説明

水蒸気発生量測定装置

【課題】 化学エネルギーを利用した水蒸気発生部を有する水蒸気発生体から発生する水蒸気の量を、従来よりも一層正確に測定可能な水蒸気発生量測定装置を提供すること。
【解決手段】 水蒸気発生体20から発生する水蒸気の量を測定するための水蒸気発生量測定装置10は、容器11と、容器11内に設置された空気循環手段14と、容器11内の温度及び湿度を測定するセンサ16とを備える。容器11は、その一面12に、開口した窓部17を有する。装置10においては、水蒸気発生体20の水蒸気発生面が窓部17に臨むように、水蒸気発生体20が一面12に取り付け可能になされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水蒸気発生体から発生する水蒸気の量を測定するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者らは、被酸化性金属の酸化によって発生する熱を始めとする化学エネルギーを利用した水蒸気発生部を有する水蒸気発生体を種々提案している(例えば特許文献1及び2参照)。これらの水蒸気発生体から発生した温熱蒸気を例えば目及び目の周囲に供給することで、毛様体筋等の調節筋の機能が向上し、仮性近視や初期の老眼等の視力が改善される。また温熱蒸気を皮膚や粘膜に施すことで、蒸しタオルを当てたような心地よさを持続的に与えることができる。
【0003】
前記の水蒸気発生体は、数分ないし数十分の比較的短時間で、比較的多量の水蒸気を発生するものである。水蒸気発生体から発生する水蒸気の量は次のようにして測定される。室温環境(20℃、65%RH)下で水蒸気発生体を外気遮断用の包装袋から取り出す。1mgの単位まで測定可能な上皿天秤に、水蒸気発生体を直ちに載せ、その後15分間重量測定を行う。測定開始時の重量をWt0(g)とし、15分後の重量をWt15(g)とし、水蒸気発生体表面の水蒸気発生面積をS(cm2)としたときに、以下の式から発生した水蒸気の量を算出する。
水蒸気放出量(mg/cm2・min)=(Wt0−Wt15)・1000/15S
つまり、この測定方法では、水蒸気発生体の重量減少分を、発生した水蒸気の量とみなしている。
【0004】
前記の測定方法は、比較的短時間のうちに比較的多量の水蒸気が発生するタイプの水蒸気発生体を対象とする場合に特に有効な方法である。しかし、例えば数時間ないし十数時間の長時間をかけて水蒸気がゆっくり発生するタイプの水蒸気発生体を対象とした場合、水蒸気発生体の重量減少分よりも、被酸化性金属の酸化に起因する重量増加分が上回ってしまうときがあり、水蒸気の量を正確に測定できないことがある。
【0005】
【特許文献1】特開2002−58699号公報
【特許文献2】特開2002−65714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は、前述した従来技術で提案されている水蒸気発生量の測定方法よりも精度が一層向上した測定装置及び測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、水蒸気発生体から発生する水蒸気の量を測定するための水蒸気発生量測定装置であって、
密閉可能な容器と、該容器内に設置された空気循環手段と、該容器内の温度及び湿度を測定するセンサとを備え、該容器は、その一面に、開口した窓部を有しており、
前記装置においては、前記水蒸気発生体の水蒸気発生面が該窓部に臨むように、該水蒸気発生体が前記一面に取り付け可能になされている水蒸気発生量測定装置を提供することにより前記目的を達成したものである。
【0008】
また本発明は、水蒸気発生体から発生する水蒸気の量を測定する方法であって、
一面に、開口した窓部を有する密閉可能な容器における該一面に、前記水蒸気発生体を、その水蒸気発生面が該窓部に臨むように取り付け、
前記水蒸気発生体から水蒸気を発生させて、密閉された前記容器内に放出し、
前記容器内の温度及び相対湿度を測定し、
