説明

水処理システム

【課題】簡素かつ低コストで水質の異なる複数種の水を効率良く外部機器に給水することのできる水処理システムを実現する。
【解決手段】原水を陽イオン交換して軟水を生成する軟化装置2と、軟水を膜ろ過分離して処理水を生成するRO装置11とを備え、軟水又は/及び処理水を洗浄機に給水する。紫外線殺菌装置5を配した貯留タンク6が、軟化装置2の下流側に配されると共に、該貯留タンク6には、前記軟水が出水する第1及び第2の軟水ライン8、9が接続されている。第2の軟水ライン9が、RO装置11に接続されると共に、該RO装置11からの処理水ライン12が第1の軟水ライン8と合流して送水ライン13を形成し、洗浄機からの要求に応じ軟水又は/及び処理水が送水ライン13を介して洗浄機に給水されるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水処理システムに関し、より詳しくは、洗浄機等の外部機器に所望水質の水を給水する水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
被洗浄物の洗浄は、通常、複数の工程を経て行なわれる。そして、これらの複数の工程では、それぞれの工程に適した水質の水が給水され、被洗浄物を処理するのが一般的である。
【0003】
例えば、医療器具の洗浄は、洗浄・すすぎ等の複数の工程を経て処理されるが、洗浄工程では、洗剤が溶け易く、汚れもよく落ちる軟水の使用が好まれ、すすぎ工程では、被洗浄物へのイオン類の付着を極力回避するために純水の使用が好まれる。
【0004】
また、純水の製法としては、従来より、地下水や水道水等の原水を逆浸透膜(以下、「RO膜」という。)やナノろ過膜で膜ろ過分離して製造する方法、或いはイオン交換樹脂で脱イオン処理して製造する方法が広く知られている。
【0005】
そして、例えば、特許文献1には、図4に示すような生活用水供給システムが提案されている。
【0006】
この生活用水供給システムは、膜ろ過分離装置としての逆浸透膜ろ過装置(以下、「RO装置」という。)101と、電気軟化装置102とを有している。電気軟化装置102は、陽極室と陰極室とを有し、一価カチオン選択透過膜とカチオン交換膜とが交互に配され、前記陽極室と前記陰極室との間が通水室とされ、一価カチオン選択透過膜の陰極側に位置する通水室が軟化室、一価カチオン選択透過膜の陽極側に位置する通水室が置換室とされている。
【0007】
そして、原水ライン103を通過する原水の一部は、RO装置101で処理されて濃縮水と処理水とに膜分離され、処理水は処理水ライン104を介して外部機器に給水される。一方、濃縮水は濃縮水ライン105を介して電気軟化装置102の置換室に流入される。また、原水の一部は原水供給ライン106を介して電気軟化装置102の軟化室に流入し、該軟化室で生成された軟水は軟水ライン107を介して外部機器に給水される。また、置換室の水は、一部が酸性水となって陽極室から酸性水ライン108を通過して外部機器に給水され、残りはアルカリ性水となって陰極室からアルカリ性水ライン109を通過して外部機器に給水される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−100175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1では、軟水や処理水等の水質の異なる複数の水を並列的に生成し、それぞれの水を外部機器等に給水するシステムであるため、水質の異なる各種の水を一旦貯留槽に貯留した後、該貯留槽から外部機器等に給水しなければならず、このためシステムが大型化するという問題点があった。
【0010】
また、特許文献1では、水質の異なる複数種の水を得るために電気軟化装置102を使用しているが、電気軟化装置102の場合、常に通電状態にして水質の異なる複数種の水を生成する必要がある。しかしながら、医療器具等の被洗浄物を洗浄する場合は、通常、軟水及び純水の他、これらの混合水が使用できれば十分であり、斯かる場合にまで電気軟化装置102を使用すると、常時通電によるランニングコストが嵩むという問題点があった。また、電気軟化装置102を使用して軟水以外に酸性水やアルカリ性水も生成しているため、軟水の生成処理能力も低いという問題点があった。