説明

水位センサ

【課題】 誤検出を防止でき検出精度を向上させる水位センサを提供することを目的とする。
【解決手段】 水位センサ100の基板101はセラミックス等から成り、基板101の表面101aには検出電極105と参照電極106とが形成されている。各電極部には表面に金メッキが施されている。基板101の表面101aのうち検出電極105及び参照電極106を除いた領域には撥水膜109が施されている。基板101の表面101aの検出電極105と参照電極106との間が撥水膜109を介して隔てられている。そのため、残留した液体により検出電極105と参照電極106とが繋がり通電されることで水位が誤検出されるのを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極間抵抗値を利用した水位センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液の水深を測定する水位センサとしては抵抗体を用いたものが知られている。電極間抵抗値を利用して水位を測定するものとして、例えば特許文献1に記載したものが挙げられる。導電性を有する液体を収容した容器内には、液体が接することにより通電可能となる電極部が設けられている。電極部は、容器内の液体の減少に伴って液面が低下する方向の複数位置に配置されている。容器内の液面より上側にある電極部は液体に接しておらず、液面より下側にある電極部は液体に接した状態となる。そして、電圧が印加されると、液体は導電性を有することから、液体に接していない電極部は通電されず、液体に接している電極部は通電されることとなる。したがって、各電極部の通電状態を検出することで、どの電極部の位置まで液面があるかを知ることができる。電極部に残留した液体による液面の誤検出を防ぐため、電極部の表面には撥水処理が施されている。電極部の最表面には金メッキが施され、電極部の金属が溶出するのを防ぐとともに電極部の特性が経時劣化を起こさないようにしている。
【特許文献1】特開2003−291367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし上記の方式の場合、電極部のみに撥水処理を施しているため、電極部以外に残留した液体が再び電極部に付着し、誤検出を引き起こす可能性がある。
【0004】
そこで本発明の目的は誤検出を防止でき検出精度を向上させる水位センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明に係る水位センサは導電性を有する液体を内部に収容する容器と、前記液体に少なくとも一部が浸漬するように設置される基板と、前記基板の表面に配置される複数の第1の電極と、前記複数の第1の電極それぞれと所定の間隔を介して隣り合って配置される複数の第2の電極と、少なくとも前記複数の第1の電極と前記複数の第2の電極とを除く前記基板の表面に塗布された撥水膜とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、誤検出を防止でき検出精度を向上させる水位センサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明に係る水位センサの実施形態について図面を参照して説明する。
【0008】
図1は本発明に係る水位センサを採用した燃料電池1の外観斜視図である。図2は本発明に係る水位センサを採用した燃料電池とノート型コンピュータをドッキングさせた状態を示す外観斜視図である。燃料電池1は例えばノート型コンピュータ10の外部電源として用いられる。この燃料電池1はダイレクトメタノール方式の燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)である。メタノールと水を混合した予混合液を燃料とし、この予混合液を空気中の酸素と電解質膜で化学反応させることによって発電させる。このDMFCは、水素を燃料に用いる燃料電池よりも取り扱いが容易で、装置全体を小型にまとめることができる。
【0009】
燃料電池1は、直方体に形成された本体11と、本体11の底に沿って平坦に延出した載置部12とを有している。本体11の壁部には多数の通気孔11aが形成されている。本体11の内部には後述する発電部が納められている。本体11の一部は、カバー11bとして取り外せるように形成されている。本体11のカバー11bを取り外した部分には後述する燃料タンクが入れられている
【0010】
