説明

水栓装置

【課題】
本発明は、上記問題を解決するために成されたものであり、より精度良く止水を行うことや吐水継続を行うことを実現するための水栓装置を提供する。
【解決手段】
本発明の水栓装置は、吐水部と、前記吐水部からの吐水流を受水する受水部と、電波の送受信により被検知体の情報を検知信号として収集するセンサ部と、前記センサ部からの検知信号に基づき、バルブの開閉により吐止水の制御を行う制御部と、を有する水栓装置であって、前記センサ部は、受水部側面に設置され、設置された受水部側面の略鉛直方向に対し、吐水部が設置された側面方向に傾けて電波を放射することを特徴とする構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ部を設置した水栓装置において、マイクロ波等の電波を用いて吐止水を制御する水栓装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、センサを搭載した水栓装置では、使用者や被検知物の有無をセンサ部によって判断して、判断結果を基に吐止水の制御を行うことが一般的であった。これにより、例えば、公共施設のように様々な使用者が使う水栓装置では、センサ部を水栓装置本体に設置し、手の挿入の有無を判定して吐止水制御を行っているため、吐止水の操作を行うための操作部を手で操作することなく吐止水が可能となり、使用者の衛生面の確保等を行なうことが可能となった。
しかしながら、使用者や被検知体の有無を判定することで吐止水制御を行うと、偶然水栓装置の近傍を手や被検知体が通過するといった行為に対しても吐水が開始されてしまうため、水を使いたくない作業を水栓装置近傍で行なうことが困難であった。
【0003】
また、水栓装置から吐出される吐水を受ける受水部にセンサ部を設けて、受水部内部の物体の有無をセンサ部で検知し、その検知結果を基に水栓装置の吐止水制御を行うものがあった(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1のように、受水部内部における物体の有無で吐止水の判定を行うと、例えばキッチンのように、受水部であるシンクに食器や調理器具を置いた場合に、置かれた物体を検知して吐水を開始してしまうために、水を使いたくない場面においても吐水が開始されてしまうといった問題が発生する可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61−75570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題を解決するために成されたものであり、より精度良く止水を行うことや吐水継続を行うことを実現するための水栓装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様によれば、吐水部と、前記吐水部からの吐水流を受水する受水部と、電波の送受信により被検知体の情報を検知信号として収集するセンサ部と、前記センサ部からの検知信号に基づき、バルブの開閉により吐止水の制御を行う制御部と、を有する水栓装置であって、前記センサ部は、受水部側面に設置され、設置された受水部側面の略鉛直方向に対し、吐水部が設置された側面方向に傾けて電波を放射する水栓装置を提供することができる。
【0007】
また、本発明の一態様によれば、前記センサ部は、設置する受水部側面に対して傾斜して配置した水栓装置を提供することができる。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、前記センサ部は、電波を送信する送信部を有する送信平面を有し、前記送信平面を含む平面と前記受水部側面とは、ゼロよりも大きく90度よりも小さい角度を成して交差線上で交差し、前記交差線は、鉛直方向と略平行であり、前記送信する電波は直線偏波され、前記送信する電波の励振方向は、前記交差線と略直行し、前記受水部側面を透過する送信する電波の強度は、前記受水部側面で反射する前記送信する電波の強度よりも高い水栓装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、センサ部を受水部側壁に設置し、受水部側面の鉛直方向より吐水部の設置された側面側に電波を放射することにより、水栓装置の使用者の行為や、受水部内部の物体の存在等による誤検知により、使用者の意図しない吐止水を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の水栓装置に関する概略構成図
