説明

水分重量測定のための測定装置

【課題】水分重量測定装置に、試料の水分をより正確に測定することができる改良された測定状態を有する測定室を提供すること。
【解決手段】水分重量を測定するための測定装置(10)は、ハウジング(20)内に荷重受け部分(47)と試料受け取り装置(60)とを備えた秤量装置(40)を含んでいる。試料受け取り装置(60)は、荷重受け部分(47)に結合できるように設計されている。当該測定装置は更に、そのハウジング(20)内に測定室(30)を備えている。試料受け取り装置(60)は、測定を行う位置に設定されているときに測定室(30)内に配置される。試料受け取り装置(60)上に配置された試料の加熱のための測定室(30)内に配置された加熱手段は、第一の放射線源(31)と第二の放射線源(32)とを備えており、前記試料受け取り装置は、第一の放射線源と第二の放射線源との間に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分重量測定のための測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
試料内の水分を測定するためには、試料を乾燥させ、乾燥過程の前後での試料の重量が測定される。この方法は、多量な作業が含まれているので極めて費用がかかるばかりでなく誤りが多い。
【0003】
幾つかの場合には、乾燥過程中に重量の減少量もまた測定することができる。所与の試料においては、重量の減少量は、温度、乾燥時間の長さ及び測定室内の状態の関数であり、これは、試料の乾燥重量に漸近的に近づく重量対時間の曲線に一致する。所与の試料に対する曲線は、比較実験によって決定され且つ近似式によって数学的に表すことができる。利用できる電子技術を適切に備えている水分重量測定のための測定装置は、上記の曲線の測定パラメータに基づき且つ乾燥時間の長さに基づいて試料の水分を計算することができ且つ結果を表示ユニットに示すことができる。この方法においては、乾燥されるべき物体は、最早、全体的に乾燥させる必要はなく、重量対時間の線図内の2つの測定点の座標を測定することで十分である。
【0004】
既に最初に述べたように、試料の重量変化は、実質的に、温度、乾燥時間の長さ及び測定室内の状態の関数である。特に、測定室に課される厳しい要件は、市販によって入手可能な装置の精度に限界を設けている。
【0005】
本明細書における“測定室”という用語は、測定装置のハウジングによって包囲され且つ試料を出し入れするために開けることができる空間を意味している。測定室の内部には、試料受け取る装置及び試料を加熱する手段も配置されている。試料受け取り装置は、重量測定装置に結合されている。
【0006】
通常は、試料は、平らな試料受け取り装置上の薄い層例えば試料トレイ上に広げられる。試料を均一に加熱するために、試料トレイは、その平らな領域が水平で且つ試料加熱手段が占める平らな領域に平行となるように配置されるのが好ましい。
【0007】
試料を加熱するための手段としては、放熱器、マイクロ波発生器、ハロゲンランプ及び石英水銀燈のような種々の放射線源が使用される。実験において分かったように、使用されている放射線源のタイプ及び当該放射線源が測定室内に配置される方法は、現存の不正確な測定結果に対する主要な原因の一つである。
【0008】
上記のタイプの水分重量測定装置が、ヨーロッパ特許EP 0 611956 B1に開示されている。この装置においては、試料物体は秤量パンに置かれ、水分重量測定装置の外部にある間に秤量パン上に置かれる。このようにするために、秤は、引き出しのような摺動キャリア上の測定装置のハウジングから引き出される。放射線源としては、装置が作動状態にあるときに試料受け取り装置の上方に配置されるリング形状のハロゲンランプが使用されている。(特許文献1参照)
試料の熱分解を防止する可能性の一つは、US 6,521,876 B1に開示されているように、放射線源としてマイクロ波発生器を使用することである。マイクロ波による加熱の一つの欠点は、不均一な水分の分布を有する試料は同じく不均一に加熱されることである。試料の加熱された領域から逃げ出す揮発成分特に水蒸気の形態の水分は、試料の冷たい領域において部分的に凝縮して、試料から追い出される前に最初に試料内に分布する傾向があり得る。この結果として起こる時間誤差は、上記した計算方法による分析において達成することができる精度に限界をもたらす。この計算方法を使用する代替例としては、試料内に含まれている水分の全てを追い出す機会を有するものが残されているだけである。しかしながら、試料内に存在する水分の量が少なくなればなるほど、熱の発生が少なくなる。マイクロ波が蒸発熱を発生し得るプラスチック材料製の秤量容器のような家庭用品は、それ自体の内部にある程度の水分又は水分に対する親和性を有し、その結果、乾燥プロセスの代わりに、試料と秤量容器との間の水分の交換が起こることが多い。プラスチック材からなる秤量容器内では、局部的に濃縮された加熱も同様に起こるかも知れず、この場合には、プラスチック材は壊れ且つ逃げていく揮発性の分解生成物による又は物体が秤量容器から昇華されることによる体積の減少が、試料の重量減少として誤って測定され得る。
【0009】
上記した理由により、水分重量測定装置によって水分の絶対値を測定することは殆ど不可能である。従って、物体の水分のより正確な測定のために、公知のカールフィッシャー滴定方法が依然として使用されている。この方法は、極めて労働集約的であり、ユーザーが誤りがちであり、費用がかかる。(特許文献2参照)
【特許文献1】ヨーロッパ特許EP 0 611956 B1
【特許文献2】US 6,521,876 B1公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明は、導入部分において説明したタイプの水分重量測定装置に、試料の水分をより正確に測定することができる改良された測定状態を有する測定室を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的にかなう水分重量測定装置は、ハウジング内に配置された秤量装置を含んでいる。当該秤量装置は、荷重受け部分と、当該荷重受け部分に結合することができる構造とされている試料受け取り装置とを含んでいる。当該測定装置は更に、そのハウジング内に測定室を含んでいる。測定状態においては、試料受け取り装置は測定室内の定位置に設定される。測定室内には、試料受け取り装置上に配置された試料を加熱するための手段が配置されている。当該加熱手段には、第一の放射線源と第二の放射線源とが、前記試料受け取り装置が第一の放射線源と第二の放射線源との間に配置される配置で備えられている。理想的には、前記第一の放射線源は(荷重方向において)前記試料受け取り装置の上方に配置され、第二の放射線源は前記試料受け取り装置の下方に配置される。
