水処理装置
【課題】気泡微細化操作にポンプを不要とし、かつオゾンマイクロバブルを低コストで安定に供給する。
【解決手段】オゾン含有気体を導入してオゾン槽内の被処理水中に微小気泡を発生させる微小気泡発生装置10〜13と、被処理水の流量を計測する流量計19と、被処理水の水質を計測する水質計20と、流量計または水質計の計測値に基づいて被処理水のオゾン処理を実行する制御装置21とを備え、微小気泡発生装置は、中空円板状に形成され複数個の気泡注入孔が穿設された気泡注入部と、モータの回転力を受けて気泡注入部を回転する回転軸とを備え、気泡注入孔から発生された気泡を気泡注入部を回転させることで生じた剪断力で引きちぎりオゾン含有気体の微小気泡をオゾン槽内に発生させるものであり、制御装置21は、流量計19、水質計20の計測値に応じて気泡注入部の回転数制御、オゾン含有気体の流量制御の少なくとも何れかを実行する。
【解決手段】オゾン含有気体を導入してオゾン槽内の被処理水中に微小気泡を発生させる微小気泡発生装置10〜13と、被処理水の流量を計測する流量計19と、被処理水の水質を計測する水質計20と、流量計または水質計の計測値に基づいて被処理水のオゾン処理を実行する制御装置21とを備え、微小気泡発生装置は、中空円板状に形成され複数個の気泡注入孔が穿設された気泡注入部と、モータの回転力を受けて気泡注入部を回転する回転軸とを備え、気泡注入孔から発生された気泡を気泡注入部を回転させることで生じた剪断力で引きちぎりオゾン含有気体の微小気泡をオゾン槽内に発生させるものであり、制御装置21は、流量計19、水質計20の計測値に応じて気泡注入部の回転数制御、オゾン含有気体の流量制御の少なくとも何れかを実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン発生装置からのオゾン含有気体を微細気泡として被処理水中に発生させる微小気泡発生装置を設けた水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浄水場ではオゾンの持つ強力な酸化力を利用し、原水水質の悪化に伴うカビ臭や着色の対策、塩素消毒過程で発生する発ガン性物質であるトリハロメタン(THMs;Trihalomethanes 以下、THMsとする)の前駆物質の低減を目的として、オゾン処理が用いられている。オゾンの特徴は、フミン酸、フルボ酸などのTHMs生成能を有する生物由来性有機物や、水質を悪化させる原因物質であるアンモニア態窒素や陰イオン界面活性剤を酸化分解し低減させること、耐塩素性を有する病原性微生物であるクリプトスポリジウムパルブム(Cryptosporidium parvum)の不活化に有効であること、自己分解反応を起こし最終的に酸素に分解されることなどがある。
【0003】
しかしながら、浄水場がオゾン処理を導入する際の建設コストは高額であり、費用対効果の点から中小規模の浄水場ではオゾン処理の導入が進みにくいのが現状である。さらにオゾンは、空気中の酸素、あるいは酸素ガスそのものに電圧を加えて生成するため、発生コストを要する。そのため中小規模の浄水場ではオゾン処理の導入は難しく、臭気物質や難分解性有機物を吸着除去するため、粉末活性炭を大量に注入しているケースもある。粉末活性炭の大量使用は、処理コストが増大することとともに、汚泥の量が増大するという課題があり、オゾン処理が適切な処理方法である浄水場もある。
【0004】
水中に溶解しきれなかったオゾンを処理する排オゾン処理装置として、活性炭吸着処理が用いられている。しかし活性炭に含まれる炭素とオゾンが酸化分解反応をして、しだいに活性炭が減量してしまう。さらに、オゾン処理後の被処理水にはオゾンが溶け込んでおり、オゾンによって低分子化された有機物や消毒副生成物等を吸着処理するため、破過状態になると活性炭の入換を行わなければならない。
【0005】
オゾンの生成に掛かる電力費用を削減するには、オゾンの注入量を減少させる必要がある。したがってオゾンの溶解効率を向上させるのが効果的で、その手法に、導入するオゾンガスを微細化した気泡として注入するという方法がある。近年、微細化した気泡利用技術を総称したマイクロバブル適用水処理方法の研究が進んでいる。オゾンや酸素などの溶解促進により、ガス消費量を低減した水処理を行うことができると考えられている。
【0006】
オゾンガスを微細化する水処理の例として、例えば、特許文献1〜特許文献4のようなものがあり、被処理水導入経路、あるいはオゾン槽に保有する被処理水をポンプ送水する経路上に、ガス混合や圧力操作を行う機構を配し、気泡を微細化するものがある。
【0007】
マイクロバブル発生方法として非特許文献1に例示されているように、旋回流式、スタティックミキサー式、エゼクター式、ベンチュリー式、加圧溶解式、極微細孔などがあり、これらは管状流路上に特定の気泡微細器を配置するもので、いずれの方法も、ポンプなどの送水装置を付随する。このため、マイクロバブル生成のために、液を昇圧・駆動するためのポンプ動力付加が加わる。
【0008】
このように、マイクロバブル生成によるガス消費量低減を図った場合、現状では、ポンプ動力が付加されるという課題がある。
【特許文献1】特開2007−21392号公報
【特許文献2】特開2007−21393号公報
【特許文献3】特開平9−290280号公報
【特許文献4】特開平9−276882号公報
【非特許文献1】寺坂宏一「マイクロバブル発生法と工業装置への適用」化学工業 第71巻 第3号 170−173頁
【非特許文献2】大成 博文「マイクロバブル技術の今日的課題」化学工業 第71巻 第3号 154−159頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来の気泡微細化技術を利用したオゾン処理設備においては、気泡微細化操作にポンプ動力が必要であるという課題があった。
【0010】
また、オゾン槽に保有する被処理水をポンプ送水する経路上に、ガス混合や圧力操作を行う機構を配し、気泡を微細化する場合においては、送水対象の含有気泡率によっては、ポンプ送水操作が困難になる可能性があり、必要なオゾンガスをオゾン槽に安定して導入できなくなるといった課題がある。
【0011】
また、微細化された気泡は、非特許文献2に例示されているように、気泡の上昇速度が遅いという特徴がある。このため、オゾン槽中へのガス溶解を目的とした気泡の微細化においては、気泡微細化に伴う、導入ガス気泡上昇に伴う撹拌効果が著しく低減する。特許文献1〜特許文献4は、気泡生成操作に要するポンプ送水を撹拌力とすることが機能上可能ではあるが、槽内全域における気液混合操作維持のためには、更にポンプ送水量が増加するといった課題がある。
【0012】
このように、マイクロバブル技術では、オゾンガスを微細化しオゾン消費量を削減する効果が期待される一方で、オゾン処理コストの増加や、安定したオゾン処理の実施に対する課題がある。
【0013】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、気泡微細化操作にポンプを不要とし、オゾン槽中に浸漬し、回転板を具有するマイクロバブルオゾン発生装置を適用することで、ボンプ動力によるマイクロバブル適用でのオゾン処理コスト増加を抑制すると共に、マイクロバブルにおける気泡上昇速度低下に伴うオゾン槽撹拌効果を保持しながら、気泡微細化操作における気泡含有水の送水操作を不要とすることで、必要なオゾンガスを安定に導入できるため、オゾンマイクロバブルを低コストで安定に供給することができる水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために本発明は、被処理水を導入してオゾン処理を実行するオゾン槽と、このオゾン槽内に1または複数設けられ、オゾン発生装置から発生したオゾン含有気体を導入して前記オゾン槽内の被処理水中に微小気泡を発生させる微小気泡発生装置と、前記オゾン槽の導入側に設けられ、被処理水の流量を計測する流量計と、前記オゾン槽内の所定箇所に1または複数設けられ、被処理水の水質を計測する水質計と、前記流量計または水質計の計測値に基づいて被処理水のオゾン処理を実行する制御装置と、を備え、前記微小気泡発生装置は、前記オゾン槽内に配置され、中空円板状に形成された気泡注入部と、この気泡注入部の少なくとも上面の所定箇所に穿設された複数個の気泡注入孔と、前記気泡注入部を軸支すると共にモータの回転力を受けて回転する回転軸と、前記オゾン発生装置から発生されたオゾンを前記気泡注入部に導入するガス供給管と、を少なくとも備え、オゾン発生装置からのオゾン含有気体をガス供給管を介して気泡注入部に導き、気泡注入部に穿設された気泡注入孔から出た気泡を、気泡注入部を回転させることで生じた剪断力で引きちぎり、オゾン含有気体の微小気泡をオゾン槽内に発生させるものであり、前記制御装置は、前記流量計、または1もしくは複数の水質計の計測値に応じて、前記微小気泡発生装置における気泡注入部の回転数制御、前記オゾン発生装置から微小気泡発生装置に供給されるオゾン含有気体の流量制御の少なくとも何れかを実行する、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、気泡微細化操作にポンプを不要とし、オゾン槽中に浸漬し、回転板を具有するマイクロバブルオゾン発生装置を適用することで、ボンプ動力によるマイクロバブル適用でのオゾン処理コスト増加を抑制すると共に、マイクロバブルにおける気泡上昇速度低下に伴うオゾン槽撹拌効果を保持しながら、気泡微細化操作における気泡含有水の送水操作を不要とすることで、必要なオゾンガスを安定に導入できるため、オゾンマイクロバブルを低コストで安定に供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
〈第1の実施形態〉
《全体構成》
図1は本発明に係る水処理装置の第1の実施形態を示す構成図である。
【0017】
