説明

水素製造装置および水素製造方法

【課題】触媒層の平均温度を高めて触媒層全体の転化率を高めることが可能な水素製造装置および水素製造方法を提供する。
【解決手段】脱水素反応を用いて芳香族炭化水素の水素化物から水素を製造する装置であって、水素化物が流入する入口と、脱水素反応の生成物が流出する出口とを有し、内部に脱水素反応触媒の触媒層が設けられた脱水素反応器6を備え、触媒層の入口側から1/3の部分の平均触媒濃度が、該触媒層全体の平均触媒濃度より低いことを特徴とする、水素製造装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱水素反応を用いた水素製造装置およびそれを用いた水素製造方法に関し、特には、従来よりも脱水素反応の転化率を向上させることが可能な水素製造装置および水素製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
炭化水素の脱水素反応は吸熱反応であるため、脱水素反応により水素化物から水素を製造する際に通常用いられているような、反応器内の触媒層に予め加熱した原料を投入することで脱水素反応を行う原料加熱型の断熱反応器では、反応の進行と共に原料(脱水素対象流体)温度および触媒層温度が低下し、反応器の出口側に向かうにしたがって反応速度が低下するという問題点があった。
【0003】
この問題を解決するため、特許文献1には、多管式固定床脱水素反応器において、熱媒体として熱風を供給して触媒層全体を加熱することで、出口側での温度低下を補償し、水素を製造する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2007−326053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載の熱交換型反応器等においては、原料の流れに対して並流となる方向で熱媒体を供給して触媒層を加熱しており、また、触媒層に充填されている触媒が、単一組成で構成され、且つ触媒層全体にほぼ均一に担持されているため、原料濃度が高い触媒層の入口側では、脱水素反応が進行して反応量(吸熱量)が多くなり触媒層の温度が低下する一方、触媒層の中間部から出口側では、原料濃度が低く、また、発生した水素により水素分圧が高まって逆反応である水素化反応も進行するので、脱水素反応が進行しにくく反応量が少なくなり触媒層の温度が殆ど低下しない。つまり、触媒層全体の触媒濃度が均一な従来技術にかかる熱交換型反応器では、触媒層入口側で脱水素反応が過剰に進行し、触媒層出口側では脱水素反応が緩慢となるため、触媒層全体の平均温度が低くなる。従って、従来技術に係る熱交換型反応器は、触媒層全体が脱水素反応に有効に寄与していないという点で改良の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、脱水素反応触媒が均一に設けられた触媒層と比較して触媒層入口側での反応量を低減し、触媒層中間部から出口側での反応量を増加することで、触媒層の平均温度を高めて触媒層全体の転化率を高めることが可能な水素製造装置および水素製造方法を提供するものである。
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、脱水素反応を行う触媒層の出口側の触媒濃度を入口側の触媒濃度より高くすることで、脱水素反応の転化率が向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明の水素製造装置は、脱水素反応を用いて芳香族炭化水素の水素化物から水素を製造する装置であって、前記水素化物が流入する入口と、前記脱水素反応の生成物が流出する出口とを有し、内部に脱水素反応触媒の触媒層が設けられた脱水素反応器を備え、前記触媒層の入口側から1/3の部分の平均触媒濃度が、該触媒層全体の平均触媒濃度より低いことを特徴とする。このように、触媒層の入口側から1/3の部分の平均触媒濃度を、触媒層全体の平均触媒濃度より低くする、即ち触媒層の出口側から2/3の部分の平均触媒濃度より低くすれば、触媒層の入口付近で急激に脱水素反応が進行するのを抑制して触媒層全体を脱水素反応に有効に寄与させ得る。そして、転化率の高い水素製造装置を提供することができる。なお、平均触媒濃度とは、単位体積当たりに存在する触媒活性を有する物質の量であり、例えば担体に触媒活性を有する金属を担持させて触媒層を構成した場合には、単位体積当たりの金属量を指す。