【0012】
本明細書における“測定状態”という用語は、測定装置の内部に配置されている部材が測定を行うことができるような形態で相対的に配置されている状態を意味している。実際上は、これは、試料受け取り装置が第一の放射線源と第二の放射線源との間に配置されていることを意味する。
【0013】
測定装置においては、試料受け取り装置は、その平らな領域が荷重方向に直角である面内に延び、一方、第一の放射線源と第二の放射線源とがこれらの放射線源の最も大きな面が試料受け取り装置に平行であるように配向されるように配置されるのが好ましい。
【0014】
原理的には、一つの水分重量測定装置に対して単一の放射線源で十分であろう。なぜならば、その目的が、試料自体が及ぼす影響が出来る限り少ない間に試料から水分を追い出すことのみであるからである。従って、測定室内での熱の発生速度は、試料に依存する値を超えるべきではない。しかしながら、本発明の構造は、公知の技術状況に対して著しい利点を有する。2つの放射線源を試料受け取り装置の下方及び上方に配置することによって、測定室内及び試料内の熱分布に対する極めて良好な制御を得る。当該試料は、より短い時間でより均一に加熱される。両方の放射線源の放射線の強度は、試料及び使用されている試料受け取り装置に適切に適合させることができる。試料受け取り装置の上に広がった試料層の厚みを横切る適切な温度分布を選択することによって、水分の排除は、試料の破壊を生じさせることなく更にスピードアップさせることができる。試料受け取り装置の上に試料を広げる際に、層の厚みが場所によって変わることは避けられない。この変動は試料及び広げる方法に依存する。試料内での熱の分布に対する改良された制御により、試料受け取り装置上の試料の不均一な広がりは、測定結果に対する影響が少ない。
【0015】
本明細書における“試料受け取り装置”という用語は、基本的には、重量測定装置の荷重受け装置又は秤量パンを意味する。
理想的には、秤量装置と測定室とは、測定装置のハウジング内に併設される。測定室の少なくとも1つの壁好ましくは秤量装置に対向している壁は、秤量装置を測定室内に配置されている試料受け取り装置に結合する結合部材が通る少なくとも1つの通過穴を備えている。
【0016】
好ましい実施形態においては、第一及び第二の放射線源の各々の放射レベルは、相互に独立して制御及び/又は調整することができる。理想的には、測定装置には、電子制御装置及び/又は調整装置が備えられており、規定された温度対時間のプロファイルを有する様々な測定プログラムを定めることができ、幾つかの場合には、補正された測定値を直接分析することもできる。
【0017】
最後に挙げた概念を実現するためには、測定室内の温度が、適当な手段例えば測定室内に配置されている温度センサーによって測定される。測定状態のより正確な表示を得るために、測定室内に配置された水分センサーを更に設けることができる。
【0018】
放射線源は、多くの可能性の中から選択することができる。試料を加熱するためには、例えば、加熱プレート、加熱箔、加熱器、加熱コイル、ハロゲン熱ランプ又は石英加熱ランプのような様々な広範囲の放射線源、単色光源、ペルチエ部材又はマイクロ波発生器を使用することができる。
【0019】
第一及び第二の放射線源において使用される各々の放射線源装置が互いに異なっている異なる放射線源の組み合わせは、特に興味深い可能性を提供する。例えば、マイクロ波発生器を加熱プレートと組み合わせることは、測定されるべき試料により特に有利であることが判明し得る。
【0020】
最も広い範囲の可能な可撓性を備えた測定装置を提供するためには、放射線源のうちの少なくとも1つが、放射線源を機械的にハウジングに且つ/又は電気的に電源に接続するプラグーイン・コネクタを有しているべきである。これは2つの理由のために有利である。第一に、これは、放射線源を交換することを極めて容易にする。第二に、これは、種々のタイプの放射線源を一組のモジュール内に一緒に配置することができ、その結果、測定装置のユーザーがこのモジュールの組から、行うべき測定に対して理想的な放射線源の組み合わせを選択できるようになる。
【0021】
試料から追い出される気体及び/又は蒸気が試料の上方から均一に除去されるのを可能にするために、放射線源は、揮発性物質及び/又は蒸気が逃げることができる通過穴を有しているのが理想的である。
【0022】
試料受け取り装置は、試料を測定室内に簡単に配置し且つそれに続いて取り出せるように、荷重受け部分に結合し或いは離脱できるような構造とすることができる。測定装置の全体の構造は、種々の形状で実施化できる。測定装置の第一の実施形態においては、第一の放射線源と第二の放射線源とを相互に一つのユニットとして機械的に結合し、このユニットがほぼ垂直な軸を中心に旋回できる自由度を有するようにハウジングの可動部品によって支持されている。その形状によれば、このユニットが外方へと旋回されたときに試料受け取り装置は自由にアクセスすることができる。
【0023】
当該測定装置の第二の実施形態においては、第一の放射線源は、蓋として形成されている可動のハウジング部分に結合され且つ当該ハウジング部分によって支持されており、当該蓋は、ほぼ水平なヒンジ軸を中心に枢動できるように固定のハウジング部分にヒンジ結合されている。第二の放射線源は、固定のハウジング部分に堅固に結合されている。蓋が持ち上げられた状態においては、試料受け取り装置は自由にアクセス可能である。
【0024】
当該実施形態の第三の実施形態においては、第一及び第二の放射線源が固定のハウジング部分に堅固に結合されており、前記秤量装置は、試料受け取り装置と共にハウジングから滑り出すことができ且つ直線移動範囲に制限されている可動ハウジング部分によって支持される構造とされている。秤量装置の設計に依存して、試料受け取り装置は、秤量装置がハウジングから滑り出たときに自由にアクセス可能である。
【0025】
当該測定装置の第四の実施形態においては、第一及び第二の放射線源は固定のハウジング部分に堅固に結合され、秤量装置は試料受け取り装置と共に、ほぼ垂直軸線を中心として旋回できるように拘束される。秤量装置の形状に応じて、試料受け取り装置は、秤量装置が外へ旋回された位置で自由にアクセス可能である。
【0026】
当該測定装置の第五の実施形態においては、試料受け取り装置を備えた秤量装置はハウジングに堅固に結合され、少なくとも第一の放射線源がほぼ水平方向に動くことができるハウジングの部分に配置される。測定位置においては、この放射線源は、試料受け取り装置の上方に配置される。試料装荷位置においては、試料受け取り装置は、最早、放射線源によって覆われておらず、自由にアクセス可能である。もちろん、第一のみならず第二の放射線源を可動ハウジング部分内に配置して、試料装荷位置では、放射線源が試料受け取り装置の上方又は下方に一つも配置されないようにすることもできる。
