説明

水素還元水又は水素還元食品を得るためのキャッピング方法及びそのキャップ

【課題】 炭素に水素を吸着させ、水素の担体としてこれを食品に含ませることで、腸の奥深くまで十分な水素を送り込めるようにし、それにより活性酸素を無害化できるようにすることを課題として開発された。
【解決手段】 内側に炭素の微粒子が付着された複数のキャップが水素雰囲気のキャップキャッチャーに装填されており、タンクから移送された水又は調理済みの食品が充填機によって高気密性容器に充填された後、前記キャップを用いてキャッピングする際に、水素ガス又は水蒸気のいずれか一方若しくはその双方を吹き込んで前記高気密性容器のヘッドスペースをエアー置換する水素還元水又は水素還元食品を得るためのキャッピング方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水及び飲料を含む食品を水素還元することで、水素還元水又は水素還元食品を得るためのキャッピング方法及びそのキャップに係る技術であり、主として食品の高気密性容器への充填及び密封ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
私たち人間は、摂取した飲食物を肺で吸引した酸素で燃焼するという生命代謝を繰り返すことで、生命を維持している。しかし、燃焼による酸化作用により活性酸素が発生するため、昨今、その人体に与える悪影響が取り沙汰されているようになった。活性酸素は細胞内の情報伝達や、体内に入った細菌を酸化により殺菌するなど、人体にとって有効な働きもしているが、活性酸素が体内で大量に発生すると、細胞のDNA(遺伝子)まで傷つけ、癌をはじめとする様々な成人病や生活習慣病を誘発する原因になる。人体にはそもそも、余分な活性酸素を排除するSOD(活性酸素除去酵素)を生成する機能が備わっているが、20歳代をピークに年々その生成量が減少し、40歳代にはピーク時の約半分にまで減少する。その結果、年を重ねるごとに成人病や生活習慣病の発生率が高まり、その凡そ90%もの病気に活性酸素が影響するようになるため、年々低下する活性酸素除去機能を如何にして補充するかが、成人病や生活習慣病の予防にとって非常に重要である。そこで、本願の発明者が着目したのは水素と炭素の持つ効果である。
【0003】
水素は宇宙で最も多い元素であり、地球上では水や有機化合物を構成する要素として存在する。水素は非常に軽い元素であり、空気中で燃焼(爆発)する性質を有し、その際にCO2(二酸化炭素)を発生しないため、新世代のクリーンなエネルギーとして注目されている。また、物を酸化させる力を数値化したものをORP(酸化還元電位)といい、プラス数値が高いほど酸化力(酸化する力)が強く、マイナス数値が低いほど還元力(酸素を除去する力)が強いことを意味するが、水素は固有エネルギーレベルで−420mVという強い還元力を有するため、これを十分に体内に送り込むことができれば、前記した活性酸素を還元・中和して水となり、活性酸素を無害化することができる。そのため最近では、この水素の還元力に着目し、これを健康の維持・増進に利用するべく、水素を水に溶解させた還元水や還元水生成装置が開発されているが(特許第3606466号、特開2002−301483)、水素は難溶性であるため十分に溶け込ませることが難しく、しかも、還元水を容器に充填してキャッピングする僅かな時間に還元水が空気と接触し、また、容器のヘッドスペースに空気が残存しているため、キャッピングされた還元水は時間の経過により酸化し、還元力が低下してしまうといった問題があった。
【0004】
他方、炭素は宇宙に多く存在し、地球上では化合物として大気中や海中に広く存在している。炭素は単体でも化合物でも多様な形状を取ることができ、その種類は1000種を超えるといわれている。炭素も水素と同様、人間の生活にはなくてはならない元素であり、蛋白質や糖、核酸、アミノ酸、脂肪などは炭素を含む化合物であるが、摂取しても腸で消化・吸収されずに体外に排出される。炭素はまた、多孔質で表面積が非常に広く、におい分子や色素の吸着効果が高いため、消臭剤や脱色剤として古くから用いられている。因みに、活性炭は1gで1000〜2500平方メートルもの表面積があり、標準状態で1000〜2000mlの水素を吸着できると言われている。そのため、炭素を水素の担体として食品に利用することが出来れば、還元力の高い食品を得ることが可能となる。
【特許文献1】特許第3606466号
【特許文献2】特開2002−301483
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、如上の点に基づいて本願の発明者が着目したのが、水素を吸着させた炭素の体内への摂取である。水素は非常に小さく軽い物質であるため、たとえ水素を溶解させた還元水であっても、キャップを開けて還元水を口から摂取しても直ぐに放散してしまい、腸の奥深くまで十分な水素を送り込むことができない。しかしながら、飲料を含む食品に十分な水素を溶存させることができれば、それを食するだけで腸の奥深くまで水素を送り込むことができる。そのため、炭素に水素を吸着させ、水素の担体としてこれを食品に含ませることで、腸の奥深くまで十分な水素を送り込めるようにし、それにより活性酸素を無害化できるようにすることを課題として開発されたのが、本発明に係る水素還元水又は水素還元食品を得るためのキャッピング方法及びそのキャップである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記課題を解決するための手段として、下記構成の水素還元水又は水素還元食品を得るためのキャッピング方法及びそのキャップを提案する。
【0007】
請求項1に係る発明は、内側に炭素の微粒子が付着された複数のキャップが水素雰囲気のキャップキャッチャーに装填されており、タンクから移送された水が充填機によって高気密性容器に充填された後、前記キャップを用いてキャッピングする際に、水素ガス又は水蒸気のいずれか一方若しくはその双方を吹き込んで前記高気密性容器のヘッドスペースをエアー置換することを特徴とする水素還元水を得るためのキャッピング方法である。
【0008】
請求項2に係る発明は、内側に炭素の微粒子が付着された複数のキャップが水素雰囲気のキャップキャッチャーに装填されており、タンクから移送された調理済みの食品が充填機によって高気密性容器に充填された後、前記キャップを用いてキャッピングする際に、水素ガス又は水蒸気のいずれか一方若しくはその双方を吹き込んで前記高気密性容器のヘッドスペースをエアー置換することを特徴とする水素還元食品を得るためのキャッピング方法である。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明であって、前記水又は食品のタンクから充填機への移送は、水素ガスによる圧送であることを特徴とする水素還元水又は水素還元食品を得るためのキャッピング方法である。
【0010】
請求項4に係る発明は、内側に炭素の微粒子と調理剤が付着された複数のキャップが水素雰囲気のキャップキャッチャーに装填されており、調理済み又は未調理の食品が高気密性容器に充填された後、前記キャップを用いてキャッピングする際に、水素ガス又は水蒸気のいずれか一方若しくはその双方を吹き込んで前記高気密性容器のヘッドスペースをエアー置換することを特徴とする水素還元食品を得るためのキャッピング方法である。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の発明であって、前記調理済み又は未調理の食品の高気密性容器への充填後又は充填に際して、水又はアルコール又は調理液のいずれか1種類若しくは2種類以上が高気密性容器に充填されることを特徴とする水素還元食品を得るためのキャッピング方法である。
【0012】
請求項6に係る発明は、内側に炭素の微粒子と調理済み又は未調理の食品が付着された複数のキャップが水素雰囲気のキャップキャッチャーに装填されており、水又はアルコール又は調理液のいずれか1種類若しくは2種類以上が高気密性容器に充填された後、前記キャップを用いてキャッピングする際に、水素ガス又は水蒸気のいずれか一方若しくはその双方を吹き込んで前記高気密性容器のヘッドスペースをエアー置換することを特徴とする水素還元食品を得るためのキャッピング方法である。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の発明であって、前記炭素の微粒子と調理済み又は未調理の食品に加え、調理剤がキャップの内側に付着されていることを特徴とする水素還元食品を得るためのキャッピング方法である。
【0014】
請求項8に係る発明は、内側に炭素の微粒子と調理済みの乾燥食品が付着された複数のキャップが水素雰囲気のキャップキャッチャーに装填されており、前記キャップを用いてキャッピングする際に、水素ガス又は水蒸気のいずれか一方若しくはその双方を吹き込んで前記高気密性容器のヘッドスペースをエアー置換することを特徴とする水素還元食品を得るためのキャッピング方法である。