【0008】
なお、本発明の水素製造装置としては、熱交換型の脱水素反応器を備える装置が好ましく、特に、原料が触媒層内を流れる方向と同一の方向に熱媒体を流すことで触媒層および触媒層を流れる原料を加熱する、並流熱交換型の脱水素反応器を備える装置が好ましい。熱媒体を並流で流す反応器は、熱媒体を向流で流す反応器と比較して触媒層入口付近での脱水素反応量が多くなるため、本発明の効果が特に顕著となるからである。このような並流熱交換型の脱水素反応器としては、例えば、原料が流入する流入口と脱水素反応の生成物が流出する流出口とを備えて内側に脱水素反応触媒が充填された反応管と、該反応管の周囲に熱媒体を流通可能に設けられたジャケット部とを具え、該ジャケット部に反応管の流入口側から流出口側へと向かう方向へ熱媒体を流すものがある。
【0009】
ここで、触媒層中の触媒の分布は、触媒層の入口側から1/3の部分の平均触媒濃度が、該触媒層全体の平均触媒濃度より低くなるものであれば良いが、例えば、入口側から出口側へ向けて次第に触媒濃度が増加するように段階的に変化(グラデーション)させることができる。また、その他にも、触媒層の入口を起点として触媒層の1/5以上であって1/2以下までの部分は第一の触媒濃度で均一に構成し、残りの部分を第一の触媒濃度より大きい第二の触媒濃度で均一に構成しても良い。
【0010】
本発明の水素製造装置は、前記触媒層の入口側から1/3の部分の平均触媒濃度が、前記触媒層全体の平均触媒濃度の0.3〜0.7倍であることが好ましい。触媒層の入口側から1/3の部分の平均触媒濃度が、触媒層全体の平均触媒濃度の0.3倍未満であると触媒層入口付近での反応量が低くなりすぎて全体としての転化率が低くなり、0.7倍を超えると触媒層入口付近での反応量が多くなりすぎて全体としての転化率が低くなるからである。
【0011】
また、本発明の水素製造方法は、脱水素反応を用いて芳香族炭化水素の水素化物から水素を製造する方法であって、脱水素反応器を備える水素製造装置に前記水素化物を含有する原料を供給する工程と、前記脱水素反応器内で前記水素化物の脱水素反応を行う工程と、少なくとも水素を含む前記脱水素反応の生成物を取り出す工程とを含み、前記水素製造装置が上述の水素製造装置であることを特徴とするものである。このような水素製造方法によれば、原料供給直後に触媒層の入口付近で急激に脱水素反応が進行するのを抑えて触媒層全体を脱水素反応に有効に寄与させ得る。そして、転化率の高い水素製造方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高い脱水素反応転化率で脱水素反応を行い、芳香族炭化水素の水素化物から効率的に水素を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の好適な実施の形態を、図1に基づいて具体的に説明する。但し、本発明は、図1に示す形態に限定されるものではない。
【0014】
図1に示す、本発明の水素製造装置の一例の水素製造装置1では、原料となる芳香族炭化水素の水素化物を貯蔵するタンク2から芳香族炭化水素水素化物をポンプ3でくみ上げた後に流通水素と混合し、その流通水素と水素化物との混合物を1次気化器4および2次気化器5で予熱して気化した後に、脱水素反応器6に供給して脱水素反応を行う。そして、脱水素反応器6で脱水素反応を行った後の生成物は水素分離装置7に供給され、水素分離装置7に設けられた水素分離膜(図示せず)で生成物から水素ガスが分離・回収される。水素分離膜を通過しなかったガスは、1次気化器4の熱源として使用して廃熱を有効利用した後、凝縮器8で冷水を用いて冷却・凝縮され、気液分離装置9で、未反応の芳香族炭化水素水素化物、脱水素反応で生成した芳香族炭化水素および副反応により発生したアルキルシクロペンタンなどの液分と、水素およびその他のガスとに分離される。なお、分離されたその他のガスには、副反応により発生した低級炭化水素、分離しきれなかった液分のベーパーが含まれる。ここで、水素およびその他のガスは、例えば熱源の原料として用いることができる。一方、未反応の芳香族炭化水素水素化物、脱水素反応で生成した芳香族炭化水素および副反応により発生したアルキルシクロペンタンなどを含む液分は、回収油タンク10に回収し、図示しない水素化装置で再度水素化して芳香族炭化水素水素化物として再利用することができる。
