説明

水性樹脂の製造方法および水性硬化性樹脂組成物

【課題】 3官能シランによる優れた硬化性を活かしながら、フェニル基のようなアリール基が珪素原子に結合した形のポリシロキサンを使用することなしに、保存安定性を持たせるようにした水性樹脂の製造方法を提供する。
【解決手段】 加水分解性シリル基、N,N−ジ置換カルボン酸アミド基、および酸基を併有するビニル系重合体(a−1)と、アルコキシシラン、および/または、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)とを、縮合反応させ、次いで得られる樹脂に含有される酸基を塩基性化合物で部分的に、ないしは、完全に中和せしめたのち、水に分散ないしは溶解せしめる水性樹脂の製造方法等、ならびに、該水性樹脂を含有する水性硬化性樹脂組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規にして有用なる水性樹脂の製造方法と、該水性樹脂を必須の成分として含有する、新規にして有用なる水性硬化性樹脂組成物とに関する。さらに詳細には、速くて優れた硬化性と優れた保存安定性とを兼備した水性樹脂の製造方法、加えて、該水性樹脂を含有する、硬化性と保存安定性に優れた水性硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでにも、塗料用の水性硬化性樹脂組成物としては、塩基性基ないしは酸基と、水酸基のような官能基とを併有するビニル系重合体を、酸性化合物あるいは塩基性化合物で以て中和せしめたのち、水に分散ないしは溶解せしめて得られる水性樹脂と、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂のような、種々の硬化剤とから成る水性硬化性樹脂組成物が、幅広く、使用されている。
しかしながら、こうした、これまでに使用されて来たような水性樹脂は、硬化剤と組み合わせて用いられることから、二液タイプのとしての使用に限られるものである。即ち、水性樹脂と硬化剤の二液を配合した形での水性硬化性樹脂組成物は、その安定性が乏しく、その使用には時間的制限を受ける。
【0003】
このため、水性硬化性樹脂組成物として使用に当たって、その一液としての保存安定性が優れ、しかも、速くて優れた硬化性を示す水性硬化性樹脂組成物が求められ、かかる性能を発揮できるような水性樹脂が求められている。
そこで、加水分解性シリル基および酸基を併有する重合体と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサンとを縮合反応させたのち、塩基性化合物で以て部分中和ないし完全に中和せしめて得られる樹脂を、水に分散ないしは溶解せしめて得られる水性樹脂が提案されている(例えば特許文献1参照)。
この提案では、水性樹脂の安定性などの面から、当該ポリシロキサンを構成する全珪素原子のうち、10モル%以上、好ましくは、20モル%以上、さらに好ましくは、40モル%以上の珪素原子に、フェニル基のような、いわゆるアリール基が結合した形の化合物を使用するのが適切であることが開示されている。また硬化性と耐久性の面からは、当該ポリシロキサンを構成する全珪素原子のうち、10モル%以上、好ましくは、20モル%以上、さらに好ましくは、30モル%以上が、3官能シラン化合物に由来するものを使用するのが適切であることが開示されている。
しかし、この提案では、一液としての保存安定性を達成する為に効果的な、アリール基が結合した形の3官能シラン化合物を、かかるポリシロキサンとして多く用いると、硬化性がかえって低下することになるので、保存安定性と硬化性とを同時に満足させるのは困難であった。
【特許文献1】特開平10−36514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、従来の技術として前述した如きの、3官能シランによる優れた硬化性を活かしながら、フェニル基のようなアリール基が珪素原子に結合した形のポリシロキサンを使用することなしに、保存安定性を持たせるようにした、新規にして有用なる水性樹脂の製造方法と、併せて、かかる新規にして有用なる水性樹脂を含有する、硬化性に優れるという、極めて実用性の高い水性硬化性樹脂組成物をも提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明者らは、上述したような発明が解決しようとする課題に照準を合わせて、前記発明の3官能シランによる優れた硬化性を活かしつつ、保存安定性を向上させることができる方法について鋭意、検討を重ねた結果、樹脂中にN,N−ジ置換カルボン酸アミド基を導入すると、硬化性を阻害されずに保存安定性に優れる水性樹脂が得られることを見出し、ひいては、上述したような発明が解決しようとする課題を、見事に、解決することが出来るということを確信するに及んで、ここに、本発明を完成させるに到った。
【0006】
すなわち、本発明は、基本的には、加水分解性シリル基、N,N−ジ置換カルボン酸アミド基、および酸基を併有するビニル系重合体(a−1)と、アルコキシシラン、および/または、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)とを、縮合反応させ、次いで得られる樹脂に含有される酸基を塩基性化合物で部分的に、ないしは、完全に中和せしめたのち、水に分散ないしは溶解せしめる水性樹脂[以下水性樹脂(A−1)という]の製造方法、ならびに、加水分解性シリル基、N,N−ジ置換カルボン酸アミド基、および酸基を併有するビニル系重合体(a−1)に含有される酸基を塩基性化合物で部分的に、ないしは、完全に中和せしめて得られる樹脂(a−3)と、アルコキシシラン、および/または、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)とを、水に分散ないしは溶解せしめた後、さらに、縮合反応せしめ水性樹脂[以下水性樹脂(A−2)という]の製造方法を提供するものであり、さらに該水性樹脂(A−1)又は水性樹脂(A−2)を必須の成分として含有する水性硬化性樹脂組成物を提供しようとするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明で得られる水性樹脂は、保存安定性に優れ、かつ速くて優れた硬化性を有するものである。また、本発明の水性硬化性樹脂組成物は、速くて優れた硬化性・耐溶剤性・耐温水性などのような、優れた塗膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明を、さらに一層、詳細に、説明することにする。
ここにおいて、まず、本発明に係る水性樹脂、前記した水性樹脂(A−1)を製造する際に使用される、加水分解性シリル基、N,N−ジ置換カルボン酸アミド基および酸基を併有する重合体(a−1)中の加水分解性シリル基とは、次のような一般式(S−1)
【0009】
【化1】

(ただし、式中のR はアルキル基、アリール基またはアラルキル基なる1価の有機基を、R はハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基またはアルケニルオキシ基を表わすものとし、また、aは0あるいは1または2なる整数であるものとする。)
で示されるような、加水分解されてシラノール基を生成するような基を指称するというものであって、しかも、該加水分解性シリル基それ自体が、直接に、炭素原子と共有結合することにより、あるいはシロキサン結合を介して、炭素原子と共有結合することにより、此の重合体(a−1)に結合しているものである。
【0010】
また、ここでいうN,N−ジ置換カルボン酸アミド基とは、一般式(I)で示される環状または非環状のカルボン酸アミド基、
【0011】
−CO−NR1R2 (I)
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に炭素数が1〜10のアルキル基、アリール基またはアラルキル基なる1価の有機基を表すものとし、R1とR2が直接結合していても良いものとする。)または、一般式(II)で示される非環状ならびに環状のカルボン酸アミド基などを指称するものである。
【0012】
【化2】

(ただし、式中のR5は炭素数が1〜10のアルキル基、アリール基またはアラルキル基なる1価の有機基を表し、R6は、水素原子、炭素数が1〜10のアルキル基、アリール基またはアラルキル基なる1価の有機基を表すものとし、R5とR6は直接結合していても良いものとする。)
【0013】
また、ここでいう酸基とは、カルボキシル基、燐酸基、酸性燐酸エステル基、亜燐酸基、スルホン酸基またはスルフィン酸基などで代表されるような、各種の遊離の酸基に加えて、カルボン酸無水基、燐酸無水基、スルホン酸無水基またはカルボン酸−スルホン酸混合酸無水基などで代表されるような酸無水基を、さらには、たとえば、シリルエステル基、tert−ブチルエステル基または1−アルコキシエチルエステル基などのように、容易に、遊離の酸基に変換されるエステル基の形として、いわゆるブロックされた、それぞれ、カルボキシル基、リン酸基、酸性燐酸エステル基、亜リン酸基またはスルホン酸基などで代表されるようなブロックされた酸基などを指称するものである。
前掲したような各種の酸基のうちでも、特に望ましいもののみを例示するにとどめれば、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基またはカルボン酸無水基などである。
斯かるビニル系重合体(a−1)として、特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アクリル系重合体、フルオロオレフィン系重合体、ビニルエステル系重合体または芳香族ビニル系重合体の如き、各種のビニル系重合体を挙げることができる。