【0015】
請求項9に係る発明は、内側に炭素の微粒子が付着されており、前記炭素には予め水素が吸着されていること又は閉栓後に水素が吸着されることを特徴とする水素還元水又は水素還元食品を得るためのキャップである。
【0016】
請求項10に係る発明は、請求項9に記載の発明であって、前記炭素の微粒子に加え、調理剤又は調理済み又は未調理の食品のいずれか一方若しくはその双方が付着されていることを特徴とする水素還元水又は水素還元食品を得るためのキャップである。
【0017】
請求項11に係る発明は、請求項4乃至請求項8、請求項10に記載の発明であって、前記調理剤と前記調理済み又は未調理の食品は、凍結乾燥された状態で炭素の微粒子と共にキャップの内側に付着されていることを特徴とする水素還元食品を得るためのキャッピング方法及びそのキャップである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1及び請求項2に記載の発明では、キャップの内側に付着された炭素の微粒子に大量の水素が吸着されており、キャッピング後に前記炭素微粒子から高気密性容器内の水又は調理済みの食品に水素が放出されるため、製造ライン工程の終了後に、十分な水素を水又は調理済み食品に溶解させることができる。また、食品充填後のキャッピングに際して、高気密性容器のヘッドスペースに水素ガス又は水蒸気若しくはその双方を吹き込むことでエアー置換され、酸素が強制的に排出されるため、水素雰囲気の状態でキャッピングを行うことができる。そのため、前記炭素微粒子から放出される水素と相俟って、容器内に密封された前記水又は調理済み食品への水素の溶解が確実に行われ、還元力の優れた水素還元水や水素還元食品を得ることができる。キャッピングにより密封された水又は食品に水素が放出できるメリットは、水素が難溶性である点に理由がある。すなわち、水又は調理済み食品の容器への充填前に水素と接触させたとしても、その難溶性により十分な水素を溶解させることは困難であったが、本発明では容器への水又は調理済み食品の充填・密封後に水素が放出されるようしたことで、密封された容器内で水素が溶解されるため、従来にない水又は調理済み食品への水素溶存が可能となった。具体的には、水1リットルで最大の水素溶存量まで、食品中の水素溶存量を高めることが可能となった。因みに、水素溶存量は加える圧力により可変とすることができる。
【0019】
請求項1及び請求項2の発明ではまた、炭素の微粒子に大量の水素が吸着しているため、それが前記した水素溶存の水又は調理済み食品と共に食されることで、腸の奥深くまで確実に水素を送り込むことができる。すなわち、水素が溶存した水又は調理済み食品といえども、キャップを開けた瞬間から水素の放散が始まるため、従来の水素還元水などでは、水又は調理済み食品が腸に到達するまでの間に還元能力が低減してしまうといった問題点があったが、本発明では前記炭素の微粒子に十分な水素が吸着しており、これが水素を保持した状態で腸の奥深くまで送り込まれるため、腸内で発生する活性酸素を還元・中和して、これを無害な水に変化させることが可能となる。その際、炭素は腸で消化・吸収されず、便と共に体外に排出されるため、人体への悪影響も全くない。このように、水又は調理済み食品に水素が溶解することに加え、炭素微粒子が大量の水素を吸着していることで、腸内で発生する活性酸素を還元・中和して無害化することができるが、そのことは、水又は調理済み食品の酸化を抑止できることも意味するから、容器内の水又は調理済み食品の品質が劣化することなく、高品質の状態で長期保存が可能になることをも意味する。加えて、請求項1及び請求項2の発明に係るキャッピング方法は従来のラインへの付加が容易なため、既存設備をそのまま利用して水素還元水や水素還元食品を製造することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明では、タンクから充填機への水又は食品の移送も水素ガスの圧送により行われるため、高気密性容器へのキャッピングに際してのエアー置換以前の段階で、水又は食品を水素雰囲気の状態で移送することができる。そのため、水又は食品への水素の溶解効率がより促進できる。
【0021】
請求項4及び請求項5に記載の発明では、キャップの内側に炭素の微粒子のほか、調理剤も付着されており、これが水素雰囲気のキャップキャッチャー内に装填されているため、炭素微粒子だけでなく、調理剤にも水素を吸着させることができる。そのため、キャッピングによる高気密性容器への食品の密封後、炭素微粒子のみならず調理剤からも水素が放出されることで、食品への水素溶解効率が高められる。なお、前記したように、キャップの開封により放散を開始するため、調理剤に吸着した水素は続々と放散し、還元力が低下するが、膨大な表面積を有する炭素微粒子には大量の水素が吸着されているため、水素を担持したまま腸内に送り込むことができる。また、高気密性容器への食品充填後のキャッピングに際して、水素ガス又は水蒸気若しくはその双方を吹き込んで容器のヘッドスペースがエアー置換されるため、ヘッドスペースに滞留する酸素が強制的に排出され、完全なる水素雰囲気の状態でキャッピングを行うことができる。その結果、高気密性容器内の食品への水素溶解の効率性をより高めることができ、還元力が高く、品質劣化を抑止できる水素還元食品を得ることが出来る。
【0022】
請求項4及び請求項5に記載の発明ではまた、キャップの内側に調理剤が付着しているため、高気密性容器に充填される食品が未調理である場合は、その味付けや味覚の調整をキャッピングによる密封の後に行うことが出来るといったメリットがある。すなわち、高気密性容器に充填される食品が調理済みの場合は、既に調理の段階で加熱されているが、高気密性容器に充填される食品が未調理の場合は、キャッピングによる密封後の殺菌の段階で調理も行えるため、従来、不可避であった調理による加熱の工程を省略できるという画期的な効果が得られるようになった。すなわち、未調理の食品が「かに肉」である場合、調理剤を醤油や塩などとし、必要となる水等と共に高気密性容器に充填しておき、エアー置換しながらキャッピングすることで、その殺菌のための加熱の段階で、沸騰した前記水等とキャップの内側に付着された調理剤が混ざり合うため、前記「かに肉」は容器内に密封された状態で味付け等の調理が行われることになる。また、「かに肉」が調理済みの場合でも、調理剤を香辛料とすることで、やはり殺菌のための加熱工程で混ざり合うため、味覚や香などを調整するための調理を行うことができる。その際、前記したと同様、炭素微粒子や調理剤に吸着された水素が放出されるため、ヘッドスペースのエアー置換と相俟って、容器内に密封された食品は無酸素の状態で調理されることになる。その結果、十分な水素が溶解し、還元力が高く、品質劣化の虞がない水素還元食品を得ることが可能となる。
【0023】
また、高気密性容器に充填される食品が未調理の「紅茶用の茶葉」である場合は、ティーバックのようなフィルターに入れた茶葉を必要となる水等と共に容器内に充填しておき、エアー置換しながらキャッピングすることで、その殺菌のための加熱の段階で、沸騰した前記水等と前記茶葉が混ざり合うため、前記「紅茶用の茶葉」は容器内に密封された状態で抽出が行われることになる。その際、キャップの内側に付着された調理剤も前記水等の沸騰により混ざり合うため、調理剤を砂糖やミルクとすることで、紅茶の抽出と同時に砂糖やミルクも混ざり合い、味付けなどの調理が行われることになる。また、高気密性容器に充填される食品が調理済みの「紅茶」である場合は、既に抽出された紅茶液が容器に充填されているが、まだ砂糖とミルクを混ぜていない場合や、そのいずれか一方を混ぜていない場合に、これらを調理剤としてキャップの内側に付着しておくことで、水の沸騰により紅茶液と混ざり合うため、やはり味付けや味覚調整のための調理を行うことができる。このように、キャップの内側に調理剤も付着したことで、高気密性容器に充填される食品が未調理である場合はとりわけ、殺菌のための加熱工程において調理が行えるようになった。従来の飲料や缶詰食品では、調理のための加熱工程は不可避であったが、本発明ではそれを省略できるという画期的な効果が得られるようになった。
【0024】
請求項6及び請求項7に記載の発明では、請求項4及び請求項5の発明ではキャップの内側に付着されるのが、炭素の微粒子と調理剤の組み合わせであるところ、これを炭素の微粒子と調理済み又は未調理の食品とした点で相違する。すなわち、本発明では、炭素の微粒子のほか、調理済み又は未調理の食品も付着された状態で、水素雰囲気のキャップキャッチャー内に装填されているため、炭素微粒子だけでなく、食品自体にも水素を吸着させることができる。そのため、高気密性容器への食品の充填後のキャッピングに際して行われる水素ガス又は水蒸気若しくはその双方によるエアー置換と相俟って、炭素微粒子のみならず食品自体も完全に水素雰囲気の状態で容器内に密封できる。その結果、既に述べたように、十分な水素が溶解された、還元力の高い、且つ、品質劣化を防止できる水素還元食品を得ることができる。
