説明

水処理装置

【課題】
本発明は優れた濾過効果が得られるとともに、水アカ(スケール)の発生を防止し、水アカを除去することができる処理水を供給可能な水処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明に係る水処理装置は、ケーシング内に形成された水処理室内に被処理水を供給するとともに被処理水に磁気処理を行う磁気処理部と、前記磁気処理水の浄化を行う浄水部とを備え、
前記磁気処理部が、前記被処理水を水処理室内に供給するパイプ部材と、前記パイプ部材の外周面を囲繞するように配設され、被処理水がパイプ部材内部を圧送される際に該被処理水に対し磁気処理を行う磁性部材とを有し、前記浄水部が、前記水処理室内に充填され、前記パイプ部材を介して水処理室内に流入した磁気処理水中の不純物を吸着する多孔質材と、前記水処理室内に配設され、前記多孔質材により処理された吸着処理水を、内方向に通過させて濾過する略円筒状のフィルター部材とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理水に磁気処理を行うとともに、該処理水に浄化処理を行い、これらの処理が行われた処理水を得るための水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水道水や工場などで利用される井戸水には、種々の不純物が混入している。近年、健康への意識の高まりや機械の精密化に伴い、水から不純物を除去する要請が強くなっている。このような要請から、様々なフィルターが開発されており、例えば、実開昭63−63874号公報(特許文献1)においては、透孔を有するパイプ材の外周に特定の厚さの不織布層を設け、さらにこの不織布層の上に特定の厚さで糸体を巻回した糸体層を設けた濾過フィルターが提案されている。しかしながら、このような濾過フィルターは、不純物を除去する能力は充分ではなかった。
【0003】
一方、浴槽、水道管(井水管)の内部やクーリングタワーや熱交換器などの水が接触するあらゆる箇所では、水アカ(スケール)が付着する問題がある。水アカの発生は、美観を損ねるばかりでなく、水アカにより水道管(井水管)内部を水が流れ難くなったり、クーリングタワーや熱交換器等の各種設備の機能を低下させる問題があった。
【0004】
また、配管内部や装置内部などの手の届かない部分に水アカが付着すると、除去するのは困難であるため、一旦水アカが付着しても放置せざるを得なかった。したがって、次第に水アカが付着していくため各種設備の寿命が短くなるという問題があった。またさらに、水アカの除去作業自体は容易な部分であっても、水アカは容易に除去できないため、その除去作業が長時間に及ぶという問題もあった。
【特許文献1】実開昭63−63874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような現状に鑑み、優れた濾過効果が得られるとともに、水アカ(スケール)の発生を防止し、水アカを除去することができる処理水を供給可能な水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る水処理装置は、ケーシング内に形成された水処理室内に被処理水を供給するとともに被処理水に磁気処理を行う磁気処理部と、前記磁気処理水の浄化を行う浄水部とを備え、
前記磁気処理部が、
前記被処理水を水処理室内に供給するパイプ部材と、
前記パイプ部材の外周面を囲繞するように配設され、被処理水がパイプ部材内部を圧送される際に該被処理水に対し磁気処理を行う磁性部材とを有し、
前記浄水部が、
前記水処理室内に充填され、前記パイプ部材を介して水処理室内に流入した磁気処理水中の不純物を吸着する多孔質材と、
前記水処理室内に配設され、前記多孔質材により処理された吸着処理水を、内方向に通過させて濾過する略円筒状のフィルター部材とを有する
ことを特徴とする。
【0007】
前記磁性部材が、パイプ部材に当接する側をS極となるように構成されていることが好
ましい。
前記磁性部材が、フェライト磁石から形成されていることが好ましい。
【0008】
前記フィルター部材が、通孔を有する円筒部材の外周部に巻回された、第1の不織布層と、繊維状活性炭不織布層と、第2の不織布層との三層が予め積層された積層体と、前記積層体の外周に巻回された糸体層とから構成されていることが好ましい。
【0009】
前記多孔質材が、活性炭またはサンゴ粉末であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の水処理装置によれば、磁性部材により被処理水が磁気処理されるとともに、多孔質材とフィルター部材とからなる浄水部により、被処理水が浄化される。
