説明

水平ジョイント式コンクリート版連結方法及びその連結構造

【課題】連結鋼棒挿入孔の形成が容易であり、かつ連結されたコンクリート版の一方を交換する際に、容易に交換することができるコンクリート版連結方法及びその構造の提供。
【解決手段】互いに接合されるコンクリート版A,Bの各接合面に連結鋼棒挿入孔10,20を開口させておきその一方の連結鋼棒挿入孔10内に連結鋼棒30を挿入した状態で前記両コンクリート版を接合させ、その連結鋼棒30を他方側の連結鋼棒挿入孔20側に移動させることにより連結鋼棒30を両コンクリート版A,Bに跨らせて位置させた後グラウト26を充填して連結鋼棒30を両連結鋼棒挿入孔10,20内に埋設固定して前記両コンクリート版A,Bを連結するコンクリート版の連結方法であって連結鋼棒挿入孔10,20を抜き取りが可能な外面筒型円型の可撓性チューブ抜き型を使用して成型する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、場所打ち又はプレキャストコンクリート製のコンクリート版相互間に、水平方向の連結鋼棒を跨らせて設置することにより連結する水平ジョイント式コンクリート版連結方法及びその連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート舗装等における場所打ち又はプレキャストコンクリート版間の連結構造として、水平ジョイント式の連結構造が知られている。この連結構造は、隣接するコンクリート版相互の端面に連結鋼棒挿入孔を相対向して形成し、一方コンクリート版の連結鋼棒挿入孔は連結鋼棒の全長が収容される長さに成型しておき、その中に連結鋼棒を収容した状態で他方のコンクリート版を接合させ、然る後、空気圧や、操作ワイヤー等の連結鋼棒スライド手段を使用して連結鋼棒を他方のコンクリート版側に移動させ、該連結鋼棒を両コンクリート版に跨らせた状態で停止させ、連結鋼棒と連結鋼棒挿入孔間の隙間を硬化性のグラウトにより埋めることにより両コンクリート版を連結する方法が知られている(特許文献1、2、3)。
【特許文献1】特公平04−028845号公報
【特許文献2】特開平07−197406号公報
【特許文献3】特開平07−279111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、コンクリート版の連結鋼棒挿入孔は、多くの場合、ガス管として製造されている鋼管を加工した筒状の捨て型枠を用いて形成されている。具体的には、図8に示すように、鋼管を加工した筒状の捨て型枠81を取り巻くように補強用のスパイラル筋82を設けた後に、これらを埋め込んでコンクリート83を打設することにより連結鋼棒挿入孔84を有するコンクリート版80を形成している。該コンクリート版80には連結鋼棒挿入孔84に連通する通気孔85,86が設けられており、連結鋼棒挿入孔84には連結鋼棒87が収容されるようになっている。
【0004】
このような従来のコンクリート版の連結構造では、スパイラル筋の加工及び配筋等、連結鋼棒挿入孔の成型のためのコストがコンクリート版全体の製造コストの15%程度にもなり、コスト高の大きな原因になっている。
【0005】
また、多数のコンクリート版を連結して舗装用などに供されている場合において、その一部のコンクリート版に損傷が生じた場合には、部分的にコンクリート版を周囲のコンクリート版とは切り離して取り除き、新たなコンクリート版を設置する必要があり、この場合には隣り合うコンクリート版の接合部分を切り離して、損傷部分のコンクリート版を除去し、新設のコンクリート版と入れ替えるのであるが、その際に取り替えない既設のコンクリート版に、再度、連結鋼棒挿入孔を形成する必要がある。
【0006】
そのために取り替えないコンクリート版に埋まっている連結鋼棒、グラウト材及び捨て型枠部分を除去するためのコア削孔を行っているが、そのコア削孔の際に捨て型枠とした鋼管、及びその鋼管の周囲に設けられている配筋が削孔の障害になって連結鋼棒挿入孔の再成型が困難となり、取り替え作業がコスト高となるとともに時間がかかるという問題がある。
【0007】