【0025】
請求項6及び請求項7に記載の発明はまた、キャップの内側に調理済み又は未調理の食品が付着しているが、高気密性容器に水又はアルコール又は調理液などが充填されるため、キャッピングによる食品の密封後に味付けや味覚調整などの調理を行えるというメリットがある。すなわち、キャップに付着される食品が調理済みの場合は、既に調理の段階で加熱されているが、キャップに付着される食品が未調理である場合は、キャッピングによる密封後の殺菌の段階で調理が行えるため、前記した実施例と同様、従来は不可避であった調理による加熱の工程を省略できるという画期的な効果が得られるようになった。例えば、キャップに付着される未調理の食品が「かに肉」である場合、高気密性容器には醤油や味醂などを調理液として充填しておき、エアー置換を行いながらキャッピングすることで、その殺菌のための加熱の工程で、沸騰した調理液と混ざり合うため、キャップの内側に付着された「かに肉」は容器内に密閉された状態で味付け等の調理が行われることになる。また、キャップに付着される「かに肉」が調理済みの場合には、水や油などの調理液を高気密性容器に充填することで、殺菌のための加熱工程でそれが沸騰して混ざり合うため、風味調整のための調理を行うことができる。その結果、前記したと同様、エアー置換の効果も伴って、炭素微粒子のみならず食品自体も完全に水素雰囲気の状態で容器内に密封されるため、十分に水素が溶解された、還元力の高い、且つ、品質劣化を抑止できる水素還元食品を得ることができる。
【0026】
また、キャップに付着される食品が未調理の「紅茶用の茶葉」である場合は、キャップの内側に炭素の微粒子と共に茶葉を付着し、水とミルクや砂糖などの調理液を高気密性容器内に充填しておき、エアー置換しながらキャッピングすることで、その殺菌のための加熱の段階で、沸騰した水やミルクや砂糖と茶葉が混ざり合うため、「紅茶用の茶葉」は容器内に密封された状態で抽出が行われるだけでなく、味付けなどの調理も行われることになる。また、キャップに付着される食品が調理済みの「紅茶」である場合は、既に抽出された紅茶液をキャップに付着するのは容易でないため、これを凍結乾燥して粉状・粒状としたものが炭素微粒子と共に付着される。そうして、前記紅茶液が既に味付けされていれば、高気密性容器には水が、されていなければミルクや砂糖などの調理液も一緒に充填され、殺菌のための加熱段階で混ざり合い、味付け等の調理が行われることになる。また、キャップに付着される未調理の食品が「ワイン」である場合は、やはりキャップへの付着が困難であるため、凍結乾燥によりエキスを粉状・粒状にしたものをキャップに付着し、アルコールなどを高気密性容器内に充填しておき、エアー置換しながらキャッピングすることで、その殺菌のための加熱の段階で、沸騰した前記アルコールなどと混ざり合うため、キャップに付着された前記エキスが溶け込んで、アルコール分を調整するための調理が行われることになる。このように、「ワイン」のような非抽出飲料の場合は、エキスの抽出は伴わないが、殺菌のための加熱工程において、アルコール分や香を調整するための調理を行うことができる。なお、キャップの内側に付着する食品が飲料である場合は、その付着の困難性から、凍結乾燥することが望ましいが、キャップを貯留可能な構造とすることで、液状のまま付着しても良い。
【0027】
請求項6及び請求項7に記載の発明では更に、炭素の微粒子と調理済み又は未調理の食品のほか、調理剤をキャップに付着させても良く、その場合は、当初より高気密性容器に充填しておくことが望ましい水又はアルコール又は調理液の種類と、キャップに付着することが望ましい調理剤の種類とを、所望とする食品の内容に応じて使い分けすることができる。例えば、調理済みの食品はキャッピング前に調理されているが、最終的な段階で味覚や香を調整したいと思うことがあり、その場合はキャップにその種の調理剤を付着しておくことで、キャッピング後の殺菌加熱の段階で食品と混ざり合うようにすることができる。他方、未調理の食品はキャッピング前には調理されていないため、しっかりと味付けを行う必要があるため、高気密性容器に醤油や味醂などの調理液を充填したり、キャップにそれら調理剤を付着しても良い。
【0028】
請求項8に記載の発明では、キャップの内側に調理済みの乾燥食品が付着されており、既に調理が行われた状態で乾燥されているため、そのキャップをそのまま高気密性容器にキャッピングすれば良い。すなわち、キャップに付着されるのが調理済みの乾燥食品であり、乾燥した状態で食するのが一般的であるから、これを貯蔵するタンクも、また、これを高気密性容器に充填する工程も不要である。調理済みの乾燥食品としては、例えば、「ビーフジャーキー」や「ドライ・パイナップル」などがあるが、これらは既に味付けした状態で乾燥されているため、これが付着されたキャップを用いて、エアー置換しながらキャッピングするだけで、炭素微粒子のみならず食品自体も完全に水素雰囲気の状態で容器内に密封されるため、十分に水素が吸着された、還元力の高い、且つ、品質劣化を抑止できる水素還元食品を得ることができる。
【0029】
請求項9に記載の発明は請求項1の発明で用いられるキャップに関し、高気密性容器のキャップを、内側に大量の水素が吸着された炭素の微粒子が付着されたキャップとしたことで、キャッピング後に高気密性容器内に密封された飲料や食物等の食品に水素を十分に溶解させることができ、その結果、水素を吸着した炭素の微粒子を腸の奥深くまで送り込むことができる。なお、炭素の微粒子は消化されないため、排便に際して体外に排出され、人体に悪影響を及ぼすこともない。また、キャップは捩じ込み式のものだけでなく、巻締により密封される缶詰の蓋体など、食品を充填・密封するあらゆる容器の蓋が含まれる。
【0030】
請求項10に記載の発明は請求項9の発明で用いられるキャップに関し、高気密性容器のキャップを、内側に炭素の微粒子のほか、調理済み又は未調理の食品又は調理剤のいずれか一方若しくはその双方が付着された構造としたことで、炭素微粒子のみならず、調理済み又は未調理の食品や調理剤にも水素が吸着されるため、キャッピング後に高気密性容器に密封された食品への水素溶解をより確実に行うことができる。また、水素を吸着した炭素微粒子が腸の奥深くまで送り込まれるため、腸内で発生する活性酸素を効率良く還元・中和することができる。加えて、従来は食品を容器に充填する前に調理のために加熱しなければならず、それが食品の酸化による味覚低下の一因となっていたが、本発明に係るキャップを用いることで、食品の調理を密封後の殺菌のための加熱工程で行えるようになったため、従来は不可避であった調理のための加熱工程を省略できるという画期的な効果が得られるようになった。また、無酸素状態の容器内で食品の調理が行えるため、従来にない味覚の食品が提供できるようになった。
【0031】
請求項11に記載の発明では、キャップに付着される調理剤と前記調理済み又は未調理の食品を、凍結乾燥された状態で炭素の微粒子と共にキャップの内側に付着させる構成としたことで、キャップへの収まりを容易にすることができる。また、炭素の微粒子を調理剤や調理済み又は未調理の食品と一体に混ぜ合わせて凍結乾燥し、澱粉や糖類などの練り物を用いてキャップの内側に付着しても良い。更に、食品を入れるパックやフィルターをキャップの内側に設けたり、キャップ内側を食品が保持できるような構造としても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明に係る水素還元水又は水素還元食品を得るためのキャッピング方法及びそのキャップの実施例を、図面に基づいて説明する。