【0027】
一つの好ましい実施形態においては、測定室に隣接好ましくは第一の放射線源の上方に吸引装置が配置されている。この目的は、揮発性物質及び/又は蒸気を除去することである。吸引装置は、測定室内の圧力レベルを若干下げ、それによって、ガス状媒体が、例えば測定室の壁に設けられた通路を介して測定装置の外部から引き込まれる。当該ガス状媒体は、測定室を介して適当な方法で導かれ、測定室内で試料から逃げる揮発性物質及び/又は蒸気を吸収することができ、その際に、吸引装置によって測定室から取り除かれる。もちろん、ガス状媒体は、過圧下で測定室を介して供給することもできる。
【0028】
吸引装置は、例えば、換気口又は真空ポンプを備えた排気通路のような能動的な装置に限られない。気体給送装置が過圧下でガス状媒体を外部から測定室内へ導入する場合には、気体給送装置及び測定室から気体を除去するための排気穴が、同様に吸引装置を構成する。
【0029】
秤量装置の秤量結果は、放射線源によって強い影響を受け得る。熱絶縁を提供するために、測定室の壁は、少なくとも測定室と秤量装置との間に二重の壁として形成されるのが好ましく、測定装置の外部から吸引されるガス状媒体好ましくは空気は、二重壁の内側を流れるように導かれる。ガス状媒体は、もちろん、過圧下で測定装置内へも導入され得る。測定室内又は二重壁の内側には、更に、測定室内の静電気を除去するために、試料の静電気を除去する手段例えば電離器を設けることができる。
【0030】
ガス状媒体は、化学的に安定しており且つ測定室内の試料及び物体との反応に対する強い慣性を有しているのが好ましい。これらの性質を有しているガス状媒体は、窒素及び例えばアルゴンのような希ガスのような保護ガスを含んでいる。
【0031】
特別な場合には、試料による物質の再吸収を妨げるために、蒸気のような又は気体物質と反応するガス状媒体を使用することも可能である。水蒸気の場合には、例えば種々のハロゲンを使用することができる。これは、ガス状媒体が予め規定された水分を有している特定の用途に対して有利である。これは、比較測定の再現性を改良する助けとなる。
【0032】
測定結果は、吸引装置によって積極的に発生されるか又は純粋に熱的作用によって生じるかに拘わらず、測定室内を流れる流れによって影響を受ける。測定室内で底部から頂部へと上昇するガス状媒体は、試料受け取り装置の下側に当接して試料の測定重量を減少させる。浮力によって試料にかかる持ち上げ力は、他方では、温度上昇と共に減少する。この種の作用は、実際的な測定の前に、ダミー試料によって補償値を決定することによって電子的に補償することができる。
【0033】
測定装置には、必要に応じて又は自動的に、秤量装置を校正する機能を果たす校正装置が備えられる。
校正装置は、一つの校正用錘又は複数の校正用錘を含むことができる。特に好ましい実施形態においては、校正過程中の1以上の校正用錘の質量中心は、試料受け取り装置及び/又は試料の重心を通り且つ荷重の方向に向けられている軸線上にある。この目的は、校正過程において決定される補正ファクタ内の偏倚荷重誤差(隅角荷重誤差とも称される)を避けることである。
【0034】
当該測定装置の上記の実施形態は、多数の多様なプロセスが行われるのを可能にする。特定された温度プロファイルによって所定の測定期間に亘る重量減少を測定することによって試料の水分を測定する機能を果たすこのようなプロセスのうちの一つは、ほぼ次のステップを含んでいる。すなわち、この方法は、
−放射線源のうちの少なくとも1つによって、測定室を調整して規定された温度にするステップと、
−前記測定室を開き、測定室内に試料を配置し、測定室を閉じるステップと、
−前記試料の重量を、所定時間間隔例えば測定の開始時と測定の終了時に測定し且つ/又は測定の全期間に亘る重量の減少を連続的に測定するステップと、
−試料を取り出し、測定結果を評価し且つ/又は測定結果を指示ユニットに伝えるステップとを含んでいる。
【0035】
実際の測定を開始する前に測定室を調整することによって測定結果の再現性に極めて確実な作用を及ぼす測定室内の安定状態を達成することができる。結果の再現性は、水分重量測定装置の重要な特性である。結果同士の比較を可能にすることは絶対的な前提条件である。例えば、ポリマー粒子のようなプロセス材料のランダムな試料測定においては、測定結果は、経験的な基準値と比較される。測定結果及び比較値は、物体の前処理及び/又は処理装置のための設定データを判定するために使用される。
【0036】
ガス状媒体を調整するための装置が備えられている場合には、測定装置によって更に別のプロセスを行うことができる。このプロセスは、所定の測定時間に亘る且つ規定された温度プロファイルでの重量利得を測定することによって、水分に対する試料の親和力を測定する機能を果たす。このことにより、例えば、プロセス材料の貯蔵をシミュレートすることが可能になる。このプロセスから得られるデータは、処理装置を材料の変化する状態に段階的に又は連続的に適合させるのを可能にする。
【0037】
当該水分に対する親和力を測定する方法は、
−測定室を開けて、当該測定室内に試料を配置し、当該測定室を閉じるステップと、
−試料を所定の水分となるように調整するステップと、
−放射線のうちの少なくとも一つによって、前記測定室を所定の温度に設定するステップと、
−既知の水分を有するガス状媒体を、予め規定された流量及び予め規定された温度プロファイルで、少なくとも測定期間に亘って測定室内に注入するステップと、
−測定の開始時及び終了時に試料の重量を測定し且つ/又は全測定期間に亘って重量の増加を連続的に測定するステップと、
−試料を取り出し、測定結果を評価し且つ/又は測定値を指示ユニットに送るステップと、を含んでいる。
【0038】
上記のプロセスの各々は、測定室を調整するステップを含んでいる。浮力及びガス状媒体の牽引する流れによる誤差の補償もまた、所望ならばこの調整段階中に行うことができる。
【0039】
補正された測定結果内の浮力作用又は牽引する流れによる誤差を電子的に補正する方法は、ほぼ以下のステップを含んでいる。すなわち、当該方法は、
a.測定室、例えば、試料を保持するために使用されるタイプの空の試料トレイ上に基準対象物を配置するステップと、
b.前記基準対象物の基準重量の値を測定するステップと、
c.前記基準対象物の正しい重量の値を所定の測定間隔で測定し且つ/又は全測定期間に亘って重量の変化を連続的に測定するステップと、
d.前記基準重量の値を補正重量の値から差し引くことによって、前記測定期間に亘って補正値又は補正プロファイルを計算するステップと、
