説明

水熱交換器

【課題】扁平管による3層管構造を有しており冷媒と水とを熱交換させる水熱交換器において、水管の耐食性を向上させる。
【解決手段】水熱交換器(22)は、1対の冷媒管(41)と水管(42)とを有しており、水管(42)の断面長辺側の側面の両面が1対の冷媒管(41)の断面長辺側の一側面に挟まれて密着されることによって、1対の冷媒管(41)の内部を流通する冷媒が水管(42)の内部の水と熱交換して水管(42)の内部の水を加熱する3層管(43)を構成している。ここで、水管(42)は、ステンレス鋼製である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水熱交換器、特に、扁平管による3層管構造を有しており冷媒と水とを熱交換させる水熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1(特開2010−190564号公報)に示すような、冷媒と水とを熱交換させる水熱交換器がある。この水熱交換器は、1対の冷媒管と水管とを有している。1対の冷媒管は、複数の冷媒流路穴を有する多穴扁平管によって構成されている。水管は、冷媒管が有する冷媒流路穴の数よりも少ない数の水流路穴を有する少穴扁平管によって構成されている。そして、水管の断面長辺側の側面の両面が1対の冷媒管の断面長辺側の一側面に挟まれて密着されることによって、1対の冷媒管の内部を流通する冷媒が水管の内部の水と熱交換して水管の内部の水を加熱する3層管を構成している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の水熱交換器では、扁平管(すなわち、1対の冷媒管及び水管)による3層管構造を有しているため、水と冷媒とを効率よく熱交換させることができるという利点がある。
【0004】
しかし、水管は材質によって水による腐食が生じやすいため、耐食性を高める必要がある。
【0005】
本発明の課題は、扁平管による3層管構造を有しており冷媒と水とを熱交換させる水熱交換器において、水管の耐食性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点にかかる水熱交換器は、冷媒と水とを熱交換させる水熱交換器であって、1対の冷媒管と、水管とを備えている。1対の冷媒管は、複数の冷媒流路穴を有する多穴扁平管によって構成されており、複数の冷媒流路穴を冷媒が流通する。水管は、冷媒管が有する冷媒流路穴の数よりも少ない数の水流路穴を有する少穴扁平管によって構成されており、水流路穴を水が流通する。そして、水管の断面長辺側の側面の両面が1対の冷媒管の断面長辺側の一側面に挟まれて密着されることによって、1対の冷媒管の内部を流通する冷媒が水管の内部の水と熱交換して水管の内部の水を加熱する3層管を構成している。ここで、水管は、ステンレス鋼製である。
【0007】
この水熱交換器では、水管の水による腐食を生じにくくすることができる。
【0008】
これにより、扁平管による3層管構造を有しており冷媒と水とを熱交換させる水熱交換器において、水管の耐食性を向上させることができる。
【0009】
第2の観点にかかる水熱交換器は、第1の観点にかかる水熱交換器において、3層管を直管状でかつ複数とし、第1冷媒ヘッダと、第2冷媒ヘッダと、第1水ヘッダと、第2水ヘッダとをさらに有している。第1冷媒ヘッダは、複数の3層管を構成する冷媒管の長手方向一端部が接続される。第2冷媒ヘッダは、複数の3層管を構成する冷媒管の長手方向他端部が接続される。第1水ヘッダは、複数の3層管を構成する水管の長手方向一端部が接続される。第2水ヘッダは、複数の3層管を構成する水管の長手方向他端部が接続される。そして、各水管は、水管の長手方向一端部及び他端部が曲げ加工されることなく第1及び第2水ヘッダに接続されており、各冷媒管は、冷媒管の長手方向一端部及び他端部が曲げ加工されて第1及び第2冷媒ヘッダに接続されている。
【0010】
3層管を構成している水管をステンレス鋼製にする場合には、ステンレス鋼の強度が高いことから、十分な伝熱面積を確保するために、従来の扁平管による3層管構造の水熱交換器のような3層管を曲げ加工したものとすることに適さないものとなる。
【0011】
そこで、この水熱交換器では、3層管を直管状でかつ複数とし、これらの3層管の長手方向両端部をヘッダ接続する構造を採用している。しかし、このようなヘッダ接続構造を採用する場合には、冷媒管用の第1及び第2冷媒ヘッダと水管とが干渉しないように配置する必要がある。このため、この水熱交換器では、ヘッダ接続構造を採用するとともに、ステンレス鋼製の水管の長手方向両端部を曲げ加工することなく第1及び第2水ヘッダに接続し、冷媒管の長手方向両端部を曲げ加工して第1及び第2冷媒ヘッダに接続する構造を採用している。