同図に示す水処理装置は、オゾン槽1と、このオゾン槽1内に供給されるオゾン含有気体を発生するオゾン発生装置2と、オゾン槽1内でオゾン処理されたオゾン処理水を活性炭により吸着処理する活性炭処理装置3と、オゾン槽1から排出される排オゾンガス23を導入して分解する排オゾンガス分解装置4とを備えている。
【0018】
オゾン槽1は、第1反応槽5と第2反応槽6とオゾン滞留槽7とから構成され、第1反応槽5と第2反応槽6とは隔壁8で、第2反応槽6とオゾン滞留槽7とは隔壁9でそれぞれ仕切られている。
【0019】
特に、本実施形態では、第1反応槽5の底面に2台の微小気泡発生装置10,11が並置されている。同様に、第2反応槽6の底面にも2台の微小気泡発生装置12,13が並置されている。微小気泡発生装置の詳細な構成については図2乃至図15を用いて後述する。
【0020】
また、オゾン発生装置2から各微小気泡発生装置10〜13にオゾン含有気体を供給する経路14には、それぞれオゾン含有気体の流量を調節するオゾン流量調節器15〜18が設けられている。
【0021】
さらに、オゾン槽1に流入してくる被処理水の流入流量を計測する流量計19と、オゾン滞留槽7付近のオゾン処理水の水質を計測する水質計20と、流量計19および水質計20の計測値を監視し、微小気泡発生装置10〜13およびオゾン流量調節器15〜18を制御する制御装置21とを備えている。
【0022】
《微小気泡発生装置の説明》
次に、本願発明に適用される微小気泡発生装置について、図2〜図15を用いて詳述する。
【0023】
図2〜図15に示す微小気泡発生装置は、剪断法を用いた装置である。この装置は、円板に空けた細孔から出た気泡を、円板を回転させることで生じた剪断力で引きちぎり、微小気泡を発生させるもので、従来法に比べ、大量の微小気泡を低圧力損失で発生できることを特徴とする。この微小気泡発生装置の利用により、微小気泡発生装置の設置台数の削減や、省電力化を可能とする。
【0024】
図2は、微小気泡発生装置の第1の構成例を示している。この微小気泡発生装置は、水槽51内に微小気泡52を注入する気泡注入部53と、この気泡注入部53にオゾンガスを供給するガス供給管54と、気泡注入部53をベルト55を介して回転駆動させるモータ56と、モータ56の回転軸に取り付けられたプーリ57と、気泡注入部53を回転可能に軸支する回転軸58と、この回転軸58に取り付けられモータ56からの駆動力をベルト55を介して受けて回転軸58を回転させるプーリ59とを備えている。
【0025】
図3に示すように、気泡注入部53は、中空の円板状に形成されており、その上面60には複数の気泡注入孔61が穿設配置されている。この気泡注入孔61は回転軸58から一定以上の距離を持つように配置されている。すなわち、回転軸58の中心部付近には気泡注入孔61を設けない領域62が存在することとなる。
【0026】
このように構成された微小気泡発生装置において、ガス供給管54を介してオゾン発生装置(図示せず)からオゾンガスが供給されると、気泡注入部53から被処理水で満たされた水槽51中に気泡が注入される。このとき、モータ56の回転力がプーリ57→ベルト55→プーリ59を介して回転軸58に伝達されており、円板状の気泡注入部53は高速で回転する。その際、気泡注入部53から水槽51中に注入される気泡が大気泡に成長する前に回転による剪断によって引きちぎられ、強制的に気泡注入孔61より離脱させることで微小気泡52として水中に放散されることとなる。
【0027】
気泡注入部53から気泡が流体中に注入されるとき、周りの流体から受ける剪断力によって、気泡の径が変化する。つまり、回転数が高くなり、気泡注入孔61における周速度が大きくなるほど、剪断力が大きくなるため、気泡径は小径化する。この性質を小規模の試験装置を用いて実験的に検証した結果を図4に示す。図4に示すように、気泡注入孔61における周速度が6m/s以下の条件においては周速度が大きくなるに連れて発生する気泡の平均径が小さくなることが分かる。この性質を利用することにより、発生気泡の径を変えることができる。
【0028】
また、周速度が6m/s以上の条件においては、周速度が変化しても、発生する気泡の径は約0.2mmの一定値となる。気泡注入孔61における周速度は気泡注入部53の回転の角速度と回転軸58と気泡注入孔61の距離の積で表されるため、気泡注入孔61における角速度が6m/s以上となるため、全ての気泡注入孔61から発生する気泡の平均径が約0.2mmとなり、気泡注入部53から発生する気泡の径の分布が小さく、径の揃った気泡を発生させることが可能となる。
【0029】
図4は、気泡注入孔61の径と発生する気泡の平均径との関係を実験的に調べた結果を示している。この結果によれば、角速度が6m/sの条件においては、気泡注入孔61の径が小さくなるに連れて、発生する気泡の平均径も小さくなるが、角速度が6m/s以上の条件においては、気泡注入孔61の径が発生する気泡の平均径に与える影響が無くなり、約0.2mmで一定となる。この性質により、気泡注入孔61を微小気泡発生装置の気泡注入孔61としては大きい1mmとしても、約0.2mm径の気泡を発生させることが可能となる。気泡注入孔61を大きくすると、気泡注入孔61における圧力損失を低減されることが可能となり、気泡注入に用いるブロワ、コンプレッサの動力を削減することが可能となる。
【0030】
また、図5は、口径1.0mmの気泡注入孔61が4ヶ所で、気体流量を変化させたときの気泡注入孔61における角速度と発生する気泡の平均径の関係を示している。
【0031】
この関係から理解できるように、気体流量が増えて、1リットル/分に達すると、回転数を上昇させても、微細な気泡を発生できないことが示されている。この傾向から、微細の気泡を発生されるためには、気体流量が制限値以下になっていることが必要であることが分かる。図6は、口径1.0mmの気泡注入孔61を8ヶ所に増やし、かつ気体流量を変化させたときの気泡注入孔61における角速度と発生する気泡の平均径の関係を示している。気泡注入孔61が8ヶ所の条件では、4ヶ所の条件で微細気泡を発生させることが出来なかった2リットル/分の流量においても、微細気泡を発生させることができることが確認された。これらの結果より、気泡注入孔61の数を増やすことで、気泡径を小さく保ったまま、空気流量の制限値を増加可能なことが理解できる。図7は隣り合う気泡注入孔61の間隔を示すピッチP(図3参照)と発生する気泡の平均気泡径との関係を示している。この関係から、気泡注入孔61のピッチPが15mm以下の条件において、発生する気泡の平均気泡径が著しく大きくなることが分かった。
【0032】
図8は微小気泡発生装置の第2の構成例を示している。この例は、気泡注入部53が、所定の空隙を有して対向配置された2枚の円板63,64と、2枚の円板63,64の空隙内の円周部分に形成された小径ノズル65により構成されていることを特徴としている。
【0033】
このように構成された微小気泡発生装置においては、オゾン含有気体66は小径ノズル65から水槽51中に注入される。この小径ノズル65を円周部分に備えた円板が回転駆動されると、このときに働く剪断力によってオゾン含有気体66は引きちぎられて微小気泡52となる。また、気泡注入孔61は全て同一円周上に設けられているため、ほぼ均質な気泡が生成される。
【0034】
この例によれば、同一円周上に並べて配置された微小径のノズル65から気泡が注入され、また注入時に働く剪断力に寄って、均質な微小気泡52を発生されることができる。
【0035】
図9は、微小気泡発生装置の第3の構成例を示している。この例では気泡注入部53の側面が多孔質体67で構成されている。
【0036】
このように構成された微小気泡発生装置において、気体はガス供給管54から供給されて円板の側面に形成された多孔質体67から放出されるが、モータ56によって多孔質体67は回転を与えられる。多孔質体67は孔径が円板に機械加工で穿設された孔に比べ、均質ではないものの、数μmの微小な孔径のものを製作することが可能であるため、微小気泡52を発生させるためには、より有効なものとなる。
【0037】
図10は、微小気泡発生装置の第4の構成例を示している。第4の構成例では、気泡注入部53の上部に衝突板68を設けるように構成している。
【0038】
このように構成された微小発生装置において、オゾン含有気体はガス供給管54から供給され、回転を与えられた気泡注入部53より液体中に注入される。このとき、気泡注入部53より発生された微小気泡52は、気泡注入部53と同期して回転している上部の衝突板68に衝突する。気泡注入部53により発生された微小気泡52が衝突板68に衝突することにより、さらに回転する衝突板68からの剪断力が加わることによって、より微小な気泡を発生させることができる。
【0039】
図11は、微小気泡発生装置の第5の構成例を示している。この構成例では、気泡注入部53の上面側に邪魔板69を配設することを特徴としている。
【0040】
この構成例では、ガス供給管54によって供給された気体が、モータ56によって回転駆動される気泡注入部53から微小気泡52が水槽51内に注入されるが、このとき、邪魔板69に衝突することによって微小気泡52が回転軸中心に集まるのを防止することができる。
【0041】
邪魔板69によって微小気泡52は水槽の中心部に集まることを防ぐことで、水槽中の循環流が均一に発生され、より効率良く微小気泡52を発生させることができる。
【0042】
図12は第6の構成例を示している。ガス供給管54によって供給された気体が、モータ56によってプーリ59を介して回転を与えられ気泡注入部53から、微小気泡52が水槽51に注入されるが、このとき、邪魔板69に衝突する。この邪魔板69は、邪魔板震動源70によって、振動が与えられており、振動する邪魔板69に接触することによってさらに気泡を小径化する。
【0043】
第6の構成例では、回転力によって微小気泡52は中心に集まり合体する性質を有するものの、邪魔板69により微小気泡52が中心部に集まることを防ぐことができる。また、合体した気泡を再び分裂させることにより、効率良く微小気泡52を発生させることができる。
【0044】
図13は第7の構成例を示している。
