説明

水加熱容器

【課題】沸騰した湯水が容器本体の外部へ噴出することをより確実に防止するとともに、小型化を実現可能な水加熱容器を提供する。
【解決手段】湯水を貯留する有底筒状の内容器1を内部に配設した容器本体100と、内容器1の上部開口を開閉自在な蓋体200と、内容器1の外底面及び外側面下部に設けられ、内容器1に伝熱することで内容器1内の湯水を加熱する加熱手段と、蓋体200に設けられ、内容器1内で発生する蒸気を外部に放出する蒸気放出機構とを備えた水加熱容器であって、蓋体200の下面には蒸気を受け入れ可能な上方に膨出した膨出部77が設けられ、平面視で、膨出部77が内容器1の中心部から内壁1a側に偏った位置に配設されるとともに、膨出部77の外周の少なくとも一部が内容器1の内壁1aの内周に沿う形状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯水を貯留する有底筒状の内容器を内部に配設した容器本体と、前記内容器の上部開口を開閉自在な蓋体と、前記内容器の外底又は外側面下部に設けられ、前記内容器に伝熱することで当該内容器内の湯水を加熱する加熱手段と、前記蓋体に設けられ、前記内容器内で発生する蒸気を外部に放出する蒸気放出機構とを備えた水加熱容器に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる水加熱容器としての電気ポットとして、例えば、特許文献1には、電気ポット本体内の内容器に貯留した湯水を加熱手段で沸騰させ、当該内容器内で発生する蒸気を外部に放出する蒸気放出機構が設けられた構成が記載されている。この蒸気放出機構は、蓋体に設けられ、内容器の上方と連通し、蒸気放出通路及び蒸気口を介して蒸気を外部に放出可能に構成されている。そして、蓋体の下面には内蓋板が設けられ、内蓋板の略中央には上向きに膨出する膨出部が設けられた構成とされている。この膨出部は概略台形の空間となっており、膨出部の上端には複数の通気孔が設けられ、その通気孔は蒸気放出通路及び蒸気口へと通じている。
【0003】
従って、この特許文献1に記載の電気ポットでは、沸騰時に発生した蒸気(湯水の液面から発生する蒸気及び湯水内から発生する沸騰気泡を含む、以下同じ)により湯水の液面が波打った場合において、内容器に貯留した湯水の水位が沸騰時の膨張により上昇したとしても、発生した蒸気を内蓋板の膨出部に収容しつつ、膨出部内の通気孔を経由して蒸気口から内容器の外部へ放出することが可能な構成とされている。これにより、発生した蒸気を内容器の外部に確実に放出して、当該発生した蒸気の影響により波打った状態の高温の湯水が、蒸気口や注ぎ口等に飛び散り外部に噴出することを防止できるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−22857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の電気ポットでは、膨出部が内容器の略中心の上部の位置に設けられており、容器内の湯水の沸騰時に発生する蒸気を収容し、ある程度、発生した蒸気の影響により波打った状態の高温の湯水が電気ポットの外部に噴出するのを防止することができるとされる。しかしながら、実際に湯水の沸騰時における内容器内の湯水の対流状況や蒸気の発生状況等を考慮すると、その蒸気を効率的に収容するため膨出部の配置及び形状について、改善の余地がある。
特に、内容器内に湯水が満水指示線を超えて貯留されている状態で加熱が行われた際には、湯水の液面と蓋体の下面との空間は狭くなり、必然的に膨出部の空間も狭くなるため、発生した蒸気をより効率的且つ迅速に収容するための膨出部の配置や形状について改善することが望まれる。
【0006】
また、上記の特許文献1に記載の電気ポットでは、膨出部が蓋体内部の中央部に設けられているが、蓋体の中央部には湯水の蒸気放出機構等の部材が配設されていることが多く、膨出部を形成するための空間を確保するためには、蓋体の高さを高くすることが必要となり、蓋体が大型化する。従って、上記の特許文献1に記載の電気ポットでは、蓋体に膨出部を設けることで、蓋体が大型化してしまう結果、水加熱容器全体としては小型化が図れないという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、沸騰した湯水が容器本体の外部へ噴出することをより確実に防止するとともに、小型化を実現可能な水加熱容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
湯水を貯留する有底筒状の内容器を内部に配設した容器本体と、
前記内容器の上部開口を開閉自在な蓋体と、
前記内容器の外底面又は外側面下部に設けられ、前記内容器に伝熱することで当該内容器内の湯水を加熱する加熱手段と、
前記蓋体に設けられ、前記内容器内で発生する蒸気を外部に放出する蒸気放出機構とを備えた水加熱容器であって、
前記蓋体の下面には前記蒸気を受け入れ可能な上方に膨出した膨出部が設けられ、