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、簡素かつ低コストで水質の異なる複数種の水を効率良く外部機器に給水することのできる水処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明に係る水処理システムは、原水を陽イオン交換して軟水を生成する軟化装置と、前記軟水を膜ろ過分離して処理水を生成する膜ろ過分離装置とを備え、少なくとも前記軟水及び前記処理水を含む水質の異なる複数種の水を外部機器に給水する水処理システムにおいて、前記軟水を貯留する貯留タンクが、前記軟化装置の下流側に配されると共に、該貯留タンクには、前記軟水が出水する第1及び第2の軟水ラインが接続され、前記第2の軟水ラインが、前記膜ろ過分離装置に接続されると共に、該膜ろ過分離装置からの処理水ラインが前記第1の軟水ラインと合流して送水ラインを形成し、前記外部機器からの要求に応じ前記軟水及び前記処理水のうちの少なくともいずれか一方が前記送水ラインを通過するように制御する制御手段を備えていることを特徴としている。
【0013】
また、本発明の水処理システムは、前記膜ろ過分離装置は、RO装置及びナノろ過膜装置のうちのいずれか一方を含むことを特徴としている。
【0014】
また、本発明の水処理システムは、前記処理水のみを前記外部機器に給水するときは、前記処理水の一部は、前記貯留タンクに還流されることを特徴としている。
【0015】
また、本発明の水処理システムは、前記外部機器に送水される水の水質を検出する水質検出手段が、前記送水ラインに介装され、前記制御手段は、前記水質検出手段の検出値が所定の目標値となるように、前記外部機器に送水される送水流量を制御することを特徴としている。
【0016】
また、本発明の水処理システムは、前記外部機器に送水する送水手段が、前記送水ラインに介装されていることを特徴としている。
【0017】
また、本発明の水処理システムは、前記貯留タンクには、紫外線殺菌装置が配されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
上記水処理システムによれば、原水を陽イオン交換して軟水を生成する軟化装置と、前記軟水を膜ろ過分離して処理水を生成する膜ろ過分離装置(RO装置、ナノろ過膜装置)とを備え、少なくとも前記軟水及び前記処理水を含む水質の異なる複数種の水を外部機器に給水する水処理システムにおいて、前記軟水を貯留する貯留タンクが、前記軟化装置の下流側に配されると共に、該貯留タンクには、前記軟水が出水する第1及び第2の軟水ラインが接続され、前記第2の軟水ラインが、前記膜ろ過分離装置に接続されると共に、該膜ろ過分離装置からの処理水ラインが前記第1の軟水ラインと合流して送水ラインを形成し、前記外部機器からの要求に応じ前記軟水及び前記処理水のうちの少なくともいずれか一方が前記送水ラインを通過するように制御する制御手段を備えているので、外部機器の要求に応じ軟水又は/及び処理水を外部機器に容易に給水することができ、かつ処理水を貯留するためのタンクが不要であるので、システムを簡素化することができる。また、軟化装置として、陽イオン交換して軟水を生成するイオン交換式軟化装置を使用するので、電気式軟化装置のようにランニングコストが嵩むこともなく、コストを節減することが可能となる。そして、これによりシステムの低コスト化を実現できる。
【0019】
また、前記処理水のみを前記外部機器に給水するときは、前記処理水の一部は、前記貯留タンクに還流されるので、処理水を貯留するタンクを要することなく、所望量の処理水のみを容易に外部機器に給水することが可能となる。
【0020】
また、前記外部機器に送水される水の水質を検出する水質検出手段が、前記送水ラインに介装され、前記制御手段は、前記水質検出手段の検出値が所定の目標値となるように、前記外部機器に送水される送水流量を制御するので、外部機器の要求に応じて水質を制御することが可能となり、必要に応じた純度の水を外部機器に供給することが可能となる。
【0021】
また、前記外部機器に送水する送水手段が、前記送水ラインに介装されているので、送水手段を制御することにより所望純度の水を外部機器に給水することが可能となる。
【0022】
また、前記貯留タンクには、紫外線殺菌装置が配されているので、貯留タンクに貯留された軟水に含有される微生物や細菌等を貯留タンク内で容易に死滅させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る水処理システムの一実施の形態を示すシステム構成図である。
【図2】上記水処理システムの制御系を示すブロック構成図である。
【図3】上記水処理システムの制御手順を示すフローチャートである。