載置部12は、ノート型コンピュータ10の後部とドッキングできるように形成されている。載置部12の内部には、後述する制御部が設けられている。制御部は発電部の動作を制御する。載置部12の上面には、ノート型コンピュータ10を連結するロック機構13と、燃料電池1から電力をノート型コンピュータ10に供給するためのコネクタ14とが設けられている。
【0011】
ロック機構13は、載置部12上の3箇所に配置されており、それぞれ位置決め突起131とフック132とを備える。ノート型コンピュータ10の後部底面には、ロック機構13に連結される係合孔、およびコネクタ14に接続されるソケットが設けられている。
【0012】
ノート型コンピュータ10が載置部12に押し当てられると、ロック機構13がノート型コンピュータ10の係合孔に挿入される。フック132によって載置部12にノート型コンピュータ10が保持される。その結果、ノート型コンピュータ10のソケットがコネクタ14と電気的に接続される。この状態で、本体11に設けられたスイッチがオンにされると、燃料電池1は、発電を開始する。
【0013】
載置部12は、さらにイジェクトボタン15を備える。このイジェクトボタン15を押すと、ロック機構13のフック132が解除され、ノート型コンピュータ10を燃料電池1から取り外すことができるようになる。
【0014】
図3は燃料電池本体内部に収納された発電部の外観斜視図である。発電部2は、燃料タンク31、混合タンク41、起電部50、排液冷却器71、第1の冷却ファン72、復水器81、第2の冷却ファン82、濃度センサ90、および送気ポンプ61、水回収ポンプ85等を備える。これらはベースマニホールド100の上に載置され、一体に支持される。混合液や水等の流体を流す複数の流路は、ベースマニホールド100の中に形成されている。ベースマニホールド100は、外径が矩形状のベース基板およびベース基板とほぼ同一外形に形成された板状のカバー部材を有している。ベース基板には、流路となる溝が形成され、カバー部材は、これらの溝を覆うようにベース基板に張り合わされている。
【0015】
排液冷却器71は、第1の冷却ファン72および第2の冷却ファン82を挟んで、復水器81と並べて配置される。予混合液冷却器73は、配管を蛇腹状に折り返した形状を有する。復水器81は、水平方向に対して傾斜して伸びる複数の凝縮管と、この凝縮管の回りに取り付けられる冷却フィンとを備える。第2の冷却ファン82は、復水器81の凝縮管に取り付けられた冷却フィンに沿って、本体11の通気孔11aを通して取り入れた外気を送る。
【0016】
図4は本発明に係る液面センサを採用した燃料電池の系統図である。発電部2は、燃料供給部30と予混合液循環部40と起電部50と空気供給部60と燃料冷却部70と水回収部80と濃度センサ90とを備える。
【0017】
燃料供給部30は、燃料タンク31と燃料供給路32と燃料バルブ33と燃料ポンプ34とで構成されている。予混合液循環部40は、混合タンク41と循環ポンプ42と混合液供給路43と混合液回収路44とフィルタ45とイオンフィルタ46と循環逆止弁47とで構成されている。起電部50は、複数のセルが積層されて構成されている。各セルは、アノード(燃料極)51とカソード(空気極)52とこれらの間に挟まれる電解質膜53とで構成されている。空気供給部60は、送気ポンプ61と吸気バルブ62と吸気フィルタ63とで構成されている。燃料冷却部70は、排液冷却器71と第1の冷却ファン72と予混合液冷却器73とで構成される。水回収部80は、復水器81と第2の冷却ファン82と回収槽83と水供給路84と水回収ポンプ85とで構成される。濃度センサ90は、音速センサが適用されている。物質中の音速を計測することでその物質の密度が分かる。これを基に燃料であるメタノールと水との分子量から予混合液の濃度が求まる。
【0018】
燃料タンク31には、液体燃料として高濃度のメタノールが入れられている。燃料タンク31は、取替えが簡単な燃料カートリッジとして構成されている。したがって、燃料タンク31を取り替える際は、本体11に設けられたカバー11bを取り外し、燃料タンク31を本体11から取り出す。燃料タンク31は、燃料供給路32によって混合タンク41に連通されている。燃料供給路32の途中には、燃料バルブ33と燃料ポンプ34が設けられている。燃料バルブ33は、電磁弁であり、燃料ポンプ34とともに制御部3によって、動作制御される。
【0019】
