Paul,MN))として入手可能である。封入するマトリックスは、それ自体が繊維材料と化学的に顕著に反応しない(すなわち、繊維材料に対して化学的に比較的不活性である)ように選択され、これにより繊維外側に保護コーティングを施す必要がなくなる。
【0123】
複合体ワイヤで、特定の本好適実施形態において、ほぼ純粋な元素アルミニウム、又は元素アルミニウムと最高約2重量%(マトリックスの合計重量に対して)の銅との合金のいずれかを含むマトリックスの使用は、好結果のワイヤを生み出すことが示されている。本明細書において用語「ほぼ純粋な元素アルミニウム」、「純粋なアルミニウム」及び「元素アルミニウム」は互換可能な用語であり、約0.05重量%未満の不純物を含むアルミニウムを意味するためのものである。
【0124】
1つの現在好まれている実施形態において、複合体ワイヤは、ほぼ元素アルミニウムのマトリックス内に、約30〜70体積%(複合体ワイヤの合計体積に対して)の多結晶性α−Al繊維を含む。このマトリックスは、マトリックスの合計重量に対して、約0.03重量%未満の鉄を含むことが現在好ましく、最も好ましくは、約0.01重量%未満の鉄を含む。き約40〜60%の多結晶性α−Al繊維の繊維含有量が好ましい。約20MPa未満の降伏強さを有するマトリックスと、約2.8GPa未満の長手方向引張り強度を有する繊維と、を有するマトリックスで形成された、そのような複合体ワイヤは、優れた強度特性を有することが見出されている。
【0125】
マトリックスはまた、元素アルミニウムと最高約2重量%(マトリックスの合計重量に対して)の銅との合金から形成され得る。ほぼ純粋な元素アルミニウムマトリックスが使用されている実施形態と同様、アルミニウム/銅合金マトリックスを有する複合体ワイヤは好ましくは、複合体の合計体積に対して約30〜70体積%の多結晶性α−Al繊維を含み、より好ましくは約40〜60体積%の多結晶性α−Al繊維を含む。加えて、このマトリックスは好ましくは、マトリックスの合計重量に対して、約0.03重量%未満の鉄を含み、最も好ましくは、約0.01重量%未満の鉄を含む。アルミニウム/銅マトリックスは好ましくは、約90MPa未満の降伏強さを有し、多結晶性α−Al繊維は約2.8GPa以上の長手方向引張り強度を有する。
【0126】
複合体ワイヤは、好ましくは、上述の、ほぼ純粋な元素アルミニウムマトリックス内に、又は元素アルミニウムと最高約2重量%の銅との合金から形成されたマトリックス内に、封入された、ほぼ連続の多結晶性α−Al繊維から形成される。そのようなワイヤは、一般に、ほぼ連続の多結晶性α−Al繊維のスプールを、繊維トウに配置するプロセスによって製造され、溶融マトリックス材料の液浴内を通って引っ張られる。結果として得られたセグメントを次に固化させることにより、マトリックス内に封入された繊維が得られる。
【0127】
代表的な金属マトリックス材料は、アルミニウム(例えば高純度(例えば99.95%超)元素アルミニウム)、亜鉛、スズ、マグネシウム、及びこれらの合金(例えばアルミニウムと銅の合金)が挙げられる。通常、例えば繊維外面に保護コーティングを提供する必要性を排除するために、マトリックス材料が繊維と著しく化学反応しない(すなわち、繊維材料に関して比較的化学的に不活性である)ように、マトリックス材料が選択される。いくつかの実施形態において、マトリックス材料としては、望ましくは、アルミニウム及びその合金が挙げられる。
【0128】
いくつかの実施形態において、金属マトリックスは、98重量パーセント以上のアルミニウム、99重量パーセント以上のアルミニウム、99.9重量パーセントを超えるアルミニウム、又は更には99.95重量パーセントを超えるアルミニウムを含む。アルミニウムと銅との代表的なアルミニウム合金は、98重量パーセント以上のAlと最高2重量パーセントの銅を含む。いくつかの実施形態において、有用な合金は1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000及び/又は8000シリーズのアルミニウム合金である(アルミニウム協会表記)。より高い純度の金属が、より高い引張り強度のワイヤを製造するのに望ましい傾向があるが、純度のより低い形態の金属も有用である。
【0129】
適切な金属が市販されている。例えば、アルミニウムは、Alcoa(Pittsburgh,PA)から、商品名「SUPRE PURE ALUMINUM;99.99%Al」で入手可能である。アルミニウム合金(例えば、Al−2重量%の銅(0.03重量%不純物))はBelmont Metals(New York,NY)から得ることができる。亜鉛及びスズは、例えば、Metal Services(St.Paul,MN)から入手可能である(「純亜鉛」;99.999%の純度及び「純スズ」;99.95%の純度)。例えば、マグネシウムは、Magnesium Elektron(Manchester,England)から、商品名「PURE」で入手可能である。マグネシウム合金(例えばWE43A、EZ33A、AZ81A、及びZE41A)は、例えばTIMET(Denver,CO)から得ることができる。
【0130】
