説明

水性エフェクトピグメントペースト、その製造方法およびその使用

(A)少なくとも1種の、効果を付与する顔料、(B)水性媒体中に分散した少なくとも1種のグラフトコポリマー、該コポリマーは、少なくとも1種のモノマー(a)を、少なくとも1つの側位のエテニルアリーレン基および/または少なくとも1つの末端のエテニルアリーレン基を有する少なくとも1種のポリウレタン(B1)水性分散液中で、ラジカル(共)重合することにより製造可能であり、該ポリウレタン(B1)は、(1)少なくとも1つの遊離イソシアネート基を有する少なくとも1種のポリウレタンプレポリマー(B11)と、(2)少なくとも1種の付加物(B12)とを反応させることにより製造可能であり、該付加物(B12)は、該付加物(B12)中に少なくとも1つのイソシアネート反応性の基が残留するように、(2.1)少なくとも1種のエテニルアリーレンモノイソシアネート(B121)と(2.2)ポリオール、ポリアミンおよび少なくとも1つのヒドロキシル基と少なくとも1つのアミノ基とを有する化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(B122)とを相互に反応させることにより得られる、(C)不乾性油のポリオキシアルキレン誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性化合物を含有する、水性エフェクトピグメントペースト、その製造およびその使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、DE102004049095.3の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、新規の水性エフェクトピグメントペーストに関する。さらに本発明は、水性エフェクトピグメントペーストを製造する新規の方法に関する。最後に本発明は、新規の水性エフェクトピグメントペーストの使用および該新規の方法により製造された水性エフェクトピグメントペーストに関する。
【0003】
公知のとおり、顔料ペーストまたは顔料調製物は、後の適用に相応するよりも高濃度で顔料を含有している(Roempp Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York、1998年、"顔料調製物"、第452頁を参照のこと)。
【0004】
着色および/または効果を付与する被覆、特にベースコーティングを製造するための着色水性被覆材料、特に水性ベースコートの製造に使用される水性エフェクトピグメントペーストは公知である。
【0005】
たとえばドイツ国特許出願DE10027291A1から、その表面がオクチルフェニルエトキシレートにより親水性に調整されているアルミニウムエフェクトピグメントおよびポリウレタン増粘剤を含有する水性エフェクトピグメントペーストが公知である。
【0006】
ドイツ国特許出願DE10240972A1から、少なくとも1種の金属エフェクトピグメント、(C1〜C6)−アルキル(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリル酸をベースとする少なくとも1種のメタクリレートコポリマーからなる少なくとも1種の非会合性増粘剤、少なくとも1種の有機アミン、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤(非イオン界面活性剤)、たとえばCognis社のHydropalat(登録商標)3037および水を含有する、水性の金属エフェクトピグメントペーストが公知である。
【0007】
公知の水性エフェクトピグメントペーストは、容易に製造することができ、かつ該ペーストを用いて製造された着色被覆材料の高い静止安定性および攪拌安定性、極めて良好な適用特性および極めて良好なレベリングをもたらす。該ペーストから製造される、効果を付与する被覆は、等方性の顔料分布を有し、かつ明暗の色むら(Hell−Dunkel−Schattierungen(ヘイズ(Wolken)))およびまだらのような障害を有していない。
【0008】
しかし常に増大し続ける市場の技術的および美的な要求、特に自動車製造業者およびその顧客の要求は、従来公知の着色被覆材料および該材料から製造された、効果を付与する被覆が常にさらに発展することを要求している。
【0009】
未公開のドイツ国特許出願DE10350719.1には、水性のエフェクトピグメントペーストが記載されており、これは
(A)少なくとも1種のエフェクトピグメント 10〜65質量%、
(B)分散相として、疎水性コアと親水性シェルとからなる平均粒径10〜500nmの粒子を含有する、固体含有率15〜40質量%の、中和後に構造粘性の、少なくとも1種のモノモードの水性一次分散液 1〜20質量%、その際、該粒子は、ガラス転移温度30〜100℃および酸価10〜50mgKOH/gの(メタ)アクリレートコポリマーから構成されている、
(C)少なくとも1種の有機アミンおよび/またはアンモニア 0.01〜2質量%、
(D)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤(非イオン界面活性剤)、たとえばHydropalat(登録商標)3037 0.1〜3.0質量%および
(E)有機溶剤少なくとも10質量%
を含有し、その際、質量%の記載はそのつど顔料ペーストの全量に対するものである。
【0010】
本発明の課題は、特に容易に製造することができ、貯蔵安定性であり、かつ輸送可能な新規の水性エフェクトピグメントペーストを提供することである。新規の水性エフェクトピグメントペーストは特に貯蔵安定性であり、かつせん断条件下で特に安定した着色水性被覆材料を提供し、これは長いせん断の後でも、特に塗装装置の管状導管中でのせん断後でも、エフェクトピグメントの沈殿を示すべきでない。着色水性被覆材料、特に水性ベースコートは、極めて良好な適用特性および極めて良好なレベリングを示す。得られる、効果を付与する被覆、特にベースコーティングは、等方性の顔料分布に基づいて、優れた光学的外観を有し、かつ、たとえば明暗の色むら(ヘイズ)およびまだらのような障害を有していないべきである。
【0011】
これに応じて、
(A)少なくとも1種の、効果を付与する顔料、