測定された温度及び相対湿度の値に基づき水蒸気発生量を求める水蒸気発生量測定方法を提供することにより前記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、化学エネルギーを利用した水蒸気発生部を有する水蒸気発生体から発生する水蒸気の量を従来よりも一層正確に測定することができる。特に本発明は、数時間ないし十数時間の長時間をかけて水蒸気がゆっくり発生するタイプの水蒸気発生体を対象とした場合に有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の水蒸気発生量測定装置の一実施形態の斜視図が示されている。図2には、図1におけるII−II線断面図が示されている。図1及び図2に示す装置10は直方体状の容器11を備える。容器11は密閉可能に設計されている。容器11は、正面板12、背面板、左右両側板、並びに天板及び底板を備えている。これらの板は、例えばアクリル板やガラス板などの透明板から構成されている。各板は枠体13によって保持固定されている。容器11の内部には送風ファン14が設置されている。ファン14は、側板の内側に取り付けられている。ファン14は、容器11内の空気を攪拌して、容器11内の温度及び湿度を一定にする目的で用いられる。
【0011】
容器11の天板上には温湿度計15が設置されている。温湿度計15からは温湿度センサ16が延びており、センサ16は天板の内面に取り付けられている。センサ16は容器11内の温度及び相対湿度を測定する目的で用いられる。
【0012】
容器11は、その正面板12に開口した窓部17を有している。正面板12は窓部12の開閉機能を備えているとさらに良い。窓部17は横長の矩形をしており、正面板12のほぼ中央部に形成されている。窓部17の大きさは、測定対象となる水蒸気発生体20における水蒸気発生面よりも大きな寸法を有している。また窓部17の大きさは、測定対象となる水蒸気発生体20よりも小さな寸法を有している。なお、本発明における測定対象である水蒸気発生体の詳細については後述する。
【0013】
水蒸気発生体20は、その水蒸気発生面が窓部17に臨むように、正面板12に着脱可能に取り付けられる。水蒸気発生体20の取り付け方法に特に制限はない。例えば水蒸気発生面が覆われないように注意して水蒸気発生体20に両面粘着テープを貼り付け、その状態の水蒸気発生体20を、粘着テープ面が正面板12に当接するように貼り付ける。このとき、水蒸気発生体20と正面板12との間に水蒸気漏れが生じるような隙間が形成されないように注意する。
【0014】
図3には、本発明における測定対象である水蒸気発生体の一例が示されている。水蒸気発生体20は、被酸化性金属粉、反応促進剤及び電解質及び水を含有する水蒸気発生部21を有している。水蒸気発生部21は収容体22内に収容保持されている。収容体22は一面22A及びそれと反対側に位置する他面22Bとを有する扁平な袋状をしている。収容体22の一面22Aは通気性を有し、水蒸気発生部21から発生した水蒸気を外部に放出するようになされている。一方、他面22Bは難通気性であるか、又は通気性を有したとしてもその通気性の程度は一面22Aの通気性よりも低くなっている。水蒸気発生体20は、一面22Aの側を、水蒸気を適用したい対象物に対向させて用いられる。
【0015】
収容体22は、複数のシート材の周縁を貼り合わせて、内部が空洞の袋状となされている。収容体22は、透湿性素材23と、難透湿性素材又は透湿性素材23よりも透湿性の低い透湿性素材24との周縁が互いに接合されて扁平な袋状に形成されている。つまり収容体22の一面22Aの側が透湿性素材23を有しており、他面22Bの側が難透湿性素材又は透湿性素材23よりも透湿性の低い透湿性素材24を有している。収容体22の一面22Aの側は、水蒸気発生部21から発生した水蒸気を通過させて外部に放出する。他面22Bの側は水蒸気を通過させにくい。つまり水蒸気は収容体22の一方の側、即ち透湿性素材23の側から優先的に外部へ放出される。
【0016】
収容体22の一面22A側に配される透湿性素材23としては、水蒸気は透過させるが水は透過させにくい素材が用いられる。そのような素材としては、例えば微細孔を有するポリオレフィン系フィルムなどが挙げられる。このようなフィルムは例えば使い捨ておむつや生理用ナプキンなどのサニタリー製品における透湿性バックシートとして良く知られたものである。なお前述した通り水蒸気は透湿性素材23を通じて外部へ放出されることから、水蒸気発生体20は、透湿性素材23の側が対象物と対向するように用いられる。
【0017】
一方、収容体22の他面22B側に配される素材24が難透湿性である場合、該素材24としては、水蒸気も水も透過させにくい素材、例えば微細孔を有しないポリオレフィン系フィルムやポリエステル系フィルムなどが用いられる。素材24が透湿性である場合には、収容体22の一面22B側に配される透湿性素材23と同様のものであって、且つ該素材23よりも透湿度の低いものが用いられる。
