水銀で汚染された物質からの水銀の除去方法
【課題】マイクロ波エネルギーを用いた、水銀で汚染された物質中の水銀レベルを減少させる方法を提供する。
【解決手段】(a)前記の水銀に汚染された物質をマイクロ波反応装置に入れるステップと、(b)前記マイクロ波反応装置に前記の水銀に汚染された物質に撹拌を起こすためのガス流を提供するステップと、(c)前記の水銀に汚染された物質をマイクロ波放射に曝露して温度を少なくとも357℃に上げて、水銀と処理した物質を含有する蒸気相をつくり出すステップと、を含み、また、前記の水銀に汚染された物質に加えて炭素を含有しないマイクロ波感受性物質を添加した二重組成物流動層を使用して、処理される物質中の水銀および炭素レベルを同時に減少させる。
【解決手段】(a)前記の水銀に汚染された物質をマイクロ波反応装置に入れるステップと、(b)前記マイクロ波反応装置に前記の水銀に汚染された物質に撹拌を起こすためのガス流を提供するステップと、(c)前記の水銀に汚染された物質をマイクロ波放射に曝露して温度を少なくとも357℃に上げて、水銀と処理した物質を含有する蒸気相をつくり出すステップと、を含み、また、前記の水銀に汚染された物質に加えて炭素を含有しないマイクロ波感受性物質を添加した二重組成物流動層を使用して、処理される物質中の水銀および炭素レベルを同時に減少させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は水銀で汚染された物質の水銀レベルを減少させる方法に関連する。特に、本願発明はフライアッシュおよび吸着媒物質に含まれる水銀レベルを減少させるためのマイクロ波エネルギーの使用に関連する。
【背景技術】
【0002】
水銀は、流水/電力の発生ための石炭の燃焼、または蒸気発生もしくは廃棄物除去のための地方自治体の固体廃棄物処理などに用いられる、工業用焼却炉およびボイラーから出る燃焼ガス流に存在する既知の汚染物質である。水銀の環境への高い毒性は十分にあきらかになっており、したがって水銀洗浄は排煙処理の必要な(であるが高価な)一部分となっている。
【0003】
排煙ガス流の水銀洗浄は、複雑さ、コスト、および効率性などによって違ういくつかの方法によって行うことができる。これらの方法には吸着媒(炭素またはアルカリ)ろ過、酸化、および塩化処理などが含まれる。
【0004】
炭素吸着ろ過は当業に公知で、微細炭、特に活性炭の既知の吸着特性を利用している。いくつかの炭素吸着媒技術が開示され実施されている。たとえば、米国特許第6,558,454号Chang et al. は、炭素質の未加工物質を効率のよい吸着媒になるように活性化するのに十分な温度で、前記の炭素質物質を水銀で汚染されたガス流に注入する方法を教唆する。米国特許第6,521,021号Pennline et al. は、熱的に活性化した炭素吸着媒に転換され、一次燃焼チャンバーに再導入される半燃焼石炭の再循環の方法を開示する。いずれもWojtowicz et al.の米国特許第6,103,205号および6,322,613号は、熱ガス蒸発による吸着媒の再生手段を含む、スクラップタイヤなどの炭素質原料油の熱分解、および後で処理されなければならない高濃度に濃縮された水銀リッチガス流の生成による炭素吸着媒の生成方法を開示する。
【0005】
米国特許第5,787,823号Knowlesは、吸着物質として、天然のろ過特性、つまり小さい粒子サイズと大きい表面-質量比から、石炭燃焼で自動的に生成される副生成物であるフライアッシュの使用を教唆する。Knowlesはフライアッシュの中の炭素(未燃焼燃料)の考えうる効果についても、細粒炭の吸収と炭素粒子の吸収によって別々に果たされている役割についても、考察していない。米国特許第5,672,323号Bhat et al.は、水銀除去のための排ガス処理として、活性炭の注入を教唆している。
【0006】
