説明

水栓

【課題】漏水や結露による水が洗面台等のカウンター上に溜らない構成にすることによりカビ等が発生せず衛生的な水栓を提供することを目的とする。
【解決手段】水栓1の水栓本体1aはカウンター4の上面4aに垂直に据付けられる。水栓本体1aの下部1c全周に水滴を集めて流出させる凹溝30が設けられ、凹溝30は水栓本体1aに沿って設けられる第1の凹溝31と第1の凹溝31から水滴を流出させる第2の凹溝32とで形成される。第1の凹溝31の断面形状は、底面31aと片側面31cとからなるアングル形状であり水栓本体1aを他側面として矩形形状に形成され、幅(内法)W、高さ(内法の)H、厚さTである。第2の凹溝32の断面形状は、底面32aと両側面32cとからなる矩形形状である。凹溝30は連続的に傾斜し第2の凹溝の先端部34が最下点となるように形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面化粧台や流し台等のカウンター上面(天板部)に設けられる水栓に関し、詳しくは、カウンター上面に垂直に取付けられる水栓本体の漏水や結露水が自然に集められてボウルやシンク等に排水される水栓の構成を提供する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗面化粧台や流し台等のカウンター上面に取付けられる水栓の構成については、特許文献1に記載の内容が知られている。
【0003】
この特許文献1によれば、図4、図5に示すように、水栓1はその下端に差し込み部6を有し、差し込み部6は水栓1の外径よりも小径に形成されている。差し込み部6の上部には周方向に沿ってセレーション9が設けられ、このセレーション9によって係合部2が形成されている。
【0004】
係合部2にはセレーション9よりも外側方向に位置決め用突起15が突出して設けられ、さらに、前記差し込み部6の下部には周方向に沿って凹溝部7が設けられる。
【0005】
水栓1の差し込み部6に挿入接続される取付部材5は、筒部5cの上端にフランジ5aを備えた形状で、筒部5cの外周面にねじ部5bと内周面に回り止め係合部3が形成され、さらに外周面下部には取付溝11が形成される。
【0006】
この取付溝11に金属製棒材をコ字状に屈曲させた弾性を有する係合具8が嵌められるようになっている。
【0007】
回り止め係合部3は水栓1に設けられた係合部2を構成するセレーション9と係合可能なセレーション10で形成されており、セレーション9とセレーション10とを相互に係合させることで取付部材5に対して回り止めした状態で水栓1を接続できるようになっている。
【0008】
被取付面としてのカウンター4の上面(天板部)4aには取付孔12が形成されており、この取付孔12に取付部材5の筒部5cを挿入し、カウンターの下面側において筒部5cに座板14を挿着すると共に筒部5cの外周面に設けられたねじ部5bにナット13を螺合することで取付部材5が取付孔12に取付けられる。さらに、取付溝11に前記係合具8を嵌めることにより前記係合具8は前記差し込み部6の下部の凹溝部7と弾性的に固定される。
【特許文献1】特開平6−264478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上記水栓1では、水栓1内部に格納される図示しない止水パッキンからの漏水や、使用水の温度が周囲の温度がよりも低い場合に水栓1外面に発生する結露により、水滴が水栓本体に沿って流れ落ちる場合がある。
【0010】
このため、水栓が取付けられる洗面台や流し台等のカウンター上面に、水滴(水)が溜り水となってカビ等を発生させる要因になるので不衛生であるという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は上記問題を解決して、止水パッキンからの漏水や結露によって洗面台や流し台等のカウンター上面に溜り水が発生しない構成にしてカビ等が発生しない衛生的な水栓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、水栓本体が垂直に据付けられる水栓であって、この水栓本体の下部に水滴を集めて流出させる凹溝を設け、前記凹溝は水栓本体に沿って全周に設けられる第1の凹溝と前記第1の凹溝から水滴を流出させる第2の凹溝とで連続的に形成されることを特徴としている。
【0013】
この水栓であれば、水栓本体に発生する結露やパッキンからの漏水による水滴を水栓本体の下部全周に亘って設けられる第1の凹溝及び第2の凹溝に受けることができる。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載の水栓であって、前記第1の凹溝と前記第2の凹溝からなる前記凹溝は連続的に傾斜し前記第2の凹溝の先端部が最下点となるように形成されることを特徴としている。
【0015】
この水栓であれば、水栓本体に発生する結露やパッキンからの漏水による水滴がスムーズに流れることができる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、水栓本体に発生する結露やパッキンからの漏水による水滴を水栓本体の下部全周に亘って設けられる第1の凹溝に受けることができ、第1の凹溝を経由して第2の凹溝から前記水滴(水)を流出することができるので、洗面台や流し台等のカウンター上面に溜り水が発生することがなくなる。
【0017】
このため、カビ等が発生しない衛生的な水栓が提供できる。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、水栓本体に発生する結露やパッキンからの漏水による水滴がスムーズに流れて、最下点である前記第2の凹溝の先端部から自然に流出させることができるので、請求項1記載の発明の効果と同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<本発明の第1の実施形態>