本発明は、上述の如き従来の問題を解決することを目的としたものであり、連結鋼棒挿入孔の成型が低コストで容易に行われ、かつ連結されたコンクリート版の一方を交換する際に、再連結のための作業を容易に行うことができる水平ジョイント式コンクリート版連結方法及びその連結構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した従来の問題を解決して所期の目的を達成するための請求項1に記載する発明は、互いに接合される場所打ち又はプレキャストコンクリート製のコンクリート版に、その両コンクリート版の各接合面に連結鋼棒挿入孔を開口させておき、該両連結鋼棒挿入孔を連通させるとともに、その一方の連結鋼棒挿入孔内に連結鋼棒を挿入した状態で前記両コンクリート版を接合させ、該連結鋼棒を他方の連結鋼棒挿入孔側に移動させることにより該連結鋼棒を前記両コンクリート版に跨らせて位置させ、しかる後前記両連結鋼棒挿入孔内にグラウトを充填して前記連結鋼棒を前記両連結鋼棒挿入孔内に埋設固定して前記両コンクリート版を連結する水平ジョイント式コンクリート版の連結方法において、互いに連結されるコンクリート版の前記連結鋼棒挿入孔を該コンクリート版のコンクリート打設後に抜き取りが可能な円筒形の抜き型を使用して成型することにある。
【0009】
請求項2記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加えて、前記各連結鋼棒挿入孔の開口部のコンクリート内に、該連結鋼棒挿入孔の開口部分を囲むように短円筒状の開口部補強管を埋設することにある。
【0010】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加えて、前記抜き型は、内部に流体を注入することによって外周面が所定の円筒形状となるように膨張し、前記内部の流体を抜くことによって脱型可能な形状に縮径される膨縮式抜き型を使用することにある。
【0011】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項1,2又は3の構成に加えて、前記連結鋼棒が予め挿入されている側のコンクリート版の連結鋼棒挿入孔には、後部に連通する空気注入用の通気孔と、前記連結鋼棒挿入孔の中間に連通する脱気用の通気孔とを設けるとともに、前記連結鋼棒が差し込まれる側のコンクリート版には前記連結鋼棒挿入孔に連通する通気孔を設けておき、前記空気注入用の通気孔から圧力空気を注入することにより前記連結鋼棒を一方の連結鋼棒挿入孔から他方の連結鋼棒挿入孔側に移動させ、しかる後、前記通気孔を使用してグラウトを注入することにある。
【0012】
請求項5に記載の発明の特徴は、互いに接合される場所打ち又はプレキャストコンクリート製のコンクリート版に、その両コンクリート版の各接合面に開口した連結鋼棒挿入孔を備え、その両連結鋼棒挿入孔内に、前記コンクリート版に跨らせた位置に前記連結鋼棒を挿入し、前記両連結鋼棒挿入孔内にグラウトを充填して前記連結鋼棒を前記両連結鋼棒挿入孔内に埋設固定してなる水平ジョイント式コンクリート版の連結構造において、互いに連結されるコンクリート版の前記連結鋼棒挿入孔は、内周面に前記コンクリート版躯体のコンクリートが露出された状態に成型されるとともに、該連結鋼棒挿入孔の前記接合面の開口部のコンクリート内に、該連結鋼棒挿入孔の開口部分を囲むように短円筒状の開口部補強管を埋設していることにある。
【0013】
請求項6に記載の発明の特徴は、請求項5の構成に加えて、前記開口部補強管にはその外周にアンカー筋を配置し、該アンカー筋をコンクリート版内に埋設したことにある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の水平ジョイント式コンクリート版の連結方法及びその連結構造によれば、従来のように、スパイラル筋等のような連結鋼棒挿入孔成型部分のコンクリートを補強するための補強筋を使用せず、また、連結鋼棒挿入孔に金属筒を使用せずに、各コンクリート版の連結鋼棒挿入孔を該コンクリート版のコンクリート打設後に抜き取りが可能な円筒形の抜き型を使用して成型するようにしたことにより、連結鋼棒挿入孔の形成が容易であり、また、製作コストを大幅に低減することができる。