【0045】
この構成の特徴は、気泡注入部53を多孔質カバー71で覆うようにした点にある。
【0046】
気泡注入部53から注入された気泡は、回転によって小径化し、この小径化した気泡は、多孔質カバー71を通過して水槽中に放出される。
【0047】
このように、多孔質カバー71によって回転する気泡注入部53を覆うことによって、異物等が回転部分へ接触するのを防止できる。
【0048】
図14は第8の構成例を示している。
【0049】
この構成例は、気泡注入部53の上面側に所定の空隙を有して衝突板72を設けると共に、気泡注入部53と衝突板72との空隙の外縁部分に柱状の気泡破砕部73を複数本設けたことを特徴としている。
【0050】
この場合、オゾン含有気体はガス供給管54から供給され、回転を与えられた気泡注入部53より液体中に注入されるが、気泡注入部53より発生した微小気泡52は、気泡注入部53と同期して回転している上部の衝突板72に衝突し、空隙の外縁部分に向かって流れていく。そして、外縁部分に設けられた気泡破砕部73に衝突した後、水槽51中に放出される。
【0051】
この構成例によれば、気泡注入部53より発生した微小気泡52が、気泡破砕部73に衝突して分裂することで、より一層微小な気泡52を発生させることができる。
【0052】
図15は第9の構成例を示している。
【0053】
この構成例では、気泡注入部53において、気泡注入孔61を設けない領域62(図3参照)に翼74を設けることを特徴としている。
【0054】
気泡注入部53の回転に伴って、翼74により、気泡注入部53の表面に中心から外側に向かう流れが誘起される。この流れにより気泡注入孔61からの気泡の離脱が促進される。
【0055】
このように、翼74により誘起された流れが気泡注入孔61からの気泡の離脱を促進させることで、より微小な気泡を発生させることができる。
【0056】
なお、以上の微小気泡発生装置は、モータ56の駆動力をベルト55、プーリ57,59を介して回転軸58に間接的に伝導されるものであるが、回転軸58をモータ56の回転軸にして直接回転駆動するダイレクトドライブ方式のものであっても良い。本発明に係る第1〜第3実施形態においては、ダイレクトドライブ方式の微小気泡発生装置を用いて説明する。
【0057】
《第1の実施形態の作用》
次に、上述のような微細気泡発生装置を備えた本実施形態の作用を説明する。
【0058】
オゾン処理前のプロセスである凝集沈殿処理後の被処理水は流量計19にて流入流量が計測され、その計測値信号は制御装置21に送信される。なお、流量計19は、公知の水流量計測を行う計測器を用いればよく、特に形式は問わないが、適用する水質・流量範囲にて計測できる機器を用いる。
【0059】
オゾン発生装置2は、気体状態のオゾン含有気体を生成する装置を用い、例えば放電技術によって、酸素含有ガスを高電圧下でオゾン化するオゾン発生装置が好適である。
【0060】
オゾン発生装置2にて生成するオゾン含有気体は、第1反応槽5、第2反応槽6にそれぞれ配される微小気泡発生装置10〜13に供給される。その際、供給されるオゾン含有気体の流量調節をするオゾン流量調節器15〜18にて流量調節を行った後、微小気泡発生装置10〜13へと供給される。ここで、オゾン流量調節器15〜18は、導入するオゾンガス濃度および流量を計測調整できる公知のガス流量調節器を用いればよく、特に形式は問わないが、本実施形態に示すように、複数の微小気泡発生装置に対して、個別にオゾン流量調節器が設置される。
【0061】
オゾン流量調節器15〜18を介して供給されるオゾン含有気体は、各微小気泡発生装置10〜13へと供給される。微小気泡発生装置10〜13の構成は前述したとおりであるが、発生する気泡径は200μm以下が望ましい。各微小気泡発生装置10〜13の各気泡注入部53は、回転する中空円板の中心から外周側に生成する水流により、多孔板から排出されるオゾン含有気体を微細化する。この気泡微細化作用が、水頭圧の差によって多孔板である気泡注入部53から排出されるオゾン含有気体吐出量の偏りによって不均一にならないよう、オゾン槽1の水面に対して気泡注入部53は、多孔面を上面とし、かつ設置されるオゾン槽水面に対して水平に配される。
【0062】
また、該微小気泡発生装置は、オゾン槽1中に複数配することで、オゾン要求量増加時の供給量確保と同時に、該微小気泡発生装置を構成する中空円板(気泡注入部53)の回転作用によって生じる水流によって、オゾン槽内のオゾン含有気体の撹拌混合を保持できる。
【0063】
尚、オゾン槽中に微小気泡発生装置を複数配する場合、同一槽内における該微小気泡発生装置における気泡注入部53の円板面は、同一水位に位置させることで、微小気泡発生装置毎のオゾン含有気体排出量を均一化することができる。
【0064】
第1反応槽5および第2反応槽6でのオゾン処理後のオゾン処理水22の水質は水質計20で計測される。水質計20としては、例えば溶存オゾン濃度を計測するものや、溶存有機物濃度を計測する公知の技術を用いればよく、特に限定しないが、処理水質に応じて適用可能な計測器を用いることが望ましく、種類の異なる複数の水質計測器を用いてもよい。水質計20の計測値に応じて、過不足なくオゾン含有気体を供給することで、安定なオゾン処理ができる。ここでいうオゾンガスの供給とは、必要オゾン量に応じてオゾン流量調節器15〜18の供給量を調節することや、オゾン含有気体の微細化作用に寄与する、前記微小気泡発生装置を構成する中空円板(気泡注入部53)の回転数を調整することであり、オゾン供給量を増加させる場合、回転数を増加させ、オゾン供給量を低減させるよう制御装置21によって調整する。
【0065】
オゾン処理水22は、活性炭が充填された活性炭処理装置3に導入される。ここで、活性炭処理装置3とは、オゾン処理水22に溶解しているオゾンや、残存している酸化分解後の有機物等、例えば臭素酸、アルデヒド類等の消毒副生成物を吸着除去するものであり、粒状活性炭を充填した固定床反応塔などの公知の技術を用いればよい。
【0066】
第1反応槽5および第2反応槽6から排出される排オゾンガス23は、排オゾンガス分解装置4に導入される。ここで、排オゾンガス分解装置4とは、排オゾンガス23中に含有するオゾン成分を分解し、系外へ排出するガス中のオゾン濃度を低減する公知の技術を用いればよく、排オゾンガス23にて想定されるオゾン濃度とオゾン流量などから、ガス滞留時間と、分解剤充填量、種類等を選定すればよい。
【0067】
《効果》
本実施の形態によれば、従来の気泡微細化(マイクロバブル)技術とは異なり、本発明の実施形態の微小気泡発生装置10〜13は、ポンプ送水操作なしにオゾン含有気体を微細化してオゾン槽1へ供給することができる。このため、従来の技術においてポンプ送水操作時に発生する圧力損失に伴う、オゾン処理の消費エネルギー増加に対しては、オゾン槽1中に浸漬する微小気泡発生装置10〜13に具有する円板回転動力が対応する動力となるが、この水流生成操作では、従来技術にて生成した圧力損失に対応するエネルギー損失が、発生しない。
【0068】
また、オゾン槽1内に浸漬する微小気泡発生装置10〜13の気泡注入部53の円板回転に伴う水流によって、オゾン槽1内の撹拌混合を保持することができ、導入するオゾン含有気体の微細気泡と被処理水の混合を、気泡微細化と同時に達成することができる。
【0069】
従来のオゾンマイクロバブルを用いる水処理におけるマイクロバブル含有の気液二相流体のポンプ循環操作を伴わないため、気泡含有率が高まった状態でのポンプ送水能変動といった課題が生じないため、安定してオゾン含有気体の微細化供給ができる。更に、微小気泡発生装置10〜13における気泡微細化部分の、水頭圧による影響を無くすることで、各微小気泡発生装置単体での気泡微細化能の不均一化および、同一オゾン槽内に配される微小気泡発生装置間での気泡微細化能の不均一化を抑制し、安定に微細化オゾン含有気体を供給することができる。
【0070】
上述の水処理装置によれば、オゾンガスを微細化気泡として利用する水処理装置における、消費電力量低減と、安定したオゾンの供給ができる。
【0071】
〈第2の実施形態〉
次に、本発明に係る微小気泡を用いた水処理装置の第2の実施形態を、図16を用いて説明する。なお第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0072】
《構成》
第2の実施形態は、オゾン含有気体と被処理水を反応させるオゾン槽1の最後段であるオゾン滞留槽7出口と、活性炭処理装置3との間に設けられた気泡除去槽25と、この気泡除去槽25中に、微小気泡発生装置10〜13に供給される微細気泡より大きい気泡径を有するガスを導入する散気装置26と、この散気装置26への散気装置用ガス27のガス導入量を調整する流量調節器28とを備えている。その他の記号は図1と同様である。
【0073】
《作用》
本実施の形態によれば、第1反応槽5や第2反応槽6に供給された微細なオゾン含有気体気泡は、その気泡径が小さいため、通常の散気装置にて導入されるミリオーダーの気泡と比べ、水中での滞在時間が長いことが知られている。このため、オゾン含有気体と被処理水を反応させるオゾン槽1の最後段であるオゾン滞留槽7出口からは、オゾンマイクロバブルを含んだオゾン処理水22が、活性炭処理装置3へ導入される可能性がある。この際、活性炭処理装置3に充填される活性炭に対するオゾン分解反応の負荷が増加する可能性がある。
【0074】
本実施形態では、第1反応槽5や第2反応槽6に供給された微細なオゾン含有気体気泡より大きい気泡径となるガス散気を散気装置26によって行うことにより、微細なオゾンマイクロバブルと、大きい気泡径である散気ガスとの合一作用によって、オゾンマイクロバブルの消失と合一後の気泡上昇速度を促進させることで、気泡除去槽25上部の気相部分へ移行させることができる。
【0075】