【図4】特許文献1に記載された生活用水供給システムのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づき詳説する。
【0025】
図1は本発明に係る水処理システムの一実施の形態(第1の実施の形態)を示すシステム構成図であって、該水処理システムは、外部機器としての洗浄機に接続されている。
【0026】
すなわち、本水処理システムは、地下水や水道水等の原水に含有される遊離塩素を除去する活性炭ろ過装置1と、該活性炭ろ過装置1を通過した原水を陽イオン交換して軟水を生成する軟化装置2と、軟水中の固形不純物をろ過するプレフィルター3と、軟水の通過量を制御する制御弁4と、紫外線殺菌装置5が配されると共に軟水が貯留される貯留タンク6とを有し、原水ライン7を通過する原水は、軟水となって貯留タンク6に貯留されるように構成されている。
【0027】
活性炭ろ過装置1は、活性炭が層状に内蔵されており、原水に含有される遊離塩素を除去する。また、この活性炭ろ過装置1には、タイマが内蔵されており、原水ライン7からの原水の供給を定期的に停止して再生処理を行う。すなわち、この活性炭ろ過装置1は、所定時間(例えば、0.5〜1/日)毎に再生モードに突入し、逆洗ポンプ(不図示)を駆動して該活性炭ろ過装置1に給水し、逆洗した後、所定時間経過後に水洗し、活性炭に付着したゴミ等の異物を除去し、再生する。
【0028】
この活性炭ろ過装置1は、例えば、原水に含まれる遊離塩素の含有量が微小である場合等、原水の水質によっては省略することが可能である。ただし、前記遊離塩素が原水中に多量に含まれている場合や、微生物を殺菌する目的で次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤を意図的に原水に注入する場合等は、後述するRO膜の酸化劣化を防止する観点から、RO装置の前段で遊離塩素を除去するのが望ましく、活性炭ろ過装置1を設けるのが好ましい。
【0029】
軟化装置2は、ナトリウム型の陽イオン交換樹脂(不図示)が内有されている。そして、原水ライン7からの原水が、軟化装置2に供給されると、原水に含まれる硬度成分(カルシウムイオン及びマグネシウムイオン)が、陽イオン交換樹脂のナトリウムイオンとイオン交換されて除去され、軟水化される。また、前記陽イオン交換樹脂の交換能力が飽和状態になると、軟化装置2は通水モードから再生モードに切り替えられて飽和食塩水が塩水タンク(不図示)から供給され、これにより陽イオン交換樹脂の再生が行われる。そして再生処理が終了すると、再び通水モードとなって原水が供給可能状態となる。
【0030】
尚、軟化装置2の形式としては、特に限定されるものではない。例えば、通水及び再生剤(飽和食塩水)の双方を同一方向に流す並流再生方式、通水と再生剤とを互いに対向するように流す向流再生方式、通水を一方方向から流し、再生剤を双方向から流すようにしたスプリットフロー再生方式のいずれでもよいが、高効率で再生処理を行うことのできる向流再生方式、又はスプリットフロー再生方式を使用するのが好ましい。
【0031】
貯留タンク6には第1及び第2の軟水ライン8、9が接続されている。第2の軟水ライン9は、制御弁10を介してRO装置11に接続され、さらに該RO装置11は処理水ライン12に接続されている。そして、該処理水ライン12は第1の軟水ライン8と合流し、該合流点より下流側は送水ライン13を形成している。
【0032】
送水ライン13には送水ポンプ(送水手段)14が介装され、さらに該送水ポンプ14の下流側には電気伝導度センサ(以下、「ECセンサ」という。)15が介装されている。このECセンサ15は、送水ライン13を通過する水の電気伝導度(水質)を検出し、後述する制御部に検出信号を送信する。
【0033】
また、送水ライン13は、第1の給水ライン16、第2の給水ライン17、及び第3の給水ライン18に分岐され、各々制御弁19、20、21を介して外部機器としての洗浄機にそれぞれ軟水、処理水、又はこれらの混合水が給水される。
【0034】
RO装置11は、RO膜22aを内蔵したRO膜モジュール22と、加圧ポンプ23とを有している。RO膜モジュール22は、被処理水である軟水が供給される一次側とRO膜22aを透過した処理水を出力する二次側とに分離されている。また、一次側には排水ライン24及び循環ライン25が接続され、二次側から排水される濃縮水の一部が第2の軟水ライン9に還流され、残りの濃縮水は排水弁26を介して排水ライン24から外部に排水される。
【0035】