このような磁気処理された水によれば、水アカの付着が軽減されるため、水アカにより水道管(井水管)内部を水が流れ難くなったり、クーリングタワーや熱交換器等の各種設備の機能を低下させることがない。さらに、この磁気処理水は、既に付着している水アカを除去する効果もあるため、水道管(井水管)の途中や、クーリングタワーや熱交換器等の各種設備の水取り入口に装着することにより、配管や各種設備の寿命を向上させることができる。
【0011】
さらに、多孔質材とフィルター部材とにより被処理水が浄化されるため、水道水や井戸水に混入している不純物を除去することができる。
本発明の水処理装置に用いられる磁性部材が、パイプ部材に当接する側をS極となるように構成され、さらにフェライト磁石から形成されており、被処理水に対する磁気処理が効果的に行われるため、上記効果に特に優れる。
【0012】
本発明の水処理装置に用いられるフィルター部材は、円筒部材の外周部に巻回された所定の積層体と、前記積層体の外周に巻回された糸体層とから構成されている。
従って、液体中に分散している浮遊物は、まず糸体層で大きい順に順次段階的に濾過され、この糸体層を通過した非常に微細な浮遊物だけが第2の不織布層に到達して、この第2不織布層でほとんど濾過されるため、被処理水中の不純物を完全に除去することができる。
【0013】
本発明の水処理装置に用いられる多孔質材が、活性炭またはサンゴ粉末である。
このように、被処理水がフィルター部材で濾過される前に、活性炭またはサンゴ粉末である多孔質材を通過するように構成されているため、フィルター部材で除去できないような極微細な不純物を吸着除去することができ、被処理水中の不純物を効果的に除去することができる。
【0014】
このように本発明の水処理装置は、幾多の作用効果を奏する極めて優れた発明である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
図1は、本発明の水処理装置の実施例の縦断面図、図2は、図1のA−A線での断面図、図3は、図1のB−B線での断面図、図4は、図1のC−C線での断面図である。図1において、10は、全体で本発明の水処理装置を示している。
【0016】
図1に示したように、水処理装置10は、台座11の上に、上部がド−ム状に形成された略円柱形状の収容体(ケーシング)12を有している。この収容体12は、SUSなどの金属部材により形成されている。収容体12は、内部が仕切り15により上下2室に仕切られており、その内部が、水処理室13と、その下方に形成された貯水室14とに分け
られている。水処理装置10は、その上端部にエアー抜き弁16が設けられ、水処理室13内部の内圧を調整可能に構成されている。
【0017】
この水処理室13は、室内に被処理水を供給するとともに被処理水に磁気処理を行う磁気処理部20と、前記磁気処理水の浄化を行う浄水部30とを有する。まず、磁気処理部20について説明する。
【0018】
磁気処理部20は、被処理水を水処理室13内に供給するパイプ部材22と、パイプ部材22の外周面を囲繞するように配設され、被処理水がパイプ部材内部を圧送される際に該被処理水に対し磁気処理を行う磁性部材24とからなる。
【0019】
パイプ部材22はSUSなどの金属部材により形成され、略円柱状の水処理室13内に縦方向に立設されている。このパイプ部材22の下方には、供給管27が水処理装置10の収容体12を貫通して接続され、一方、図2にA-A線断面図に示したように、上端部
には4つの出水孔28が設けられている。本発明においては、パイプ部材22に出水孔28が4つ形成された例によって示すが、特に限定されるものではない。
【0020】
パイプ部材22がこのように構成されていることにより、図1の矢印で示したように、図示しないポンプなどによって供給管27を通じて圧送された被処理水がパイプ部材22内を上方に移動し、出水孔28から水処理室13内に供給される。
【0021】
さらに、このパイプ部材22の外周面には磁性部材24が配設されている。
磁性部材24は、図3および図5に示すように、2つの部材24',24"からなり、これらを固着具25,25によりパイプ部材22の外周面に固定することにより、パイプ部材22の外周面を囲繞するように配設される。この磁性部材24はパイプの直径に合わせ、適宜部材の数を増減して構成することができる。
【0022】
磁性部材24は、図3および5に示したように、パイプ部材22の外周面に当接する突設部24aを有し、この突設部24aが磁性材料により形成されている。磁性材料としては、残留磁束密度2000〜4500G、好ましくは、3000〜4200Gのフェライト磁石が好ましく用いられ、パイプ部材22に当接する側(面)をS極となるように配置される。このような位置に磁性部材24のS極(突設部24a)を配置し、特に、図3に示すようにパイプ部材22を介してS極同士(突設部24a同士)が対向する位置に配置することにより、効率よく磁気処理を行うことができる。したがって、本発明の水処理装置において磁気処理された水は、配管内に水アカが付着するのを軽減することができ、さらに既に付着している水アカを除去することができる。
