説明

水性化粧料を担持したシート状のパック化粧料。

【課題】 化粧料組成物又は有効成分を速やかにシート状パック化粧料に浸透させるとともに、シートを皮膚に適用した場合、皮膚に化粧料組成物又は有効成分が容易に皮膚へ移行、浸透することが可能なシート状パック化粧料を提供することを課題とする。
【解決手段】 水酸化レシチンと、ポリエーテル変性シリコーンと、ショ糖脂肪酸エステルを含有する化粧料を調製し、必要に応じて通常の化粧料として使用する成分を混合した後、レーヨン、ポリエステル、ナイロン、コットン、パルプの1種以上の素材からなるシートに該化粧料を含浸させたシート状パック化粧料を調製する。
化粧料を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧料に関し、更に詳細には、シートなどの支持体に化粧料組成物を担持させた化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
パック化粧料は、泥状、粘性半流動体、クリーム、フォーム状等の様々な剤形で、抗老化剤、保湿剤、美白剤、コラーゲン線維束再構築剤、シワ改善剤、過剰皮脂除去剤等の有効成分を含有させて皮膚に塗布し、皮膚を閉塞状態として有効成分を効果的に皮膚に浸透させるのに用いられる。近年、より簡便にパックを行えるように改善された商品が開発されており、代表的な商品として、PET、ポリエチレン、レーヨン、アセテート、ナイロンなどで作成された不織布を支持体とし、これに化粧料組成物を担持させた、所謂シート状パック料が存する。シート状パック料は、支持体に化粧料組成物を含浸、担持させ顔に貼り付け、有用な成分を経皮吸収さる含浸タイプや、不織布などの支持体上に粘着性高分子ポリマーを塗工し、この粘着力により、過剰な皮脂や角栓等を高分子ポリマーで物理的に固着・除去したりする角栓除去タイプのものが既に知られている。このうち、化粧料含浸型のシート状パック料は手軽にどこでもパックができることから、非常に有効なお手入れ手段として近年広く使用されるようになってきている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3を参照)。
【0003】
しかしながら、含浸タイプのシート状パック化粧料では、支持体であるシートの素材によっては有効成分や化粧料組成物を十分シートに含浸出来ない場合が存し、十分な効果が得られないことが存するし、又、支持体によっては閉塞性、使用時の感触に課題の存するものが存し、化粧料の担持量と、シートの使用感の良さのバランスをとることが大きな課題であった。さらに、シートと皮膚との化粧料組成物や、化粧料組成物中の、保湿剤などの有効成分の分配のしやすさ等の物理化学的問題から、支持体に有効成分が強く担持されるあまり、シート状パック化粧料から皮膚に化粧成分が十分移行せず、浸透しない場合が存した。
【0004】
一方、レシチンの不飽和結合を酸化して水酸基を導入した燐脂質である、水酸化レシチンは、レシチンに比して水溶性に優れる、化粧品原料として、エモリエント剤、保湿剤、可溶化剤として汎用されているし、ポリエーテル変性シリコーン、ショ糖脂肪酸エステルは化粧料の可溶化剤、乳化剤、分散剤として,化粧料に於いて、一般的に使用されている。しかしながら、水酸化レシチン、ポリエーテル変性シリコーン、ショ糖脂肪酸エステルを組み合わせて化粧料に含有させることは知られていないし、この様な構成の化粧料組成物がシートに容易に浸透し、該シートを皮膚に適用した場合、シートから化粧料成分が速やかに皮膚へ移行し浸透することは知られていなかったし、示唆される検討もなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2000−256162号公報
【特許文献2】特開2005−298419号公報
【特許文献3】特開2006−312603号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、化粧料組成物の担持特性に優れるシート状パック化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この様な実状に鑑みて、本発明者らは、化粧料組成物の担持特性に優れるシート状パック化粧料を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、支持体に化粧料組成物を含浸してなるシート状パック化粧料であって、前記化粧料組成物は、1)水酸化レシチンと、2)ポリエーテル変性シリコーンと、3)ショ糖脂肪酸エステルを含有するシート状パック化粧料に於いて、化粧料組成物又は有効成分が速やかにシートに浸透し、しかる後シートを皮膚に適用した場合、シートから皮膚へ化粧料組成物が容易に移行し、皮膚に浸透することを見いだし、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下に示すとおりである。
(1)支持体に化粧料組成物を含浸してなるシート状パック化粧料であって、前記化粧料組成物は、1)水酸化レシチンと、2)ポリエーテル変性シリコーンと、3)ショ糖脂肪酸エステルを含有することを特徴とする、シート状パック化粧料。
(2)化粧料組成物における、前記ポリエーテルシリコーのHLB(Hydrophile-Lipophile
Balance)値が10〜20であることを特徴とする、(1)に記載のシート状パック化粧料。
(3)化粧料組成物における、前記ポリエーテル変性シリコーンがPEG-10 メチルエーテルジメチコン、PEG-11メチルエーテルジメチコン、PEG9-ジメチコン、PEG-10ジメチコン、PEG-12ジメチコンの1種又は2種以上であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載のシートパック状パック化粧料。
(4)化粧料組成物における、前記ショ糖脂肪酸エステルにおいて、脂肪酸がC8−22であり、該脂肪酸の1種又は2種以上がショ糖とエステル結合したものであることを特徴とする、(1)乃至(3)に記載のシート状パック化粧料。
(5)前記支持体は、レーヨンを含む不織布であることを特徴とする、(1)〜(4)何れか1項に記載のシート状パック化粧料。
(6)有効成分として、保湿剤を含有する化粧料組成物を、支持体に担持したものであることを特徴とする、(1)〜(5)何れか1項に記載のシート状パック化粧料。

