説明

水硬度を制御するための方法及び装置

本発明は、水硬度を制御するための方法、装置、及び組成物に関する。上記方法、装置及び組成物はまた、水垢の形成を減少させる。本発明は、実質的に水不溶性の樹脂材料を含む。上記樹脂材料は、複数のカチオンで充填されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水硬度、及び水垢の形成を制御するための方法、装置及びシステムに関する。特に、本発明は、処理すべき水の組成を実質的に変えることなく、水硬度を制御することを補助する、実質的に水不溶性の樹脂材料を含む方法、装置及びシステムに関する。また、水垢の形成を制御又は減少させる方法が提供される。本発明はまた、例えば、清浄工程において、処理された水を用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄剤は、洗浄剤の清浄活性を改良するための非常に多くの成分を含む。例えば、洗浄剤は、水硬度の影響を打ち消す成分を含むことが多い。硬水は、清浄工程において、表面に膜を形成し、そして洗浄剤成分と反応し、それらを機能的でなくすることにより、洗浄剤の効力を減少させることが知られている。カルシウムは2価のイオンであり、汚染物と結合し、表面に膜を形成し、取り除くことが難しい汚染を形成することが知られている。
【0003】
これを無効にする方法の一つは、硬度を取り扱うために十分な量において、硬水と混合されることを目的とする洗浄性組成物に、キレート剤又は金属イオン封鎖剤を添加することを含む。しかし、多くの例において、上記水硬度は、上記組成物のキレート化容量を上回る。結果として、遊離のカルシウムイオンが、上記組成物の活性成分を浸食し、腐食又は沈殿を生じさせるか、又は他の有害な作用、例えば、乏しい洗浄作用若しくは水垢(lime scale)形成を生じる場合がある。さらに、キレート化剤及び金属イオン封鎖剤(例えば、ホスフェート及びNTA)は、環境又は健康上の課題を有することが見いだされた。
【0004】
現在用いられている水硬度の課題を取り扱う別の方法は、例えば、水軟化ユニット内の樹脂床に結合したナトリウムで、水中のカルシウム及びマグネシウムイオンを交換することによる、イオン交換を経由して、水を軟化させる。カルシウム及びマグネシウムは、軟化剤内の樹脂に付着する。上記樹脂が飽和すると、水に溶解させた大量の塩化ナトリウムを用いて、それを再生させる必要がある。ナトリウムが、カルシウム及びマグネシウムを置換し、添加された塩化ナトリウムのクロリドとともに、塩水溶液内にフラッシュされる。硬水軟化剤が再生すると、それらは、大量の、塩化物と、ナトリウム、カルシウム及びマグネシウム塩を含む塩とを含む廃棄物流を生成し、システム、例えば、それらが処理される下水システム(複数の下流の水再使用用途、例えば、飲用水使用及び農業を含む)に負荷をかける。さらに、従来の硬水軟化剤は、廃棄された地上水において、塩含有量を増大させ、一定の場所において、環境上の課題となっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの態様では、本発明は、水源を取り扱うための装置に関する。上記装置は、第1の処理リザーバに水を供給するための注入口を含む。複数の1種又は2種以上の多価カチオンを充填させた、実質的に水不溶性の樹脂材料を含む水処理組成物が、上記処理リザーバに含まれている。上記装置はまた、第1の処理リザーバに流体接続された放出口を含み、上記放出口は、上記処理リザーバから、処理された水を供給する。いくつかの実施形態では、上記水処理組成物は、上記水と接触した際に、水源から、水硬度イオンを析出させない。いくつかの実施形態では、上記装置は、自動洗浄システム内に配置されている。他の実施形態では、上記装置は、自動洗浄機の上流に配置されている。いくつかの実施形態では、上記自動洗浄機は、自動製品洗浄機、乗物洗浄システム、機器(instrument)洗浄機、定位置清浄システム、食品加工清浄システム、ボトル洗浄機、及び自動洗濯洗浄機から成る群から選択される。
【0006】
他の態様では、本発明は、水を処理するための方法に関し、複数の1種又は2種以上の多価カチオンを充填させた、実質的に水不溶性の樹脂材料を含む水処理組成物を、水源と接触させることを含む。
【0007】
他の態様では、本発明は、製品を清浄するために、処理された水源を用いる方法に関する。上記方法は、水源を処理することを含む。水源を処理するステップは、複数の1種又は2種以上の多価カチオンを充填させた、実質的に水不溶性の樹脂材料を含む水処理組成物を、水源と接触させ、処理された水源を生成することを含む。上記方法は、処理された水及び洗浄剤を用いて使用溶液を生成し、そして製品が清浄されるように、製品を、上記使用溶液と接触させることを含む。
【0008】
さらに他の態様では、本発明は、水性システムにおいて、水垢の形成を減少させるための方法に関し、上記水性システム内の水垢の形成が減少するように、上記水性システムを、複数の多価カチオンを充填させた、実質的に水不溶性の樹脂材料から本質的になる組成物と接触させることを含む。
【0009】
他の態様では、本発明は、水処理デバイスを製造するための方法に関する。上記方法は、下記を含む:実質的に水不溶性の樹脂材料を含む組成物を、処理リザーバに充填するステップ、ここで、上記処理リザーバは、注入口及び放出口を含む;そして上記樹脂材料を消耗させるステップ、ここで、上記樹脂材料を消耗させるステップは、上記樹脂材料の表面に、複数の多価カチオンを充填させることを含む。
【0010】
いくつかの態様では、本発明は、水垢の形成を減少させるための方法に関し、水垢の形成を減少させるように、約10〜約1000ppb(parts per billion)の実質的に水不溶性の樹脂材料を水源に供給することを含む。他の態様では、本発明は、水垢の形成を減少させるための方法に関し、約10〜約1000ppbの、実質的に水不溶性の樹脂材料から得られた水溶性ポリマー材料を、水源に供給することを含む。
【0011】
他の態様では、本発明は、実質的に水不溶性の樹脂材料の供給源から本質的に成る水処理組成物に関し、上記樹脂材料に、周期表の列1a、2a又は3aの元素の供給源から成る群から選択される複数のカチオンを充填させ、上記カチオンは、カルシウムを含まない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の例示的な水処理装置の概略図である。
【図2】図2(図2A及び図2B)は、非処理の水、カルシウムが結合した樹脂で処理された水、マグネシウムが結合した樹脂で処理された水、及び水素が結合した樹脂で処理された水で洗浄された試験ガラスの写真である。
【図3】図3は、本発明の実施形態に従って処理された水を用いた石灰水垢試験の公知の水硬度沈殿デバイス、及び対照試料を用いて処理された水との比較の結果の写真である。
【図4A】図4Aは、種々の水処理を用いた、100回のサイクル試験における、試験ガラスの写真である。
【図4B】図4Bは、種々の水処理を用いた、100回のサイクル試験における、試験ガラスの写真である。
【図5】図5は、種々の水処理を用いて提供されたアルカリ源を用いた、100回のサイクルにおける試験ガラスの写真である。
【図6】図6は、本発明の実施形態に従って、ユースポイント水処理システムを用いて、そして用いず、5日間の試験の後の、ブースター要素の写真である。
【図7】図7は、例6に記載される、溶解した固体の総計対時間のグラフである。
【図8】図8は、例6に記載される、透過水対時間のグラフである。
【図9】図9は、例7に記載される、時間と共にpHの変化のグラフである。
【図10】図10は、例7に記載される、時間と共に、溶解した固体の総量(ppm)のグラフである。
【図11】図11は、1ppm(part per million)の塩素を添加した、例8に記載されるライトボックスに関して測定された水垢の量のグラフである。
【図12】図12は、10ppmの塩素を添加した、例8に記載されるライトボックスに関して測定された水垢の量のグラフである。
【図13】図13は、例8に記載される、1ppmの塩素を添加して測定された有機系炭素の総量のグラフである。
【図14】図14は、例8に記載される、10ppmの塩素を添加して測定された有機系炭素の総量のグラフである。
【図15】図15は、例8に記載される、種々の酸化剤を添加した、種々の、消耗させた樹脂材料の有機系炭素の総量(ppm)のグラフである。
【図16】図16は、例8に記載される、種々の濃度の塩素を添加した、種々の、消耗させた樹脂材料の有機系炭素の総量(ppm)のグラフである。
【図17】図17は、例9に記載される、種々の消耗させた樹脂から、水を用いて処理されたガラスに関して評価したライトボックスのグラフである。
【図18A】図18Aは、例10において記載される、ゲル浸透クロマトグラフィー検討のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
いくつかの態様では、本発明は、水源を取り扱うための装置、及びその方法に関する。上記装置は、水処理組成物を含むことができる。本発明において用いるために好適な水処理組成物は、実質的に水不溶性の樹脂材料を含む。複数の多価カチオンを充填させた樹脂材料が提供される。他の実施形態では、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、周期表のIIIa属に由来する金属カチオン及びそれらの組み合わせから成る群から選択される複数のカチオンを有する樹脂材料が提供されうる。本発明の装置は、水硬度を制御することができ、そして上記装置を用いて処理された水と接触した表面に、水垢の形成を減少させることができる。しかし、他の水硬度制御デバイスと異なり、本発明の装置は、物質を溶液から析出させない。本発明の装置は、イオン交換機構により、水硬度を制御しない。
【0014】
本発明が、より簡易に理解されることができるように、最初に、一定の用語を規定する。
本明細書において、用語「ビルダー」「キレート剤」及び「金属イオン封鎖剤」は、特定のモル比において、硬水イオン(洗浄水から、汚染及び基材が洗浄される)と錯体(可溶性又は非可溶性)を形成する化合物を指す。キレート剤は、トリポリリン酸ナトリウム、EDTA、DTPA、NTA、クエン酸塩等を含む水溶性錯体を形成することができる。金属イオン封鎖剤は、リン酸ナトリウム、ゼオライトA等を含む不溶性錯体を形成することができる。本明細書において、用語「ビルダー」、「キレート剤」及び「金属イオン封鎖剤」は、同義である。
【0015】
本明細書において、用語「キレート剤を含まない」又は「キレート剤を実質的に含まない」は、キレート剤、又は金属イオン封鎖剤を含まないか、あるいは限られた量のキレート剤、ビルダー、又は金属イオン封鎖剤が添加された、組成物、混合物又は材料を指す。キレート剤、ビルダー、又は金属イオン封鎖剤が存在すべきであり、キレート剤、ビルダー、又は金属イオン封鎖剤の量は、約7質量%未満であるべきである。いくつかの実施形態では、キレート剤、ビルダー、又は金属イオン封鎖剤の量は、約2質量%未満、約0.5質量%未満、又は約0.1質量%未満である。
【0016】
本明細書において、用語「効果的な量のキレート剤を欠く」は、水の硬度に明確に影響を与えるために、少なすぎるキレート剤、ビルダー、又は金属イオン封鎖剤を含む組成物、混合物、又は材料を指す。
【0017】
本明細書において、用語「可溶化された水硬度」は、水性システム又は水源に、イオン状態、すなわち、Ca++及びMg++で溶解している鉱物硬度を指す。可溶化された水硬度は、それらが、沈殿した状態である場合、すなわち、水中のカルシウム及びマグネシウムの種々の化合物の溶解性限度が限界を超え、そしてそれらの化合物が、種々の塩、例えば、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムとして沈殿した場合には、硬度イオンを指さない。