【0018】
水蒸気発生体20における水蒸気発生部21は、例えば粉体であり得る。またシート状物でもあり得る。何れの形態であっても、水蒸気発生部21は、先に述べた通り、被酸化性金属粉、反応促進剤、電解質、水、保水剤等を含有している。一方、水蒸気発生部21がシート状物の形態である場合には、これらの成分に加えて繊維状物が配合されている。
【0019】
水蒸気発生部21が粉体の形態である場合、その好ましい組成は、被酸化性金属粉30〜80重量%、反応促進剤1〜25重量%、保水剤1〜25重量%、電解質0.3〜12重量%、水20〜70重量%である。一方、水蒸気発生部21がシート状物の形態である場合、被酸化性金属粉60〜90重量%、反応促進剤5〜25重量%及び繊維状物5〜35重量%を含む成形シートに、該成形シート 100重量部に対して、1〜15重量%の電解質を含む電解質水溶液が30〜80重量部含有されてシート状物となされていることが好ましい。このようなシート状物の好ましい製造方法としては、例えば本出願人の先の出願に係る特開2003−102761号公報に記載の湿式抄造法が挙げられる。水蒸気発生部21を構成する各種材料としては、当該技術分野において通常用いられているものと同様のものを用いることができる。また、前記の特開2003 −102761号公報に記載の材料を用いることもできる。
【0020】
次に、図1及び図2に示す装置10を用いて、図3に示す水蒸気発生体20から発生する水蒸気の量を測定する方法について説明する。先ず、装置10を温度及び湿度が一定に保たれた恒温室に設置する。恒温室内の温度及び湿度の設定条件は本発明において臨界的なものではない。一般に温度5〜40℃、湿度30〜80%RHに設定することができる。装置10における容器11内を密閉状態にしておき(但し、窓部17は除く)、ファン14を作動させて容器11内の温度及び湿度を一定にしておく。
【0021】
次に水蒸気発生体20を外気遮断用の包装袋(図示せず)から取り出し、水蒸気発生体20における水蒸気発生面である一面22A側の周囲に両面粘着テープを素早く貼り付ける。そして、その状態の水蒸気発生体20を、粘着テープ面が正面板12に当接するように素早く貼り付ける。このとき、水蒸気発生面が正面板12の窓部17に臨むようにする。この状態においては、装置10における容器11内は密閉されている。
【0022】
時間の経過と共に水蒸気発生体20の水蒸気発生部で被酸化性金属の酸化反応が進行し、それによって水蒸気が発生してくる。発生した水蒸気は、水蒸気発生体20における水蒸気発生面である一面22A側を通じて容器11内に放出される。その結果、容器11内の湿度が徐々に上昇してくる。また容器11内の温度も上昇する。尤も、水蒸気発生量に比較して容器11の容積が十分に大きい場合には、容器11内の温度上昇は微々たるものである。
【0023】
水蒸気発生体20を窓部17に取り付けてからの容器11内の温度及び相対湿度を、センサ16によって測定してその値を記録しておく。温度及び湿度の測定は連続的でもよく、或いは一定時間おきでもよい。一定時間おきに測定する場合、その時間間隔に特に制限はない。
【0024】
測定を所定の時間、例えば数時間ないし十数時間行う。これにより温度及び相対湿度と時間との関係が得られる。得られた温度及び相対湿度の値に基づき、それまでに発生した水蒸気の積算量(g)を求める。その求め方は以下の通りである。
【0025】
先ず、容器11内の測定温度下における飽和蒸気圧Paを求める。飽和蒸気圧Paは、以下に示すGoffの式から算出する。
【0026】
【数1】

【0027】
算出された飽和蒸気圧Paの値に基づき、以下の式から飽和蒸気圧Paでの絶対湿度Ds(g/m3)を算出する。
【0028】
【数2】

【0029】
得られた飽和蒸気圧Paでの絶対湿度Dsと、同温度下における相対湿度H(%)との間には、H=D/Ds×100の関係がある。ここでDは相対湿度H(%)における絶対湿度(g/m3)である。相対湿度Hは測定から求められているので、DsとHの値から、容器11内の絶対湿度Dが算出される(D=H・Ds/100)。算出された絶対湿度Dの値に、容器11の容積(m3)を乗じることで、容器11内の水蒸気の量(g)が算出される。
【0030】