e.前記補正値又は補正プロファイルを記憶モジュールに記憶するステップと、
f.前記測定室から前記基準対象物を取り出すステップと、
g.ステップa〜fによって測定された補正値を考慮に入れながら試料の測定を行うステップと、を含んでいる。
【0040】
これらの値は全て秤量セルによって測定される。記憶モジュールは、単一モジュール又は幾つかの相互に結合されたモジュールとして形成することができる電子モジュールの一部分である。前記電子モジュールは、例えば以下のような種々の機能を果たす。すなわち、当該電子モジュールは、
−秤量装置の測定値を受け取り且つ処理するステップと、
−ユーザーの入力データ例えば試料独特のデータを記憶するステップと、
−放射線源の調整及び制御ステップと、
−適用可能な場合に、吸引装置を調整し且つ制御するステップと、
−測定装置上の周囲条件からの影響要因を補償するステップと、
−測定結果の評価及びメモリへの記憶ステップと、
−データの管理ステップと、
−メモリユニット内に記憶されているプログラム及び測定プロセスを実行するステップと、を含んでいる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明による測定装置の詳細は、図面に示されている実施形態の説明によって提供される。
図1は、本発明の第一の実施形態による測定装置10を断面で示している。測定装置10は、内部に測定室30が配置されているハウジング20を備えている。ハウジング20は、可動のハウジング部分22と固定のハウジング部分21とに分かれている。測定室30の下方には、ほぼ水平移動モードに制限されている可動のハウジング部分22上に秤量装置40が配置されている。可動のハウジング部分22は、固定のハウジング部分21内でローラー42上を摺動する。もちろん、二重の引き出し軌道のような市販によって入手可能な引き出しガイドを使用することも可能である。中空の骨組みのような構造とされている可動のハウジング部分22は、秤量セル43、校正用錘装荷機構44及び通信手段51によって相互に接続されている少なくとも1つの電子モジュール45を含んでいる。電子モジュール45は、少なくとも1つの信号処理モジュール(ここでは詳細に示されていない)及び幾つかの場合には制御及び/又は調整モジュールをも含んでいる。秤量セル43は、少なくとも1つの固定部分46と荷重受け部分47とを備えている。公知のタイプの秤量セルとしては、例えば、歪みゲージを担持している弾性的に変形可能な本体又は電磁力補償原理に基づいた秤量セル又は振動ストリング、容量型秤量センサー等を備えている秤量セルがある。固定部分46は、可動のハウジング部分22に堅固に結合されている。荷重受け部分47上には、試料受け取り装置60を荷重受け部分47に結合する結合部材53が設けられている。図示されているように、試料62を有する試料トレイ61は試料受け取り装置60上に配置することができる。試料受け取り装置60の適切な設計によっては、試料62を試料受け取り装置60上に直に載置することももちろん可能である。
【0042】
更に、校正用錘受け取り装置台48が結合部材53上に形成されている。校正用錘49は、校正用錘処理機構44によって荷重受け取り装置台48上に載置することができる。校正用錘処理機構44は、測定装置10内の流れが作用する状態に基づく測定信号のための補正値を決定するために、ユーザーによって又は測定装置10の制御によって作動せしめられる。補正値が決定された後に、校正用錘49は校正用錘受け取り装置台48から再び分離され且つ次の校正サイクルが行われるまで校正用錘処理機構44によって載置台50上に保持される。理想的には、補正値の偏倚荷重誤差を避ける一つの方法として、校正用錘49の質量中心又は適用可能な場合には複数の校正用錘49の結合質量中心は、試料受け取り装置60及び/又は試料トレイ61及び/又は試料62の重心を通る軸線の近くに位置される。“偏倚荷重誤差”という用語(隅角荷重誤差とも称される)は、荷重が試料受け取り装置60上に偏って配置されているときの秤量装置によって測定される重量に生じる中心位置に配置されているときと比較した偏差を意味する。
【0043】
図1に示されている秤量装置40は、定位置に設置された試料トレイ61を備えた試料受け取り装置60が測定室30の内部にあることを意味する測定位置にある。第一の放射線源31が、少なくとも試料62の表面上に出来る限り均一な熱分布を達成するために、測定室30内で試料トレイ60の平らな領域にほぼ平行に配置されている。試料を下側から照射する第二の放射線源32が、測定室30内で試料受け取り装置60の下方に且つほぼ平行に配置されている。しかしながら、放射線源31,32がそれらの最も大きな平らな2つの面が試料受け取り装置60に平行であるように配置されることは絶対条件ではない。試料62及び行われる測定に応じて、第一の放射線源31及び/又は試料受け取り装置60に対して斜め角度に設置された第二の放射線源32を使用することもまた有利であり得る。下方及び上方からの両面放射によって、試料62内により均一な熱分布が達成される。その結果、一方からのみ照射される試料62と比較して、両側から照射される試料62は、高温スポットにおける試料対象物の熱による破壊を生じ得る局部的に集中した熱ピークがより少ない。試料62例えばポリマー物質が比較的低い融点を有している場合には、試料62の表面は、不均一な加熱によって局部的に溶融し且つ試料62から水分が逃げるのを妨げる。これは、時間依存パラメータを含んでいる計算方法が使用されている場合に、計算された最終結果における大きな誤差につながり得る。
【0044】
試料62によって放出された水分が測定室30から逃げ出すのを可能にするために、ハウジング20内の適切な位置に通気穴26が設けられている。測定室30内に十分な量の循環を達成するために、空気入口穴を適当な位置好ましくは第二の放射線源32の下方に設ける必要がある。実際的な解決方法として、図1に示されているように、付加的な通気穴が必要とされないように、試料装荷開口25は同時に測定室30の通気の役目をも果たす。
【0045】
理想的には、放射線源31,32は、ハウジング20に機械的に接続されており且つ取り外し可能なプラグイン接続33によって電源34に電気的に接続されている。これによって、放射線源31,32が大きな労力なしで清浄化又は修理できる。更に、プラグイン接続33の使用によって、測定装置10のユーザーは、異なる機能方法を有する異なる放射線源31,32を相互に結合することができる。このことにより、ユーザーは、測定室に試料62に適合した状態を形成することができる。図1の電源34には、第一の放射線源31の放射線出力に影響を及ぼすように機能する第一の制御/調整装置35と、第二の放射線源32の放射線出力に影響を及ぼすように機能する第二の制御/調整装置36とが備えられている。図示された温度センサー37は、試料62の温度を測定し且つ放射線源31,32を調整するのに必要とされるデータを第一及び第二の制御/調整装置35,36に提供する。電圧源は更に、少なくとも1つの可撓性の接続部52を介して秤量装置40(より特定すると電子モジュール45)に接続されている。このことにより、制御/調整装置35,36が電子モジュール45からの指示を受け取ることができる。