【0012】
これにより、扁平管による3層管構造を有しており冷媒と水とを熱交換させる水熱交換器において、水管の耐食性を向上させつつ、しかも、強度の高い水管を曲げることなく、十分な伝熱面積を確保することができる。
【0013】
第3の観点にかかる水熱交換器は、第2の観点にかかる水熱交換器において、冷媒ヘッダ及び水ヘッダの内部には、冷媒及び水が複数の3層管を直列的に流れるように、仕切板が設けられている。
【0014】
この水熱交換器では、冷媒及び水がヘッダを介して複数の3層管を直列的に流れるようになる。
【0015】
これにより、扁平管による3層管構造を有しており冷媒と水とを熱交換させる水熱交換器において、水管の耐食性を向上させつつ、しかも、強度の高い水管を曲げることなく、長尺の3層管を曲げ加工した場合と同等の伝熱性能を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0017】
第1の観点にかかる水熱交換器では、水管の耐食性を向上させることができる。
【0018】
第2の観点にかかる水熱交換器では、水管の耐食性を向上させつつ、しかも、強度の高い水管を曲げることなく、十分な伝熱面積を確保することができる。
【0019】
第3の観点にかかる水熱交換器では、水管の耐食性を向上させつつ、しかも、強度の高い水管を曲げることなく、長尺の3層管を曲げ加工した場合と同等の伝熱性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明にかかる水熱交換器が採用された第1実施形態としてのヒートポンプ式給湯装置の概略構成図である。
【図2】温水熱源ユニットの内部を示す概略断面図である。
【図3】水熱交換器の全体構成図である。
【図4】図3のI−I断面図である。
【図5】図3のII−II断面図である。
【図6】水熱交換器を構成する3層管の拡大断面図である。
【図7】変形例1の水熱交換器の全体構成図である。
【図8】変形例2の水熱交換器の全体構成図である。
【図9】図8のI−I断面図である。
【図10】図8のII−II断面図である。
【図11】変形例3の水熱交換器を構成する水管の断面図である。
【図12】変形例4の水熱交換器を構成する水管の断面図である。
【図13】本発明にかかる水熱交換器が採用された第2実施形態としての温水循環装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明にかかる水熱交換器の実施形態について、図面に基づいて説明する。尚、本発明にかかる水熱交換器の実施形態は、以下に説明する実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0022】
(1)第1実施形態
<ヒートポンプ式給湯装置の全体構成>
図1は、本発明にかかる水熱交換器22が採用された第1実施形態としてのヒートポンプ式給湯装置1の概略構成図である。
【0023】
ヒートポンプ式給湯装置1は、主として、温水熱源ユニット2と、貯湯ユニット3とを有している。
【0024】
温水熱源ユニット2は、主として、圧縮機21と、水熱交換器22と、膨張弁23と、空気熱交換器24とを有しており、これらの機器が接続されることによって冷媒回路20を構成している。
【0025】
貯湯ユニット3は、主として、貯湯タンク31と、水循環ポンプ32とを有している。そして、水熱交換器22と貯湯タンク31と水循環ポンプ32とが接続されることによって水循環回路30が構成されている。
【0026】
<温水熱源ユニット>
図2は、温水熱源ユニット2の内部を示す概略断面図である。
【0027】
図2において、断熱壁2cの右側区画が機械室2aであり、断熱壁2cの左側区画がファン室2bである。機械室2aには、圧縮機21や膨張弁23等が配置されている。ファン室2bには、ファン27が配置されている。ファン27の後方には、ファン27を駆動するモータ(図示せず)が、モータ支持台28に固定された状態で配置されている。ファン室2bの下方には、断熱壁2dを隔てて水熱交換器22が配置されている。水熱交換器22内にて、圧縮機21から吐出される冷媒と、水循環ポンプ32から吐出される水との間で熱交換が行われる。また、図2において、空気熱交換器24は、ファン室2bの左側壁と背面壁に沿って配置されており、空気熱交換器24の右端は機械室2aの中央まで延出している。機械室2aの上部には、制御ボックス4が配置されている。