このようにして、放出された水蒸気の積算量と時間との関係のグラフが得られる(例えば後述する図6参照)。
【0031】
以上の方法によれば、水蒸気発生体20から発生した水蒸気の量を正確に且つ容易に測定することができる。水蒸気の量を一層精度良く測定するためには、恒温装置等を用いて容器11内の温度を一定にすることが好ましい。尤も、容器11内の温度を一定にすることは本発明において必須ではない。同様の目的のために、容器11の容積は、発生する水蒸気量との関係で、水蒸気を確実に捕集可能な値となるように選定することが好ましい。
【0032】
以上の方法においては、絶対湿度の増加量が、水蒸気発生体20から発生した水蒸気の量に相当することを前提としている。しかし、容器11の構造や形状、或いは水蒸気発生体20の構造や形状によっては、発生した水蒸気がすべて容器11内に放出されない場合がある。そのような場合には、絶対湿度の増加量が、水蒸気発生体20から発生した水蒸気の量と一対一で対応しないことがある。そこで、水蒸気の量を一層精度良く測定することを目的として、容器11内の絶対湿度Dの値を補正することが好ましい。補正のしかたは以下の通りである。
【0033】
先ず、水蒸気発生体20から発生する水蒸気の量を測定する前に、予備測定として、ろ紙に所定量の水を含ませ、該ろ紙を容器11内に載置し、前述の手順に従い水蒸気の量を測定する。このとき、窓部17は閉塞しておく。ろ紙としては、アドバンテック社のフィルターペーパー(直径90mm)を用い、該ろ紙に25、50、100、150、200、250mgのイオン交換水をそれぞれ含ませる。測定結果は図4に示す通りとなり、約20分でろ紙からの蒸散は終了し、容器11内の水蒸気量は一定値になることが判る。
【0034】
イオン交換水をそれぞれ含ませた前記のろ紙を水分蒸散後に電子天秤に載せ、水の減少量を測定する。このようにして得られたろ紙からの水の減少量と、測定器で算出した水蒸気の量との関係をプロットすると、図5に示すように、両者間には一次の(直線の)相関関係があることが判る。この直線の傾きを求め、その傾きを係数fとする。fは0から1までの数値を取り得る。
【0035】
このようにして予め求められたfの値を、水蒸気発生体20を対象として測定された絶対湿度Dの値に乗じて、該絶対湿度の値を補正する。そして、補正された絶対湿度の値(g/m3)を水蒸気の量(g)に換算する。
【0036】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態においては、容器11は直方体状であったが、水蒸気発生体20の取り付けが可能である限り、容器の形状は如何なるものであってもよい。また容器11と水蒸気発生体20の取り付け方法は、先に述べた両面粘着テープ以外の方法であってもよい。
【0037】
また、前記実施形態においては、容器11内に水蒸気を放出させて、該容器11内の温度及び湿度を測定するというバッチ式の測定方式を採用したが、これに代えて、連続式(流通式)の測定方式を採用してもよい。
【実施例】
【0038】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。特に断らない限り「%」は「重量%」を意味する。
【0039】
〔実施例1〕
(1)粉体の水蒸気発生部の作製
鉄粉(同和鉄粉鉱業(株)製、商品名「RKH」)と、保水剤とを均一に混合し、次いで5.0%塩化ナトリウム水溶液を添加して更に均一に混合した。更に活性炭(日本エンバイロケミカル(株)製、商品名「カルボラフィン」)を添加し均一に混合し、粉体の発熱部を得た。組成は次の通りである。
・鉄粉 50%
・保水剤 5%
・活性炭 5%
・食塩水 40%
【0040】
(2)水蒸気発生体の作製
炭酸カルシウムを含有するポリエチレン製の透湿性フィルム(透湿度800〜1200g/m2・24hr、通気度10000±2000s/100cm3)、線状低密度ポリエチレン製の難透湿性フィルム及びエアスルー不織布を用いて図3に示す袋状の収容体を作製した。この中に粉体の水蒸気発生部を収容して、図3に示す水蒸気発生体を得た。寸法は100mm×120mmであった
【0041】
(3)水蒸気の発生量の測定