さらに、ビニル系重合体のうちで特に望ましいものとしては、アクリル系重合体が挙げられる。
【0014】
斯かるビニル系重合体を調製するには、次に掲げる方法が挙げられる。
すなわち、たとえば、(i) 加水分解性シリル基を有するビニル系単量体と、N,N−ジ置換カルボン酸アミドを有するビニル系単量体と、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基またはカルボン酸無水基の如き、いわゆる酸基を有するビニル系単量体などのような種々の酸基含有ビニル系単量体とを共重せしめたり、前記した三タイプの単量体と、これらの単量体と共重合可能なる其の他の単量体類とを共重合せしめるという方法、
(ii) 予め調製しておいた、N,N−ジ置換カルボン酸アミド基と水酸基と酸基とを併有するビニル系重合体に、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシランのような、各種のイソシアナート基含有シラン化合物を反応せしめるという方法、
(iii) メルカプト基と加水分解性シリル基とを併有する連鎖移動剤を使用して、N,N−ジ置換カルボン酸アミドを有するビニル系単量体と、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基またはカルボン酸無水基の如き、各種の酸基を有するビニル系単量体などのような、いわゆる酸基含有ビニル系単量体を重合せしめたり、これらの単量体類と、該単量体と共重合可能なる其の他の単量体とを共重合せしめるという方法、
(iv) メルカプト基と加水分解性シリル基とを併有する連鎖移動剤を使用して、加水分解性シリル基含有ビニル系単量体と、N,N−ジ置換カルボン酸アミドを有するビニル系単量体と、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基またはカルボン酸無水基の如き、各種の酸基を有するビニル系単量体などのような、いわゆる酸基含有ビニル系単量体とを共重合せしめたり、前記した三タイプの単量体と、これらの単量体と共重合可能なる其の他の単量体類とを共重合せしめるという方法、
【0015】
(v) 加水分解性シリル基を有する重合開始剤を使用して、N,N−ジ置換カルボン酸アミドを有するビニル系単量体と、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基またはカルボン酸無水基の如き、各種の酸基を有するビニル系単量体などのような、いわゆる酸基含有ビニル系単量体を重合せしめたり、これらの単量体類と、該単量体と共重合可能なる其の他の単量体類とを共重合せしめるという方法、
(vi) 加水分解性シリル基を有する重合開始剤を使用して、加水分解性シリル基含有ビニル系単量体と、N,N−ジ置換カルボン酸アミドを有するビニル系単量体と、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基またはカルボン酸無水基の如き、各種の酸基を有するビニル系単量体などのような、いわゆる酸基含有ビニル系単量体とを共重合せしめたり、前記した三タイプの単量体と、これらの単量体と共重合可能なる其の他の単量体類とを共重合せしめるという方法がある。これらのうちでも、特に、上記(i)なる方法によるのが、最も簡便であるので好ましい。
【0016】
当該重合体(a−1)を調製する際に使用される、加水分解性シリル基含有ビニル系単量体とは、前掲したような構造式(S−1)で示される加水分解性シリル基を有する単量体を指称するというものであり、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、2−トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、2−トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、2−(メチルジメトキシシリル)エチルビニルエーテル、3−トリメトキシシリルプロピルビニルエーテルもしくは3−トリエトキシシリルプロピルビニルエーテルまたは3−(メチルジメトキシシリル)プロピルビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランもしくは3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジクロロシランなどが挙げられる。
【0017】
重合体(a−1)を調製する際に使用される、N,N−ジ置換カルボン酸アミド基含有ビニル系単量体とは、前述した如きのN,N−ジ置換カルボン酸アミド基を有する単量体を指称するというものであって、例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−テトラメチレン(メタ)アクリルアミド、N,N−ペンタメチレン(メタ)アクリルアミドの如き各種の、N,N−ジアルキル置換(メタ)アクリルアミド類;
N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−エチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミドの如き各種のN−アルキル−N−アリール置換(メタ)アクリルアミド類;
N,N−ジフェニル(メタ)アクリルアミドなどの如き各種のN,N−ジアリール(メタ)アクリルアミド類;
N−ブチル−N−ベンジル(メタ)アクリルアミドなどの如き各種のN−アルキル−N−アラルキル(メタ)アクリルアミド類;
2−(N,N−ジブチルカルボアミド)エチル(メタ)アクリレート、3−(N−メチル−N−フェニルカルボアミド)プロピル(メタ)アクリレート、4−(N−エチル−N−ベンジルカルボアミド)ブチル(メタ)アクリレート、5−(N,N−ジメチルカルボアミド)ペンチル(メタ)アクリレートなどの如き各種のカルボン酸アミド基置換(メタ)アクリレート類;
N−(メタ)アクリロイルモルフォリン;
N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムの如きN−ビニル置換環状ラクタム類;
N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルフォルムアミドなどの単量体類が挙げられる。
【0018】
重合体(a−1)を調製する際に使用される、酸基含有ビニル系単量体のうち、例えば遊離のカルボキシル基を含有するビニル系単量体としては、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸またはフマル酸の如き、各種の不飽和カルボン酸類;
イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノ−n−ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノ−n−ブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノ−n−ブチルの如き、不飽和ジカルボン酸類と、飽和1価アルコール類との各種のモノエステル類(ハーフエステル類);アジピン酸モノビニルまたはコハク酸モノビニルの如き、各種の飽和ジカルボン酸のモノビニルエステル類;
無水コハク酸、無水グルタル酸、無水フタル酸または無水トリメリット酸の如き、各種の飽和ポリカルボン酸の無水物類と、後掲するような各種の水酸基含有ビニル系単量体類との付加反応生成物などであるし、さらには、前掲したような各種のカルボキシル基含有単量体類と、ラクトン類とを付加反応せしめて得られるような各種の単量体類などが挙げられる。
【0019】
重合体(a−1)を調製する際に使用される酸基含有ビニル系単量体のうち、例えばブロックされたカルボキシル基を有する単量体としては、トリメチルシリル(メタ)アクリレート、ジメチル−tert−ブチルシリル(メタ)アクリレートもしくはトリメチルシリルクロトネートの如き、特開昭62−254876号公報に開示されているような、各種のシリルエステル基含有ビニル系単量体類;
1−エトキシエチル(メタ)アクリレート、1−n−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシプロパンもしくは2−(メタ)アクリロイルオキシテトラヒドロフランの如き、特開平5−222134号公報に開示されているような、各種の、ヘミアセタールエステル基ないしはヘミケタールエステル基含有単量体類;またはtert−ブチル(メタ)アクリレートもしくはtert−ブチルクロトネートの如き、各種のtert−ブチルエステル基含有単量体類などが挙げられる。
【0020】
重合体(a−1)を調製する際に使用される酸基含有ビニル系単量体のうち、カルボン酸無水基含有単量体としては、例えば、無水マレイン酸、無水シトラコン酸もしくは無水イタコン酸の如き、各種の不飽和ポリカルボン酸の無水物類;無水アクリル酸もしくは無水メタクリル酸の如き、各種の不飽和モノカルボン酸の無水物類;またはアクリル酸もしくはメタクリル酸の如き、各種の不飽和カルボン酸と、酢酸、プロピオン酸もしくは安息香酸などのような、種々の飽和カルボン酸との混合酸無水物などが挙げられる。
そしてまた、前述した(i)なる方法に従って、斯かるビニル系重合体(a−1)を調製する際に使用することが出来る、N,N−ジ置換カルボン酸アミド基含有ビニル系単量体、加水分解性シリル基含有ビニル系単量体および酸基を有するビニル系単量体と共重合可能なる其の他のビニル系単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートもしくはラウリル(メタ)アクリレートの如き、C1 〜C22なる炭素数の1級ないしは2級アルキルアルコールと、(メタ)アクリル酸との各種エステル類;