【0028】
<水熱交換器>
図3は、水熱交換器22の全体構成図である。図4は、図3のI−I断面図である。図5は、図3のII−II断面図である。図6は、水熱交換器22を構成する3層管43の拡大断面図である。
【0029】
水熱交換器22は、冷媒(ここでは、圧縮機21から吐出される冷媒)と水(ここでは、水循環ポンプ32から吐出される水)とを熱交換させる熱交換器であって、主として、1対の冷媒管41と水管42とからなる3層管43を有している。
【0030】
1対の冷媒管41は、複数(ここでは、8つ)の冷媒流路穴41aを有する多穴扁平管によって構成されており、複数の冷媒流路穴41aを冷媒が流通する。尚、冷媒流路穴41aの数は、8つに限定されるものではなく、水管42の水流路穴42aよりも多ければよい。冷媒管41は、アルミニウム又はアルミニウム合金製であり、引き抜き加工や押し出し加工により製造されている。
【0031】
水管42は、冷媒管41が有する冷媒流路穴41aの数よりも少ない数(ここでは、1つ)の水流路穴42aを有する少穴扁平管によって構成されており、水流路穴42aを水が流通する。水管42は、SUS304やSUS316等のステンレス鋼製であり、引き抜き加工や板材の曲げ加工により製造されている。
【0032】
そして、3層管43は、水管42の断面長辺側の側面42bの両面が1対の冷媒管41の断面長辺側の一側面41bに挟まれて密着されることによって構成されている。1対の冷媒管41と水管42とは、ロウ付け接合によって互いに密着している。尚、1対の冷媒管41と水管42との接合は、ロウ付けに限定されるものではなく、接着剤によるものであってもよい。このように構成された3層管43によって、1対の冷媒管41の内部を流通する冷媒と水管42の内部の水との熱交換を行って、水管42の内部の水を加熱するようになっている。
【0033】
このように、この水熱交換器22では、水管42がステンレス鋼製であるため、水管42の水による腐食を生じにくくすることができ、水管42の耐食性を向上させることができる。
【0034】
但し、上記のように、3層管43を構成している水管42をステンレス鋼製にする場合には、ステンレス鋼の強度が高いことから、十分な伝熱面積を確保するために、従来の扁平管による3層管構造の水熱交換器のような3層管を曲げ加工したものとすることに適さないものとなる。
【0035】
そこで、この水熱交換器22では、3層管43を直管状でかつ複数(ここでは、11本)とし、これらの3層管43の長手方向両端部をヘッダ接続する構造を採用している。具体的には、この水熱交換器22では、複数の3層管43とともに、第1冷媒ヘッダ44と、第2冷媒ヘッダ45と、第1水ヘッダ46と、第2水ヘッダ46とが設けられている。第1冷媒ヘッダ44は、複数の3層管43を構成する冷媒管41の長手方向一端部41cが接続される。第2冷媒ヘッダ45は、複数の3層管43を構成する冷媒管41の長手方向他端部41dが接続される。第1水ヘッダ46は、複数の3層管43を構成する水管42の長手方向一端部42cが接続される。第2水ヘッダ47は、複数の3層管43を構成する水管42の長手方向他端部42dが接続される。ここでは、複数の3層管43は、断面長辺側の面が互いに対向した状態で多段に配置されている。そして、複数の3層管43の多段配列の方向に沿って延びる筒状のヘッダ44、46が、複数の3層管43の長手方向一端側(ここでは、一端部41c、42c側)に配置されている。また、複数の3層管43の多段配列の方向に沿って延びる筒状のヘッダ45、47が、複数の3層管43の長手方向他端側(ここでは、他端部41d、42d側)に配置されている。これにより、11組の並列の熱交換流路が形成されている。
【0036】
しかし、このようなヘッダ接続構造を採用する場合には、冷媒管41用の第1及び第2冷媒ヘッダ44、45と水管42とが干渉しないように配置する必要がある。このため、この水熱交換器22では、ヘッダ接続構造を採用するとともに、ステンレス鋼製の水管42の長手方向両端部42c、42dを曲げ加工することなく第1及び第2水ヘッダ46、47に接続し、冷媒管41の長手方向両端部41c、41dを曲げ加工して第1及び第2冷媒ヘッダ44、45に接続する構造を採用している。ここでは、第1及び第2水ヘッダ46、47を直管状の水管42の長手方向両端部42c、42dの先端に対応する位置に配置し、第1及び第2冷媒ヘッダ44、45を、水管42の長手方向に直交する側(図4においては、紙面上側)にずらして配置している。そして、水管42の長手方向両端部42c、42dを第1及び第2水ヘッダ46、47に曲げ加工することなく接続し、冷媒管41の長手方向両端部41c、41dだけを曲げ加工して第1及び第2冷媒ヘッダ44、45に接続している。