米国特許第6,372,187 号Madden et al. は、石灰石などのアルカリ吸着媒の使用の後、排煙ガス流からの水銀除去の手段として微粒子ろ過を行う方法を開示する。
【0007】
すべての吸着媒技術は、水銀リッチ微粒子を、大気中に放出する前にある形態のバグハウスまたは排煙ガス流から分離するその他の類似の手段で捕捉する。必然的に、この水銀リッチ微粒子複合体には、水銀、吸着物質、およびフライアッシュ除去の初期段階で逃れ出たと考えられる一部の残留フライアッシュが含まれるだろう。最終的に、この微粒子複合体の廃棄は、全体をたとえばセメント結合、埋め立てなどによって行うか、またはその物質を処理して体積を減らすかもしくは前記吸着媒を再生することによって行わなければならない。吸着媒の再生の場合、吸着媒交換の高コストを避けるかまたは部分的に相殺することができ、体積を減少させる場合、前記水銀を実質的に減少される水銀吸着媒体積までさらに濃縮して、効率的に閉じこめるか廃棄することができる。環境的な観点から、理想的には、石炭燃料中にもともと存在するすべての水銀を、管理が簡単なはずである分子または元素の状態で収集できるようにすべきである。
【0008】
水銀-吸着媒混合物を処理を要する個別の物質とみなすと、この混合物から水銀を除去する手段を考えることができる。そのような手段の1つは、水銀沸点まで前記物質を加熱することによる前記水銀の熱分解を行い、その後、最初に水銀-吸着物質を生成した技術よりも効率的な水銀除去技術を行う方法である。多くの局面で、これは水銀汚染土壌および工業物質から水銀を除去する問題に似ている。
【0009】
たとえば、米国特許第6,268,590 号Gale et al. は、電気的に加熱した炉に乾燥顆粒状物質をらせん状に通し、前記乾燥顆粒状物質から水銀をレトルトする方法を開示する。排気ガス流から水銀蒸気を取り出すために、凝縮装置を用いる。Galeは、米国特許第5,569,154 号Navettaおよび米国特許第1,599,372号Reedに開示されている初期の方法よりも、彼の方法の方がプロセスが連続的でサイズ、複雑性が実用的である点において有利であると主張する。
【0010】
米国特許第6,024,931号Hanulikは、前記物質を燃焼炎に対して逆流するように通す、回転式管状炉を開示する。いずれもWashburn et al. の米国特許第5,891,216号および5,989,486号は、蒸発した水銀蒸気の解放を補助する撹拌機序の使用を含む、レトルト方法のバッチを教唆する。米国特許第5,782,188号Evans et al. は、空気の不在下において熱分解焼却炉として機能し、可燃ガス流が各種生成物流に濃縮される回転式炉を開示する。米国特許第5,632,863号Meadorは、使用済みバッテリを処理することもできる熱分解性の方法を開示する。 米国特許第5,567,223号Lindgren et al. は、水銀に汚染された物質をセレン化水銀にするために、熱ガス流中、セレンの存在下において炉の中で加熱し、脱汚染された物質をさらなる使用のために残すプロセスを説明する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これらの各方法は、水銀汚染物質中の水銀の含有量を減少させるためのプロセスを提供する機能的な必要性を満たしているが、さらに効率的で経済的な方法が必要である。さらに、たとえばフライアッシュの処理など、ある場合では、前記物質中の炭素レベルの減少も必要になることが多い。したがって、水銀で汚染された物質の水銀および炭素含有量の両方を同時に減少させることができる方法が必要である。
【0012】
したがって、本願発明の目的は、水銀で汚染された物質から水銀を減少させる、改善された方法の提供である。前記方法にはマイクロ波エネルギーを使用する。
【0013】
