説明

水力発電装置

【課題】装置全体の小型化と、発電効率の向上、特に上部と下部によるダブル発電を取り入れて双方を同時に実現する。
【解決手段】上下に設けられた一対の上部ギア15と下部ギア16間に環状に掛け渡された搬送用チェーン19と、上記ギアの回転軸に接続され、当該各ギアの回転に応じて上部と下部によるダブルの発電機と、上記搬送用チェーンに、その循環移動方向に向かって底面となるように所定間隔で設けられた複数の容器13と、上記上部の所定位置にある容器13aに対して上から水を供給する水供給手段12と、サイドより水を補給する給水配管14を備え、上記搬送用チェーンは、上記水供給手段により上記容器に供給された水の重力に基づいて、上記上部ギア並びに上記下部ギア間で循環移動することにより、上記ギアを回転させ上部と下部によるダブル発電をさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
水の落下する運動エネルギーを利用する水力発電装置に関し、特に発電効率をより向上させる上で好適な水力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上掛け水車型水力発電システムは、上部より水を落下させて水車を回転させ、回転する水車の駆動力により発電を行う。その為に大きな発電エネルギーを得るには、より大きな直径からなる水車が必要となる。また、木製で、コストが高く、重いために効率が悪く、水道水等を利用した家庭用や小規模の水力発電装置としての実用化を考える上での障壁となっていた。
【0003】
即ち、小型の水力発電装置とすることで一般家庭においても適用可能な構成を考える際、装置全体の小型化と、発電効率の向上の双方を同時に解決する必要があった。
その為には、上掛け水車型水力発電システムからチェーンベルトの回転による発電システムにすることで上部と下部によるダブル発電が可能となり装置全体の小型化と、より大きなエネルギーを得ることが出来るようになる。
従来においては、例えば特許文献1に示すように水の自重圧で得る気泡により浮力を利用したチェーンベルトの回転による発電システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許公開2010−275992
【0005】
特許文献1の開示技術によれば、あくまで水の重力と気泡の浮力の2つの力を組み合わせることにより、装置全体の小型化と、発電効率の向上の双方を同時に実現するように成っているが下部が水中に有る為に下部での発電が困難であることや水槽や下部タンクを作る欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の開示技術によれば、あくまで水の重力と気泡の浮力の2つの力を組み合わせることにより、装置全体の小型化と、発電効率の向上の双方を同時に実現するように成っているが下部が水中に有る為に下部での発電が困難であることや水槽や下部タンクを作る必要がある。
【0007】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、水の落下するエネルギーを装置全体の小型化と、発電効率の向上、特に上部と下部によるダブル発電を取り入れて双方を同時に実現することが可能な水力発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る水力発電装置は、上述した課題を解決するために、水槽や最下部に気泡を供給する気泡供給手段を無くして空気中で搬送用チェーンや搬送用ベルトにて上下に設けられた一対の上部ギアと下部ギア間に環状に掛け渡された搬送用チェーンやベルトと、少なくとも一方の上記ギアの回転軸に接続され、当該各ギアの回転に応じて発電する発電機や自転車用リム付きハブダイナモにて発電させる。
【0009】
上記搬送用チェーンには、その循環移動方向に向かって水を落下させ所定間隔で設けられた複数の容器に、所定位置にある容器に対して上から水を供給して上記上部ギアや自転車用リム付きハブダイナモ並びに上記下部ギアや自転車用リムダイナモ間で循環移動することにより、上記ギアや自転車用ハブダイナモを回転させて上部と下部によるダブル発電することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上述した構成からなる本発明によれば、水槽や最下部に気泡を供給する気泡供給手段を無くして空気中で搬送用チェーンや搬送用ベルトにて上下に設けられた一対の上部ギアと下部ギア間に環状に掛け渡された搬送用チェーンやベルトと、少なくとも一方の上記ギアの回転させることにより、装置全体の小型化と、発電効率の向上、特に上部と下部によるダブル発電を取り入れて双方を同時に実現することが可能となる。
【0011】
また、水槽や最下部に気泡を供給する気泡供給手段を無くすことにより、低コストで発電効率の良い自然エネルギー発電が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を適用した水力発電装置の自転車用リム付きハブダイナモ並びに自転車用リムダイナモの構成例を示す図である。
【図2】本発明を適用した水力発電装置における上部ギア部分と下部ギア部分の二箇所による発電の構成について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した水力発電装置について、図面を参照しながら詳細に説明をする。
【0014】
図1は、本発明を適用した水力発電装置1の構成例を示している。この水力発電装置1は、供給管2から供給された水が上部カップ3aから最下部のカップ3bまで落下する際の位置エネルギーを利用して発電を行うものである。この水力発電装置1は、上下に設けられた一対の自転車用ハブダイナモ付きリム5並びに自転車用プーリー付きリムダイナモ6との間に環状に掛け渡された搬送用ベルト8と、上部自転車用ハブダイナモ7a下部自転車用プーリー付きリムダイナモ7bと、搬送用ベルト8に設けられた複数の容器3とを備えている。