平面視で、前記膨出部が前記内容器の中心部から内壁側に偏った位置に配設されるとともに、前記膨出部の外周の少なくとも一部が前記内容器の内壁の内周に沿う形状に形成されてなる点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、加熱手段により加熱された内容器内の湯水から発生した蒸気(湯水の液面から発生する蒸気及び湯水内から発生する沸騰気泡を含む、以下同じ)を受け入れ可能な上方に膨出した膨出部が、後述するように蓋体の下面の適切な箇所に適切な形状で配設されているので、発生した蒸気を膨出部(収容空間)に効率よく迅速に収容し、膨出部を介して速やかに蒸気放出機構の蒸気口等から放出することができる。これにより、沸騰時に発生した蒸気により湯水の液面が波打った場合において、内容器に貯留した湯水の水位が沸騰時の膨張により上昇したり、内容器内に湯水が満水指示線を超えて貯留されている状態で加熱が行われたときでも、発生した蒸気が内容器内において蓋体の下面付近に滞留することなく迅速に外部に放出でき、発生した蒸気の影響により波打った状態の高温の湯水が蒸気放出機構等から容器本体の外部に噴出することを確実に防止することができる。
具体的に説明すると、まず、この種の水加熱容器では、加熱手段が内容器の外底面又は外側面下部に設置され、加熱手段の発熱により内容器に伝えられた熱によって、内容器内の湯水は、内容器の内壁(底面や内周面)から加熱されるので、この内容器内では、加熱された湯水が内容器の内周面近傍で上昇し、内容器の略中心部で下降する対流(循環対流)が生ずる(例えば、図3参照)。従って、加熱された湯水が上昇する内容器の内周面近傍の液面からは、より多くの蒸気が発生し液面を波打たせながら、当該発生した蒸気は主として内容器の内周面に沿って蓋体の下面付近にまで上昇する。
一方で、蒸気を受け入れる蓋体の下面に設けられた膨出部が、平面視で、内容器の中心部から内壁側に偏った位置に配設されているので、内容器の内周面に沿って上昇した蒸気の流れが到達する箇所に膨出部が配設されることとなる。加えて、平面視で、膨出部の外周の少なくとも一部が内容器の内壁の内周に沿う形状に形成されてなるので、内容器の内周面に沿って上昇した蒸気の流れの延長線上に可能な限り膨出部が存在するように、膨出部の形状が形成されることとなる。このように、膨出部が内容器の内周面に沿って形成されることで、内容器の中心部に膨出部を設ける場合に比べ、蒸気の収容空間として機能する膨出部の実質的な容積を大きく取ることが可能になり、蒸気の収容を確実に行うことができる。従って、蒸気が膨出部内に自然に流入することとなり、また、当該蒸気の流れが膨出部の外周部で阻害されることがなく、発生した蒸気は膨出部に、より効率よく迅速に案内されることとなる。
よって、発生した蒸気が内容器内において蓋体の下面付近に滞留することなく効率よく迅速に外部に放出され、発生した蒸気の影響により波打った状態の高温の湯水が蒸気放出機構等から容器本体の外部に噴出することを確実に防止することができる。特に、内容器内に湯水が満水指示線を超えて貯留されている状態で加熱が行われた際に、湯水の液面と蓋体の下面との空間が狭くなっている場合でも、発生した蒸気の影響により波打った状態の高温の湯水が蒸気放出機構等から容器本体の外部に噴出することを確実に防止することができる。
また、上述の通り、蓋体の下面に設けられ上方に膨出する膨出部は、内容器の中心部から内壁側に偏った位置に配設されているので、蓋体における内容器の中心部に対応する箇所(蓋体の中心部近傍)に何らかの部材が配設されている場合であっても、膨出部が蓋体の中心部近傍に配設される場合と比して、蓋体の高さ(厚み)をできるだけ低く(薄く)することが可能となる。従って、蓋体、ひいては、水加熱容器の小型化を実現することができる。
よって、沸騰した高温の湯水が容器本体の外部へ噴出することをより確実に防止するとともに、小型化を実現可能な水加熱容器を提供することができた。
【0010】
本発明に係る水加熱容器の更なる特徴構成は、前記蓋体には、前記内容器内に貯留された湯水を注ぎ口へ導く注ぎ用通路と、当該注ぎ用通路を開閉する弁体を備えた弁機構とが設けられ、
前記蒸気放出機構の蒸気放出用通路には転倒止水弁が設けられる構成で、
前記膨出部の少なくとも一部が、前記弁体と前記転倒止水弁とのならび方向で、前記弁体と前記転倒止水弁との間に配設された点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、湯水を注ぎ口へ導く注ぎ用通路を開閉する弁体を備えた弁機構と蒸気放出機構の蒸気放出用通路の転倒止水弁とが蓋体内に設けられる構成において、弁体と転倒止水弁とのならび方向で、弁機構の弁体と転倒止水弁との間に存在する蓋体内の余剰空間を利用して、蒸気を受け入れ可能な膨出部(収容空間)を配設することができる。ここで、弁体と転倒止水弁とのならび方向で、弁体と転倒止水弁との間とは、断面視で、弁体の外形と転倒止水弁の外形との一対の共通外接線と、弁体及び転倒止水弁のそれぞれの外形線分とで囲まれた範囲(弁体と転倒止水弁が配設された領域を除く)を示している。
これにより、上記弁体及び転倒止水弁が蓋体内に配設されている場合でも、本来活用されていなかった蓋体内における余剰空間を、蒸気の収容空間として有効に利用することができる。また、その結果、蓋体内において弁体及び転倒止水弁が配設される箇所以外の箇所に膨出部を配設できるので、蓋体の高さ(厚み)をできるだけ低く(薄く)することが可能となる。
よって、蓋体、ひいては、水加熱容器のより一層の小型化を実現することができる。
【0012】
