説明

水管理システム

【課題】生活の状況をより明確に把握することができる水管理システムを提供する。
【解決手段】店舗S内の各エリアに設けた給水栓1に、当該給水栓1の流量を検出して流量信号Faを出力する流量センサ2を設ける。データ収集装置3は、流量信号Faを入力して当該流量信号をインターネット4を経由して管理センターCへ発信する。管理センターCのサーバ5で流量信号Faを受信し、当該流量信号より、店舗Sにおける水使用量および当該水使用量から換算されたCO2排出量を算出し表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水管理システムに関し、特に、店舗や事業所、あるいは家庭での水使用量やこれに基づく指標量を、遠隔のセンターで集中管理する水管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人間活動のあるところ必ず水の使用があるといっても過言ではなく、この意味で、水の使用量を管理することは、その無駄な使用を回避して環境保護に資するとともに、電気やガスの使用量によるよりも、店舗や事業所、あるいは家庭での生産活動や生活の状況をより明確に把握することができる。
【0003】
なお、特許文献1には、監視対象である各家庭での電気機器の使用状況を検出して、検出結果を携帯電話通信網によって監視センターへ送り、当該監視センターで上記各家庭での生活状況を監視するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−163743
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記知見に基づいてなされたもので、店舗や事業所、あるいは家庭等の建屋における水使用量やこれに基づく指標量を、遠隔のセンターで集中管理することによって、水の無駄な使用を無くして環境保護に資するとともに、上記建屋における生産活動や生活の状況をより明確に把握することができる水管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本第1発明では、建屋(S)内の給水路(1)に設けられ、当該給水路(1)の流量を検出して流量信号(Fa)を出力する流量検出手段(2)と、前記流量信号(Fa)を入力して当該流量信号ないしこれを前処理した信号を通信ネットワーク(4)を経由して管理センター(C)へ発信する発信手段(3)と、前記管理センター(C)に設けられて前記流量信号(Fa)ないし前記前処理された信号を受信し、これら信号より前記給水路(1)ないし前記建屋(S)における水使用量および当該水使用量に基づく指標量の少なくとも一方を算出する算出手段(5)とを備える。なお、上記「前処理した信号」とは、例えば流量信号を積算した信号等、流量信号そのままではなく、これに演算や一定の処理を加えた信号をいう。
【0007】
本第1発明によれば、建屋における水使用量を管理センターで集中管理できるから、水の無駄な使用を防止して環境保護に資することができる。また、一定期間の水の使用パターン等から、上記建屋における生産活動や生活の状況をより明確に把握することができる
【0008】
本第2発明では、本第1発明において、前記指標量は、前記水使用量から換算されたCO2排出量である。本第2発明においては、CO2排出量を直接知ることができるから、CO2排出量の管理を容易に行うことができる。
【0009】
本第3発明では、本第1発明又は本第2発明において、前記算出手段(5)は、前記建屋(S)内の区画されたエリア(R1,R2,R3)毎の水使用量を算出するように設定されている。本第3発明においては、建屋のエリア毎の水使用量が算出されるから、よりきめ細かな水使用量の管理が可能である。
【0010】
本第4発明では、本第1発明ないし本第3発明のいずれかにおいて、さらに表示手段(54)を備え、前記表示手段(54)は前記水使用量とともに、当該水使用量の目標値を併せて表示するものである。本第4発明においては、水使用量と共にその目標値が併せて表示されるから、実際の水使用量の目標値からのずれを速やかに認知して必要な処置を採ることができる。
【0011】
本第5発明では、本第1発明ないし本第4発明のいずれかにおいて、さらに表示手段(54)を備え、前記表示手段(54)は前記水使用量とともに、当該水使用量の平均値および最大値を併せて表示するものである。
【0012】
上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、店舗や事業所、あるいは家庭等の建屋における水使用量やこれに基づく指標量を、遠隔のセンターで集中管理できるから、水の無駄な使用を防止して環境保護に資するとともに、上記建屋における生産活動や生活の状況をより明確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の水管理システムを備えた店舗の一例を示す平面図である。
【図2】給水栓の斜視図である。
【図3】管理センターのサーバの構成を示すブロック図である。
【図4】モニタ部の表示を示す正面図である。
【図5】モニタ部の表示を示す正面図である。
【図6】モニタ部の表示を示す正面図である。
【図7】モニタ部の表示を示す正面図である。
【図8】モニタ部の表示を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1には本発明の水管理システムを店舗に適用した例を示す。図1において、店舗Sの厨房は仕込エリアR1、調理エリアR2、洗浄エリアR3に区画されており、各区画R1〜R3にそれぞれ給水路を構成する給水栓1が設けられている。各給水栓1は図2に示すように、給水管(図示略)に接続される基端部11に、給水量を調整する給水操作ハンドル12が設けられている。給水栓1の先端部13は逆U字形に湾曲して下方へ向けて開口している。このような給水栓には中間位置に流量検出手段としての流量センサー2が設置されている。流量センサー2としては例えばKEYENCE社製の電磁流量センサーFD-M型が使用できる。
【0016】