【0015】
また、一部のコンクリート版を新たなコンクリート版と取り替える再に、残されている既設のコンクリート版に対する連結鋼棒挿入孔の再生をコアカッターによる削孔によって容易に行うことができ、コンクリート版の取替え作業が、従来に比べて短時間にて低コストで完了させることができる。
【0016】
更に、本発明では前記各連結鋼棒挿入孔の開口部のコンクリート内に、該連結鋼棒挿入孔の開口部分を囲むように短円筒状の開口部補強管を埋設するようにしたことにより、従来のような連結鋼棒挿入孔成型部分のコンクリートを補強するためのスパイラル筋やフープ筋などの補強筋を埋設することなく充分な補強がなされるため、安価な材料で作業性良く連結鋼棒挿入孔部分の成型ができて製造コストを削減できる。
【0017】
更に本発明では前記抜き型を、内部に流体を注入することによって外周面が所定の円筒形状となるように膨張し、前記内部の流体を抜くことによって脱型可能な形状に縮径される膨縮式抜き型を使用することにより、抜き型の構造が簡単で、その製造が容易であり、低コストで連結鋼棒挿入孔部分の成型が可能となる。
【0018】
更に本発明では、前記開口部補強管にはその外周にアンカー筋を配置し、該アンカー筋をコンクリート版内に埋設したことにより、開口部補強管を介してコンクリート版の接合面部分に生じる上下方向のせん断力がアンカー筋の引張力となり、コンクリートへの局部的な応力集中が回避され、コンクリート版端面にクラックが発生するのを防止でき、コンクリート版端面の耐力が増強される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
【0020】
図1は本発明に係る連結構造を実施した舗装版の断面図、図2は図1に示す舗装版を構成する一方のコンクリート版Aの連結鋼棒挿入孔を形成する型枠を示す外観斜視図、図3は図1に示す舗装版を構成する他方のコンクリート版Bの連結鋼棒挿入孔を形成する型枠を示す外観斜視図である。なお、以下、連結鋼棒挿入孔に予め連結鋼棒が収容される側のコンクリート版を雄側コンクリート版Aと云い、この連結鋼棒を受け入れる側のコンクリート版を雌側コンクリート版Bと云う。
〔コンクリート版連結構造〕
図示するように、本発明のコンクリート版は隣接する雄側コンクリート版Aと雌側コンクリート版Bとがその側端を互いに突き合わせて連結される構造を有しており、雄側コンクリート版Aと雌側コンクリート版Bはパッキン18を介して接合されている。コンクリート版A、Bの内部には側方に延びる連結鋼棒挿入孔10、20がおのおの設けられており、各連結鋼棒挿入孔10、20は各コンクリート版A、Bの端面に開口している。なお、連結鋼棒の差し込みが円滑に行われるように雌側コンクリート版Bの連結鋼棒挿入孔20の開口径は雄側コンクリート版Aの連結鋼棒挿入孔10の開口径よりもやや大きく形成されている。
【0021】
さらに、図示する例では、連結鋼棒挿入孔10、20の端面開口部分におのおの短円筒状をした開口部補強管11、21が設けられている。開口部補強管11、21は連結鋼棒挿入孔10、20の開口部分を囲むようにコンクリート版の端面に埋設されている。この開口部補強管11,21には、アンカー筋11a,11a,21a,21aがそれぞれの中央部分が、該開口部補強管11,21の外周に円周方向に沿わせた状態で固定され、その先端がコンクリート版A,B内に埋設されている。
【0022】
なお、開口部補強管11、21の口径は連結鋼棒挿入孔10、20の開口径よりも適度に大きいことが好ましい。開口部補強管の口径が適度に大きければ、コンクリート版の既設連結鋼棒挿入孔をコア削孔する際に障害にならず、円滑にコア削孔することができる。また、再接続後の端部耐力が変化しない構造となっている。
【0023】
雄側コンクリート版Aの連結鋼棒挿入孔10の内部には棒状の連結鋼棒30が移動可能に装入されている。雄側コンクリート版Aの連結鋼棒挿入孔10は連結鋼棒30の全長を収納する長さを有しており、一方、雌側コンクリート版Bの連結鋼棒挿入孔20は連結鋼棒30の半分程度の長さであれば良い。