【0023】
磁性部材24は、パイプ部材22の外周面を囲繞するように縦方向に3つ配設され、これらの磁性部材24は、被処理水と接触しないようにSUSなどの金属部材により形成されたカバー26によって覆われている。このような磁性部材24としては、具体的にはマグネタイザー(商品名、M.G.I社製、残留磁束密度3900G)などが用いられる。
【0024】
この磁性部材24により、被処理水がパイプ部材22内を上方に所定距離移動する際に磁気処理され、この磁気処理水が出水孔28から水処理室13内に供給される。
浄水部30は、図1に示すように、水処理室13内において、パイプ部材22と、磁性部材24を覆うカバー26と、フィルター部材34とから形成される空間に充填される多孔質材32、および水処理室13内に配設され、多孔質材32により処理された磁気処理水を内方向に通過させて濾過する略円筒状のフィルター部材34を有する。
【0025】
多孔質材32としては、特に限定されず、活性炭、シリカゲル、モレキュラーシーブ、
活性アルミナ、サンゴ粉末、骨炭などが用いられる。本発明においては、吸着能力や入手の容易性、さらに安全性やコストなどの面から活性炭、サンゴ粉末が好ましく用いられる。この多孔質材32の充填量は、特に限定されず、吸着能力を考慮し、さらに出水孔28からパイプ部材22の内部に混入しないように調節して用いることが好ましい。
【0026】
多孔質材32では、上述のようにパイプ部材22の出水孔28から水処理室13内に供給された磁気処理水が図1の矢印に示すように浸透していき、多孔質材32により磁気処理水に混入している極微細な不純物が吸着され、次いで、フィルター部材34で濾過される。このように、フィルター部材34により被処理水を濾過する前に、多孔質材32により濾過で除去することができない極微細な不純物を吸着除去することができるため、被処理水から効果的に不純物を除去することができる。
【0027】
一方、略円筒状のフィルター部材34は、円筒部材36の外周面に濾過部38を有してなり、円筒部材36は、水処理室13と貯水室14との仕切り板15を貫通して配置され、水処理室13内と貯水室14内とを連通するように構成されている。つまり、円筒部材36は、図1,6に示すように、無数の通孔40を有しているため、濾過部38を内方向に通過することにより濾過された処理水を、さらに円筒部材36の中空部42を通過させ、貯水室14内に供給することができる。なお、本発明においては、フィルター部材34が4つ設置された例によって説明するが、これに限定されるものではない。
【0028】
このフィルター部材34は、図1,4および6に示したように、円筒部材36の外周面に濾過部38を有してなり、濾過部38は、第1の不織布層42と、繊維状活性炭不織布層44と、第2の不織布層46との三層が予め積層された積層体48が1〜3回程度(図6および図7参照)巻回されている。そして、この積層体48の外周に、糸体層50が巻回されている。
【0029】
これにより、被処理水が、糸体層50、第2の不織布層46、繊維状活性炭不織布層44、および第1の不織布層42を通過して濾過される。そして、濾過された後の流体(被処理水)が、フィルター部内筒52の通孔54から、円筒部材36の通孔40を通って、円筒部材36の中空部42に流入するようになっている。
【0030】
この場合、第1の不織布層42は、JIS-P-8117に基づく密度が0.01〜0.10秒の範囲にある紙材を装着した第1の不織布層42が、全周を被うように形成されている。この第1の不織布層42は、この層の外周側に装着される繊維状活性炭不織布層44を濾過圧から保護し、また繊維状活性炭不織布層44からわずかにほつれて流出した際に、活性炭繊維を捕捉するための層である。
【0031】
この第1の不織布層42の厚さは、0.1〜20mmの範囲内にあり、好ましくは、0.5〜20mm、さらに好ましくは、0.5〜15mm、さらに1〜10mmの範囲内にあることが
特に好ましい。また、繊維状活性炭不織布層44は、多孔質の活性炭繊維を主な原料として不織布状にした繊維状の活性炭の賦形体である。この繊維状活性炭不織布は、吸着効率が高いにも拘らず液体が通過する際の抵抗が少なく、さらに通常の活性炭とは異なり、溶出する粉塵および繊維の量が極めて少ない。また、バインダー、特に水に可溶なバインダーをほとんど含有していないので、所定の形状に賦形されているにも拘らずこれ自体が水質を汚染することがないという特性を有している。
【0032】
繊維状活性炭不織布層44を形成している繊維状活性炭不織布は、比表面積が500〜2500m2/gの範囲内、好ましくは700〜2000m2/gの範囲内、さらに好ましくは900〜1600m2/gの範囲内、かつ目付けが20〜350g/m2の範囲内、好ましくは40〜220g/m2の範囲内、さらに好ましくは80〜150g/m2の範囲内にある