制御部3は、燃料バルブ33、燃料ポンプ34、循環ポンプ42、送気ポンプ61、吸気バルブ62、第1の冷却ファン72、第2の冷却ファン82、水位センサ83a、水回収ポンプ85、排気バルブ88、濃度センサ90、水位センサ100と信号線で接続され、これらを制御する。制御部3は、燃料ポンプ34、循環ポンプ42、送気ポンプ61、水回収ポンプ85の各々の流量、および吸気バルブ62、排気バルブ88の各々の開度によって、燃料電池1内の各流体の流れを制御する補機を構成している。
【0020】
混合タンク41は槽41aと蓋41bとで構成されている。混合タンク41の槽41aには燃料供給路32と連通される燃料流入口32aと、混合液供給路43と連通される混合液流出口43aと、混合液回収路44と連通される混合液流入口44aとが設けられている。
混合液供給路43および混合液回収路44は、混合タンク41と起電部50との間に設けられ、予混合液を循環させるループを形成している。混合液供給路43は、混合タンク41から起電部50へ予混合液を送通する。混合液回収路44は、起電部50から混合タンク41へ予混合液を送通する。
【0021】
混合液供給路43には、循環ポンプ42とフィルタ45とイオンフィルタ46と循環逆止弁47とが設けられている。フィルタ45は、混合タンク41と循環ポンプ42との間に配置されている。イオンフィルタ46は、循環ポンプ42と循環逆止弁47との間に配置されている。循環ポンプ42は、予混合液を混合タンク41から起電部50へ送液する。
【0022】
混合液回収路44には、排液冷却器71が設けられている。排液冷却器71は、複数回折り返された伝熱管と、この伝熱管の周りに直角に取り付けられた多数の放熱フィンとを有している。また、第1の冷却ファン72が、排液冷却器71に取り付けられる。第1の冷却ファン72は、本体11の通気孔11aから外気を冷却空気として吸い込み、放熱フィンに沿う方向に空気を送る。
【0023】
起電部50には、アノード51とカソード52とが電解質膜53を挟むように配置されている。アノード51には混合液供給路43及び混合液回収路44が接続され、予混合液が流される。カソード52には空気供給部60と通じる吸気路64及び復水器81と通じる排気路86が接続され、空気が流される。
【0024】
図5は起電部のセル構造を模式的に示した図である。起電部50では、アノード51に流される予混合液中のメタノールおよび水が電解質膜53を介して、カソード52に流される空気中の酸素と反応し、発電される。このとき、アノード51側では、反応生成物として二酸化炭素が生成される。生成された二酸化炭素は余った予混合液とともに混合液回収路44に排出される。また、カソード52側では、水が水蒸気の状態で生成される。生成された水は湿り空気となって排気路86に排出される。
【0025】
空気供給部60は、送気ポンプ61で吸気フィルタ63から酸素を含む空気を吸い込み、吸気路64を通してカソード52に送通する。送気ポンプ61とカソード52との間には、吸気バルブ62が設けられている。排気路86は、復水器81、排気フィルタ87および排気バルブ88を通って、排気口89へと通じている。排気口89は本体11の通気孔11aに向かって開口している。
【0026】
排気路86を通って送られてきた湿り空気中の水分は、復水器81で凝縮され、復水器81の下部に配置される回収槽83に溜まる。回収槽83は、水供給路84によって混合液回収路44の途中に連通している。水位センサ83aが回収槽83に設けられ、溜まった水の水位を検出する。水供給路84の途中には、水回収ポンプ85と逆止弁85aとが設けられている。水回収ポンプ85は、回収槽83の水を混合タンク41に送る。
【0027】
また、復水器81で水分がある程度回収された空気は、復水器81の上部から排気され、排気フィルタ87へと送通される。排気フィルタ87は、金属触媒などにより構成される。排気フィルタ87は排気路86を通して排気される空気中に含まれるメタノールなどの有害物質を除去する。排気フィルタ87の直下には、貯溜部87aが設けられている。この貯溜部87aは回収路87cを介して、水回収ポンプ85と逆止弁85aとの間で水供給路84に連通される。回収路87cは貯溜部87aへの逆流を防止する逆止弁87bを備える。
【0028】
濃度センサ90は、予混合液中のメタノール濃度を計測するために、バイパス路91の途中に設けられている。バイパス路91は、循環ポンプ42とイオンフィルタ46との間の混合液供給路43から分岐され、混合タンク41に予混合液を還流する。濃度センサ90の検出分解能が熱によって低下することを防止するために、バイパス路91には、濃度センサ90の上流に予混合液冷却器73が設けられる。
【0029】