そして、本実施の形態では、処理水のみが送水ライン13を通過するときは、RO装置11で生成される処理水の流量(処理水流量)Q1が、送水ライン13を通過する送水流量Q2よりも多くなるようにRO装置11が選定され、処理水流量Q1と送水流量Q2との差分流量(Q1−Q2)は貯留タンク6に還流され、矢印Aに示すように循環するように構成されている。
【0036】
このように構成された水処理システムでは、原水ライン7からの原水が活性炭ろ過装置1に供給され、原水に含有される遊離塩素が除去される。そして、遊離塩素が除去された原水は軟化装置2に供給される。そして、該軟化装置2で原水を軟水化し、軟水を生成する。次いで、軟水はプレフィルター3で処理されて固形不純物が除去され、制御弁4を経て貯留タンク6に貯留される。貯留タンク6では、紫外線殺菌装置5から軟水に紫外線を照射し、微生物や細菌を死滅させる。
【0037】
そして、貯留タンク6内の軟水は、第1の軟水ライン8又は/及び第2の軟水ライン9に出水し、洗浄機からの要求に応じ、洗浄機に軟水、処理水、又はこれらの混合水を給水する。
【0038】
洗浄機から軟水のみの給水要求があるときは、制御弁10を閉弁すると共に、送水ポンプ14が駆動して制御弁19が開弁し(制御弁20、21は閉弁)、第1の軟水ライン8→送水ライン13→第1の給水ライン16を経て洗浄機28に軟水が給水される。
【0039】
また、洗浄機から処理水のみの給水要求があるときは、制御弁10を開弁すると共に、加圧ポンプ23及び送水ポンプ14が駆動して制御弁20が開弁し(制御弁19、21は閉弁)、第2の軟水ライン9→処理水ライン12→送水ライン13→第2の給水ライン17を経て洗浄機に処理水が給水される。この場合、上述したように処理水流量Q1は送水流量Q2よりも多くなるようにRO装置11が選定されているため、差分流量(Q1−Q2)は矢印Aに示すように、第1の軟水ライン8を介して貯留タンク6に還流され、第2の軟水ライン9を経てRO装置11に再び給水される。
【0040】
一方、洗浄機から軟水及び処理水の混合水の給水要求があるときは、送水ポンプ14の回転数を制御して送水流量を制御すると共に、制御弁21を開弁し(制御弁19、20は閉弁)、第3の給水ライン18から軟水と処理水の混合水を洗浄機に給水する。
【0041】
図2は、上記水処理システムの制御系を示すブロック構成図である。
【0042】
制御部27は、洗浄機28、活性炭ろ過装置1、軟化装置2との間でインターフェース動作を司り、ECセンサ15からの検出信号を受信すると共に、送水ポンプ14、加圧ポンプ23、各制御弁4、10、18〜20、及び紫外線殺菌装置5に駆動信号を送信する入出力部29と、所定の演算プログラム等が格納されたROM30と、演算結果を一時的に記憶したりワークエリアとして使用されるRAM31と、システム全体を制御するCPU32とを備えている。
【0043】
そして、洗浄機28に給水される水の水質は、洗浄機28から送信されてくる各洗浄工程(例えば、洗浄工程及びすすぎ工程等)に対応した給水要求信号、或は、目標ECによって決定され、後者の場合には、ECセンサ15によって検出される電気伝導度(検出EC)が目標ECとなるように、送水ライン13を通過する水質が制御される。
【0044】
すなわち、洗浄機28が洗浄工程のときは、軟水供給要求信号が制御部27に送信される。そして、送水ポンプ14、加圧ポンプ23、各制御弁10、18〜20が制御されて、軟水のみが洗浄機28に給水される。
【0045】
また、洗浄機28がすすぎ工程のときは、処理水給水要求信号が制御部27に送信される。そして、送水ポンプ14、加圧ポンプ23、各制御弁10、18〜20が制御されて、処理水のみが洗浄機28に給水される。
【0046】
一方、洗浄機28から特定の目標ECが送信されてきたときは、検出ECが目標ECとなるように軟水と処理水との混合水を洗浄機28に給水する。この場合、RO装置11からの処理水流量Q1は、すべて送水ライン13に流入する。そして、検出ECが目標ECとなるように送水ポンプ14の回転数を制御し、これにより軟水流量Q3を制御する。このように処理水量Q1に軟水流量Q3を混入させて送水流量Q4(=Q1+Q3)の検出ECが目標ECとなるように制御し、これにより所望水質の混合水が第3の給水ライン18から洗浄機28に給水されることとなる。
【0047】
図3は、上記水処理システムの制御手順を示すフローチャートである。
【0048】
ステップS1では送水ポンプ14が駆動しているか否かを判断する。そして、その答が否定(No)、すなわち送水ポンプ14が駆動していないときは洗浄機28からの給水指令が発せられていないと判断し、送水ポンプ14が駆動するまで待機する。