図1は請求項9又は請求項10の発明に係るボトル用のキャップの実施例を示す図面、図2は請求項9又は請求項10の発明に係る缶詰用のキャップの実施例を示す図面、図3は抽出飲料の一般的な製造工程を示すフローチャート、図4は非抽出飲料の一般的な製造工程を示すフローチャート、図5は缶詰の一般的な製造工程を示すフローチャート、図6は請求項1乃至請求項3の発明に係るキャッピング方法であって水素還元する食品が水又は調理済みの食品である場合の実施例を示すフローチャート、図7は請求項4の発明に係るキャッピング方法であって水素還元する食品が調理済みの食品である場合の実施例を示すフローチャート、図8は請求項5の発明に係るキャッピング方法であって水素還元する食品が調理済みの食品である場合の実施例を示すフローチャート、図9は請求項5の発明に係るキャッピング方法であって水素還元する食品が未調理の抽出飲料である場合の実施例を示すフローチャート、図10は請求項4の発明に係るキャッピング方法であって水素還元する食品が未調理の非抽出飲料である場合の実施例を示すフローチャート、図11は請求項5の発明に係るキャッピング方法であって水素還元する食品が未調理の缶詰食品である場合の実施例を示すフローチャート、図12は請求項6又は請求項7の発明に係るキャッピング方法であって水素還元する食品が調理済みの食品である場合の実施例を示すフローチャート、図13は請求項6又は請求項7の発明に係るキャッピング方法であって水素還元する食品が未調理の抽出飲料である場合の実施例を示すフローチャート、図14は請求項6又は請求項7の発明に係るキャッピング方法であって水素還元する食品が未調理の非抽出飲料である場合の実施例を示すフローチャート、図15は請求項6又は請求項7の発明に係るキャッピング方法であって水素還元する食品が未調理の缶詰食品である場合の実施例を示すフローチャート、図16は請求項8の発明に係るキャッピング方法であって水素還元する食品が調理済みの乾燥食品である場合の実施例を示すフローチャートである。1はキャップ、2は炭素の微粒子又はこれと調理剤又は調理済み又は未調理の食品のいずれか一方若しくはその双方、3は水素放出の方向、4は高気密性容器である。
【0033】
本発明において用いる用語の定義は以下のとおりである。
(1)水:水道水を含む殺菌処理された水
(2)食品:飲料(アルコール飲料を含む)・食肉・野菜・果物などあらゆる食料品
(3)抽出飲料:緑茶・紅茶・ウーロン茶・コーヒーなど抽出性の飲料
(4)非抽出飲料:ワイン・ビール・炭酸水・果実飲料・スポーツ飲料など非抽出性の飲料
(5)調理剤:飲料を含む食品を調理・調味・調合するためのあらゆる素材
(6)調理:飲料を含む食品を味付け・味覚調整など料理すること(抽出・調味・調合を含む)
(7)調理液:液状の調理剤
(8)充填:調理済み又は未調理の食品のほか水・アルコール・調理液を容器内に入れること
(9)タンク:調理を要する食品ではブレンディングタンク、調理を要しない又は経た食品では貯蔵タンクを意味する
(10)ヘッドスペース:食品・水・アルコール・調理液の充填後に容器の上部に生ずる空間
(11)炭素:炭素の同素体の全てを含む
【0034】
キャップ
先ず、図1と図2は請求項9又は請求項10の発明に係るキャップの実施例であり、図1はボトル用のキャップ、図2は缶詰用のキャップ(リッド)に関する。本発明では容器内に充填されるものが水素還元水又は水素還元食品であるため、アルミパウチやアルミ缶などアルミ素材の高気密性容器において用いられるキャップを意味し、巻き締めされる缶詰などの蓋体もキャップの概念に含まれる。キャップの形状については格別限定をしないが、キャップを閉栓し又は巻締めした場合に、食品と対向する内側に炭素の微粒子が付着されている。炭素の微粒子としては活性炭を含む炭素の同素体を微粒子状にしたものなどの採用を予定している。因みに、活性炭は1gで1000〜2500平方メートルもの表面積があり、標準状態で1000〜2000mlの水素を吸着できると言われている。請求項9の発明に係るキャップでは、水素雰囲気のキャップキャッチャーに装填されることで、予め炭素に水素が吸着されているタイプと、食品が充填された容器の閉栓後に、炭素に水素が吸着されるタイプの2つがある。容器の閉栓後に水素が吸着されるタイプでは、エアー置換に際して容器のヘッドスペースに吹き込まれる水素ガスのほか、空気中の水素や水中の水素が炭素微粒子に吸着されている。本発明では、水や食品に溶解された水素よりもむしろ、炭素微粒子に吸着された水素こそが最も腸内の活性酸素の除去に貢献し得るものである。斯かるところ、前記したように、炭素は標準状態でも多くの水素を吸着しており、エアー置換により吹き込まれる水素や、密封された水や食品から放たれる水素を吸着するため、空気中や水中の水素を吸着したキャップを利用することも可能であり、必ずしも水素雰囲気のキャップキャッチャーに装填されたものに限定されない。また、図面では粒状物として表されているが、これには請求項10の発明のように、炭素の微粒子に加え、調理剤や調理済み又は未調理の食品も含まれる。調理剤は食品を調理・調味・調合するためのあらゆる素材を含む。また、食品は飲料・食肉・野菜・果実など、水を除くあらゆる食料品を含み、調理済みと言う場合は飲料を含む全ての食品であって味付けや味覚調整されているものを意味し、未調理と言う場合は飲料を含む全ての食品であって味付けや味覚調整されていないものを意味する。なお、キャップの内側に調理済み又は未調理の食品を付着する場合は、その付着の困難性から、凍結乾燥されていることが望ましいが、キャップの内側を食品の固定が可能な構造としたり、ティーバックやフィルターのような容器に入れておき、充填後に食品の固定が解除されるようにしても良い。
【0035】
抽出飲料の一般的な製法
図3は抽出飲料の一般的な製法を示すフローチャートである。抽出飲料とは緑茶や紅茶、ウーロン茶、コーヒーなど、茶葉や豆からエキスを抽出することで製造される飲料を意味する。抽出飲料では一般的に、水のほか、茶葉やコーヒー豆など抽出飲料の素材を混合し、次いで、それを加熱することでエキスを抽出する。エキスが抽出された抽出飲料はブレンディングタンクでミルクや砂糖などが混ぜ合わされて調合された後、フィラーボールにより容器内に充填される。容器内への充填が完了すると、容器を密封するためのキャッピングが行われ、次いで、容器ごと加熱殺菌された後、梱包・出荷される。このように、一般的な抽出飲料の製造では、エキスを抽出するための加熱のほか、殺菌のための加熱という、2回の加熱を経なければならず、それが酸化による味覚の低下や品質劣化の一因となっていた。
【0036】
非抽出飲料の一般的な製法
図4は非抽出飲料の一般的な製法を示すフローチャートである。非抽出飲料とは果実飲料やワイン、炭酸飲料、スポーツドリンクなど、エキスを抽出することでは製造されない飲料を意味する。非抽出飲料は多くの種類があり、全てが一律な製法で製造されるわけではない。そのため、ここでいう非抽出飲料の素材とは、調合前の工程まで経た飲料素材であると仮定する。例えば、オレンジジュースであれば、オレンジを絞って得られたもので、シロップなどと調合されていない状態のものを飲料素材と言い、ワインであれば醸成されたもので、アルコールなどと調合されていない状態のものを飲料素材と言う。先ず、これら非抽出飲料の素材がブレンディングタンクでシロップやアルコールなどと調合された状態で貯蔵された後、フィラーボールにより容器内に充填される。次いで、容器を密封するためのキャッピングが行われたら、容器ごと殺菌加熱され、その後、梱包・出荷される。このように、一般的な非抽出飲料の製法では、前記したような抽出のための加熱工程は存在しないが、飲料素材の調合はブレンディングタンクにおいて行わねばならず、調合に際しての酸化は回避できなかった。
【0037】
缶詰の一般的な製法
図5は缶詰の一般的な製法を示すフローチャートである。ここでいう缶詰とは飲料を除く食肉・野菜・果物などの食料品を意味する。先ず、これら食品の素材が用意され、調理されたらタンクに貯蔵される。貯蔵された調理済みの食品は、内容量をチェックしながら容器内に充填され、その後、キャッピングにより密封される。密封されたら、缶詰の容器ごと殺菌加熱され、その後、梱包・出荷される。このように、一般的な缶詰の場合、食品素材の調理の段階と殺菌の段階という2つの段階で加熱処理を経なければならず、それが酸化による味覚の低下や品質劣化の一因となっていた。
【0038】
実施例1