本発明に係る水加熱容器の更なる特徴構成は、前記蓋体には、前記内容器内に貯留された湯水を注ぎ口へ導く注ぎ用通路と、当該注ぎ用通路を開閉する弁体を備えた弁機構とが設けられ、
前記蒸気放出機構の蒸気放出用通路には転倒止水弁が設けられる構成で、
前記蓋体の前方側に前記弁体が配設され、前記蓋体の後方側に前記転倒止水弁が配設されて、前記膨出部が、前記弁体と前記転倒止水弁との間で、且つ、前記蓋体の左右両側のうち少なくとも何れか一方に配設された点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、蓋体内において、前方側に弁体を配設し、弁体に対して反対側の後方側に転倒止水弁を配設することで、弁体と転倒止水弁との間における前後方向に直交する左右側に生じた空間的な余裕に、膨出部を配設することができるので、弁体及び転倒止水弁を備えながらも、蓋体内の空間を効率よく利用した状態で膨出部を配設することが可能となる。これにより、例えば、蓋体内の左右両側の余剰空間に膨出部を設ける場合では、蓋体内に存在する複数の余剰空間を余すところなく有効に利用でき、蓋体を小型化できるとともに、複数の膨出部を設けて蒸気の収容空間をより大きく且つ十分に確保できるため、より効率的に蒸気を収容することができ、より確実に蒸気口等からの高温の湯水の噴出を防止することができる。
【0014】
本発明に係る水加熱容器の更なる特徴構成は、前記蓋体の下面には、上方に膨出した凹部が形成され、当該凹部内に前記膨出部が形成されている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、蓋体の下面には、上方に膨出した凹部が形成され、当該凹部内に膨出部が形成されているので、膨出部に対向する液面で発生した蒸気の流れが膨出部に直接案内されて収容されるだけでなく、当該液面の範囲から離れた液面(例えば、内容器の中心部付近の液面)で発生した蒸気の流れを、一旦凹部内に導いて流通させた後、当該凹部よりも上方に膨出した膨出部に最終的に収容させることができる。これにより、発生した蒸気をより効率的に膨出部に導いて収容することができる。
特に、内容器内に湯水が満水指示線を超えて貯留されている状態で加熱が行われた場合等において、湯水の水位が蓋体の下面と略同じ高さとなっている場合、液面から発生する蒸気を膨出部に適切に導くことが困難となるが、そのような場合においても、蒸気の流通可能な空間である凹部が膨出部よりも広い範囲に設けられることで、当該蒸気を膨出部に、より確実に導くことが可能となる。
【0016】
本発明に係る水加熱容器の更なる特徴構成は、前記蓋体の下面には、円板状の内蓋板が設けられ、前記内蓋板に前記膨出部が配設されている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、蓋体の下面には、円板状の内蓋板が設けられ、内蓋板に膨出部が配設されているので、蓋体と内蓋板を別部材で構成することが可能となり、膨出部を形成する際の加工が容易となる。また、高温の蒸気に直接触れることになる内蓋板の材料をステンレス等の耐熱性、耐スチーム性のある材料で構成し、蓋体を樹脂等で構成すること等が可能となる。この場合、内容器に満水位を超えて水を貯留し、その状態で加熱することで、加熱膨張により湯水の水位が上昇して内蓋板が高温湯水内に浸かることがあっても、内蓋板の材料が十分に耐熱性、耐スチーム性のある材料で構成されるので、内蓋板により樹脂製の蓋体を保護することができ、装置の耐久性を向上させることが可能である。
【0018】
本発明に係る水加熱容器の更なる特徴構成は、前記加熱手段が、前記内容器の外底面の外径側又は外側面下部に設けられ、前記膨出部が前記加熱手段により直接加熱される湯水直接加熱領域の上方に配設されている点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、加熱手段の発熱により内容器内の湯水が直接加熱される湯水直接加熱領域の上方に膨出部が配設されているので、直接加熱により湯水が高温となる湯水直接加熱領域から発生する蒸気をより効果的に収容することができる。ここで、湯水直接加熱領域とは、内容器の内壁を挟んで加熱手段に対向し、当該加熱手段の近傍の領域のことであり、加熱手段による加熱により内容器内の他の領域よりも湯水温度が上昇して高温となり易い領域のことである。その領域において高温になった湯水から、より多くの蒸気が発生する可能性があるため、膨出部を湯水直接加熱領域の上方に配設することで発生する蒸気を効果的に収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ケトル本体が電源プレートから持ち上げられた状態での電気ケトルの斜視図
【図2】蓋体をケトル本体から分離した状態での電気ケトルの斜視図
【図3】図2の電気ケトルのIII−III矢視図
【図4】蓋体及びケトル本体の分解斜視図
【図5】図2の電気ケトル上部のIII−III矢視図
【図6】図2の電気ケトル上部のIII−III矢視図
【図7】図2の電気ケトル上部のVII−VII矢視図
【図8】図5のVIII−VIII矢視図
【図9】別実施形態に係る膨出部を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて、本発明を水加熱容器の一例としての電気ケトルに適用した場合の実施形態を説明する。