【図2】(A)図1の水栓装置概略構成の上面図 (B)送信する電波を傾けるための送信部の構成図
【図3】(A)センサ部を傾けて電波の放射方向を設定した概略構成図 (B)受水部側壁とセンサ部との関係図
【図4】本発明の水栓装置をシステムキッチンに搭載した概略構成図
【図5】被洗浄物を洗浄中の水の乱れる場所についての概略図
【図6】シンク内部に器具を置いた際に発生する水の乱れの場所についての概略図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1に本発明の水栓装置における概略構成図を示す。図1は、吐水部1と、前記吐水部1からの吐水流16を受水する受水部2と、電波の送受信により被検知体の情報を検知信号として収集するセンサ部3と、前記センサ部3からの検知信号に基づき、バルブの開閉により吐止水の制御を行う制御部と、を有する水栓装置であって、前記センサ部3は、受水部側面4に設置され、設置された受水部側面4の略鉛直方向6に対して吐水部1が設置された側面方向に電波を放射する構成となっている。
本発明においては、センサ部を受水部側壁に設置し、且つ吐水部から吐出される吐水流と略平行とならないように電波を送信している。センサ部から放射される電波を吐水流の進行方向と略平行にすると、吐水流のみの状態において、吐水の動きを検知してしまう。そのために、吐水流のみなった場合においてもセンサ部からの検知信号が強度を有するために、水栓装置を利用している状態のとの識別が困難になる行為が発生してしまい、吐水流のみになった状態で止水を行なうことができないという誤検知が発生する可能性があった。そこで、本発明においては、センサ部から放射される電波を吐水流の進行方向に対して略平行とならないように送信することで、吐水流のみの状態における検知信号を出力することなくなるため、吐水流の存在による誤止水を防止することが可能となる。
【0012】
ここで、センサ部3から放射された電波は、被検知物に反射して、その反射された電波を基にセンサ部3は被検知物体の状態を判断するための検知信号を生成するため、電波の放射方向によっては、様々な被検知物の状態を検出してしまう。特に本発明の水栓装置のように、受水部2内部で作業を行う場合や、吐水部1近傍において洗浄作業や、吐水を利用しない動作等が多々発生しているため、単に電波の送受信を行うだけでは、バルブの開閉制御に必要の無い被検知物の状態まで検出してしまい、使用者の意図しないタイミングで吐止水を行う可能性があった。そこで、本発明においては、センサ部3から送信する電波を、吐水流と略平行にならないようにしつつ吐水部方向に放射することにより、例えば、本発明の水栓装置を使用する使用者が、吐水部1と使用者との間の空間にて吐水を用いない作業を行った場合においても、センサ部3から送信された電波が吐水部1方向に向かっているため、作業に伴う検知信号を検出しない、又は非常に小さな信号として検出するため、バルブの開閉を行う動作に伴う検知信号と識別することが可能となり、使用者の意図しない場面において、誤って吐止水することを防止することが可能となる。
【0013】
また、図2のように、センサ部3を吐水部1と使用者の立ち位置とを結ぶ延長線に対して略直交方向にセンサ部3を設置して、更にセンサ部3から送信する電波を吐水部1方向に送信することにより、例えば、使用者が本発明の水栓装置に対して接近した場合や、また本発明の水栓装置の近傍を通過した場合等に、受水部の吐水部1に対峙する側面近傍に使用者が存在することをセンサ部3にて検出してしまい、使用者が吐水を必要としない場面においても、誤って吐水を行ってしまう等の不具合を解消することが可能となる。更に、吐水部1と使用者の立ち位置とを結ぶ延長線に対して略直交方向にセンサ部3を設置し、センサ部3から送信する電波を吐水部1方向に対して送信することで、使用者が吐水を必要としない場面での使用者の動き、特に吐水部1と使用者の立ち位置とを結ぶ延長線に対して略平行方向の動き(例えば、手に石鹸をつけて手もみの往復運動を行う)に対して、電波の送信方向と略平行で且つ、動作を行う場所がセンサ部3から送信された電波の方向よりも遠方になるため、使用者の意図しない場面での吐水を防止することが可能となる。
【0014】