本願発明の目的はまた、マイクロ波を用いて、水銀汚染物質中の水銀および炭素含有物を減少させる方法の提供である。
【0014】
さらなる本願発明の目的は、本願発明にしたがったプロセスにけるバブリング流動層反応容器の使用の提供である。
【0015】
さらなる本願発明の目的は、本願発明にしたがったプロセスにけるホスト層物質の使用の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願発明は、マイクロ波エネルギーを用いて、フライアッシュおよび吸着媒物質からなる水銀で汚染された固体混合物から水銀を熱分解するために用いるプロセスおよび手段を開示する。このプロセスを用いて、前記水銀を、後に濃縮される熱ガス流中の熱蒸気として取り出し、固体残留物、つまり前記フライアッシュまたは前記吸着媒物質を再利用またはクリーンな廃棄のために残す。
【0017】
本願発明のプロセスには、任意の炎または燃焼ガスを必要とすることなく、水銀を蒸発させるのに必要な熱を提供するためのマイクロ波エネルギーの使用が含まれる。たとえば水銀で汚染された物質を連続的に供給および排除し、マイクロ波エネルギーをかける金属流動層容器などのプロセスに用いる手段は、その他のレトルト装置および熱分解装置よりも優れた利点を有するコンパクトで効率的な装置である。
【0018】
この場合、マイクロ波加熱の基本的なメカニズムは、電気的変位電流および伝導電流の両方を用いて電磁気エネルギーを物質内部で直接熱に転換する、誘電性およびオーム加熱の燃焼である。このエネルギー転換の効率は、処理する物質の誘電特性に依存する。この場合、フライアッシュおよび吸着媒物質の両方とも、管理された方法で急速に加熱することができる重要なレセプタ元素、主に炭素を含有する。この水銀は、通常の大気圧下では温度が約357℃(水銀の沸点)まで上昇した時に蒸発する。
【0019】
バブリング流動層反応容器の使用にはいくつかの実用的な利点がある。その利点には、マイクロ波エネルギーの自己封じ込め、水銀蒸気の洗浄を補助するための天然の物質撹拌、物質の容器への連続的な流入出、および固体とガス流の自然分離が含まれる。
【0020】
第1の局面によると、本願発明は、水銀で汚染された物質中の水銀レベルを減少させる方法であって、当該方法が、前記の水銀で汚染された物質をマイクロ波反応装置に入れるステップと、前記マイクロ波反応装置に前記の水銀で汚染された物質に撹拌を起こすためのガス流を提供するステップと、前記の水銀で汚染された物質をマイクロ波放射に曝露して温度を少なくとも357℃に上げて、水銀と処理した物質を含有する蒸気相をつくり出すステップと、を含む、方法を提供する。
【0021】
第2の局面によると、本願発明は、水銀で汚染された物質中の水銀レベルを減少させる方法であって、当該方法が、炭素を含まない物質をマイクロ波反応装置に入れるステップと、前記の水銀で汚染された物質をマイクロ波反応装置に入れるステップと、前記マイクロ波反応装置に前記の水銀で汚染された物質および炭素を含まない物質に撹拌を起こして混合物を形成するためのガス流を提供するステップと、前記の水銀で汚染された物質をマイクロ波放射に曝露して温度を少なくとも357℃に上げて、水銀と処理した物質を含有する蒸気相をつくり出すステップと、を含む、方法を提供する。
【0022】
第3の局面によると、本願発明は、水銀で汚染された物質中の水銀および炭素レベルを減少させる方法であって、当該方法が、前記の水銀で汚染された物質をマイクロ波反応装置に入れるステップと、前記マイクロ波反応装置に前記の水銀で汚染された物質に撹拌を起こすためのガス流を提供するステップと、前記の水銀で汚染された物質をマイクロ波放射に曝露して温度を少なくとも600℃に上げて、水銀と処理した物質を含有する蒸気相をつくり出すステップと、を含む、方法を提供する。
【0023】