繊維状活性炭不織布である。上記のような比表面積を有する繊維状活性炭を用いることにより、液体中の微細な粒子を吸着することができる。また、上記のような範囲内の目付けを有する繊維状活性炭不織布を用いることにより、濾過効率が低下しない。
【0033】
このような繊維状活性炭不織布自体は、通常0.05〜3.0mm、好ましくは0.15〜
2.5mm、さらに好ましくは0.30〜1.8mmの厚さを有している。本発明ではこのよう
な繊維状活性炭不織布を、0.1〜5mm、好ましくは0.3〜3.3mmの厚さで装着して繊
維状活性炭不織布層44を形成する。さらに、第2の不織布層46は、上記第1の不織布層42を形成する紙材と同等の特性を有する紙材で形成することが好ましい。すなわち、この第2の不織布層46は、JIS-P-8117に基づく密度が0.01〜0.10秒の範囲にある紙材で形成されている。
【0034】
この第2の不織布層46は、糸体層50で濾過されなかった微細な浮遊物を濾過すると共に、上記繊維状活性炭不織布層44を捲き締めて繊維状活性炭不織布の解れなどを防止するとの作用を有する。従って、この第2の不織布層46は、上記第1の不織布層21よりも厚くすることが好ましく、この第2の不織布層25の厚さは、0.5〜15mmの範囲
内にある。そして、この第2不織布層の厚さを1.0〜10mmにすることが好ましく、さ
らに1.5〜8mmにすることが特に好ましい。
【0035】
そして、第2の不織布層46の厚さを100としたときに、繊維状活性炭不織布層44の厚さの比率を1〜40、好ましくは5〜30の範囲内に設定し、かつ第1の不織布層42の厚さの比率を5〜90、好ましくは10〜60の範囲内に設定することにより高い濾過効率を長期間維持することができる。糸体層50は、糸体を第2の不織布層46の外周に所定の厚さで巻回することにより形成される。この糸体層50を形成する糸体は、直径が0.5〜3mm、好ましくは1〜3mmの糸体である。本考案で使用される最も好ましい糸
体の太さを糸の番手で表すと、1/0.0〜1/1.0である。
【0036】
糸体層50は第2の不織布層46の外周側に上記のような太さの糸体を10〜65mmの厚さ、好ましくは10〜50mm、特に好ましくは10〜30mmの厚さに巻回することにより形成される。すなわち、少なくとも10mmの厚さに巻回することにより、この糸体層50の濾過能力が用いる糸体の種類、素材等によって影響を受けにくくなる。すなわち、この糸体層50における濾過能力が、糸体の巻回厚さによって変動し、糸体の種類、素材などを変えてもほとんど変動しなくなる。従って、糸体層50を形成する糸体は、特殊な形態を有している必要はなく、また、特殊な素材で形成されている必要はなく、通常使用されている塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、その他の合成樹脂の合成繊維、もしくは綿等の天然繊維等をそのまま用いることができる。
【0037】
なお、糸体層50の厚さが65mm(多くの場合50mm)を超えて糸体を巻回しても、この糸体層50によって濾過される浮遊物の量などは、ほとんど増加しないので糸体層50の厚さの上限は65mmであり、さらに、通常使用する場合には30mmで充分である。このような糸体は、第1の不織布層42の外周に所定の糸間隔で巻回することが好ましい。すなわち、同一方向に巻回されておりかつ隣接する糸体の間隔(糸体中心から隣接する糸体の中心までの距離)が、2〜8mmになるように巻回することが好ましく、さらに、3〜7mmになるように巻回することが特に好ましい。このような間隔で糸体を巻回することにより、5〜150μmの大きさの浮遊物を、この糸体層50の表面からの深さ方向に浮遊物の大きさが次第に小さくなるように段階的に分布させながら濾過することができる。
【0038】
また、糸体は、全て同一方向に巻回する必要はなく、各層ごとに相異する方向に巻回することが好ましい。このように方向を変えて巻回することにより、浮遊物をより段階的に濾過することができるので、この糸体層50で目詰まりが生じ難くなり、濾過フィルター
を長期間使用することができる。このような巻回のための手段は、公知の手段が採用できる。
【0039】
このように構成されるフィルター部材34では、例えば、汚れた水が、フィルター部材34の外周側から内周側へ移動し、糸体層50、第2の不織布層46、繊維状活性炭不織布層44、そして第1の不織布層42を通過する際に、効率良く濾過されるようになっている。
【0040】
