説明

水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造

【課題】フレーム機能を備えた集合配管と冷却体とを直接嵌合させて構造を簡単化、小型化、薄型化するとともに水流バランスを取る必要がなく且つ水漏れリスクを軽減することが可能な水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造を提供する。
【解決手段】フレーム機能を備えた集合配管5の間に該集合配管5に水密に嵌合された複数の冷却体6を橋架するよう取り付けてスタック構成とする。そして上段に配置した冷却体6において、冷却水口2から冷却体6内に流入する冷却水は所定曲率の屈曲部を持つ冷却体ヘッダー1を介して冷却体6内に設けられた水路3に均一に流入するようにされる。溝を密に掘って形成されている水路3は、冷却体6を流れる冷却水の圧力損失を高めることができ、このため冷却体6間において格別の流量バランスを採る必要がない。集合配管5のそれぞれは外箱7に固定され、またフランジ又は脱着継ぎ手8を介して冷却水の給水部又は排水部に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の半導体で構成された電力変換装置の水冷冷却ユニットのスタック構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電力変換装置では、それぞれの半導体を冷却する冷却体を個別に設け、その冷却体と集合配管を口金とホースにて接続することで、冷却水を冷却体に供給するようにしていた(特許文献1参照)。図11は、上記した従来の水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造の構成概要を示す図である。図11の水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造は、外箱105に上下に固定された、二つの冷却体取り付けフレーム101間に、冷却体102が取り付けられている。冷却体102には、冷却水の給水側及び排水側にそれぞれ口金103が設けられている。また、給水側及び排水側の各集合配管(ヘッダー)106にも口金103が設けられている。そしてそれぞれの口金103に嵌合するホース104を介して接続している。給水側及び排水側の各集合配管(ヘッダー)106を外箱105に固定された配管支え107により固定している。各集合配管(ヘッダー)106の冷却水の給水口及び排水口にはフランジ又は脱着継ぎ手108が設けられ、このフランジ又は脱着継ぎ手108を介して冷却水が供給され、また排水されるようにしている。冷却体102の表面には半導体取り付け部109が設けられ、この半導体取り付け部109に半導体ユニット(図示せず)が取り付けられるよう構成している。こうしたうえで給水側の集合配管(ヘッダー)106からそれぞれの冷却体102の内部に冷却水を流して半導体ユニットを冷却するとともに冷却体102の内部に流された冷却水を排水側の集合配管(ヘッダー)106を介して回収するようにしている。
【0003】
また下記特許文献2には、上記した水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造と同種の構造を備える電力変換装置において、組立て、保守のために必要なワンタッチカプラに流体抵抗機能を持たせて、各分割モジュールの流量バランスをとる電力変換装置が開示されている。
【0004】
また下記特許文献3には、上記した水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造と同種の構造を備える水冷装置において、モジュール毎にモジュール給水管の上流側端部に、所定の圧力損失を生じる流体抵抗器(オリフィス)を設け、並列した半導体とその付属回路とを収納したモジュール間の水流バランスを取るよう構成した高圧電気機器の水冷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-161005号公報(図1)
【特許文献2】特開2005-73400号公報(0018段落、図3)
【特許文献3】特開平11-89213号公報(0045段落、図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように従来の水冷冷却ユニットのスタック構造では、(1)冷却体102に口金103を具備するため、口金分以上の厚みが必要になる、また、(2)冷却体102を固定するための取り付けフレーム101が必要で、この取り付けフレーム101は、集合配管(ヘッダー)106とは別個に設けられ且つ集合配管(ヘッダー)106を固定するための配管支え107が外箱105との間に必要になる、さらに、(3)冷却水を供給するホース104と口金103が必要になる、等のことから、従来の水冷冷却ユニットのスタック構造は構造が複雑で且つ装置の大型
化が不可避であるという課題があった。またホース104は可撓性を有するものから成り、当該ホース104を使用してステンレスや銅製等金属性の口金103と接続するため、温度変化や経年変化などにより水漏れリスクが発生するという課題があった。
【0007】