ベンジル(メタ)アクリレートもしくは2−フェニルエチル(メタ)アクリレートの如き、各種のアラルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレートもしくはイソボロニル(メタ)アクリレートの如き、各種のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレートもしくは4−メトキシブチル(メタ)アクリレートの如き、各種のω−アルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;
【0021】
スチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレンもしくはビニルトルエンの如き、各種の芳香族ビニル系単量体類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニルもしくは安息香酸ビニルの如き、各種のカルボン酸ビニルエステル類;
クロトン酸メチルもしくはクロトン酸エチルの如き、各種のクロトン酸のアルキルエステル類;ジメチルマレート、ジ−n−ブチルマレート、ジメチルフマレート、ジ−n−ブチルフマレート、ジメチルイタコネートもしくはジ−n−ブチルイタコネートの如き、各種の不飽和二塩基酸のジアルキルエステル類;
(メタ)アクリロニトリルもしくはクロトノニトリルの如き、各種のシアノ基含有単量体類;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチエレンもしくはヘキサフルオロプロピレンの如き、各種のフルオロオレフィン類;塩化ビニルもしくは塩化ビニリデンの如き、各種のクロル化オレフィン類;エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテンもしくは1−ヘキセンの如き、各種のα−オレフィン類;
エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルもしくはn−ヘキシルビニルエーテルの如き、各種のアルキルビニルエーテル類;シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルもしくは4−メチルシクロヘキシルビニルエーテルの如き、各種のシクロアルキルビニルエーテル類;
メトキシポリエチレングリコールもしくはメトキシポリプロピレングリコールの如き、1分子中に1個の水酸基を有するポリエーテル類と、(メタ)アクリル酸とのエステル類の如き、各種の含ポリエーテル含有単量体類などであるし、更には、水酸基、ブロックされた水酸基、3級アミノ基、エポキシ基などの官能基を含有するビニル系単量体類などである。
【0022】
以上に掲げられたような種々の単量体を用いて、当該ビニル系重合体(a−1)を調製するには、溶液重合法、非水分散重合法または塊状重合法などのような、公知慣用の種々の重合法を利用し適用することが出来るが、それらのうちでも、特に、有機溶剤中での溶液ラジカル重合法によるのが、最も簡便であり、好ましい。
此の溶液ラジカル重合法を適用する際に使用できる重合開始剤としては、公知慣用の種々の化合物が使用でき、例えば、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)もしくは2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の如き、各種のアゾ化合物類;
またはtert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイドもしくはジイソプロピルパーオキシカーボネートの如き、各種の過酸化物類などが挙げられる。
【0023】
また、溶液ラジカル重合法を適用する際に使用できる有機溶剤としては、公知慣用の有機溶剤のいずれをも使用することが出来るし、それらは、単独使用でも2種類以上の併有でもよい。
かかる有機溶剤としては、例えばn−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタンもしくはシクロオクタンの如き、各種の脂肪族系ないしは脂環式系の炭化水素類;
トルエン、キシレンもしくはエチルベンゼンの如き、各種の芳香族炭化水素類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチルもしくは酢酸n−アミル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートまたはエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートもしくはエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートの如き、各種のエステル類;
メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、i−アミルアルコールもしくはtert−アミルアルコールの如き、各種のアルコ−ル類;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルもしくはエチレングリコールモノn−ブチルエーテルの如き、各種のアルコール類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−アミルケトンまたはシクロヘキサノンの如き、各種のケトン類;
あるいはジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテルまたはジ−n−ブチルエーテルの如き、各種のエーテル類;クロロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素、トリクロロエタンまたはテトラクロロエタンの如き、各種の塩素化炭化水素類などであるし、さらには、N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはエチレンカーボネートなどが挙げられる。
【0024】
当該重合体(a−1)を調製する際に、酸基含有単量体の使用量が多くなると、重合時に、ゲル化が起こることがあり、こうしたゲル化を防止するためには、エチルオルソアセテート、エチルオルソ−n−ブチレート、エチルオルソフォーメイト、エチルオルソプロピオネートまたはメチルオルソフォーメイトの如き、各種の加水分解性エステル類を、前掲したような溶剤類と併用するというようにすればよい。
以上に掲げたような、それぞれ、単量体類、重合開始剤類および有機溶剤類を使用して、公知慣用の溶液ラジカル重合法を利用し適用することによって、目的とする加水分解性シリル基、N,N−ジ置換カルボン酸アミドおよび酸基を併有するビニル系重合体(a−1)を調製することが出来る。
【0025】
上述のようにして調製されるビニル系重合体(a−1)中に導入されるべき加水分解性シリル基の量としては、重合体の固形分の1,000グラム当たり、0.005〜3モルなる範囲内が適切であり、好ましくは、0.01〜2モルなる範囲内が適切であるし、さらに一層好ましくは、0.05〜1モルなる範囲内が適切である。
0.005モル未満の場合には、どうしても、ビニル系重合体(a−1)と、アルコキシシラン、および/または、珪素原子に結合した水酸基および/または加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)との縮合反応が進行しづらくなり、ひいては、得られる硬化物の耐久性などを低下するようになるし、一方、3モルを超えて余りにも多くなる場合には、どうしても、前記した縮合反応時の溶液粘度が上昇し、ひいては、ゲル化が起きてしまうなど不都合が惹起されるということにもなるので、いずれの場合も好ましくない。
【0026】
また、ビニル系重合体(a−1)中に導入されるべきN,N−ジ置換カルボン酸アミド量としては、重合体の固形分の1,000グラム当たり、0.005〜4モルなる範囲内が適切であり、好ましくは、0.01〜3モルなる範囲内が適切であるし、さらに一層好ましくは、0.05〜3モルなる範囲内が適切である。
0.005モル未満の場合には、どうしても、かかる重合体(a−1)から得られる水性樹脂(A−1)の安定性が低下するようになる。
また、ビニル系重合体(a−1)中に導入されるべき酸基量としては、それぞれの重合体の固形分の1,000グラム当たり、0.05〜13.5モルなる範囲内が適切であるし、好ましくは、0.07〜7.0モルなる範囲内が適切であるし、最も好ましくは、0.1〜2.0モルなる範囲内が適切である。
また、ビニル系重合体(a−1)の数平均分子量としては、500〜100,000なる範囲内が、好ましくは、1,000〜50,000なる範囲内が適切であるし、一層好ましくは、1,500〜30,000なる範囲内が適切である。
ビニル系重合体(a−1)の数平均分子量が、500未満の場合には、どうしても、硬化性や、硬化物の機械的強度などが劣るようになるし、一方、100,000を超えて余りにも高くなる場合には、どうしても、本発明に係る水性硬化性樹脂組成物の不揮発分が著しく低くなったり、塗装作業性などにも劣るようになったり、また、硬化塗膜の外観が低下したりするので、いずれの場合も好ましくない。
【0027】