【0046】
図2は、秤量装置40が固定のハウジング部分21から滑り出された状態の図1の測定装置10を示している。秤量装置40は、実質的に、可動のハウジング部分22、秤量セル43、結合部材53、試料受け取り装置60、校正用錘処理機構44、校正用錘49、載置台50、電子モジュール45及び通信手段51を含んでいる。図2からわかるように、電圧源34と電子モジュール45との間の接続は、試料トレイ61及び/又は試料を試料受け取り装置60上に配置することのみならず試料トレイ61及び/又は試料62を取り出すことを容易にするために秤量装置40を固定のハウジング部分21から引き出すことができるように可撓性である必要がある。図2においては、校正用錘39は、校正用錘受け取り装置台48上に設置されており、このことは、補正値が秤量装置40の電子モジュール45によって決定されつつあることを意味している。
【0047】
図3は、第二の実施形態における測定装置110の断面図である。ハウジング120内に配置された秤量装置140は、秤量装置40のための図1の説明において列挙したものと同じ部材を備えている。ハウジング120は、固定のハウジング部分121と可動のハウジング部分122とに分けられている。
【0048】
図1の構造とは異なり、秤量装置140は、水平方向に可動のハウジング部分内ではなく固定のハウジング部分121内に配置されている。秤量装置140は、主として固定のハウジング部分121によって包囲されている。秤量装置140に結合されている試料受け取り装置160のみが固定のハウジング部分121から突出しており且つ可動のハウジング部分122が測定を行うための位置にあるときに可動のハウジング部分122内へ到達する。試料トレイ162、るつぼ等のような異なる形状の容器を、リング形状の試料受け取り装置160上に配置することができる。
【0049】
可動のハウジング部分122は、可動のハウジング部分122が垂直枢動軸線139を中心に旋回するのを可能にするために、固定のハウジング部分121に枢動可能に結合されているユニットの外側包囲体を形成している。測定室130は、可動のハウジング部分122の内部に形成されており、第一の放射線源131が測定室130の上方部分に配置されており、第二の放射線源132が測定室130の下方部分に配置されている。可動のハウジング部分122は更に、ユニットが旋回されたときに試料162を定位置に備えている試料受け取り装置160が可動のハウジング部分122に接触しない形態に形成されている試料装荷開口125を有している。図3に示されているように、当該装置の測定状態において、測定室130は、試料受け取り装置160を包囲しており、第一の放射線源131は、試料受け取り装置160の上方に配置されており、第二の放射線源132は試料受け取り装置160の下方に配置されている。
【0050】
第一の放射線源131は、蒸気及び/又は揮発性物質が穴180を介して試料162の近くから容易に除去できるようにするゲートを形成するために、複数の貫通穴180によって遮られている。吸引装置170が、第一の放射線源131の上方の可動のハウジング部分121内に設けられている。吸引装置170は、測定室130内の圧力を下げて、例えば、測定装置10を包囲している雰囲気が可動のハウジング部分121の通気穴123を介して測定室130内へ取り込まれるようにしている。取り込まれた空気は、放射線源131,132によって測定室130内で加熱され、試料162から逃げ出す水分を吸収し、吸引装置170によって測定室130から出て行く。試料162から追い出された水分を吸収する吸引されたガス状媒体の流速は、吸引装置170の吸引力によって制御することができる。例えばそれ自体強い臭気を有し、有毒で又は腐食性である揮発性物質を処理するために、吸引装置170の吸引チャネルは、図3に示されているように、フィルタ171、例えば織物メッシュインサート、吸着フィルタ及び/又は凝縮器を付加的に備えることができる。現存の基礎構造に応じて、例えば、吸引装置170に結合されているホース173を介してビルの換気装置のダクト内に吸収された水分を有するガス状媒体を送ることが可能である。
【0051】
図4は、開放状態にある測定装置210の三次元図である。この第三の実施形態は、図3に示された測定装置110の変形例を示している。当該秤量装置は、固定のハウジング部分221の内側に配置されており且つ固定のハウジング部分の内部に隠れている。固定のハウジング部分221の少なくとも1つの壁228は、秤量装置の結合部材が外部へ達するときに通る通路224を備えている。結合部材253は、当該結合部材に堅固に結合されている試料受け取り装置260を備えている。当該試料受け取り装置260は、図4において秤量パンとして形成されており且つその上に試料が配置されていない状態で示されている。
【0052】
壁228の一つの端縁部分には、ヒンジ229が形成されている。ヒンジ229は、可動のハウジング部分222を固定のハウジング部分221に結合している。ヒンジ229は、荷重の方向に平行に配置されている垂直枢動軸線239を有している。ハウジング部分222及び221を相互に結合しているヒンジ229は、必ずしも図4に示されている位置に配置される必要はない。これは、壁228の反対側の端縁に配置することができるが、壁228の上方端縁部分に沿って配置することもでき、その場合には、枢動軸239が水平方向に整合される。
【0053】
可動のハウジング部分222は、試料装荷開口225を備えており、当該試料装荷開口225は、測定装置210の測定位置においては、壁228によって閉塞されている。従って、可動のハウジング部分の壁222と固定部分の壁228とは測定室230を形成しており、当該測定室230は、図4においては、試料受け取り装置260への自由なアクセスを可能にする開放状態で示されている。第一の放射線源231と第二の放射線源232とは、装置210の測定位置において、第一の放射線源231が試料受け取り装置260の上方に配置されており、第二の放射線源232が試料受け取り装置260の下方に配置されている形態で可動のハウジング部分222内に配置されている。可動のハウジング部分222は更に、側壁に空気入口穴223を備え且つ第一の放射線源231の上方に出口穴226を備えている。