そこで本発明は、フレーム機能を備えた集合配管と冷却体とを直接嵌合させて構造を簡単化、小型化、薄型化するとともに水流バランスを取る必要がなく且つ水漏れリスクを軽減することが可能な水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、半導体を冷却体に取り付けて該冷却体を水冷する水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造において、給水側及び排水側に冷却水口が設けられた冷却体と、外箱または外部フレームに取り付けるための取付部を有し、前記半導体が取り付けられた前記冷却体を橋架するフレーム機能を備えた集合配管と、前記冷却体と前記集合配管とを水密に嵌合するために前記冷却水口に取り付けられる嵌合部材と、該嵌合部材により前記集合配管に水密に嵌合させた前記冷却体を前記集合配管間に複数配列してスタックを構成したことを特徴とする。
【0009】
上記において本発明の嵌合部材は、Oリングまたはガスケットであることを特徴とする。
上記において本発明の集合配管は、圧力損失の低い空洞ステンレス製パイプに冷却体取り付け板を溶接して構成され、該冷却体取り付け板に設けられた取り付け孔に前記冷却水口を前記嵌合部材により嵌合し、また前記冷却体は、前記冷却水口から流入した冷却水の圧力損失を増すために流路を密に形成し前記パイプよりも圧力損失を大きくしたことを特徴とする。
【0010】
上記において本発明の冷却体は、前記パイプに対し2桁以上圧力損失を大きくしたことを特徴とする。
また上記において本発明の冷却体は、前記冷却水口の外延に沿って所定の局率を持つ屈曲部が形成されたヘッダーを有し、該屈曲部により前記半導体取り付け面の各流路に流れる冷却水量が均一となるようにしたことを特徴とする。
【0011】
また上記において本発明の冷却体は、前記集合配管の片面に複数配列されることを特徴とする。
またさらに上記において本発明の冷却体は、前記集合配管の両面に複数配列されることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、半導体素子取り付け面に対面する前記冷却体の裏側に水冷抵抗を取り付けたことを特徴とする。
また上記において本発明の水冷抵抗は、スナバ抵抗又は分圧抵抗であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スタック構成の冷却体間の流量バランスを調整する部品・機能を具備することなくフレーム機能を備えた集合配管と冷却体のみで半導体を水冷冷却する水冷冷却構造を構成でき、また集合配管は任意の位置に水の入/出口を設けてもスタック間の冷却体の流量は同一化されるため、主配管系の構造設計の自由度が増し、冷却体をスタック構造にする場合に小型化、軽量化が可能である。さらに発熱量の多いスナバ抵抗、分圧抵抗なども嵌合化により薄型化した冷却体の上記半導体素子の対面に位置する裏面に取り付けることができるため、小型化、軽量化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造の構成概要を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造の第1の実施例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造の第2の実施例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造の第3の実施例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造の第4の実施例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造の第5の実施例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造の第6の実施例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造の各実施例で使用される嵌合部の詳細構成を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造の各実施例で使用される冷却ヘッダーおよび水路の形状を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造の各実施例で使用される水冷抵抗体の取り付け構造を示す図である。
【図11】従来の水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造の構成概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造の構成概要を示す図である。図1において本発明の実施形態に係る水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造は、フレーム機能を備えた集合配管5の間に該集合配管5に水密に嵌合された複数の冷却体6を橋架するよう取り付けてスタック構成とする。フレーム機能を備えた集合配管5は、外箱または外部フレームに取り付けるための取付部51を備えている。
【0016】