【0049】
一方、ステップS1の答が肯定(Yes)、すなわち、送水ポンプ14が駆動しているときは、ステップS2に進み、軟水のみを給水要求しているか否かを洗浄機28から送信される軟水給水要求信号の有無に基づき判断する。
【0050】
そして、その答が肯定(Yes)、すなわち、洗浄機28が軟水のみの給水要求をしていると判断した場合は、ステップS3に進み、制御弁19、20を閉状態とし、制御弁18を開弁し、第1の給水ライン16から洗浄機28に軟水を給水し、その後ステップS1に戻る。
【0051】
一方、ステップS2の答が否定(No)のとき、すなわち、軟水のみの給水要求をしていないと判断したときは、ステップS4に進み、処理水のみを給水要求しているか否かを洗浄機28から送信される処理水給水要求信号の有無に基づき判断する。そして、その答が肯定(Yes)のときは、ステップS5に進み、制御弁10を開弁して加圧ポンプ23を駆動し、続くステップS6で制御弁18、20を閉状態とし、制御弁19を開弁し、第2の給水ライン17から洗浄機28に処理水を給水し、その後ステップS1に戻る。尚、上述したように洗浄機28に処理水のみを給水する場合は、RO装置11からの処理水流量Q1は洗浄機28に給水される送水流量Q2よりも多くなるようにRO装置11が選定されていることから、その差分流量(Q1−Q2)は、図1の矢印Aに示すように、第1の軟水ライン8を経て貯留タンク6に還流され、第2の軟水ライン9からRO装置11に再び給水される。
【0052】
一方、ステップS4の答が否定(No)の場合、すなわち、洗浄機28が軟水のみ又は処理水のみを要求していないときは、軟水及び処理水の混合水を要求していると判断し、ステップS7に進む。
【0053】
そして、このステップ7では制御部27がECセンサ15で電気伝導度を検出する。
【0054】
次いで、ステップS8では検出された電気伝導度(検出EC)が洗浄機28から送信される目標ECとなるように、検出ECに応じて送水ポンプ14の回転数を制御して軟水流量Q3を制御し、制御弁19、20を閉弁し、制御弁21を開弁し、軟水と処理水との混合水を第3の給水ライン18から洗浄機28に給水し、その後、ステップS1に戻る。尚、送水ポンプ14の回転数は、検出ECが目標ECとなるように、軟水の電気伝導度、処理水の電気伝導度、送水ポンプ14の処理能力、及び洗浄機28からの目標EC等を総合的に判断して決定される。
【0055】
このように本実施の形態は、第1及び第2の軟水ライン8、9が貯留タンク6に接続され、前記第2の軟水ライン9が、RO装置11に接続されると共に、該RO装置11からの処理水ライン12が前記第1の軟水ラインと合流して送水ライン13を形成し、洗浄機28からの要求に応じ軟水及び前記処理水のうちの少なくともいずれか一方が送水ライン13を通過するように制御する制御部27を備えているので、洗浄機28の要求に応じ軟水又は/及び処理水を洗浄機28に容易に供給することができ、かつ処理水を貯留するためのタンクが不要であるので、システムを簡素化することができる。
【0056】
また、軟化装置2として、陽イオン交換して軟水を生成するイオン交換式軟化装置を使用しているので、電気式軟化装置のようにランニングコストが嵩むこともなく、コストを節減することが可能となる。
【0057】
さらに、RO装置11で生成された処理水のみを洗浄機28に給水するときは、処理水の一部は、貯留タンク6に還流するので、処理水を貯留するタンクを要することなく、所望量の処理水のみを容易に洗浄機28に給水することが可能となる。
【0058】
また、洗浄機28に送水される水の水質を検出するECセンサ15が、送水ライン13に介装され、前記制御部27は、ECセンサ15の検出値が所定の目標値となるように、前記洗浄機28に送水される送水流量を制御するので、洗浄機28の要求に応じて水質を制御することが可能となり、必要に応じた水質の水を洗浄機28に供給することが可能となる。
【0059】
また、洗浄機28に送水する送水ポンプ14、送水ライン13に介装されているので、送水ポンプ14の回転数を制御することにより所望水質の水を洗浄機28に給水することが可能となる。