【0054】
図5は、第四の実施形態における測定装置310の断面図である。ハウジング320内に配置されている秤量装置340は、図1の秤量装置40に対して上記したものとほぼ同じ部材を備えている。ハウジング320は、固定のハウジング部分321と可動部分322とに分かれている。可動のハウジング部分322は蓋として形成されており、内部には第一の放射線源331が配置されている。図3の説明において記載したように、第一の放射線源331の上方において可動のハウジング部分322内に組み入れられている吸引装置370が設けられている。この可動のハウジング部分322は、ハウジング320の上方部分に設けられているヒンジ329を介して固定のハウジング部分321に結合されている。ヒンジ329の枢動軸はほぼ水平である。可動のハウジング部分322は、測定室330の上方部分を形成している。
【0055】
測定室330の下方部分は、固定のハウジング部分321内に形成されている。固定のハウジング部分321内には第二の放射線源332が配置されている。秤量装置340に対して機械的に結合されている結合部材353は、同様に、結合部材353に結合されている試料受け取り装置360が第二の放射線源332の上方位置を占めるような形態で測定室330の下方部分内へ達している。熱絶縁を提供するために、固定のハウジング部分321の壁328は、少なくとも部分的に秤量装置340と測定室330との間の二重壁として形成されている。図5に示されているように、二重壁構造は、ガス状媒体が測定室330内へ導かれるときに通ることができる換気チャネル327を形成している。測定プロセス中の媒体の流れは、壁328を冷却して、測定室330から放射された熱が秤量装置340を含んでいるハウジング部分内へ侵入することができないようになされている。
【0056】
更に、換気チャネル327内には種々の補助装置が設けられている。例えば、静電気を除去するために、ガス状媒体は、電離器390によって電離させることができる。上記の例と同様に、壁328は、同様に、通過穴324を備えている。穴324は、包囲された通路として形成されて、換気チャネル327内を流れる媒体が通過穴324を通って測定室330内へ入ることができないようになされている。
【0057】
図6は、第五の実施形態による測定装置410の断面図である。固定のハウジング部分421及び当該固定部分内に配置された秤量装置440、試料受け取り装置460、結合部材453のみならず第二の放射線源のような要素は、図5の説明において上記した部材とほぼ類似している。第一の放射線源431及び吸引装置470のような要素が内部に配置されている可動のハウジング部分422は、図5の説明において上記した要素にほぼ類似している。しかしながら、図5の配置とは異なり、可動のハウジング部分422は、ヒンジによって固定のハウジング部分421に結合されておらず、ローラー418及びガイド軌道419によってガイドされる。ローラー418及びガイド軌道419は、固定のハウジング部分421内での可動のハウジング部分422の直線運動を可能にする。換気チャネル327の代わりに、測定室430は、可撓性のホース416によって、加圧容器417又はビル内に設置された導管装置に結合されているガス入口ポート415を備えている。加圧容器417は、好ましくは調整装置414によって調整されるガス状媒体を貯蔵して、ガス状媒体が測定室430に入ったときに、ガス状媒体が規定された且つ一定の水分を有するようになされている。ガス状媒体は上記の雰囲気圧力で測定室430内へ流れ込むので、吸引装置470はまた出口穴と置換することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
ここに提供した実施形態は、種々の特性及び水分の重量測定のための特徴を備えた測定装置を示している。明確化のために、種々の特性及び特徴を異なる実施形態において示したけれども、提案された特徴及び特性の一つのみ又は幾つか又は全てを一つの測定装置において実現することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、水平方向に可動のハウジング部分上に配置されている秤量装置を含んでいるハウジングと前記秤量装置上に配置された測定室とを備えている測定装置の第一の実施形態の断面図であり、前記秤量装置には、第一及び第二の放射線源が備えられている。
【図2】図2は、前記秤量装置が測定装置から滑り出された状態の図1の秤量装置を示している図である。
【図3】図3は、垂直軸線を中心に旋回できる構造とされている第一及び第二の放射線源からなるユニットを備えた測定装置の第二の実施形態の断面図であり、前記旋回ユニットと前記秤量装置とが併設されており、吸引装置と通気ユニットとが前記旋回ユニット内に組込まれている図である。
【図4】図4は、開放状態にある測定装置の第三の実施形態を示している三次元図であり、垂直軸線を中心に旋回する構造とされている第一及び第二の放射線源からなるユニットを備えており、前記旋回ユニットと秤量装置とは併設されている。
【図5】図5は、ハウジングを備えた測定装置の第四の実施形態の断面図であり、測定室と秤量装置とが併設されており、第一の放射線源を担持し且つほぼ水平なヒンジ軸を中心に枢動できるように前記ハウジングにヒンジ結合されている蓋を備えており、当該蓋に吸引装置が組み込まれており、前記秤量装置と測定室との間に配置されている隔離換気チャネルを備えており、前記第二の放射線源は、前記ハウジングに堅固に結合されている。
【図6】図6は、ハウジングを備えた測定装置の第五の実施形態の断面図であり、前記測定室と前記秤量装置とが併設されており、前記第一の放射線源を担持しており且つ吸引装置を一体的に含んでいる蓋を備えており、当該蓋は、水平方向に枢動する構造とされており、前記測定室は気体入口ポートを備えている。
【符号の説明】
【0060】
410,310,210,110,10 測定装置、
320,120,20 ハウジング、
421,321,221,121,21 固定のハウジング部分、
422,322,222,122,22 可動のハウジング部分、
225,125,25 試料装荷開口、
226,26 出口穴、
430,330,230,130,30 測定室、
431,331,231,131,31 第一の放射線源、
432,332,232,132,32 第二の放射線源、
33 プラグ−イン・コネクタ、
34 電圧源、
35 第一の制御/調整装置、
36 第二の制御/調整装置、
37 温度センサー、
440,340,140,40 秤量装置、
42 ローラー、
43 秤量セル、
44 校正用錘処理機構、
45 電子モジュール、