図1〜図3に示すように、電気ケトルは、電源プレートPとその電源プレートPに載置自在なケトル本体Kとを備えて構成されている。
ケトル本体Kの内部には湯水を貯留する内容器1が設けられ、ケトル本体Kの外周部には、ケトル本体Kを持ち上げるための把手2が設けられ、並びに、ケトル本体Kの外周部の上部側には、内容器1内の湯水を注ぐ注ぎ口3が設けられている。把手2及び注ぎ口3は、ケトル本体Kの上部の中心に対して互いに反対側に振り分けて設けられている。なお、本実施形態では、注ぎ口3が設けられる側を前側、把手2が設けられる側を後側と称する。
【0022】
図2に示すように、ケトル本体Kは、内部に内容器1を有して上部が開口した概ね有底円筒状の容器本体100と、その容器本体100の開口部を開閉自在な概ね円盤状の蓋体200とを備えて構成されている。そして、蓋体200は、容器本体100の開口部に対して着脱自在で、その開口部に嵌めこまれた状態で容器本体100に装着されることにより、その開口部を閉じるように構成されている。
【0023】
図3の電気ケトルの断面図に基づいて、ケトル本体Kについて説明を加える。ケトル本体Kには、内容器1内の湯水を加熱する加熱手段としての電気ヒータ4が備えられ、外部から供給される電力を電気ヒータ4に供給する受電機構5が底面の中央部に位置する状態で備えられている。また、図1及び図2に示すように、操作盤6が側周面の下部に位置する状態で備えられている。ちなみに、操作盤6には、図示を省略するが、電気ヒータ4への通電の開始及び停止を指令する運転スイッチ等が備えられている。
図1および図3に示すように、電源プレートPには、電源コード(図示省略)を通して供給される電力を外部に出力する給電機構7が上面の中央部に位置する状態で備えられている。
【0024】
そして、ケトル本体Kを電源プレートPに載置した給電姿勢において、受電機構5と給電機構7とが導通状態に接続されて、給電機構7から受電機構5を介して電気ヒータ4に給電されて、内容器1に貯留されている湯水が加熱されるように構成されている。
又、図1及び図6に示すように、把手2を把持してケトル本体Kを持ち上げて注ぎ口3が下向きになるように傾けることにより、内容器1内の湯水を注ぎ口3から注ぐことになる。
【0025】
図3に示すように、容器本体100は、概ね、有底円筒状の外郭部材11の口縁部に口縁部材12を嵌め込むと共に、その口縁部材12に有底円筒状の内容器1を吊り下げ支持して構成され、更に、中空状の把手2が口縁部材12と外郭部材11とに跨って取り付けられている。
外郭部材11の底部の中心部には、その底面から引っ込んだ状態で、給電機構7を嵌め込むことが可能な円状の給電機構嵌め込み用凹部13が設けられ、その給電機構嵌め込み用凹部13内に受電機構5が設けられている。
【0026】
図3に示すように、電気ヒータ4は、概略円環状に形成され、ステンレス等の金属性の内容器1の外底面に設けられて、内容器1に伝熱することで内容器1内の湯水を加熱することが可能に構成されている。具体的には、電気ヒータ4の発熱により内容器1に伝えられた熱によって、内容器1内の湯水は内容器1の内壁1a(底面や内周面)から加熱される。その結果、図3の矢印Yで示すように、内容器1内の湯水は、高温となる内壁1aの内周面近傍において上昇し、内容器1の略中心部において下降する状態で、循環するように対流する。
【0027】
次に、図4〜図7に基づいて、蓋体200について説明を加える。図4に示すように、ケトル本体Kの蓋体200には、蓋体200を容器本体100の開口部を閉じる閉じ位置に保持する一対のフック部材8、注ぎ口3からの貯留部1内の湯水の流出を許容するか否かに切り換えるための弁操作具9、及び、内容器1内で発生する蒸気を外部に放出するための蒸気口10を備えた蒸気放出機構A等が設けられている。
また、蓋体200は、蓋本体部材15と、その蓋本体部材15の上方の蓋カバー16と、蓋本体部材15の下方の内蓋板17と、その内蓋板17の外周部のシール材18とを一体的に組み付けて構成されている。
容器本体100の口縁部材12には、注ぎ口3の下方部分を構成する溝状部12mが形成され、蓋体200の蓋本体部材15には、注ぎ口3の上方部分を構成する庇部15eが設けられている。
そして、口縁部材12の溝状部12mの上方を蓋本体部材15の庇部12eが覆う状態となる蓋体装着用の相対位置関係で、蓋体200を容器本体100の開口部に装着すると、口縁部材12の溝状部12mと蓋本体部材15の庇部15eにより、筒状の注ぎ口3が形成されることになる。
【0028】
図4に示すように、円板状に形成された内蓋板17には複数の孔17hが形成され、蓋体200における蓋本体部材15と内蓋板17との間には、内蓋板17に形成された複数の孔17hを通して容器本体100の内容器1に連通する容器連通空間19が形成されている。
【0029】
また、蓋体200の蓋カバー16には、一対のフック部材8夫々を移動操作するための一対のフック操作用開口32、操作側てこ部材91の把手側の部分を突出させるためのてこ操作用開口33、及び、蓋本体部材15の蒸気口10を臨ませるための蒸気口用開口34が形成されている。なお、蒸気口用開口34には、複数のスリットが形成された蒸気口キャップ35が嵌め込まれている。
【0030】