本発明に係る水性樹脂(A−1)を製造する際に使用される他方の成分である、前記した、アルコキシシラン、および/または、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)において、前記したアルコキシシランとは、1分子中に少なくとも2個以上のアルコキシ基を有する珪素化合物を指称し、特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシランもしくはテトラ−n−ブトキシシランの如き、各種のテトラアルコキシシラン類;
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシランもしくはn−ブチルトリエトキシシラン、
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランもしくはアリルトリメトキシシラン、
または2−トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、2−トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、3−トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、3−トリエトキシシリルプロピルビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランもしくは3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランの如き、各種のオルガノトリアルコキシシラン類;
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシランもしくはジ−n−ブチルジエトキシシラン、
またはビニルメチルジメトキシシラン、2−(メチルジメトキシシリル)エチルビニルエーテル、3−(メチルジメトキシシリル)プロピルビニルエーテルもしくは3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランの如き、各種のジオルガノジアルコキシシラン類などが挙げられる。
【0028】
また、本発明において用いられる水性樹脂(A−1)を製造する際に使用される他方の成分である、前記した、アルコキシシラン、および/または、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)において、前記した珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)とは、一般的に、シラノール基と呼称される、それぞれ、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサンを指称するというものである。
ここにおいて、珪素原子に結合した加水分解性基とは、珪素原子に結合した、それぞれ、ハロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基またはアルケニルオキシ基の如き、加水分解されて、シラノール基を生成するというような種々の基を指称するというものである。
こうしたポリシロキサン(a−2)としては、例えば、一分子中に、少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解縮合せしめるということによって調製される形の、当該珪素化合物の加水分解縮合物あるいは斯かる珪素化合物を部分加水分解縮合せしめるということによって調製される形の、当該珪素化合物の部分加水分解縮合物などである。
【0029】
水性樹脂(A−1)を製造するに際して使用される、当該ポリシロキサン(a−2)としては、一分子中に、少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物の加水分解縮合物ないしは部分加水分解縮合物が挙げられる。
前記した、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物の加水分解ないしは部分加水分解によって、当該ポリシロキサン(a−2)を調製する際に使用される、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物としては、公知慣用の種々の化合物が、いずれも、使用できるけれども、例えば、次のような一般式(S−2)
7bSiR84-b (S−2)
(ただし、式中のR7 は、それぞれ、置換基を有していても有していなくてもよい、アルキル基、アラルキル基またはアルケニル基なる1価の有機基を、R8 はハロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基またはアルケニルオキシ基を表わすものとし、また、bは0あるいは1または2なる整数であるものとする。)
で以て示される珪素化合物;これらの珪素化合物の1種の部分加水分解縮合によって得られる形の部分加水分解縮合物;または此等の珪素化合物の2種以上の混合物の部分加水分解縮合によって得られる形の部分共加水分解縮合物;
あるいは
(CH3 CH2O)3 SiCH2 CH2 Si(OCH2 CH33
または
(CH3 CH2 O)3 SiCH2 CH2 CH2 Si(OCH2 CH33
などのような、一分子中に2個以上の加水分解性シリル基を有する珪素化合物などが挙げられる。
【0030】
前掲したような一般式で示される珪素化合物としては、本発明に係る樹脂(A−1)を製造する際に使用される他方の成分である、前記した、アルコキシシラン、および/または、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)における、アルコキシシランとして掲げた、1分子中に少なくとも2個以上のアルコキシ基を有する珪素化合物を使用することができる。
そして、これらの加水分解性基を有する珪素化合物のうちで、ポリシロキサン(a−2)を調製する際に使用される化合物として特に望ましいものとしては、例えばテトラアルコキシシラン、オルガノトリアルコキシシランまたはジオルガノジアルコキシシラン、それらの部分加水分解縮合物または其れらの部分共加水分解縮合物、さらには、各種のクロルシラン類の加水分解縮合物などを挙げることができる。
【0031】
また、当該珪素化合物として、テトラエトキシシランなどに代表されるような4官能の珪素化合物を使用する際には、重合体(a−1)と、ポリシロキサン(a−2)との間の縮合反応中のゲル化の防止、ならびに塩基性化合物による中和反応中のゲル化の防止などのために、2ないしは3官能の珪素化合物を併用するというのが望ましい。
斯かるポリシロキサン(a−2)を調製するに際して、前掲したような各種の珪素化合物に加えて、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシランのような、一分子中に珪素原子に結合した加水分解性基を1個のみ有する、いわゆる1官能性の珪素化合物をも併用することが出来る。
前記したような各種の珪素化合物は、特開平10−36514号公報に公開されている方法で加水分解縮合ないしは部分加水分解縮合せしめることによって、本発明においてポリシロキサン(a−2)として使用される加水分解縮合物ないしは部分加水分解縮合物を得ることが出来る。
【0032】
また、当該ポリシロキサン(a−2)として、市販のポリシロキサンを使用することもできる。そのようなポリシロキサンとしては、シラノール基あるいは珪素原子に結合したメトキシ基を有するポリシロキサンとして市販されているような、それぞれ、「TSR−160もしくは165」[東芝シリコーン(株)製の商品名]、「SH−6018」[東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製の商品名]または「GR−100、908もしくは950」[昭和電工(株)製の商品名]などの、線状、環状、分岐状(分枝状)あるいはラダー(型)構造を有する、加水分解縮合物ないしは部分加水分解縮合物が挙げられる。
また、水性樹脂(A−1)の硬化性の面からは、当該ポリシロキサン(a−2)を構成する全珪素原子のうち、10モル%以上、好ましくは、20モル%以上、さらに好ましくは、30モル%以上が、ジメチルジアルコキシシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリアルコキシシラン類、メチルトリクロロシランのような、いわゆる2官能、または、3官能シラン化合物に由来するものを使用するというようにすることが好ましい。
【0033】
次いで、水性樹脂(A−1)を製造するにあたって行う、重合体(a−1)と、アルコキシシランおよび/またはポリシロキサン(a−2)との縮合反応について述べる。
当該縮合反応を行なうに当たり、重合体(a−1)と、アルコキシシランおよび/または(a−2)の使用割合は、重合体(a−1):アルコキシシランおよび/または(a−2)なる重量割合として、5:95〜99:1程度になるように、好ましくは、15:85〜95:2になるように設定するのがよい。
重合体(a−1)の重量割合が5%未満になるように設定すると、どうしても、アルコキシシランおよび/または(a−2)が多すぎるために、とりわけ、耐アルカリ性などに乏しい硬化塗膜が得られるというようになってしまうし、一方、重合体(a−1)の重量割合が99%を超えて余りにも多くなるような場合には、どうしても、アルコキシシランおよび/または(a−2)が少なすぎるために、高度の耐久性などを有する硬化塗膜が得られ難くなるので、いずれの場合も好ましくない。
こうした重合体(a−1)と、アルコキシシランおよび/または(a−2)との縮合反応を行なうに当たり、此の反応をスムーズに進行させるために、触媒を添加することが出来るが、斯かる触媒としては、ポリシロキサン(a−2)を調製する際に使用されるものとして特開平10−36514号公報に開示されているような種々の触媒類を、そのまま、使用することが出来る。