第4の局面によると、本願発明は、水銀で汚染された物質中の水銀および炭素レベルを減少させる方法であって、当該方法が、炭素を含まない物質をマイクロ波反応装置に入れるステップと、前記の水銀で汚染された物質をマイクロ波反応装置に入れるステップと、前記マイクロ波反応装置に前記の水銀で汚染された物質および炭素を含まない物質に撹拌を起こして混合物を形成するためのガス流を提供するステップと、前記の水銀で汚染された物質をマイクロ波放射に曝露して温度を少なくとも600℃に上げて、水銀と処理した物質を含有する蒸気相をつくり出すステップと、を含む、方法を提供する。
【0024】
第1および第3の局面の好ましい実施態様では、前記方法はさらに、前記反応装置から蒸気相を取り出すステップと、マイクロ波放射の曝露を終了するステップと、前記反応装置から処理された物質を取り出すステップと、前記反応装置中に新たに水銀で汚染された物質を導入するステップと、を含んでもよい。 第2および第4の局面の好ましい実施態様では、前記方法はさらに、前記反応容器から蒸気相を取り出すステップと、マイクロ波放射の曝露を終了するステップと、前記反応容器から処理された物質を取り出すステップと、前記反応容器中に新たに炭素を含まない物質を導入するステップと、前記反応装置中に新たに水銀で汚染された物質を導入するステップと、を含んでもよい。
【0025】
より好ましくは、上述のステップは連続的で任意であってよく、前記方法はさらにサイクロン式分離器などのろ過装置で蒸気相に導入するステップを含んでもよい。本願発明による方法はまた、水銀を含む前記蒸気相を容器に捕捉するステップをさらに含んでもよい。
【0026】
本願発明の方法に用いるマイクロ波反応装置は好ましくは流動層反応容器であり、前記マイクロ波放射の周波数は約300mHz乃至約30GHzであってよい。好ましくは、前記周波数は、約915MHz乃至2450MHzの産業科学医療用(ISM)周波数帯であってよい。特定のエネルギーを産出するのに十分なマイクロ波放射のパワーレベルおよびプロセス寿命時間は、約2 kW-h/t乃至約20 kW-h/tの間であってよい。
【0027】
上述の本願発明の第2および第4の局面における、炭素を含まない物質に対する水銀で汚染された物質の比は、約25/75乃至約75/25の間であってよい。好ましくは、この比は約50/50である。この水銀で汚染された物質の水銀含有量は最高50重量%であってもよく、本願発明の方法に従って処理された物質の水銀含有量は約10ppb未満であってよい。好ましくは、前記の処理された物質の水銀含有量は5ppb未満である。前記の水銀で汚染された物質の炭素含有量は、最高60重量%であってよい。
【0028】
第6の局面によると、本願発明にしたがった方法を実行するために特別に採用された装置が提供される。
【0029】
本願発明による水銀で汚染された物質の水銀含有量の減少の方法にはマイクロ波エネルギーを用い、効率的、経済的で用途が広い。
【0030】
本願発明のこれらおよびその他の利点は、以下の詳細な説明を読み、図を参照することによって明らかになるだろう。
本願発明は図解された実施態様に関連して説明されるが、そのような実施態様が本願発明を制限することを意図しないことは理解されよう。これに対し、付属の特許請求によって定義される本願発明の精神および範囲内に含まれるであろう変更、改変、および等価物のすべてを包含することを意図する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本願発明の好ましい実施態様を図示する図1を参照すると、水銀で汚染された物質の給入流(1)をバブリング流動層として機能するマイクロ波反応容器(2)に連続して導入する。バブリング流動層の操作は当業に公知である。この好ましい実施態様に不可欠なのが、前記の水銀で汚染された物質に加えてホスト層物質からなる二重組成物流動層の使用である。