【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、化粧料組成物の担持特性に優れるシート状パック化粧料を提供することができる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
<1>本発明の化粧料における化粧料組成物の必須成分である水酸化レシチン
本発明の化粧料における化粧料組成物は、水酸化レシチンを必須成分として含有することを特徴とする。レシチンはホスファチジルコリンを主成分とするリン脂質の1種であるが、大豆からとれる大豆リン脂質、ニワトリの卵からとられる卵黄レシチンなどが存する。水酸化レシチンは、前記レシチンの脂肪酸部分の不飽和結合を酸化し、水酸基を導入したものであり、黄色から褐色の透明または、半透明の強粘性の物質であり、リン脂質を含む卵黄油を水酸化し精製したものが例示できる。前記の方法に従い大豆を水酸化して水酸化レシチンを調製することも出来るが、既に化粧料用の原料が市販されている。好ましい市販品としては、例えば、「レシノールSH50」(日本サーファクタント工業株式会社製)、「レシノールWS50」(日本サーファクタント工業株式会社製)等を例示することができる。水酸化レシチンの配合量は、本発明化粧料組成物の全量中に、総量で0.01〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1質量%である。配合量が0.01質量%未満では化粧料組成物の支持体への担持増大効果、支持体から皮膚への化粧料組成物の移行促進効果を十分に発揮出来ない場合が存する。一方、5質量%超では使用性や製剤安定性を損なう場合が存する。

【0010】
<2>本発明の化粧料における化粧料組成物の必須成分であるポリエーテル変性シリコーン
本発明の化粧料における、化粧料組成物の必須成分である、ポリエーテル変性シリコーンは、後記のHLB値の条件を充足していて、化粧料に一般的に使用されるものであれば特段限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、ポリグリセリンメチルポリシロキサン共重合体等が挙げられる。ポリエーテル変性シリコーンの配合量は、本発明化粧料全量中に0.01〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1質量%である。配合量が0.01質量%未満では水分保持効果 による効果を十分に発揮するのが難しく、皮膚への本化合物の移行が十分でない場合が存する。一方、5質量%超では使用性が損なわれたものとなるおそれがある。HLB値が10〜20である市販のポリエーテル変性シリコーンとしては、「シリコーンKF-6011」(ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン、HLB;14.5 )、「シリコーンKF-6013」(ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン、HLB;10)、「シリコーンKF-6043」(ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン、HLB;14.5 )(信越化学製)、「SH3771M」(PEG−12ジメチコン、HLB;13 )、「SS-2801」(PEG−10 メチルエーテルジメチコン、HLB;13 )、「SS-2802」(PEG−10 メチルエーテルジメチコン、HLB;13 )、「SS-2804」(PEG−12 ジメチコン、HLB;13 )(東レ・ダウコーニング株式会社製)が例示でき、本発明に使用可能である。これらは単独で用いることも出来るし、2種以上を組み合わせて用いることも出来る。

【0011】
<3>ショ糖脂肪酸エステル
本発明のショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と脂肪酸がエステル結合したものであり、ショ糖をDMF等の溶媒に溶解せしめ、ピリジンやトリエチルアミンなどのアルカリ存在下脂肪酸クロリドを反応させるなど、常法に従い合成することは可能である。該脂肪酸残基としては、オレイン酸残基、イソステアリン酸残基、ラウリン酸残基、ミリスチン酸残基、パルミ残基チン酸、ステアリン酸残基、ベヘン酸残基、ウンデシレン酸残基が使用することが出来、ラウリン酸残基、パルミチン酸残基、ステアリン酸残基が特に好ましく、又、水酸基のアシル化度については、本発明で用いる、ショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖モノ脂肪酸エステル、ショ糖ジ脂肪酸エステル、ショ糖トリ脂肪酸エステルが好ましく挙げられるが、中でもショ糖モノ脂肪酸エステルがより好ましく例示できる。このような市販品としては、「DKエステルS-L18A」(ショ糖ヤシ油脂肪酸エステル;第一工業製薬製)が例示できる。