【0018】
本明細書において、用語「水溶性」は、1質量%超の濃度で、水に溶解することができる化合物又は組成物を指す。
本明細書において、用語「わずかに可溶性」又は「わずかに水溶性」は、0.1〜1.0質量%の濃度で溶解することができる化合物又は組成物を指す。
【0019】
本明細書において、用語「実質的に水不溶性」又は「水不溶性」は、0.1質量%未満の濃度でのみ、水に溶解することができる化合物を指す。例えば、酸化マグネシウムは、冷水に約0.00062の水溶性(質量%)、そして温水に約0.00860の水溶性(質量%)を有すると、不溶性とみなされる。本発明の方法に用いるための他の不溶性化合物は、例えば:冷水に0.00090の水溶性を有し、そして温水に0.00400の水溶性を有する水酸化マグネシウム;冷水に0.00153の水溶性を有し、そして温水に0.00190の水溶性を有するアラゴナイト;及び冷水に0.00140の水溶性を有し、そして温水に0.00180の水溶性を有するカルサイトを含む。
【0020】
本明細書において、用語「しきい値剤」は、溶液から、硬水イオンの晶出を抑制するが、硬水イオンと特定の錯体を形成する必要のない化合物を指す。これにより、しきい値剤が、キレート剤又は金属イオン封鎖剤から区別される。しきい値剤には、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、オレフィン/マレイン酸のコポリマー等が含まれる。
【0021】
本明細書において、用語「しきい値剤を含まない」又は「しきい値剤を実質的に含まない」は、しきい値剤を含まない、又は限られた量のしきい値剤が添加されている組成物、混合物又は材料を指す。しきい値剤は存在すべきであり、しきい値剤の量は、約7質量%未満であるべきである。いくつかの実施形態では、しきい値剤の量は、約2質量%未満である。他の実施形態では、しきい値剤の量は、約0.5質量%未満である。さらに他の実施形態では、しきい値剤の量は、約0.1質量%未満である。
【0022】
本明細書において、用語「再付着防止剤」は、汚染組成物を清浄すべき物体に再堆積させず、汚染組成物を水中に浮遊させることを手助けする化合物を指す。
【0023】
本明細書において、用語「ホスフェートを含まない」又は「ホスフェートを実質的に含まない」は、ホスフェート又はホスフェート含有化合物を含まないか、あるいはホスフェート又はホスフェート含有化合物が添加されていない、組成物、混合物又は材料を指す。ホスフェート又はホスフェート含有化合物は、ホスフェートを含まない組成物、混合物又は材料の汚染を介して存在し、ホスフェートの量は、約1.0質量%未満であるべきである。いくつかの実施形態では、ホスフェートの量は、約0.5質量%未満である。他の実施形態では、ホスフェートの量は、約0.1質量%未満である。さらに他の実施形態では、ホスフェートの量は、約0.01質量%未満である。
【0024】
本明細書において、用語「リンを含まない」又は「リンを実質的に含まない」は、リン又はリン含有化合物を含まない、あるいはリン又はリン含有化合物が添加されていない組成物、混合物又は材料を指す。リン又はリン含有化合物は、リンを含まない組成物、混合物又は材料の汚染を介して存在し、リンの量は、約1.0質量%未満であるべきである。いくつかの実施形態では、リンの量は、約0.5質量%未満である。他の実施形態では、リンの量は、約0.1質量%未満である。さらに他の実施形態では、リンの量は、約0.01質量%未満である。
【0025】
「清浄」は、汚染除去、漂白、微生物個体群減少、又はそれらの組み合わせを実施するか、又はそれらの助力をすることを意味する。
本明細書において、用語「製品」は、商品、例えば、食器及び調理具及び皿、並びに他の硬質表面、例えば、シャワー、シンク、便器、バスタブ、カウンター、窓、ミラー、輸送用車両、及び床を指す。本明細書において、用語「製品洗浄」は、製品を洗浄すること、清浄すること、又はすすぐことを指す。
本明細書において、用語「硬質表面」は、シャワー、シンク、便器、バスタブ、カウンター、窓、ミラー、輸送用車両、床等を含む。
【0026】
本明細書において、フレーズ「ヘルスケア表面」は、ヘルスケア活動の一部として用いられている機器、デバイス、カート、ケージ、家具、構造物、建築物等の表面を指す。ヘルスケア表面の例には、医療機器又は歯科医療機器の表面、医療用機器又は歯科医用機器の表面、オートクレーブ及び滅菌器の表面、患者の健康をモニタリングするために用いられる電子装置の表面、及び床、壁、又はヘルスケアが行われる構造物の固定物の表面が含まれる。ヘルスケア表面は、病院、手術室、医務室(infirmity room)、分娩室、霊安室、及び臨床診断室に見いだされる。これらの表面は、「硬質表面」(例えば、壁、床、おまる等)、又は布帛表面、例えば、編物、織物、及び不織布表面(例えば、手術用衣服、ドラペリー(draperies)、シーツ及び枕カバー、包帯等)、又は患者管理機器(例えば、人工呼吸器、診断機器、シャント、ボディースコープ、車いす、ベッド等)、又は手術用及び診断機器として典型化されるものであることができる。ヘルスケア表面には、動物のヘルスケアに用いられる製品及び表面が含まれる。
【0027】
本明細書において、用語「機器」は、本発明の方法に従って処理された水を用いて、清浄の利益を受けることができる、種々の医療機器若しくは歯科医療機器又は医療デバイス若しくは歯科医療デバイスを指す。
【0028】
本明細書において、フレーズ「医療機器(instrument)」、「歯科医療機器(instrument)」、「医療デバイス」、「歯科医療デバイス」、「医療機器(equipment)」又は「歯科医療機器(equipment)」は、薬又は歯科学に用いられる機器(instrument)、デバイス、ツール、アプライアンス、装置、及び機器(equipment)を指す。上記機器(instrument)、デバイス、及び機器(equipment)は、冷却殺菌され、浸漬され、又は洗浄され、次いで、加熱殺菌され、あるいは清浄の利益を受ける(本発明に従って処理された水を用いる)。これらの種々の機器(instrument)、デバイス及び機器(equipment)には、診断機器(instrument)、トレイ、パン、ホルダー、ラック、鉗子、はさみ、大ばさみ、のこぎり(例えば、骨用のこぎり及びそれらのブレード)、止血鉗子、ナイフ、のみ、骨鉗子、やすり(file)、ニッパー、ドリル、ドリル用ビット、削り具、バリ(burr)、スプレッダー、ブレーカー(breaker)、エレベーター(elevator)、クランプ、ニードルホルダー、キャリア、クリップ、フック、グージ(gouge)、キューレット、レトラクター、ストライナー(straightener)、パンチ、抽出器、しゃくし、角膜切開刀(keratome)、スパチュラ、エクスプレッサー(expressor)、套管針、拡張器、ケージ、ガラス器具、チューブ、カテーテル、カニューレ、プラグ、ステント、スコープ(例えば、内視鏡、聴診器、及び関節鏡(arthoscope))及び関連機器等、又はそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
本明細書において、用語「洗濯物」は、織物及び不織布、及びテキスタイルに言及する。例えば、洗濯物は、衣類、寝具、タオル等を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
本明細書において、用語「水源」は、本発明の方法、システム及び装置とともに用いることができる水の供給源を指す。本発明において用いるために好適な、例示的な水源には、地方自治体の水源、又は私設の水システムからの水、例えば、公共水道又は井戸が含まれるが、これらに限定されるものではない。上記水は、水道水、井戸水、地方自治体の水システムにより供給された水、私設の水システムから供給された水、及び/又は上記システム又は井戸からの直接の水であることができる。上記水はまた、用いられている水リザーバからの水、例えば、再利用される水の貯蔵のために用いられる再利用リザーバ、貯蔵槽、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、上記水源は、産業用プロセス水でない、例えば、ビチューメン回収操作から生成した水である。他の実施形態では、上記水源は、排水流ではない。
【0031】
本発明の方法、システム、装置、及び組成物は、本発明の成分及び材料、並びに本明細書に記載される他の材料を含む、から本質的になる、又はから成ることができる。本明細書において、「から本質的に成る」は、上記方法、システム、装置及び組成物が、追加のステップ、成分又は材料が、特許請求の範囲に規定される方法、システム、装置及び組成物の基本且つ新規な特徴を実質的に変化させない場合にのみ、追加のステップ、成分、又は材料を含むことができることを意味する。
【0032】
本明細書において、「質量%」、「質量%(wt−%)」、「質量%(percent by weight)」、「質量%(% by weight)」、及びそれらの変形は、物質の質量を、組成物の総質量で除し、そして100を乗じたものとしての、物質の濃度を指す。本明細書において、「パーセント」、「%」等は、「質量%」、「質量%(wt−%)」等と同義であることを意図する。
【0033】
本明細書において、用語「約(about)」又は「約(approximately)」は、例えば、現実の世界における使用溶液又は濃縮物を製造するために用いられる液体取り扱い手順及び典型的な評価を介して;これらの手順における不注意による誤りを介して;上記方法を実施するか、又は上記組成物を製造するために用いられる材料の製造、供給源又は純度における相違を介して生じうる数量の変動を指す。用語「約」はまた、特定の初期混合物から生じる、組成物に関する異なる平衡条件のために異なる量を包含する。用語「約」により改変されるか否かにかかわらず、特許請求の範囲は、均等の量を含む。
【0034】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いられる、単数形「a」、「an」及び「the」は、内容物がそれ以外を明示的に示さない限り、複数形の指示物を含むことに留意すべきである。従って、例えば、「化合物」を含む組成物への参照は、2種又は3種以上の化合物の混合物を含む。また、用語「又は」は、内容物がそれ以外を明示的に示さない限り、「及び/又は」を含むその意味において用いられるのが一般的である。
【0035】
[水処理装置]
本発明は、水硬度を制御するために用いる、装置、組成物、及び方法に関する。いくつかの態様では、本発明の装置及び組成物は、実質的に水不溶性の樹脂材料を含む。特定の理論に結びつけられることを望まないが、上記組成物及び装置が、水源を実質的に変えることなく水硬度を制御すると考えられる。すなわち、本発明の組成物及び装置は、上記水から、物質を析出させることなく、それらは、一般的なイオン交換機構を経由して、水硬度を制御するものでもない。さらに、上記装置は、処理すべき水源の、溶解した固体(TDS)の総量又はpHを実質的に変更しない。
【0036】
本発明の方法及び装置によって処理された水は、下記を含むが、それらに限定されるものではない、複数の有益な効果を有する:硬水が汚染を生じさせうる領域において、汚染及び水垢を減少させる:水垢の形成から、機器、例えば、産業用機器を保護する:一般的な洗浄性組成物とともに用いた場合に、清浄効力を高める:そして下流の清浄工程における、特定の化学物質、例えば、しきい値剤、キレート剤、若しくは金属イオン封鎖剤、又はリンを含むものの必要性を減少させる。
【0037】