金属マトリックス複合体ワイヤは、典型的には、繊維及びマトリックス材料の合わせた総体積に対して、15体積パーセント以上(実施形態によっては、20、25、30、35、40、45、又は更には50体積パーセント以上)の繊維を含む。より典型的には、複合体コア及びワイヤは、繊維及びマトリックス材料の合わせた総体積に対して、40〜75(実施形態によっては45〜70)体積パーセントの範囲の繊維を含む。
【0131】
金属マトリックス複合体ワイヤは、当該技術分野において既知の手法を用いて作製できる。例えば、連続金属マトリックス浸潤プロセスで、連続する金属マトリックス複合体ワイヤを作製することができる。1つの好適なプロセスが、例えば、米国特許第6,485,796号(Carpenterら)に記載されている。当該技術分野において既知の引抜成形プロセスによって、ポリマー及び繊維を含むワイヤが作製され得る。
【0132】
追加の代表的な実施形態において、複合体ワイヤは高分子複合体ワイヤを含むよう選択される。高分子複合体ワイヤは、ポリマーマトリックス内に少なくとも1本の連続繊維を含む。いくつかの代表的な実施形態において、少なくとも1本の連続繊維は、金属、炭素、セラミック、ガラス、及びこれらの組み合わせを含む。特定の本好適実施形態において、少なくとも1本の連続繊維は、チタン、タングステン、ホウ素、形状記憶合金、カーボンナノチューブ、グラファイト、炭化ケイ素、ホウ素、ポリ(アラミド)、ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)3、及びこれらの組み合わせを含む。追加の本好適実施形態において、ポリマーマトリックスは、エポキシ、エステル、ビニルエステル、ポリイミド、ポリエステル、シアン酸エステル、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、及びこれらの組み合わせから選択される(コ)ポリマーを含む。
【0133】
現在開示されているいずれかの実施形態において、複合体ケーブルにおいて1つ以上の複合体ワイヤは、金属被覆複合体ワイヤであるように有利に選択されてもよい。特定の代表的な実施形態では、複合体ワイヤの全ては、金属被覆体により包囲され、すなわち、延性金属又は延性金属合金(例えば銅若しくは銅合金)の層は、複合体ケーブルにおいて各複合体ワイヤを包囲する。いくつかの代表的な実施形態では、それぞれ個々の複合体ワイヤは、金属被覆が、複合体ワイヤの全体の外面に実質的に接触するように、金属被覆によって個々に包囲される。好適な金属被覆複合体ワイヤは、例えば米国特許第7,131,308号に開示されている。
【0134】
本開示の特定の実施形態に従って複合体コアの周囲に撚る複合コア(例えば送電ケーブル)を提供するための延性金属ワイヤは、当該技術分野において既知である。好ましい延性金属には、鉄、鋼、ジルコニウム、銅、スズ、カドミウム、アルミニウム、マンガン、及び亜鉛、並びに他の金属及び/又はケイ素との合金、及び同様物が挙げられる。銅ワイヤは、例えば、Southwire Company(Carrolton,GA)から市販されている。アルミニウムワイヤは、例えば、Nexans(Weyburn,Canada)から商品名「1350−H19アルミニウム」又はSouthwire Company(Carrolton,GA)から「1350−H0アルミニウム」として市販されている。
【0135】
典型的には、銅ワイヤは、約20℃〜約800℃の温度範囲以上で、約12ppm/℃〜約18ppm/℃の範囲の熱膨張係数を有する。銅合金(例えば、Southwire Company(Carrolton,GA)から市販されているCu−Si−X、Cu−Al−X、Cu−Sn−X、Cu−Cd(式中、X=Fe、Mn、Zn、Sn、及び/又はSi)などの銅ブロンズ、例えば、OMG Americas Corporation(Research Triangle Park,NC)から商品名「GLIDCOP」として入手可能な酸化物分散強化銅)のワイヤ。いくつかの実施形態において、銅合金ワイヤは、約20℃〜約800℃の温度範囲以上で、約10ppm/℃〜約25ppm/℃の範囲の熱膨張係数を有する。ワイヤは、どのような種類の形状(例えば、円形、楕円形、及び台形)であってもよい。
【0136】
典型的には、アルミニウムワイヤは、約20℃〜約500℃の温度範囲以上で、約20ppm/℃〜約25ppm/℃の範囲の熱膨張係数を有する。いくつかの実施形態では、アルミニウムワイヤ(例えば、「1350−H19アルミニウム」)は、138MPa(20ksi)以上、158MPa(23ksi)以上、172MPa(25ksi)以上、186MPa(27ksi)以上、又は更には200MPa(29ksi)以上の引張り破壊強度を有する。いくつかの実施形態では、アルミニウムワイヤ(例えば、「1350−H0アルミニウム」)は、41MPa(6ksi)超〜97MPa(14ksi)以下、又は更には83MPa(12ksi)以下の引張り破壊強度を有する。
【0137】
アルミニウム合金ワイヤは市販されており、例えば、商品名「ZTAL」、「XTAL」及び「KTAL」(住友電気工業株式会社(Sumitomo Electric Industries)(日本・大阪))、又は、「6201」(Southwire Company(Carrolton,GA))で入手可能なアルミニウム−ジルコニウム合金ワイヤがある。いくつかの実施形態において、アルミニウム合金ワイヤは、約20℃〜約500℃の温度範囲以上で、約20ppm/℃〜約25ppm/℃の範囲の熱膨張係数を有する。