ここで、散気装置26から排出される散気ガス種類は、特に限定しないが、空気や酸素、窒素、オゾン発生装置2からのオゾン含有気体などを選べばよいが、オゾン消費量の過剰な増加を防ぐためには、オゾン発生装置2以外からガス源を選ぶことが望ましい。また、散気装置26は、特に形式は限定しないが、第1反応槽5や第2反応槽6に供給するオゾンマイクロバブルより気泡径が大きいガス供給する形態のものを選べばよい。
【0076】
《効果》
本実施形態によれば、活性炭処理装置3へ導入されるオゾンマイクロバブル量を削減することで、活性炭処理装置3に充填される活性炭に対するオゾン分解反応の負荷上昇を抑制できるため、オゾンマイクロバブル適用に伴う、活性炭処理装置3の充填活性炭コスト上昇を抑制できる。
【0077】
〈第3の実施形態〉
次に、本発明に係る微小気泡を用いた水処理装置の第3の実施形態を図17を用いて説明する。なお第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0078】
《構成》
第3の実施形態は、第1反応槽5、第2反応槽6に、それぞれ第1反応槽水質計31、第2反応槽水質計32を設けたものであり、その他の構成は図1と同様である。
【0079】
《作用》
図17に示した第1反応槽水質計31、第2反応槽水質計32は、それぞれ第1反応槽5、第2反応槽6における水質を計測するものであり、例えば、溶存オゾン濃度を計測するものや、溶存有機物濃度を計測する公知の技術を用いればよく、特に限定しない。但し、処理水質に応じて適用可能な計測器を用いることが望ましく、種類のことなる複数の水質計測器を用いてもよい。
【0080】
第1反応槽水質計31、第2反応槽水質計32の計測値に応じて、第1反応槽5、第2反応槽6過不足なくオゾン含有気体を供給することで、安定なオゾン処理ができる。ここでいうオゾンガスの供給とは、必要オゾン量に応じてオゾン流量調節器15〜18の供給量を調節することや、オゾン含有気体の微細化作用に寄与する、前記微小気泡発生装置10〜13を構成する中空円板(気泡注入部53)の回転数を調整することであり、オゾン供給量を増加させる場合、回転数を増加させ、オゾン供給量を低減させるよう制御する制御装置21によって調整する。
【0081】
第1反応槽5における水中オゾン供給量を増加させる場合、まず設定された許容範囲内での微小気泡発生装置10,11の中空円板(気泡注入部53)の回転数を増加させ、気泡微細化促進を図る。本操作の結果、オゾン供給量が設定値を満足した場合、微小気泡発生装置10,11の中空円板(気泡注入部53)の回転数を段階的に減少させる。この制御操作において、第1反応槽水質計31の第1反応槽5における設置位置に応じて、微小気泡発生装置10,11のいずれかの中空円板(気泡注入部53)の回転数を優先的に増加させてもよい。
【0082】
微小気泡発生装置10,11の回転数の増加のみで、水中オゾン供給量が不足している場合、次に、オゾン流量調節器15,16のオゾン流量を増加させる。本操作の結果、オゾン供給量が設定値を満足した場合、オゾン流量調節器15,16のオゾン流量を段階的に低減後、微小気泡発生装置10,11の回転数を減少させる。
【0083】
第1反応槽5での水中オゾン供給量増加を行う場合、第2反応槽6に配される微小気泡発生装置12,13のうち、上流側の微小気泡発生装置12から優先的にオゾン供給量を増加させる。オゾン供給量の増加制御は、前述の第1反応槽5における水中オゾン供給量を増加させる場合同様、微小気泡発生装置の回転数増→微小気泡発生装置に供給するオゾンガス流量の順に制御する。
【0084】
第2反応槽6での水中オゾン供給量を増加させる場合も、前記第1反応槽5における水中オゾン供給量を増加させる同様、微小気泡発生装置12,13の中空円板(気泡注入部53)の回転数を増加後に、オゾン流量調節器17,18のオゾン流量増の順とし、オゾン供給量低減させる場合は、オゾン流量調節器17,18のオゾン流量低減、微小気泡発生装置12,13の中空円板(気泡注入部53)の回転数低減の順とする。
【0085】
尚、流量計19において、被処理水流量が増減した際も、流量増加時は供給オゾン量増加制御、被処理水の流量が低下した際はオゾン量供給量の低減制御として、前記同様の制御を行う。
【0086】
《効果》
オゾン槽1を構成する第1反応槽5、第2反応槽6に水質計31,32を配することによって、現状必要なオゾン量を把握し、必要なオゾン量を過不足なく供給維持することができる。また、被処理水の水質変化の他、処理流量の変化に応じた、オゾン供給量も維持できる。オゾン供給量の増加操作において、微小気泡発生装置10〜13の中空円板(気泡注入部53)の回転数を優先的に増加させることにより、オゾンガス消費量を削減することができる。また、オゾン供給量低減操作において、オゾンガス流量を優先的に低減させることにより、オゾンガス消費量の低減と、オゾン槽内の撹拌混合作用を維持することができるため、各オゾン槽に配した水質計31,32における水質応答も維持することができる。
【0087】
本実施形態によれば、オゾンマイクロバブル適用に伴う、オゾン消費量の削減を達成し、安定したオゾン処理ができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明に係る水処理装置の第1の実施形態を示す構成図。
【図2】本発明に適用される微小気泡発生装置の一例を示す構成図。
【図3】本発明に適用される微小気泡発生装置の一例を示す構成図。
【図4】微小気泡発生装置の特性を示す説明図。
【図5】微小気泡発生装置の特性を示す説明図。
【図6】微小気泡発生装置の特性を示す説明図。
【図7】微小気泡発生装置の特性を示す説明図。
【図8】本発明に適用される微小気泡発生装置の第2の構成例を示す構成図。
【図9】本発明に適用される微小気泡発生装置の第3の構成例を示す構成図。
【図10】本発明に適用される微小気泡発生装置の第4の構成例を示す構成図。
【図11】本発明に適用される微小気泡発生装置の第5の構成例を示す構成図。
【図12】本発明に適用される微小気泡発生装置の第6の構成例を示す構成図。
【図13】本発明に適用される微小気泡発生装置の第7の構成例を示す構成図。
【図14】本発明に適用される微小気泡発生装置の第8の構成例を示す構成図。
【図15】本発明に適用される微小気泡発生装置の第9の構成例を示す構成図。
【図16】本発明に係る水処理装置の第1の実施形態を示す構成図。
【図17】本発明に係る水処理装置の第1の実施形態を示す構成図。
【符号の説明】
【0089】
1…オゾン槽
2…オゾン発生装置
3…活性炭処理装置
4…排オゾンガス分解装置
5…第1反応槽
6…第2反応槽
7…オゾン滞留槽
8,9…隔壁
10〜13…微小気泡発生装置
14…経路
15〜18…オゾン流量調節器
19…流量計
20…水質計
21…制御装置
22…オゾン処理水
23…排オゾンガス
25…気泡除去槽
26…散気装置
27…散気装置用ガス
28…流量調節器
31…第1反応槽水質計
32…第2反応槽水質計
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン発生装置からのオゾン含有気体を微細気泡として被処理水中に発生させる微小気泡発生装置を設けた水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浄水場ではオゾンの持つ強力な酸化力を利用し、原水水質の悪化に伴うカビ臭や着色の対策、塩素消毒過程で発生する発ガン性物質であるトリハロメタン(THMs;Trihalomethanes 以下、THMsとする)の前駆物質の低減を目的として、オゾン処理が用いられている。オゾンの特徴は、フミン酸、フルボ酸などのTHMs生成能を有する生物由来性有機物や、水質を悪化させる原因物質であるアンモニア態窒素や陰イオン界面活性剤を酸化分解し低減させること、耐塩素性を有する病原性微生物であるクリプトスポリジウムパルブム(Cryptosporidium parvum)の不活化に有効であること、自己分解反応を起こし最終的に酸素に分解されることなどがある。
【0003】
しかしながら、浄水場がオゾン処理を導入する際の建設コストは高額であり、費用対効果の点から中小規模の浄水場ではオゾン処理の導入が進みにくいのが現状である。さらにオゾンは、空気中の酸素、あるいは酸素ガスそのものに電圧を加えて生成するため、発生コストを要する。そのため中小規模の浄水場ではオゾン処理の導入は難しく、臭気物質や難分解性有機物を吸着除去するため、粉末活性炭を大量に注入しているケースもある。粉末活性炭の大量使用は、処理コストが増大することとともに、汚泥の量が増大するという課題があり、オゾン処理が適切な処理方法である浄水場もある。
【0004】
水中に溶解しきれなかったオゾンを処理する排オゾン処理装置として、活性炭吸着処理が用いられている。しかし活性炭に含まれる炭素とオゾンが酸化分解反応をして、しだいに活性炭が減量してしまう。さらに、オゾン処理後の被処理水にはオゾンが溶け込んでおり、オゾンによって低分子化された有機物や消毒副生成物等を吸着処理するため、破過状態になると活性炭の入換を行わなければならない。
【0005】
オゾンの生成に掛かる電力費用を削減するには、オゾンの注入量を減少させる必要がある。したがってオゾンの溶解効率を向上させるのが効果的で、その手法に、導入するオゾンガスを微細化した気泡として注入するという方法がある。近年、微細化した気泡利用技術を総称したマイクロバブル適用水処理方法の研究が進んでいる。オゾンや酸素などの溶解促進により、ガス消費量を低減した水処理を行うことができると考えられている。
【0006】
オゾンガスを微細化する水処理の例として、例えば、特許文献1〜特許文献4のようなものがあり、被処理水導入経路、あるいはオゾン槽に保有する被処理水をポンプ送水する経路上に、ガス混合や圧力操作を行う機構を配し、気泡を微細化するものがある。
【0007】
マイクロバブル発生方法として非特許文献1に例示されているように、旋回流式、スタティックミキサー式、エゼクター式、ベンチュリー式、加圧溶解式、極微細孔などがあり、これらは管状流路上に特定の気泡微細器を配置するもので、いずれの方法も、ポンプなどの送水装置を付随する。このため、マイクロバブル生成のために、液を昇圧・駆動するためのポンプ動力付加が加わる。