【0024】
雄側コンクリート版Aの連結鋼棒挿入孔10の後部には空気注入用の通気孔12が設けられており、連結鋼棒挿入孔10の中間には脱気用の通気孔13が設けられている。これらの通気孔12、13は連結鋼棒挿入孔10に連通しており、通気孔12を通じて圧縮空気が連結鋼棒挿入孔10に注入され、内装されている連結鋼棒30が上記圧縮空気によって押し出される。このとき余剰の圧縮空気は通気孔13を通じて脱気される。
【0025】
一方、雌側コンクリート版Bの連結鋼棒挿入孔20には通気孔22が設けられている。この通気孔22、雄側コンクリート版Aの両通気孔12及び13を適宜使用して連結鋼棒挿入孔10、20の内部にグラウト26を注入し、このグラウト26によって連結鋼棒挿入孔10、20を充填する。
【0026】
図示する例では、雄側コンクリート版Aの通気孔12、13に開口部補強管14、15が設けられており、雌側コンクリート版Bの通気孔22には開口部補強管23が設けられている。開口部補強管14、15、23は連結鋼棒挿入孔10、20を囲むようにコンクリート版内部に埋設されている。
【0027】
上記構造を有する雄側コンクリート版Aと雌側コンクリート版Bを並べて設置した後に、雄側コンクリート版Aの通気孔12を通じて連結鋼棒挿入孔10の内部に圧縮空気を吹き込み、連結鋼棒挿入孔10に内装されている連結鋼棒30をこの圧縮空気によって押し出し、隣接する雌側コンクリート版Bの連結鋼棒挿入孔20に差し込ませる。
【0028】
この連結鋼棒挿入孔20の長さは連結鋼棒30の約半分程度であるので、連結鋼棒30の両側が雄側コンクリート版Aの連結鋼棒挿入孔10と雌側コンクリート版Bの連結鋼棒挿入孔20におのおの装入された状態になる。この状態で雌側コンクリート版Bの通気孔22、雄側コンクリート版Aの通気孔12及び13を適宜使用して連結鋼棒挿入孔10、20の内部にグラウト26を注入し、孔内の隙間をグラウト26によって充填させる。グラウト26がコンクリート版内部で固化し、連結鋼棒30がコンクリート版内部で固定される。
〔コンクリート版の製作〕
上述した雄側コンクリート版Aおよび雌側コンクリート版Bの連結鋼棒挿入孔10、20はコンクリート打設後に抜き取りが可能な円筒形の抜き型を用いて形成したものである。この抜き型としては、内部に流体を注入することによって外周面が所定の円筒形状となるように膨張し、前記内部の流体を抜くことによって脱型可能な形状に縮径される膨縮式抜き型を使用することが好ましく、この実施例では可撓性チューブ抜き型16を使用している。
【0029】
図2に雄側コンクリート版Aに用いる可撓性チューブ抜き型16の一例を示し、雌側コンクリート版Bに用いる可撓性チューブ抜き型24の一例を図3に示している。これらの可撓性チューブ抜き型16、24はゴムや伸縮性布地などの可撓性材料によって筒状に形成された伸縮自在な型枠であり、内部に流体(水または空気)を加圧注入して筒状に膨張した状態で使用する。図示する可撓性チューブ抜き型16には通気孔12、13の部分に開口部補強管14、15が設けられており、可撓性チューブ抜き型24には通気孔22の部分に開口部補強管23が設けられている。
【0030】
上記可撓性チューブ抜き型16、24を用いたコンクリート版の製作要領を図4、図5に示している。図4に示すように、雄側コンクリート版Aを製作する場合、図2に示す可撓性チューブ抜き型16を用い、通気孔12、13が下方を向くように該可撓性チューブ抜き型16を製作型枠40に設置する。該可撓性チューブ抜き型16の基端部17は製作型枠40の側枠41から外に突き出しており、外部の加圧装置(図示省略)に接続させる。
【0031】
この加圧装置によって該可撓性チューブ抜き型16の内部に圧縮空気を送り込み、可撓性チューブ抜き型16を膨張した状態に保つ。次いで、その周囲にコンクリート版躯体を成型するコンクリートを打設し養生して雄側コンクリート版Aを製作する。コンクリート版内部には可撓性チューブ抜き型16が膨張した形状をなし、内周面に前記コンクリート版躯体のコンクリートが露出された状態の連結鋼棒挿入孔10が形成される。コンクリートが硬化した後に可撓性チューブ抜き型16の加圧を解除すれば、該可撓性チューブ抜き型16が縮み容易にコンクリート版内部から取り出すことができる。