図6は請求項1乃至請求項3の発明に係るキャッピング方法であって、水素還元する食品が水又は調理済みの食品である場合の実施例を示すフローチャートである。請求項1に係る発明は水素還元水を得るためのキャッピング方法であり、請求項2に係る発明は水素還元食品を得るためのキャッピング方法である。なお、調理済みの食品とは、調理された全ての抽出飲料・非抽出飲料をはじめ食肉・野菜・果物などの缶詰食品が含まれる。これらのケースではキャップに炭素の微粒子だけが付着されており、それが水素雰囲気のキャップキャッチャーに装填されている。他方、高気密性容器には水又は調理済みの食品が充填される。通常、水は殺菌処理が施されており、調理済みの食品は味付け等の調理が行われていることを意味する。なお、油や酢なども調理済みの食品に含まれる。また、本発明で用いるキャップはその内側に炭素の微粒子が付着されており、その複数が水素雰囲気のキャップキャッチャー内に装填されている。なお、キャップキャッチャー内は高圧・超低温にて水素雰囲気の状態となっているため、前記炭素の微粒子に大量の水素が吸着される。キャップの内側に付着される炭素の微粒子としては、活性炭を含む炭素の同素体をミクロンからナノの単位まで微粒子状にしたものの採用を予定しており、その付着方法としては、人体に影響のない澱粉や糖類などに炭素微粒子を混ぜ合わせた粘着性のものを、キャップの内側に吹き付けて付着することを予定しているが、必ずしもこれに限定されない。更に、キャッピングに際して、容器のヘッドスペースに水素ガス又は水蒸気のいずれか一方若しくはその双方を吹き込むためのノズルがあり、通常はタンク上やフィリング(充填)を行うための充填機の近傍に設けられている。先ず、水又は調理済みの食品はタンク内に貯蔵されており、次いで、充填機により高気密性容器内にフィリング(充填)される。容器内に水又は調理済みの食品が充填されたら、キャップキャッチャーに装填される前記キャップを用いて容器の閉栓又は巻締めが行われる。その際、前記ノズルから水素ガス又は水蒸気のいずれか一方又はその双方が容器のヘッドスペースに吹き込まれ、容器のヘッドスペースに滞留する空気がエアー置換されて、酸素が強制的に排出される。かくして、エアー置換による水素雰囲気の状態でキャップキャッチャーによりキャッピングが完了したら、容器ごと殺菌のための加熱処理が行われた後、梱包・出荷される。前記したように、キャップの内側に大量の水素を吸着した炭素の微粒子が付着されているため、キャッピングにより容器内に密封された水又は調理済みの食品に向けて前記炭素微粒子から水素が放出され、水又は調理済みの食品に水素が溶解する。また、殺菌のための加熱により、炭素微粒子に吸着された水素の放出が盛んになるため、無酸素の状態で密封された水又は調理済み食品への水素の溶解がより促進される。その結果、水素還元電位でいえば−700mVを超える還元力を有する水素還元水又は水素還元食品を得ることができる。更に、請求項3に係る発明では、図6に示すように、タンクに貯蔵された水又は調理済みの食品の充填機への移送工程を水素ガスにより圧送とすることで、前記したエアー置換やキャッピングによる水素との接触以前に、水又は調理済みの食品を水素雰囲気の状態に置くことができる。このように、水や調理済みのあらゆる食品につき、その高気密性容器へのフィリング(充填)とキャッピング(密封)の段階で本発明に係る工程を採用することで、水素溶存量の極めて高い水素還元水や水素還元食品を得ることができる。また、本発明の実施には簡易な設備を追加するだけで良いから、既存の製造ラインをそのまま利用することができる。
【0039】
実施例2
図7は請求項4の発明に係るキャッピング方法であって、水素還元する食品が調理済みの食品である場合の実施例を示すフローチャートである。請求項4の発明は調理済み又は未調理の全ての食品に適用されるが、図7では特に、キャップの内側に付着されるのが炭素の微粒子と調理剤であり、調理済みの食品を水素還元する場合における実施例を示すものである。なお、この場合も調理済みの食品とは、調理された全ての抽出飲料・非抽出飲料及び食肉・野菜・果物など全ての缶詰食品を含む。請求項4の発明が請求項1乃至請求項3の発明と最も大きく相違する点は、キャップキャッチャーに装填されるキャップの内側に炭素の微粒子に加え、調理剤が付着されている点である。調理剤は飲料を含む食品を調理・調味・調合するためのあらゆる素材をいい、油や酢やシロップも含む。本発明で予定する調理剤の態様は、例えば、砂糖や胡椒のようにそもそも粉状又は粒状のものは、前記炭素の微粒子と同様、澱粉等と混ぜ合わせた練り物として、炭素微粒子と共にキャップ内側に付着すれば良いが、醤油や味醂のように液状のものは、その付着の困難性から、凍結乾燥により粉状又は粒状にしたものを前記練り物に混ぜ合わせて、炭素微粒子と共に付着する。但し、キャップの内側を液状のまま付着可能な構造とすることができれば、凍結乾燥に拠らないでキャップ内側に付着しても構わない。図7の実施例では食品が調理済みであるから、基本的な味付け等の調理は完成しているが、最終的に味覚や香を調整したい場合があり、その場合は調理剤を所望の香辛料等とすることで、味覚や香などを調整するための調理を行うことができる。例えば、調理済みの食品が「シチュー」である場合、最後に香付けを行うことが望ましければ、調理剤として所望のフレーバーを付着しておくことで、殺菌のための加熱段階でシチューと混ざり合うため、香を調整するための調理を行うことができる。また、調理済みの食品が「コーヒー」である場合は、最後にミルクを混ぜることが望ましければ、調理剤として凍結乾燥したミルクを付着しておき、殺菌加熱の工程で混ざり合うようにすることで、味覚調整のための調理を行うことができる。本実施例では、先ず、既に調理済みの食品がタンクに貯蔵されており、充填機によりそれらが高気密性容器に充填される。次いで、前記キャップを用いてキャッピングが行われるが、その際、前記ノズルから水素ガス又は水蒸気のいずれか一方若しくはその双方が容器のヘッドスペースに吹き込まれ、容器のヘッドスペースに滞留する空気がエアー置換されて、酸素が強制的に排出されため、無酸素且つ水素雰囲気の状態でキャッピングを行うことができる。かくして、高気密性容器のキャッピングが完了したら、容器ごと殺菌加熱され、容器が冷えた時点で梱包・出荷となる。このようにして高気密性容器に密封された食品は、前記したと同様、キャップの内側に付着された炭素の微粒子に大量の水素が吸着されているため、キャッピングにより容器内に密封された調理済みの食品に向けて炭素微粒子から水素が放出され、食品中に溶解されることになる。なお、本発明では炭素微粒子に加え、調理剤もキャップの内側に付着されているため、水素雰囲気のキャップキャッチャーへの装填により調理剤にも水素が吸着されている。そのため、前記エアー置換と相俟って、キャッピング後の食品への水素溶解の効率性がより高められることになる。このように、炭素の微粒子と調理剤を付着したキャップを用いることによっても、調理済みの食品を還元力に優れた水素還元食品をすることができる。また、調理剤が付着されることで、最終的な味覚調整のための調理を殺菌のための加熱工程で行うことができる。
【0040】
実施例3
図8は請求項5の発明に係るキャッピング方法であって、水素還元する食品が調理済みの食品である場合の別の実施例を示すフローチャートである。請求項5は請求項4に従属する発明であり、調理済み又は未調理の全ての食品に適用されるが、図8では特に、キャップの内側に付着されるのが炭素の微粒子と調理剤であり、調理済みの食品を水素還元する場合における実施例を示すものであり、実施例2との相違点は、水又はアルコール又は調理液のいずれか1種類若しくは2種類以上が高気密性容器に充填される工程を有する点である。本実施例でも調理済みの食品とは、調理された全ての抽出飲料・非抽出飲料及び食肉・野菜・果物など全ての缶詰食品を含み、キャップキャッチャーに装填されるキャップの内側には炭素の微粒子に加え、調理剤が付着されている。本実施例は水又はアルコール又は調理液のいずれか1種類若しくは2種類以上が高気密性容器に充填される以外は、実施例2と同一であり、食品は調理済みであるが、水分を補ったり、味を滲み込ませる必要がある場合に利用される。例えば、調理済みの食品が「かに肉」である場合、調理は経ているが、風味を持たせたり、味を滲み込ませるために、油を含む調理液を充填した方が良い場合があり、また、調理済みの食品が「オレンジジュース」である場合では、オレンジ液は搾り出されているが、甘味を調整するためシロップを充填することが望ましい場合があり、本実施例はその場合に対応するものである。本実施例では、先ず、既に調理済みの食品があり、これが水又はアルコール又は調理液のいずれか1種類若しくは2種類以上を混ぜ合わせてタンクに貯蔵される。次いで、それらが充填機により高気密性容器に充填されると、前記したと同じ手順で、キャッピングに際してエアー置換が行われ、水素雰囲気の状態でキャップキャッチャー内に装填される炭素微粒子と調理剤が付着されたキャップを用いてキャッピングが行われる。キャッピングが完了したら、次いで、容器ごと殺菌加熱された後、梱包・出荷されることになる。なお、本実施例でもキャップの内側に調理剤が付着されているため、最終的な味覚や香などの調整を希望する場合は、所望の調理剤をキャップの内側に付着しておき、殺菌加熱の段階でこれが食品と混ざり合うようにすることで、最終的に味覚や香を調整するための調理を行うことができる。このように、炭素の微粒子と調理液を付着したキャップを用いる場合の別の実施例として、調理済みの食品に加えて、水又はアルコール又は調理液のいずれか1種類若しくは2種類以上を高気密性容器に充填することによっても、調理済みの食品を還元力の優れた水素還元食品にすることができる。また、調理剤が付着されることで、最終的な味覚調整のための調理を殺菌のための加熱工程で行うことができる。
【0041】
実施例4