【0008】
このように、マイクロバブル生成によるガス消費量低減を図った場合、現状では、ポンプ動力が付加されるという課題がある。
【特許文献1】特開2007−21392号公報
【特許文献2】特開2007−21393号公報
【特許文献3】特開平9−290280号公報
【特許文献4】特開平9−276882号公報
【非特許文献1】寺坂宏一「マイクロバブル発生法と工業装置への適用」化学工業 第71巻 第3号 170−173頁
【非特許文献2】大成 博文「マイクロバブル技術の今日的課題」化学工業 第71巻 第3号 154−159頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来の気泡微細化技術を利用したオゾン処理設備においては、気泡微細化操作にポンプ動力が必要であるという課題があった。
【0010】
また、オゾン槽に保有する被処理水をポンプ送水する経路上に、ガス混合や圧力操作を行う機構を配し、気泡を微細化する場合においては、送水対象の含有気泡率によっては、ポンプ送水操作が困難になる可能性があり、必要なオゾンガスをオゾン槽に安定して導入できなくなるといった課題がある。
【0011】
また、微細化された気泡は、非特許文献2に例示されているように、気泡の上昇速度が遅いという特徴がある。このため、オゾン槽中へのガス溶解を目的とした気泡の微細化においては、気泡微細化に伴う、導入ガス気泡上昇に伴う撹拌効果が著しく低減する。特許文献1〜特許文献4は、気泡生成操作に要するポンプ送水を撹拌力とすることが機能上可能ではあるが、槽内全域における気液混合操作維持のためには、更にポンプ送水量が増加するといった課題がある。
【0012】
このように、マイクロバブル技術では、オゾンガスを微細化しオゾン消費量を削減する効果が期待される一方で、オゾン処理コストの増加や、安定したオゾン処理の実施に対する課題がある。
【0013】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、気泡微細化操作にポンプを不要とし、オゾン槽中に浸漬し、回転板を具有するマイクロバブルオゾン発生装置を適用することで、ボンプ動力によるマイクロバブル適用でのオゾン処理コスト増加を抑制すると共に、マイクロバブルにおける気泡上昇速度低下に伴うオゾン槽撹拌効果を保持しながら、気泡微細化操作における気泡含有水の送水操作を不要とすることで、必要なオゾンガスを安定に導入できるため、オゾンマイクロバブルを低コストで安定に供給することができる水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために本発明は、被処理水を導入してオゾン処理を実行するオゾン槽と、このオゾン槽内に1または複数設けられ、オゾン発生装置から発生したオゾン含有気体を導入して前記オゾン槽内の被処理水中に微小気泡を発生させる微小気泡発生装置と、前記オゾン槽の導入側に設けられ、被処理水の流量を計測する流量計と、前記オゾン槽内の所定箇所に1または複数設けられ、被処理水の水質を計測する水質計と、前記流量計または水質計の計測値に基づいて被処理水のオゾン処理を実行する制御装置と、を備え、前記微小気泡発生装置は、前記オゾン槽内に配置され、中空円板状に形成された気泡注入部と、この気泡注入部の少なくとも上面の所定箇所に穿設された複数個の気泡注入孔と、前記気泡注入部を軸支すると共にモータの回転力を受けて回転する回転軸と、前記オゾン発生装置から発生されたオゾンを前記気泡注入部に導入するガス供給管と、を少なくとも備え、オゾン発生装置からのオゾン含有気体をガス供給管を介して気泡注入部に導き、気泡注入部に穿設された気泡注入孔から出た気泡を、気泡注入部を回転させることで生じた剪断力で引きちぎり、オゾン含有気体の微小気泡をオゾン槽内に発生させるものであり、前記制御装置は、前記流量計、または1もしくは複数の水質計の計測値に応じて、前記微小気泡発生装置における気泡注入部の回転数制御、前記オゾン発生装置から微小気泡発生装置に供給されるオゾン含有気体の流量制御の少なくとも何れかを実行する、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、気泡微細化操作にポンプを不要とし、オゾン槽中に浸漬し、回転板を具有するマイクロバブルオゾン発生装置を適用することで、ボンプ動力によるマイクロバブル適用でのオゾン処理コスト増加を抑制すると共に、マイクロバブルにおける気泡上昇速度低下に伴うオゾン槽撹拌効果を保持しながら、気泡微細化操作における気泡含有水の送水操作を不要とすることで、必要なオゾンガスを安定に導入できるため、オゾンマイクロバブルを低コストで安定に供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
〈第1の実施形態〉
《全体構成》
図1は本発明に係る水処理装置の第1の実施形態を示す構成図である。
【0017】
同図に示す水処理装置は、オゾン槽1と、このオゾン槽1内に供給されるオゾン含有気体を発生するオゾン発生装置2と、オゾン槽1内でオゾン処理されたオゾン処理水を活性炭により吸着処理する活性炭処理装置3と、オゾン槽1から排出される排オゾンガス23を導入して分解する排オゾンガス分解装置4とを備えている。
【0018】
オゾン槽1は、第1反応槽5と第2反応槽6とオゾン滞留槽7とから構成され、第1反応槽5と第2反応槽6とは隔壁8で、第2反応槽6とオゾン滞留槽7とは隔壁9でそれぞれ仕切られている。
【0019】
特に、本実施形態では、第1反応槽5の底面に2台の微小気泡発生装置10,11が並置されている。同様に、第2反応槽6の底面にも2台の微小気泡発生装置12,13が並置されている。微小気泡発生装置の詳細な構成については図2乃至図15を用いて後述する。
【0020】
また、オゾン発生装置2から各微小気泡発生装置10〜13にオゾン含有気体を供給する経路14には、それぞれオゾン含有気体の流量を調節するオゾン流量調節器15〜18が設けられている。
【0021】
さらに、オゾン槽1に流入してくる被処理水の流入流量を計測する流量計19と、オゾン滞留槽7付近のオゾン処理水の水質を計測する水質計20と、流量計19および水質計20の計測値を監視し、微小気泡発生装置10〜13およびオゾン流量調節器15〜18を制御する制御装置21とを備えている。
【0022】
《微小気泡発生装置の説明》
次に、本願発明に適用される微小気泡発生装置について、図2〜図15を用いて詳述する。
【0023】
図2〜図15に示す微小気泡発生装置は、剪断法を用いた装置である。この装置は、円板に空けた細孔から出た気泡を、円板を回転させることで生じた剪断力で引きちぎり、微小気泡を発生させるもので、従来法に比べ、大量の微小気泡を低圧力損失で発生できることを特徴とする。この微小気泡発生装置の利用により、微小気泡発生装置の設置台数の削減や、省電力化を可能とする。
【0024】
図2は、微小気泡発生装置の第1の構成例を示している。この微小気泡発生装置は、水槽51内に微小気泡52を注入する気泡注入部53と、この気泡注入部53にオゾンガスを供給するガス供給管54と、気泡注入部53をベルト55を介して回転駆動させるモータ56と、モータ56の回転軸に取り付けられたプーリ57と、気泡注入部53を回転可能に軸支する回転軸58と、この回転軸58に取り付けられモータ56からの駆動力をベルト55を介して受けて回転軸58を回転させるプーリ59とを備えている。
【0025】
図3に示すように、気泡注入部53は、中空の円板状に形成されており、その上面60には複数の気泡注入孔61が穿設配置されている。この気泡注入孔61は回転軸58から一定以上の距離を持つように配置されている。すなわち、回転軸58の中心部付近には気泡注入孔61を設けない領域62が存在することとなる。
【0026】
このように構成された微小気泡発生装置において、ガス供給管54を介してオゾン発生装置(図示せず)からオゾンガスが供給されると、気泡注入部53から被処理水で満たされた水槽51中に気泡が注入される。このとき、モータ56の回転力がプーリ57→ベルト55→プーリ59を介して回転軸58に伝達されており、円板状の気泡注入部53は高速で回転する。その際、気泡注入部53から水槽51中に注入される気泡が大気泡に成長する前に回転による剪断によって引きちぎられ、強制的に気泡注入孔61より離脱させることで微小気泡52として水中に放散されることとなる。
【0027】
気泡注入部53から気泡が流体中に注入されるとき、周りの流体から受ける剪断力によって、気泡の径が変化する。つまり、回転数が高くなり、気泡注入孔61における周速度が大きくなるほど、剪断力が大きくなるため、気泡径は小径化する。この性質を小規模の試験装置を用いて実験的に検証した結果を図4に示す。図4に示すように、気泡注入孔61における周速度が6m/s以下の条件においては周速度が大きくなるに連れて発生する気泡の平均径が小さくなることが分かる。この性質を利用することにより、発生気泡の径を変えることができる。
【0028】
また、周速度が6m/s以上の条件においては、周速度が変化しても、発生する気泡の径は約0.2mmの一定値となる。気泡注入孔61における周速度は気泡注入部53の回転の角速度と回転軸58と気泡注入孔61の距離の積で表されるため、気泡注入孔61における角速度が6m/s以上となるため、全ての気泡注入孔61から発生する気泡の平均径が約0.2mmとなり、気泡注入部53から発生する気泡の径の分布が小さく、径の揃った気泡を発生させることが可能となる。
【0029】
図4は、気泡注入孔61の径と発生する気泡の平均径との関係を実験的に調べた結果を示している。この結果によれば、角速度が6m/sの条件においては、気泡注入孔61の径が小さくなるに連れて、発生する気泡の平均径も小さくなるが、角速度が6m/s以上の条件においては、気泡注入孔61の径が発生する気泡の平均径に与える影響が無くなり、約0.2mmで一定となる。この性質により、気泡注入孔61を微小気泡発生装置の気泡注入孔61としては大きい1mmとしても、約0.2mm径の気泡を発生させることが可能となる。気泡注入孔61を大きくすると、気泡注入孔61における圧力損失を低減されることが可能となり、気泡注入に用いるブロワ、コンプレッサの動力を削減することが可能となる。