【0012】
<4>本発明の化粧料を構成する化粧料組成物
本発明の化粧料組成物は、前記必須成分を含有し、後記支持体に含浸されるべきものであることを特徴とする。本発明の化粧料組成物においては、これら上記の成分以外に通常化粧料で使用される任意成分を含有することができる。任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,δ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン等のビタミン類などが好ましく例示できる。これらの必須成分と任意成分とを常法に従って処理し、ローション形態、乳液形態、エッセンス形態、クリーム形態、ジェル形態に加工することにより、本発明の化粧料組成物とすることが出来る。本発明の化粧料組成物としては粘度が1000mP・s以下のローション形態乃至は乳液形態が特に好ましい。これは本発明の化粧料の特徴である、化粧料の担持量の増加効果が著しいためである。又、本発明の化粧料に於いては、例えば、保湿成分のような有効成分の皮膚への移行特性に優れることから、この様な成分を含有することが好ましい。有効成分としては、アルブチン、アスコルビン酸リン酸エステル及び/又はその塩、トラネキサム酸及び/又はその塩、トラネキサム酸メチルアミドなどの美白剤、グリセリン、ヒアルロン酸及び/又はその塩、トレハロース、硫酸化トレハロース及び/又はその塩等の保湿成分、グリチルリチン酸及び/又はその塩、グリチルレチン酸アルキルエステル等の抗炎症剤などが好適に例示でき、かかる成分の好ましい含有量は、0.01〜15質量%である。

【0013】
<5>本発明の化粧料を構成する支持体
本発明の化粧料の必須構成要素である、支持体は、通常シート状化粧料で使用されるものであれば特段の限定はなく、適用することが出来るが、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロン、ビニロン、レーヨン、アセテート、コットン、パルプなどのセルロースなどを用い、カード機でウェブを形成し、ウェブに高圧の水をノズルから吐出し、水圧により繊維を交絡して、シート状に加工し、該シートをドライヤーで加熱乾燥を行うことにより作製された不織布を用いることが好ましい。かかる支持体のための不織布を構成する繊維としては、これら繊維の中でも、レーヨンとポリエステルの混合物が好ましく例示でき、レーヨンが25〜35%、ポリエステルが65〜75%がより好ましく例示できる。この様な支持体用の不織布は前記の手順で作成して用いることも出来るが、既に市販されている、同様の特性を有する不織布を購入して利用することも出来る。このような市販品としては、「STMP50」(レーヨン・ポリエステル混合不織布;三和製紙製)が例示できる。これは肌触りが好ましく、担持した保湿成分の皮膚への移行性に優れるためである。かかる不織布の形状としては、厚さが0.1〜0.5mmで、目的に応じて面積を変えことが出来る。例えば、顔面で使用する場合は、縦5〜20cm、横5〜20cmに加工して支持体とすることが好ましい。本発明の化粧料の使用時において、かかる支持体には、前記化粧料組成物が 15.0g〜25.0g含浸されていることが好ましい。

【0014】
また、本発明のシート状パック化粧料は、前記本発明の化粧料組成物を、前記支持体に含浸させてなる。前記支持体に対して、前記化粧料組成物を採用することにより、通常含浸量を増大させることが出来、且つ、保湿成分など有効成分の皮膚移行性を増大させることが出来る。本発明のシート状パック化粧料に於いては、保湿成分の皮膚移行性が特に増大するため、保湿の目的で使用される化粧料に適用することが好ましく、例えば、顔面皮膚への保湿パック化粧料、毛髪への保湿パック化粧料、体部への保湿パック化粧料等が好適に例示でき、シワやタルミなどの、個人の印象形成に係わる、可視的形状変化を著しく改善できることから、顔面皮膚への保湿パック化粧料が特に好ましい。