【0032】
図5に示すように、雌側コンクリート版Bを製作する場合は図3に示す可撓性チューブ抜き型24を用い、その他は図4と同様に、通気孔22が下方を向くように該可撓性チューブ抜き型24を製作型枠40に設置する。該製作型枠40の側枠41から突き出た基端部25から可撓性チューブ抜き型24に圧縮空気を送り込んで膨張した状態に保ち、周囲にコンクリート版躯体を成型するコンクリートを打設して養生し、雌側コンクリート版Bを製作する。コンクリート版内部には可撓性チューブ抜き型24が膨張した形状をなし、内周面に前記コンクリート版躯体のコンクリートが露出された状態の連結鋼棒挿入孔20が形成される。
〔コンクリート版の取り替え〕
本発明のコンクリート版について、連結されているコンクリート版を取り替える要領を図6、図7に示す。図示するように、隣接するコンクリート版61,62の接合目地部分を切断して一方のコンクリート版61を切り離す(図6[イ])。次に、残りのコンクリート版62について、コアカッター70を用い、既設の連結鋼棒挿入孔63に沿って削孔して既設の連結鋼棒64およびグラウト65を除去し、新たな連結鋼棒挿入孔71を形成する(図6[ロ])。
【0033】
さらに、上記連結鋼棒挿入孔71の中間に連通する通気孔72と該連結鋼棒挿入孔71の後部に連通する通気孔73をドリル74によって穿設する(図6[ハ])。この削孔した連結鋼棒挿入孔71に新たな連結鋼棒75を装入して雄側コンクリート版Aを形成する(図7[ニ])。
【0034】
次に、連結鋼棒挿入孔76を有する新たな雌側コンクリート版Bを設置し、上記雄側コンクリート版Aの通気孔73から圧縮空気を孔内に注入して連結鋼棒75を押し出し、該連結鋼棒75の片側部分を新たな雌側コンクリート版Bの連結鋼棒挿入孔76に差し込み、連結鋼棒75の両側がコンクリート版Aとコンクリート版Bの連結鋼棒挿入孔におのおの装入された状態にする(図7[ホ])。
【0035】
次に、コンクリート版Bの通気孔77、通気孔72、73などを通じてグラウト78を注入し、孔内の隙間を充填する。さらに通気孔77、通気孔72、73をエポキシモルタル樹脂などによって封止する(図7[ヘ])。
【0036】
尚、上記例では取替えする新たなコンクリート版を雌側コンクリート版の場合を示しているが、新たなコンクリート版を雄側コンクリート版とし、既設部分のコンクリート版を雌側コンクリート版として各連結鋼棒挿入孔71,76を前述とは逆側のコンクリート版に成型するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る連結構造を有する舗装版の断面図である。
【図2】本発明方法における雄側コンクリート版の連結鋼棒挿入孔を形成する可撓性チューブ抜き型部分の外観斜視図である。
【図3】本発明方法における雌側コンクリート版の連結鋼棒挿入孔を形成する可撓性チューブ抜き型部分の外観斜視図である。
【図4】本発明における雄側コンクリート版の製造装置の断面図である。
【図5】本発明における雌側コンクリート版の製造装置の断面図である。
【図6】本発明に係る連結構造におけるコンクリート版の交換作業を示す工程図である。
【図7】本発明に係る連結構造におけるコンクリート版の交換作業を示す工程図である。
【図8】従来の連結構造を有する舗装版の断面図である。
【符号の説明】
【0038】
A−雄側コンクリート版
B−雌側コンクリート版
10−連結鋼棒挿入孔
11−開口部補強管
11a−アンカー筋
12−通気孔
13−通気孔
14−開口部補強管
15−開口部補強管
16−雄側用の可撓性チューブ抜き型
17−基端部
18−パッキン
20−連結鋼棒挿入孔
21−開口部補強管
21a−アンカー筋
22−通気孔
23−開口部補強管
24−雌側用の可撓性チューブ抜き型
25−基端部
26−グラウト
30−連結鋼棒