【0030】
また、図5は、口径1.0mmの気泡注入孔61が4ヶ所で、気体流量を変化させたときの気泡注入孔61における角速度と発生する気泡の平均径の関係を示している。
【0031】
この関係から理解できるように、気体流量が増えて、1リットル/分に達すると、回転数を上昇させても、微細な気泡を発生できないことが示されている。この傾向から、微細の気泡を発生されるためには、気体流量が制限値以下になっていることが必要であることが分かる。図6は、口径1.0mmの気泡注入孔61を8ヶ所に増やし、かつ気体流量を変化させたときの気泡注入孔61における角速度と発生する気泡の平均径の関係を示している。気泡注入孔61が8ヶ所の条件では、4ヶ所の条件で微細気泡を発生させることが出来なかった2リットル/分の流量においても、微細気泡を発生させることができることが確認された。これらの結果より、気泡注入孔61の数を増やすことで、気泡径を小さく保ったまま、空気流量の制限値を増加可能なことが理解できる。図7は隣り合う気泡注入孔61の間隔を示すピッチP(図3参照)と発生する気泡の平均気泡径との関係を示している。この関係から、気泡注入孔61のピッチPが15mm以下の条件において、発生する気泡の平均気泡径が著しく大きくなることが分かった。
【0032】
図8は微小気泡発生装置の第2の構成例を示している。この例は、気泡注入部53が、所定の空隙を有して対向配置された2枚の円板63,64と、2枚の円板63,64の空隙内の円周部分に形成された小径ノズル65により構成されていることを特徴としている。
【0033】
このように構成された微小気泡発生装置においては、オゾン含有気体66は小径ノズル65から水槽51中に注入される。この小径ノズル65を円周部分に備えた円板が回転駆動されると、このときに働く剪断力によってオゾン含有気体66は引きちぎられて微小気泡52となる。また、気泡注入孔61は全て同一円周上に設けられているため、ほぼ均質な気泡が生成される。
【0034】
この例によれば、同一円周上に並べて配置された微小径のノズル65から気泡が注入され、また注入時に働く剪断力に寄って、均質な微小気泡52を発生されることができる。
【0035】
図9は、微小気泡発生装置の第3の構成例を示している。この例では気泡注入部53の側面が多孔質体67で構成されている。
【0036】
このように構成された微小気泡発生装置において、気体はガス供給管54から供給されて円板の側面に形成された多孔質体67から放出されるが、モータ56によって多孔質体67は回転を与えられる。多孔質体67は孔径が円板に機械加工で穿設された孔に比べ、均質ではないものの、数μmの微小な孔径のものを製作することが可能であるため、微小気泡52を発生させるためには、より有効なものとなる。
【0037】
図10は、微小気泡発生装置の第4の構成例を示している。第4の構成例では、気泡注入部53の上部に衝突板68を設けるように構成している。
【0038】
このように構成された微小発生装置において、オゾン含有気体はガス供給管54から供給され、回転を与えられた気泡注入部53より液体中に注入される。このとき、気泡注入部53より発生された微小気泡52は、気泡注入部53と同期して回転している上部の衝突板68に衝突する。気泡注入部53により発生された微小気泡52が衝突板68に衝突することにより、さらに回転する衝突板68からの剪断力が加わることによって、より微小な気泡を発生させることができる。
【0039】
図11は、微小気泡発生装置の第5の構成例を示している。この構成例では、気泡注入部53の上面側に邪魔板69を配設することを特徴としている。
【0040】
この構成例では、ガス供給管54によって供給された気体が、モータ56によって回転駆動される気泡注入部53から微小気泡52が水槽51内に注入されるが、このとき、邪魔板69に衝突することによって微小気泡52が回転軸中心に集まるのを防止することができる。
【0041】
邪魔板69によって微小気泡52は水槽の中心部に集まることを防ぐことで、水槽中の循環流が均一に発生され、より効率良く微小気泡52を発生させることができる。
【0042】
図12は第6の構成例を示している。ガス供給管54によって供給された気体が、モータ56によってプーリ59を介して回転を与えられ気泡注入部53から、微小気泡52が水槽51に注入されるが、このとき、邪魔板69に衝突する。この邪魔板69は、邪魔板震動源70によって、振動が与えられており、振動する邪魔板69に接触することによってさらに気泡を小径化する。
【0043】
第6の構成例では、回転力によって微小気泡52は中心に集まり合体する性質を有するものの、邪魔板69により微小気泡52が中心部に集まることを防ぐことができる。また、合体した気泡を再び分裂させることにより、効率良く微小気泡52を発生させることができる。
【0044】
図13は第7の構成例を示している。
【0045】
この構成の特徴は、気泡注入部53を多孔質カバー71で覆うようにした点にある。
【0046】
気泡注入部53から注入された気泡は、回転によって小径化し、この小径化した気泡は、多孔質カバー71を通過して水槽中に放出される。
【0047】
このように、多孔質カバー71によって回転する気泡注入部53を覆うことによって、異物等が回転部分へ接触するのを防止できる。
【0048】
図14は第8の構成例を示している。
【0049】
この構成例は、気泡注入部53の上面側に所定の空隙を有して衝突板72を設けると共に、気泡注入部53と衝突板72との空隙の外縁部分に柱状の気泡破砕部73を複数本設けたことを特徴としている。
【0050】
この場合、オゾン含有気体はガス供給管54から供給され、回転を与えられた気泡注入部53より液体中に注入されるが、気泡注入部53より発生した微小気泡52は、気泡注入部53と同期して回転している上部の衝突板72に衝突し、空隙の外縁部分に向かって流れていく。そして、外縁部分に設けられた気泡破砕部73に衝突した後、水槽51中に放出される。
【0051】
この構成例によれば、気泡注入部53より発生した微小気泡52が、気泡破砕部73に衝突して分裂することで、より一層微小な気泡52を発生させることができる。
【0052】
図15は第9の構成例を示している。
【0053】
この構成例では、気泡注入部53において、気泡注入孔61を設けない領域62(図3参照)に翼74を設けることを特徴としている。
【0054】
気泡注入部53の回転に伴って、翼74により、気泡注入部53の表面に中心から外側に向かう流れが誘起される。この流れにより気泡注入孔61からの気泡の離脱が促進される。
【0055】
このように、翼74により誘起された流れが気泡注入孔61からの気泡の離脱を促進させることで、より微小な気泡を発生させることができる。
【0056】
なお、以上の微小気泡発生装置は、モータ56の駆動力をベルト55、プーリ57,59を介して回転軸58に間接的に伝導されるものであるが、回転軸58をモータ56の回転軸にして直接回転駆動するダイレクトドライブ方式のものであっても良い。本発明に係る第1〜第3実施形態においては、ダイレクトドライブ方式の微小気泡発生装置を用いて説明する。
【0057】
《第1の実施形態の作用》
次に、上述のような微細気泡発生装置を備えた本実施形態の作用を説明する。
【0058】
オゾン処理前のプロセスである凝集沈殿処理後の被処理水は流量計19にて流入流量が計測され、その計測値信号は制御装置21に送信される。なお、流量計19は、公知の水流量計測を行う計測器を用いればよく、特に形式は問わないが、適用する水質・流量範囲にて計測できる機器を用いる。
【0059】
オゾン発生装置2は、気体状態のオゾン含有気体を生成する装置を用い、例えば放電技術によって、酸素含有ガスを高電圧下でオゾン化するオゾン発生装置が好適である。
【0060】
オゾン発生装置2にて生成するオゾン含有気体は、第1反応槽5、第2反応槽6にそれぞれ配される微小気泡発生装置10〜13に供給される。その際、供給されるオゾン含有気体の流量調節をするオゾン流量調節器15〜18にて流量調節を行った後、微小気泡発生装置10〜13へと供給される。ここで、オゾン流量調節器15〜18は、導入するオゾンガス濃度および流量を計測調整できる公知のガス流量調節器を用いればよく、特に形式は問わないが、本実施形態に示すように、複数の微小気泡発生装置に対して、個別にオゾン流量調節器が設置される。
【0061】
オゾン流量調節器15〜18を介して供給されるオゾン含有気体は、各微小気泡発生装置10〜13へと供給される。微小気泡発生装置10〜13の構成は前述したとおりであるが、発生する気泡径は200μm以下が望ましい。各微小気泡発生装置10〜13の各気泡注入部53は、回転する中空円板の中心から外周側に生成する水流により、多孔板から排出されるオゾン含有気体を微細化する。この気泡微細化作用が、水頭圧の差によって多孔板である気泡注入部53から排出されるオゾン含有気体吐出量の偏りによって不均一にならないよう、オゾン槽1の水面に対して気泡注入部53は、多孔面を上面とし、かつ設置されるオゾン槽水面に対して水平に配される。
【0062】
また、該微小気泡発生装置は、オゾン槽1中に複数配することで、オゾン要求量増加時の供給量確保と同時に、該微小気泡発生装置を構成する中空円板(気泡注入部53)の回転作用によって生じる水流によって、オゾン槽内のオゾン含有気体の撹拌混合を保持できる。
【0063】
尚、オゾン槽中に微小気泡発生装置を複数配する場合、同一槽内における該微小気泡発生装置における気泡注入部53の円板面は、同一水位に位置させることで、微小気泡発生装置毎のオゾン含有気体排出量を均一化することができる。
【0064】