いくつかの態様では、本発明の装置及び組成物は、水処理組成物を含む。上記水処理組成物は、様々の物理的形態にありうる。例えば、上記水処理組成物は、シート、ビーズ、又は膜であることができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、上記水処理組成物は、実質的に水不溶性の樹脂材料を含む。種々の樹脂材料が、本発明の装置とともに用いられうる。
【0039】
いくつかの実施形態では、上記樹脂材料は、消耗した樹脂材料である。本明細書において、用語「消耗した樹脂材料(exhausted resin material)」は、水硬度を制御することができるが、イオン交換作用を発揮することができないイオン交換樹脂材料を指す。いくつかの実施形態では、消耗した樹脂材料は、複数の1種又は2種以上の多価カチオンが実質的に充填されている表面を有するので、水源と接触した際に、イオンを交換することができない。本発明の消耗した樹脂材料は、イオン交換機構を介して、水硬度を制御しない。すなわち、消耗した樹脂材料の表面は、複数の多価カチオンが充填されているので、不活性である。
【0040】
上記水処理組成物は、複数の1種又は2種以上の多価カチオンを実質的に充填させた樹脂を含むことができる。本明細書において、用語「多価カチオン」は、2又は3以上の価数を有するカチオンを指す。いくつかの実施形態では、上記多価カチオンは、カルシウム及びマグネシウムイオンの混合物を含む。カルシウム及びマグネシウムイオンは、約1:10〜約10:1、約1:5〜約5:1、約1:3〜約3:1、約1:2〜約2:1、又は約1:1のカルシウムイオン:マグネシウムイオンの比で、上記樹脂材料に充填されうる。いくつかの実施形態では、上記混合物は、2:1のカルシウムイオン:マグネシウムイオンを含む。
【0041】
他の態様では、上記水処理組成物は、実質的に水不溶性の樹脂材料を含み、上記樹脂材料は、複数のカチオンで充填されている。上記カチオンは、周期表の列1a,2a又は3aの元素の供給源から成る群から選択されうる。いくつかの実施形態では、上記カチオンは、カルシウムを含まない。いくつかの実施形態では、上記カチオンは、水素イオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオン、チタンイオン、及びそれらの混合物から成る群から選択される。本発明において用いるための樹脂は、1つ又は1つ超のこれらのカチオンを含むことができ、又は除外することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、上記樹脂材料は、酸カチオン交換樹脂を含む。上記酸カチオン交換樹脂は、弱酸カチオン交換樹脂、強酸カチオン交換樹脂、及びそれらの組み合わせを含むことができる。本発明において用いるために好適な、弱酸カチオン交換樹脂には、架橋されたアクリル酸ポリマー、架橋されたメタクリル酸ポリマー、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、樹脂ポリマーは、添加された、追加のコポリマーを有する。上記コポリマーには、ブタジエン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデン、塩化ビニル、並びにそれらの誘導体及び混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
市販の弱酸カチオン交換樹脂を利用することができ、そしてそれらには、下記が含まれるが、これらに限定されるものではない:Puroliteから入手できるC−107;Dowから入手できるAmberlite IRC 76;Lanxessから入手できるLewatit CNP 80 WS;及びDowから入手できるMAC−3。
【0044】
特定の理論に結びつけられることを望まないが、いくつかの実施形態では、上記樹脂材料が、水源に、実質的に低分子量のポリマー材料を供給すると考えられる。いくつかの実施形態では、上記樹脂材料は、約150〜約100,000の分子量を有するポリアクリレート材料を、水源に供給するアクリル酸ポリマーである。他の実施形態では、上記樹脂材料は、約20,000未満の比較的低分子量を有するポリアクリレート材料を、水源に供給する。
【0045】
上記樹脂材料は、ビーズ、ロッド、ディスク、又は1つ超の形状の組み合わせを含む、任意の形状及びサイズで供給されうる。いくつかの実施形態では、上記樹脂材料は、ゲル型樹脂構造物、マクロ多孔質型樹脂構造物、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される。特定の理論に結びつけられることを望まないが、上記樹脂の粒径が、上記樹脂材料が水硬度を制御する能力に影響を与えうると考えられる。例えば、いくつかの実施形態では、上記樹脂材料は、約0.5mm〜約1.6mmの粒径を有することができる。他の実施形態では、上記樹脂材料は、5.0mmの粒径を有することができる。上記樹脂材料はまた、複数の粒径の混合物、すなわち、大粒子及び小粒子の混合物を含むことができる。
【0046】
水硬度を制御するための、上記樹脂材料の能力に影響を有すると考えられる他の要因には、粒径分布、架橋の量、及び用いられるポリマーが含まれるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、上記樹脂材料が水の硬度を制御する能力は、狭い粒度分布、例えば、1.2以下の均等係数(uniformity coefficient)、又は広い(ガウス)粒径分布、例えば、1.5〜1.9の均等係数が存在するか否かにより影響を受ける。
【0047】
さらに、上記樹脂材料の選択性が改良され、あるイオンから、他のイオンへの親和性を有するように樹脂を調整することができると考えられる。例えば、上記樹脂に含まれる、架橋の量及びポリマーの種類は、樹脂の選択性に影響を与えると考えられる。特定のイオンから、他のイオンへの選択的な親和性は、一定のイオン(例えば、銅)に関する高い親和性が、上記樹脂そのものに対してダメージ(例えば、汚染又は毒)与えうる状況において、有益であることができる。上記樹脂材料は、種々のメカニズム、例えば、イオン又は静電気力(それらに限定されるものではない)により、カチオンを結合することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、アクリル酸ポリマー樹脂材料は、ポリビニル芳香族組成物を用いて架橋される。本発明において用いるために好適なポリビニル芳香族組成物には、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ポリビニルアントラセン、並びにそれらの誘導体及び混合物が含まれる。いくつかの実施形態では、架橋されたアクリル酸ポリマーは、約0.5%〜約25%、架橋されている。他の実施形態では、上記アクリル酸ポリマーは、約8%未満、約4%未満、又は約2%未満、架橋されている。
【0049】
いくつかの実施形態では、上記樹脂は、活性位置に結合されたH+イオンを有する、弱酸カチオン交換樹脂を含む。次いで、上記樹脂を、消耗させる、すなわち、種々の方法、例えば、水源を多価カチオンに通すことにより、複数の多価カチオンを充填させる。いくつかの実施形態では、複数の多価カチオンは、上記水源に存在する、カルシウム及びマグネシウムを含むが、それらに限定されるものではない。特定の理論に結びつけられることを望まないが、水を、上記樹脂上に通すと、水中のカルシウムイオン及びマグネシウムイオンが、上記樹脂と結合し、それにより、それらを中和すると考えられる。この時点で、上記樹脂は消耗する、というのは、上記樹脂は、もはや、水源とイオンを交換することができないからである。
【0050】
本発明において用いるための水処理装置の例を、図1に示す。水処理装置の概略図が、符号10により示されている。上記装置は、下記を含む:水源を、処理リザーバ14に供給するための注入口12;水処理組成物16を含む、処理リザーバ14;処理された水を、上記処理リザーバから供給するための放出口18;及び処理された水搬送ライン20。いくつかの実施形態では、上記処理された水搬送ライン20は、水を、選択された洗浄システムに供給する。他の実施形態では、処理された水搬送ライン20は、水を、追加の水処理装置に供給する。いくつかの実施形態では、放出口と、処理された水搬送ラインとの間に、フィルターがない。フォロー制御デバイス22、例えば、バルブ24を、処理された水搬送ライン20内に供給し、処理された水が、選択された最終用途デバイス、例えば、洗浄システム、又は別の水処理デバイス、例えば、炭素フィルター、逆浸透フィルターに流れることを制御することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、上記水処理組成物は、処理リザーバ内に含まれうる。水処理組成物を保持することができるリザーバを、処理リザーバとして用いることができる。上記リザーバは、例えば、槽、カートリッジ、種々の物理的な形状若しくはサイズのフィルター床、又はカラムであることができる。他の実施形態では、上記処理リザーバは、上記水処理組成物を含む、メッシュバッグを含むことができる。さらに他の実施形態では、上記樹脂材料を、固形基材に結合させるか、又は付着させることができる。上記基材は、流動(flow−through)フィルター型パッド、又は紙を含むことができるが、それらに限定されるものではない。上記基材はまた、流動化されうる微粒子であることができる。
【0052】
上記処理リザーバは、処理リザーバに水を供給するための注入口と、所望の最終用途位置、例えば、洗浄デバイス、別の水処理デバイスに処理された水を供給するための放出口とを含むことができる。いくつかの実施形態では、上記注入口は、リザーバの底に配置され、そして上記放出口は、リザーバの最上部に配置される。これにより、水が、上記処理リザーバ内に含まれる水処理組成物を介して上方に流れることができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、上記処理リザーバは、水処理組成物の攪拌された床を含む。上記組成物を攪拌するための方法は、例えば、流動化、機械的撹拌、空気噴霧、排出流(eductor flow)、バッフル、流動遮蔽物(flow obstructor)、静的ミキサー、高逆流洗浄、再循環、及びそれらの組み合わせによる、カラムを介した水の流れを含む。上記処理リザーバは、さらに流動化された床を可能とするために、底に含まれる組成物の上部に、ヘッドスペースをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、上記樹脂材料は、樹脂材料の流動化及び/又は攪拌を最大化するために、水の密度よりもわずかに高い密度を有する。
【0054】
いくつかの実施形態では、上記注入口は、加圧されたスプレーノズル又は排出ノズルをさらに含むことができる。上記スプレーノズルは、上記水を、高い圧力で、上記処理リザーバに供給することができる。この高い、加圧された力により、水処理組成物の攪拌が増えることができ、そして排出ノズルを介して、樹脂を循環させることができる。いくつかの実施形態では、上記スプレーノズルは、約5フィート/分〜約200フィート/分の速度で、上記処理リザーバに水を供給する。
【0055】