そして上段に配置した冷却体6については、冷却体6の構造が分かるように一部破断平面図でその内部が見えるようにしている。すなわち、一部破断平面図で示した冷却体6において、冷却水口2から冷却体6内に流入する冷却水は所定曲率の屈曲部を持つ冷却体ヘッダー1を介して冷却体6内に設けられた水路3に均一に流入するようにされる。なお溝を密に掘って形成されている水路3は、冷却体6を流れる冷却水の圧力損失を集合配管5における圧力損失に比して2桁程度高めることができ、このためスタック構成の冷却体6間において格別の流量バランスを採る必要がない。
【0017】
また冷却体6は、図示していないが、幾つかのパーツに分割された銅材で構成され、冷却水口2を含む部材を蝋付けして取り付けると共に、冷却体ヘッダー1を構成する部材に所定曲率の屈曲部を持たせると共に水路3用に溝を形成したうえで蝋付けして取り付ける。これについては後でも触れる。なお、冷却体6は熱伝導率が良く、加工しやすく且つ水によって腐食しづらい部材なら銅材に限定されない。そして冷却体6の表面には半導体取り付け部4が設けられており、この半導体取り付け部4に1個ないし数個の半導体素子(図示せず)を取り付ける。
【0018】
図1では、フレーム機能を備えた集合配管5のそれぞれは上下方向において外箱7に固
定され、またフランジ又は脱着継ぎ手8を介して冷却水の給水部又は排水部に接続される。しかし、フレーム機能を備えた集合配管5の固定方法は、上下方向での固定に限定されず、左右、上部のみ、下部のみで固定するものであっても良い。
【0019】
さらに後でも説明するが、フレーム機能を備えた集合配管5は、圧力損失の低い空洞ステンレス製パイプで構成され、冷却体6への冷却水の出入口位置には冷却水口2に相当する孔が穿けられた冷却体取り付け板10(図8参照)を溶接により取り付け、Oリングまたはガスケットなどで構成する嵌合部材9(図8参照)を介して冷却体取り付け板10の孔と各冷却体6のヘッダーの冷却水口2とが水密に嵌合されるよう構成する。なお、上記においては、冷却体6への冷却水の出入口位置にだけ冷却体取り付け板10を取り付けると説明したが、圧力損失の低い空洞ステンレス製パイプからなるフレーム機能を備えた集合配管5の一部を切り取っておき、その切り取った部分に同じ材質のステンレス製部材に予め冷却水口2に相当する位置に孔が穿けられた冷却体取り付け板10を一様に溶接するようにして構成しても良い。
【0020】
このように本発明の実施形態に係る水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造によれば、冷却体間の流量バランスを調整する部品・機能を具備することなくフレーム機能を備えた集合配管と冷却体のみで半導体を水冷冷却する水冷冷却構造を構成でき、また集合配管は任意の位置に水の入/出口を設けてもスタック間の冷却体の流量は同一化されるため、主配管系の構造設計の自由度が増し、冷却体をスタック構造にする場合に小型化、軽量化、薄型化が可能である。
【0021】
図2は、本発明の実施形態に係る水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造の第1の実施例を示す図である。図2に示す第1の実施例は、冷却体6がフレーム機能を備えた集合配管5の片面(図2の(a)参照)に取り付けて構成した水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造としたものである。図2において、冷却水の給水部及び排水部に接続されるフランジ又は脱着継ぎ手8は、フレーム機能を備えた集合配管5の下方の同一の高さに取り付けられている。そして図2の(a)は側面図を示し、また図2の(b)は正面図を示している。
【0022】
図3は、本発明の実施形態に係る水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造の第2の実施例を示す図である。図3に示す第2の実施例は、冷却体6がフレーム機能を備えた集合配管5の両面(図3の(a)参照)に取り付けて構成した水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造としたものである。図3において、冷却水の給水部及び排水部に接続されるフランジ又は脱着継ぎ手8は、フレーム機能を備えた集合配管5の下方の同一の高さに取り付けられている。そして図3の(a)は側面図を示し、また図3の(b)は正面図を示している。
【0023】
図4は、本発明の実施形態に係る水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造の第3の実施例を示す図である。図4に示す第3の実施例は、冷却体6がフレーム機能を備えた集合配管5の片面(図4の(a)参照)に取り付けて構成した水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造としたものである。図4において、冷却水の給水側に設けられるフランジ又は脱着継ぎ手8は、フレーム機能を備えた集合配管5の下側に取り付けられ、また冷却水の排水に設けられるフランジ又は脱着継ぎ手8は、フレーム機能を備えた集合配管5の上側に取り付けられている。そして図4の(a)は側面図を示し、また図4の(b)は正面図を示している。