第1反応槽5および第2反応槽6でのオゾン処理後のオゾン処理水22の水質は水質計20で計測される。水質計20としては、例えば溶存オゾン濃度を計測するものや、溶存有機物濃度を計測する公知の技術を用いればよく、特に限定しないが、処理水質に応じて適用可能な計測器を用いることが望ましく、種類の異なる複数の水質計測器を用いてもよい。水質計20の計測値に応じて、過不足なくオゾン含有気体を供給することで、安定なオゾン処理ができる。ここでいうオゾンガスの供給とは、必要オゾン量に応じてオゾン流量調節器15〜18の供給量を調節することや、オゾン含有気体の微細化作用に寄与する、前記微小気泡発生装置を構成する中空円板(気泡注入部53)の回転数を調整することであり、オゾン供給量を増加させる場合、回転数を増加させ、オゾン供給量を低減させるよう制御装置21によって調整する。
【0065】
オゾン処理水22は、活性炭が充填された活性炭処理装置3に導入される。ここで、活性炭処理装置3とは、オゾン処理水22に溶解しているオゾンや、残存している酸化分解後の有機物等、例えば臭素酸、アルデヒド類等の消毒副生成物を吸着除去するものであり、粒状活性炭を充填した固定床反応塔などの公知の技術を用いればよい。
【0066】
第1反応槽5および第2反応槽6から排出される排オゾンガス23は、排オゾンガス分解装置4に導入される。ここで、排オゾンガス分解装置4とは、排オゾンガス23中に含有するオゾン成分を分解し、系外へ排出するガス中のオゾン濃度を低減する公知の技術を用いればよく、排オゾンガス23にて想定されるオゾン濃度とオゾン流量などから、ガス滞留時間と、分解剤充填量、種類等を選定すればよい。
【0067】
《効果》
本実施の形態によれば、従来の気泡微細化(マイクロバブル)技術とは異なり、本発明の実施形態の微小気泡発生装置10〜13は、ポンプ送水操作なしにオゾン含有気体を微細化してオゾン槽1へ供給することができる。このため、従来の技術においてポンプ送水操作時に発生する圧力損失に伴う、オゾン処理の消費エネルギー増加に対しては、オゾン槽1中に浸漬する微小気泡発生装置10〜13に具有する円板回転動力が対応する動力となるが、この水流生成操作では、従来技術にて生成した圧力損失に対応するエネルギー損失が、発生しない。
【0068】
また、オゾン槽1内に浸漬する微小気泡発生装置10〜13の気泡注入部53の円板回転に伴う水流によって、オゾン槽1内の撹拌混合を保持することができ、導入するオゾン含有気体の微細気泡と被処理水の混合を、気泡微細化と同時に達成することができる。
【0069】
従来のオゾンマイクロバブルを用いる水処理におけるマイクロバブル含有の気液二相流体のポンプ循環操作を伴わないため、気泡含有率が高まった状態でのポンプ送水能変動といった課題が生じないため、安定してオゾン含有気体の微細化供給ができる。更に、微小気泡発生装置10〜13における気泡微細化部分の、水頭圧による影響を無くすることで、各微小気泡発生装置単体での気泡微細化能の不均一化および、同一オゾン槽内に配される微小気泡発生装置間での気泡微細化能の不均一化を抑制し、安定に微細化オゾン含有気体を供給することができる。
【0070】
上述の水処理装置によれば、オゾンガスを微細化気泡として利用する水処理装置における、消費電力量低減と、安定したオゾンの供給ができる。
【0071】
〈第2の実施形態〉
次に、本発明に係る微小気泡を用いた水処理装置の第2の実施形態を、図16を用いて説明する。なお第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0072】
《構成》
第2の実施形態は、オゾン含有気体と被処理水を反応させるオゾン槽1の最後段であるオゾン滞留槽7出口と、活性炭処理装置3との間に設けられた気泡除去槽25と、この気泡除去槽25中に、微小気泡発生装置10〜13に供給される微細気泡より大きい気泡径を有するガスを導入する散気装置26と、この散気装置26への散気装置用ガス27のガス導入量を調整する流量調節器28とを備えている。その他の記号は図1と同様である。
【0073】
《作用》
本実施の形態によれば、第1反応槽5や第2反応槽6に供給された微細なオゾン含有気体気泡は、その気泡径が小さいため、通常の散気装置にて導入されるミリオーダーの気泡と比べ、水中での滞在時間が長いことが知られている。このため、オゾン含有気体と被処理水を反応させるオゾン槽1の最後段であるオゾン滞留槽7出口からは、オゾンマイクロバブルを含んだオゾン処理水22が、活性炭処理装置3へ導入される可能性がある。この際、活性炭処理装置3に充填される活性炭に対するオゾン分解反応の負荷が増加する可能性がある。
【0074】
本実施形態では、第1反応槽5や第2反応槽6に供給された微細なオゾン含有気体気泡より大きい気泡径となるガス散気を散気装置26によって行うことにより、微細なオゾンマイクロバブルと、大きい気泡径である散気ガスとの合一作用によって、オゾンマイクロバブルの消失と合一後の気泡上昇速度を促進させることで、気泡除去槽25上部の気相部分へ移行させることができる。
【0075】
ここで、散気装置26から排出される散気ガス種類は、特に限定しないが、空気や酸素、窒素、オゾン発生装置2からのオゾン含有気体などを選べばよいが、オゾン消費量の過剰な増加を防ぐためには、オゾン発生装置2以外からガス源を選ぶことが望ましい。また、散気装置26は、特に形式は限定しないが、第1反応槽5や第2反応槽6に供給するオゾンマイクロバブルより気泡径が大きいガス供給する形態のものを選べばよい。
【0076】
《効果》
本実施形態によれば、活性炭処理装置3へ導入されるオゾンマイクロバブル量を削減することで、活性炭処理装置3に充填される活性炭に対するオゾン分解反応の負荷上昇を抑制できるため、オゾンマイクロバブル適用に伴う、活性炭処理装置3の充填活性炭コスト上昇を抑制できる。
【0077】
〈第3の実施形態〉
次に、本発明に係る微小気泡を用いた水処理装置の第3の実施形態を図17を用いて説明する。なお第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0078】
《構成》
第3の実施形態は、第1反応槽5、第2反応槽6に、それぞれ第1反応槽水質計31、第2反応槽水質計32を設けたものであり、その他の構成は図1と同様である。
【0079】
《作用》
図17に示した第1反応槽水質計31、第2反応槽水質計32は、それぞれ第1反応槽5、第2反応槽6における水質を計測するものであり、例えば、溶存オゾン濃度を計測するものや、溶存有機物濃度を計測する公知の技術を用いればよく、特に限定しない。但し、処理水質に応じて適用可能な計測器を用いることが望ましく、種類のことなる複数の水質計測器を用いてもよい。
【0080】
第1反応槽水質計31、第2反応槽水質計32の計測値に応じて、第1反応槽5、第2反応槽6過不足なくオゾン含有気体を供給することで、安定なオゾン処理ができる。ここでいうオゾンガスの供給とは、必要オゾン量に応じてオゾン流量調節器15〜18の供給量を調節することや、オゾン含有気体の微細化作用に寄与する、前記微小気泡発生装置10〜13を構成する中空円板(気泡注入部53)の回転数を調整することであり、オゾン供給量を増加させる場合、回転数を増加させ、オゾン供給量を低減させるよう制御する制御装置21によって調整する。
【0081】
第1反応槽5における水中オゾン供給量を増加させる場合、まず設定された許容範囲内での微小気泡発生装置10,11の中空円板(気泡注入部53)の回転数を増加させ、気泡微細化促進を図る。本操作の結果、オゾン供給量が設定値を満足した場合、微小気泡発生装置10,11の中空円板(気泡注入部53)の回転数を段階的に減少させる。この制御操作において、第1反応槽水質計31の第1反応槽5における設置位置に応じて、微小気泡発生装置10,11のいずれかの中空円板(気泡注入部53)の回転数を優先的に増加させてもよい。
【0082】
微小気泡発生装置10,11の回転数の増加のみで、水中オゾン供給量が不足している場合、次に、オゾン流量調節器15,16のオゾン流量を増加させる。本操作の結果、オゾン供給量が設定値を満足した場合、オゾン流量調節器15,16のオゾン流量を段階的に低減後、微小気泡発生装置10,11の回転数を減少させる。
【0083】
第1反応槽5での水中オゾン供給量増加を行う場合、第2反応槽6に配される微小気泡発生装置12,13のうち、上流側の微小気泡発生装置12から優先的にオゾン供給量を増加させる。オゾン供給量の増加制御は、前述の第1反応槽5における水中オゾン供給量を増加させる場合同様、微小気泡発生装置の回転数増→微小気泡発生装置に供給するオゾンガス流量の順に制御する。
【0084】
第2反応槽6での水中オゾン供給量を増加させる場合も、前記第1反応槽5における水中オゾン供給量を増加させる同様、微小気泡発生装置12,13の中空円板(気泡注入部53)の回転数を増加後に、オゾン流量調節器17,18のオゾン流量増の順とし、オゾン供給量低減させる場合は、オゾン流量調節器17,18のオゾン流量低減、微小気泡発生装置12,13の中空円板(気泡注入部53)の回転数低減の順とする。
【0085】
尚、流量計19において、被処理水流量が増減した際も、流量増加時は供給オゾン量増加制御、被処理水の流量が低下した際はオゾン量供給量の低減制御として、前記同様の制御を行う。
【0086】
《効果》
オゾン槽1を構成する第1反応槽5、第2反応槽6に水質計31,32を配することによって、現状必要なオゾン量を把握し、必要なオゾン量を過不足なく供給維持することができる。また、被処理水の水質変化の他、処理流量の変化に応じた、オゾン供給量も維持できる。オゾン供給量の増加操作において、微小気泡発生装置10〜13の中空円板(気泡注入部53)の回転数を優先的に増加させることにより、オゾンガス消費量を削減することができる。また、オゾン供給量低減操作において、オゾンガス流量を優先的に低減させることにより、オゾンガス消費量の低減と、オゾン槽内の撹拌混合作用を維持することができるため、各オゾン槽に配した水質計31,32における水質応答も維持することができる。
【0087】