【0034】
当該縮合反応に際して、殊更に、触媒を添加せずとも、前述したような手段ないしは処方で以て調製されたポリシロキサン(a−2)中に残留している触媒のみでも、当該縮合反応を促進せしめ得ることは可能である。
使用される触媒の量としては、重合体(a−1)と、アルコキシシランおよび/またはポリシロキサン(a−2)の合計量に対して、0.0001〜10重量%なる範囲内が、好ましくは、0.0005〜3重量%なる範囲内が、特に好ましくは、0.0005〜1重量%なる範囲内が適切である。
また、重合体(a−1)、アルコキシシランおよび/または(a−2)との間の縮合反応をスムーズに進行せしめるというためには、重合体(a−1)中に含有される加水分解性シリル基の加水分解と、アルコキシシランおよび/または(a−2)中に、場合によっては含有される珪素原子に結合した加水分解性基の加水分解とを円滑に進行せしめることが望ましく、したがって、こうした縮合反応を、水の存在下で以て行なうということが、特に望ましい。
【0035】
水の存在下に、当該縮合反応を行なって縮合物を得るには、重合体(a−1)と、アルコキシシランおよび/または(a−2)との混合物に、水を加えて、重合体(a−1)中に含まれる加水分解性シリル基と、アルコキシシランおよび/または(a−2)中に、場合によっては含まれる珪素原子に結合した加水分解性基との双方を加水分解せしめ、引き続いて、縮合反応を行なうというようにすればよい。
当該縮合反応を行なう際に添加される水の量は、適宜、選択することが出来るし、触媒および水の添加方法は、一括添加でもよいし、分割添加でもよいし、また、触媒と水とを混合した形で以て添加しても、あるいは別々に、添加してもよいということは、勿論である。
【0036】
こうした縮合反応の反応温度としては、0℃〜150℃程度が適切であり、好ましくは、20℃〜100℃が適切であるし、一方、当該縮合反応の圧力としては、常圧下と、加圧または減圧下との、いずれの条件においても行なうということが出来る。
また、当該縮合反応の副生成物である、アルコールや水などは、蒸留などの手段によって、これらを系外に除くということが出来るし、問題が無ければ、そのまま、系内に存在させておいても、一向に、支障は無い。
さらに、当該縮合反応にあっては、有機溶剤を使用してもよいし、使用しなくてもよいが、攪拌などが容易に行なえるようにするためには、ビニル系重合体(a−1)を調製する際に使用できるものとして既に掲げたような、種々の有機溶剤類を使用することが望ましい。
ここにおいて、有機溶剤を使用するという場合には、それらは、単独使用でも2種類以上の併用でもよいことは、勿論である。
また、有機溶剤の存在下において、当該縮合反応を行なう場合の、それぞれ、重合体(a−1)と、アルコキシシランおよび/または(a−2)との、有機溶剤中における濃度としては、両成分の合計量として、5重量%以上にすることが望ましい。
【0037】
このようにして調製される、重合体(a−1)と、アルコキシシランおよび/またはポリシロキサン(a−2)との縮合反応生成物中に含有される酸基を、部分的に、あるいは完全に中和反応せしめるのに用いる塩基性化合物としては、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノ−ル、2−アミノエタノ−ルもしくは2−ジメチルアミノエタノ−ルなどによって代表されるような、各種の有機アミン化合物;
またはアンモニアをはじめ、さらには、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムなどによって代表されるような、各種の無機塩基性物質;またはテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハイドロオキサイドもしくはトリメチルベンジルアンモニウムハイドロオキサイドなどによって代表されるような、各種の第四級アンモニウムハイドロオキサイド類などが挙げられる。
このような各種の塩基性化合物のうちでも、アンモニアまたは各種の有機アミン類の使用が、特に望ましい。
【0038】
そして、斯かる塩基性化合物の添加量としては、少なくとも、前記した重合体(a−1)と、前記したアルコキシシランおよび/またはポリシロキサン(a−2)の縮合反応生成物に対して、水分散性を付与するということが可能なる量であり、これらの重合体(a−1)と、アルコキシシラン、および/または、ポリシロキサン(a−2)との縮合反応生成物中に含まれる酸基の当量数に対する、当該塩基性化合物の当量数の比率、
つまり、当該塩基性化合物の当量数/〔重合体(a−1)と、アルコキシシランおよび/またはポリシロキサン(a−2)との縮合反応生成物中の酸基の当量数〕なる当量比が0.1以上となるような量が適切ではあるが、塗膜諸性能を損なわない範囲の量として、好ましくは、概ね、0.1〜3なる範囲内が適切であるし、最も好ましくは、0.3〜2なる範囲内が適切である。
斯かる中和反応は、前記した重合体(a−1)あるいはアルコキシシランおよび/またはポリシロキサン(a−2)などの種類や其れらの組成であるとか、さらには、当該中和反応の条件などによって、当該中和反応時における溶液粘度が上昇する処となり、ひいては、ゲル化が起きてしまうというような場合にさえなることもあるので、こうした問題が生じるような場合には、当該中和反応を、水の共存下で行なうことが望ましい。この際に添加される水の量は、前記した重合体(a−1)と、前記したアルコキシシランおよび/またはポリシロキサン(a−2)との縮合反応生成物の固形分1000グラムに対して、100グラム以上、好ましくは、200グラム以上、さらに好ましくは500グラム以上という比率となるように設定するのが適切である。
【0039】
そして、当該中和反応を行なう際の塩基性化合物および水の添加方法は、一括添加でも、分割添加でもよいし、また、別々に、添加してもよいということは、勿論であるが、特に、塩基性化合物と水とを混合した形で以て添加するのが最適である。
こうした中和反応の反応温度としては、0℃〜150℃程度が適切であり、好ましくは、20℃〜100℃が適切であるし、一方、これらの反応の圧力としては、常圧下と、加圧または減圧下との、いずれの条件においても行なうことが出来る。
このようにして得られる樹脂から、前記した水性樹脂(A−1)を調製するには、公知慣用の種々の方法を適用することが出来る。たとえば、これらの樹脂に対して、単に、水を添加せしめるか、あるいは樹脂を、水に対して加えるということによって、水中に分散せしるか、あるいは溶解せしめるということによって、水性樹脂(A−1)を製造するということが出来る。
また、前述したように、こうした中和反応を、多量の水の存在下で以て行なうというような場合には、当該中和反応の終了後において、殊更に、水を添加せずとも、水性樹脂を調製することが出来る。
さらにまた、必要に応じて、このようにして得られる水性樹脂(A−1)に含有される有機溶剤を、加熱および/または減圧によって、部分的に、あるいは完全に除去するということによって、有機溶剤の含有率が低いか、あるいは有機溶剤を含有しない形の水性樹脂(A−1)を製造することが出来る。
【0040】
このようにして得られる水性樹脂(A−1)中に含まれる官能基は、重合体(a−1)と、アルコキシシランおよび/または(a−2)とに由来するシラノール基と、場合によっては含有される珪素原子に結合した加水分解性基と、重合体(a−1)に由来する遊離の酸基と、塩基性化合物により中和された酸基とである。
水性樹脂(A−1)を製造する過程で、重合体(a−1)中に、酸基として、ブロックした酸基あるいは酸無水基を導入せしめたものを使用したような場合には、かかるブロックした酸基あるいは酸無水基のうちの少なくとも一部分は、アルコキシシランおよび/または(a−2)との縮合過程で、あるいは塩基性化合物による中和過程で、加水分解、酸触媒分解、熱分解またはアルコリシスなどによって、遊離の酸基に変換されて、水性化のための親水性基として機能するようになる。
もし、酸基として、前記したブロックした酸基あるいは酸無水基を導入せしめたような際に、塩基性化合物による中和過程ののちも、水性化に必要なる量の遊離の酸基が生成しない場合には、斯かる中和過程あるいはアルコキシシランおよび/または(a−2)との縮合過程の反応条件を厳しくするということによって、遊離の酸基に変換せしめる必要がある。
【0041】
次に、本発明に係る水性樹脂(A−2)を製造するに際し、先ず加水分解性シリル基、N,N−ジ置換カルボン酸アミド基、および酸基を併有するビニル系重合体(a−1)を塩基性化合物で以て部分中和ないし完全に中和せしめて得られる樹脂(a−3)を得るに際し、用いる、加水分解性シリル基、N,N−ジ置換カルボン酸アミド、および酸基を併有するビニル系重合体(a−1)と塩基性化合物は、水性樹脂(A−1)を製造する際に使用するビニル系重合体(a−1)と、塩基性化合物として前記した、それぞれのものを用いる事が出来る。
そして、これらを用いて樹脂(a−3)を得るに際し、ビニル系重合体(a−1)を塩基性化合物で以て部分中和ないし完全に中和せしめる方法としては、水性樹脂(A−1)を製造するに際して塩基性化合物で以て部分中和ないし完全に中和せしめる方法として前記した要領で以て行えば良い。
次いで樹脂(a−3)と、アルコキシシラン、および/または、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)とを、水に分散ないしは溶解せしめて縮合反応せしめて水性樹脂(A−2)を製造する方法について述べる。
【0042】