(B)水性媒体中に分散した少なくとも1種のグラフトコポリマー、該コポリマーは、少なくとも1種のモノマー(a)を、少なくとも1つの側位のエテニルアリーレン基および/または少なくとも1つの末端のエテニルアリーレン基を有する少なくとも1種のポリウレタン(B1)の水性分散液中で、ラジカル(共)重合することにより製造可能であり、該ポリウレタン(B1)は、
(1)少なくとも1つの遊離イソシアネート基を有する少なくとも1種のポリウレタンプレポリマー(B11)と、
(2)少なくとも1種の付加物(B12)
とを反応させることにより製造可能であり、該付加物(B12)は、
(2.1)少なくとも1種のエテニルアリーレンモノイソシアネート(B121)と
(2.2)ポリオール、ポリアミンおよび少なくとも1つのヒドロキシル基と少なくとも1つのアミノ基とを有する化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(B122)
とを、該付加物(B12)中に少なくとも1つのイソシアネート反応性の基が残留するように相互に反応させることにより得られる、
(C)不乾性油のポリオキシアルキレン誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性化合物
を含有する新規の水性エフェクトピグメントペーストが判明した。
【0012】
以下では、この新規の水性エフェクトピグメントペーストを「本発明によるエフェクトピグメントペースト」とよぶ。
【0013】
さらに、少なくとも成分(A)、(B)および(C)を相互に混合し、かつ得られる混合物を均質化する、水性エフェクトピグメントペーストを製造する新規の方法が判明し、この方法を以下では「本発明による方法」とよぶ。
【0014】
最後に、本発明によるエフェクトピグメントペーストおよび本発明により製造されたエフェクトピグメントペーストの新規の使用が判明した。
【0015】
従来技術を鑑みると、本発明の基礎となっていた課題を、本発明によるエフェクトピグメントペースト、本発明による方法および本発明による使用により解決することができたことは意想外であり、かつ当業者にとって予測することができるものではなかった。
【0016】
特に、本発明によるエフェクトピグメントペーストは特に容易に製造することができ、貯蔵安定性で、輸送可能であることが意外であった。本発明によるエフェクトピグメントペーストは、特に貯蔵安定性であり、かつせん断条件下で特に安定した着色水性被覆材料をもたらし、これは長時間のせん断、特に塗装装置の管状導管中でのせん断後にも、エフェクトピグメントの沈殿を示さなかった。着色水性被覆材料、特に水性ベースコートは、極めて良好な適用特性および極めて良好なレベリングを有する。得られる、効果を付与する被覆、特にベースコーティングは、等方性の顔料分布に基づいて優れた光学的外観を有し、かつ明暗の色むら(ヘイズ)およびまだらのような障害を示さなかった。
【0017】
本発明によるエフェクトピグメントペーストは、少なくとも1種のエフェクトピグメント(A)を含有する。
【0018】
有利にはエフェクトピグメント(A)は、有機および無機、光学的効果を付与する、着色および光学的効果を付与する、磁気遮蔽性、導電性、腐食防止、蛍光および燐光顔料からなる群から選択される。有利には有機および無機、光学的効果を付与する、および着色および光学的効果を付与する顔料からなる群から選択される。特に有機および無機、光学的効果を付与する、および着色および光学的効果を付与する顔料(A)は、金属エフェクトピグメント、金属と非金属とからなるエフェクトピグメントおよび非金属エフェクトピグメントからなる群から選択される。
【0019】
特に金属エフェクトピグメント(A)は、アルミニウムエフェクトピグメント、鉄エフェクトピグメントまたは銅エフェクトピグメント、たとえば市販のアルミニウムブロンズ、DE3636183A1によりクロム酸塩処理されたアルミニウムブロンズ、市販の特殊鋼ブロンズおよび市販の銅ブロンズである。
【0020】
特に金属と非金属とからなるエフェクトピグメント(A)は、酸化鉄により被覆されたフレーク状のアルミニウム顔料、たとえば欧州特許出願EP0562329A2に記載されているもの;金属、特にアルミニウムにより被覆されているガラスフレーク;または金属、特にアルミニウムからなる反射層を有し、かつ強いカラーフラップを有する干渉顔料、たとえば米国特許US4,434,010A1、US4,704,356A1、US4,779,898A1、US4,838,648A1、US4,930,866A1、US5,059,245A1、US5,135,812A1、US5,171,363A1またはUS5,214,530A1に記載されているものである。
【0021】
特に非金属のエフェクトピグメント(A)は、真珠光沢顔料、特にマイカ顔料、たとえばMerck Kontakte、1992年、第2号、第3頁〜第60頁に記載されているもの;金属酸化物により被覆された、フレーク状のグラファイト顔料、たとえば日本の特許出願JP5−311098Aに記載されているもの;金属からなる反射層を有さず、かつ強いカラーフラップを有する干渉顔料、たとえば米国特許US4,434,010A1、US4,704,356A1、US4,779,898A1、US4,838,648A1、US4,930,866A1、US5,059,245A1、US5,135,812A1、US5,171,363A1またはUS5,214,530A1に記載されているもの;ピンク色から赤褐色の色調を有する酸化鉄をベースとするフレーク状のエフェクトピグメント、たとえば特許出願および特許DE3636156A1、DE3718446A1、DE3719804A1、DE3930601A1、EP0068311A、EP0264843A1、EP0265820A1、EP0283852A1、EP0293746A1、EP0417567A1、US4,828,826AまたはUS5,244,649Aに記載されているもの;または有機の液晶エフェクトピグメントである。
【0022】
補足的にRoempp Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、1998年、第176頁、"エフェクトピグメント"および第380および381頁、"金属酸化物−雲母−顔料"から"金属顔料"を参照のこと。
【0023】
蛍光および燐光顔料(昼光顔料)の例は、ビス(アゾメチン)顔料である。
【0024】
適切な導電性顔料の例は、二酸化チタン/酸化スズ顔料および粉末状の金属顔料である。
【0025】
磁気遮蔽性顔料の例は、酸化鉄または二酸化クロムをベースとする顔料である。