予混合液冷却器73は、第1の冷却ファン72によって形成される冷却空気流に対し排液冷却器71の上流側に配置される。予混合液冷却器73は、配管を蛇腹状に折り返した形状を有する。濃度センサ90に送られる予混合液は、予混合液冷却器73を通過することで冷却される。この場合、予混合液冷却器73の冷却能力は、濃度センサ90に送られる予混合液の温度を40℃以下にする程度であることが望ましい。
【0030】
燃料電池1の動作中、第1の冷却ファン72および第2の冷却ファン82が駆動され、本体11に形成された通気孔11aを通して外気が本体11内に導入される。通気孔11aを通して本体11内に導入された外気および本体11内の空気は、予混合液冷却器73および排液冷却器71を通り、第1の冷却ファン72に吸気される。第2の冷却ファン82により本体11内に導入された外気および本体11内の空気は、復水器81を通って第2の冷却ファン82に吸気される。また、第1の冷却ファン72および第2の冷却ファン82から排気された空気は、起電部50およびその周囲を通過した後、本体11の外部に排気される。
【0031】
発電を行う時は、制御部3によってポンプやバルブの動作が制御される。制御部3は燃料ポンプ34を駆動させ、燃料タンク31から混合タンク41に高濃度のメタノールを供給する。燃料流入口32aから噴出したメタノールは、混合タンク41内で、既存の予混合液、アノードから還流された予混合液、混合液回収路44の途中で復水器81の回収槽83から戻された水と、攪拌希釈される。この攪拌は、燃料流入口32aから噴出するメタノールの流れ、および混合液流入口44aから噴出する予混合液の流れによって行われる。
【0032】
メタノールが足された予混合液は、循環ポンプ42によってアノード51に供給される。カソード52には、送気ポンプ61によって空気が供給されている。供給されたメタノールおよび空気は、アノード51とカソード52との間に設けられた電解質膜53で化学反応する。その結果、アノード51とカソード52との間に電力が発生する。起電部50で発生した電力は、制御部3からコネクタ14を介してノート型コンピュータPへ供給される。
【0033】
発電反応に伴い、起電部50のアノード51側には二酸化炭素が生成され、カソード52側には水(水蒸気)が生成される。アノード51側に生じた二酸化炭素および化学反応に供されなかった予混合液は、混合液回収路44へ送られ、排液冷却器71を通して冷却された後、混合タンク41に還流する。
【0034】
混合タンク41に還流した二酸化炭素は、混合タンク41内で気化する。気化した二酸化炭素は気液分離膜41kを通過して、混合タンク41から生成ガス回収路86aを通って排気路86の途中に合流される。二酸化炭素は、湿り空気とともに排気フィルタ87に通される。二酸化炭素と湿り空気は排気バルブ88を介して、最終的には排気口89から外部へ排気される。気液分離膜41kを通して空気中に飛沫したメタノール及び空気は、排気フィルタ87を通過することで排気フィルタ87に回収除去される。
【0035】
カソード52側に生じた水は、その大部分が水蒸気となって空気とともに排気路86に排出される。水分を含む湿り空気は、復水器81によって水分が凝縮分離される。空気は、排気バルブ88を通り、排気口89から本体11内に排気される。本体11内の空気は更に通気孔11aを通して外部に排気される。復水器81によって凝縮された水は、回収槽83に溜まり、水回収ポンプ85で混合液回収路44の途中に注入される。水は混合タンク41へ送られ、メタノールと混合された後、混合液供給路43から再び起電部50へ供給される。
【0036】
また、復水器81によって回収しきれず復水器81よりも下流側の排気路86で結露した水は、排気フィルタ87の直下に設けられる貯溜部87aに溜められる。貯留部87aに溜められた水は水供給路84を介して混合液回収路44の途中に合流される。
【0037】
混合タンク41内におけるメタノールの濃度は、濃度センサ90によって検出される。制御部3は、検出された濃度に応じて水回収ポンプ85を作動させ、回収槽83から混合タンク41へ供給する水の量を調整する。これにより、予混合液のメタノールの濃度を一定に維持する。また、排気路86を通じて回収される水の回収量、つまり、水蒸気の凝縮量は、復水器81の冷却能力を制御することにより調整される。復水器81の冷却能力は回収槽83の水位に応じて、調整する。本実施形態では、水位センサ83aにより検出された水位に応じて第2の冷却ファン82の駆動電圧を制御する。冷却ファン82の制御により復水器81の冷却能力を調整し、水の回収量を制御する。水回収ポンプ85が制御部3により正転駆動される間、逆止弁85aが開き、逆止弁87bが閉じられる。回収槽83内の水は、水供給路84および逆止弁85aから混合液回収路44を通って混合タンク41へ送られる。