そして、図5に示すように、蓋本体部材15には、基端が容器連通空間19に臨み且つ注ぎ口3内に延びる注ぎ用通路20、及び、基端が容器連通空間19に臨み且つ先端が蓋体200の上面部にまで延びる蒸気放出用通路21が形成され、その蒸気放出用通路21の先端開口部が蒸気口10として機能する。
図1及び図5にも示すように、蒸気口10は、蓋体200の上面における注ぎ口3と把手2を結ぶ線上(前後方向)における把手2の側(後側)に偏った位置に開口されている。
【0031】
また、図5に示すように、蒸気放出用通路21の基端部分(容器連通空間19に臨む蒸気放出用通路21の最上流箇所)には、転倒止水弁Wが設けられており、この転倒止水弁Wには、ケトル本体Kが転倒すると蒸気放出用通路21を閉じるように移動すべく、転倒止水弁Wとなる2個の錘体23が設けられている。
従って、ケトル本体Kが転倒しても、2個の錘体23が蒸気放出用通路21を閉じるように移動して、内容器1内に貯留されている湯水の蒸気口10からの漏出が防止される。
また、内容器1内の蒸気が蒸気口10からケトル本体Kの外部へ放出される時の蒸気の流れを図5において矢印Sで示す。内容器1内で発生した蒸気は内蓋板17の複数の孔17hを通過し、容器連通空間19へ進み、転倒止水弁Wを有する蒸気放出用通路21を通って、蒸気口10から排出される。従って、内容器1内で発生した蒸気を容器本体100の外部に放出する蒸気放出機構Aは、容器連通空間19、転倒止水弁W、蒸気放出用通路21、蒸気口10、蒸気口キャップ35を備えて構成されている。
【0032】
図5に示すように、弁機構Vは、蓋本体部材15により形成される弁ケース28と、その弁ケース28に上下動自在に保持された弁体27と、その弁体27を上方側に付勢することにより弁座29に押し付けるコイルバネ30等を備えて構成されている。
更に、蓋体200には、支点周りに揺動して弁体27を作用点9wにて上下動させて弁機構Vを開き状態と閉じ状態とに切り換える弁操作具9が、蓋体200が容器本体100の開口部に嵌め込まれた状態で、力点に相当する操作部9hが把手2の上方に位置するように設けられている。
つまり、図5に示すように、弁体27を下方側に押し下げる力が作用しない状態では、コイルバネ30の付勢力により弁体27が弁座29に押し付けられる状態に保持されることになり、弁機構Vが注ぎ用通路20を閉じる閉じ状態に保持されることになる。
一方、図6に示すように、弁操作具9を押し下げ、弁体27を下方側に押し下げる力を作用させることで、その力を作用させている期間は、弁機構Vが注ぎ用通路20を開ける開き状態となり、ケトル本体100を注ぎ口3側に傾けることで、内容器1の湯水を、注ぎ用通路20を経由させて注ぎ口3から流出させることができる。
【0033】
図4および図6に示すように、弁操作具9は、把手2の側の力点側てこ部材91と弁機構Vの側の作用点側てこ部材92とを、力点側てこ部材91が支点P1周りで上下方向に揺動するのに伴って作用点側てこ部材92が支点P2周りで上下方向に揺動するように、把手2と弁機構Vとの間において端部同士を連結した状態で設けて構成されている。これにより、弁体27を上下動させて弁機構Vを開き状態と閉じ状態とに切り換えるように設けられている。作用点側てこ部材92において弁体27の上端部に当接する部分が作用点9wとなる。なお、作用点側てこ部材92の作用点9wを上方移動するように揺動させ、力点側てこ部材91の操作部9hを上方に移動するように揺動させる方向に付勢するバネ部材31が設けられている。
【0034】
そして、図7に示すように、一対のフック部材8の夫々は、蓋体200の上面に沿う方向(図7の左右方向)に進退自在で且つコイルバネ24により進方向(蓋体200の径方向外方側)に付勢された状態で設けられている。又、各フック部材8の前端側の下面8sが、後方側ほど上面から遠ざかる形態の後ろ下がり傾斜状に構成されている。容器本体100には、フック部材8の後下がり傾斜状の下面8sが容器本体100に当接した状態から、蓋体200が下向きに移動されて閉じ位置に位置されるに伴って、フック部材8の前端部が嵌まり込んで蓋体200を閉じ位置に保持する凹部25が設けられている。一対のフック部材8は、蓋体200の中心に対して互いに反対側に振り分けて一対設けられ、凹部25も、各フック部材8にそれぞれ対応するように一対設けられている。
【0035】
次に、図4〜図8に基づいて、本発明による特徴構成について説明する。図4、図7及び図8に示すように、内蓋板17は、蓋体200の下面に配設されることで、内容器1内で加熱した湯水から発生する蒸気から蓋本体部材15等を保護可能な部材であり、例えば、耐熱性を有するステンレス等の金属板で構成される。この内蓋板17には、通気孔となる複数の孔17hが設けられている。
【0036】