【0015】
ここで、原料となる芳香族炭化水素の水素化物としては、シクロヘキサン類、デカリン類を用いることができるが、脱水素反応後に生成する芳香族炭化水素の安全性及び取り扱い易さの観点から、置換基を持つものが好ましく、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサンなどのアルキルシクロヘキサン、メチルデカリン、エチルデカリン、ジメチルデカリン、ジエチルデカリンなどのアルキルデカリン、およびこれらの混合物を用いることが好ましい。
【0016】
多管型固定床流通式反応器である脱水素反応器6は、略円筒状の密閉容器であって、その内部の空間は原料を脱水素反応させるための反応領域61となっている。そして、脱水素反応器6には、脱水素反応触媒を充填した反応管62が反応領域61を貫通して設けられており、その反応管62においては、図1では上側にある入口から原料が供給されて脱水素反応が行われ、図1では下側の出口から脱水素反応の生成物が排出される。なお、反応管62内の脱水素反応触媒(触媒層)は、入口側から1/3の部分の平均触媒濃度が、該触媒層全体の平均触媒濃度より低くなるように充填されている。
【0017】
ここで、脱水素反応器6への原料供給方式としては、芳香族炭化水素水素化物を液体で供給する方式、および予熱して気体で供給する方式のいずれをとることもできるが、特には、固定床式の脱水素反応器に気体で供給することが好ましい。
【0018】
また、反応領域61には熱媒体供給装置11から加熱した空気(熱媒体)が反応管62内の原料の流れと並流になるように供給されており、適当な温度で脱水素反応が進行し得るようにされている。なお、反応領域61には、熱交換を効率的に行うための邪魔板63が設けられており、反応領域61に図1では上側から供給された熱媒体が反応領域61内でジグザグに流れ、下側から排出されるようになっている。そして、脱水素反応器6から排出された熱媒体は、2次気化器5の熱源として再利用された後に大気中へ放出される。ここで、熱媒体供給装置11において熱媒体を加熱する熱源には、燃料をバーナー等の加熱手段で燃焼させて発生させた熱等を用いることができる。
【0019】
脱水素反応器6の反応管62に充填する脱水素反応触媒としては、白金、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、スズ、レニウム、及びゲルマニウムよりなる群から選択される少なくとも1種の触媒活性を有する金属を多孔質担体に担持したものが好ましく、原料となる芳香族炭化水素水素化物の種類により、平均細孔径を適宜選択することが好ましい。例えば、1環のシクロヘキサン類を用いる場合には、特に40〜80Åの平均細孔径を持つ触媒が好ましく、2環のデカリン類を用いる場合には、特に65〜130Åの平均細孔径を持つ触媒を選択することが好ましく、いずれの触媒も好ましい細孔径をもつ細孔の容量が全細孔容量の50%以上であることが好ましい。
【0020】
なお、脱水素反応触媒の平均細孔径および細孔容量の比率を制御するには、触媒の担体としてAl23あるいはSiO2を用いることが好ましく、これらは、それぞれ単独で用いてもよいし、適当な割合で両者を組み合わせて用いてもよい。芳香族炭化水素水素化物が1環と2環の混合物である場合は、その組成により、好ましい平均細孔径をもつ触媒を混合して用いても良い。
【0021】
また、脱水素反応触媒における多孔質担体の金属担持率は、0.001〜10質量%の範囲が好ましく、0.01〜5質量%の範囲が更に好ましい。金属担持率が0.001質量%未満では、十分に脱水素反応を進行させることができず、一方、10質量%を超えて金属を担持しても、金属の増量に見合う効果が得られないからである。
【0022】