【0038】
また、制御部3は、一定の動作期間ごとに水回収ポンプ85を所定時間、逆転駆動させる。貯溜部87a内に溜まった水を回収槽83に回収する。水回収ポンプ85が逆転駆動されると、逆止弁87bが開き、逆止弁85aが閉じられる。この結果、貯溜部87aに溜まった水および復水器81より下流の排気路86内で結露した水は、回収路87c、逆止弁87b、および水供給路84を通って回収槽83に回収される。その後、回収された水は、混合タンク41へ供給され、メタノールの希釈に用いられる。
【0039】
図6は混合タンクの分解斜視図である。図7は混合タンクの槽を上から見た平面図である。混合タンク41は、槽41aと蓋41bとで構成されている。槽41aは、図7に示すように、燃料供給路32と連通される燃料流入口32aと、混合液供給路43と連通される混合液流出口43aと、混合液回収路44と連通される混合液流入口44aとが設けられている。混合タンク41内において、混合液流入口44aは、混合液流出口43aよりも燃料流入口32aに近い位置に開口している。槽41aと蓋41bとの合わせ面を機密にするために、パッキング41cが槽41aのシート面に装着されている。蓋41bは、内部と外部とを通じさせる連通孔41e有している。この連通孔41eは混合タンク41の内側に向かって突出する内部孔口41fにチューブ48の基端48aが取り付けられている。連通孔41eの外部孔口41gは、混合タンク41の外側に向かって突出し、キャップ49で塞がれている。キャップ49は、ビス49aで蓋41bに取外せるように固定されている。キャップ49の内側には、シール部材となるOリングが取り付けられている。蓋41bは、Oリングで密閉される範囲の内側となる外部孔口41gの脇に、内部に繋がる通気孔41hをさらに有している。
【0040】
燃料電池1のメンテナンスなどのために、メタノールを含む予混合液が循環する系統を開放する場合、開放した箇所から予混合液が流出しないように、混合タンク41から予め抜き取る。予混合液を抜き取るには、まず混合タンク41の蓋41bに取り付けられたキャップ49を取外す。露出された連通孔41eの外部孔口41gにシリンジやスポイトなどの吸引器を装着しチューブ48の先端48bから混合タンク41内の予混合液を抜き取る。
【0041】
図8は本発明の実施形態に係る水位センサの外観斜視図である。以後の説明において、同じ構成のものについては一つを代表して説明する。混合タンク41には予混合液の水位を測るための水位センサ100が設けられている。水位センサ100の基板101は混合タンク41を密封するように蓋41bに取付けられている。予混合液は人体に有害であるため、漏出しないように予混合液の水位を管理する必要がある。
【0042】
水位センサ100の基板101はセラミックス等から成り、基板101の先端にはボンディングワイヤ102を介してコネクタ103が取り付けられている。基板101の表面101aには配線パターン104と複数の検出電極(第1の電極)105と複数の参照電極(第2の電極)106とが形成されている。以下、第1の電極は検出電極105、第2の電極は参照電極106として説明する。水位センサ100はコネクタの端子部103aを介して制御部3と電気的に接続される。
【0043】
図9は図8中のA−A´線に沿って示す検出電極の断面模式図である。検出電極105の電極部107は例えば銅から成る。各電極部107には表面107aに金メッキ108が施されている。電極部107の表面107aに金メッキ108を施すことで、電極部107の銅が溶出し混合タンク41内の予混合液中に流出することを防止できる。金メッキ108により電極部107の特性が経時劣化を起こすのを防ぐこともできる。基板101の表面101aのうち電極部107以外の箇所には撥水膜109が施されている。撥水膜109は例えば、フッ素系高分子材料からなる。図6に示すように、混合タンク41に取付けられた水位センサ100の基板101で、槽41aよりも外に突出している部分には撥水膜を塗布していなくても良い。電極部107は金メッキ108と撥水膜109とにより覆われることになる。そのため、電極部107の銅は溶液に触れることなく、銅が溶液中に溶出するのを防ぐことができる。参照電極106の断面も同様に電極部107、金メッキ108、撥水膜109からなる構造となっている。
【0044】