【0037】
これにより、この水熱交換器22では、水管42をステンレス鋼製にすることによって水管42の耐食性を向上させつつ、しかも、強度の高い水管42を曲げることなく、十分な伝熱面積を確保することができる。
【0038】
尚、水管42をステンレス鋼製にせずに、水管42の内面に防食コーティングを施すことも考えられる。しかし、この場合には、水管42の構造が複雑になり、また、曲げ加工が許容されるものの、曲げ加工の程度によっては、防食コーティングが剥がれて耐食性が損なわれるおそれもある。このため、この水熱交換器22では、上記のように、水管42の材質自体を防食性のあるステンレス鋼にした構成を採用している。
【0039】
<水熱交換器の変形例>
−1−
上記の水熱交換器22では、複数の3層管43及びヘッダ44〜47によって、複数(具体的には、11本)の並列の熱交換流路が形成して、伝熱面積を確保するようにしている。このため、水熱交換器22に流入した冷媒及び水は、第1冷媒ヘッダ44及び第1水ヘッダ46において11本の3層管43に分岐される。そして、分岐された冷媒及び水は、これらの3層管43を通過した後に、第2冷媒ヘッダ445及び第2水ヘッダ47において合流して、水熱交換器22を流出するようになっている。すなわち、水熱交換器22では、冷媒及び水が3層管43を1回だけ通過するようになっている。
【0040】
しかし、冷媒と水との熱交換条件等によっては、長尺の3層管を曲げ加工した場合と同等の伝熱性能が要求される場合がある。
【0041】
そこで、ここでは、図7に示すように、ヘッダ54〜57の内部に、冷媒及び水が複数の3層管43を直列的に流れるように、仕切板54a、55a、56a、57aを設けた水熱交換器52を採用している。このため、水熱交換器52に流入した冷媒は、第1冷媒ヘッダ54において冷媒仕切板54aによって3本の3層管43に分岐される。そして、分岐された冷媒は、これらの3層管43を通過した後に、第2冷媒ヘッダ55において合流する。そして、合流した冷媒は、第2冷媒ヘッダ55において冷媒仕切板55aによって4本の3層管43に分岐される。そして、分岐された冷媒は、これらの3層管43を通過した後に、第1冷媒ヘッダ54において合流する。そして、合流した冷媒は、第1冷媒ヘッダ54において残りの4本の3層管43に分岐される。そして、分岐された冷媒は、これらの3層管43を通過した後に、第2冷媒ヘッダ55において合流して、水熱交換器52を流出するようになっている。また、水熱交換器52に流入した水は、第2水ヘッダ57において水仕切板57aによって4本の3層管43に分岐される。そして、分岐された水は、これらの3層管43を通過した後に、第1水ヘッダ56において合流する。そして、合流した水は、第1水ヘッダ56において水仕切板56aによって4本の3層管43に分岐される。そして、分岐された水は、これらの3層管43を通過した後に、第2水ヘッダ57において合流する。そして、合流した水は、第2水ヘッダ57において残りの3本の3層管43に分岐される。そして、分岐された水は、これらの3層管43を通過した後に、第1水ヘッダ56において合流して、水熱交換器52を流出するようになっている。すなわち、この水熱交換器52では、冷媒及び水が、仕切板54a、55a、56a、57aが設けられたヘッダ54〜57を介して、3層管43を直列に3回通過するようになっている。
【0042】
これにより、この水熱交換器52では、水管42をステンレス鋼製にすることによって水管42の耐食性を向上させつつ、しかも、強度の高い水管42を曲げることなく、長尺の3層管を曲げ加工した場合と同等の伝熱性能を得ることができる。
【0043】
−2−
上記の水熱交換器22、52では、複数の3層管43が断面長辺側の面が互いに対向した状態で多段に配置されている。しかし、複数の3層管43の多段配置はこれに限定されるものではなく、図8〜図10に示すように、複数の3層管43を断面短辺側の面が互いに対向した状態で多段に配置した水熱交換器62を採用してもよい。
【0044】