【0026】
適切な腐食防止顔料の例は、スズ粉末、ケイ酸鉛、リン酸亜鉛またはホウ酸亜鉛である。
【0027】
従って本発明によるエフェクトピグメントペーストは、多数の適切なエフェクトピグメント(A)に基づいて、普遍的な使用範囲を有し、かつ種々の物理的効果を有する極めて多種多様な効果を付与する被覆を実現することができる着色水性被覆材料の製造を可能にする。
【0028】
従って本発明によるエフェクトピグメントペーストにおけるエフェクトピグメント(A)の含有率は、該当する着色水性被覆材料の使用目的に応じて、およびエフェクトピグメント(A)の性質に応じて、極めて広い範囲で変更することができる。有利には本発明によるエフェクトピグメントペーストに対するその含有率は、0.1〜80質量%、好ましくは1.0〜70質量%、特に有利には2.0〜60質量%、とりわけ有利には3.0〜50質量%および特に有利には4.0〜40質量%である。
【0029】
さらに、本発明によるエフェクトピグメントペーストはなお、付加的な顔料が本発明によるエフェクトピグメントペーストの適用特性に否定的な影響を与えない限り、有機および無機、着色を与えるおよび充填性の顔料、これらの特性を少なくとも2つ有する顔料ならびにナノ粒子からなる群から選択される少なくとも1種の、エフェクトピグメント(A)とは異なる顔料を含有していてもよい。
【0030】
適切な無機着色顔料の例は、白色顔料、たとえば亜鉛白、硫化亜鉛またはリトポン;黒色顔料、たとえばカーボンブラック、鉄−マンガン黒またはスピネル黒;有色顔料、たとえば酸化クロム、酸化クロム水和物グリーン、コバルトグリーンまたはウルトラマリングリーン、コバルトブルー、ウルトラマリンブルーまたはマンガンブルー、ウルトラマリンバイオレットまたはコバルトバイオレットおよびマンガンバイオレット、酸化鉄赤、カドミウムスルホセレニド、モリブデンレッドまたはウルトラマリンレッド;酸化鉄ブラウン、ミックスブラウン、スピネル相およびコランダム相またはクロムオレンジ;または酸化鉄イエロー、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、硫化カドミウム、硫化カドミウム亜鉛、クロムイエローまたはバナジン酸ビスマスである。
【0031】
適切な有機着色顔料の例は、モノアゾ顔料、ビスアゾ顔料、アントラキノン顔料、ベンズイミダゾール顔料、キナクリドン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ジオキサジン顔料、インダンスロン顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、アゾメチン顔料、チオインジゴ顔料、金属錯体顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料、フタロシアニン顔料またはアニリンブラックである。
【0032】
補足的に、Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、1998年、第180および181頁、"群青顔料"から"酸化鉄黒"、第451〜453頁、"顔料"から"顔料体積濃度"、第563頁、"チオインジゴ−顔料"、第567頁、"二酸化チタン−顔料"、第400および467頁、"天然由来の顔料"、第459頁、"多環式顔料"、第52頁、"アゾメチン顔料"、"アゾ顔料"および第379頁、"金属錯体顔料"を参照のこと。
【0033】
適切な充填顔料または充填剤の例は、白亜、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸塩、タルクまたはカオリン、ケイ酸、酸化物、たとえば水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウムまたは有機充填剤、たとえばテキスタイル繊維、セルロース繊維、ポリエチレン繊維またはポリマー粉末である。補足的にRoempp Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、1998年、第250頁以降、"充填剤"を参照のこと。
【0034】
有利には、ナノ粒子は、主族および副族の金属およびこれらの化合物からなる群から選択される。有利には主族および副族の金属は、元素の周期律表の第3〜第5主族、第3〜第6ならびに第1および第2副族の金属ならびにランタノイドから選択される。特に有利には、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、ヒ素、アンチモン、銀、亜鉛、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステンおよびセリウム、特にアルミニウム、ケイ素、銀、セリウム、チタンおよびジルコニウムを使用する。有利には金属の化合物は、酸化物、酸化物水和物、硫酸塩またはリン酸塩である。有利には銀、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウムおよびこれらの混合物、特に有利には銀、酸化セリウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム水和物およびこれらの混合物、とりわけ有利には、酸化アルミニウム水和物および特にベーマイトを使用する。有利にはナノ粒子は<50nm、有利には5〜50nm、特に10〜30nmの一次粒径を有する。
【0035】
本発明によるエフェクトピグメントペーストは、少なくとも1種、特に1種の、水性媒体中に分散したグラフトコポリマー(B)を含有する。
【0036】
グラフトコポリマー(B)は、少なくとも1種のモノマー(a)を、少なくとも1つの側位の、および/または少なくとも1つの末端のエテニルアリーレン基を有する少なくとも1種のポリウレタン(B1)の水性分散液中で、ラジカル(共)重合することにより製造することができる。
【0037】
ポリウレタン(B1)は、
(1)少なくとも1つの遊離イソシアネート基を有する少なくとも1種のポリウレタンプレポリマー(B11)と、
(2)少なくとも1種の付加物(B12)
とを反応させることにより製造することができ、付加物(B12)は、
(2.1)少なくとも1種のエテニルアリーレンモノイソシアネート(B121)と