また、内蓋板17には、一対の膨出部77が、前側の注ぎ口3と後側の転倒止水弁Wとを結ぶ前後方向の中心線に対して左右方向に略垂直に偏った位置に設けられている。一対の膨出部77の少なくとも一部が、弁体27と転倒止水弁Wとのならび方向で、弁体27と転倒止水弁Wとの間に配設されている。ここで、弁体27と転倒止水弁Wとのならび方向で、弁体27と転倒止水弁Wとの間とは、図8に示した弁体27の外形円と転倒止水弁Wにおいて内蓋板外周側に位置する外形円弧との左右の共通外接線と、弁体27の外形円及び転倒止水弁Wの外形円弧とで囲まれた範囲(弁体27と転倒止水弁Wが配設された領域を除く)を示している。そして、この膨出部77は、内蓋板17の下面から上方に膨出するように形成され、膨出箇所、すなわち、内容器1内の湯水の液面と内蓋板17の下面との間に、蒸気を収容可能な収容空間を形成することが可能に構成されている。膨出部77は、図7に示すように、錘状に形成され、その膨出部77の上部が略水平な部分を備える形状に形成され、膨出部77の上下方向の厚さをできるだけ小さくしながら、体積を確保できる形状とされている。この膨出部77の上部には、内容器1内で発生した蒸気を容器連通空間19側に通流可能な複数の貫通孔17mが形成されている。
【0037】
さらに、膨出部77は、図4、図7及び図8に示すように、電気ケトルの平面視で、内容器1の中心部から内壁1aの内周面側に偏った位置に配設されるとともに、膨出部77の外周の少なくとも一部が内容器1の内壁1aの内周に沿う形状に形成されている。すなわち、膨出部77は、上記前後方向の中心線に対して略垂直に偏った位置で、しかも、膨出部77の外周が、内容器1の内壁1aの内周面に近接する位置に配設されている。加えて、膨出部77の形状は、平面視で、略扇形状に形成し、この略扇形状の円弧部分77a(扇の弧に相当する)が内容器1の内壁1aの上端内周に沿うように形成されている。なお、略扇形状の円弧部分77a以外の2辺は、円弧状部分77aの曲率とは異なる曲率を有する円弧部分77b及び直線部分77cで構成されている。
【0038】
また、図4から図7に示すように、内蓋板17には、上方に膨出した凹部78が、上記前後方向の中央部で、且つ当該前後方向に対して左右両側方向に内壁1aの内周面近傍まで延出する箇所に配設されている。この凹部78の形状は平面視で、概略長方形状に形成されている。そして、この凹部78内に一対の膨出部77が配設されており、内蓋板17の下面から凹部78、膨出部77の順でより上方に膨出するように構成されている。従って、内蓋板17は、その前後方向における中央部近傍が凹部78により上方に膨出し、当該中央部近傍の凹部78の左右両側が一対の膨出部78により、凹部78よりもさらに上方にそれぞれ膨出するように構成されている。
【0039】
次に、本実施形態に係る電気ケトルを用いて湯水を加熱する動作について説明する。
内容器1内に湯水が貯留された状態で電気ヒータ4への通電が開始されると、電気ヒータ4の発熱により内容器1に伝えられた熱によって、内容器1内の湯水は内容器1の内壁1a(底面や内周面)から加熱される。その結果、図3及び図7の矢印Yで示すように、内容器1内の湯水は、高温となる内壁1aの内周面近傍において上昇し、内容器1の略中心部において下降する状態で、循環するように対流する。それに伴って、図7に矢印Sで示すように、湯水が比較的高温となる内壁1aの内周面近傍から多くの蒸気が発生し、当該蒸気は主として内容器1の内壁1aの内周面に沿って内蓋板17下面付近にまで上昇する。特に湯水の沸騰時には、当該蒸気は内容器1の内壁1aの内周面近傍の液面に多く浮上して当該液面を波立たせることとなる。
【0040】
そして、発生した蒸気の流れは、主として内容器1の内壁1aの内周面に沿って内蓋板17下面付近にまで上昇し、平面視で、内容器1の中心部から内壁1aの内周面側に偏った位置に配設され、内容器1の内壁1aの内周に沿う形状に形成された膨出部77の円弧部分77aを備えた膨出部77に収容される。すなわち、内容器1の内壁1aの内周面近傍(膨出部77に対向する液面近傍)で発生した蒸気の流れは、当該膨出部77に直接案内されて収容される。この際、蒸気は膨出部77内に自然に流入することとなり、また、当該蒸気の流れが膨出部77の外周部で阻害されることがなく、発生した蒸気が膨出部77に、より効率よく迅速に案内されることとなる。特に、内容器1内に湯水が満水指示線を超えて貯留されている状態で加熱が行われた際に、湯水の液面と内蓋板17の下面との空間が狭くなっている場合でも、発生した蒸気が膨出部77に、より効率よく迅速に案内されることとなる。
【0041】
また、上述のように膨出部77に対向する液面近傍で発生した蒸気については、そのまま膨出部77へ収容されるが、当該液面の範囲から離れた液面(例えば、内容器1の中心部付近の液面)で発生した蒸気の流れは、一旦凹部78内に導いて流通させた後、当該凹部78よりも上方に膨出した膨出部77に最終的に収容させる。これにより、発生した蒸気をより効率的に膨出部77に導いて収容することができる。
特に、内容器1内に湯水が満水指示線を超えて貯留されている状態で加熱が行われた場合において、湯水の水位が蓋体の下面と略同じ高さとなっている場合、液面から発生する蒸気を膨出部77に適切に導くことが困難となるが、そのような場合においても、蒸気の流通可能な空間である凹部78が膨出部77よりも広い範囲に設けられることで、当該蒸気を膨出部77に、より確実に導くことが可能となる。
【0042】
そして、内蓋板17の膨出部77に収容された蒸気は、膨出部77上面に設けられた複数の貫通孔17mを通過し、図5に示した矢印Sに従って、容器連通空間19へ進んだ後に、転倒止水弁Wを経由し、蒸気放出用通路21を通って、蒸気口10から排出される。
【0043】