前記ホスト層物質は、当面のプロセスに不活性で、化学的または機械的な影響のないプロセスの操作条件に耐えうる炭素を実質的に含有しない鉱物として選択される。前記ホスト層物質はさらに、吸着媒物質の前記反応容器内での流動性がより高くなるように、吸着媒物質よりも十分に大きなサイズ分布と密度を有するものとして記述される。それにもかかわらず、ホスト層物質の動力学的作用は、前記ホスト層物質および前記吸着媒物質の給入流が、前記反応容器内で1つの統合された流動層溶媒を形成するものである。上述のサイズおよび密度特性に加えて、前記ホスト層物質には、前記層内のその他の物質の特性に無関係に、マイクロ波エネルギーによって直接加熱できるようなマイクロ波感受性物質が選択される。ホスト物質の割合が少なくとも50重量%であるこの2重組成物流動層の使用によって、炭素リッチ吸着媒物質の溶解またはクリンカーを生じることなく著しい高温で操作できるプロセスが可能になることが明らかになった。
【0032】
前記反応容器(2)内の給入物質(1)は、ノズルシステムまたは固体プレートに密集させた開口部を通して前記反応装置の基部に注入して物質を前記反応容器中に効果的に浮遊させるガス流(3)によって流動層を形成する。流動層操作のこの局面は、前記物質を効果的に浮遊させるために必要なガス速度によって決定され、当業者に公知である。この流動ガスは前記反応容器を通り、サイクロン式分離器などのろ過装置(4)を通って排出される。このろ過装置で、取り込まれた微細粒子のすべてまたは大半を前記ガス流から取り除く。その後、実質的には微粒子を含まないこのガス流(5)を、水銀除去などのさらなる処理にかけることができる。
【0033】
前記反応容器に給入された物質は、たとえばオーバーフロー排出管(6)の手段によって連続的に除去し、さらなる処理または使用のためにホッパー(7)またはその他の好適な容器に収集する。
【0034】
前記反応容器には、マイクロ波発生装置(8)を連結するための手段、普通は導波管(9)であって、当該導波管において、前記反応容器の大気を前記導波管から効率的に分離するためのマイクロ波透過バリア(10)を取り付けた導波管を装着する。
【0035】
マイクロ波エネルギーは、マイクロ波場を効率的に含有するのに好適な金属物質でつくられた反応容器に供給される。前記反応容器内にある流動化物質に接触させると、マイクロ波エネルギーの相当部分が熱に転換され、それによって流動層温度が上昇する。前記マイクロ波エネルギーの流動層物質へのカップリング効率は、前記導波管に取り付けたチューニング装置(11)によって制御される。そのようなチューニング装置は、出力伝達を連続的に最適化するように電気的に制御することもできる。前記流動層の温度が通常大気圧下の水銀の沸点である約357℃に達した時、水銀は蒸気相を通り、流動ガス流にのって前記容器から排出される。前記流動ガスは、層物質を燃焼させたい場合には周囲空気であってよく、または前記ガスは、前記反応容器の加熱プロセスが前記吸着媒物質を燃焼できないように、水銀または炭素に対して不活性(たとえば窒素)であるように選択してもよい。
【0036】
前記反応容器に存在する前記熱ガス流は、上述のサイクロン式分離器を通る。ガス温度は水銀の沸点以上に維持されるため、水銀蒸気がガス放出口(5)に送られて、そこで濃縮または回収のためにろ過される。
【0037】
サイクロン式分離器(12)で取り出した微粒子をその他の廃棄用固体と合わせる(7)。
【0038】
流動層の当業に知られるとおり、ガス漏れを防ぐために、前記反応容器(及びサイクロン式分離器)への物質流の出入りには各種バルブ(13)を用いる。
【0039】
前記加熱プロセスを監視および制御するために、各種装置(14)を前記装置に取り付ける。温度プローブを流動層内およびガスの注入および排出ラインを含む給入および排出ラインの各所に取り付ける。ガス圧および生成物モニターをすべてのガスラインに取り付ける。前記反応容器を通る物質流の測定は、フローメータまたは質量測定器によって行う。このように装置を取り付けたシステムは、最小-最大境界線内でのシステム操作を維持するために、手動または自動で操作することができる。