図8に示すように検出電極105及び参照電極106はそれぞれ独立した配線パターン104に接続されている。検出電極105と隣接する参照電極106との間には一定の間隔Lが設けられている。検出電極105は基板101上において、混合タンク41内の水位の低下方向の位置に複数形成されている。本実施形態では混合タンク41内の水位に対して、検出電極105aが一番高い位置にあり、検出電極105aは混合タンク41内の予混合液が満タンの時に液面に接する。検出電極105hが一番低い位置にあり、混合タンク41の底面近傍に位置するよう設置されている。参照電極106は検出電極105の電位の基準となる。参照電極106は一つの配線パターン104に並列接続され、図示しない電源に接続されている。検出電極105は図示しないグラウンドに接続されている。
【0045】
混合タンク41内の液面より上側にある検出電極105及び参照電極106は液体に接していない。混合タンク内41の液面より下側にある検出電極105及び参照電極106は液体に接した状態となる。混合タンク41内の水位を測定する際は、制御部3の指示により行う。制御部3からの指示により検出電極105と参照電極106との間に電圧が印加されると、液体は導電性を有することから、液体に接していない検出電極105と参照電極106とは通電されず、液体に接している検出電極105と参照電極106とは通電されることとなる。したがって、検出電極105と参照電極106との通電状態を検出することで、どの検出電極105の位置まで水位があるかを知ることができる。
【0046】
電極部107や基板101に液体が残留し、検出電極105と参照電極106とが通電すると水位の誤検出を招くことがある。そのため本実施形態に係る水位センサでは、金メッキ108を施された電極部107以外の基板101の表面101aに撥水膜109が施されている。基板101の表面101aに撥水膜109を施すことで、水位が低下した後も基板101の表面101aに液体が残留しない。水位が低下したにもかかわらず、残留した液体により水位が誤検出されてしまうことを防止することができる。一方、検出電極105と参照電極106とには撥水膜は施されていないが、基板101の表面101aの検出電極105と参照電極106との間が撥水膜109を介して隔てられている。そのため、電極に残留した液体により検出電極105と参照電極106とが繋がり通電されるのを防止することができる。
【0047】
図10乃至図12は図8に示した水位センサと検出電極及び参照電極の配置が異なる他の水位センサの外観斜視図である。図8の水位センサと同一のものは同一の符号を付し説明を省略する。図10に示すように複数の参照電極106は一つの配線パターン104に直列に形成されても良い。図8に示したものと比較して、検出電極105と参照電極106との形成される領域を狭くすることができるため基板101の大きさを小さくすることができる。検出電極105と参照電極106との間には間隔Lが設けられている。間隔Lは少なくとも検出電極105の幅L1、あるいは参照電極106の幅L2以上になるように設定されている。検出電極105と参照電極106との間に間隔Lを設けることで、検出電極105及び参照電極106に液体が残留した場合でも、液体により検出電極105と参照電極106とが繋がり通電するのを防止することができる。検出電極105の数や設置する間隔は任意に変えることが可能である。上下に並ぶ検出電極105間あるいは参照電極106間にも間隔Mが設けられている。間隔Mは少なくとも検出電極105の幅M1、あるいは参照電極106の幅M2以上になるように設定されている。
【0048】
図11に示すように、複数の検出電極105が基板101に対して斜めに配列するように形成され、複数の参照電極106がそれぞれ対応する検出電極105の隣に位置するように形成されても良い。図12に示すように、参照電極106は基板101の表面101aに亘って延びるように形成された一つの電極とし、複数の検出電極105が所定の間隔Lを介して参照電極106の両側に形成されても良い。本実施形態では基板101の表面101aに撥水膜を施したが、基板101そのものを撥水性のあるフッ素系高分子材料等から形成してもよい。
【0049】
水位の誤検出を防止し検出精度を向上させることで、混合タンク41内の混合液が溢れて漏出するのを防ぐことができる。また混合タンク41内の混合液が不足し、混合液不足による燃料電池1の出力低下を防ぐことができる。
【0050】
本実施形態を実施した場合、混合タンク内の水位の誤検出を防止し検出精度を向上させることができる。
【0051】
本発明に係る水位センサを採用した燃料電池は、上述したノート型コンピュータに限らず、モバイル機器、携帯端末等の他の電子機器の電源としても使用可能である。