【0015】
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみに限定されないことは言うまでもない。

【実施例1】
【0016】
以下に示す処方に従って、化粧料Aを調製した。イ、ロをそれぞれ80℃に加熱し、攪拌下、可溶化し、しかる後に室温まで冷却した。可溶化したイに、可溶化したロを加えてスターラーで均一になるまで攪拌した。その後、化粧料Aを不織布「STMP50」(三和製紙製)を加工して作成した、支持体であるシート(23cm× 25cm、厚さ0.3mmに十分に含浸させてシートへ化粧料の含浸がそれ以上放置していても増加しないのを確認し、密封し、シート状パック化粧料Aを調製した。同様の方法で、化粧料B、化粧料Cおよびシート状パック化粧料B、シート状パック化粧料Cを調製した。

【0017】
【表1】

【0018】
【表2】

【0019】
【表3】

【0020】
化粧料A、シート状パック化粧料Aの「レシノールSH50(水酸化レシチン)」をポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としたもの(化粧料D、シート状パック化粧料D)、「シリコーンKF6011(ポリエーテル変性シリコーン;HLB14.5 )」をポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油(HLB12.5)としたもの(化粧料E、シート状パック化粧料E)、「DKエステルS−L18A(ショ糖ヤシ油脂肪酸エステル)」をポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としたもの(化粧料F、シート状パック化粧料F)を化粧料A、シート状パック化粧料Aと同様に調製した。

【0021】
シート状パック化粧料A〜Fの6種について女性10名を用いて、適用後の皮膚水分量の経時変化を「スキコン200−EX」(IBM製)を用いて測定した。各シート状パック化粧料を顔面に適用する前、適用後速やかに該化粧料剥離した時、適用後3時間後同様に化粧料を剥離した時の皮膚水分量を測定した。
その結果を平均値として表4に示す。

【0022】
【表4】

【0023】
表4に示す如く、水酸化レシチンとポリエーテル変性シリコーンとショ糖脂肪酸エステルとを含有するシート状パック化粧料A、B、Cは、比較例である、シート状パック化粧料D、E、Fに比して、使用直後に高い水分量を示し、経時的な水分量の変化も少なく、水分保持機能が高いことが明らかとなり、本発明によりシート状パック化粧料から皮膚への保湿成分が速やかに移行したことにより、水分保持機能が発揮されたことが明らかである。この様な効果は、水酸化レシチンとポリエーテル変性シリコーンとショ糖脂肪酸エステルとの3成分が全て存在して初めて発揮されることもわかる。

【実施例2】
【0024】
化粧料A〜Fの6種について、3cm×3cm、厚さ0.3mmの不織布(「STMP50」)に各1mlを滴下して放置し、化粧料滴が確認されなくなるまでに要する時間を測定することでシートに含浸するまでの速さを把握した。その結果を表5に示す。

【0025】
【表5】

【0026】
表5の通り、水酸化レシチンとポリエーテル変性シリコーンとショ糖脂肪酸エステルを含有する化粧料A、B、Cは、シートに含浸するまでの時間が短く、シートへの親和性が高いことが明らかとなった。なお、この傾向は、レーヨンのみならず、ポリエステル、ナイロン、コットンについても同様の結果が得られた。具体例としては、「マリックス」(ポリエステル製不織布 ユニチカ製)、「ナイエース」(ナイロン製不織布 ユニチカ製)、「コットエース」(コットン製不織布 ユニチカ製)が挙げられる。

【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、シート状パック化粧料等の化粧料に応用できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体に化粧料組成物を含浸してなるシート状パック化粧料であって、前記化粧料組成物は、1)水酸化レシチンと、2)ポリエーテル変性シリコーンと、3)ショ糖脂肪酸エステルを含有することを特徴とする、シート状パック化粧料。
【請求項2】
化粧料組成物における、前記ポリエーテルシリコーのHLB(Hydrophile-Lipophile
Balance)値が10〜20であることを特徴とする、請求項1に記載のシート状パック化粧料。
【請求項3】
化粧料組成物における、前記ポリエーテル変性シリコーンがPEG-10 メチルエーテルジメチコン、PEG-11メチルエーテルジメチコン、PEG9-ジメチコン、PEG-10ジメチコン、PEG-12ジメチコンの1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のシートパック状パック化粧料。
【請求項4】
化粧料組成物における、前記ショ糖脂肪酸エステルにおいて、脂肪酸がC8−22であり、該脂肪酸の1種又は2種以上がショ糖とエステル結合したものであることを特徴とする、請求項1乃至請求項3に記載のシート状パック化粧料。
【請求項5】
前記支持体は、レーヨンを含む不織布であることを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載のシート状パック化粧料。
【請求項6】
有効成分として、保湿剤を含有する化粧料組成物を、支持体に担持したものであることを特徴とする、請求項1〜5何れか1項に記載のシート状パック化粧料。


【公開番号】特開2009−292769(P2009−292769A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147923(P2008−147923)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】