先ず、前記したアルコシシシラン、および/または、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)としては、水性樹脂(A−1)を製造するに際し使用するアルコキシシラン、および/または、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)として前記したものを用いる事が出来る。
そして、水性樹脂(A−2)を製造するにあたって行う、重合体(a−3)と、アルコキシシラン、および/または、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)とを、水に分散ないしは溶解せしめて縮合反応せしめる方法について述べる。
当該縮合反応を行なうに当たり、重合体(a−3)と、アルコキシシランおよび/または(a−2)の使用割合は、重合体(a−3):アルコキシシランおよび/または(a−2)なる重量割合として、5:95〜99:1程度になるように、好ましくは、15:85〜95:2になるように設定するのがよい。
重合体(a−3)の重量割合が5%未満になるように設定すると、どうしても、アルコキシシランおよび/または(a−2)が多すぎるために、とりわけ、耐アルカリ性などに乏しい硬化塗膜が得られるというようになってしまうし、一方、重合体(a−3)の重量割合が99%を超えて余りにも多くなるような場合には、どうしても、アルコキシシランおよび/または(a−2)が少なすぎるために、高度の耐久性などを有する硬化塗膜が得られ難くなるので、いずれの場合も好ましくない。
【0043】
こうした重合体(a−3)と、アルコキシシランおよび/または(a−2)との縮合反応を行なうに当たり、此の反応をスムーズに進行させるために、触媒を添加することが出来る。斯かる触媒としては、ポリシロキサン(a−2)を調製する際に使用されるものとして特開平10−36514号公報に開示されているような種々の触媒類を、そのまま、使用することが出来る。
当該縮合反応に際して、殊更に、触媒を添加せずとも、前述したような手段ないしは処方で以て調製されたポリシロキサン(a−2)中に残留している触媒のみでも、当該縮合反応を促進せしめ得ることは可能である。
使用される触媒の量としては、重合体(a−3)と、アルコキシシランおよび/またはポリシロキサン(a−2)の合計量に対して、0.0001〜10重量%なる範囲内が、好ましくは、0.0005〜3重量%なる範囲内が、特に好ましくは、0.0005〜1重量%なる範囲内が適切である。
【0044】
また、重合体(a−3)、アルコキシシランおよび/または(a−2)との間の縮合反応をスムーズに進行せしめるというためには、重合体(a−3)中に含有される加水分解性シリル基の加水分解と、アルコキシシランおよび/または(a−2)中に、場合によっては含有される珪素原子に結合した加水分解性基の加水分解とを円滑に進行せしめることが望ましく、したがって、こうした縮合反応を、水に分散ないしは溶解せしめて行なうものである。
即ち、当該縮合反応を行なって縮合物を得るには、重合体(a−3)と、アルコキシシランおよび/または(a−2)との混合物に、水を加えて、分散ないしは溶解せしめ、重合体(a−1)中に含まれる加水分解性シリル基と、アルコキシシラン中および/または(a−2)に、場合によっては含まれる珪素原子に結合した加水分解性基との双方を加水分解せしめ、引き続いて、縮合反応を行なうというようにすればよい。
当該縮合反応を行なう際に添加される水の量は、適宜、選択することが出来るし、触媒および水の添加方法は、一括添加でもよいし、分割添加でもよいし、また、触媒と水とを混合した形で以て添加しても、あるいは別々に、添加してもよい。
【0045】
こうした縮合反応の反応温度としては、0℃〜150℃程度が適切であり、好ましくは、20℃〜100℃が適切であるし、一方、当該縮合反応の圧力としては、常圧下と、加圧または減圧下との、いずれの条件においても行なうということが出来る。
また、当該縮合反応の副生成物である、アルコールや水などは、蒸留などの手段によって、これらを系外に除くことが出来るし、問題が無ければ、そのまま、系内に存在させておいても、一向に、支障は無い。
さらに、当該縮合反応にあっては、有機溶剤を併用してもよいし、使用しなくてもよいが、水に分散ないしは溶解せしめたり、攪拌などが容易に行なえるようにするためには、ビニル系重合体(a−1)を調製する際に使用できるものとして既に掲げたような、種々の有機溶剤類を併用することが出来る。
ここにおいて、有機溶剤を使用するという場合には、それらは、単独使用でも2種類以上の併用でもよい。
また、有機溶剤の併用下において、当該縮合反応を行なう場合の、それぞれ、重合体(a−3)と、アルコキシシランおよび/または(a−2)との、有機溶剤中における濃度としては、両成分の合計量として、5重量%程度以上にすることが望ましい。
【0046】
このようにして得られる水性樹脂(A−2)中に含まれる官能基は、重合体(a−3)と、アルコキシシランおよび/または(a−2)とに由来するシラノール基と、場合によっては含有される珪素原子に結合した加水分解性基と、重合体(a−3)に由来する遊離の酸基と、塩基性化合物により中和された酸基とである。
水性樹脂(A−2)を製造する過程で、重合体(a−3)中に、酸基として、ブロックした酸基あるいは酸無水基を導入せしめたものを使用したような場合には、かかるブロックした酸基あるいは酸無水基のうちの少なくとも一部分は、塩基性化合物による中和過程で、若しくは、アルコキシシランおよび/または(a−2)との縮合過程で、加水分解、酸触媒分解、熱分解またはアルコリシスなどによって、遊離の酸基に変換されて、水性化のための親水性基として機能するようになる。
もし、酸基として、前記したブロックした酸基あるいは酸無水基を導入せしめたような際に、塩基性化合物による中和過程ののちも、水性化に必要なる量の遊離の酸基が生成しない場合には、斯かる中和過程あるいはアルコキシシランおよび/または(a−2)との縮合過程の反応条件を厳しくするということによって、遊離の酸基に変換せしめる必要がある。
【0047】
このようにして得られる樹脂から、前記した水性樹脂(A−2)を調製するには、公知慣用の種々の方法を適用することが出来る。たとえば、これらの樹脂に対して、単に、水を添加せしめるか、あるいは樹脂を、水に対して加えるということによって、もしくは、水を加熱および/または減圧によって、部分的に除去するということによって、水中に分散せしめた、あるいは溶解せしめた形の、水性樹脂(A−2)を製造することが出来る。
さらにまた、必要に応じて、このようにして得られる水性樹脂(A−2)に含有される有機溶剤を、加熱および/または減圧によって、部分的に、あるいは完全に除去するということによって、有機溶剤の含有率が低いか、あるいは有機溶剤を含有しない形の水性樹脂(A−2)を製造することが出来る。
【0048】
このようにして得られる水性樹脂(A−1)または(A−2)から、本発明に係る水性硬化性樹脂組成物を調製するには、一つには、水性樹脂(A−1)および(A−2)は、それら自体が自己硬化性を有するという処から、これらの水性樹脂(A−1)または(A−1)を必須成分として含有する形の自己硬化性の樹脂組成物とするというようにすればよい。
このようにして調製される、それぞれ、水性樹脂(A−1)または(A−2)を必須成分として含有するという形の、本発明に係る水性硬化性樹脂組成物は、着色顔料を含まない形の、いわゆるクリヤーな組成物として使用することが出来るし、また、公知慣用の種々の有機系あるいは無機系の顔料を含有する着色組成物としても、使用することが出来る。
また、本発明の水性硬化性樹脂組成物には、さらに、硬化触媒、流動調整剤、染料、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤または可塑剤などのような、公知慣用の種々の添加剤類などをも配合せしめた形で、種々の用途に利用し適用することが出来る。
こうした添加剤類のうち、硬化触媒としては、前記したようなポリシロキサン(a−2)を調製する際に使用されるものとして既に掲げたような各種の触媒類を使用することが出来るし、これらの既掲の触媒類に加えて、テトラメチルホスホニウム塩、テトラエチルホスホニウム塩、テトラプロピルホスホニウム塩、テトラブチルホスホニウム塩、トリメチル(2−ヒドロキシルプロピル)ホスホニウム塩、トリフェニルホスホニウム塩またはベンジルホスホニウム塩類などを使用することが出来る。
本発明に係る硬化性組成物には、硬化剤を含めた形で使用する事も出来る。係る硬化剤は、本発明に係る水性樹脂に含有される前記した官能基と反応する官能基の少なくとも1種類を有する公知慣用の種々の化合物を指称する。
【0049】
かくして得られる、本発明に係る水性硬化性樹脂組成物は、それを構成する水性樹脂(A−1)または(A−2)の種類により最適なる硬化条件は異なるけれども、通常は、室温で、3〜10日間程度のあいだ乾燥せしめるか、あるいは80〜250℃程度の温度範囲で、30秒から2時間程度のあいだ焼き付けを行なうということによって、実用性の高い硬化物を得ることが出来る。
本発明に係る水性樹脂を必須の成分として含有する、本発明に係る水性硬化性樹脂組成物は、主として、自動車上塗り用塗料、建築外装用塗料あるいは建材用塗料などの、種々の塗料用に利用し適用することが出来るし、さらには、接着剤用、インク用、繊維・紙の含浸剤用ならびに表面処理剤用などとして、広範囲なる用途にも利用し適用することが出来る。
さらに具体的なものとしては、自動車、自動二輪車、電車、自転車、船舶または飛行機、あるいは其の他の輸送関連機器類と、それらの諸部品類;テレビ、ラジオ、冷蔵庫、洗濯機、クーラー、クーラー室外機またはコンピュータ、あるいは其の他の家電製品類と、それらの諸部品類;各種の瓦、金属製の屋根材、窓枠、ドアまたは内外壁材の如き、各種の建材類;道路、道路標識、ガードレール、橋梁、タンク、煙突またはビルディングの如き、各種の屋外構築物などが挙げられ、それぞれ、本発明に係る水性樹脂あるいは水性硬化性樹脂組成物は、こうした用途に、有効に、利用し適用することが出来る。