この水熱交換器62では、3層管43を直管状でかつ複数(ここでは、8本)とし、これらの3層管43の長手方向両端部をヘッダ64〜67に接続するようにしている。そして、複数の3層管43は、断面短辺側の面が互いに対向した状態で多段に配置されている。そして、複数の3層管43の多段配列の方向に沿って延びる筒状のヘッダ64、66が、複数の3層管43の長手方向一端側(ここでは、一端部41c、42c側)に配置されている。また、複数の3層管43の多段配列の方向に沿って延びる筒状のヘッダ65、67が、複数の3層管43の長手方向他端側(ここでは、他端部41d、42d側)に配置されている。ここでも、ステンレス鋼製の水管42の長手方向両端部42c、42dを曲げ加工することなく第1及び第2水ヘッダ66、67に接続し、冷媒管41の長手方向両端部41c、41dを曲げ加工して第1及び第2冷媒ヘッダ64、65に接続する構造を採用している。具体的には、第1及び第2水ヘッダ66、67を直管状の水管42の長手方向両端部42c、42dの先端に対応する位置に配置し、第1及び第2冷媒ヘッダ64、65を、第1及び第2水ヘッダ66、67よりも水管42の長手方向にさらに遠い側(図9においては、紙面左右側)にずらして配置している。そして、水管42の長手方向両端部42c、42dを第1及び第2水ヘッダ66、67に曲げ加工することなく接続し、冷媒管41の長手方向両端部41c、41dだけを曲げ加工して第1及び第2冷媒ヘッダ64、65に接続している。
【0045】
また、ここでは、ヘッダ64〜67の内部に、冷媒及び水が複数の3層管43を直列的に流れるように、仕切板64a、64b、65a、66a、66b、67aを設けるようにしている。このため、水熱交換器62に流入した冷媒は、第1冷媒ヘッダ64において冷媒仕切板64aによって2本の3層管43に分岐される。そして、分岐された冷媒は、これらの3層管43を通過した後に、第2冷媒ヘッダ65において合流する。そして、合流した冷媒は、第2冷媒ヘッダ65において冷媒仕切板65aによって2本の3層管43に分岐される。そして、分岐された冷媒は、これらの3層管43を通過した後に、第1冷媒ヘッダ64において合流する。そして、合流した冷媒は、第1冷媒ヘッダ64において冷媒仕切板65bによって2本の3層管43に分岐される。そして、分岐された冷媒は、これらの3層管43を通過した後に、第2冷媒ヘッダ67において合流する。そして、合流した冷媒は、第2冷媒ヘッダ67において残りの2本の3層管43に分岐される。そして、分岐された冷媒は、これらの3層管43を通過した後に、第1冷媒ヘッダ64において合流して、水熱交換器62を流出するようになっている。また、水熱交換器62に流入した水は、第1水ヘッダ66において水仕切板66aによって2本の3層管43に分岐される。そして、分岐された水は、これらの3層管43を通過した後に、第2水ヘッダ67において合流する。そして、合流した水は、第2水ヘッダ67において水仕切板67aによって2本の3層管43に分岐される。そして、分岐された水は、これらの3層管43を通過した後に、第1水ヘッダ66において合流する。そして、合流した水は、第1水ヘッダ66において水仕切板66bによって2本の3層管43に分岐される。そして、分岐された水は、これらの3層管43を通過した後に、第2水ヘッダ67において残りの2本の3層管43に分岐される。そして、分岐された水は、これらの3層管43を通過した後に、第1水ヘッダ66において合流して、水熱交換器62を流出するようになっている。すなわち、この水熱交換器62では、冷媒及び水が、仕切板64a、64b、65a、66a、66b、67aが設けられたヘッダ64〜67を介して、3層管43を直列に4回通過するようになっている。
【0046】
この水熱交換器62においても、水熱交換器52と同様に、水管42をステンレス鋼製にすることによって水管42の耐食性を向上させつつ、しかも、強度の高い水管42を曲げることなく、長尺の3層管を曲げ加工した場合と同等の伝熱性能を得ることができる。
【0047】
−3−
上記の水熱交換器22、52、62では、水管42の水流路穴42aが長方形の断面形状を有しているが、水流路穴の断面形状はこれに限定されない。
【0048】
例えば、図11に示すように、水側の伝熱促進を図るために、複数のディンプル48cが形成されることによって、内面に凹凸のある水流路穴48aが形成された水管48と1対の冷媒管41とによって、3層管73を構成し、この3層管73によって水熱交換器72を構成するようにしてもよい。
【0049】
−4−
上記の水熱交換器22、52、62、72では、水管42、48を構成する少穴扁平管が1つの水流路穴42a、48aを有する単穴扁平管であるが、水流路穴の数はこれに限定されない。
【0050】
例えば、図12に示すように、2つの水流路穴49aを有する少穴扁平管から構成される水管49と1対の冷媒管41とによって、3層管83を構成し、この3層管83によって水熱交換器82を構成するようにしてもよい。
【0051】
(2)第2実施形態
<温水循環装置の全体構成>