従って、内容器1内で発生した蒸気は、膨出部77内に効率良く収容されるとともに、蒸気口を介して効率よく迅速に放出されることとなる。
よって、発生した蒸気が内容器1内において内蓋板17の下面付近に滞留することなく効率よく迅速に外部に放出され、発生した蒸気の影響により波打った状態の高温の湯水が蒸気口10等から容器本体100の外部に噴出することを確実に防止することができる。特に、内容器1内に湯水が満水指示線を超えて貯留されている状態で加熱が行われた際に、湯水の液面と内蓋板17の下面との空間が狭くなっている場合でも、発生した蒸気の影響により波打った状態の高温の湯水が蒸気口10等から容器本体100の外部に噴出することを確実に防止することができる。
【0044】
〔別実施形態〕
(A)上記実施形態においては、水加熱容器としての電気ケトルに本発明を適用した例を示したが、この構成に限定されるものではない。例えば、電気ケトル以外にも、水加熱容器としての電気湯沸かし器、炊飯器、スチーム式加湿器等に適用することも可能である。ちなみに、本発明に係る水加熱容器において、加熱対象の水とは、固形物を含んだ水を含むものであり、例えば、水加熱容器の具体例が炊飯器の場合は、米粒を含んだ水が加熱対象の水となる。
【0045】
(B)上記実施形態においては、内蓋板17において、弁体27と転倒止水弁Wとの間で、且つ、内蓋板17の左右両側に一対の膨出部77を設けたが、これら一対の膨出部77のうち左右側の何れか一方にのみ膨出部77を設ける構成としてもよい。例えば、図9(a)に示すように、内蓋板17の左側のみに設けてもよい。この場合、図9(a)に示すように、上記凹部78を設ける構成とすると、蒸気を膨出部77に効果的に収容することができる。また、図示しないが、内蓋板17の右側のみに設けてもよい。
【0046】
(C)上記実施形態においては、内蓋板17において、弁体27と転倒止水弁Wとの間で、且つ、内蓋板17の左右両側に一対の膨出部77を設けたが、内蓋板17の前側又は後側に配置するものであってもよい。さらに、左側、右側、前側、後側の位置を任意に複数組み合わせて膨出部77を配置してもかまわない。そして任意に設けた凹部78を組み合わせて配置し、蒸気の収容効果を向上させることも可能である。
【0047】
(D)上記実施形態においては、内蓋板17において、弁体27と転倒止水弁Wとの間で、且つ、内蓋板17の左右両側に一対の膨出部77を設けたが、電気ヒータ4の配設位置との関係で、膨出部77の位置を変更してもよい。すなわち、電気ヒータ4の発熱により内容器1によって加熱された湯水が高温となる湯水直接加熱領域の上方に、蒸気を収容する膨出部77を設ける構成とすることができる。ここで、湯水直接加熱領域とは、内容器1の内壁1aを挟んで電気ヒータ4に対向し、当該電気ヒータ4の近傍の領域のことであり、電気ヒータ4による加熱により内容器1内の他の領域よりも湯水温度が上昇して高温となり易い領域のことである。従って、湯水直接加熱領域の上方に膨出部77を設けることで、加熱によって高温になった湯水から発生する蒸気をより効果的に収容することができる。また、さらに好ましい実施形態として、内容器1内の湯水が最も高温になる可能性がある電気ヒータ4の中央部の上方に膨出部77を設けてもよい。例えば、図9(b)に示すように、内容器1の外底面の外径側に電気ヒータ4が、一部途切れた円環状を成して配置されている場合、電気ヒータ4が設けられている位置の鉛直上方の位置に膨出部77を設ける構成とすることもできる。この場合、電気ヒータ4が途切れている側(図9(b)では、注ぎ口3側)は加熱されにくいため、それと反対側(図9(b)では、把手2側で電気ヒータ4の中央部)の内容器1内に位置する湯水の温度が最も高温となり、内容器1内ではその高温部において湯水が上昇する対流が形成されやすくなるため、その高温部の上方の液面から蒸気が多く発生する。従って、内容器1の外底面に配備される電気ヒータ4の中央部の上方に膨出部77を設けることで、加熱によって最も高温になった湯水から発生する蒸気をより効果的に収容することができ、非常に好ましい。なお、本実施例の電気ヒータ4は、内容器1の外底面に円環状を成して配置されているが、他の形状であってもかまわない。
【0048】
(E)上記実施形態では、内容器1の外底面に電気ヒータ4が配置されているが、特にこの構成に制限されるものではなく、例えば、内容器1の外側面下部にバンド式電気ヒータを配置してもよい。
【0049】
(F)上記実施形態においては、膨出部77の横断面形状(平面視)としては略扇形状としたが、図9(b)に示した膨出部77のように、内容器1の内壁1aの上端内周に沿う円弧部分77aと2辺の直線部分77bより構成される扇形状としてもよい。
【0050】
(G)上記実施形態においては、膨出部77の横断面形状(平面視)としては略扇形状としたが、図9(c)のように、内容器1に貯留された湯水は内壁1aの内周面(全内周面)によって加熱され、内壁1aの内周面近傍の液面全体から蒸気が発生するので、内蓋板17において、膨出部77の形状を、平面視で、内容器1の内壁1aの全内周に沿った外周を備え、径方向で所定幅を有する円環状に形成することもできる。
【0051】
(H)上記実施形態では、電気ケトルの平面視で、膨出部77の円弧部分77aが、内容器1の内壁1aの内周に沿う形状に形成され、内壁1aに近接する位置に配設されているが、円弧部分77aと内壁1aとが平面視で重なる位置関係にあってもよい。