46 秤量セルの固定部分、
47 秤量セルの荷重受け部分、
48 校正用錘受け取り装置台
49 校正用錘、
50 校正用錘のための載置台
51 通信手段、
52 可撓性結合部、
453,353,253,53 結合部材、
460,360,160,60 試料受け取り装置、
61 試料トレイ、
162,62 試料、
223,123 空気入口穴、
239,139 枢軸、
470,370,170 吸引装置、
171 フィルタ、
173 可撓性ホース、
180 貫通穴、
324,224 通過穴、
328,228 壁、
329,229 ヒンジ、
327 換気チャネル、
329 電離器、
414 調整装置、
415 気体入口ポート、
416 可撓性ホース、
417 加圧容器、
418 ガイドローラー、
419 ガイド軌道

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(20)、当該ハウジング(20)内に配置されている測定室(30)及びハウジング(20)内に配置された秤量装置(40)を含んでいる水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)であり、前記秤量装置(40)は、荷重受け部分(47)と、当該荷重受け部分(47)に結合することができるように設計された試料受け取り装置(60)とを含んでおり、前記試料受け取り装置(60)は、測定を行うための定位置に配置されたときに測定室(30)内に配置され、前記測定装置(10,110,210,・・・)は更に、前記試料受け取り装置(60)上に配置されるようになされている試料(62)の加熱のための加熱手段を測定室(30)内に更に配置されており、
前記試料(62)を加熱するための手段(62)は、第一の放射線源(31)と第二の放射線源(32)とを含んでおり、前記試料受け取り装置(60)は、前記第一の放射線源(31)と第二の放射線源(32)との間に配置されていることを特徴とする水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)。
【請求項2】
請求項1に記載の水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)であり、
前記試料受け取り装置(60)は、測定を行う位置に設置されたときに、その平らな面が荷重方向にほぼ直角な面内に延びており、前記第一の放射線源と第二の放射線源とが、それらの平らな面が試料受け取り装置(60)に対して平行に配向されていることを特徴とする水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の水分重量の測定のための測定装置(310)であり、
前記秤量装置(340)及び測定室(330)が前記ハウジング内に併設されており、前記測定室(330)の少なくとも1つの壁好ましくは秤量装置(340)に対向している壁(328)は、結合部材(353)が前記測定室(330)内に配置されている試料受け取り装置(360)に達するときに通る前記秤量装置(340)に結合された少なくとも1つの通過穴(324)を備えていることを特徴とする水分重量の測定のための測定装置(310)。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)であり、
前記第一の放射線源(31)及び第二の放射線源(32)の各々の射出レベルが、電子制御装置及び/又は調整手段(35,36)によって相互に独立して制御且つ/又は調整することができることを特徴とする水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)であり、
前記第一の放射線源(31)及び/又は第二の放射線源(32)は、加熱プレート、単色光源、熱放射器、加熱箔、ペルチェ部材又はマイクロ波発生器であることを特徴とする水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)であり、
前記放射線源(131,132)のうちの少なくとも1つが、揮発性物質、気体及び/又は蒸気の通過を可能にする穴(180)を備えていることを特徴とする水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載の水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)であり、
前記放射線源のうちの少なくとも1つを、前記ハウジング(20)に解除可能に機械的に結合するか又は電源(34)に電気的に接続するプラグ−イン・コネクタを含んでいることを特徴とする水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)であり、
前記試料受け取り装置(460)が、前記荷重受け部分に結合するばかりでなく離脱させることができる構造とされていることを特徴とする水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載の水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)であり、
前記第一の放射線源(131)及び第二の放射線源(132)が、一つのユニットとして相互に機械的に結合されており、前記ユニットが、試料受け取り装置(160)をより容易にアクセス可能とする目的で、ほぼ垂直な軸線(139)を中心に旋回する自由度を有する可動のハウジング部分(122)によって支持されていることを特徴とする水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)。
【請求項10】
請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載の水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)であり、
前記第一の放射線源(331)が、蓋として形成されている可動のハウジング部分(322)によって支持され且つ結合されており、前記アタッチメントは、前記試料受け取り装置をより容易にアクセス可能にする目的でほぼ水平なヒンジ軸を中心に枢動できるように前記固定のハウジング部分(32)にヒンジ結合されており、前記第二の放射線源(332)が前記固定のハウジング部分(321)に堅固に結合されていることを特徴とする水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)。
【請求項11】
請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載の水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)であり、