(2.2)ポリオール、ポリアミンおよび少なくとも1つのヒドロキシル基と少なくとも1つのアミノ基とを有する化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(B122)とを、少なくとも1つのイソシアネート反応性の基が付加物(B12)中に残留するように、相互に反応させることにより得られる。
【0038】
グラフトコポリマー(B)および水性媒体中のその分散液、特にその一次分散液は、自体公知であり、かつドイツ国特許出願DE19948044A1、第3頁第26行目〜第13頁第66行目および第20頁、例2、"本発明によるグラフトコポリマー1の一次分散液の製造"に記載されている。
【0039】
有利に使用されるモノマー(a)は、ドイツ国特許出願第11頁第30行目〜第13頁第39行目に記載されている。
【0040】
この場合、エテニルアリーレンモノイソシアネート(B121)は有利には一般式I:
CH2=C(R)−A−X−NCO (I)
[式中、変項は以下の意味を有する:
Aは、置換されているか、または置換されていないC6〜C20−アリーレン基、
Rは、水素原子、ハロゲン原子、ニトリル基、置換されているか、または置換されていないアルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、シクロアルキルアリール基、アリールアルキル基またはアリールシクロアルキル基、および
Xは、二価の有機基]を有する。
【0041】
有利には、式(I)のアリーレン基は、1,2−フェニレン、1,3−フェニレンおよび/または1,4−フェニレン、特に1,3−フェニレンである。
【0042】
有利には式(I)の変項Rは、水素原子を表すか、またはメチル基、特にメチル基を表す。
【0043】
有利には式(I)の二価の有機基Xは、分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC3〜C6−アルカンジイル基を表す。
【0044】
特に二価の有機基Xは、−C(CH32−である。
【0045】
特に有利には式(I)のエテニルアリーレンモノイソシアネート(B121)または式(I)のエテニルアリーレンモノイソシアネート(B121)の少なくとも1つは、1−(1−イソシアナト−1−メチルエチル)−3−(1−メチルエテニル)−ベンゼンである。
【0046】
有利にはポリウレタン(B1)は、親水性の官能基、特にカルボン酸基および/またはカルボキシレート基を有する。
【0047】
さらにポリウレタン(B1)は有利には一般式II:
CH2=C(R)−A− (II)
[式中、変項Aは、置換されているか、または置換されていないC6〜C20−アリーレン基を表し、かつ変項Rは、水素原子、ハロゲン原子、ニトリル基、置換されているか、または置換されていないアルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、シクロアルキルアリール基、アリールアルキル基またはアリールシクロアルキル基を表す]のエテニルアリーレン基を有する。
【0048】
特に有利には式(II)の基Rは、水素原子またはメチル基、特にメチル基を表す。
【0049】
特に有利には式(II)のアリーレン基は、1,2−フェニレン、1,3−フェニレンおよび/または1,4−フェニレン、特に1,3−フェニレンである。
【0050】
有利にはエテニルアリーレン基(II)は、二価または三価の、少なくとも1つのウレタン基および/または尿素基を有する結合基IIIを介してポリウレタン主鎖(B1)と結合している。
【0051】
有利には結合基IIIは、一般式IIIa〜IIIc:
−X−NH−C(O)−O− (IIIa)
−X−NH−C(O)−NH− (IIIb)または
−X−NH−C(O)−N< (IIIc)
[式中、Xは、二価の有機基を表す]の少なくとも1つの二価または三価の基を有する。
【0052】
有利にはポリウレタンプレポリマー(B11)は、ポリオール、ポリアミンおよび少なくとも1つのヒドロキシル基と少なくとも1つのアミノ基を有する化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(B122)と、少なくとも1種のポリイソシアネート(B123)とを反応させることにより製造することができる。
【0053】
有利には化合物(B122)は、オリゴマーまたはポリマーである。
【0054】
特にオリゴマーおよびポリマー(B122)は、ポリエステルおよび/またはポリウレタンである。
【0055】
本発明によるエフェクトピグメントペーストにおけるグラフトコポリマー(B)の含有率は同様に、極めて広い範囲で変化してよく、かつ特にそのつど使用されるエフェクトピグメント(A)に合わせて調整する。有利にはこの含有率は、本発明によるエフェクトピグメントペーストに対して1〜50質量%、有利には1.5〜45質量%、特に有利には2〜40質量%、とりわけ有利には2.5〜35質量%および特に3〜30質量%である。
【0056】
これに応じて顔料対結合剤の比(A):(B)は、極めて広い範囲で変化してよい。有利な比率は、有利に使用される(A)および(B)の量から生じる。
【0057】
本発明によるエフェクトピグメントペーストはさらに、不乾性油のポリオキシアルキレン誘導体からなる群から選択される少なくとも1種、特に1種の界面活性化合物を含有する。
【0058】
有利には界面活性化合物(C)は、そのつど1個のポリオキシアルキレン基を有する。
【0059】
有利には界面活性化合物(C)のポリオキシエチレン基は、そのつど10〜60個のオキシアルキレン基を有する。
【0060】
特に有利には、界面活性化合物(C)のポリオキシエチレン基は、オキシエチレン基を有するか、またはオキシエチレン基からなる。
【0061】
有利には、界面活性化合物(C)は、不乾性植物油の誘導体である。
【0062】
特に界面活性化合物(C)は、ひまし油の誘導体である。
【0063】
界面活性化合物(C)は、市販の化合物であり、かつたとえば商品名Hydropalat(登録商標)3037でCognis社から市販されている。
【0064】
本発明によるエフェクトピグメントペーストにおける界面活性化合物の含有率は、同様に極めて広い範囲で変化してよく、かつ特にエフェクトピグメント(A)の分散性に応じて調整する。有利には該含有率は、エフェクトピグメントペーストに対して、0.1〜15質量%、有利には0.2〜10質量%、特に有利には0.3〜8質量%、とりわけ有利には0.4〜6質量%および特に0.5〜4質量%である。
【0065】