【0060】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態では、軟水供給用、処理水供給用、及び混合水供給用の用途別に3本の給水ライン16〜18を設け、それぞれの給水ライン16〜18に制御弁19〜21を介装して洗浄機28に所望水質の水を給水しているが、一本の給水ラインでこれら水質の異なる水を給水するようにしてもよい。また、上記実施の形態では、混合水を給水する場合、送水ポンプ14の回転数で流量制御しているが、制御弁21の開弁度で流量制御してもよい。
【0061】
また、上記実施の形態では、膜ろ過分離装置としてRO装置11を使用しているが、高純度の処理水を生成できるのであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ナノろ過膜装置を使用する場合も同様に適用できるのはいうまでもない。同様に、水質検出手段についても、ECセンサ15に限定されるものではなく、用途に応じた水質を検出できるものであればよく、例えば、比抵抗計等であってもよい。
【0062】
また、上記実施の形態では、外部機器について洗浄機を例示したが、軟水及び処理水を含む水質の異なる複数種の水を給水する水処理系、例えば、ボイラ、部品洗浄、生活用水にも適用することが可能である。
【0063】
また、上記実施の形態では、混合水を洗浄機に供給する場合、処理水流量Q1を固定とし、軟水流量Q3を調整することによって検出ECが目標ECとなるように制御しているが、軟水流量Q3を固定化し、処理水流量Q1を可変にして検出ECが目標ECとなるように制御してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
簡素かつ低コストで水質の異なる複数種の水を効率良く外部機器に給水することのでき、特に医療器具の洗浄等に適した水処理システムを実現できる。
【符号の説明】
【0065】
2 軟化装置
5 紫外線殺菌装置
6 貯留タンク
8 第1の軟水ライン
9 第2の軟水ライン
11 RO装置(逆浸透膜装置)
13 送水ライン
14 送水ポンプ(送水手段)
15 ECセンサ(水質検出手段)
27 制御部(制御手段)
28 洗浄機(外部機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を陽イオン交換して軟水を生成する軟化装置と、前記軟水を膜ろ過分離して処理水を生成する膜ろ過分離装置とを備え、少なくとも前記軟水及び前記処理水を含む水質の異なる複数種の水を外部機器に給水する水処理システムにおいて、
前記軟水を貯留する貯留タンクが、前記軟化装置の下流側に配されると共に、該貯留タンクには、前記軟水が出水する第1及び第2の軟水ラインが接続され、
前記第2の軟水ラインが、前記膜ろ過分離装置に接続されると共に、該膜ろ過分離装置からの処理水ラインが前記第1の軟水ラインと合流して送水ラインを形成し、
前記外部機器からの要求に応じ前記軟水及び前記処理水のうちの少なくともいずれか一方が前記送水ラインを通過するように制御する制御手段を備えていることを特徴とする水処理システム。
【請求項2】
前記膜ろ過分離装置は、逆浸透膜ろ過装置及びナノろ過膜装置のうちのいずれか一方を含むことを特徴とする請求項1記載の水処理システム。
【請求項3】
前記処理水のみを前記外部機器に給水するときは、前記処理水の一部は、前記貯留タンクに還流されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の水処理システム。
【請求項4】
前記外部機器に送水される水の水質を検出する水質検出手段が、前記送水ラインに介装され、
前記制御手段は、前記水質検出手段の検出値が所定の目標値となるように、前記外部機器に送水される送水流量を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の水処理システム。
【請求項5】
前記外部機器に送水する送水手段が、前記送水ラインに介装されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の水処理システム。
【請求項6】
前記貯留タンクには、紫外線殺菌装置が配されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の水処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−36809(P2011−36809A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186580(P2009−186580)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】