本発明の水処理装置は、一般的なイオン交換硬水軟化剤と比較して、速い水速度を取り扱うように設計される。例えば、一般的なイオン交換デバイスは、約0.3〜約3.0フィート/分の水速度の流速用に設計される。この流速は、イオン交換工程が生ずるために、イオンが、水から樹脂の表面に拡散するための時間を考慮に入れるために重要である。特定の理論に結びつけられることを望まないが、本発明の水処理装置は、イオン交換機構により作動しないので、上記装置を介して、流速を早めることができると考えられる。すなわち、例示的な本発明の装置を用いると、イオン交換のために十分な時間が必要ない。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の装置は、約5〜約200フィート/分、約20〜約175フィート/分、又は約50〜約150フィート/分の速度により流れることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、上記処理リザーバは、移動式の、交換可能なカートリッジを含む。本発明の装置は、水硬度を制御することができるが、一般的な水処理デバイス、例えば、イオン交換デバイスと比較して、処理リザーバ内の、少ない量の水処理組成物を要求する。例えば、いくつかの実施形態では、上記処理リザーバの上記組成物の床深さは、約2フィート未満、又は約1.5フィート未満である。イオン交換水軟化用途に用いられる一般的な弱酸樹脂は、約2〜約20ガロン/分の水処理速度に関して、2.6フィートの床深さに設計される。
【0057】
本発明の装置は、1つ又は2つ以上の処理リザーバを含むことができる。例えば、同一又は異なる水処理組成物を含む、2、3又は4つの処理リザーバを用いることができる。1つ又は2つ以上の処理リザーバは、任意の配列で供給されることができ、例えば、それらは、直列に、又は並列に供給されることができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、処理リザーバ全体が、交換可能且つ置換可能であることができる。他の実施形態では、上記処理リザーバは、上記処理リザーバに含まれる水処理組成物が交換可能且つ置換可能であるように構成されうる。いくつかの実施形態では、上記処理リザーバは、取り外し可能な、移動式の、置換可能な、水処理組成物を含むカートリッジを含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、追加の機能性材料は、上記処理リザーバ内に含まれうる。上記追加の機能性材料は、上記処理リザーバ内に含まれることができ、又はそれらは、外部供給源、例えば、追加の機能性材料注入口から、上記処理リザーバに供給されうる。上記追加の機能性材料は、処理すべき水源が処理装置に入る前に、上記水源に直接添加されうる。あるいは、上記水源をリザーバに通す前に、追加の材料を添加することができる。
【0060】
本発明の装置とともに用いるために好適な、追加の機能性材料は、上記水処理組成物、処理すべき水源、又はそれらの任意の組み合わせに有益な特性を与える、任意の材料を含む。例えば、触媒の「接合」、すなわち、触媒が水源と接触した際に、粒子の凝集を予防することを助力する機能性材料を、添加することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、追加の機能性材料として、酸化剤が含まれる。本発明の装置及び方法とともに用いるための酸化剤には、ハロゲン及びハロゲン元素が豊富な物質が含まれるが、これらに限定されるものではない。本発明の装置及び方法とともに用いるための例示的な酸化剤には、酸素、オゾン、塩素供給源、例えば、次亜塩素酸塩、フッ素、ヨウ素、臭素、種々の過酸化物、例えば、過酸化水素、硝酸及び一酸化窒素が含まれるが、これらに限定されるものではない。他の実施形態では、上記水源が処理装置に進入する前、又は実質的に同時に、ガス状酸化剤が、上記水源に供給される。例えば、空気ポンプ又はアスピレーターを経由して、上記装置の前に、酸素含有エアーを、水源に注入することができる。
【0062】
[使用の方法]
いくつかの態様では、本発明は、水硬度を制御する、そして/又は水垢の形成を減少させる方法を提供する。上記方法は、実質的に水不溶性の樹脂材料を含む水処理組成物を、水源と接触させることを含むことができる。いくつかの実施形態では、上記水処理組成物が、処理リザーバ内に含まれる。他の実施形態では、上記水処理組成物に、複数の多価カチオンを充填させる。
【0063】
上記接触させるステップには、水源を、水処理組成物上、又はその中を通すことが含まれうるが、それに限定されるものではない。上記水処理組成物は、本発明の装置の処理リザーバ、例えば、カラム、カートリッジ、メッシュバッグ又は槽に含まれうる。接触時間は、種々の要因、例えば、水源のpH、水源の硬度、及び水源の温度によって決まる。
【0064】
いくつかの実施形態では、上記方法は、組成物を接触させるステップの前に、水源を加熱することを含む。水源を加熱する任意の手段を、本発明の方法及び装置とともに用いることができる。いくつかの実施形態では、上記水を、約30℃〜約90℃の温度に加熱する。
【0065】
他の実施形態では、本発明の方法は、水源のpHを上げるステップを含むことができる。水源のpHを上げるステップは、水処理組成物を接触させるステップの前、上記組成物を接触させるステップの際、又は上記組成物を接触させるステップの前且つその際の両方に実施することができる。例えば、水処理組成物を接触させるステップの前に、水源のpHを上げるために、カルサイト源を、上記水源に添加することができる。接触させるステップの際、水源のpHを上げるために、カルサイト源を、上記処理リザーバに添加することができる。水源のpHを、例えば、約8〜約10のpHに上げることができる。
【0066】
本発明の方法、装置及び組成物を、種々の目的のために用いることができる。例えば、本発明の水処理方法を用いるための装置を、家庭又はビジネスの主要な水に接続することができる。上記装置は、温水ヒータの前、又は温水ヒータの後のラインに用いることができる。従って、本発明の装置を用いて、暖かい、冷たい、そして室温の水源において、水硬度を制御し、そして/又は水垢の形成を減少させることができる。
【0067】
上記水が一度処理されると、処理された水を、上記装置の、処理された水搬送ラインから、自動洗浄機に供給することができる。上記装置は、洗浄機に対して種々の位置に配置することができる。例えば、上記装置を、洗浄機の原材料ラインから上流に、又は洗浄機内にあることができる。本発明の装置及び方法とともに用いるために好適な、例示的な自動洗浄機には、自動製品洗浄機、乗物洗浄システム、機器(instrument)洗浄機、定位置清浄システム、食品加工清浄システム、ボトル洗浄機、及び自動洗濯洗浄機が含まれるが、これらに限定されるものではない。あるいは、処理された水を、手動の洗浄システムにおいて用いることができる。本発明の方法に従って処理された水の使用の利益を受けるであろう、任意の自動洗浄機又は手動の洗浄工程を用いることができる。
【0068】
本発明の水処理方法及び装置を、種々の産業及び家庭用途に用いることができる。上記水処理方法及び装置を、居住環境又は商業上の環境、例えば、レストラン、ホテル、病院に用いることができる。例えば、本発明の水処理方法、システム、又は装置は、下記に用いることができる:製品洗浄用途、例えば、食器及び調理具及び他の硬質表面、例えば、シャワー、シンク、便器、バスタブ、カウンター、窓、ミラー、及び床の洗浄;洗濯用途、例えば、前処理、洗浄、酸処理、軟化、及び/又はすすぎ段階における、自動繊維洗浄機内で用いられる水の処理;乗物ケア用途、例えば、乗物を、事前すすぎ、例えば、アルカリ性予浸、洗浄、研磨、及びすすぎのために用いられる水の処理;産業用途、例えば、タワー、ボイラー、熱交換機を含む産業用機器;食品サービス用途、例えば、コーヒーメーカー及び紅茶製造器、エスプレッソマシーン、製氷機、パスタ調理器、温水器、ブースターヒーター、スチーマー及び/又はプルーファー(proofer);ヘルスケア機器(instrument)ケア用途、例えば、外科機器(instrument)の浸漬、清浄、及び/又はすすぎ、オートクレーブ滅菌器に対する給水の処理;及び種々の用途、例えば、加湿器、温水浴槽、及びスイミングプール。いくつかの実施形態では、本発明の装置を用いて、製氷機に供給される水を処理することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、本発明の水処理方法及びシステムを、使用のポイントで適用することができる。すなわち、本発明の水処理組成物、方法、システム又は装置を、適用の上流の水源、例えば、洗浄システムに適用することができる。いくつかの実施形態では、上記水処理を、水源の所望の最終用途の前に、即適用する。例えば、本発明の装置は、家族用又はレストラン用アプライアンス、例えば、コーヒーメーカー、エスプレッソマシーン、製氷機に接続されているウォーターラインに用いることができる。本発明の方法を用いる装置を、洗浄システム内に配置することができる。
【0070】
本発明の装置はまた、水源を用いるアプライアンス、例えば、自動又は手動洗浄システムに組み込まれた水処理システム、コーヒーメーカー、製氷機、スチームテーブル、ブースターヒーター、食料品店の噴霧器、加湿器、又は処理された水の利益を受けうる他の任意のシステムの一部として含まれる。本発明の装置は、本発明の装置の処理の利益を受けるであろう水源を提供することができる、任意のアプライアンス又はデバイスとともに用いられうる。例えば、上記装置を、ホース、例えば、ガーデンホース、又は電解セルに供給される処理水とともに用いることができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、処理リザーバを含む本発明の装置を、種々の方式で、洗浄機をともに用いることができる。いくつかの実施形態では、上記処理リザーバが、洗浄剤分注デバイスに接続されることができる。上記処理リザーバを用いて、洗浄機の洗浄システム及び/又はすすぎシステムに、処理された水を供給することができる。いくつかの実施形態では、上記処理リザーバを用いて、処理された水及び洗浄剤の混合物を、洗浄システムに供給することができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、処理された水を、洗浄性組成物と組み合わせることができ、そして当該組み合わせを、使用溶液として、洗浄機に供給する。処理された水源の使用は、非処理の水源の使用と比較して、下流の清浄工程に、多くの優位性を有する。例えば、本発明の方法に従って処理された水源の使用は、一般的な洗浄剤の効力を高める。石けん及び洗浄剤が結合した硬度イオンが、水垢又は浮きカスを形成することが知られている。さらに、硬度イオンは、石けん及び洗浄剤と形成する石けんの泡の量を制限する。特定の理論に結びつけられることを望まないが、これらの硬度イオンの量を減少させることにより、これらの有害な副作用が減少することができると考えられる。
【0073】
さらに、処理された水源の使用はまた、特定の環境にやさしい洗浄性組成物、例えば、ビルダー、キレート剤若しくは金属イオン封鎖剤、又はリンを含まない若しくは実質的に含まないものを可能とする。
【0074】
任意の洗浄性組成物を、本発明に従って処理された水とともに用いることができる。例えば、清浄組成物、すすぎ剤組成物又は乾燥剤組成物を、処理された水と混合して、使用溶液を生成することができる。次いで、清浄及び/又はすすぐべき製品を、上記使用溶液と接触させる。例示的な洗浄剤組成物には、製品洗浄用洗浄剤組成物、洗濯洗浄剤組成物、CIP洗浄剤組成物、環境用清浄組成物、硬質表面用清浄組成物(例えば、カウンター又は床の上に使用するためのもの)、自動車洗浄組成物、及びガラス清浄組成物が含まれる。例示的なすすぎ剤組成物には、表面、例えば、ガラスの縞又は膜を減少させるために用いられる組成物が含まれる。例示的な乾燥剤組成物には、脱水組成物が含まれる。乗物洗浄産業では、脱水ステップを含むことが望ましい場合が多く、そこでは、シーティング(sheeting)又はビーディング(beading)薬剤が、乗物外面に適用される。
【0075】
いくつかの実施形態では、本発明の方法とともに用いるための洗浄性組成物は、キレート剤、ビルダー、金属イオン封鎖剤、及び/又はしきい値剤、例えば、アミノカルボン酸、縮合リン酸塩、ホスホン酸塩、ポリアクリレート等を実質的に含まない洗浄剤を含む。特定の理論に結びつけられることを望まないが、本発明の方法及び装置は、洗浄剤とともに用いた場合に、上記水源の硬度イオンの影響を減少させることができるので、硬度イオンを取り扱うために、洗浄剤組成物中のキレート剤、ビルダー、金属イオン封鎖剤又はしきい値剤を含む必要を実質的に減少させるか、又は排除する。