本発明によるエフェクトピグメントペーストの含水率は同様に、極めて広い範囲で変化してよい。有利には該含有率は、本発明による顔料ペーストに対して、10〜90質量%、好ましくは15〜80質量%および特に20〜75質量%である。
【0066】
さらに本発明によるエフェクトピグメントペーストは、別の通例かつ公知の添加剤、たとえばドイツ国特許出願DE19948004A1、第16頁、第24行目〜第17頁、第5行目から公知であり、かつ/または有機溶剤、特に水と混和可能な有機溶剤を含有していてよい。この場合、本発明によるエフェクトピグメントペーストの本質的な成分と不利な相互作用を行う、たとえば分解反応、相分離または凝固をもたらす添加剤および溶剤は排除される。従って当業者は自身の一般的な専門知識に基づいて、場合により方向付け試験を行って正しい選択を行うことができる。
【0067】
本発明によるエフェクトピグメントペーストの製造は、方法的に特別なところはなく、少なくとも1種の前記の本質的な成分(A)、(B)および(C)を相互に混合し、かつ得られる混合物を均質化することによって行うことができる。このために、塗料工業において通例かつ公知の混合装置、たとえば攪拌装置、溶解機、混練機または攪拌ミルを使用することができる。
【0068】
本発明によるエフェクトピグメントペーストは、特に容易に製造することができることが判明した。該ペーストは、温度変化の際にも極めて長期に貯蔵安定性であり、かつ極めて良好に輸送可能である。特に比較的長期の貯蔵時間の後でも、金属エフェクトピグメント、特にアルミニウムエフェクトピグメントを含有する本発明によるエフェクトピグメントペーストの場合、気体の発生はない。従って該ペーストは、極めて良好に種々の使用目的のために考慮される。有利には該ペーストを、支持体の封止、接着および被覆のための封止材料、接着剤および被覆材料の製造のために使用する。有利には該ペーストを着色水性被覆材料、特に水性ベースコートの製造のために使用する。
【0069】
本発明によるエフェクトピグメントペースト以外に、水性ベースコートを製造するために、通常使用される成分、たとえばドイツ国特許出願DE19948004A1、第3頁第14行目〜第17頁第8行目に記載されている成分を使用することができる。
【0070】
有利には該水性ベースコートを、たとえばドイツ国特許出願DE19948004A1、第17頁第37行目〜第19頁第22行目に詳細に記載されているように、少なくとも以下の工程:
(VI)支持体上に水性ベースコートを適用することによりベースコート層を製造する工程、
(VII)該ベースコート層を乾燥する工程、
(VIII)該ベースコート層上にクリアコートを適用することによりクリアコート層を製造する工程および
(VIV)少なくとも該ベースコート層と該クリアコート層とを一緒に硬化させる工程
を含む、特にウェット・オン・ウェット法により、下塗りされた、または下塗りされていない支持体上に着色および/または効果を付与する多層コーティングを製造するために使用する。
【0071】
その際、支持体は、たとえばドイツ国特許出願DE19948004A1、第17頁第14行目〜第36行目に記載されているような、特にプラスチックからなる成形部材、シートおよび繊維、自動車の車体、機械、光学および電子工学部品を含む工業用部品、コイルおよび包装材料、または家具であってよい。
【0072】
得られる、効果を付与する多層コーティングは、優れた特性を有しており、機械、光学、腐食防止および中間層付着および支持体付着に関してバランスが優れている。この場合、塗料の障害を有していないベースコーティングに起因する優れた外観が際だっている。
【0073】
実施例および比較例
製造例1
混合塗料1の製造
ドイツ国特許出願DE19948004A1、第20頁第10〜21行目の例2、「本発明によるグラフトコポリマー1の一次分散液の製造」に記載されているグラフトコポリマー(B)の一次分散液40.3質量部、脱イオン水36.2質量部、Surfynol(登録商標)100(Air Productsの市販の界面活性化合物、ブチルグリコール中の50%溶液)6.0質量部、ひまし油のポリオキシアルキレン誘導体(Cognis社のHydropalat(登録商標)3037)2.5質量部および1−プロポキシ−2−プロパノール15質量部を相互に混合し、その後、得られる混合物を均質化した。
【0074】
例1および比較例V1およびV2
エフェクトピグメントペースト1(例1)およびV1およびV2(比較試験V1およびV2)の製造
例1のエフェクトピグメントペースト1および比較試験V1およびV2のV1およびV2を、表に記載されている成分を記載されている順序で混合し、かつ得られた混合物を均質化することにより製造した。得られたエフェクトピグメントペーストの貯蔵安定性に関する結果は、同様に表に記載されている。これらは、エフェクトピグメントペースト1が、エフェクトピグメントペーストV1およびV2よりも明らかに優れていることを根拠付けるものである。
【0075】
【表1】

【0076】
例2および3
水性エフェクトピグメントペースト2および水性ベースコート1の製造
例2の水性エフェクトピグメントペースト2を製造するために、エフェクトピグメントMearlin(登録商標)EXT CFS Fine Pearl 1303V 2.8質量部を、製造例1の混合塗料8.4質量部と混合し、その後、得られた混合物を均質化した。
【0077】
例3の水性ベースコート1を製造するために、増粘剤(ナトリウム−マグネシウム−層状ケイ酸塩、Laponite(登録商標)RD、水中3%)20質量部を装入した。このために、ドイツ国特許出願DE4009858A1、第16欄、「C.水性ポリウレタン樹脂分散液の製造」、第10〜35行目に記載されているポリウレタン分散液25.4質量部を、撹拌下に添加した。引き続き、市販の水で希釈可能なメラミンホルムアルデヒド樹脂(Cymel(登録商標)3020)4.6質量部およびドイツ国特許出願DE4009858A1、第16欄、「D.水性ポリエステル樹脂分散液の製造」、第37〜59行目に記載の水性ポリエステル樹脂分散液からなる混合物、ブチルグリコール6.1質量部およびジメチルエタノールアミン(脱イオン水中10%)0.4質量部を撹拌下に添加した。得られる混合物に、ドイツ国特許出願DE4437535A1、第7頁、「D.本発明によるポリウレタン変性されたポリアクリレートの製造」、第55行目〜第8頁第23行目に記載されているポリウレタン変性されたポリアクリレート樹脂4.4質量部を添加した。