本実施形態によれば、オゾンマイクロバブル適用に伴う、オゾン消費量の削減を達成し、安定したオゾン処理ができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明に係る水処理装置の第1の実施形態を示す構成図。
【図2】本発明に適用される微小気泡発生装置の一例を示す構成図。
【図3】本発明に適用される微小気泡発生装置の一例を示す構成図。
【図4】微小気泡発生装置の特性を示す説明図。
【図5】微小気泡発生装置の特性を示す説明図。
【図6】微小気泡発生装置の特性を示す説明図。
【図7】微小気泡発生装置の特性を示す説明図。
【図8】本発明に適用される微小気泡発生装置の第2の構成例を示す構成図。
【図9】本発明に適用される微小気泡発生装置の第3の構成例を示す構成図。
【図10】本発明に適用される微小気泡発生装置の第4の構成例を示す構成図。
【図11】本発明に適用される微小気泡発生装置の第5の構成例を示す構成図。
【図12】本発明に適用される微小気泡発生装置の第6の構成例を示す構成図。
【図13】本発明に適用される微小気泡発生装置の第7の構成例を示す構成図。
【図14】本発明に適用される微小気泡発生装置の第8の構成例を示す構成図。
【図15】本発明に適用される微小気泡発生装置の第9の構成例を示す構成図。
【図16】本発明に係る水処理装置の第1の実施形態を示す構成図。
【図17】本発明に係る水処理装置の第1の実施形態を示す構成図。
【符号の説明】
【0089】
1…オゾン槽
2…オゾン発生装置
3…活性炭処理装置
4…排オゾンガス分解装置
5…第1反応槽
6…第2反応槽
7…オゾン滞留槽
8,9…隔壁
10〜13…微小気泡発生装置
14…経路
15〜18…オゾン流量調節器
19…流量計
20…水質計
21…制御装置
22…オゾン処理水
23…排オゾンガス
25…気泡除去槽
26…散気装置
27…散気装置用ガス
28…流量調節器
31…第1反応槽水質計
32…第2反応槽水質計
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水を導入してオゾン処理を実行するオゾン槽と、
このオゾン槽内に1または複数設けられ、オゾン発生装置から発生したオゾン含有気体を導入して前記オゾン槽内の被処理水中に微小気泡を発生させる微小気泡発生装置と、
前記オゾン槽の導入側に設けられ、被処理水の流量を計測する流量計と、
前記オゾン槽内の所定箇所に1または複数設けられ、被処理水の水質を計測する水質計と、
前記流量計または水質計の計測値に基づいて被処理水のオゾン処理を実行する制御装置と、を備え、
前記微小気泡発生装置は、
前記オゾン槽内に配置され、中空円板状に形成された気泡注入部と、この気泡注入部の少なくとも上面の所定箇所に穿設された複数個の気泡注入孔と、前記気泡注入部を軸支すると共にモータの回転力を受けて回転する回転軸と、前記オゾン発生装置から発生されたオゾンを前記気泡注入部に導入するガス供給管と、を少なくとも備え、オゾン発生装置からのオゾン含有気体をガス供給管を介して気泡注入部に導き、気泡注入部に穿設された気泡注入孔から出た気泡を、気泡注入部を回転させることで生じた剪断力で引きちぎり、オゾン含有気体の微小気泡をオゾン槽内に発生させるものであり、
前記制御装置は、
前記流量計、または1もしくは複数の水質計の計測値に応じて、前記微小気泡発生装置における気泡注入部の回転数制御、前記オゾン発生装置から微小気泡発生装置に供給されるオゾン含有気体の流量制御の少なくとも何れかを実行する、
ことを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水処理装置において、
前記オゾン槽を複数の反応槽で構成し、
前記微小気泡発生装置を各反応槽に設け、
前記オゾン発生装置から各微小気泡発生装置にオゾン含有気体を供給する経路にオゾン含有気体の流量を調節するオゾン流量調節器を設け、
前記制御装置は、各反応槽に設けられた微小気泡発生装置における気泡注入部の回転数制御、前記オゾン発生装置から各微小気泡発生装置に供給されるオゾン含有気体の流量を前記各オゾン流量調節器を制御することにより実行する、
ことを特徴とする水処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の水処理装置において、
オゾン槽に複数設置した微小気泡発生装置の前記中空円板状の気泡注入部の上面位置を、該オゾン槽同一水位位置に配することと特徴とする水処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の水処理装置において、
オゾン槽とこのオゾン槽から排出されるオゾン処理水のオゾンを活性炭により吸着処理する活性炭処理装置との間に設けられ、前記微小気泡発生装置からオゾン槽に導入されるオゾン含有気体より大きい気泡径を有するガスを導入して微小気泡を除去する気泡除去槽と、
をさらに備えたことを特徴とする水処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の水処理装置において、
前記制御部は、前記流量計、または1もしくは複数の水質計の計測値に応じて、微小気泡発生装置における気泡注入部の回転数制御を段階的に増加または減少させる回転数可変制御を実行する、
ことを特徴とする水処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の水処理装置において、
前記制御装置は、
流量計、水質計および排オゾンの濃度を測定する排オゾン濃度計によってオゾン消費量を算出し、該オゾン消費量に対するオゾン要求量増減に対するオゾン供給量制御を、オゾン流量調節器および微小気泡発生装置を構成する中空円板状の気泡注入部の回転数によって制御する、
ことを特徴とする水処理装置。
【請求項1】
被処理水を導入してオゾン処理を実行するオゾン槽と、
このオゾン槽内に1または複数設けられ、オゾン発生装置から発生したオゾン含有気体を導入して前記オゾン槽内の被処理水中に微小気泡を発生させる微小気泡発生装置と、
前記オゾン槽の導入側に設けられ、被処理水の流量を計測する流量計と、
前記オゾン槽内の所定箇所に1または複数設けられ、被処理水の水質を計測する水質計と、
前記流量計または水質計の計測値に基づいて被処理水のオゾン処理を実行する制御装置と、を備え、
前記微小気泡発生装置は、
前記オゾン槽内に配置され、中空円板状に形成された気泡注入部と、この気泡注入部の少なくとも上面の所定箇所に穿設された複数個の気泡注入孔と、前記気泡注入部を軸支すると共にモータの回転力を受けて回転する回転軸と、前記オゾン発生装置から発生されたオゾンを前記気泡注入部に導入するガス供給管と、を少なくとも備え、オゾン発生装置からのオゾン含有気体をガス供給管を介して気泡注入部に導き、気泡注入部に穿設された気泡注入孔から出た気泡を、気泡注入部を回転させることで生じた剪断力で引きちぎり、オゾン含有気体の微小気泡をオゾン槽内に発生させるものであり、
前記制御装置は、
前記流量計、または1もしくは複数の水質計の計測値に応じて、前記微小気泡発生装置における気泡注入部の回転数制御、前記オゾン発生装置から微小気泡発生装置に供給されるオゾン含有気体の流量制御の少なくとも何れかを実行する、
ことを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水処理装置において、
前記オゾン槽を複数の反応槽で構成し、
前記微小気泡発生装置を各反応槽に設け、
前記オゾン発生装置から各微小気泡発生装置にオゾン含有気体を供給する経路にオゾン含有気体の流量を調節するオゾン流量調節器を設け、
前記制御装置は、各反応槽に設けられた微小気泡発生装置における気泡注入部の回転数制御、前記オゾン発生装置から各微小気泡発生装置に供給されるオゾン含有気体の流量を前記各オゾン流量調節器を制御することにより実行する、
ことを特徴とする水処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の水処理装置において、
オゾン槽に複数設置した微小気泡発生装置の前記中空円板状の気泡注入部の上面位置を、該オゾン槽同一水位位置に配することと特徴とする水処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の水処理装置において、
オゾン槽とこのオゾン槽から排出されるオゾン処理水のオゾンを活性炭により吸着処理する活性炭処理装置との間に設けられ、前記微小気泡発生装置からオゾン槽に導入されるオゾン含有気体より大きい気泡径を有するガスを導入して微小気泡を除去する気泡除去槽と、
をさらに備えたことを特徴とする水処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の水処理装置において、
前記制御部は、前記流量計、または1もしくは複数の水質計の計測値に応じて、微小気泡発生装置における気泡注入部の回転数制御を段階的に増加または減少させる回転数可変制御を実行する、
ことを特徴とする水処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の水処理装置において、
前記制御装置は、
流量計、水質計および排オゾンの濃度を測定する排オゾン濃度計によってオゾン消費量を算出し、該オゾン消費量に対するオゾン要求量増減に対するオゾン供給量制御を、オゾン流量調節器および微小気泡発生装置を構成する中空円板状の気泡注入部の回転数によって制御する、
ことを特徴とする水処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−69387(P2010−69387A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238044(P2008−238044)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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