【0076】
いくつかの実施形態では、上記洗浄性組成物は、他の添加剤、例えば、一般的な添加剤、例えば、漂白剤、硬化剤又は溶解性調整剤、消泡剤、再付着防止剤、しきい値剤、安定化剤、分散剤、酵素、界面活性剤、美観強化剤(すなわち、色素、香料)等を含むことができる。アジュバント及び他の添加剤材料は、製造すべき組成物の種類に従って変わる。これらの添加剤は所望によるものであり、そして清浄組成物に含まれる必要はないことが理解されるべきである。それらが含まれる場合には、それらは、特定の種類の成分の効果を提供する量で含まれることができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、本発明の装置及び方法を用いて、水を処理し、次いで、別の水処理デバイスに供給することができる。すなわち、いくつかの実施形態では、本発明の装置を、水処理デバイスの上流に配置する。例示的な水処理デバイスには、逆浸透水処理デバイス、熱交換水処理デバイス、炭素フィルター、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
いくつかの態様では、本発明はまた、本発明の水処理デバイスを製造するための方法を提供する。上記方法は、実質的に水不溶性の樹脂材料を含む水処理組成物を、処理リザーバに充填することを含む。上記処理リザーバは、注入口及び放出口を含む。上記方法は、上記樹脂材料を消耗させることをさらに含む。樹脂材料を消耗させるステップは、上記樹脂材料の表面に、複数の多価カチオンを充填させることを含むことができる。
【0079】
他の態様では、本発明は、水垢の形成を減少させる方法を提供する。上記方法は、製品が処理された水源と接触した場合に水垢の形成が減少するように、効果的な量の、実質的に水不溶性の樹脂材料を水源に供給することを含む。いくつかの実施形態では、効果的な量の、実質的に水不溶性の樹脂は、約10〜約4000、約10〜約2000、約10〜約1000、又は約10〜約600ppbの上記材料を含む。いくつかの実施形態では、上記効果的な量は、非増粘量である。それは、洗浄剤使用溶液内に供給された場合に、洗浄剤使用溶液を実質的に増粘しない量である。
【0080】
他の態様では、本発明は、効果的な量の水溶性ポリマー材料を供給することを含む、水垢の形成を減少させるための方法を提供する。いくつかの実施形態では、上記ポリマー材料は、水処理組成物、例えば、実質的に水不溶性の樹脂材料から得られる。他の実施形態では、上記ポリマー材料は、ポリアクリレート材料を含む。いくつかの実施形態では、上記ポリアクリレート材料は、実質的に低分子量のポリアクリレート材料を含む(上記水源に対して)。いくつかの実施形態では、効果的な量の上記水溶性低分子量ポリマー材料は、約10〜約4000、約10〜約2000、約10〜約1000、又は約10〜約600ppbの上記材料を含む。他の実施形態では、上記効果的な量は、非増粘量である。それは、洗浄剤使用溶液内に供給された場合に、洗浄剤使用溶液を実質的に増粘しない量である。
【実施例】
【0081】
本発明を、具体的な説明のみを目的とする下記例において詳細に説明する。特に断りのない限り、下記例において報告される、全ての部、パーセンテージ、及び比率は、質量基準であり、そして実施例で用いられる全ての試薬は、以下に記載される化学物質供給業者から購入できるか、若しくは入手でき、又は一般的な技法により合成することができる。
【0082】
[例1]
3種の、1ポンドの樹脂試料を、それらに、H+、Ca++、及びMg++を充填させることにより調製した。マグネシウムを充填させた試料を、次の手順で調製した。Lanxess Companyから購入した弱酸カチオン樹脂、Lewatit S8528を、500グラムのNaOHビーズ及び2500mLの軟水に、24時間浸漬した。pHは、約12〜13であった。浸漬後、次いで、上記樹脂を、すすぎ水のpHが11未満となるまで,軟水で3回、完全に洗浄した。上記樹脂を、4日間、700グラムのMgCl2−6H2O組成物を有する、2500mLの軟水に浸漬した。上記樹脂を、軟水で3回、完全にすすいだ。すすぎ水の最終pHは、約7.5〜8.5であった。
【0083】
Ca++を上記樹脂に充填するため、上記樹脂を、CaCl2組成物に浸漬した以外は、Mg++樹脂に関して記載されるのと同一の手順を用いた。上記樹脂のH+形態は、上記樹脂そのものであり、そこに充填されたカチオンを有しない。
【0084】
次いで、水を、各樹脂試料で処理し、そして製品洗浄機内の水垢の傾向に関して比較した。そのようにして、食器洗い機への給水を、3つに分離しているが、等価の試験において、H+弱酸カチオン樹脂、Ca++弱酸カチオン樹脂、又はMg++弱酸カチオン樹脂で処理した。最初に、各樹脂試料を、流水リザーバに通して、硬水(17gpg)に通し、消耗させることにより、前調製した。約1000ガロンの水を流した後、上記樹脂/リザーバシステムを、食器洗い機に接続し、そしてガラス器具上の水垢の傾向に関して評価した。この対照試験の結果を、図2Aに示す。この皿洗い機(dishmachine)/ガラス器具水垢試験の後、硬水を流水リザーバに通し、追加の4000ガロンを消耗させることにより、上記樹脂試料をさらに調製し、それにより、各樹脂は、総計約5000ガロンの水を処理した。上記水の水硬度を測定することにより、この時点において、上記樹脂の容量を確認した、すなわち、処理後の水中のカルシウム及びマグネシウム量は、処理前と同一であった。
【0085】
次いで、第2の皿洗い機/ガラス器具水垢試験を、洗浄剤無しでさらに実施し、そしてそれらの結果を、図2Bに示した。
【0086】
対照のガラス(図示せず)は、顕著な水垢を有していた。図2A及び2Bのそれぞれにおける、左から最初の2つのガラスは、H+が結合した樹脂で処理された。それぞれの図において、左から3番目及び4番目のガラスは、Ca2+が結合した樹脂で処理され、そしてそれぞれの図において、左から5番目及び6番目のガラスは、Mg2+が結合した樹脂で処理された。図2Aに示されるように、H+樹脂及びMg2+樹脂は、あらかじめ1000ガロンの水を処理した樹脂を用いた試験において、水垢は認識できなかった。2つのCa2+樹脂は、水垢を明らかに認識することができた。上記樹脂システムのそれぞれが、5000ガロンの水をあらかじめ処理した図2Bを参照すると、H+樹脂は、ガラス器具にわずかな水垢を生じた。Ca2+樹脂は、わずかに多い水垢を示し、そしてMg2+樹脂は、ほとんど又は全く認識できる水垢を示さなかった。
【0087】
[例2]
17グレーン(grain)の水硬度を有する水を、2ポンドの、Wattsから市販されるWatts OneFlow Mediaで、約5ガロン/分の速度で処理した。さらに、17グレーンの水硬度を有する水を、同一の条件において、本発明に従うマグネシウムを充填した弱酸樹脂で処理した。800ppmの炭酸ナトリウムを含むアルカリ源を、これらの水試料のそれぞれ、並びに非処理の水の対照試料に添加した。結果を、図3に示す。この図に示されるように、対照及びWattsの処理された水の両方が、水硬度の沈殿を示した。本発明に従って処理された水(最も右側のビーカーとして示される)は、沈殿の兆候を示さなかった。
【0088】
[例3]
種々の市販の水処理材料を用いた、石灰水垢形成制御を測定するための試験を実施した。2つの別個の試験を実施した。第1の試験は、100サイクルの食器洗い機試験であった。ドア型の皿洗い機(Hobart AM−15)を用いた。選択された試験装置を、食器洗い機への注入水に接続し、装置に関するすすぎ水の全てを処理した。注入水は、17グレーンの硬度を有していた。ガラス器具を、ガラス器具ラック内の食器洗い機内部に置いた。上記装置を、100サイクルに関して、通常通り運転した。この試験では、上記処理装置以外の、化学物質、例えば、洗浄剤、すすぎ助剤は用いなかった。100サイクルが完了した後、上記ガラス器具を取り出し、そして空気乾燥させた。上記ガラスの写真を撮影した。ライトボックスを用いて、存在する水垢の量に直接相関する、反射率を測定した。写真及びライトボックスの評点を、種々の水処理試験に関して比較した。ライトボックス評点が、10,000異なることは、顕著であるとみなされる。
【0089】
この100サイクル試験の間、次の媒体を試験した:Dowから市販されるAmberlite IRC 76;Lanxessから市販される、Lewatit S−8528;Wattsから市販される、Watts OneFlow Media;及びCWG USAから市販される、Filtersorb SP3。結果を、図4A及び4Bに示す。
【0090】
これらの図に示されるように、IRC−76及びLanxess樹脂を用いて、相対的に良好な結果、すなわち、少ない水垢が達成された。図4Bに示されるように、Watts及びFiltersorb材料を用いて、乏しい結果が達成された。
別の試験を実施し、清浄性化学物質が存在する適用において、石灰水垢制御を評価した。この試験は、上述の100サイクル試験と同様の手順で実施されたが、850ppmの炭酸ナトリウムを、皿洗い機の洗浄槽に添加した。このアルカリの水準を、試験全体を通して維持した。また、試験は、10サイクルのみ実施した。
【0091】
この試験の結果を、図5に示す。この図に示すように、OneFlow Media及びSP−3 Mediaと比較して、消耗させたIRC−76及びLanxess樹脂を用いて、良好な結果が得られた。
【0092】
[例4]
アルカリ性条件下で、硬水における水垢を予防するための薬物の能力を測定するための実験を行った。17グレーンの硬水を、用いられた、Mg+を充填した樹脂(例1において上述した樹脂)から取り出した薬物0.4mgと混合することにより、試験薬物を生成した。特定の理論に結びつけられることを望まないが、上記樹脂から取り出された薬物は、少なくとも部分的に、ポリアクリレート材料を含む有機材料を含んでいたと考えられる。この例の目的のために、手動で取り出した、すなわち、上記樹脂表面から抜き取ったが、実際には、この材料は、水を、上記樹脂の上、又は中を通すことにより、上記樹脂から取り出されるであろうと考えられる。
【0093】
取り出された0.4mgは、この材料の800ppbに等しかった。0.1グラムの濃い灰分(200ppm灰分)を、この溶液に添加した。上記溶液を攪拌し、そして水垢の形成、例えば、溶液の曇り度に関して観察した。上記試験溶液を、当該試験溶液と同等料の灰分と、17グレーンの硬水とを含む対照溶液と比較した。上記溶液を、2分及び5分において観察した。2分時点で、上記試験溶液は、澄んだままであったが、対照溶液は、濁った、白い外観を有していた。5分時点で、上記試験溶液は、当初観察されたよりも、わずかに曇ったが、高い曇り度を有する対照溶液よりも、顕著に澄んでいた。
【0094】
[例5]
ブースターヒーターに関するユースポイント処理として、水処理装置の影響を評価するための試験を行った。この試験では、2つのブースターヒーターを、同時に作動させた。1つのブースターヒーターは、水1ガロンあたり、17グレーンを用いた。第2のブースターヒーターは、上記水処理装置で前処理された水1ガロン当たり、17グレーンを用いた。両方のブースターヒーターを、5日間連続して作動させた。それらは、3時間の「オン」、続いて3時間の休止時間のパターンで繰り返すようにプログラムされた。3時間の「オン」の際、1分間、5ガロン/分において、水を、ブースターヒーターに通し、1分間の流れなしが続いた。この「オン」時間の際、ブースターヒーターを、水を185°Fの温度に加熱するようにセットした。
【0095】