【0138】
水中複合体ケーブル内の複合体ワイヤの重量パーセントは、水中ケーブルの設計及びその意図された使用の条件に依存する。
【0139】
撚り複合体ケーブルが、水中複合体ケーブル内の構成要素として使用される大半の用途では、撚りケーブルは、複数の複合体ケーブルの周囲に電力導体層を有さないことが好ましい。特定の本好適実施形態では、水中複合体ケーブルは、少なくとも0.5%の破壊限度までの歪みを呈する。
【0140】
本開示は好ましくは、非常に長い水中複合体ケーブルを提供するように実施される。また、撚り複合体ケーブル10自体の中の複合体ワイヤは、撚りケーブルの長さにわたって連続であることが好ましい。1つの好ましい実施形態において、複合体ワイヤは実質的に連続であり、長さは少なくとも150メートルである。より好ましくは、複合体ワイヤは撚り複合体ケーブル10において、連続で、かつ長さは250メートル以上であり、より好ましくは500メートル以上であり、更により好ましくは750メートル以上であり、最も好ましくは1000メートル以上である。
【0141】
他の態様では、本開示は、(a)非複合体の導電性コアケーブルを提供する工程と、(b)このコアケーブルの周囲に複数の複合体ケーブルを配置する工程であって、この複合体ケーブルは複数の複合体ワイヤを含む、工程と、(c)複数の複合体ケーブルをシースで、好ましくは絶縁シースで包囲する工程と、を含む、上記の水中複合体ケーブルを作製する方法を提供する。
【0142】
更に他の態様では、本開示は、(a)導電性コアケーブルを提供する工程と、(b)径方向の断面で見たときに、コアケーブルの中心長手方向軸を中心に画定される少なくとも1つの円筒状の層において、コアケーブルの周囲に複数の要素を配置する工程であって、各要素は、流体移送要素、送電要素、電気信号伝送要素、光伝達要素、重し要素、浮力要素、充填剤要素、又は外装要素からなる群から選択される、工程と、(c)この複数の要素を、コアケーブルの中心長手方向軸を中心に少なくとも1つの円筒状の層に配置された複数の複合体ワイヤで包囲する工程と、(d)複数の複合体ワイヤを絶縁シースで包囲する工程と、を含む、上記の水中複合体ケーブルを作製する方法を提供する。
【0143】
1つの追加的態様において、本開示は、上述の撚り複合体ケーブルの製造方法を提供し、この方法は、中心長手方向軸を画定する単一ワイヤの周囲に、複数の第1複合体ワイヤを撚る工程であって、複数の第1複合体ワイヤを撚る工程が中心長手方向軸に対して画定される第1撚り角度で第1撚り方向に実行され、複数の第1複合体ワイヤが第1撚り長さを有する、工程と、複数の第1複合体ワイヤの回りに、複数の第2複合体ワイヤを撚る工程であって、複数の第2複合体ワイヤを撚る工程が中心長手方向軸に対して画定される第2撚り角度で第1撚り方向に実行され、複数の第2複合体ワイヤが第2撚り長さを有する、工程と、を含み、更に第1撚り角度と第2撚り角度との相対的な差が、4°以下である。1つの本好適実施形態において、この方法は更に、複合体ワイヤの回りを複数の延性ワイヤで撚っている工程を含む。
【0144】
複合体ワイヤは、任意の好適なケーブル撚り装置(例えばCortinovis,Spa(Bergamo,Italy)、及びWatson Machinery International(Patterson,NJ)から入手可能なプラネタリーケーブルストランダーなど)で、当該技術分野において既知であるように、撚られ、又は螺旋状に巻かれ得る。いくつかの実施形態において、当該技術分野において既知であるように、剛性のストランダーを採用すると有利であり得る。
【0145】
任意の好適な寸法の複合体ワイヤを使用することができるが、多くの実施形態及び多くの用途について、この複合体ワイヤは、1mm〜4mmの直径を有することが好ましいが、これより大きい直径又は小さい直径の複合体ワイヤを使用することもできる。
【0146】
1つの好ましい実施形態において、撚り複合体ケーブルには、10〜150の撚り係数を有するような撚り方向で螺旋状に撚られる複数の複合体ワイヤが含まれる。撚りケーブルの「撚り係数」は、単一ワイヤが螺旋に沿って1回転するときの撚りケーブルの長さを、そのストランドを含む層の公称外径で割ることによって算出される。
【0147】
ケーブル撚りプロセスの間、その中心ワイヤ、又はその周囲に巻かれる1つ以上の追加層を有する未完成の中間撚り複合体ケーブルは、様々なキャリッジの中央を通過して引っ張られ、各キャリッジでその撚りケーブルに1層が追加される。1層として追加される個々のワイヤは、モーター駆動キャリッジによってケーブルの中心軸を中心に回転されている間、それぞれのボビンから同時に引っ張られる。これは、望ましい各層について順に行われる。その結果、螺旋状に撚られたコアとなる。所望により、結果として得られたこの撚り複合体コアに、上記のように例えばテープなどの保持手段を適用して、撚られたワイヤを一緒に保持するのに役立てることができる。
【0148】