図9は請求項5の発明に係るキャッピング方法であって、水素還元する食品が未調理の抽出飲料である場合の実施例を示すフローチャートである。請求項5は請求項4に従属する発明であり、調理済み又は未調理の全ての食品に適用されるが、図9では特に、キャップの内側に付着されるのが炭素の微粒子と調理剤であり、未調理の抽出飲料を水素還元する場合における実施例を示すものであり、飲料液を抽出するため、水又はアルコール又は調理液のいずれか1種類若しくは2種類以上が高気密性容器に充填される工程を有する。なお、未調理の抽出飲料とは、抽出も味付けもされていない状態の素材をいう。例えば、未調理の抽出飲料が「ウーロン茶」である場合、抽出も味覚調整も行われていないウーロン茶の「茶葉」を意味し、その場合はウーロン茶液を抽出するための水が高気密性容器に充填される。また、未調理の抽出飲料が「ウーロンハイ」である場合は、同じく抽出も味覚調整も行われていないウーロン茶の「茶葉」を意味し、その場合はウーロン茶液を抽出し、味覚調整のためのアルコール(焼酎)などが高気密性容器に充填されることになる。本実施例では、先ず、未調理の抽出飲料の素材が水又はアルコールと混ぜ合わされ、タンクで貯蔵される。次いで、それが充填機により高気密性容器に充填されると、前記したと同じ手順で、キャッピングに際してエアー置換が行われ、水素雰囲気の状態でキャップキャッチャー内に装填される炭素微粒子と調理剤が付着されたキャップを用いてキャッピングが行われる。キャッピングが完了したら、次いで、容器ごと殺菌加熱された後、梱包・出荷されることになる。なお、本実施例では、前記した殺菌加熱の段階で、高気密性容器に充填・密封された水又はアルコールが沸騰するため、前記した「茶葉」がここで初めて煮立てられ、ウーロン茶液が抽出される。それと共に、キャップの内側に付着した調理剤も混ざり合うため、味覚や風味を調整するための調理も、殺菌のための加熱の段階で行うことができる。また、加熱により炭素からの水素の放出が盛んになるため、無酸素にて密封された状態で大量の水素が抽出飲料に溶解されることになる。その他の作用・効果については前記したと同じであるが、従来は不可避であった抽出のための加熱工程を省略できる点は、特筆すべき効果である。
【0042】
実施例5
図10は請求項4の発明に係るキャッピング方法であって、水素還元する食品が未調理の非抽出飲料である場合の実施例を示すフローチャートである。前記したように、請求項4は調理済み又は未調理の食品全てに適用されるが、図10では特に、キャップの内側に付着されるのが炭素の微粒子と調理剤であり、水素還元する食品が未調理の非抽出飲料である場合における実施例を示すものである。未調理の非抽出飲料とは、ワインや果実飲料、炭酸水、スポーツ飲料など、抽出により生成されない飲料であって、味付けや風味調整などが行われていない状態の素材を意味する。例えば、未調理の非抽出飲料が「ワイン」である場合、既に醸成されアルコールなども調整されているが、風味等が調整されていないものをいい、「オレンジジュース」の場合では、オレンジ液として搾り出されているが、味覚などが調整されていないものをいう。そのため、飲料としては概ね完成しているため、水やアルコール又は調理液の充填を要しない場合に対応する。この点、図示しないが、フィリング(充填)以前の段階で、水又はアルコール又は調理液などを調合する工程を設けても良い。この点は他の実施例でも同様である。本実施例では、先ず、未調理の非抽出飲料がタンクに貯蔵されており、それが充填機により高気密性容器に充填される。次いで、前記したと同じ手順で、キャッピングに際してエアー置換が行われ、水素雰囲気の状態でキャップキャッチャー内に装填される炭素微粒子と調理剤が付着されたキャップを用いてキャッピングが行われる。キャッピングが完了したら、次いで、容器ごと殺菌加熱された後、梱包・出荷されることになる。なお、本実施例では、前記した殺菌加熱の段階で、高気密性容器に充填・密封された「ワイン」や「オレンジジュース」が沸騰するため、キャップの内側に付着した調理液と混ざり合い、味覚や風味を調整するための調理も、殺菌のための加熱の段階で行うことができる。その他の作用・効果については前記したと同じである
【0043】
実施例6
図11は請求項5の発明に係るキャッピング方法であって、水素還元する食品が未調理の缶詰食品である場合の実施例を示すフローチャートである。前記したように、請求項5は請求項4に従属する発明であり、調理済み又は未調理の全ての食品に適用されるが、図11では特に、キャップの内側に付着されるのが炭素の微粒子と調理剤であり、水素還元する食品が未調理の缶詰食品である場合の実施例を示すものであり、水又はアルコール又は調理液のいずれか1種類若しくは2種類以上が高気密性容器に充填される工程を有する。未調理の缶詰食品とは水や飲料を除く調理されていない食肉・野菜・果物などあらゆる食料品を含む。そのため、高気密性容器にはこれら食品を調理するための水又はアルコール又は調理液のいずれか1種類若しくは2種類以上が、前記食品と共に充填されることになる。例えば、未調理の食品が「かに肉」である場合、その味付けをしなければならないから、醤油や味醂などの調理液が水と共に高気密性容器に充填される。なお、「かに肉」の場合は収穫後にボイルされることがあるが、ここでは、それも未調理の概念に含める。本実施例では、先ず、未調理の食品素材が水又はアルコール又は調理液のいずれか1種類若しくは2種類以上と混ぜ合わされてタンクで貯蔵されており、それが充填機により高気密性容器に充填される。次いで、前記したと同じ手順で、キャッピングに際してエアー置換が行われ、水素雰囲気の状態でキャップキャッチャー内に装填される炭素微粒子と調理剤が付着されたキャップを用いてキャッピングが行われる。キャッピングが完了したら、次いで、容器ごと殺菌加熱された後、梱包・出荷されることになる。なお、本実施例では、前記した殺菌加熱の段階で、高気密性容器に充填・密封された水又はアルコール又は調理液のいずれか1種類若しくは2種類以上が沸騰するため、前記した「かに肉」がここで初めて調理されることになる。それと共に、キャップの内側に付着した調理剤も混ざり合うため、味覚や風味を調整するための調理も、殺菌のための加熱の段階で行うことができる。その他の作用・効果については前記したと同じであるが、殺菌のための加熱段階で食品を調理できるため、従来は不可避であった調理のための加熱工程を省略できる効果については、特筆すべきものである。
【0044】
実施例7
図12は請求項6の発明に係るキャッピング方法であって、水素還元するための食品が調理済みの食品である場合の実施例を示すフローチャートである。請求項6の発明では調理済み又は未調理の全ての食品に適用されるが、図12では特に、高気密性容器に充填されるのが水又はアルコール又は調理液のいずれか1種類若しくは2種類以上であり、水素還元する食品がキャップの内側に炭素微粒子と共に付着される調理済み食品である場合の実施例を示すものである。すなわち、高気密性容器に充填されるのが水又はアルコール又は調理液のいずれか1種類若しくは2種類以上であるから、調理済みの食品は炭素の微粒子と共にキャップの内側に付着されることになる。調理済みの食品とは前記したように、調理された全ての抽出飲料・非抽出飲料及び食肉・野菜・果物などあらゆる缶詰食品を含む。例えば、調理された食品が「かに肉」である場合は、既に味付け等の調理を経ているもので、風味を持たせたり、更に味を滲み込ませる場合は、油を含む調理液が高気密性容器に充填され、また、調理済みの食品が「オレンジジュース」である場合では、オレンジ液は搾り出されているが、甘味を付加したい場合は、シロップが高気密性容器に充填されることになる。本実施例はそのような場合に対応するものである。また、本実施例では調理済みの食品がキャップに付着されるが、その付着の困難性に照らし、凍結乾燥されることが望ましい。キャップの内側に付着されるのが「オレンジジュース」の場合は、凍結乾燥により容易に粉状・粒状にすることができるため、それを澱粉や糖類などの練り物に混ぜ合わせて付着させれば良いが、付着されるのが「かに肉」の場合は凍結乾燥されることはもとよりであるが、キャップの内側を食品保持が可能な構造としても良い。通常は、キャップキャッチャー内は高圧・超低温であるため、練り物で付着すれば「かに肉」であっても容易に脱落してしまうことはない。本実施例では、先ず、水又はアルコール又は調理液のいずれか1種類若しくは2種類以上がタンク内に貯蔵されており、次いで、高気密性容器に充填される。次いで、前記キャップを用いてキャッピングが行われるが、その際、前記ノズルから水素ガス又は水蒸気のいずれか一方若しくはその双方が容器のヘッドスペースに吹き込まれ、容器のヘッドスペースに滞留する空気がエアー置換されて、酸素が強制的に排出されため、無酸素且つ水素雰囲気の状態でキャッピングを行うことができる。かくして、高気密性容器のキャッピングが完了したら、容器ごと殺菌加熱され、容器が冷えた時点で梱包・出荷となる。このようにして高気密性容器に密封された食品は、前記したと同様、キャップの内側に付着された炭素の微粒子に大量の水素が吸着されているため、キャッピングにより容器内に密封された調理済みの食品に向けて炭素微粒子から水素が放出され、食品中に溶解されることになる。なお、本発明では炭素微粒子に加え、調理済みの食品もキャップの内側に付着されているため、水素雰囲気のキャップキャッチャーへの装填により調理済みの食品にも水素が吸着されている。そのため、前記エアー置換と相俟って、キャッピング後の食品への水素溶解の効率性がより高められることになる。このように、炭素の微粒子と調理済みの食品を付着したキャップを用いることでも、調理済みの食品を還元力の優れた水素還元食品にすることができる。また、請求項7の発明のように、炭素微粒子と調理済み食品に加え、調理剤もキャップ内側に付着することで、最終的な味覚調整のための調理を殺菌のための加熱工程で行うことができる。