【0052】
本発明ではその主旨を逸脱しない範囲であれば、上記の実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る水位センサを採用した燃料電池の外観斜視図。
【図2】本発明に係る水位センサを採用した燃料電池とノート型コンピュータをドッキングさせた状態を示す外観斜視図。
【図3】燃料電池本体内部に収納された発電部の外観斜視図。
【図4】燃料電池の発電システムの系統図。
【図5】起電部のセル構造を示す模式図。
【図6】混合タンクの分解斜視図。
【図7】混合タンクの槽を上から見た平面図。
【図8】本発明に係る水位センサの外観斜視図。
【図9】図8中のA−A´線に沿って示す検出電極の断面模式図。
【図10】図8に示した水位センサと電極の配置が異なる他の水位センサの外観斜視図。
【図11】図8、10に示した水位センサと電極の配置が異なる他の水位センサの外観斜視図。
【図12】図8、10、11に示した水位センサと電極の配置が異なる他の水位センサの外観斜視図。
【符号の説明】
【0054】
1…燃料電池、2…発電部、3…制御部、10…ノート型コンピュータ、11…本体、11a…通気孔、11b…カバー、12…載置部、13…ロック機構、14…コネクタ、15…イジェクトボタン、31…燃料タンク、32…燃料供給路、32a…燃料流入口、41…混合タンク、41a…槽、41b…蓋、41e…連通孔、41f…内部口孔、41g…外部口孔、43…混合液供給路、43a…混合液流出口、44…混合液回収路、44a…混合液流入口、48…チューブ、49…キャップ、51…アノード、52…カソード、53…電解質膜、63…吸気フィルタ、64…吸気路、71…排液冷却器、72…第1の冷却ファン、73…予混合液冷却器、81…復水器、82…第2の冷却ファン、83…回収槽、84…水回収路、86…排気路、87…排気フィルタ、90…濃度センサ、100…水位センサ、105…検出電極、106…参照電極、108…金メッキ、109…撥水膜、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する液体を内部に収容する容器と、
前記液体に少なくとも一部が浸漬するように設置される基板と、
前記基板の表面に配置される複数の第1の電極と、
前記複数の第1の電極それぞれと所定の間隔を介して隣り合って配置される複数の第2の電極と、
少なくとも前記複数の第1の電極と前記複数の第2の電極とを除く前記基板の表面に塗布された撥水膜と、
を具備することを特徴とする水位センサ。
【請求項2】
前記基板は端部がコネクタと接続され、前記コネクタが接続された端部と前記複数の第1の電極と前記複数の第2の電極とを除いた前記基板の表面に撥水膜が塗布されたことを特徴とする請求項1記載の水位センサ。
【請求項3】
前記液体に浸漬する前記基板は、少なくとも前記端部は前記液体に浸漬しないように設置されることを特徴とする請求項2記載の水位センサ。
【請求項4】
前記コネクタが接続された前記基板は、前記端部が前記容器の外に突出するように設置されたことを特徴とする請求項2又は3記載の水位センサ。
【請求項5】
導電性を有する液体を内部に収容する容器と、
撥水性を有し、前記容器内に収容された液体の少なくとも一部が接触するように設置される基板と、
前記基板の表面に配置される複数の第1の電極と、
前記複数の第1の電極それぞれと所定の間隔を介して隣り合って配置される複数の第2の電極と、
を具備することを特徴とする水位センサ。
【請求項6】
前記複数の第1の電極それぞれと互いに隣り合って配置された前記複数の第2の電極との間に、少なくとも前記第1の電極と前記第2の電極いずれかの電極の幅以上の間隔が空けられていることを特徴とする請求項4又は5記載の水位センサ。
【請求項7】
前記複数の第1の電極と前記複数の第2の電極とが互いに平行に整列して配置されたことを特徴とする請求項6記載の水位センサ。
【請求項8】
前記複数の第1の電極及び前記複数の第2の電極の表面に金メッキが施されたことを特徴とする請求項1乃至7記載の水位センサ。
【請求項9】
導電性を有する液体を内部に収容する容器と、
前記液体に少なくとも一部が浸漬するように設置される基板と、
前記基板の表面に配置される複数の第1の電極と、
前記複数の第1の電極と所定の間隔を介して前記複数の第1の電極の並びに沿って延びる第2の電極と、
少なくとも前記複数の第1の電極と前記第2の電極とを除く前記基板の表面に塗布された撥水膜と、
を具備することを特徴とする水位センサ。