全般に、本開示による撚り複合体ケーブルは、上述のように、単一ワイヤの回りに、同じ撚り方向で、複合体ワイヤを撚ることによって作製することができる。この単一ワイヤは、複合体ワイヤ又は延性ワイヤを含み得る。少なくとも二層の複合体ワイヤが、単一ワイヤコアを中心に複合体ワイヤを撚ることによって形成され、例えば、単一中心ワイヤの回りに少なくとも二層に形成された19本又は37本のワイヤである。
【0149】
いくつかの代表的な実施形態において、撚り複合体ケーブルは、100メートル以上、200メートル以上、300メートル以上、400メートル以上、500メートル以上、1000メートル以上、2000メートル以上、3000メートル以上、又は更には4500メートル以上もの長さを有する撚り複合体ワイヤを含む。
【0150】
撚りケーブルの取り扱い性は、望ましい特性である。理論に拘束されるものではないが、製造中に、金属ワイヤには、降伏応力を超えるが最大応力又は破壊応力よりは下の応力(曲げ応力など)がかかるため、ケーブルはその螺旋状に撚られた構成が保持される。この応力は、前の層又は中心ワイヤの比較的小さな半径の周囲にワイヤが螺旋状に巻かれるように、付加されるものである。追加の応力は、製造中にケーブルに対し放射方向の力及び剪断力が適用されるクロージングダイによって付加される。このワイヤはこれによって可塑的に変形し、その螺旋状に撚られた形状が保持される。
【0151】
いくつかの実施形態において、ケーブルをまっすぐにするための当該技術分野において既知の方法が望ましいことがある。例えば、完成したケーブルは、ローラー(各ローラーは例えば10〜15cm(4〜6インチ))を含み、ローラーを2つのバンクに線形に配置した(例えば各バンクにローラー5〜9個)、直線化装置を通すことができる。ローラーの2つのバンク間の距離は、ローラーがケーブルにちょうど当たるように(さもないとケーブルに過度の屈曲が生じる)、変えることができる。ローラーの2つのバンクは、ケーブルを挟んで向かい合って配置され、一方のバンクのローラーは、もう一方のバンクの相対するローラーによって生じるスペースと一致するよう配置される。ここで、これら2つのバンクは互いに中心をずらして配置することができる。ケーブルがこの直線化装置を通り抜ける際、ケーブルはローラー上で前後に屈曲され、これにより伝導体内のストランドは同じ長さに伸ばされ、これによって、緩んだストランドを低減又は排除することができる。
【0152】
いくつかの実施形態において、単独の中心ワイヤを、周囲温度(例えば22℃)より上の高温(例えば、25℃以上、50℃以上、75℃以上、100℃以上、125℃以上、150℃以上、200℃以上、250℃以上、300℃以上、400℃以上、又は、いくつかの実施形態において、500℃以上もの温度)で提供することが望ましい場合がある。単独中心ワイヤは、例えば、スプールワイヤを加熱する(例えばオーブンに数時間入れる)ことにより、望ましい温度にすることができる。加熱されたスプールワイヤは、撚り装置の供給スプールに置かれる。更に、この高温のスプールは、ワイヤが依然として望ましい温度、又はそれに近い温度である間に、撚りプロセスにある(典型的には約2時間以内)。
【0153】
更に、ケーブルの外側層を形成する、供給スプール上の複合体ワイヤについては、周囲温度であることが望ましい場合がある。すなわち、いくつかの実施形態において、撚りプロセス中に、外側複合体層を形成する、単一ワイヤと複合体ワイヤとの間の温度差が、望ましい場合がある。いくつかの実施形態において、単一ワイヤが100kg以上、200kg以上、500kg以上、1000kg以上、又は5000kg以上もの張力を伴って撚ることが望ましい場合がある。
【0154】
本開示の動作を、次の詳細な実施例に関して更に説明する。これらの実施例は、種々の具体的で好ましい実施形態及び技術を更に例示するために提供するものである。しかしながら、本開示の範囲内で多くの変更及び修正がなされてもよいことが理解されるべきである。
【実施例】
【0155】
以下の材料は、以下の比較例及び実施例に使用された:
NEXTEL 610、アルファアルミナセラミック繊維(3M Company(St.Paul,MN));
AMC30、30重量%のNEXTEL 610繊維及び70重量%のアルミニウムを含むアルミニウムマトリックス複合体ワイヤ(3M Company(St.Paul,MN));
AMC50、50重量%のNEXTEL 610繊維及び70重量%のアルミニウムを含むアルミニウムマトリックス複合体ワイヤ(3M Company(St.Paul,MN));
KEVLAR 49、ポリ(アラミド)繊維(E.I.DuPont de Nemours,Inc.(Wilmington,DE))。
【0156】
図7は、ワイヤの比強度、比弾性率、及び比(電気)伝導度に関して、銅又は鋼伝導体ワイヤと比較して、代表的な複合体伝導体ワイヤの優れた特性を図示する。各特性は、単位重量当たりを基準として表示される。図7において報告される値は、それぞれ銅又は鋼の具体的な特性値によって除された、複合体伝導体ワイヤの具体的な特性値を示す。複合体伝導体ワイヤは、銅の比強度の約10倍(鋼の2倍)を、銅の比弾性率の4倍(鋼の約2倍);及び鋼の比(電気)伝導度の約9倍(銅の伝導度とほぼ同じ)を呈する。図7における比特性データは、銅伝導体ワイヤ及び/又は鋼外装ワイヤが複合体伝導体ワイヤと置き換えられている水中複合体ケーブルに対する比特性値を計算するのに使用される。