図1において、各給水栓1の流量センサー2から出力されるパルス流量信号は発信手段たるデータ収集装置3に入力している。データ収集装置3としては例えば大崎電気工業(株)社製のMU-DM1型が使用できる。データ収集装置3で収集され各給水栓1毎に適当な時間間隔で積算された流量信号Faは、FOMA網、ADSL、FTTH等を介し、通信ネットワークであるインターネット4を経由してEメールで、あるいはFTPによるアップロードによって算出手段としての管理センターCのサーバ5へ送られる。
【0017】
管理センターCの、サーバ5の構成の一例を図3に示す。サーバ5は、算出手段としての制御処理部(CPU)51、メモリ部52、データベース部53、表示用モニタ部54、操作入力部55、および通信インターフェース部56で構成されており、通信インターフェース56へ入力した各店舗からの流量信号FaはCPU51で処理されて、以下に例示するようなグラフがモニタ部54に表示される。
【0018】
図4は水使用量の日報グラフであり、上記店舗S(A店)の一日の各時間毎の水使用量がモニタ部54に棒グラフで表示される。これによって一日の水使用量の変化が一目瞭然に明らかになる。この場合、図4の破線で示すように、各時間毎の目標水使用量の変化をモニタ部54に表示するようにすれば、これとの比較で水使用の異常を速やかに認知して必要な処置を採ることができる。なお、目標水使用量と実際の水使用量の差が一定以上になった場合にモニタ上で、あるいは対策部署への通信で警報を発するようにもできる。
【0019】
図5はエリア別日報グラフであり、上記店舗S(A店)内の洗浄エリアR3、仕込エリアR1、調理エリアR2、その他の、各エリア毎の一日の水使用量がモニタ部54に棒グラフで表示される。これによって各エリア毎の一日の水使用量が一目瞭然に明らかになる。この場合、図5の破線で示すように、モニタ部54に各エリア毎の一日の目標水使用量を表示するようにすれば、これとの比較で各エリアR1〜R3の水使用の異常を速やかに認知して必要な処置を採ることができる。なお、目標水使用量と実際の水使用量の差が一定以上になった場合にモニタ上で、あるいは対策部署への通信で警報を発するようにもできる。
【0020】
図6は水使用量の週報グラフであり、上記店舗S(A店)の一週間の、各曜日毎の水使用量がモニタ部54に棒グラフで表示される。これによって各曜日の水使用量の変化が一目瞭然に明らかになる。この場合、図6の破線で示すように、モニタ部54に各曜日の目標水使用量を表示するようにすれば、これとの比較で水使用の異常を速やかに認知して必要な処置を採ることができる。なお、目標水使用量と実際の水使用量の差が一定以上になった場合にモニタ上で、あるいは対策部署への通信で警報を発するようにもできる。
【0021】
また、本実施形態では、図4〜図6に示すように、水使用量の経時変化以外にモニタ部54に、来客数と売上、および水使用量から換算した一日ないし一週間のCO2排出量と、来客一人当たりのCO2排出量、および売上1千円当りのCO2排出量を表示している。水はその製造工程及び後処理工程でCO2ガスを生じさせている。そこで、水使用量に適当な係数を乗じてCO2排出量に換算し、これを表示することによって、CO2排出基準を満たしているか否かを速やかに確認することができる。
【0022】
さらに、本実施形態では、モニタ部54に図7に示すような週−時間帯比較グラフが表示される。これは上記店舗S(A店)の一週間の、各時間帯毎の水使用量の平均値(図中線x)と当該時間帯における最大値(図中線y)を示したものである。これにより、水使用量が異常に多かった時間帯を速やかに認知することができる。この場合、図8に示すような週−時間帯比較表を表示させることができ、この表においては、ある水栓(本実施形態ではA1水栓)について、一週間(本実施形態では5月1日から5月7日)の各日における各時間帯(本実施形態では30分毎の時間帯)の水使用量が表示されるとともに、上記グラフで表示された各時間帯における一週間の平均値とその間の最大値も表示される。そして、各水使用量について、上記平均値から一定幅(本実施形態では150%)以上大きい場合は、赤文字で表示される(図中、灰色表示の部分)。なお、上記一定幅は、実値や偏差値で設定しても良い。これにより、水使用量が異常に多かった時間帯についてのさらに詳細な情報を得ることができ、これに基づいて必要な処置を採ることができる。
【符号の説明】
【0023】
1…給水栓(給水路)、2…流量センサ(流量検出手段)、3…データ収集装置(発信手段)、4…インターネット(通信ネットワーク)、5…サーバ(算出手段)、C…管理センター、S…店舗(建屋)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建屋内の給水路に設けられ、当該給水路の流量を検出して流量信号を出力する流量検出手段と、前記流量信号を入力して当該流量信号ないしこれを前処理した信号を通信ネットワークを経由して管理センターへ発信する発信手段と、前記管理センターに設けられて前記流量信号ないし前記前処理された信号を受信し、これら信号より前記各給水路ないし前記建屋における水使用量および当該水使用量に基づく指標量の少なくとも一方を算出する算出手段とを備える水管理システム。
【請求項2】
前記指標量は、前記水使用量から換算されたCO2排出量である請求項1に記載の水管理システム。
【請求項3】
前記算出手段は、前記建屋内の区画されたエリア毎の水使用量を算出するように設定されている請求項1又は2に記載の水管理システム。
【請求項4】
さらに表示手段を備え、前記表示手段は前記水使用量とともに、当該水使用量の目標値を併せて表示するものである請求項1ないし3のいずれかに記載の水管理システム。
【請求項5】
さらに表示手段を備え、前記表示手段は前記水使用量とともに、当該水使用量の平均値および最大値を併せて表示するものである請求項1ないし4のいずれかに記載の水管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−34249(P2011−34249A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178485(P2009−178485)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(591028153)株式会社アメニティ (4)
【Fターム(参考)】