本発明の水栓装置のように、吐止水が必要な動作とそれ以外の操作とを識別するために、本発明のようにセンサ部3から送信される電波の送信方向を、吐止水を必要としない動作を検知しないように変更することは非常に有効的であるが、それ以外に吐止水を必要とする動作を識別するために、吐水/止水を必要とする動きを下記のように限定することも誤検知を抑制するために有効的な手段となる。
例えば、使用者が吐水を必要とする場合においては、センサ部3の設置された側面近傍に対して手かざしを行う、手を側面に接近させる等の水栓装置を使用する際に発生しない動作を検出することで吐水制御を行うようにすることにより、水栓装置を利用する際に発生する様々な動作に対して誤って吐水を行うことを低減することが可能となる。ここで、センサ部3においては、センサ部3が設置された側面に手かざし、又は手を接近させる動作により検知信号として非常に大きな振幅値で、且つ手かざしの場合においては非常に低い周波数帯(例えば0〜約10Hz)の検知信号を出力でき、また、手の接近においては、徐々に検知信号の振幅値が増大し、それに伴い検知信号の周波数帯が徐々に減少する傾向があるため、このような検知信号の振幅値や周波数の変動を把握することで、容易に他の動作との識別を行なうことが可能となる。更に、センサ部から送信する電波を吐水流と略平行とならないように送信することで、吐水流の動きに対して吐水を継続することを防止することが可能となるため、吐水部を使用する意図のない人体の動きだけでなく、吐水部から吐出される吐水流による誤検知も防止することが可能となる。
【0015】
また、例えば、使用者が止水を必要とする場合には、吐水操作と同様に、センサ部3が設置された側面に対して被検知体をかざす、又は接近させることにより、センサ部3は上記と同様に検知信号の振幅値や周波数の変動に伴い、止水を行うための動作と判定することが可能となるため、水栓装置を利用している際に発生する他の動作との識別を容易に行なうことが可能となるため、止水を必要としない場面におけ誤止水を低減することが可能となる。更に、吐水の利用状況に対して止水を行う制御も可能である。本発明の水栓装置において、センサ部3を設置される側面の鉛直方向6よりも吐水部1の設置されている側面方向に電波を放射し、且つ放射される電波が吐水流16軌跡近傍と交差するように放射することである。このようにセンサ部3を設置することにより、吐水を利用している際には、吐水が被検知物との衝突により水滴や吐水流16形状の乱れにより、通常の吐水のみの場合と異なる周波数帯にて検知信号を識別することが可能となる。これにより、吐水の乱れ18が発生した場合には使用者が吐水を必要としていると判断でき、また吐水のみの検知信号を出力した場合には、吐水が利用されていないと判断することが可能となるため、吐水流16の状態により検知信号の違いにより止水制御を行なうことが可能となる。このような止水制御を行うと、使用者が別途止水を行うためにセンサ部3に対して操作を行うことなく止水を行なうことが可能となるため、使用者に止水を行うための負荷を与えることなく止水を行なうことが可能となる。更に、センサ部から送信する電波を吐水流と略平行とならないように送信することで、吐水流の動きに対して吐水を継続することを防止することが可能となるため、吐水部を使用する意図のない人体の動きだけでなく、吐水部から吐出される吐水流による誤検知も防止することが可能となる。
【0016】
次に、図2に図1の上面図を示す。センサ部3からの電波は、センサ部3を設置している受水部側面4の鉛直方向6に対して、吐水部1方向に傾けて電波を放射している。これにより、センサ部から放射される電波は、吐水部より吐出される吐水流に対して略平行とならずに電波の送受信を行なうことが可能となるため、吐水流のみの動きによって誤検知することを防止することが出来るとともに、吐水部1近傍にて水栓装置を使用する際に発生する使用者の身体の動きや、手の動き、使用者が持っている被洗浄物の動きを検知することなく被洗浄体の状態を検知することが可能なため、センサ部3にて検知したい被洗浄物の動き以外の物体の動きを検知しにくくなり、誤検知を低減することが可能となる。この時、センサ部3にて検知する被洗浄体の動きは、例えば吐水を開始する際にはセンサ部3の設置された側壁近傍における手や被洗浄物の静止、接近といったセンサ部3に対する操作の動きを検知するものとし、止水を行う際には、吐水部1から吐出された吐水流16が乱れているか否かを検知する方法や、吐水を開始する際と同様に、センサ部3の設置された側壁近傍における手や被洗浄物の静止、接近といったセンサ部3に対する操作の動きを検知するようにすることで、更にセンサ部3が受水部2内部の他の動きを検知することにより発生する誤吐止水を抑制することが可能となる。