【0157】
表Iは、本開示による代表的な複合体ケーブル及び非複合体ケーブルの比較例のケーブル特性を要約する。
【0158】
【表1】

【0159】
比較例1は、銅伝導体及び単一のKEVLAR 49繊維層外装要素のみを備えるケーブルに相当する。実施例1は、本開示による外装された水中複合体ケーブルの代表的な実施形態(銅伝導体が保持されている)に相当するが、ここでは複数のNEXTEL 610セラミック繊維が、銅伝導体を包囲する外装要素として使用される。実施例2〜3は、本開示による外装されていない水中複合体ケーブルの代表的な実施形態に相当し、ここでは銅伝導体はAMC30及びAMC50によって置き換えられた。AMC 30は、わずか30%の面積(断面)においてセラミック繊維を含む、アルミニウムマトリックス複合体ケーブルであり、AMC 50は、わずか50%の面積(断面)においてセラミック繊維を含むアルミニウムマトリックス複合体ケーブルである。
【0160】
表IIは、本開示による追加の代表的な複合体ケーブル及び追加の非複合体比較例のケーブル特性を要約する。
【0161】
【表2】

【0162】
比較例2は、表IIに記載される、銅伝導体及び3層の鋼ワイヤのみを備えるケーブルに相当する。実施例4〜5は、本開示による外装された水中複合体ケーブルの代表的な実施形態に相当し、ここでは銅伝導体はAMC50複合体ワイヤケーブルと置き換えられ、AMC50複合体ワイヤの2つの層のいずれかは、鋼ワイヤ外装の外側層(実施例4)と併せて外装要素として使用され、又はAMC50複合体ワイヤの1つの層は、鋼ワイヤ外装(実施例5)の外側層と併せて使用される。実施例6は、本開示による外装されていない水中複合体ケーブルの代表的な実施形態に相当し、ここでは銅伝導体は、AMC50 複合体ワイヤによって置き換えられた。
【0163】
表I及びIIに図示されるように、本開示による水中複合体ケーブルの代表的な実施形態は、その利用を可能にし、様々な用途に利点をもたらす、様々な機能及び性質を有し得る。更に、本開示のいくつかの代表的な実施形態による水中複合体ケーブルは、低密度、高弾性、高強度、疲労耐性、及び伝導度など、改善された材料特性により改善された能力を呈し得る。
【0164】
したがって、実施例及び比較例は、代表的な水中複合体ケーブルが、既存の非複合体ケーブルと比較して、大いに増加した最大作用高さ、最大使用荷重、及び破壊強度を呈し、より大きな又は同等の電力転送能力を備えるということを実証する。更に、本開示による水中複合体ケーブルの代表的な実施形態は、非複合体水中ケーブルと比べて、海水で重量がより軽く、したがって、より容易に海底に敷設され、海底から取り除かれ得る。
【0165】
水中複合体ケーブルの疲労耐性もまた、非複合体ケーブルと比べて改善され得る。供給ケーブルは、5年以上の寿命にわたって頻繁に巻き上げられ、ケーブルが巻き上げられる度に一連の滑車を通過する。これは、全体のケーブル重量を支持するため、伸長が最大である滑車において、非常に高い引張り及び曲げ荷重を生じさせる。更なる動的曲げ荷重が、海面波によるプラットフォームの垂直及び水平の上下運動により生じる。複合体ケーブルはしたがって、非複合体ケーブルと比較して、疲労耐性の改善を提供することができる。
【0166】
他の代表的な実施形態では、本開示による水中複合体ケーブルは、他の複合体ケーブルに比べた場合、製造中又は使用中に、ケーブルの低い値の引張り歪みでの早期破壊又は故障を経験する傾向を低減し得る。いくつかの具体的な代表的実施形態において、本開示の実施形態によって製造された撚り複合体ケーブルを組み込む水中複合体ケーブルは、先行技術の複合体ケーブルに比べ、10%以上の引張り強度の増加を呈し得る。いくつかの実施形態では、水中複合体ケーブルは、改善された材料特性により、例えば単位長さ当たりの低密度、高弾性、高強度、より大きな疲労耐性、及びより大きな伝導度など、改善された能力を提供する。
【0167】
追加の代表的な実施形態では、本開示により作製された撚り複合体ケーブルを水中複合体ケーブルへ組み込むことは、従来の撚り延性金属ワイヤケーブルに比べた場合、改善された耐腐食性、環境耐性(例えば紫外線及び耐湿性)、高温での強度損失に対する抵抗性、クリープ耐性、並びに比較的高い弾性率、低密度、低熱膨張係数、高い導電率、高いたわみ抵抗、及び高強度を提供し得る。
【0168】
本開示の特定の実施形態により製造された撚り複合体ケーブルを組み込む水中複合体送電ケーブルはまた、特定の重要な用途(例えば架空送電用途における使用)について、引張り強度の最低要件に適合するケーブルの撚りプロセスの収率を増大させるため、より低い製造コストで製造することも可能である。
【0169】