脱水素反応器6での脱水素反応は、上記した脱水素反応用触媒の存在下、LHSVが0.5〜4hr-1、反応温度が100〜450℃、好ましくは250℃〜450℃、反応圧力が常圧〜2MPaG、好ましくは常圧〜0.7MPaGの条件下で、芳香族炭化水素水素化物と共に水素を流通しながら実施する。なお、脱水素反応の反応温度、即ち、反応管62内の脱水素反応触媒層の平均温度は、後述する水素分離膜の温度に応じて適宜選択される。また、流通水素の量は、水素/芳香族炭化水素水素化物のモル比が0.01〜10となる範囲が好ましい。このように水素を流通させながら脱水素反応を行うと、水素を流通させない場合に比べ、副反応を抑えることができ、水素を効率的に製造できるだけでなく、脱水素反応後に回収される油を再度水素化して芳香族炭化水素水素化物として再利用する際に、水素化物中に含まれる不純物量を少なくすることが出来る。更に、水素を効率的に製造するには、転化率85%以上になるように反応条件を選択することが好ましい。
【0023】
脱水素反応により生成するガスは、水素を主成分とするが、その他に、未反応の芳香族炭化水素水素化物、脱水素反応により生成する芳香族炭化水素、副反応により生じるメタン、エタン等の低級炭化水素、副反応により生じるアルキルシクロペンタンなどを含むことがある。しかしながら、都市ガス、灯油、ナフサ等の改質反応により水素を製造する場合の反応生成ガス中に含まれる一酸化炭素は、芳香族炭化水素水素化物の脱水素反応生成ガス中には含まれない。
【0024】
脱水素反応器6で生成したガスは、高純度の水素を得るために、水素分離膜を具える水素分離装置7に供給される。水素分離膜によって水素を分離する場合、脱水素反応直後の反応生成物を気液分離することなく水素を精製することが好ましい。このようにすれば、脱水素反応生成ガスの冷却と再加熱との双方を必要としていた従来技術に比べて、エネルギー効率を向上させることができる。
【0025】
水素分離装置7は、水素分離膜を具える限り特に限定されるものではない。また、該水素分離装置7に用いる水素分離膜としては、金属膜、セラミック膜、高分子膜等が挙げられるが、脱水素反応器6の温度、圧力、流体に含まれる成分を考慮すると、金属膜もしくはセラミック膜が好ましく、特に、高い水素分離性能を有しているPd合金膜を用いることが好ましい。Pd合金膜としては、Pd−Ag膜、Pd−Cu膜等が挙げられるが、特には、圧延膜として薄膜化が可能で、水素脆化の少ないPd−Cu膜が好ましい。Pd−Cu膜は、たとえば、米国特許第3,439,474号に記載の方法により作製することができる。
【0026】
なお、水素分離装置7の水素分離膜にPd−Cu膜を用いる場合、分離膜温度は、250〜400℃の範囲が好ましい。水素分離膜の温度が250℃未満では、水素の透過速度が低下して、水素回収率が低下するからである。また、水素分離膜の温度が400℃を超えると、水素分離膜の結晶形態が変化して水素の透過速度が低下し、水素回収率が低下するからである。
【0027】
水素分離装置7の水素分離膜を通して分離した高純度水素は、燃料電池自動車あるいは定置用燃料電池等の燃料電池向け燃料として用いることができる。また、該高純度水素の一部を脱水素反応器6へ循環させ、脱水素反応に必要な流通水素として用いてもよい。なお、脱水素反応に用いる流通水素としては、水素分離膜を通して分離した高純度水素以外にも、外部から導入される水素、脱水素反応器6から出る反応生成ガスの未精製ガス中に含まれる水素、水素分離膜を透過しなかったガスに含まれる水素を用いることもできるが、流通水素の純度が低いと、水素以外のガスの濃度が高くなってしまい、水素流通下で脱水素反応を行う利点が十分に得られなくなるため、水素分離膜を透過させて得た高純度水素を脱水素反応器6へ循環するのが好ましい。
【0028】
なお、上記実施形態以外にも、気液分離装置9の下流側にPSA(Pressure Swing Adsorption)やTSA(Temperature Swing Adsorption)等のガス分離技術を用いた水素精製装置を設け、水素分離装置7の水素分離膜を通過しなかったガスから高純度水素を製造しても良い。
【実施例】
【0029】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0030】
(実施例1)