得られた混合物に、撹拌下で、N−メチルピロリドン1.0質量部、2−エチルヘキサノール1.55質量部、Surfynol(登録商標)100(ブチルグリコール中50%)1.55質量部、ポリプロピレングリコール(数平均分子量:900)1.0質量部、アミンでブロックされたp−トルエンスルホン酸0.7質量部、変性ポリジメチルシロキサン0.68質量部、ブチルグリコール中の市販のポリウレタン増粘剤(Nopco(登録商標DSX1550)の50%溶液0.25質量部、ドイツ国特許DE10043405C1、第11欄、段落[0075]に記載の10%のカーボンブラックペースト3.1質量部、ドイツ国特許出願DE10129899A1、第12頁、第10〜17行目に記載の二酸化ケイ素ペースト0.5質量部、および水2.0質量部を添加する。得られる混合物に、Alu−Stapa Hydrolux(登録商標)8154 0.18質量部、ドイツ国特許出願DE4009858A1、第16欄、「D.水性ポリエステル樹脂分散液の製造」、第37行目〜59行目に記載の水性ポリエステル樹脂分散液0.4質量部およびブチルグリコール0.3質量部からなるアルミニウムエフェクトピグメントペーストを添加した。
【0078】
得られる混合物に、例2の上記の混合塗料2を添加し、かつ得られる水性ベースコート1を均質化した。
【0079】
水性ベースコート1を、10%の水性ジメチルエタノールアミン溶液および脱イオン水により7.8〜8.2のpH値および1000s-1で80mPasの適用粘度に調整した。
【0080】
管状導管安定性をシミュレートするために、750mlの水性ベースコート1を、市販の1L塗料缶中に充填し、かつ室温でらせん形リボンミキサーで20日間攪拌した。円周速度は約0.1m/sであった。20日後にも、缶の底に粒子は堆積しなかった。従って水性ベースコート1は、まだらを有していない、効果を付与する多層コーティングを製造するために使用することができた。
【0081】
比較試験V3
水性ベースコートV3の製造
比較試験V3の水性ベースコートV3を製造するために、増粘剤(ナトリウム−マグネシウム−層状ケイ酸塩のペースト、Laponite(登録商標)RD、水中3%)20質量部を装入した。ここにドイツ国特許出願DE4009858A1、第16欄、「C.水性ポリウレタン樹脂分散液の製造」、第10〜35行目に記載されているポリウレタン分散液22.1質量部、およびドイツ国特許出願DE19948004A1、例2、「本発明によるグラフトコポリマー1の一次分散液の製造」、第20頁第10〜21行目に記載されているグラフトコポリマー(B)の一次分散液3.3質量部を撹拌下に添加した。引き続き、市販の水で希釈可能なメラミンホルムアルデヒド樹脂(Cymel(登録商標)3020)4.6質量部およびドイツ国特許出願DE4009858A1、第16欄、「D.水性ポリエステル樹脂分散液の製造」、第37〜59行目に記載の水性ポリエステル樹脂分散液、ブチルグリコール6.1質量部およびジメチルエタノールアミン(脱イオン水中10%)0.4質量部を撹拌下に添加した。得られる混合物に、ドイツ国特許出願DE4437535A1、第7欄、「D.本発明によるポリウレタン変性ポリアクリレートの製造」、第55行目〜第8頁、第23行目に記載されているポリウレタン変性されたポリアクリレート樹脂4.4質量部を添加した。得られる混合物に撹拌下でN−メチルピロリドン1.0質量部、2−エチルヘキサノール1.55質量部、Surfynol(登録商標)100(ブチルグリコール中50%)1.55質量部、ポリプロピレングリコール(数平均分子量:900)1.0質量部、アミンでブロックされたp−トルエンスルホン酸0.7質量部、変性ポリジメチルシロキサン0.68質量部、ブチルグリコール中の市販のポリウレタン増粘剤(Nopco(登録商標)DSX1550)の50%の溶液0.25質量部、ドイツ国特許DE10043405C1、第11欄、段落[0075]に記載されている10%のカーボンブラックペースト3.1質量部、ドイツ国特許出願DE10129899A1、第12頁第10〜17行目に記載の二酸化ケイ素ペースト0.5質量部および水2.0質量部を添加した。得られる混合物に、Alu−Stapa Hydrolux(登録商標)8154 0.18質量部、ドイツ国特許出願4009858A1、第16欄、「D.水性ポリエステル樹脂分散液の製造」、第37〜59行目に記載されている水性ポリエステル樹脂分散液0.4質量部、およびブチルグリコール0.3質量部を添加した。
【0082】
得られる混合物に、エフェクトピグメントMearlin(登録商標)EXT CFS Fine Pearl 1303V 2.8質量部およびドイツ国特許出願DE10240972A1、第7頁、段落[0053]に記載されている混合塗料8.4質量部からなるエフェクトピグメントペーストを添加し、かつ得られる水性ベースコートを均質化した。
【0083】
水性ベースコートV3を、10%の水性ジメチルエタノールアミン溶液および脱イオン水で7.8〜8.2のpH値および1000s-1で80mPasの適用粘度に調整した。
【0084】
管状導管安定性をシミュレートするために、750mlの水性ベースコートV3を、市販の1Lの塗料缶に充填し、かつ室温でらせん形リボンミキサーで20日間攪拌した。円周速度は約0.1m/sであった。20日後に、缶の底に粒子は堆積していた。従って水性ベースコートV3は、まだらを生じない、効果を付与する多層コーティングを製造するために使用することができなかった。該当する、効果を付与する多層コーティングは、効果を付与する多層コーティング中の目視可能なまだらに基づいて、相応する塗装された自動車車体を部分的に改めて塗装するほどの後処理を必要とし、かつ最も問題のある場合には、相応する塗装された自動車車体の破損さえも生じた。
【0085】
例4および比較例V4
効果を付与する多層コーティング1(例4)およびV3(比較試験V4)の製造
例4の効果を付与する多層コーティング1を製造するために、例3の水性ベースコート1を使用した。
【0086】
比較試験V4の効果を付与する多層コーティングV3を製造するために、比較試験V3の水性ベースコートV3を使用した。
【0087】