本明細書全体を通し、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」、又は「実施形態」への言及は、「実施形態」という用語の前に「例示的(代表的)」という用語が含まれているかどうかに関わらず、その実施形態の、ある特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本開示の特定の代表的な実施形態の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。それゆえに、本明細書全体を通して様々な箇所にある「1つ以上の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」、又は「ある実施形態では」といった句の出現は、必ずしも本開示の特定の代表的な実施形態の同一の実施形態に言及しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、任意の好適な方法で1つ以上の実施形態に組み合わされてもよい。
【0170】
本明細書で特定の代表的実施形態を詳細に説明したが、当然のことながら、当業者には上述の説明を理解した上で、これらの実施形態の代替物、変更物、及び均等物を容易に想起することができるであろう。したがって、本開示は本明細書で以上に述べた例示の実施形態に不当に限定されるべきではないと理解すべきである。特に、本明細書で使用されるように、端点による数値範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数を含むことが意図されている(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。加えて、本文書中、使用されている全ての数字は用語「約」によって修飾されていると見なされる。
【0171】
更に、本明細書にて参照される全ての出版物及び特許は、それぞれの個々の出版物又は特許が参照により援用されることを明確にかつ個別に指示されるかのごとく、それらの全体が同じ範囲で、参照により本明細書に援用される。様々な代表的実施形態が上述された。これらの及び他の実施形態は、以下の「特許請求の範囲」に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中複合体ケーブルであって、
非複合体の導電性コアケーブルと、
前記コアケーブルの周囲の複数の複合体ケーブルであって、前記複合体ケーブルは複数の複合体ワイヤを含み、任意に前記複合体ワイヤの少なくとも1つは金属被覆複合体ワイヤである、複合体ケーブルと、
前記複数の複合体ケーブルを包囲する絶縁シースと、を含む、水中複合体ケーブル。
【請求項2】
第2の複数の複合体ワイヤを更に含み、前記第2の複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は、径方向の断面で見たときに、前記コアケーブルの中心長手方向軸を中心に画定される少なくとも1つの円筒状の層において、前記複数の複合体ケーブルの周囲に配置される、請求項1に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項3】
流体移送要素、送電要素、電気信号伝送要素、光伝達要素、重し要素、浮力要素、充填剤要素、又は外装要素からなる群から選択される、少なくとも1つの要素を更に含む、請求項1に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項4】
前記光伝達要素が、少なくとも1つの光ファイバーを含む、請求項3に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項5】
前記外装要素が、前記コアケーブルを包囲する複数の繊維を含み、該繊維がポリ(アラミド)繊維、セラミック繊維、ホウ素繊維、炭素繊維、金属繊維、ガラス繊維、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項3に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項6】
前記外装要素が、前記コアケーブルを包囲する複数のワイヤを含み、該ワイヤが金属ワイヤ、金属マトリックス複合体ワイヤ、金属被覆複合体ワイヤ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項3に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項7】
前記コアケーブルが、少なくとも1つの金属ワイヤ、1つの金属荷重運搬要素、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項8】
前記コアケーブルが複数の金属ワイヤを含む、請求項7に記載の水中複合ケーブル。
【請求項9】
前記複数の金属ワイヤが撚られおり、任意に前記複数の金属ワイヤが螺旋状に撚られている、請求項8に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項10】
前記複数の金属ワイヤのそれぞれが、径方向の断面で見たときに、円形、楕円形、台形、S字形、及びZ字形からなる群から選択される断面形状を有する、請求項8に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項11】