【0017】
ここで、図2においては、センサ部3から送信される電波を吐水部1が設置された側面方向に送信するために、センサ部3より送信される電波が斜めに放射され、センサ部3から電波の送受信を行う送信手段を受水部側面4に略平行に設置した構成を示している。センサ部3から送信される電波を傾斜させるためには、センサ部3に設置された送信手段(例えば、アンテナ)の構成をにより電波の送信方向を制御することが可能である。そこで、本実施例においては、センサ部3の送信手段を、基板上にパターンで構成したパッチアンテナを用いる構成について説明する。パッチアンテナは、センサ部3から供給される電波に位相差を設け、位相差の異なる電波をアンテナから放射することによりアンテナから放射される電波が所定の方向に傾いて送信することになる。例えば、図2(B)のように、2つのアンテナ素子8を用いたパッチアンテナにおいて、センサ部3から供給される電波が伝送線路9を通過してアンテナ素子8に供給されるが、この2つのアンテナ素子8に接続される伝送線路9の長さを変化させることにより、一方のアンテナ素子8に供給される電波の位相が遅れることで2つのアンテナ素子8から放射される電波に位相差が発生する(図2(B)においては、右側のアンテナ素子8に供給される電波の位相が遅れることになる)。この位相差により、位相が遅れた方向に電波が傾いて放射されることにより、センサ部3を受水部側面4に対して略平行に設置した場合においても、所定の方向に傾けることが可能であると共に、センサ部3の設置を側壁に対して設置することが可能となるため施工が容易になる。
【0018】
また、図3においては、センサ部3自身を傾けてセンサ部の送信手段と受水部側壁4との間に角度を有して設置することにより、センサ部3から放射する電波を吐水部1が設置された側面方向に向ける構成について示す。センサ部3を傾斜して設置しセンサ部3からの電波を傾斜させる場合においては、図3(B)のようにセンサ部3と側壁との間に発生する空間において、センサ部3から側壁までの距離が異なる長さになることになる。このように、センサ部3と側壁との間の距離が異なるように設置した場合、センサ部3から送信された電波は側壁を通過しようとした際に側壁にて反射し、所定の方向に電波を送信することができない、又は電波が減衰するために検知したい場所に所定の電力を供給できないといった不具合を生じてしまうものであった。そこで、本実施例においては、受水部側壁4に対してセンサ部3に設けられた送信平面が、鋭角を成して交差線上で交差するようにセンサ部3を設置して電波を送信する構成について示す。
【0019】
本実施例においては、センサ部3を受水部側壁4と交差線上で交差するように鋭角に設置しており、交差線は受水部側壁4の鉛直方向6と略平行にし、さらに交差線と送信する電波の励振方向11が略直交するように設置している。ここで、センサ部3から送信される電波は、直線偏波としている。送信される電波が直進偏波であるので、ある方向に電波の励振方向11を有することになる。図3(B)のように、受水部側壁4にセンサ部3を交差線上で交差するように設置し、交差線と励振方向11が略平行となるように設置した場合、電波は励振方向11と略平行方向に対する送信領域での変動(本実施例においてはセンサ部3と受水部側壁4との間の空間を通過する電波の送信距離)に対して直進性を失わないため、交差線と励振方向11が略平行となるように設置すると、センサ部3と受水部側壁4との間の空間における送信距離が場所によって異なる影響により、受水部側壁4に送信された電波が受水部側壁4を通過する際に受水部側壁4にて反射してしまい、受水部側壁4を通過する電波量が受水部側壁4で反射する電波量よりも小さくなってしまう。
【0020】