【0040】
前記ホスト層物質の組み入れは、汚染された物質の注入流と合体させた別個の給入流(15)によって行われ、前記反応装置によるホスト層物質の損失を埋め合わせるように制御される。必要であれば、前記ホスト層物質は再構築された吸着媒物質から分離され(たとえば浮選または重力分離)、再利用のために注入ホッパへ再循環されてもよい。
【0041】
本願発明の好ましい実施態様によると、不活性ガスが流動化に用いられる場合、水銀で汚染された物質を燃焼せずに効率的に水銀でパージし、吸着媒物質の再利用を可能にすることもできる。そのように放出された水銀は、上述の通り、効率的に捕捉することもできる。この水銀のレトルト方法は、主にマイクロ波エネルギーを用いた熱発生の効率性と迅速性のために、他の加熱手段よりも非常に優れた利点を有する。
【実施例1】
【0042】
図1に概略的に示した装置を、水銀を含有していることがわかっている一定量の石炭燃焼フライアッシュを処理するために組み立てた。マイクロ波周波数は915MHzを用いた。流動化ガスは周囲空気とした。
【0043】
フライアッシュ原料を温度約820℃で処理した。約400分間のテスト時間中、この物質を約6lbs/分の速度で反応容器に通した。
【0044】
この原料に含まれる水銀の量を測定したところ、79ppbであった。LOI(強熱減量)として特徴付けした未燃焼炭素含有量を測定したところ、8.5%であった。
【0045】
処理済みの灰のサンプルを実験中定期的に採取し、その水銀含有量を測定した。えられた結果を、下記の表1に示す。処理済み物質のLOIは1.5%であった。
【0046】
【表1】
水銀の測定値
【0047】
このプロセスが水銀の状態変化に関して安定状態に達したところ、排気物質(生成物およびサイクロン廃棄)の水銀含有量が初期値よりも実質的に減少した。給入速度を減速することによって、前記反応装置内の物質の平均残留時間が延長され、水銀レベルをさらに減少することができるであろうと十分に期待できる。それでも、水銀濃度の減少における前記プロセスの有効性は明らかである。
【実施例2】
【0048】
図1に概略的に示した装置を、水銀を含有していることがわかっている一定量の石炭燃焼フライアッシュを処理するために組み立てた。マイクロ波周波数は915MHzを用いた。流動化ガスは周囲空気であった。
【0049】
細粒炭原料を温度約820℃で処理した。約500分間のテスト時間中、この物質を約6lbs/分の速度で反応容器に通した。
【0050】
この原料に含まれる水銀の量を測定したところ、33ppbであった。LOI(強熱減量)として特徴漬けした未燃焼炭素含有量を測定したところ、17.5%であった。
【0051】
処理済みの灰のサンプルを実験中定期的に採取し、その水銀含有量を測定した。えられた結果を、下記の表2に示す。処理済み物質のLOIは0.4%であった。
【0052】
【表2】
水銀の測定値
【実施例3】
【0053】
図1に概略的に示した装置を、水銀を含有していることがわかっている一定量の石炭燃焼フライアッシュを処理するために組み立てた。マイクロ波周波数は915MHzを用いた。流動化ガスは周囲空気とした。
【0054】
フライアッシュ原料を温度約820℃で処理した。約400分間のテスト時間中、この物質を約6lbs/分の速度で反応容器に通した。
【0055】
この原料に含まれる水銀の量を測定したところ、142ppbであった。LOI(強熱減量)として特徴漬けした未燃焼炭素含有量を測定したところ、4.5%であった。
【0056】
処理済みの灰のサンプルを実験中定期的に採取し、その水銀含有量を測定した。えられた結果を、下記の表3に示す。最終LOIは0.3%であった。