【0024】
図5は、本発明の実施形態に係る水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造の第4の実施例を示す図である。図5に示す第4の実施例は、冷却体6がフレーム機能を備えた集合配管5の両面(図5の(a)参照)に取り付けて構成した水冷式半導体冷却ユニットのスタ
ック構造としたものである。図5において、冷却水の給水側に設けられるフランジ又は脱着継ぎ手8は、フレーム機能を備えた集合配管5の下側に取り付けられ、また冷却水の排水に設けられるフランジ又は脱着継ぎ手8は、フレーム機能を備えた集合配管5の上側に取り付けられている。そして図5の(a)は側面図を示し、また図5の(b)は正面図を示している。
【0025】
図6は、本発明の実施形態に係る水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造の第5の実施例を示す図である。図6に示す第5の実施例は、冷却体6がフレーム機能を備えた集合配管5の片面(図6の(a)参照)に取り付けて構成した水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造としたものである。図6において、冷却水の給水部及び排水部に接続されるフランジ又は脱着継ぎ手8は、フレーム機能を備えた集合配管5の中段の同一の高さに取り付けられている。そして図6の(a)は側面図を示し、また図6の(b)は正面図を示している。
【0026】
図7は、本発明の実施形態に係る水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造の第6の実施例を示す図である。図7に示す第6の実施例は、冷却体6がフレーム機能を備えた集合配管5の両面(図7の(a)参照)に取り付けて構成した水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造としたものである。図7において、冷却水の給水部及び排水部に接続されるフランジ又は脱着継ぎ手8は、フレーム機能を備えた集合配管5の中段の同一の高さに取り付けられている。そして図7の(a)は側面図を示し、また図7の(b)は正面図を示している。
【0027】
なお、フランジ又は脱着継ぎ手8の取り付け位置は図2ないし図7に示されるように、作業現場における取り付け易さに柔軟に対応できるものであり、この特徴は設計自由度が大幅に向上していることをもの語り、この設計自由度の向上は、上述した本発明によるスタック構成の冷却体間の流量バランスを調整する部品・機能を具備することなくフレーム機能を備えた集合配管と冷却体のみで半導体を水冷冷却する水冷冷却構造が構成できる、という本発明の作用効果に由来するものと考える。
【0028】
図8は、本発明の実施形態に係る水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造の各実施例で使用される嵌合部の詳細構成を示す図である。図8において嵌合部は、冷却体6の冷却水口2にOリングまたはガスケットなどの嵌合部材9を配置し、一方、フレーム機能を備えた集合配管5には、上記したように冷却体6の冷却水口2に対応する位置に、冷却水口2の直径より幾分大きく且つ断面がテーパー状にされた冷却体取り付け板10を設け、冷却体6の上方から加圧した状態で締着することによって嵌合部材9により冷却水口2と冷却体取り付け板10とを水密に嵌合できる。なお、上記において締着方法は各種の方法があり、その具体的な手段は当業者に周知であるので敢えて図示を省略している。またフレーム機能を備えた集合配管5は、圧力損失の低い空洞ステンレス製パイプを用い、これに冷却体取り付け板10を溶接して取り付けて構成することは上述したとおりである。またOリングまたはガスケットは可塑性を有するゴムなどで構成されているものを使用すると良い。
【0029】
図9は、本発明の実施形態に係る水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造の各実施例で使用される冷却ヘッダーおよび水路の形状を示す図である。図9の(a)は、冷却体6の構造を示す一部破断平面図で、冷却ヘッダー1および水路3の形状が見えるようにしている。すなわち、一部破断平面図で示した冷却体6には、冷却水が冷却水口2から冷却体6内に流入し、所定曲率の屈曲部11を持つ冷却体ヘッダー1を介して冷却体6内に設けられた水路3に均一に流入するようにされる。なお水路3は、冷却能力を上げるために溝を密に掘って形成されるため、冷却体6を流れる冷却水の圧力損失を集合配管5における圧力損失に比して2桁程度高めることができ、このためスタック構成の冷却体6間において格別の流量バランスを採る必要がないことは上述したとおりである。また図示していない
が、幾つかのパーツに分割された銅材で構成され、冷却水口2を含む部材を蝋付けして取り付けると共に、冷却体ヘッダー1を構成する部材に所定曲率の屈曲部を持たせると共に水路3用に溝を形成したうえで蝋付けして取り付けるようにしている。なお図示例は冷却水が冷却水口2から冷却体6内に流入する例について説明しているが、冷却水が冷却水口2から冷却体6外に排出される場合も同じであるため図示を省略している。また図9の(b)は、冷却体6の構造を示す右側面図で、冷却水口2と共に密に溝が掘られて形成された水路3および屈曲部の冷却体ヘッダーが透過図で表されている。