【請求項10】
前記基板は端部がコネクタと接続され、前記コネクタが接続された端部と前記複数の第1の電極と前記第2の電極とを除いた前記基板の表面に撥水膜が塗布されたことを特徴とする請求項9記載の水位センサ。
【請求項11】
前記液体に浸漬する前記基板の少なくとも前記端部は前記液体に浸漬しないように設置されることを特徴とする請求項10記載の水位センサ。
【請求項12】
前記コネクタが接続された前記基板は、前記端部が前記容器の外に突出するように設置されたことを特徴とする請求項10又は11記載の水位センサ。
【請求項13】
導電性を有する液体を内部に収容する容器と、
撥水性を有し、前記容器内に収容された液体の少なくとも一部が接触するように設置される基板と、
前記基板の表面に配置される複数の第1の電極と、
前記複数の第1の電極と所定の間隔を介して前記複数の第1の電極の並びに沿って延びる第2の電極と、
を具備することを特徴とする水位センサ。
【請求項14】
前記複数の第1の電極と、前記複数の第1の電極の並びに沿って延びる第2の電極との間に、少なくとも前記第1の電極と前記第2の電極いずれかの電極の幅以上の間隔が空けられていることを特徴とする請求項12又は13記載の水位センサ。
【請求項15】
前記複数の第1の電極が整列して配置され、前記第2の電極が前記複数の第1の電極の並びに沿って平行に延びることを特徴とする請求項14記載の水位センサ。
【請求項16】
前記複数の第1の電極及び前記第2の電極の表面に金メッキが施されたことを特徴とする請求項9乃至16記載の水位センサ。
【請求項17】
液体燃料が収容された燃料タンクと、
前記液体燃料と、空気中の酸素とを化学反応させて発電を行う起電部と、
前記燃料タンク内の前記液体燃料の水位を検出する水位センサと、を備え、
前記水位センサは、
前記混合タンク内の予混合液に少なくとも一部が接触するように設置された基板と、
前記基板の表面に配置される複数の第1の電極と、
前記複数の第1の電極それぞれと所定の間隔を介して隣り合って配置される複数の第2の電極と、
少なくとも前記複数の第1の電極と前記複数の第2の電極とを除く前記基板の表面に塗布された撥水膜と、
を具備することを特徴とすることを特徴とする燃料電池。
【請求項18】
前記水位センサは、前記基板の端部がコネクタと接続され、前記コネクタが接続された前記端部と前記複数の第1の電極と前記複数の第2の電極とを除いた前記基板の表面に撥水膜が塗布されたことを特徴とする請求項17記載の燃料電池。
【請求項19】
前記水位センサは、前記液体に浸漬する前記基板の少なくとも前記端部は前記液体に浸漬しないように設置されることを特徴とする請求項18記載の燃料電池。
【請求項20】
前記水位センサは、前記コネクタが接続された前記基板の前記端部が前記容器の外に突出するように設置されたことを特徴とする請求項18又は19記載の燃料電池。
【請求項21】
液体燃料が収容された燃料タンクと、
前記液体燃料と、空気中の酸素とを化学反応させて発電を行う起電部と、
前記燃料タンク内の前記液体燃料の水位を検出する水位センサと、を備え、
前記水位センサは、
導電性を有する液体を内部に収容する容器と、
撥水性を有し、前記容器内に収容された液体の少なくとも一部が接触するように設置される基板と、
前記基板の表面に配置される複数の第1の電極と、
前記複数の第1の電極それぞれと所定の間隔を介して隣り合って配置される複数の第2の電極と、
を具備することを特徴とする燃料電池。
【請求項22】
前記水位センサは、前記複数の第1の電極それぞれと互いに隣り合って配置された前記複数の第2の電極との間に、少なくとも前記第1の電極と前記第2の電極いずれかの電極の幅以上の間隔が空けられていることを特徴とする請求項20又は21記載の燃料電池。
【請求項23】
前記水位センサは、前記複数の第1の電極と前記複数の第2の電極とが互いに平行に整列して配置されたことを特徴とする請求項22記載の燃料電池。
【請求項24】
前記水位センサは、前記複数の第1の電極及び前記複数の第2の電極の表面に金メッキが施されたことを特徴とする請求項17乃至23記載の燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−121096(P2007−121096A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−313263(P2005−313263)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】