30×70cmの寸法を有し、通例かつ公知のカソード電着を行い、かつ焼き付けた電着コーティングにより被覆した鋼板(車体板)上に、BASF Coatings AG社の市販のサーフェイサーを適用し、その後、得られたサーフェイサー層を20℃および相対空気湿度65%で5分間フラッシュオフし、かつ換気炉中、140℃で30分間焼き付けた。鋼板を20℃に冷却した後、水性ベースコート1およびV3をそれぞれ2つの噴霧工程で適用した。第一の塗布は、ESTA(ベルの回転数:45.000min-1;運転空気 ESTA:120Nl/min;電圧:65kV;間隔:0.25m;塗料の排出量:170ml/min)を用いて、乾燥膜厚8〜10μmに相応して行った。第二の塗布は、空気式(間隔:0.32m;塗料の排出量:540ml/min;噴霧空気量:300Nl/min;噴霧空気圧力:4.8バール;ホーン空気量:395Nl/分;ホーン空気圧力:5.2バール)で、乾燥膜厚4〜6μmに相応して行った。水性ベースコート層は、第1および第2の塗布後に、そのつど、2分間フラッシュオフした。引き続き、これを80℃で10分間、前乾燥し、冷却し、かつBASF Coatings AG社の市販の二成分クリアコートを用いて、乾燥膜厚40μmに相応して被覆した。その後、水性ベースコート層およびクリアコート層を、130℃で30分間、一緒に焼き付け、これにより、例4の多層コーティング1および比較試験V4の多層コーティングV3が得られた。
【0088】
多層コーティング1およびV3は、拡散光下で2〜3mの間隔から、明暗の色むら(ヘイズ)に関して、反射(Aufsicht)(80゜)および斜角視(Schraegsicht)(40゜)により、目視によって評価し、かつ評点をつけた(評点1:ヘイズは見られない;から評点5:ヘイズは極めて明らかに見ることができる)。
【0089】
多層コーティング1では、反射および斜角視が評点2であるのに対して、多層コーティングV3は、評点3であった。このことは、例1による水性エフェクトピグメントペースト1により、顔料の配向は顕著に改善され、ひいては明暗の色むらの顕著な低減を達成することができたことが根拠付けられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも1種の、効果を付与する顔料、
(B)水性媒体中に分散した少なくとも1種のグラフトコポリマー、該コポリマーは、少なくとも1種のモノマー(a)を、少なくとも1つの側位のエテニルアリーレン基および/または少なくとも1つの末端のエテニルアリーレン基を有する少なくとも1種のポリウレタン(B1)の水性分散液中で、ラジカル(共)重合することにより製造することができ、該ポリウレタン(B1)は、
(1)少なくとも1つの遊離イソシアネート基を有する少なくとも1種のポリウレタンプレポリマー(B11)と、
(2)少なくとも1種の付加物(B12)
とを反応させることにより製造することができ、該付加物(B12)は、
(2.1)少なくとも1種のエテニルアリーレンモノイソシアネート(B121)と
(2.2)ポリオール、ポリアミンおよび少なくとも1つのヒドロキシル基と少なくとも1つのアミノ基とを有する化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(B122)とを
付加物(B12)中に少なくとも1つのイソシアネート反応性の基が残留するように、相互に反応させることにより得られる、
(C)不乾性油のポリオキシアルキレン誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性化合物
を含有する、水性エフェクトピグメントペースト。
【請求項2】
エフェクトピグメント(A)が、有機および無機、光学的効果を付与する、着色および光学的効果を付与する、磁気遮蔽性、導電性、腐食防止、蛍光および燐光顔料からなる群から選択されていることを特徴とする、請求項1記載のエフェクトピグメントペースト。
【請求項3】
エフェクトピグメント(A)が、有機および無機、光学的効果を付与する、および着色および光学的効果を付与する顔料からなる群から選択されていることを特徴とする、請求項2記載のエフェクトピグメントペースト。
【請求項4】
有機および無機、光学的効果を付与する、および着色および光学的効果を付与する顔料(A)が、金属エフェクトピグメント、金属と非金属とからなるエフェクトピグメントおよび非金属エフェクトピグメントからなる群から選択されていることを特徴とする、請求項3記載のエフェクトピグメントペースト。
【請求項5】
エテニルアリーレンモノイソシアネート(B121)が、一般式I:
CH2=C(R)−A−X−NCO (I)
[式中、変項は以下の意味を有する:
Aは、置換されているか、または置換されていないC6〜C20−アリーレン基、
Rは、水素原子、ハロゲン原子、ニトリル基、置換されているか、または置換されていないアルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、シクロアルキルアリール基、アリールアルキル基またはアリールシクロアルキル基、および
Xは、二価の有機基]を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のエフェクトピグメントペースト。
【請求項6】
式(I)のアリーレン基Aが、1,2−フェニレン、1,3−フェニレンおよび/または1,4−フェニレン、特に1,3−フェニレンであることを特徴とする、請求項5記載のエフェクトピグメントペースト。
【請求項7】
式(I)の変項Rが、水素原子またはメチル基、特にメチル基を表すことを特徴とする、請求項5または6記載のエフェクトピグメントペースト。
【請求項8】
式(I)の二価の有機基Xは、分枝鎖状または非分枝鎖状のC3〜C6−アルカンジイル基を表すことを特徴とする、請求項5から7までのいずれか1項記載のエフェクトピグメントペースト。
【請求項9】
二価の有機基Xが、−C(CH32−であることを特徴とする、請求項8記載のエフェクトピグメントペースト。
【請求項10】
式(I)のエテニルアリーレンモノイソシアネート(B121)または式(I)のエテニルアリーレンモノイソシアネート(B121)の少なくとも1種が、1−(1−イソシアナト−1−メチルエチル)−3−(1−メチルエテニル)−ベンゼンであることを特徴とする、請求項5から9までのいずれか1項記載のエフェクトピグメントペースト。
【請求項11】
ポリウレタン(B1)が、親水性の官能基、特にカルボン酸基および/またはカルボキシレート基を有することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載のエフェクトピグメントペースト。
【請求項12】