【0052】
(I)また、上記実施形態においては、膨出部77の縦断面形状は、膨出部77の上方に行くに従い断面積が小さくなる錘状に形成されていたが、さらに膨出部77の空間を大きくするために、膨出部77の上下方向において断面積が変化しない柱状に形成することができる。
【0053】
(J)上記実施形態においては、膨出部77の上部に略水平な部分を備える形状としたが、特にこの構成に制限されるものではなく、膨出部77の上部がドーム状に構成されていてもよい。
【0054】
(K)上記実施形態においては、湯水の注ぎ口3を有する水加熱容器の蓋体200に膨出部77を設けたが、湯水の注ぎ口3を有さない水加熱容器(例えば、スチーム式加湿器、炊飯器)の蓋体200に膨出部77を設けてもよい。
【0055】
(L)上記実施形態では、凹部78の形状は平面視で、概略長方形状に形成されていたが、湯水加熱による蒸気発生の状況および蓋体200の余剰空間との関係などから、適切な凹部78の形状を適宜設定することもできる。
【0056】
(M)上記実施形態においては、蓋体200の下部に設けた内蓋板17に膨出部77を形成したが、内蓋板17を設けずに蓋体200の下面に一体的に膨出部77を形成することもできる。
また、蓋体200の下面に一つの内蓋板17を配設した場合でも、さらに下面側(液面側)に一つ或いは複数の内蓋板17を設けて、最下面の内蓋板17に膨出部77を設ける構成としてもよい。
【0057】
(N)上記実施形態では、内壁1aが略直線の有底円筒状の内容器1を採用したが、内部に湯水を貯留することができる構成であれば、特にこの構成に制限されるものではなく、例えば、内壁1aの上端が中心側に所定角度傾斜した部分や、上端が中心側に一部縮径した部分を備えた有底円筒状の内容器を採用することもできる。
【0058】
(O)上記実施形態では、有底円筒状の内容器1を採用したが、内部に湯水を貯留することができる構成であれば、特にこの構成に制限されるものではなく、例えば、内容器1の形状を、平面視で三角筒状、四角筒状等とした有底筒状の内容器を採用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上説明したように、沸騰した湯水が容器本体の外部へ噴出することをより確実に防止するとともに、小型化を実現可能な水加熱容器を提供することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 内容器
1a 内壁
3 注ぎ口
4 電気ヒータ(加熱手段)
17 内蓋板
20 注ぎ用通路
21 蒸気放出用通路(蒸気放出機構)
27 弁体
77 膨出部
78 凹部
100 容器本体
200 蓋体
W 転倒止水弁(蒸気放出機構)
V 弁機構
A 蒸気放出機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯留する有底筒状の内容器を内部に配設した容器本体と、
前記内容器の上部開口を開閉自在な蓋体と、
前記内容器の外底面又は外側面下部に設けられ、前記内容器に伝熱することで当該内容器内の湯水を加熱する加熱手段と、
前記蓋体に設けられ、前記内容器内で発生する蒸気を外部に放出する蒸気放出機構とを備えた水加熱容器であって、
前記蓋体の下面には前記蒸気を受け入れ可能な上方に膨出した膨出部が設けられ、
平面視で、前記膨出部が前記内容器の中心部から内壁側に偏った位置に配設されるとともに、前記膨出部の外周の少なくとも一部が前記内容器の内壁の内周に沿う形状に形成されてなる水加熱容器。
【請求項2】
前記蓋体には、前記内容器内に貯留された湯水を注ぎ口へ導く注ぎ用通路と、当該注ぎ用通路を開閉する弁体を備えた弁機構とが設けられ、
前記蒸気放出機構の蒸気放出用通路には転倒止水弁が設けられる構成で、
前記膨出部の少なくとも一部が、前記弁体と前記転倒止水弁とのならび方向で、前記弁体と前記転倒止水弁との間に配設された請求項1に記載の水加熱容器。
【請求項3】
前記蓋体には、前記内容器内に貯留された湯水を注ぎ口へ導く注ぎ用通路と、当該注ぎ用通路を開閉する弁体を備えた弁機構とが設けられ、
前記蒸気放出機構の蒸気放出用通路には転倒止水弁が設けられる構成で、
前記蓋体の前方側に前記弁体が配設され、前記蓋体の後方側に前記転倒止水弁が配設されて、前記膨出部が、前記弁体と前記転倒止水弁との間で、且つ、前記蓋体の左右両側のうち少なくとも何れか一方に配設された請求項1又は2に記載の水加熱容器。
【請求項4】
前記蓋体の下面には、上方に膨出した凹部が形成され、当該凹部内に前記膨出部が形成されている請求項1から3のいずれか一項に記載の水加熱容器。
【請求項5】
前記蓋体の下面には、円板状の内蓋板が設けられ、前記内蓋板に前記膨出部が配設されている請求項1から4のいずれか一項に記載の水加熱容器。
【請求項6】
前記加熱手段が、前記内容器の外底面の外径側又は外側面下部に設けられ、前記膨出部が前記加熱手段により直接加熱される湯水直接加熱領域の上方に配設されている請求項1から5のいずれか一項に記載の水加熱容器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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