【0030】
図10は、本発明の実施形態に係る水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造の各実施例で使用される水冷抵抗体の取り付け構造を示す図である。図10の(a)は、水冷抵抗体の取り付けの様子を示す上面図であり、フレーム機能を備えた集合配管5と冷却体6とが上述したように嵌合部材9により冷却水口2と冷却体取り付け板10とを水密に嵌合されており、その状態に保たれているとき、半導体取り付け部4を介して半導体素子14が、またスナバ抵抗や分圧抵抗としての役割を有する水冷抵抗体12が冷却体6に取り付けられ、さらに半導体素子14と水冷抵抗体12とを接続導体13により接続している。図10の(a)は、図2、図4、図6に示した片面に冷却体6を取り付けた実施例に対応するものであるが、これを図3、図5、図7に示した両面に冷却体6を取り付けた実施例にも適用できることは説明するまでもない。また図10の(b)は、水冷抵抗体の取り付けの様子を示す右側面図であり、冷却体6に、半導体取り付け部4を介して半導体素子14、および、水冷抵抗体12が取り付けられ、その間を接続導体13により接続されている様子が見てとれる。
【符号の説明】
【0031】
1 冷却体ヘッダー
2 冷却水入口/出口
3 水路
4 半導体取り付け部
5 フレーム機能を備えた集合配管(ヘッダー)
6 冷却体
7 外箱
8 フランジ又は脱着継ぎ手
9 嵌合部材
10 冷却体取り付け板
11 屈曲部
12 水冷抵抗体(スナバ抵抗)
13 接続導体
14 半導体素子単体
51 取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体を冷却体に取り付けて該冷却体を水冷する水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造において、給水側及び排水側に冷却水口が設けられた冷却体と、外箱または外部フレームに取り付けるための取付部を有し、前記半導体が取り付けられた前記冷却体を橋架するフレーム機能を備えた集合配管と、前記冷却体と前記集合配管とを水密に嵌合するために前記冷却水口に取り付けられる嵌合部材と、該嵌合部材により前記集合配管に水密に嵌合させた前記冷却体を前記集合配管間に複数配列してスタックを構成したことを特徴とする水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造。
【請求項2】
前記嵌合部材は、Oリングまたはガスケットであることを特徴とする請求項1に記載の水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造。
【請求項3】
前記集合配管は、圧力損失の小さい空洞ステンレス製パイプに冷却体取り付け板を溶接して構成され、該冷却体取り付け板に設けられた取り付け孔に前記冷却水口を前記嵌合部材により嵌合し、
前記冷却体は、前記冷却水口から流入した冷却水の圧力損失を増すために流路を密に形成し前記パイプに対し圧力損失を大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造。
【請求項4】
前記冷却体は、圧力損失が前記集合配管より2桁以上大きいことを特徴とする請求項3に記載の水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造。
【請求項5】
前記冷却体は、前記冷却水口の外延に沿って所定の局率を持つ屈曲部が形成されたヘッダーを有し、該屈曲部により前記半導体取り付け面の各流路に流れる冷却水量が均一となるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造。
【請求項6】
前記冷却体は、前記集合配管の片面に複数配列されることを特徴とする請求項1に記載の水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造。
【請求項7】
前記冷却体は、前記集合配管の両面に複数配列されることを特徴とする請求項1に記載の水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造。
【請求項8】
半導体素子取り付け面に対面する前記冷却体の裏側に水冷抵抗を取り付けたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造。
【請求項9】
前記水冷抵抗は、スナバ抵抗又は分圧抵抗であることを特徴とする請求項8に記載の水冷式半導体冷却ユニットのスタック構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−198802(P2011−198802A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60705(P2010−60705)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】