結果を、図6に示す。この図に示されるように、処理された水を用いたブースターヒーターは、対照のブースターヒーターよりも水垢が顕著に少なかった。電熱線上の水垢の量、及び水垢の厚さは、対照と比較して、処理された水を用いると、実質的に減少した。
【0096】
[例6]
逆浸透膜とともに用いた場合の、本発明の実施形態に従う装置で処理された水の効果を評価するための試験を実施した。5ガロンのバケットを、水1ガロン当たり、処理された又は非処理の17グレーンのいずれかで満たした。処理された水は、消耗したイオン交換樹脂材料を含む、20.75ポンドのカートリッジを通した水であった。イオン交換材料を、そこを通した水1ガロン当たり、約3,700ガロンの17グレーンを有することにより消耗させた。上記水を処理するために用いられた2つのカートリッジは、直列に配置された。非処理の水は、水1ガロン当たり、まさに17グレーンであった。
【0097】
処理済及び非処理の水を、Dowから市販される、BW30膜を含む逆浸透システムを通して循環させた。試験された膜は、0.5フィート×0.5フィートの表面積を有していた。処理された及び非処理の水を、400PSIの一定の圧力において、上記膜システムを通過させた。上記水の温度を、70°F〜76°Fに維持した。試料を、1日に4〜5回採取し、そして総溶解固体(TDS,total dissolved solid)濃度に関して試験した。透過水流をまた評価した。
【0098】
この試験の結果を、図7(濃縮TDS対総時間)及び図8(透過水対総時間の散布図)に示す。定義により、濃縮水は、水及び膜により退けられた固体、すなわち、上記膜を透過しなかった材料である。膜が詰まるか又はふさがれると、TDSの濃縮物は減少したが、上記膜が、膜が詰まる前と同量の水を透過させなかったからである。以下に記載されるように、TDSの濃縮物が減少すると同時に、透過水が膜を通る透過水流がまた、以下に説明される付着物と共に減少した。
【0099】
この実験では、非処理の水にさらされた膜の付着物が、TDSの濃縮物における減少により示されるように、それが激しくふさがれる場所に進んだ。硬水の水垢からの付着物は、硬水において膜を用いる場合の公知の課題である。非処理の水にさらされた膜の化学分析により、非処理の膜は、炭酸カルシウム水垢で詰まったことが確認された。
【0100】
図7に示されるように、濃縮水内のTDSの量は、非処理の水と共に、長期にわたり減少し、そして処理された水と比較的一定のままであった。すなわち、処理された硬水にさらされた膜は、28時間の実験の間、TDSの減少を示さなかったが、処理された水は、水垢から膜を保護することを示した。
【0101】
図8に示すように、透過水流速は、処理された水と比較して、非処理の水を用いると、速い速度で減少する。これは、非処理の水と比較して、処理された水を用いると、炭酸カルシウム及び他の不溶性塩が、膜上にゆっくりと析出するためと考えられる。この水硬度水垢沈殿が形成し、そして膜を介した水の流れ(透過水流)を徐々に制限する。図8に示されるように、膜を通して循環させた非処理の水を有する膜上の水垢の付着は、この試験において非常に深刻であり、透過水流が、当初の流速の約半分に減少した。
【0102】
まとめると、本発明の実施形態に従う装置を用いて処理された水を用いることにより、逆浸透システムを通して循環させた場合に、水垢が減少することが見出された。
【0103】
[例7]
従来の水処理媒体と比較して、本発明の実施形態に従う装置を透過させた場合に、水のpH及び溶解した固形分の総量を評価するための試験を実施した。次の樹脂/媒体を試験した:Resin Aは、Lanxessから市販されるLanxess S−8528樹脂であり、4ガロン/分の流速で、17gpgの冷水を用いて、9秒のオン、27秒のオフの5,000サイクルに関してあらかじめ用いられることにより消耗させた;Media Bは、Watts Water Technologiesから市販されるWatts Mediaであり、わずかに用いられた;そしてMedia Cは、Watts Water Technologiesから市販されるWatts Mediaであり、未使用である。比較用の樹脂又は媒体を用いた対照がまた、試験された。
【0104】
17gpgの水を、10秒間のオン、及び2分のオフにおいて、試験樹脂/媒体を通して循環させた。オンサイクルの間、上記水を、1ガロン/分の速度で、上記試験樹脂/媒体を通過させた。試料を、各試験樹脂/媒体から同時に採取し、そしてpH及びTDSに関して早急に評価した。結果を、図9及び10に示す。
【0105】
図9に示されるように、Resin Aを用いて処理された水のpHは、処理全体を通して、比較的一定のままであり、そして対照のものと密接に調和していた。Media B及びCを用いて処理された水のpHは、当初、非常に低く、次いで、時間と共に高くなった。同様に、図10に示されるように、Resin Aを用いて処理された水のpHは、比較的一定のままであり、そして処理全体を通して対照と等しかった。Media B及びCを用いて処理された水のpHは、優位に低く、そして概して、使用に伴い、時間と共に高くなった。特定の理論に結びつけられることを望まないが、Media B及びCに関して、時間と共に、TDS及びpHが徐々に高くなることは、用いられたそれらの媒体のためであり、そして使用に伴い、時間と共に、それらの効力を徐々に失うと考えられる。Media B及びCが、ある期間用いられない、すなわち、休憩時間があると、図9及び図10における最後のデータの点において観察されるように、pH及びTDSの急降下により回復する。
【0106】
また、Media B及びCを用いて処理された水のpH及びTDSの即時の急降下は、この特定の媒体により生じた、水からの炭酸カルシウムの析出の結果であると考えられる。上記水の変化は、カルシウム及び炭酸塩イオンの除去、並びに同時に生じるCO2の水への添加により科学的に説明される。これらの沈殿の副作用は、媒体のメーカーから入手できる文献に記載されている。
【0107】
まとめると、本発明の実施形態に従う樹脂、Resin Aを用いて処理された水、当該水のpH及びTDSは、対照から実質的に外れないことが見いだされた。これは、Resin Aが、水中に硬度の沈殿を生じさせないことを示している。
【0108】
[例8]
酸化剤を、水処理装置に添加する影響を評価するための試験を実施した。この試験に関して、酸化剤として塩素を用い、そして2つの濃度、1ppm及び10ppmで試験した。酸化剤の添加をまた、上記水が上記樹脂により処理される前又は後に添加された場合において評価した。上記試験をまた、上記樹脂の前又は後に、炭素フィルターを炭化する影響に関して評価した。試験された樹脂は、Lanxess Lewatit S−8528であった。上記樹脂を、4ガロン/分において、17gpgの冷水を用い、9秒のオン、27秒のオフの5500回のサイクルに関して前調製した。
【0109】
2つの試験を実施し、1つは、性能を評価するため、そして1つは、水の総有機系炭素(TOC)を測定するためである。性能試験において、ドア型の皿洗い機(Hobart AM−15)を用いた。選択された処理装置を、食器洗い機の水注入口に接続し、装置に関する全ての水を処理した。注入水は、17グレーンの硬度を有していた。ガラス器具を、ガラス器具ラック内の食器洗い機の内部に置いた。上記装置を、130サイクル、通常運転した。この試験では、上記処理装置以外の化学物質、例えば、洗浄剤、すすぎ助剤、及び酸化剤、塩素の添加は用いなかった。130サイクルが完了した後、ガラス器具を取り出し、そして空気乾燥させた。上記ガラスの写真を撮影した。また、ライトボックスを用いて、存在する水垢の量に直接相関する、反射率を測定した。すなわち、より低い評点は、上記ガラス上に存在する水垢が少ないことに相当する。
【0110】
追加の炭素フィルターを用いて又は用いずに、上記水を、上記処理装置に通過させる前又は後のどちらかに添加された1ppmの塩素を含む試験の結果を、図11に示す。図12は、追加の炭素フィルターを用いて又は用いずに、上記水を、上記処理装置に通過させる前又は後のどちらかに添加された10ppmの塩素を含む試験の結果を示す。
【0111】
これらの図に示されるように、上記水処理装置の前で塩素の濃度を高めることにより、食器洗い機試験における皿洗い機の性能が向上する。上記作用は、より高濃度の塩素(10ppm)においてさらに向上する。
【0112】
上記試料のTOC(ppm)をまた、GE Sievers 900研究室用TOCアナライザーを用いて評価した。結果を、図13(1ppmの塩素を添加した)及び図14(10ppmの塩素を添加した)に示す。これらの図に示すように、上記樹脂の前に、塩素濃度を10ppmに上げることにより、炭素フィルターの位置にかかわらず、TOC濃度が増加する。上記樹脂の前に塩素を添加すると、当該塩素が、上記樹脂と接触し、そして上記樹脂に酸化剤として作用するであろう。図14に示されるように、上記樹脂の前の10ppmの塩素により、上記樹脂の後に10ppmの塩素を添加することと比較して、TOC濃度が増加する。
【0113】
上記水処理装置に対する種々の酸化剤の作用を評価するための別の実験を実施した。この試験において、上記水処理装置に、次の樹脂が含まれる:Lanxessから市販される、Lanxess Lewatit S−8528;Dowから市販されるIRC−76;Purolite Corporationから市販される、Purolite C107;及びDowから市販される、Dow MAC−3。2,400サイクルの間、上記樹脂に冷水を通すことにより、樹脂を前調製した。各サイクルは、4ガロン/分において、17gpgの冷水を用いて、9秒のランタイム、続いて27秒のオフからなった。この振とう試験において、5グラムの湿潤した樹脂を、選択された酸化剤を含む、40gの水溶液に入れ、次いで、手で10秒間振とうし、次いで、同一の溶液に一晩中水没させた。この試験における酸化剤には、以下が含まれる:150ppmのClO、及び150ppmのH22。ろ過前に、上記溶液をさらに振とうした。フィルター材料のTOCを評価した。
【0114】
この試験の結果を、図15に示す。図15に示されるように、いずれかの酸化剤を添加することにより、それぞれのろ過物における、それぞれのTOCの濃度が向上する。特定の理論に結びつけられることを望まないが、Mac−3樹脂は、硬度に架橋された樹脂であるため、非常に低い比TOCを有すると考えられる。当業界では、TOC濃度は、架橋率と逆相関することが知られている。
【0115】
振とう試験において、塩素の添加の作用をさらに評価するための別の試験を実施した。この試験において、上記水処理装置に、次の樹脂が含まれる:Lanxessから市販される、Lanxess Lewatit S−8528;Dowから市販される、IRC −76;Purolite Corporationから市販される、Purolite C107;及びDowから市販される、Dow MAC−3。上記樹脂に2,400サイクルの間、冷水を通すことにより、樹脂を前調製した。この振とう試験において、5グラムの湿潤した樹脂と、40gの水とを、10分間、自動シェーカー上で、共に振とうした。5ppmもしくは10ppm塩素のいずれか、又は塩素なし(対照)を、上記水に添加した。10分後、上記水をろ過し、そしてTOCを測定した。この試験の結果を、図16に示す。この図に示されるように、塩素の添加により、試験された4種の樹脂のうち3種において、TOC濃度は高くならなかった。特定の理論に結びつけられることを望まないが、Mac−3樹脂は、さらに硬度に架橋されているので、非常に低いTOC濃度を有したと考えられる。
【0116】
[例9]