【0057】
【表3】
水銀の測定値
【0058】
前述の例から明らかなように、本願明細書に開示されるプロセスは前記物質の初期水銀含有量またはそのLOIに関係なく水銀濃度の減少に有効である。
【0059】
本願明細書に記載の例は、容易に使用することができる無認可操作用の電磁気ISM(産業科学医療用)周波数帯の範囲内であるマイクロ波周波数915MHzで行われたが、主要な効果がマイクロ波の当業者に公知の様式で共鳴反応容器の範囲内におさまるように、一般にマイクロ波領域内の任意の周波数を使用してもよいということは、本願発明の範囲内である。
【0060】
上述の例において、処理操作が主に灰の中の未燃焼炭素の燃焼および水銀の気化を目的としているため、流動ガスは周囲空気を用いた。上述の例と直接類似するように、本願発明者らが実施したとおり、周囲空気の代わりに、燃焼せずに効率的に物質を加熱できるような(マイクロ波の吸収に起因する)たとえば窒素などの不活性ガスを用いてもよい。
【0061】
さらに、上述の例では、灰に含まれる未燃焼炭素の燃焼の目的で、操作温度として約820℃を用いているが、水銀の気化のためには357℃を達成することのみが必要であって(通常の大気圧下)、したがって、本願発明にしたがったプロセスは、灰の抗生物質が著しく溶解したり凝集化したりする温度を超えなければ、357℃よりも高い任意の温度で操作してもよい。そのような条件は鉱物および原鉱を冶金処理する当業者には知られているであろう。
【0062】
上述の例では、バブリング流動層の既知の原理に基づいて操作する反応容器を使用しているが、マイクロ波含有容器として使用することができるその他の容器デザインを用いることも可能であることは本願発明の範囲内である。これには、流動層を伝達する回転炉、振動ドラム、マルチモード空洞共振器、充填管、およびコンベヤー式空洞共振器が、それらに限定されずに含まれる。
【0063】
したがって、本願発明にしたがって、マイクロ波エネルギーを用いた、水銀に汚染された物質の水銀含有量を減少させる方法であって、上述の必要性および利点を十分に満たす方法を提供したことは明らかである。本願発明は、図解した実施態様を併用して説明されているが、上述の説明に関して、当業者には多くの変更、改変、およびバリエーションが明白であることは明らかである。 したがって、本願発明の精神および広い範囲内に入る、そのようなすべての変更、改変およびバリエーションを包含することを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本願発明に記載の方法の実施態様を実現するための装置を図示する。
【技術分野】
【0001】
本願発明は水銀で汚染された物質の水銀レベルを減少させる方法に関連する。特に、本願発明はフライアッシュおよび吸着媒物質に含まれる水銀レベルを減少させるためのマイクロ波エネルギーの使用に関連する。
【背景技術】
【0002】
水銀は、流水/電力の発生ための石炭の燃焼、または蒸気発生もしくは廃棄物除去のための地方自治体の固体廃棄物処理などに用いられる、工業用焼却炉およびボイラーから出る燃焼ガス流に存在する既知の汚染物質である。水銀の環境への高い毒性は十分にあきらかになっており、したがって水銀洗浄は排煙処理の必要な(であるが高価な)一部分となっている。
【0003】
排煙ガス流の水銀洗浄は、複雑さ、コスト、および効率性などによって違ういくつかの方法によって行うことができる。これらの方法には吸着媒(炭素またはアルカリ)ろ過、酸化、および塩化処理などが含まれる。
【0004】