そこで、本発明の実施例のように、交差線と励振方向11が略直交となるようにセンサを配置することで、センサ部3と受水部2との間に発生する空間を通過する電波が、場所によって通過距離がことなるような状況になっても、電波の直進性を有するため、受水部側壁4を通過する際に受水部側壁4における反射量を低減し、多くの電波が受水部側壁4を通過することが可能となるため、本発明の吐水部1を設置した側壁方向に傾けて電波を放射することが可能になると共に、所定の場所における送信電波の強度を維持することが可能となるため、物体の検知したくない動作を検知することなく、且つ所定の場所における被洗浄物の動きを確実に検出することが可能となる。更に、センサ部3から電波を放射する際に所定の方向に曲げる場合には、設置する機器に対してセンサを個別に設計する必要があるが、この方式を用いることにより、センサ部3を設置する機器が異なり、電波を放射する方向に違いが生じても、センサ部3を個別に設計することなく設置角度を変更することで所定の検知性能を得ることが可能となるため、様々な機器への搭載を容易に行なうことが可能となる。
【0021】
次に、本発明の水栓装置をキッチンへ搭載した実施の形態について示す。図4に、キッチンの受水部であるシンクにセンサ部3を搭載し、センサ部3の設置されたシンク側壁に対して鉛直方向6よりも吐水部1が設置された方向に電波を放射する構成を示す。
キッチンにおいては、水栓を利用するシーンとして、吐水部1に対峙する場所での使用が一般的であるが、シンク側壁に延在する作業スペース14において、食材の加工(切る、混ぜる等の作業)を行うため、作業スペース14に対峙した場所にて吐水部1から吐出される水を利用することも多い。そこで、本発明の水栓装置をキッチンに提供した場合、作業スペース14と隣接するシンク側壁にセンサ部3を設け、センサ部3から送信される電波をキッチンの後方に向けて放射する構成としている。電波をキッチンの後方に向けて放射することにより、例えば、吐水部1と対峙する場所にて調理器具の洗浄を行う場合、調理器具の移動や回転等の動作を行う場所よりも後方に電波を放射することが可能となるため、このような洗浄動作に対してセンサ部3か検知を行い、使用者が予期しないタイミングで吐水を行うことを抑制することが可能となる。また、吐水部1と対峙する場所にいる水栓装置使用者の動き(手の動きや頭の動き、身体のひねり等)や、吐水部1と対峙する場所における人の移動(通過する、接近する、離遠する等)をセンサ部3にて検知して誤吐水/止水を行うことを抑制することが可能なため、使用時における利便性を高めることも可能となる。更に、シンクの左右方向の側壁にセンサ部を設置することにより、吐水部から吐出される吐水流に対して略平行となることなく電波を送信することが可能となる。これにより、使用者が調理器具等の洗浄を終了した際に発生する吐水流のみの状態にて発生する速度を、センサ部にて検知することを抑制することが可能となるため、吐水流のみの状態を検知することによる吐水継続を防止することが可能となるため、使用者が洗浄終了後に止水するのを待つといった行為を回避することも可能となり、調理を円滑に進めることが可能となる。
【0022】
また、センサ部3にて、センサ部3が設置された近傍に手を略静止させることを検出したり、センサ部3が設置された近傍に手を接近させることを検出させることにより吐水の開始を制御する方式を用いることで、センサ部3が作業スペース14と隣接するシンク側面に設置されているため、吐水部1と対峙する場所だけでなく、作業スペース14からも吐水操作を行なうことが可能となるため、調理作業中に吐水部1に対峙する場所に移動することなく吐水を使用することが可能となる。更にセンサ部3をシンク側面に設置し、物体の接近(検知信号の強度が徐々に増大し、周波数が低下する)や略静止(検知信号の強度が大きく増加し、非常に低い周波数の信号が出力)を検知することで吐水開始を行う構成としているため、調理作業時に発生する調理器具の動きや使用者の動きと区別することが可能となるため、吐水における誤検知を低減することが可能となる。
【0023】
また、センサ部3にて、吐水流の乱れ18の有無を検出して、乱れ18が発生した場合には吐水の継続、乱れ18が発生していない場合には止水を行う制御方式を用いる場合には、使用者が洗浄動作を終了した後に別途止水操作を行うことなく次の調理作業を開始することが可能となるため、調理作業時間の短縮や使用者の操作における身体の負荷を低減することも可能となる。この際、本発明においては、電波を吐水部1が設置された側面方向に電波を放射しているため、図5のように使用者が被洗浄物を洗浄中に発生する吐水流の乱れ18は、吐水部方向に流れ、更に水塊となってシンク下方になって落下していくため、電波を送信する方向に吐水流のみの状態と異なる水流の状態を提供することが可能となる。そのため、より吐水流の乱れ18を検出することが容易となり、更に吐水流と異なる形態の水流状態のため、吐水流のみとの識別も容易となり、使用時以外に確実に止水制御を行うことが可能となる。また、シンク内部に調理器具を放置し、放置された調理器具に吐水が衝突することにより発生する吐水流の乱れ18で誤検知を行う可能性があるが、図6のように斜め方向に吐水可能な水栓装置においては、シンク底面への着水点はセンサ部3が設置された場所よりもシンク前方となるため、シンク前方に吐水流の乱れ18が発生し、センサ部3より放射した電波の方向には吐水流の乱れ18が発生しにくくなるため、誤検知による吐水継続を防止することも可能となる。