消耗した樹脂材料を含む種々の水処理装置を用いて、ガラス上の石灰水垢形成の制御を評価するための試験を実施した。試験される樹脂は、それぞれ、研究用試験機器において、約6,600サイクルの間、17グレーンの冷水を通すことにより、あらかじめ消耗させた。各調製サイクルは、4ガロン/分において、17gpgの冷水を用いて、9秒のランタイム、続いて27秒のオフからなった。試験された樹脂には、下記が含まれる:Lanxessから市販される、Lanxess Lewatit S−8528;Dowから市販される、IRC −76;Purolite Corporationから市販される、Purolite C107;Dowから市販される、Dow MAC−3;及びWatts Water Technologiesから市販される、Watts OneFlow II。
【0117】
ドア型皿洗い機(Hobart AM−15)を用いて、試験を実施した。選択された試験装置は、食器洗いへの注入水に接続され、上記装置に関する全ての水を処理した。注入水は、17グレーンの硬度を有していた。100回の連続サイクルの間、試験を実施した。各サイクルは、以下から成った:160°Fで、45秒の洗浄、186°Fで、10秒の洗浄、そして各サイクル間の20秒の休止又は静止。
【0118】
ガラス器具を、ガラス器具ラック内の食器洗い機内部に置いた。上記装置を、100サイクルに関して、通常通り運転した。この試験では、上記処理装置以外の、化学物質、例えば、洗浄剤、すすぎ助剤は用いなかった。100サイクルが完了した後、上記ガラス器具を取り出し、そして空気乾燥させた。上記ガラスの写真を撮影した。ライトボックスを用いて、存在する水垢の量に直接相関する、反射率を測定した。
【0119】
結果を、図17に示す。この図に示すように、消耗させたIRC−76及びLanxess材料は、上記皿洗い機内で、ベストであった、すなわち、最小量の水垢を有していた。図17の最初の4種の樹脂は、それぞれ、消耗するように前調製された、ポリアクリレート弱酸カチオン交換樹脂であった。上記に示すように、この試験における水垢防止性能は、乏しい(Mac−3)から、まずまず(C107)、良好(IRC−76及びS−8528)へ大きく変化した。特定の理論に結びつけられることを望まないが、これらの樹脂の化学的な相違が、性能の相違をもたらしたと考えられる。上記樹脂の架橋率は、Mac−3樹脂により例証されるように、その1つの相違点であり、そのかなり低いTOC濃度(図15及び16)により示されるように、比較的高い水準の架橋を有することが想定される。
【0120】
[例10]
23,000サイクルにおいて、17gpgの冷水を樹脂に通し、続いて、30,000サイクルにおいて、17gpgの温水を樹脂に通すことにより、種々の樹脂試料を前調製した。試験された樹脂には、下記が含まれる:Lanxessから市販される、Lanxess Lewatit S−8528;Dowから市販されるIRC −76;Purolite Corporationから市販される、Purolite C107;Dowから市販される、Dow MAC−3;及びWatts Water Technologiesから市販される、Watts OneFlow II。各サイクルは、9秒のランタイム、続いて27秒のオフから成った。30グラムの湿潤した樹脂を、25gの超純水に入れ、そして一晩中振とうした。次いで、試料をろ過し、そしてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)に供した。
【0121】
試料を、TriSEC検出器配列を備えている、Viscotek GPCmaxに置いた。50μLの各試料を、水系の上記GPCシステムに注入し、見かけの濃度を決定するために屈折率検出のみを用いた。結果を、図18Aに示す。この図に示されるように、クロマトグラフは、IRC−76よりも低濃度の抽出分を示した。
クロマトグラフ上の保持時間は、10,000未満の分子量のポリアクリレート標準と一致する。
【0122】
この試験では、試験される各ポリマーにおいて、検出器の応答が同様であると仮定すると、Dow社のMAC−3樹脂から抽出された物質の見かけの濃度は、他の試験された樹脂抽出物よりも適度に低かった。これらの結果は、TOC分析(例8で論じられる)と一致し、Dow MAC−3は、他の試験された樹脂全てと比較して、最も少ない炭素含有物を有することを示している。GPC試験はまた、低分子量炭化水素と対照したものとして、炭素含有物は、低分子量ポリマーとして存在することを示している。
FTIR分析により、上記ポリマーは、ポリアクリレート種である可能性が高いことを確認した。
【0123】
まとめると、適用試験と組み合わせて、この検討は、最小濃度のTOC/ポリマーが、機能のために必要であることを実証した。TOC及びGPC試験により示されるDow社のMAC−3と同様に、抽出物の濃度が低すぎると、適用試験の結果は、例9により示されるように、非常に乏しくなる。
【0124】
[他の実施形態]
本発明を、その詳細な説明に関連して説明してきたが、明細書は、本発明の具体的に説明することを目的とし、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の範囲を制限するものではない。他の態様、優位性、及び改良が、次の特許請求の範囲内にある。
【0125】
さらに、上述の、全ての特許公報の内容は、参照により、それら全体を、本明細書に援用する。
値及び範囲が、本明細書に規定され、これらの値及び範囲に包含される全ての値及び範囲が、本発明の範囲内に包含されることを意味することが理解される。さらに、これらの範囲内にある全ての値、並びに値の範囲の上限及び下限は、本出願により企図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1の処理リザーバに水を供給するための注入口、
(b)複数の1種又は2種以上の多価カチオンを充填させた、実質的に水不溶性の樹脂材料を含む水処理組成物、ここで、前記組成物は、前記処理リザーバ内に含まれる、
(c)第1の処理リザーバに流体接続された放出口、ここで、前記放出口は、前記処理リザーバから、処理された水を供給する、
を含む、水源を取り扱うための装置。
【請求項2】
前記樹脂材料が、弱酸カチオン樹脂を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記樹脂材料が、ゲル型樹脂構造物、マクロ多孔質型樹脂構造物、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記弱酸カチオン樹脂が、架橋されたアクリル酸ポリマー、架橋されたメタクリル酸ポリマー、及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記樹脂材料が、カルボキシル基を含む官能基を含む表面を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
樹脂ポリマーが、ブタジエン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデン、塩化ビニル、並びにそれらの誘導体及び混合物から成る群から選択される、添加された追加のコポリマーを有する、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記アクリル酸ポリマーが、ポリビニル芳香族化合物で架橋されている、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記ポリビニル芳香族化合物が、ポリビニル芳香族化合物、例えば、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ポリビニルアントラセン、並びにそれらの誘導体及び混合物から成る群から選択される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記樹脂が、約150〜約100,000の分子量を有するポリマー材料を、前記水源に供給する、請求項4に記載の装置。
【請求項10】
前記架橋されたアクリル酸ポリマーが、約0.5%〜約25%、架橋されている、請求項4に記載の装置。
【請求項11】
前記架橋されたアクリル酸ポリマーが、8%未満、架橋されている、請求項4に記載の装置。
【請求項12】
前記多価カチオンが、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの混合物を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記混合物が、約1:10〜約10:1の、カルシウムイオン:マグネシウムイオンの比率を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記混合物が、2:1の比のカルシウムイオン:マグネシウムイオンを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記樹脂が、消耗したイオン交換樹脂を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記組成物が、前記水と接触する際に、水の供給源から、水硬度イオンを析出させない、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記組成物が、前記処理リザーバ内で攪拌されている、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記組成物が、カラムを通る水の流れ、流動化、機械的撹拌、エアースパージャ、排出流、邪魔板、流動障害物、静的ミキサー、高逆流洗浄、再循環、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される方法により攪拌されている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記注入口が、前記リザーバの底に配置され、そして前記放出口が、前記リザーバの最上部に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記注入口が、加圧されたスプレーノズルをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記スプレーノズルが、前記水を、前記処理リザーバに、約5フィート/分〜約200フィート/分の速度で供給する、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記処理リザーバ内の前記組成物の床の深さが、1.5フィート未満である、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記処理リザーバが、前記組成物の上にヘッドスペースをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記処理リザーバが、酸化剤をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記酸化剤が、塩素、過酸化水素、酸素、及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
少なくとも1つの追加の処理リザーバをさらに含み、当該追加の処理リザーバが、下記、
(a)注入口、
(b)複数の1種又は2種以上の多価カチオンを充填させた、実質的に水不溶性の樹脂材料を含む水処理組成物、及び
(c)放出口、
を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項27】
前記少なくとも1つの追加の処理リザーバが、第1の処理リザーバと直列で供給されている、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記少なくとも1つの追加の処理リザーバが、第1の処理リザーバと並列で供給されている、請求項26に記載の装置。
【請求項29】
前記第1の処理リザーバが、移動式の、交換可能なカートリッジを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項30】