ポリウレタン(B1)が、一般式II:
CH2=C(R)−A− (II)
[式中、変項Aは、置換されているか、または置換されていないC6〜C20−アリーレン基を表し、かつ変項Rは、水素原子、ハロゲン原子、ニトリル基、置換されているか、または置換されていないアルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、シクロアルキルアリール基、アリールアルキル基またはアリールシクロアルキル基を表す]のエテニルアリーレン基を有することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載のエフェクトピグメントペースト。
【請求項13】
式(II)の基Rが、水素原子またはメチル基、特にメチル基を表すことを特徴とする、請求項12記載のエフェクトピグメントペースト。
【請求項14】
式(II)のアリーレン基Aが、1,2−フェニレン、1,3−フェニレンおよび/または1,4−フェニレン、特に1,3−フェニレンであることを特徴とする、請求項12または13記載のエフェクトピグメントペースト。
【請求項15】
エテニルアリーレン基(II)が、二価または三価の、少なくとも1つのウレタン基および/または尿素基を有する結合基IIIを介してポリウレタン主鎖に結合していることを特徴とする、請求項12から14までのいずれか1項記載のエフェクトピグメントペースト。
【請求項16】
結合基IIIが、一般式IIIa〜IIIc:
−X−NH−C(O)−O− (IIIa)
−X−NH−C(O)−NH− (IIIb)または
−X−NH−C(O)−N< (IIIc)
[式中、Xは、二価の有機基を表す]の二価または三価の基を少なくとも1つ有することを特徴とする、請求項15記載のエフェクトピグメントペースト。
【請求項17】
ポリウレタンプレポリマー(B11)が、ポリオール、ポリアミンおよび少なくとも1つのヒドロキシル基と少なくとも1つのアミノ基とを有する化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(B122)と、少なくとも1種のポリイソシアネート(B123)とを反応させることにより製造することができることを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項記載のエフェクトピグメントペースト。
【請求項18】
化合物(B122)が、オリゴマーまたはポリマーであることを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項記載のエフェクトピグメントペースト。
【請求項19】
オリゴマーおよびポリマー(B122)が、ポリエステルおよび/またはポリウレタンであることを特徴とする、請求項18記載のエフェクトピグメントペースト。
【請求項20】
界面活性化合物(C)が、そのつど1個のポリオキシアルキレン基を有することを特徴とする、請求項1から19までのいずれか1項記載のエフェクトピグメントペースト。
【請求項21】
界面活性化合物(C)のポリオキシエチレン基が、そのつど10〜60個のオキシアルキレン基を有することを特徴とする、請求項1から20までのいずれか1項記載のエフェクトピグメントペースト。
【請求項22】
界面活性化合物(C)のポリオキシエチレン基が、オキシエチレン基を有するか、またはオキシエチレン基からなることを特徴とする、請求項1から21までのいずれか1項記載のエフェクトピグメントペースト。
【請求項23】
界面活性化合物(C)が、不乾性植物油の誘導体であることを特徴とする、請求項1から22までのいずれか1項記載のエフェクトピグメントペースト。
【請求項24】
界面活性化合物(C)が、ひまし油の誘導体であることを特徴とする、請求項23記載のエフェクトピグメントペースト。
【請求項25】
少なくとも成分(A)、(B)および(C)を相互に混合し、かつ得られる混合物を均質化することを特徴とする、請求項1から24までのいずれか1項記載の水性エフェクトピグメントペーストの製造方法。
【請求項26】
支持体の封止、接着および被覆のための封止材料、接着剤および被覆材料を製造するための、請求項1から24までのいずれか1項記載の水性エフェクトピグメントペーストおよび請求項25記載の方法により製造されたエフェクトピグメントペーストの使用。
【請求項27】
被覆材料が、水性ベースコートであることを特徴とする、請求項26記載の使用。
【請求項28】
水性ベースコートを、下塗りされた、もしくは下塗りされていない支持体上に、着色および/または効果を付与する多層コーティングを製造するために使用することを特徴とする、請求項27記載の使用。
【請求項29】
着色および/または効果を付与する多層コーティングを、少なくとも以下の工程:
(VI)支持体上に水性ベースコートを適用することによりベースコート層を製造する工程、
(VII)該ベースコート層を乾燥する工程、
(VIII)該ベースコート層上にクリアコートを適用することによりクリアコート層を製造する工程および
(VIV)少なくとも該ベースコート層と該クリアコート層とを一緒に硬化させる工程
を含むウェット・オン・ウェット法により製造することを特徴とする、請求項28記載の使用。
【請求項30】
支持体が、特にプラスチックからなる成形部材、シートおよび繊維、自動車の車体、機械部品、光学部品および電子工学部品を含む工業用部品、コイルおよび包装材料、または家具であることを特徴とする、請求項26から29までのいずれか1項記載の使用。

【公表番号】特表2008−516031(P2008−516031A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535168(P2007−535168)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2005/055026
【国際公開番号】WO2006/040284
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス アクチェンゲゼルシャフト (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings AG
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D−48165 Muenster,Germany
【Fターム(参考)】