図12は、本発明にかかる水熱交換器が採用された第2実施形態としての温水循環装置101の概略構成図である。
【0052】
温水循環装置101は、主として、ヒートポンプ回路110と、温水循環回路160と、給湯回路190と、中間圧水熱交換器140と、および、高圧水熱交換器150とを有している。温水循環装置101は、ヒートポンプ回路110によって得られる熱を、温水循環回路160を介して暖房用の熱として利用するだけでなく、給湯回路190を介して給湯用の熱として利用する装置である。尚、ヒートポンプ回路110は、温水熱源装置102に設けられている。
【0053】
<水熱交換器>
中間圧水熱交換器140及び高圧水熱交換器150は、ヒートポンプ回路110を循環するCO2冷媒と、温水循環回路160を循環する水との間で熱交換を行う熱交換器である。尚、中間圧水熱交換器140及び高圧水熱交換器150としては、第1実施形態に採用された水熱交換器22、52、62、72と同様の構成のものが採用されている。
【0054】
<ヒートポンプ回路>
ヒートポンプ回路110は、自然冷媒であるCO2冷媒を用いた冷媒回路である。ヒートポンプ回路110は、主として、低段側圧縮機121と、高段側圧縮機125と、エコノマイザ熱交換器107と、インジェクション路170と、一次冷媒間熱交換器108と、一次バイパス180と、膨張弁105aと、蒸発器104と、ファン104fと有している。
【0055】
中間圧水熱交換器140は、低段側圧縮機121の吐出側と高段側圧縮機125の吸入側との間に接続されている。また、中間圧水熱交換器140の下流側端部と高段側圧縮機125の吸入側との間の冷媒配管には、後述のインジェクション路170からの冷媒配管が合流している。
【0056】
高圧水熱交換器150は、高段側圧縮機125の吐出側と、一次冷媒間熱交換器108を介して膨張弁105a側に向かう一次冷媒の流れ方向における上流側端部との間に接続されている。エコノマイザ熱交換器107は、膨張弁105a側に向かう一次冷媒の流れ方向における下流側端部が、膨張弁105aに向かう一次冷媒の流れ方向における一次冷媒間熱交換器108の上流側端部に接続されている。
【0057】
一次冷媒間熱交換器108は、エコノマイザ熱交換器107を出て膨張弁105aに向かう一次冷媒と、蒸発器104により蒸発された後の冷媒とを熱交換させる熱交換器である。尚、一次冷媒間熱交換器108において、前者の冷媒が流れる流路を一次熱交高圧側流路108aとし、後者の冷媒が流れる流路を一次熱交低圧側流路108bとする。一次冷媒間熱交換器108は、一次熱交高圧側流路108aの下流側端部が膨張弁105aと接続されている。また、一次冷媒間熱交換器108は、一次熱交低圧側流路108bの上流側端部が蒸発器104の下流側端部と接続され、一次熱交低圧側流路108bの下流側端部が低段側圧縮機121の吸入側に接続されている。
【0058】
膨張弁105aは、蒸発器104の上流側端部に接続されている。
【0059】
蒸発器104は、その下流側端部が一次冷媒間熱交換器108の一次熱交低圧側流路108bを介して低段側圧縮機121の吸入側に接続されている。
【0060】
インジェクション路170は、高圧水熱交換器150の冷媒配管下流側端部とエコノマイザ熱交換器107との間の冷媒配管から分岐する冷媒配管である。インジェクション路170は、インジェクション膨張弁173を有している。エコノマイザ熱交換器107では、インジェクション路170を流れインジェクション膨張弁173により減圧された冷媒と、高圧水熱交換器150により放熱された冷媒との熱交換が行われる。すなわち、インジェクション路170を流れる冷媒は、インジェクション膨張弁173により減圧された後に、エコノマイザ熱交換器107により高圧側の冷媒と熱交換を行い、高段側圧縮機125の吸入側と合流することになる。
【0061】
このように、ヒートポンプ回路110では、インジェクション路170が採用されているため、ヒートポンプ回路110の成績係数を向上させることができる。そして、例えば、暖房負荷が小さい場合等、ヒートポンプ回路110の効率向上のための中間圧水熱交換器140における一次冷媒の冷却効果を十分に得られない場合であっても、このインジェクション路170を通過するインジェクション量を増大させることで、運転効率を向上させることができる。尚、ヒートポンプ回路110では、インジェクション路170は、中間圧水熱交換器140と高段側圧縮機125との間において合流しているため、低段側圧縮機121から吐出された高温の一次冷媒は、中間圧水熱交換器140に到達する前に冷却されることがなく、高温状態を維持したままで中間圧水熱交換器140に供給することができる。このため、中間圧水熱交換器140を通過する暖房用の水を十分高温にすることができる。