【実施例】
【0050】
次に、本発明を、実施例および比較例により、一層、具体的に説明をすることにするが、本発明は、決して、これらの例示例のみに限定されるものではない。なお、以下において、部および%は、特に断りの無い限り、すべて、重量基準であるものとする。
【0051】
実施例1(樹脂(A−1)の製造例)
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入管を備えた反応容器に、イソプロパノール(以下、IPAという)の40部、メチルトリメトキシシラン(以下、MTMSという)の136部を仕込んで、窒素ガスの通気下に、75℃にまで昇温した。
次いで、同温度でn−ブチルメタクリレート(以下、n−BMAという)の51.8部、n−ブチルアクリレート(以下、n−BAという)の45.2部、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(以下、MPTMSという)の8.5部、アクリル酸(以下、AAという)の12部、N,N−ジエチルアクリルアミド(以下、DEAAという)の23.2部と、イソプロパノールの7部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(以下、per−Oという)の7部とからなる混合物を、4時間かけて滴下した。
滴下終了後も、同温度で、16時間のあいだ攪拌するということによって、カルボキシル基、トリメトキシシリル基、およびN,N−ジ置換カルボン酸アミド基を併有する目的重合体(a−1−1)の溶液を得た。
【0052】
次いで、60℃に降温し、同温度で、「フォスレックスA−3」(イソプロピルアシッドホスフェート、堺化学工業(株)製、商品名)の0.88部と、イオン交換水の54部とを5分間を要して滴下し、次いで、同温度で1時間の間攪拌してシランと重合体(a−1−1)との縮合物を調製した。
次いで、50℃に降温し、同温度でトリエチルアミン(以下、TEAという)の8.4部とイオン交換水の300部を添加し、同温度で、更に、1時間のあいだ攪拌した後、メタノールとIPAなどのアルコール類を除いて、不揮発分(以下、N.V.という)が40%で、pHが7.9、平均粒径が188nmなる目的の水性樹脂を得た。以下、これを水性樹脂(A−1−1)という。
しかるのち、此の水性樹脂(A−1−1)を、40℃に、1ケ月のあいだ保存したが、保存後の水性樹脂において、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、全く、認められずに、此の水性樹脂(A−1−1)は、極めて、保存安定性に優れるものであることが判明した。
【0053】
比較例1
実施例1と同様の反応装置を用いて、n−BMAの86.4部、n−BAの34.1部、DEAAを0部とした(アクリル成分のTgを実施例1と同一とした)他は、実施例1と同様の要領にてカルボキシル基およびトリメチルシリル基を併有するが、N,N−ジ置換カルボン酸アミド基を持たない比較重合体(ref−1)の溶液を得た。次いで、実施例1と同様の要領にて、ポリシロキサンと比較重合体(ref−1)との縮合物を調製し、やはり実施例1と同様に、50℃にてトリエチルアミンの同量とイオン交換水の同量を添加した所、約25分で樹脂がヨーグルト状にゲル化し、ゲル化物は、ついに、水にもアセトンにも溶解しなくなった。
即ち、加水分解性シリル基および酸基を併有するが、N,N−ジ置換カルボン酸アミド基を持たない重合体の場合にあっては、珪素原子に結合した加水分解性基を有するアルコキシシランと縮合反応させて、塩基性化合物で以て部分中和せしめた場合に得られた樹脂は、極めて安定性・保存安定性が乏しいことが明らかとなった。
【0054】
実施例2〜3(樹脂(A−1)の製造例)
単量体、溶剤、酸触媒、塩基性化合物などの種類と、それらの使用量とを、第1表に示すように変更した以外は、実施例1と同様に操作を行なって、同表に示すような性状値を有する、各種の目的樹脂(A−1)を得た。それらの樹脂は、同表に示すように略記をする。
【0055】
【表1】

<<第1表の脚注>>原料類の使用割合を示す各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。「保存安定性」は、上記のように調製された、それぞれの水性樹脂を、しかるのちに、40℃に、1ケ月のあいだ保存をして、保存後の水性樹脂において、保存前には認められなかった、それぞれ、ゲル化や沈澱物の析出などの、いわゆる異状が無いかどうかを確認した、それらの結果を示しているものである。
【0056】
実施例4(樹脂(A−1)の製造例)
実施例1と同様の反応装置に、IPAの60部、MTMSの136部を仕込んで、窒素ガスの通気下に、75℃にまで昇温した。
次いで、同温度でn−BMAの66.7部、n−BAの30.8部、MPTMSの7部、AAの11.4部、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート(M5300)(東亞合成株式会社製)の1.9部、DEAAの23.2部と、IPAの7部と、per−Oの7部とからなる混合物を、4時間かけて滴下した。
滴下終了後も、同温度で、16時間のあいだ攪拌するということによって、カルボキシル基、トリメトキシシリル基、およびN,N−ジ置換カルボン酸アミド基を併有する目的重合体(a−1−4)の溶液を得た。
その後は、実施例1と同様の方法にて、N.V.が40%で、pHが7.8、平均粒径が152nmなる目的の水性樹脂を得た。以下、これを水性樹脂(A−1−4)という。
【0057】
実施例5(樹脂(A−1)の製造例)
実施例1と同様の反応装置に、IPAの20部、MTMSの104部を仕込んで、窒素ガスの通気下に、75℃にまで昇温した。
次いで、同温度でn−BMAの32.8部、n−BAの20.9部、MPTMSの5部、AAの9部、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート(M5300)(東亞合成株式会社製)の16部、DEAAの16.6部と、IPAの5部と、per−Oの5部とからなる混合物を、4時間かけて滴下した。
滴下終了後も、同温度で、16時間のあいだ攪拌するということによって、カルボキシル基、トリメトキシシリル基、およびN,N−ジ置換カルボン酸アミド基を併有する目的重合体(a−1−5)の溶液を得た。
次いで、60℃に降温し、MTMSの32部とIPAの20部を添加し、更に、「フォスレックスA−3」の0.88部と、イオン交換水の54部とを5分間を要して滴下し、次いで、同温度で1時間の間攪拌してシランと重合体(a−1−5)との縮合物を調製した。
次いで、50℃に降温し、同温度でジアザビシクロオクタンの13.5部イオン交換水の270部を添加し、同温度で、更に、1時間のあいだ攪拌した後、メタノールとIPAなどのアルコール類を除いて、N.V.が34%で、pHが7.1、平均粒径が98nmなる目的の水性樹脂を得た。以下、これを水性樹脂(A−1−5)という。
【0058】
実施例6(樹脂(A−1)の製造例)
実施例1と同様の反応装置に、IPAの100部、MTMSの136部を仕込んで、窒素ガスの通気下に、75℃にまで昇温した。
次いで、同温度でメチルメタクリレートの48.4部、n−BMAの27.7部、n−BAの30.5部、MPTMSの4.2部、AAの12部、DEAAの18.2部と、IPAの7部と、per−Oの7部とからなる混合物を、4時間かけて滴下した。
滴下終了後も、同温度で、16時間のあいだ攪拌するということによって、カルボキシル基、トリメトキシシリル基、およびN,N−ジ置換カルボン酸アミド基を併有する目的重合体(a−1−5)の溶液を得た。
次いで、60℃に降温し、「フォスレックスA−3」の0.88部と、イオン交換水の54部とを5分間を要して滴下した。
次いで、50℃に降温し、「KC−89S」(信越化学株式会社製のメチルシロキサンの商品名)の15部を添加した後に、同温度でTEAの8.4部と、イオン交換水の387部を添加し、同温度で、更に、1時間のあいだ攪拌した後、メタノールとIPAなどのアルコール類を除いて、N.V.が39%で、pHが7.5なる目的の水性樹脂を得た。以下、これを水性樹脂(A−1−6)という。
【0059】
実施例7(樹脂(A−2)の製造例)
実施例1と同様の反応容器に、IPAの100部、ジメチルジメトキシシラン(以下、DMDSという)の10部を仕込んで、窒素ガスの通気下に、75℃にまで昇温した。
次いで、同温度でn−BMAの93部、n−BAの14.6部、MPTMSの4.2部、AAの6部、DEAAの23.2部と、イソプロパノールの3.5部と、per−Oの3.5部とからなる混合物を、4時間かけて滴下した。
滴下終了後も、同温度で、16時間のあいだ攪拌するということによって、カルボキシル基、トリメトキシシリル基、およびN,N−ジ置換カルボン酸アミド基を併有する目的重合体(a−1−7)の溶液を得、次いで、60℃に降温し、同温度で、ジメチルエタノールアミン(以下、DMEAという)の3.7部を添加して目的とする、重合体(a−1−7)を塩基性化合物で以て中和せしめた目的樹脂(a−3)を得た。この樹脂を(a−3−1)と呼称する。次いで、同温度で、イオン交換水の232部を添加し、更に、1時間のあいだ攪拌して、シラン類と重合体(a−3−1)とが縮合した混合物を水に分散せしめた。その後、メタノールとIPAなどのアルコール類を除いて、N.V.が40%で、pHが8.8、平均粒径が180nmなる目的の水性樹脂を得た。以下、これを水性樹脂(A−2−1)という。