【0045】
実施例8
図13は請求項6の発明に係るキャッピング方法であって、水素還元する食品が未調理の抽出飲料である場合の実施例を示すフローチャートである。請求項6の発明は調理済み又は未調理の全ての食品に適用されるが、図13では特に、高気密性容器に充填されるのが水又はアルコールであり、水素還元する食品がキャップの内側に炭素微粒子と共に付着される未調理の抽出飲料である場合の実施例を示すものである。すなわち、高気密性容器に充填されるのが水又はアルコールであるから、未調理の抽出飲料は炭素の微粒子と共にキャップの内側に付着されることになる。未調理の抽出飲料とは前記したとおり、抽出も味付けもされていない状態の素材をいう。例えば、未調理の抽出飲料が「ウーロン茶」である場合、抽出も味覚調整も行われていないウーロン茶の「茶葉」を意味し、その場合はウーロン茶液を抽出するための水が高気密性容器に充填される。また、未調理の抽出飲料が「ウーロンハイ」である場合は、同じく抽出も味覚調整も行われていないウーロン茶の「茶葉」を意味し、その場合はウーロン茶液を抽出し、味覚調整のために水又はアルコール(焼酎)などが高気密性容器に充填されることになる。キャップへの未調理の抽出飲料素材の付着については、前記したと同様、「茶葉」を炭素微粒子と共に澱粉や糖類などの練り物に混ぜ合わせて付着させるのが一般的であるが、必ずしもこれに限定されない。本実施例では、先ず、水又はアルコールがタンクに貯蔵されている。次いで、充填機によりそれが高気密性容器に充填されると、前記したと同じ手順で、キャッピングに際してエアー置換が行われ、水素雰囲気の状態でキャップキャッチャー内に装填される炭素微粒子と未調理の抽出飲料素材が付着されたキャップを用いてキャッピングが行われる。キャッピングが完了したら、次いで、容器ごと殺菌加熱された後、梱包・出荷されることになる。なお、本実施例では、前記した殺菌加熱の段階で、高気密性容器に充填・密封された水又はアルコールが沸騰するため、キャップに付着された「茶葉」がここで初めて煮立てられ、ウーロン茶液が抽出される。また、請求項7の発明では、キャップの内側に調理剤も付着されており、これも同時にも混ざり合うため、最終的に味覚や風味を調整するための調理も、殺菌のための加熱の段階で行うことができる。その他の作用・効果については前記したと同じであるが、従来は不可避であった抽出のための加熱工程を省略できる効果については、特筆すべきものである。
【0046】
実施例9
図14は請求項6の発明に係るキャッピング方法であって、水素還元する食品が未調理の非抽出飲料である場合の実施例を示すフローチャートである。前記したように、請求項6の発明は調理済み又は未調理の全ての食品に適用されるが、図14では特に、高気密性容器に充填されるのが水又はアルコールであり、水素還元する食品がキャップの内側に炭素微粒子と共に付着される未調理の非抽出飲料である場合の実施例を示すものである。すなわち、高気密性容器に充填されるのが水又はアルコールであるから、未調理の非抽出飲料は炭素の微粒子と共にキャップの内側に付着されることになる。未調理の非抽出飲料とは前記したとおり、ワインや果実飲料、炭酸水、スポーツ飲料など、抽出により生成されない飲料であって、味付けや風味調整などが行われていない状態の素材を意味する。例えば、未調理の非抽出飲料が「ワイン」である場合は、既に醸成されアルコール分も調整されているが、風味等が調整されていないものをいい、「オレンジジュース」の場合では、オレンジ液として搾り出されているが、味覚などが調整されていないものをいう。しかしながら、本実施例では、未調理の非抽出飲料はキャップに付着され、「ワイン」や「オレンジジュース」のエキスを粉状・粒状としたものが付着されるため、高気密性容器には水又はアルコールの充填が必須となる。本実施例では、先ず、水又はアルコールがタンクに貯蔵されており、それが充填機により高気密性容器に充填される。次いで、前記したと同じ手順で、キャッピングに際してエアー置換が行われ、水素雰囲気の状態でキャップキャッチャー内に装填される炭素微粒子と未調理の非抽出飲料素材が付着されたキャップを用いてキャッピングが行われる。キャッピングが完了したら、次いで、容器ごと殺菌加熱された後、梱包・出荷されることになる。なお、本実施例では、前記した殺菌加熱の段階で、高気密性容器に充填・密封された水又はアルコールが沸騰するため、キャップの内側に付着した粉状・粒状の「ワイン」や「オレンジジュース」のエキスが混ざり合い、初めて調理が行われる。また、請求項7の発明では、炭素微粒子と未調理の非抽出飲料に加え、調理剤もキャップ内側に付着されるため、最終的に味覚や風味を調整するための調理も、殺菌のための加熱の段階で行うことができ、特筆すべき効果である。その他の作用・効果については前記したと同じである
【0047】
実施例10
図15は請求項6の発明に係るキャッピング方法であって、水素還元する食品が未調理の缶詰食品である場合の実施例を示すフローチャートである。請求項6の発明は調理済み又は未調理の食品全てに適用されるが、図15では特に、高気密性容器に充填されるのが水又はアルコール又は調理液のいずれか1種類若しくは2種類以上であり、水素還元する食品がキャップの内側に炭素微粒子と共に付着される未調理の缶詰食品である場合の実施例を示すものである。すなわち、高気密性容器に充填されるのが水又はアルコール又は調理液のいずれか1種類若しくは2種類以上であるから、未調理の缶詰食品は炭素の微粒子と共にキャップの内側に付着されることになる。未調理の缶詰食品とは水や飲料を除く調理されていない食肉・野菜・果物などあらゆる食料品を含む。そのため、高気密性容器にはこれら食品を調理するための水又はアルコール又は調理液のいずれか1種類若しくは2種類以上が充填されることになる。例えば、未調理の食品が「かに肉」である場合、その味付けをしなければならないから、醤油や味醂などの調理液が水と共に高気密性容器に充填される。なお、「かに肉」の場合は収穫後にボイルされることがあるが、ここでは、それも未調理の概念に含める、本実施例では、先ず、水又はアルコール又は調理液のいずれか1種類若しくは2種類以上がタンクで貯蔵されており、それが充填機により高気密性容器に充填される。次いで、前記したと同じ手順で、キャッピングに際してエアー置換が行われ、水素雰囲気の状態でキャップキャッチャー内に装填される炭素微粒子と未調理の缶詰食品素材が付着されたキャップを用いてキャッピングが行われる。キャッピングが完了したら、次いで、容器ごと殺菌加熱された後、梱包・出荷されることになる。なお、本実施例では、前記した殺菌加熱の段階で、高気密性容器に充填・密封された水又はアルコール又は調理液のいずれか1種類若しくは2種類以上が沸騰するため、前記した「かに肉」がここで初めて調理されることになる。また、請求項7の発明では、炭素微粒子と未調理の缶詰食品に加えて、調理剤もキャップの内側に付着されており、これも同時に混ざり合うため、最終的に味覚や風味を調整するための調理も、殺菌のための加熱の段階で行うことができる。その他の作用・効果については前記したと同じであるが、殺菌のための加熱段階で食品を調理できるため、従来は不可避であった調理のための加熱工程を省略できる効果については、特筆すべきものである。
【0048】
実施例11