上述した水素製造装置1において、反応管62中の触媒層(容積:1.4L)におけるPt(活性金属)の量が、該触媒層を深さ方向に3等分したときに、(反応器入口側1/3の層[第1層])<(反応器中間の1/3の層[第2層])<(反応器出口側の1/3の層[第3層])となるように、反応管62にPt/Al23触媒(平均細孔径72.9Å、全細孔容量に占める40〜80Åの細孔容量の割合が60%)を充填した。なお、各層にはPt担持量を変化させた同量のPt/Al23触媒を均一に充填することとし、各層のPt/Al23触媒のPt担持量は、第1層が0.3質量%、第2層が0.5質量%、第3層が0.7質量%となるようにした。そして、芳香族炭化水素水素化物としてメチルシクロヘキサン(MCH)を用い、反応圧力0.3MPaG、液空間速度(LHSV)=2.0hr-1、水素/オイル比(H2/Oil)=1.0mol/molの条件下で脱水素反応を行った。各層の温度、触媒層全体の平均温度、及び転化率を表1に示す。
【0031】
(比較例1)
反応器全体に、Pt担持量が0.5質量%のPt/Al23触媒を均一に充填する以外は、実施例1と同様にして、脱水素反応を行った。各層の温度、触媒層全体の平均温度、及び転化率を表1に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
表1の実施例1から、触媒層の平均触媒濃度を、(反応器入口側1/3の層)<(反応器中間の1/3の層)<(反応器出口側の1/3の層)とし、触媒層の入口側から1/3の部分の平均触媒濃度を、該触媒層全体の平均触媒濃度より低くすることで、脱水素添加率が向上することが分かる。一方、比較例1の結果から、触媒が均一に充填された反応管を用いた脱水素反応器では、実施例1に比べて転化率が大幅に低下することが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の水素製造装置の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0035】
1 水素製造装置
2 タンク
3 ポンプ
4 1次気化器
5 2次気化器
6 脱水素反応器
7 水素分離装置
8 凝縮器
9 気液分離装置
10 回収油タンク
11 熱媒体供給装置
61 反応領域
62 反応管
63 邪魔板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱水素反応を用いて芳香族炭化水素の水素化物から水素を製造する装置であって、
前記水素化物が流入する入口と、前記脱水素反応の生成物が流出する出口とを有し、内部に脱水素反応触媒の触媒層が設けられた脱水素反応器を備え、
前記触媒層の入口側から1/3の部分の平均触媒濃度が、該触媒層全体の平均触媒濃度より低いことを特徴とする、水素製造装置。
【請求項2】
前記触媒層の入口側から1/3の部分の平均触媒濃度が、前記触媒層全体の平均触媒濃度の0.3〜0.7倍である、請求項1に記載の水素製造装置。
【請求項3】
脱水素反応を用いて芳香族炭化水素の水素化物から水素を製造する方法であって、
脱水素反応器を備える水素製造装置に前記水素化物を含有する原料を供給する工程と、
前記脱水素反応器内で前記水素化物の脱水素反応を行う工程と、
少なくとも水素を含む前記脱水素反応の生成物を取り出す工程と、
を含み、前記水素製造装置が請求項1または2に記載の水素製造装置であることを特徴とする、水素製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−6651(P2010−6651A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168962(P2008−168962)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年4月2日付け平成19・04・02財資第9号平成19年度新燃料油研究開発調査(将来型燃料高度利用研究開発)委託契約に基づき財団法人石油産業活性化センターが国から委託を受けて実施した「将来型燃料高度利用研究開発事業」における「有機ハイドライドを利用したオフサイト水素供給要素技術開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(304003860)株式会社ジャパンエナジー (344)
【Fターム(参考)】