【0062】
一次バイパス180は、一次冷媒間熱交換器108の一次熱交高圧側流路108aをバイパスしている。一次バイパス180には、一次バイパス膨張弁105bが設けられている。
【0063】
このように、一次バイパス180に一次バイパス膨張弁105bが設けられているため、制御部111は、一次冷媒間熱交換器108側を通過する一次冷媒の量を調節することができる。このため、低段側圧縮機121が吸入する一次冷媒が適当な過熱度を有するように調節することが可能になっている。具体的には、制御部111は、一次バイパス膨張弁105bの弁開度を下げた場合には、一次冷媒間熱交換器108を通過する一次冷媒の流量が増大し、低段側圧縮機121が吸入する一次冷媒の過熱度を上げることができ、これにより、低段側圧縮機121の吐出冷媒温度が目標温度となるために必要となる圧縮比を小さく抑えることができる。また、制御部111は、一次バイパス膨張弁105bの弁開度を上げた場合には、一次冷媒間熱交換器108を通過する一次冷媒の流量が減少し、低段側圧縮機121が吸入する一次冷媒の過熱度を下げることができ、これにより、低段側圧縮機121の吸入冷媒密度が著しく減少して循環量を確保できなくなってしまう事態を回避することができる。
【0064】
<温水循環回路>
温水循環回路160は、二次冷媒としての水が循環している。温水循環回路160は、主として、ラジエータ161と、温水ポンプ163と、温水混合弁164と、温水往き管165と、温水戻り管166と、中間圧側分岐路167と、高圧側分岐路168と、貯湯タンク191と、温水分岐弁192と、給湯側分岐路195とを有している。
【0065】
ラジエータ161及び貯湯タンク191へは、温水分岐弁192が中間圧水熱交換器140又は高圧水熱交換器150により加熱された温水をそれぞれの熱負荷に応じて分流している。
【0066】
ラジエータ161は、暖房を行う対象となる空間に設置されており、内部を二次冷媒としての暖かい水が流れることにより、対象空間の空気を暖めて暖房を行う熱交換器である。ラジエータ161は、温水ポンプ163から送られてくる暖かい水を受け入れるための往き口と、ラジエータ161において放熱した後の水を中間圧水熱交換器140及び高圧水熱交換器150に送り出すための戻り口と、を有している。温水往き管165は、ラジエータ161の往き口と接続されており、温水戻り管166は、ラジエータ161の戻り口と接続されている。
【0067】
給湯側分岐路195において分岐された水は、貯湯タンク191内部の給湯用熱交換部191aにおいて貯湯タンク191内部に貯められた給湯用の水と熱交換を行い、給湯用の水を加熱することにより放熱する。温水戻り管166は、貯湯タンク191の循環戻り口に接続されており、給湯用熱交換部191aにおいて放熱した水は、温水戻り管166へ合流する。ここで、貯湯タンク191には、循環往き口、及び、循環戻り口が設けられている。
【0068】
温水戻り管166は、ラジエータ161または貯湯タンク191における放熱を終えた水を、中間圧水熱交換器140側に送る中間圧側分岐路167と、高圧水熱交換器150側に送る高圧側分岐路168と、に分流させる。
【0069】
貯湯タンク191では、図示しない外部の市水を通じた後、給水管194を介して、常温の水が、貯湯タンク191の下端部近傍から貯湯タンク191内へと供給される。
【0070】
給湯管198は、貯湯タンク191の上端部近傍から貯湯タンク191内に溜められている温水を、図示しない利用される場所まで導く。給湯管198は、貯湯タンク191から利用される場所に向かう流れに合流させる。給水管194は、貯湯タンク191側に向かう流れから給湯バイパス管199により分岐されている。給湯バイパス管199は、給湯管198に設けられた給湯混合弁193に接続されている。給湯混合弁193は、給湯管198を通じて貯湯タンク191から送られてくる温水と、給湯バイパス管199を通じて市水から供給される常温の水と、の混合比率を調節できる。この給湯混合弁193における混合比率が調節されることにより、利用される場所に送られる水の温度が調節される。
【0071】
中間圧側分岐路167において分岐された水は、中間圧水熱交換器140において一次冷媒であるCO2冷媒と熱交換を行い加熱され、温水混合弁164により温水往き管165へ合流する。ここで、中間圧水熱交換器140では、一次冷媒としてのCO2冷媒と、暖房/給湯用二次冷媒としての水とは、互いに対向する方向に流れる。