図1及び図2に示す装置10を用い、水蒸気発生体から発生する水蒸気を容器11内に放出させた。装置10は、20℃、40%RHの恒温室内に設置した。容器11の容積は37.87リットルであった。容器11の正面板12にはその中央部に90mm×110mmの矩形の窓部17が設けられていた。ファン14として、山洋電気製のDC San Ace 25を用いた。このファンは最大風量が1.25m3/minである。温湿度計として、SATOデータロガー(型式:SK−L200TH)を用いた。センサ部は、温度センサがサーミスタ、湿度センサが高分子抵抗変化型のものであった。
【0042】
(4)測定結果
水蒸気発生体20を、その水蒸気発生面が窓部17に臨むように、正面板12に両面粘着テープで貼り付けた。水蒸気発生体20を発熱させて、容器11内に水蒸気を放出させた。容器11内の温度及び相対湿度を測定し、先に述べた手順に従い容器11内の絶対湿度Dを算出した。補正値である係数fを予め測定しておき、算出された絶対湿度(g/m3)に係数fを乗じて、補正された絶対湿度を求めた。係数fは0.6039であった。補正された絶対湿度の値に容器11の容積(m3)を乗じて、発生した水蒸気の積算量(g)を求めた。その結果を図6に示す。
【0043】
〔比較例1〕
20℃、40%RHの恒温室内に電子天秤を設置した。この電子天秤は1mgの単位まで測定可能なものである。実施例1で用いた水蒸気発生体と同様のものを電子天秤の上皿に載置し、水蒸気を発生させた。水蒸気発生体の重量を経時的に測定し、測定開始時の水蒸気発生体の重量から、測定された水蒸気発生体の重量を差し引いて、その値を水蒸気の積算量(g)とした。その結果を図7に示す。
【0044】
図6及び図7に示す結果から明らかなように、実施例1の装置及び方法によれば、水蒸気発生体から発生する水蒸気の量を精度良く測定できることが判る。これに対して比較例1の装置及び方法では、水蒸気発生体の重量の減少分よりも、鉄粉の酸化に起因する重量増加分が上回ってしまい、水蒸気の量を正確に測定できないことが判る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の水蒸気発生量測定装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1におけるII−II線断面図である。
【図3】本発明の測定対象となる水蒸気発生体の一例を示す斜視図及び断面図である。
【図4】本発明の水蒸気発生量測定装置を用いた予備測定の結果を示すグラフである。
【図5】図4に示す測定結果と、電子天秤を用いた測定結果との関係を示すグラフである。
【図6】実施例1で測定された水蒸気の積算量を示すグラフである。
【図7】比較例1で測定された水蒸気の積算量を示すグラフである。
【符号の説明】
【0046】
10 水蒸気発生量測定装置
11 容器
12 正面板
13 枠体
14 ファン
15 温湿度計
16 温湿度センサ
17 窓部
20 水蒸気発生体
21 水蒸気発生部
22 収容体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水蒸気発生体から発生する水蒸気の量を測定するための水蒸気発生量測定装置であって、
密閉可能な容器と、該容器内に設置された空気循環手段と、該容器内の温度及び湿度を測定するセンサとを備え、該容器は、その一面に、開口した窓部を有しており、
前記装置においては、前記水蒸気発生体の水蒸気発生面が該窓部に臨むように、該水蒸気発生体が前記一面に取り付け可能になされている水蒸気発生量測定装置。
【請求項2】
水蒸気発生体から発生する水蒸気の量を測定する方法であって、
一面に、開口した窓部を有する密閉可能な容器における該一面に、前記水蒸気発生体を、その水蒸気発生面が該窓部に臨むように取り付け、
前記水蒸気発生体から水蒸気を発生させて、密閉された前記容器内に放出し、
前記容器内の温度及び相対湿度を測定し、
測定された温度及び相対湿度の値に基づき水蒸気発生量を求める水蒸気発生量測定方法。
【請求項3】
測定された温度及び相対湿度の値に基づき絶対湿度を算出し、算出された絶対湿度の値に基づき水蒸気発生量を求める請求項2記載の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−349529(P2006−349529A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−176791(P2005−176791)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】