しかるのち、此の水性樹脂(A−2−1)を、50℃に、4週間のあいだ保存したが、保存後の水性樹脂において、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、全く、認められずに、此の水性樹脂(A−2−1)は、極めて、保存安定性に優れるものであることが判明した。
【0060】
実施例8(樹脂(A−2)の製造例)
実施例1と同様の反応容器に、IPAの100部、DMDSの1部を仕込んで、窒素ガスの通気下に、75℃にまで昇温した。
次いで、同温度でn−BMAの79.2部、n−BAの28.4部、MPTMSの2.1部、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン(以下、MPMDSという)の2.1部、AAの6部、DEAAの23.2部と、イソプロパノールの3.5部と、per−Oの3.5部とからなる混合物を、4時間かけて滴下した。
滴下終了後も、同温度で、16時間のあいだ攪拌するということによって、カルボキシル基、トリメトキシシリル基、およびN,N−ジ置換カルボン酸アミド基を併有する目的重合体(a−1−8)の溶液を得、次いで、60℃に降温し、同温度で、DMEAの3.7部を添加して目的とする、重合体(a−1−8)を塩基性化合物で以て中和せしめた目的樹脂(a−3)を得た。この樹脂を(a−3−2)と呼称する。次いで、同温度で、イオン交換水の222部を添加し、更に、1時間のあいだ攪拌して、シラン類と重合体(a−3−2)とが縮合した混合物を水に分散せしめた。その後、メタノールとIPAなどのアルコール類を除いて、N.V.が40%で、pHが8.8なる目的の水性樹脂を得た。
以下、これを水性樹脂(A−2−2)という。
しかるのち、此の水性樹脂(A−2−2)を、50℃に、4週間のあいだ保存したが、保存後の水性樹脂において、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、全く、認められずに、此の水性樹脂(A−2−2)は、極めて、保存安定性に優れるものであることが判明した。
【0061】
実施例9〜10(樹脂(A−2)の製造例)
単量体、溶剤、酸触媒、塩基性化合物などの種類と、それらの使用量とを、第2表に示すように変更した以外は、実施例7と同様に操作を行なって、同表に示すような性状値を有する、各種の目的樹脂(A−2)を得た。それらの樹脂は、同表に示すように略記をする。
【0062】
【表2】

<<第2表の脚>>原料類の使用割合を示す各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。「保存安定性」は、上記のように調製された、それぞれの水性樹脂を、しかるのちに、50℃に、4週間のあいだ保存をして、保存後の水性樹脂において、保存前には認められなかった、それぞれ、ゲル化や沈澱物の析出などの、いわゆる異常が無いかどうかを確認した、それらの結果を示しているものである。
【0063】
実施例11〜16
実施例1〜6で得た水性樹脂(A−1−1)〜(A−1−6)を、そのまま、着色顔料を含まない形のいわゆるクリヤーな水性硬化性樹脂組成物として使用した。
これら、それぞれの硬化性組成物を、ブリキ板上、および、ポリエステル/メラミン系の塗料が塗装され、焼き付けされた塗装鋼板であって、しかも、水研ぎされた鋼板上に乾燥塗膜の厚みが30マイクロ・メーター(μm)となるように、アプリケーターで塗布し、同表に示すような硬化条件で以て、各種の硬化塗膜を得た。
しかるのち、かくして得られた、それぞれの塗膜について、諸性能の評価を行なった。
それらの結果は、まとめて、同表に示す。
【0064】
【表3】

<<第3表の脚注>>
硬化条件 I・・・140℃/20分間
ゲル分率%・・・ブリキ板上に硬化させた硬化塗膜を、アセトンに24時間のあいだ浸漬した後に残留した塗膜の重量を測定し、これをアセトン浸漬前の重量で除した百分率。
耐溶剤性・・・キシレンを染み込ませたフエルトで以って、塗膜を、5往復に及ぶラビングを行ったのちの塗膜を、目視により判定した。
耐温水性・・・・ポリエステル/メラミン系の塗料が塗装され、焼き付けされた塗装鋼板であって、しかも、水研ぎされた鋼板上に硬化させた硬化塗膜を、40℃の温水に7日間浸漬した後に乾燥し、その塗膜の表面の状態を、目視により判定した。
耐温水性評価基準
5・・・ブリスター全くなし
4・・・ブリスター面積が5%以下
3・・・ブリスター面積が6〜10%
2・・・ブリスター面積が11〜30%
1・・・ブリスター面積が31%以上

以上の各事実から、本発明にかかる水性硬化性樹脂組成物は、硬化性が優れるものであると判断される。
【0065】
実施例17〜18
実施例7〜8で得た水性樹脂(A−2−1)〜(A−2−2)を、そのまま、着色顔料を含まない形のいわゆるクリヤーな水性硬化性樹脂組成物として使用した。これらを、それぞれ、ポリプロピレン基板上に塗布し、第4表に示した硬化条件(室温乾燥)にて乾燥させた。第4表に示した塗布後時間の経過後の乾燥塗膜のゲル分率を測定し、これらの結果を併せて同表に示した。
【0066】
【表4】

<<第4表の脚注>>
硬化条件II・・・室温乾燥
以上の各事実から、本発明に係る水性硬化性樹脂組成物は、硬化性が速くて優れるものであると判断される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加水分解性シリル基、N,N−ジ置換カルボン酸アミド基、および酸基を併有するビニル系重合体(a−1)と、アルコキシシラン、および/または、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)とを、縮合反応させ、次いで得られる樹脂に含有される酸基を塩基性化合物で部分的に、ないしは、完全に中和せしめたのち、水に分散ないしは溶解せしめることを特徴とする水性樹脂の製造方法。
【請求項2】
加水分解性シリル基、N,N−ジ置換カルボン酸アミド基、および酸基を併有するビニル系重合体(a−1)に含有される酸基を塩基性化合物で部分的に、ないしは、完全に中和せしめて得られる樹脂(a−3)と、アルコキシシラン、および/または、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)との混合物を、水に分散ないしは溶解せしめた後、さらに縮合反応せしめることを特徴とする水性樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記したN,N−ジ置換カルボン酸アミド基が一般式(I)で示されるものである、請求項1または2に記載の水性樹脂の製造方法。
−CO−NR1R2 (I)
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に炭素数が1〜10のアルキル基、アリール基またはアラルキル基なる1価の有機基を表すものとし、R1とR2が直接結合していても良いものとする。)
【請求項4】
前記したN,N−ジ置換カルボン酸アミド基がN,N−ジエチルカルボン酸アミド基である請求項3に記載の水性樹脂の製造方法。
【請求項5】
前記したビニル系重合体(a−1)がアクリル系重合体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性樹脂の製造方法。
【請求項6】
加水分解性シリル基、N,N−ジ置換カルボン酸アミド基、および酸基を併有するビニル系重合体(a−1)と、アルコキシシラン、および/または、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)とを、縮合反応させたのち、塩基性化合物で以て部分中和ないし完全に中和せしめて、次いで得られる樹脂を、水に分散ないしは溶解せしめて得られる水性樹脂を、必須の成分として、含有することを特徴とする、水性硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
加水分解性シリル基、N,N−ジ置換カルボン酸アミド基、および酸基を併有するビニル系重合体(a−1)を塩基性化合物で部分中和ないし完全に中和せしめて得られる樹脂(a−3)と、アルコキシシラン、および/または、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)との混合物を、水に分散ないしは溶解せしめ縮合反応せしめて得られる水性樹脂(A−2)を、必須の成分として、含有することを特徴とする、水性硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
前記したN,N−ジ置換カルボン酸アミド基が一般式(I)で示されるものである、請求項6または7に記載の水性硬化性樹脂組成物。
−CO−NR1R2 (I)
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に炭素数が1〜10のアルキル基、アリール基またはアラルキル基なる1価の有機基を表すものとし、R1とR2とが直接結合していても良いものとする。)
【請求項9】
前記したN,N−ジ置換カルボン酸アミド基がN,N−ジエチルカルボン酸アミド基である請求項8に記載の水性硬化性樹脂組成物。
【請求項10】
前記したビニル系重合体(a−1)がアクリル系重合体である、請求項6〜9のいずれか1項に記載の水性硬化性樹脂組成物。



【公開番号】特開2007−269981(P2007−269981A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−97458(P2006−97458)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】