【0072】
高圧側分岐路168において分岐された水は、高圧水熱交換器150において一次冷媒であるCO2冷媒と熱交換を行い加熱され、温水混合弁164により温水往き管165へ合流する。ここで、高圧水熱交換器150では、一次冷媒としてのCO2冷媒と、暖房/給湯用二次冷媒としての水とは、互いに対向する方向に流れる。
【0073】
<特徴>
上記のように、本実施形態の温水循環装置101を構成する中間圧水熱交換器140及び高圧水熱交換器150として、第1実施形態のヒートポンプ式給湯装置1を構成する水熱交換器22、52、62、72、82と同様の構成のものが採用されている。
【0074】
このため、中間圧水熱交換器140及び高圧水熱交換器150においても、第1実施形態における水熱交換器22、52、62、72、82と同様の作用効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、扁平管による3層管構造を有しており冷媒と水とを熱交換させる水熱交換器に対して、広く適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
22、52、62、72、82 水熱交換器
41 冷媒管
41a 冷媒流路穴
42、48、49 水管
42a、48a、49a 水流路穴
43、73、83 3層管
44、45、54、55、64、65 冷媒ヘッダ
46、47、56、57、66、67 水ヘッダ
140 中間圧水熱交換器
150 高圧水熱交換器
54a、55a、64a、64b、65a 冷媒仕切板
56a、57a、66a、66b、67a 水仕切板
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】特開2010−190564号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒と水とを熱交換させる水熱交換器であって、
複数の冷媒流路穴(41a)を有する多穴扁平管によって構成されており、前記複数の冷媒流路穴を前記冷媒が流通する1対の冷媒管(41)と、
前記冷媒管が有する前記冷媒流路穴の数よりも少ない数の水流路穴(42a、48a、49a)を有する少穴扁平管によって構成されており、前記水流路穴を前記水が流通する水管(42、48、49)と、
を備え、
前記水管の断面長辺側の側面の両面が前記1対の冷媒管の断面長辺側の一側面に挟まれて密着されることによって、前記1対の冷媒管の内部を流通する冷媒が前記水管の内部の水と熱交換して前記水管の内部の水を加熱する3層管(43、73、83)を構成しており、
前記水管は、ステンレス鋼製である、
水熱交換器(22、52、62、72、82、140、150)。
【請求項2】
前記3層管(43、73、83)は、直管状で、かつ、複数あり、
前記複数の3層管を構成する前記冷媒管(41)の長手方向一端部が接続される第1冷媒ヘッダ(44、54、64)と、前記複数の3層管を構成する前記冷媒管の長手方向他端部が接続される第2冷媒ヘッダ(45、55、65)と、前記複数の3層管を構成する前記水管(42、48、49)の長手方向一端部が接続される第1水ヘッダ(46、56、66)と、前記複数の3層管を構成する水管の長手方向他端部が接続される第2水ヘッダ(47、57、67)とをさらに有しており、
前記各水管は、前記水管の長手方向一端部及び他端部が曲げ加工されることなく前記第1及び第2水ヘッダに接続されており、
前記各冷媒管は、前記冷媒管の長手方向一端部及び他端部が曲げ加工されて前記第1及び第2冷媒ヘッダに接続されている、
請求項1に記載の水熱交換器(22、52、62、72、82、140、150)。
【請求項3】
前記冷媒ヘッダ(54、55、64、65)及び前記水ヘッダ(56、57、66、67)の内部には、前記冷媒及び前記水が前記複数の3層管(43、73、83)を直列的に流れるように、仕切板(54a、55a、64a、64b、65a、56a、57a、66a、66b、67a)が設けられている、
請求項2に記載の水熱交換器(22、52、62、72、82、140、150)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−202609(P2012−202609A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67479(P2011−67479)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】