このように構成される本発明の水処理装置10は、下記のように使用すればよい。先ず、水処理装置10を、例えば、水道配管、井水配管など水が通過する各配管の途中に配置し、必要に応じて供給管27の外方の図示しない接続部に、ポンプなどに接続された配管を接続する。そして、ポンプを作動することによって、パイプ部材22内に被処理水を流入させる。流入した被処理水は、磁性部材24により磁気処理され、パイプ部材22の出水孔28から水処理室13内に流入し、多孔質部材32に浸透していく。このとき、磁気処理水に分散している極微細な浮遊物は、多孔質部材32に吸着する。多孔質部材32を通過した磁気処理水は、次いでフィルター部材34により濾過される。具体的には、まず糸体層50で大きい順に順次段階的に濾過される。そして、この糸体層50を通過した非常に微細な浮遊物だけが第2の不織布層46に到達して、この第2の不織布層46でほとんど濾過される。一方、液体中の極微細な物質は、糸体層50、第2の不織布層46は通過するが、繊維状活性炭不織布層44で濾過され、第1の不織布層42で濾過される。
【0041】
従って、水処理室13では、被処理水を磁気処理できるとともに、被処理水中に分散している浮遊物を濾過することができる。そして、第1の不織布層42を通過した被処理水は、フィルター部内筒52の通孔54および円筒部材36の通孔40を介して、円筒部材36の中空部42に流入し、下端部36aから貯水室14の内部に流入する。
【0042】
このようにして磁気処理および濾過処理された処理水は、貯水室14内部から外方に向かって配設された排出管60を介して排出される。
このような本発明の水処理装置は、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、本発明の水処理装置の実施例の縦断面図である。
【図2】図2は、図1のA−A線での拡大断面図である。
【図3】図3は、図1のB−B線での拡大断面図である。
【図4】図4は、図1のC−C線での拡大断面図である。
【図5】図5は、パイプ部材22の外周面には磁性部材24が配設されている状態を示す概略斜視図である。
【図6】図6は、フィルター部材34の概略断面図である。
【図7】図7は、図6の他の実施例の概略断面図である。
【符号の説明】
【0044】
10 水処理装置
11 台座
12 収容体
13 水処理室
14 貯水室
15 仕切り板
16 エアー抜き弁
20 磁気処理部
22 パイプ部材
24 磁性部材
24a 突設部
25 固着具
26 カバー
27 供給管
28 出水孔
32 多孔質材
34 フィルター部材
36 円筒部材
36a 下端部
38 濾過部
40 通孔
42 中空部
44 繊維状活性炭不織布層
46 第2の不織布層
48 積層体
50 糸体層
52 フィルター部内筒
54 通孔
60 排出管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング内に形成された水処理室内に被処理水を供給するとともに被処理水に磁気処理を行う磁気処理部と、前記磁気処理水の浄化を行う浄水部とを備える水処理装置であって、
前記磁気処理部が、
前記被処理水を水処理室内に供給するパイプ部材と、
前記パイプ部材の外周面を囲繞するように配設され、前記被処理水がパイプ部材内部を圧送される際に該被処理水に対し磁気処理を行う磁性部材とを有し、
前記浄水部が、
前記水処理室内に充填され、前記パイプ部材を介して水処理室内に流入した磁気処理水中の不純物を吸着する多孔質材と、
前記水処理室内に配設され、前記多孔質材により処理された吸着処理水を、内方向に通過させて濾過する略円筒状のフィルター部材とを有する
ことを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
前記磁性部材が、前記パイプ部材に当接する側をS極となるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記磁性部材が、フェライト磁石から形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記フィルター部材が、通孔を有する円筒部材の外周部に巻回された、第1の不織布層と、繊維状活性炭不織布層と、第2の不織布層との三層が予め積層された積層体と、前記積層体の外周に巻回された糸体層とから構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の水処理装置。
【請求項5】
前記多孔質材が、活性炭またはサンゴ粉末であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−15273(P2006−15273A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−196983(P2004−196983)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(591277821)
【出願人】(591277832)
【Fターム(参考)】