【0024】
なお、受水部側壁4とは、吐水部1からの吐水流16が着水する受水部底面7の周囲に設置された壁面を指す。また、本発明のように、センサ部3が設置された受水部側壁4の鉛直方向6から吐水部1の設置された側壁方向に電波を傾けて放射するため、本発明の受水部2は吐水部1の設置された側壁、又は吐水部1が設置された側壁と対峙する側壁以外の側壁である。
更に、受水部2のセンサが設置される側壁が平面形状ではなく、例えばR形状を有する場合においては、センサ部3の設置される側壁で、センサ部3と近接する側壁の辺に対して鉛直方向6より吐水部1方向に傾斜して電波を放射することで、側壁が平面の場合と同様の効果を得ることが可能である。
【0025】
以上のように、本発明の水栓装置において、センサ部3が設置された受水部側壁4の鉛直方向6に対して吐水部1が設置された側面方向に電波を放射することにより、センサ部から送信する電波を、吐水部から吐出される吐水流に対して略平行になることなく送信することが可能となるため、吐水流のみの状態に対して吐水継続することなく、確実に止水制御を行うことが可能となると共に、吐水部1と対峙する場所にて頻繁に発生する吐止水を必要としない動作に対して、センサ部3で検知することを抑制することが可能となるため、使用者が意図しないタイミングでの吐止水を低減することが可能となる。また、電波を吐水部方向に向けていることにより、水栓装置近傍における人体の移動(特に通過、接近、離遠)をセンサ部3で検知することを低減することが可能なため、水栓装置を使用しない人の移動に対する誤吐止水を防止することも可能となる。
更に、吐止水を制御するアルゴリズムとの組み合わせにより、更に誤検知を抑制することが可能となると共に、検出した物体の動作を識別することが可能となるものである。
【符号の説明】
【0026】
1…吐水部、2…受水部(キッチンの場合にはシンク)、3…センサ部、4…受水部側壁、5…電波の送信方向、6…鉛直方向、7…入水部底面、8…アンテナ素子、9…伝送線路、10…電波の傾く方向、11…励振方向、12、13…センサ部と受水部側壁との距離、14…作業スペース、15…加熱調理器、16…吐水流、17…調理器具、18…吐水流の乱れ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水部と、
前記吐水部からの吐水流を受水する受水部と、
電波の送受信により被検知体の情報を検知信号として収集するセンサ部と、
前記センサ部からの検知信号に基づき、バルブの開閉により吐止水の制御を行う制御部と、
を有する水栓装置であって、
前記センサ部は、受水部側面に設置され、設置された受水部側面の略鉛直方向に対し、吐水部が設置された側面方向に傾けて電波を放射することを特徴とする水栓装置。
【請求項2】
前記センサ部は、設置する受水部側面に対して傾斜して配置したことを特徴とする請求項1記載の水栓装置。
【請求項3】
前記センサ部は、電波を送信する送信部を有する送信平面を有し、
前記送信平面を含む平面と前記受水部側面とは、ゼロよりも大きく90度よりも小さい角度を成して交差線上で交差し、
前記交差線は、鉛直方向と略平行であり、
前記送信する電波は直線偏波され、
前記送信する電波の励振方向は、前記交差線と略直行し、
前記受水部側面を透過する送信する電波の強度は、前記受水部側面で反射する前記送信する電波の強度よりも高いことを特徴とする請求項1または請求項2記載の水栓装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−203044(P2010−203044A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46368(P2009−46368)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】