以下に、本発明の第1の実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。なお、図4、図5に示した構成と同等部分には適宜に同一符号を付して説明する。
【0020】
<水栓の構成>
図1(a)、(b)に示すように、本発明の水栓1は、例えば、洗面化粧台24のボウル25に湯、水を注いで手や顔を洗うために取付けられるカートリッジ式のシングルレバーの(混合)水栓1である。
【0021】
水栓1はシングルレバー22と蛇口23を備え、水栓1の水栓本体1aの内部には(湯、水)混合水栓としての図示しないカートリッジが内蔵される。
【0022】
そして、シングルレバー22を左右に回転して湯と水の割合を調整し、シングルレバー22を上下に移動して水量を加減し、温度と水量が調整された吐水は蛇口23からボウル25に吐出される。
【0023】
ここで、前記水栓1の水栓本体1aはカウンター4の上面4a(天板部)に封水パッキン35を介して垂直に据付けられ、水栓本体1aにはシングルレバー22が左右上下、蛇口23が左右に回転するための隙間20、21が水平に形成されている。
【0024】
この水栓本体1aの下部1c全周(カウンター4の上面4a近傍)に亘って水滴を集めて流出させる凹溝30が設けられる。前記凹溝30は水栓本体1aに沿って全周に設けられる第1の凹溝31と前記第1の凹溝31から水滴を流出させる第2の凹溝32とで連続的に形成される。
【0025】
第1の凹溝31の断面形状は、底面31aと片側面31cとからなるアングル形状であり水栓本体1aを他側面として矩形断面形状に形成され、幅(内法)W、高さ(内法の)H、厚さTである。
【0026】
第2の凹溝32の断面形状は、底面32aと両側面32cとからなる矩形形状であり、幅(内法)W、高さ(内法の)H、厚さTである。
【0027】
第1の凹溝31と前記第2の凹溝32の交差点33においては、互いの側面31c、側面32cが連続して曲線的に一体形成される。
【0028】
そして、前記第1の凹溝31と前記第2の凹溝32からなる凹溝30は連続的に傾斜し前記第2の凹溝の先端部34が最下点となるようにα=略1度で形成される。また、先端部34はカウンター4からボウル25にQ=略2mm突出するのが好ましい。
【0029】
前記第1の凹溝31と前記第2の凹溝32の材質は樹脂或いはステンレス等の錆びない金属が用いられ溶接又は接着剤で水栓本体1aに固着される。
【0030】
<水栓の作用>
水栓1の止水パッキンからの漏水や、使用水の温度が周囲の温度よりも低い場合に発生する結露によって、水滴が水栓本体1aに沿って(伝い水として)流れ落ちても凹溝30によって水滴(水)を集約して溜めることができる。
【0031】
そして、前記第1の凹溝31と前記第2の凹溝32からなる凹溝30は連続的に傾斜し前記第2の凹溝32の先端部34が最下点となるようにα=略1度で形成されるので、水滴(水)を先端部34までスムーズに連続的して流すことができる。
【0032】
また、先端部34はカウンター4からボウル25にQ=略2mm突出する位置なので、水滴(水)は先端部34から確実にボウル25内に流出される。
【0033】
このため、洗面台や流し台等のカウンター4の上面4aに水栓1からの水滴(水)が溜ることがないのでカビ等が発生せず衛生性が向上する。
【0034】
以上、本発明の実施形態を図面に基づいて説明したが、上記の実施例はいずれも本発明の一例を示したものであり、本発明はこれらに限定されるべきでないということはいうまでもない。
【0035】
水栓1の断面形状は必ずしも略円形とは限らず様々な形状が存在するので、前記第1の凹溝31の形状は対象の水栓断面形状に適応して形成される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態における、水栓1に取付けられた第1の凹溝31と第2の凹溝32からなる凹溝30の状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態における、図1のA−A矢視図である。
【図3】本発明の実施形態における、図2のB−B矢視図である。
【図4】従来例における、水栓1の取付け状態を示す分解斜視図である。
【図5】従来例における、水栓1とカウンター4の固着状態を示す一部断面視側面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 水栓
1a 水栓本体
4 カウンター
4a 上面
30 凹溝
31 第1の凹溝
31a 底面
31c 側面
32 第2の凹溝
32a 底面
32c 側面
34 先端部
W 幅
H 高さ
T 厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓本体が垂直に据付けられる水栓であって、
この水栓本体の下部に水滴を集めて流出させる凹溝を設け、前記凹溝は水栓本体に沿って全周に設けられる第1の凹溝と前記第1の凹溝から水滴を流出させる第2の凹溝とで連続的に形成されることを特徴とする水栓。
【請求項2】
請求項1に記載の水栓であって、前記第1の凹溝と前記第2の凹溝からなる前記凹溝は連続的に傾斜し前記第2の凹溝の先端部が最下点となるように形成されることを特徴とする水栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−328771(P2006−328771A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−153138(P2005−153138)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】