前記追加の処理リザーバが、移動式の、交換可能なカートリッジを含む、請求項26に記載の装置。
【請求項31】
前記放出口に接続されているフィルターがない、請求項1に記載の装置。
【請求項32】
前記装置が、自動洗浄システム内に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項33】
前記自動洗浄機が、自動製品洗浄機、乗物洗浄システム、機器洗浄機、定位置清浄システム、食品加工清浄システム、ボトル洗浄機、及び自動洗濯洗浄機から成る群から選択される、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
自動洗浄機の上流に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項35】
前記自動洗浄機が、自動製品洗浄機、乗物洗浄システム、機器洗浄機、定位置清浄システム、食品加工清浄システム、ボトル洗浄機、及び自動洗濯洗浄機から成る群から選択される、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
逆浸透水処理デバイス、熱交換水処理デバイス、炭素フィルター、及びそれらの混合物から成る群から選択される水処理デバイスの上流に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項37】
処理された水を、コーヒーマシーン、エスプレッソマシーン、製氷機、スチームテーブル、ブースターヒーター、食料品店の噴霧器、加湿器、及びそれらの組み合わせから成る群から選択されるデバイスに供給する、請求項1に記載の装置。
【請求項38】
水を処理する方法であって、
水源を、複数の1種又は2種以上の多価カチオンを充填させた、実質的に水不溶性の樹脂材料を含む水処理組成物と、前記水を処理するように接触させるステップ、
を含む、前記方法。
【請求項39】
前記樹脂材料が、弱酸カチオン樹脂を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記樹脂材料が、ゲル型樹脂構造物、マクロ多孔質型樹脂構造物、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記弱酸カチオン樹脂が、架橋されたアクリル酸ポリマー、架橋されたメタクリル酸ポリマー、及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記樹脂材料が、カルボキシル基を含む官能基を含む表面を有する、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
樹脂ポリマーが、ブタジエン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデン、塩化ビニル、並びにそれらの誘導体及び混合物から成る群から選択される、添加された追加のコポリマーを有する、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記アクリル酸ポリマーが、ポリビニル芳香族化合物で架橋されている、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記ポリビニル芳香族化合物が、ポリビニル芳香族化合物、例えば、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ポリビニルアントラセン、並びにそれらの誘導体及び混合物から成る群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記架橋されたアクリル酸ポリマーが、前記水源と接触する際に、前記水源に、約150〜約100,000の分子量を有するポリマー材料を供給する、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
前記架橋されたアクリル酸ポリマーが、約0.5%〜約25%、架橋されている、請求項41に記載の方法。
【請求項48】
前記多価カチオンが、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの混合物を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項49】
前記混合物が、約1:10〜約10:1の、カルシウムイオン:マグネシウムイオンの比率を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記混合物が、2:1の比のカルシウムイオン:マグネシウムイオンを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記樹脂が、消耗したイオン交換樹脂を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項52】
前記組成物が、前記水と接触する際に、水の供給源から、水硬度イオンを析出させない、請求項38に記載の方法。
【請求項53】
前記接触させるステップが、前記水を、前記組成物を含む処理リザーバに通すことを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項54】
前記接触させるステップの際に、前記組成物を攪拌することをさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項55】
前記組成物を、カラムを通る水の流れ、流動化、機械的撹拌、エアースパージャ、排出流、邪魔板、流動障害物、静的ミキサー、高逆流洗浄、再循環、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される方法により攪拌する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記組成物を接触させるステップの前に、前記水源を加熱することをさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項57】
前記水を、約30℃〜約90℃の温度に加熱する、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記組成物を接触させるステップの前、又はその際に、水源のpHを上げるステップをさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項59】
水源のpHを、約8〜約10のpHに上げる、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
水源のpHを上げるステップが、カルサイト源を、前記水又は装置に添加することを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記接触させるステップの際に、前記組成物が、約10〜約1000ppbの、実質的に水不溶性の樹脂材料を、前記水源に供給する、請求項38に記載の方法。
【請求項62】
前記接触させるステップの際に、前記組成物が、約10〜約1000ppbの水溶性ポリマー材料を、前記水源に供給する、請求項38に記載の方法。
【請求項63】
前記ポリマー材料が、ポリアクリレート材料を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記ポリアクリレート材料が、低分子量ポリアクリレート材料を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
処理された水が、当該処理された水と接触した表面の水垢の形成を減少させる、請求項38に記載の方法。
【請求項66】
製品を清浄するために、処理された水源を使用する方法であって、次の各ステップ、
(a)水源を処理するステップ、ここで、当該水源を処理するステップは、複数の1種又は2種以上の多価カチオンを充填させた、実質的に水不溶性の樹脂材料を含む水処理組成物を、水源と接触させ、処理された水源を生成することを含む、
(b)処理された水及び洗浄剤を用いて、使用溶液を生成するステップ、そして
(c)前記製品を、前記使用溶液に接触させ、前記製品を清浄するステップ、
を含む、前記方法。
【請求項67】
水性システム内の水垢の形成を減少させる方法であって、
前記水性システムを、複数の多価カチオンを充填させた、実質的に水不溶性の樹脂材料から本質的に成る組成物と接触させ、前記水性システム内の水垢の形成を減少させるステップ、
を含む方法。
【請求項68】
水処理デバイスを製造する方法であって、次の各ステップ、
(a)実質的に水不溶性の樹脂材料を含む組成物を、処理リザーバに充填するステップ、ここで、前記処理リザーバは、注入口及び放出口を含む;そして
(b)前記樹脂材料を消耗させるステップ、ここで当該樹脂材料を消耗させるステップは、前記樹脂材料の表面に、複数の多価カチオンを充填することを含む、
を含む方法。
【請求項69】
前記多価カチオンが、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの混合物を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記混合物が、約1:10〜約10:1の、カルシウムイオン:マグネシウムイオンの比率を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記混合物が、1:1の比のカルシウムイオン:マグネシウムイオンを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
水垢の形成を減少させる方法であって、次のステップ、
(a)約10〜約1000ppbの、実質的に水不溶性の樹脂材料を、水源に供給し、水垢の形成を減少させるステップ、
を含む方法。
【請求項73】
水垢の形成を減少させる方法であって、次のステップ、
(a)約10〜約1000ppbの、実質的に水不溶性の樹脂材料から得られた水溶性ポリマー材料を供給するステップ、
を含む方法。
【請求項74】
前記ポリマー材料が、ポリアクリレート材料を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記ポリアクリレート材料が、低分子量のポリアクリレート材料を含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
実質的に水不溶性の樹脂材料の供給源から本質的になる水処理組成物であって、
前記樹脂材料に、周期表の列1a、2a又は3aの元素の供給源から成る群から選択される複数のカチオンを充填し、ここで、前記カチオンがカルシウムを含まない、
前記水処理組成物。
【請求項77】
前記カチオンが、水素イオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオン、チタンイオン、及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項76に記載の組成物。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【公表番号】特表2012−524654(P2012−524654A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506627(P2012−506627)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051756
【国際公開番号】WO2010/122509
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(510250467)イーコラブ ユーエスエー インコーポレイティド (16)
【Fターム(参考)】