前記複数の金属ワイヤが、鉄、鋼、ジルコニウム、銅、スズ、カドミウム、アルミニウム、マンガン、亜鉛、コバルト、ニッケル、クロム、チタン、タングステン、バナジウム、これら相互の合金、他の金属とのこれらの合金、シリコンとのこれらの合金、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1つの金属を含む、請求項8に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項12】
前記コアケーブルの周囲の前記複数の複合体ケーブルが、径方向の断面で見たときに、前記コアケーブルの中心長手方向軸を中心に画定される少なくとも2つの円筒状の層に配置される、請求項1に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項13】
前記少なくとも2つの円筒状の層の少なくとも1つが、前記複合体ケーブルのみを含む、請求項12に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項14】
前記少なくとも2つの円筒状の層の少なくとも1つが、流体移送要素、送電要素、光伝達要素、重し要素、充填剤要素、又は外装要素からなる群から選択される、少なくとも1つの要素を更に含む、請求項12に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項15】
前記複合体ケーブルの少なくとも1つが、径方向の断面で見たときに、前記少なくとも1つの複合体ケーブルの中心長手方向軸を中心に撚られた前記複合体ワイヤの複数の円筒状の層を含む、撚り複合体ケーブルである、請求項1に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項16】
前記少なくとも1つの撚り複合体ケーブルが螺旋状に撚られている、請求項15に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項17】
前記各円筒状の層がある撚り角度で、それぞれ隣接する円筒状の層の撚り方向と同じ撚り方向で撚られている、請求項16に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項18】
前記それぞれ隣接する円筒状の層の撚り角度間の相対的な差は0°より大きく、3°以下である、請求項17に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項19】
前記複合体ワイヤが、円形、楕円形、及び台形からなる群から選択される断面形状を有する、請求項1に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項20】
前記複合体ワイヤのそれぞれが、繊維強化複合体ワイヤである、請求項1に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項21】
前記の繊維強化複合体ワイヤのうち少なくとも1つが、繊維トウ又は単繊維のうちの一つで強化される、請求項20に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項22】
前記複合体ワイヤのそれぞれが、金属マトリックス複合体ワイヤ及び高分子複合体ワイヤからなる群から選択される、請求項21に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項23】
前記高分子複合体ワイヤが、ポリマーマトリックス内に少なくとも1つの連続繊維を含む、請求項22に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項24】
前記少なくとも1つの連続繊維が、金属、炭素、セラミック、ガラス、又はこれらの組み合わせを含む、請求項23に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項25】
前記少なくとも1つの連続繊維が、チタン、タングステン、ホウ素、形状記憶合金、炭素、カーボンナノチューブ、グラファイト、炭化ケイ素、ポリ(アラミド)、ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)、又はこれらの組み合わせを含む、請求項23に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項26】
前記ポリマーマトリックスが、エポキシ、エステル、ビニルエステル、ポリイミド、ポリエステル、シアン酸エステル、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリエチルエチルケトン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される(コ)ポリマーを含む、請求項23に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項27】
前記金属マトリックスが、金属マトリックス内に少なくとも1つの連続繊維を含む、請求項22に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項28】