図16は請求項8の発明に係るキャッピング方法であって、水素還元される食品が調理済みの乾燥食品である場合の実施例を示すフローチャートである。請求項8の発明は調理済みの乾燥食品にのみ適用されるものであり、そのまま食する食品であるから、水又はアルコール又は調味液などの充填を要しない。そのため、水又はアルコール又は調味液のいずれか1種類若しくは2種類以上を調合・貯蔵するためのタンクも、それを高気密性容器に充填するための充填機も要しない。調理済みの乾燥食品とは、例えば、「ビーフジャーキー」や「ドライ・パイナップル」や「味付け海苔」など、既に調理されており、そのまま食することのできる乾燥食品をいう。キャップ内側へのこれら食品の付着方法としては、凍結乾燥による付着でも、キャップ内側に取り付けたメッシュパックに詰め込んでも、また、キャップ内側を食品固定が可能な構造とししても良い。本実施例では前記したように、タンクも充填機も要しないため、内側に炭素の微粒子と調理済みの乾燥食品が付着されたキャップが装填されるキャップキャッチャーにより、ヘッドスペースのエアー置換を行いながら、高気密性容器にキャッピングするだけで良い。キャッピングにより高気密性容器への食品の密封が完了したら、殺菌加熱を行った後、梱包・出荷となる。また、炭素微粒子と調理済みの乾燥食品に加え、調理剤も付着することで、最終的な風味調整を殺菌のための加熱の段階で行うことができる。かくして、調理済みの乾燥食品が容器内に密封されると、それ自体も水素を吸着しているが、炭素微粒子に吸着された大量の水素が容器内の食品に向けて放出されるため、より十分な水素を吸着させることができる。
【0049】
以上が本発明の主だった実施例であるが、抽出飲料や非抽出飲料及び缶詰食品は非常に多くのものがあり、全てが図示した工程に沿って製造されるとは限らない。また、本発明は充填に際しての水素ガス又は水蒸気のいずれか一方若しくはその双方によるエアー置換と、前記したキャップ、及び、これを用いることによる前記キャッピング方法に特徴を有する発明である。従って、高気密性容器への食品又は水又はアルコール又は調理液の充填までの工程については、図示したとおりでなくても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係る水素還元水又は水素還元食品を得るためのキャッピング方法及びそのキャップは、キャップに水素を吸着した炭素微粒子を付着させたことで、食品の容器への充填・密封後に食品への水素溶解ができるほか、炭素微粒子に加えて調理剤や調理済みまたは未調理の食品をキャップに付着することで、殺菌のための加熱段階で抽出や調理が行えるため、不可避であった抽出・調理のための加熱工程を省略できるという顕著な効果を得られるものであり、あらゆる食品の製造分野において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】請求項8又は請求項9の発明に係るボトル用のキャップの実施例を示す図面である。
【図2】請求項8又は請求項9の発明に係る缶詰用のキャップの実施例を示す図面である。
【図3】抽出飲料の一般的な製造工程を示すフローチャートである。
【図4】非抽出飲料の一般的な製造工程を示すフローチャートである。
【図5】缶詰の一般的な製造工程を示すフローチャートである。
【図6】請求項1乃至請求項3の発明に係るキャッピング方法であって、水素還元する食品が水又は調理済みの食品である場合の実施例を示すフローチャートである。
【図7】請求項4の発明に係るキャッピング方法であって、水素還元する食品が調理済みの食品である場合の実施例を示すフローチャートである。
【図8】請求項5の発明に係るキャッピング方法であって、水素還元する食品が調理済みの食品である場合の実施例を示すフローチャートである。
【図9】請求項5の発明に係るキャッピング方法であって、水素還元する食品が未調理の抽出飲料である場合の実施例を示すフローチャートである。
【図10】請求項4の発明に係るキャッピング方法であって、水素還元する食品が未調理の非抽出飲料である場合の実施例を示すフローチャートである。
【図11】請求項5の発明に係るキャッピング方法であって、水素還元する食品が未調理の缶詰食品である場合の実施例を示すフローチャートである。
【図12】請求項6又は請求項7の発明に係るキャッピング方法であって、水素還元する食品が調理済みの食品である場合の実施例を示すフローチャートである。
【図13】請求項6又は請求項7の発明に係るキャッピング方法であって、水素還元する食品が未調理の抽出飲料である場合の実施例を示すフローチャートである。
【図14】請求項6又は請求項7の発明に係るキャッピング方法であって、水素還元する食品が未調理の非抽出飲料である場合の実施例を示すフローチャートである。
【図15】請求項6又は請求項7の発明に係るキャッピング方法であって、水素還元する食品が未調理の缶詰食品である場合の実施例を示すフローチャートである。
【図16】請求項8の発明に係るキャッピング方法であって、水素還元する食品が調理済みの乾燥食品である場合の実施例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
1 キャップ
2 炭素の微粒子又はこれと調理剤又は調理済み又は未調理の食品のいずれか一方若しくはその双方
3 水素放出の方向
4 高気密性容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に炭素の微粒子が付着された複数のキャップが水素雰囲気のキャップキャッチャーに装填されており、タンクから移送された水が充填機によって高気密性容器に充填された後、前記キャップを用いてキャッピングする際に、水素ガス又は水蒸気のいずれか一方若しくはその双方を吹き込んで前記高気密性容器のヘッドスペースをエアー置換することを特徴とする水素還元水を得るためのキャッピング方法。
【請求項2】
内側に炭素の微粒子が付着された複数のキャップが水素雰囲気のキャップキャッチャーに装填されており、タンクから移送された調理済みの食品が充填機によって高気密性容器に充填された後、前記キャップを用いてキャッピングする際に、水素ガス又は水蒸気のいずれか一方若しくはその双方を吹き込んで前記高気密性容器のヘッドスペースをエアー置換することを特徴とする水素還元食品を得るためのキャッピング方法。
【請求項3】
前記水又は食品のタンクから充填機への移送は、水素ガスによる圧送であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水素還元水又は水素還元食品を得るためのキャッピング方法。
【請求項4】
内側に炭素の微粒子と調理剤が付着された複数のキャップが水素雰囲気のキャップキャッチャーに装填されており、調理済み又は未調理の食品が高気密性容器に充填された後、前記キャップを用いてキャッピングする際に、水素ガス又は水蒸気のいずれか一方若しくはその双方を吹き込んで前記高気密性容器のヘッドスペースをエアー置換することを特徴とする水素還元食品を得るためのキャッピング方法。
【請求項5】
前記調理済み又は未調理の食品の高気密性容器への充填後又は充填に際して、水又はアルコール又は調理液のいずれか1種類若しくは2種類以上が高気密性容器に充填されることを特徴とする請求項4に記載の水素還元食品を得るためのキャッピング方法。
【請求項6】
内側に炭素の微粒子と調理済み又は未調理の食品が付着された複数のキャップが水素雰囲気のキャップキャッチャーに装填されており、水又はアルコール又は調理液のいずれか1種類若しくは2種類以上が高気密性容器に充填された後、前記キャップを用いてキャッピングする際に、水素ガス又は水蒸気のいずれか一方若しくはその双方を吹き込んで前記高気密性容器のヘッドスペースをエアー置換することを特徴とする水素還元食品を得るためのキャッピング方法。
【請求項7】
前記炭素の微粒子と調理済み又は未調理の食品に加え、調理剤がキャップの内側に付着されていることを特徴とする請求項6に記載の水素還元食品を得るためのキャッピング方法。
【請求項8】
内側に炭素の微粒子と調理済みの乾燥食品が付着された複数のキャップが水素雰囲気のキャップキャッチャーに装填されており、前記キャップを用いてキャッピングする際に、水素ガス又は水蒸気のいずれか一方若しくはその双方を吹き込んで前記高気密性容器のヘッドスペースをエアー置換することを特徴とする水素還元食品を得るためのキャッピング方法。
【請求項9】
内側に炭素の微粒子が付着されており、前記炭素には予め水素が吸着されていること又は閉栓後に水素が吸着されることを特徴とする水素還元水又は水素還元食品を得るためのキャップ。
【請求項10】
前記炭素の微粒子に加え、調理剤又は調理済み又は未調理の食品のいずれか一方若しくはその双方が付着されていることを特徴とする請求項9に記載の水素還元水又は水素還元食品を得るためのキャップ。
【請求項11】
前記調理剤と前記調理済み又は未調理の食品は、凍結乾燥された状態で炭素の微粒子と共にキャップの内側に付着されていることを特徴とする請求項4乃至請求項8、請求項10に記載の水素還元食品を得るためのキャッピング方法及びそのキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−29466(P2009−29466A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−195460(P2007−195460)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(500450048)
【Fターム(参考)】