前記第一及び第二の放射線源(31,32)が前記固定のハウジング部分(21)に堅固に結合されており、前記秤量装置(40)が、前記試料受け取り装置(60)と共に、直線運動できるようにガイドされる可動のハウジング部分(22)内に、前記試料受け取り装置(60)をより容易にアクセス可能にする目的で前記固定のハウジング部分(21)から滑り出すことができるように配置されていることを特徴とする水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)。
【請求項12】
請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載の水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)であり、
前記秤量装置(440)が固定のハウジング部分(421)に堅固に結合されており、前記放射線源(431)のうちの少なくとも1つが、前記試料受け取り装置(60)をより容易にアクセス可能にする目的でほぼ水平方向に移動できる可動のハウジング部分(422)上に配置されていることを特徴とする水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)。
【請求項13】
請求項1乃至12のうちのいずれか一項に記載の水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)であり、
吸引装置(170,370,470)が前記測定室(130,330,430)に隣接好ましくは前記第一の放射線源(131,331,431)の上方に配置されていることを特徴とする水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)。
【請求項14】
請求項3ないし13のうちのいずれか一項に記載の水分重量の測定のための測定装置(310)であり、
前記測定室(330)の壁(328)が、少なくとも前記測定室(330)と秤量装置(340)との間に二重壁として形成されており、前記測定装置(310)の外側から吸引され又は過圧下で前記測定室(330)内へ射出されたガス状媒体好ましくは空気が、前記測定室(330)と秤量装置(340)との間の二重壁(328)内に流れるように導かれるようになされたことを特徴とする水分重量の測定のための測定装置(310)。
【請求項15】
請求項14に記載の水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)であり、
前記ガス状媒体が予め規定された水分を有していることを特徴とする水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)。
【請求項16】
請求項1乃至15のうちのいずれか一項に記載の水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)であり、
前記秤量装置(40)に校正装置(44,46,48,49)が設けられていることを特徴とする水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)。
【請求項17】
請求項16に記載の水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)であり、
前記校正装置(44,46,48,49)が1以上の校正用錘(49)を含んでおり、前記1以上の校正用錘(49)の質量中心が、荷重方向に配向され且つ前記試料受け取り装置(60)及び/又は試料(62)の重心を通る軸線上に位置していることを特徴とする水分重量の測定のための測定装置(10,110,210,・・・)。
【請求項18】
請求項1乃至17のうちの一つによる測定装置(10)を使用して、所定の期間に亘り且つ規定された温度プロファイルを有する測定において重量減少を測定することによって試料(62)の水分を測定するための方法であって、当該方法は、
−放射線源(31,32)のうちの少なくとも1つによって、測定室(30)を規定された温度に調整するステップと、
−前記測定室(30)内へ試料(62)を配置するステップと、
−所定の時間間隔で前記試料の重さを測定し且つ/又は測定の全期間に亘って重量の減少を連続的に測定するステップと、
−測定結果を評価し且つ/又は測定結果を指示ユニットに送るステップとを含む方法。
【請求項19】
請求項1乃至17のうちの一つによる測定装置(10)を使用して、所定の期間に亘り且つ規定された温度プロファイルを有する測定において重量の増大を測定することによって試料(62)内の水分に対する親和力を測定するための方法であって、当該方法は、
−試料(62)を測定室(30)内に配置するステップと、
−試料(62)を所定の水分になるように調整するステップと、
−放射線源(31,32)のうちの少なくとも1つによって前記測定室(30)を規定された温度に設定するステップと、
−既知の水分を有するガス状媒体を測定室(30)内へ予め規定された体積流量及び予め規定された温度プロファイルで少なくとも測定期間に亘って注入するステップと、
−前記試料の重量を所定の測定間隔で測定し且つ/又は測定期間全体に亘って前記重量の利得を連続的に測定するステップと、
−測定結果を評価し且つ/又は測定結果を指示ユニットに送るステップとを含む方法。
【請求項20】
請求項18又は19に記載の方法によって測定された測定値内の浮力による誤差を補正する方法であって、
a.基準対象物を測定室内に配置するステップと、
b.前記基準対象物のための基準重量値を測定するステップと、
c.前記基準対象物のための重量補正値を決定し且つ/又は全測定期間に亘って重量変化を連続的に測定するステップと、
d.前記補正値から前記基準重量値を差し引くことによって、前記補正値又は補正プロファイルを、全測定期間に亘って計算するステップと、
e.前記補正値又は補正プロファイルを記憶モジュール内に記憶するステップと、
f.前記測定室から前記基準対象物を取り出すステップと、
g.上記の各ステップにおいて決定された補正値を参酌して前記試料に対する測定を行うステップとを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−292765(P2007−292765A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−113700(P2007−113700)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland
【Fターム(参考)】