40−製作型枠
41−側枠
61−既設コンクリート版
62−既設コンクリート版
63−既設連結鋼棒挿入孔
64−既設連結鋼棒
65−既設グラウト
70−コアカッター
71−連結鋼棒挿入孔
72−通気孔
73−通気孔
74−ドリル
75−新設連結鋼棒
76−連結鋼棒挿入孔
77−通気孔
78−グラウト
80−コンクリート版
81−筒状型枠
82−スパイラル筋
83−コンクリート
84−連結鋼棒挿入孔
85−通気孔
86−通気孔
87−連結鋼棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接合される場所打ち又はプレキャストコンクリート製のコンクリート版に、その両コンクリート版の各接合面に連結鋼棒挿入孔を開口させておき、該両連結鋼棒挿入孔を連通させるとともに、その一方の連結鋼棒挿入孔内に連結鋼棒を挿入した状態で前記両コンクリート版を接合させ、該連結鋼棒を他方の連結鋼棒挿入孔側に移動させることにより該連結鋼棒を前記両コンクリート版に跨らせて位置させ、しかる後前記両連結鋼棒挿入孔内にグラウトを充填して前記連結鋼棒を前記両連結鋼棒挿入孔内に埋設固定して前記両コンクリート版を連結する水平ジョイント式コンクリート版の連結方法において、
互いに連結されるコンクリート版の前記連結鋼棒挿入孔を該コンクリート版のコンクリート打設後に抜き取りが可能な円筒形の抜き型を使用して成型することを特徴としてなる水平ジョイント式コンクリート版の連結方法。
【請求項2】
前記各連結鋼棒挿入孔の開口部のコンクリート内に、該連結鋼棒挿入孔の開口部分を囲むように短円筒状の開口部補強管を埋設する請求項1に記載の水平ジョイント式コンクリート版の連結方法。
【請求項3】
前記抜き型は、内部に流体を注入することによって外周面が所定の円筒形状となるように膨張し、前記内部の流体を抜くことによって脱型可能な形状に縮径される膨縮式抜き型を使用する請求項1又は2に記載の水平ジョイント式コンクリート版の連結方法。
【請求項4】
前記連結鋼棒が予め挿入されている側のコンクリート版の連結鋼棒挿入孔には、後部に連通する空気注入用の通気孔と、前記連結鋼棒挿入孔の中間に連通する脱気用の通気孔とを設けるとともに、前記連結鋼棒が差し込まれる側のコンクリート版には前記連結鋼棒挿入孔に連通する通気孔を設けておき、前記空気注入用の通気孔から圧力空気を注入することにより前記連結鋼棒を一方の連結鋼棒挿入孔から他方の連結鋼棒挿入孔側に移動させ、しかる後、前記通気孔を使用してグラウトを注入する請求項1,2又は3に記載の水平ジョイント式コンクリート版の連結方法。
【請求項5】
互いに接合される場所打ち又はプレキャストコンクリート製のコンクリート版に、その両コンクリート版の各接合面に開口した連結鋼棒挿入孔を備え、その両連結鋼棒挿入孔内に、前記コンクリート版に跨らせた位置に前記連結鋼棒を挿入し、前記両連結鋼棒挿入孔内にグラウトを充填して前記連結鋼棒を前記両連結鋼棒挿入孔内に埋設固定してなる水平ジョイント式コンクリート版の連結構造において、
互いに連結されるコンクリート版の前記連結鋼棒挿入孔は、内周面に前記コンクリート版躯体のコンクリートが露出された状態に成型されるとともに、該連結鋼棒挿入孔の前記接合面の開口部のコンクリート内に、該連結鋼棒挿入孔の開口部分を囲むように短円筒状の開口部補強管を埋設してなる水平ジョイント式コンクリート版の連結構造。
【請求項6】
前記開口部補強管にはその外周にアンカー筋を配置し、該アンカー筋をコンクリート版内に埋設してなる請求項5に記載の水平ジョイント式コンクリート版の連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−38437(P2008−38437A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−213239(P2006−213239)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【出願人】(000112196)株式会社ピーエス三菱 (181)
【Fターム(参考)】