前記少なくとも1つの連続繊維が、セラミック、ガラス、カーボンナノチューブ、炭素、炭化ケイ素、ホウ素、鉄、鋼、鉄合金、タングステン、チタン、形状記憶合金、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項27に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項29】
前記金属マトリックスが、アルミニウム、亜鉛、スズ、マグネシウム、これらの合金、又はこれらの組み合わせを含む、請求項27に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項30】
前記金属マトリックスがアルミニウムを含み、前記少なくとも1つの連続繊維がセラミック繊維を含む、請求項29に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項31】
前記セラミック繊維が多結晶性α−Alを含む、請求項30に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項32】
前記絶縁シースが、前記水中複合体ケーブルの外側表面を形成する、請求項1に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項33】
前記絶縁シースが、セラミック、ガラス、(コ)ポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項34】
前記水中ケーブルが、少なくとも0.5%の破壊限度までの歪みを呈する、請求項1に記載の水中ケーブル。
【請求項35】
非複合体の導電性コアケーブルを提供する工程と、
前記コアケーブルの周囲に複数の複合体ケーブルを配置する工程であって、前記複合体ケーブルは複数の複合体ワイヤを含む、工程と、
前記複数の複合体ケーブルを絶縁シースで包囲する工程と、を含む、請求項1に記載の水中複合体ケーブルを作製する方法。
【請求項36】
水中複合体ケーブルであって、
導電性コアケーブルと、
径方向の断面で見たときに、前記コアケーブルの中心長手方向軸を中心に画定される少なくとも1つの円筒状の層において、前記コアケーブルの周囲に配置される複数の要素であって、各要素は、流体移送要素、送電要素、電気信号伝送要素、光伝達要素、重し要素、浮力要素、充填剤要素、又は外装要素からなる群から選択される、要素と、
前記コアケーブルの前記中心長手方向軸を中心に少なくとも1つの円筒状の層において、前記複数の要素を包囲する複数の複合体ワイヤと、
前記複数の複合体ワイヤを包囲する絶縁シースと、を含む、水中複合体ケーブル。
【請求項37】
前記複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分が撚られて少なくとも1つの複合体ケーブルを形成する、請求項36に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項38】
前記外装要素が、前記コアケーブルを包囲する複数の繊維を含み、該繊維がポリ(アラミド)繊維、セラミック繊維、炭素繊維、金属繊維、ガラス繊維、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項36に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項39】
前記外装要素が、前記コアケーブルを包囲する複数のワイヤを含み、該ワイヤが金属ワイヤ、金属マトリックス複合体ワイヤ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項36に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項40】
第2絶縁シースを更に含み、前記第2絶縁シースが、前記複数の要素と前記複数の複合体ワイヤとの間に配置され、前記第2絶縁シースが、前記複数の要素を包囲する、請求項36に記載の水中複合体ケーブル。
【請求項41】
導電性コアケーブルを提供する工程と、
径方向の断面で見たときに、前記コアケーブルの中心長手方向軸を中心に画定される少なくとも1つの円筒状の層において、前記コアケーブルの周囲に複数の要素を配置する工程であって、各要素は、流体移送要素、送電要素、電気信号伝送要素、光伝達要素、重し要素、浮力要素、充填剤要素、又は外装要素からなる群から選択される、工程と、
前記複数の要素を、前記コアケーブルの中心長手方向軸を中心に少なくとも1つの円筒状の層において配置された複数の複合体ワイヤで包囲する工程と、
前記複数の複合体ワイヤを絶縁シースで包囲する工程と、を含む、請求項36に記載の水中複合体ケーブルを作製する方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−533849(P2012−533849A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520655(P2012−520655)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/040517
【国際公開番号】WO2011/008568
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】