【0015】
図1で1実施例を示す上部に自転車用ハブダイナモ付きリム5を取り付け、水の落差が1.5m取れるようにして、下部には自転車用プーリー付きリムダイナモ6を取り付けた。上部の自転車用ハブダイナモ付きリム5と下部の自転車用プーリー付きリムダイナモ6の大きさは、1対1/5にした。このことで、上部自転車用ハブダイナモ付きリム5が一回転すると下部の自転車用プーリー付きリムダイナモ6は5回転する。ベルト8は、細いビニールのホースを利用し、水受けのカップ3は、ペットボトル底部を切って作り、80ccの水が入るようにした。ビニールホースベルト8に水受けカップ3を15cm間隔で26個取り付けた。上部のハブダイナモ7aには、6vで2.5wの自転車用のLEDライト10aを付け、下部のリムダイナモ7bにも6vで2.5wの自転車用のLEDライト10bを付けた。
【0016】
水の力が真下にかかる様に、上部の自転車用ハブダイナモ付きリム5から水受けカップ3を付けたビニールホースベルト8が垂直になるようにして、下部の自転車用プーリー付きリムダイナモ6を取り付けた。
1.5mの高さから水道水をカップ3aに入れ押し下げていくとゆっくり動き始め、やがて早く回転するようになり上部LEDライト10aと下部LEDライト10bが点灯した。
【0017】
この装置は、上部と下部のプーリーの大きさが同じでも良いが、水の落下速度が速いので上掛けだけでなくサイドから縦方向に配管9して水の供給が出来るようにすると良い、また、高さが高い場合も同様でサイドから給水すると良い。
【0018】
図2は、本発明を適用した水力発電装置11の構成例を示している。この水力発電装置11は、供給管12から供給された水が上部カップ13aから最下部のカップ13bまで落下する際の位置エネルギーを利用して発電を行うものである。この水力発電装置11は、上下に設けられた一対の上部ギア15と下部ギア16間に環状に掛け渡された搬送用チェーン19と、少なくとも一方の上記ギアの回転軸に接続され、当該各ギアの回転に応じて発電する発電機と、上記搬送用チェーン19に、その循環移動方向に向かって底面となるように所定間隔で設けられた複数のカップ13を備え、上記搬送用チェーン19は、上部ギア15と下部ギア16の大きさが同じため、水の落下速度が速いので上掛けだけでなくサイドから縦方向に水の供給配管14して水の供給が出来るようにすると良い。また、高さが高い場合も同様でサイドから給水すると良い。上記水供給手段により上記容器に供給された水の重力に基づいて、上記上部ギア15並びに上記下部ギア16間で循環移動することにより、上部と下部によるダブル発電をさせることを特徴とする。
【符号の説明】
【0019】
1 水力発電装置
2 供給管
3 カップ
3a 上部水受けカップ
3b 最下部水受けカップ
4 装置支え台
5 自転車用ハブダイナモ付きリム
6 自転車用プーリー付きリムダイナモ
7a 上部ハブダイナモ
7b 下部リムダイナモ
8 ベルト
9 水給水配管
10a 上部LEDライト
10b 下部LEDライト
11 2図の水力発電装置
12 供給管
13 カップ
13a 上部水受けカップ
13b 最下部水受けカップ
14 水給水配管
15 上部ギア
16 下部ギア
17 上部発電機
18 下部発電機
19 搬送用チェーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に設けられた一対の上部と下部の大きさを変えることができるハブダイナモ付き自転車用リム並びに下部プーリー付きの自転車用リムダイナモとの間に環状に掛け渡された搬送用ベルトで回転させ、上部自転車用ハブダイナモと下部プーリー付き自転車用リムダイナモで発電させ、搬送用ベルトに、その循環移動方向に向かって底面となるように所定間隔で設けられた複数の容器と、上記上部の所定位置にある容器に対して上から水を供給する水供給手段と、サイドより水を補給する給水配管を備え、上記搬送用ベルトは、上記水供給手段により上記容器に供給された水の重力に基づいて、上記ハブダイナモ付き自転車用リム並びに下部プーリー付きの自転車用リムダイナモ間で循環移動することにより、自転車用リム並びに下部プーリーを回転させ上部と下部によるダブル発電をさせることを特徴とする水力発電装置。
【請求項2】
上下に設けられた一対の上部ギアと下部ギア間に環状に掛け渡された搬送用チェーンと、少なくとも一方の上記ギアの回転軸に接続され、当該各ギアの回転に応じて上部と下部によるダブルの発電機と、上記搬送用チェーンに、その循環移動方向に向かって底面となるように所定間隔で設けられた複数の容器と、上記上部の所定位置にある容器に対して上から水を供給する水供給手段と、サイドより水を補給する給水配管を備え、
上記搬送用チェーンは、上記水供給手段により上記容器に供給された水の重力に基づいて、上記上部ギア並びに上記下部ギア間で循環移動することにより、上記ギアを回転させ上部と下部によるダブル発電をさせることを特徴とする水力発電装置。
【請求項3】
上部から水を供給する水供給手段と不足する水の補給をサイドよりする構造を特徴とする請求項1又は2記載の水力発電装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−229686(P2012−229686A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110812(P2011−110812)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(593044067)有限会社 ヤマ吉 (3)
【Fターム(参考)】