炭素吸着ろ過は当業に公知で、微細炭、特に活性炭の既知の吸着特性を利用している。いくつかの炭素吸着媒技術が開示され実施されている。たとえば、米国特許第6,558,454号Chang et al. は、炭素質の未加工物質を効率のよい吸着媒になるように活性化するのに十分な温度で、前記の炭素質物質を水銀で汚染されたガス流に注入する方法を教唆する。米国特許第6,521,021号Pennline et al. は、熱的に活性化した炭素吸着媒に転換され、一次燃焼チャンバーに再導入される半燃焼石炭の再循環の方法を開示する。いずれもWojtowicz et al.の米国特許第6,103,205号および6,322,613号は、熱ガス蒸発による吸着媒の再生手段を含む、スクラップタイヤなどの炭素質原料油の熱分解、および後で処理されなければならない高濃度に濃縮された水銀リッチガス流の生成による炭素吸着媒の生成方法を開示する。
【0005】
米国特許第5,787,823号Knowlesは、吸着物質として、天然のろ過特性、つまり小さい粒子サイズと大きい表面-質量比から、石炭燃焼で自動的に生成される副生成物であるフライアッシュの使用を教唆する。Knowlesはフライアッシュの中の炭素(未燃焼燃料)の考えうる効果についても、細粒炭の吸収と炭素粒子の吸収によって別々に果たされている役割についても、考察していない。米国特許第5,672,323号Bhat et al.は、水銀除去のための排ガス処理として、活性炭の注入を教唆している。
【0006】
米国特許第6,372,187 号Madden et al. は、石灰石などのアルカリ吸着媒の使用の後、排煙ガス流からの水銀除去の手段として微粒子ろ過を行う方法を開示する。
【0007】
すべての吸着媒技術は、水銀リッチ微粒子を、大気中に放出する前にある形態のバグハウスまたは排煙ガス流から分離するその他の類似の手段で捕捉する。必然的に、この水銀リッチ微粒子複合体には、水銀、吸着物質、およびフライアッシュ除去の初期段階で逃れ出たと考えられる一部の残留フライアッシュが含まれるだろう。最終的に、この微粒子複合体の廃棄は、全体をたとえばセメント結合、埋め立てなどによって行うか、またはその物質を処理して体積を減らすかもしくは前記吸着媒を再生することによって行わなければならない。吸着媒の再生の場合、吸着媒交換の高コストを避けるかまたは部分的に相殺することができ、体積を減少させる場合、前記水銀を実質的に減少される水銀吸着媒体積までさらに濃縮して、効率的に閉じこめるか廃棄することができる。環境的な観点から、理想的には、石炭燃料中にもともと存在するすべての水銀を、管理が簡単なはずである分子または元素の状態で収集できるようにすべきである。
【0008】
水銀-吸着媒混合物を処理を要する個別の物質とみなすと、この混合物から水銀を除去する手段を考えることができる。そのような手段の1つは、水銀沸点まで前記物質を加熱することによる前記水銀の熱分解を行い、その後、最初に水銀-吸着物質を生成した技術よりも効率的な水銀除去技術を行う方法である。多くの局面で、これは水銀汚染土壌および工業物質から水銀を除去する問題に似ている。
【0009】
たとえば、米国特許第6,268,590 号Gale et al. は、電気的に加熱した炉に乾燥顆粒状物質をらせん状に通し、前記乾燥顆粒状物質から水銀をレトルトする方法を開示する。排気ガス流から水銀蒸気を取り出すために、凝縮装置を用いる。Galeは、米国特許第5,569,154 号Navettaおよび米国特許第1,599,372号Reedに開示されている初期の方法よりも、彼の方法の方がプロセスが連続的でサイズ、複雑性が実用的である点において有利であると主張する。
【0010】
米国特許第6,024,931号Hanulikは、前記物質を燃焼炎に対して逆流するように通す、回転式管状炉を開示する。いずれもWashburn et al. の米国特許第5,891,216号および5,989,486号は、蒸発した水銀蒸気の解放を補助する撹拌機序の使用を含む、レトルト方法のバッチを教唆する。米国特許第5,782,188号Evans et al. は、空気の不在下において熱分解焼却炉として機能し、可燃ガス流が各種生成物流に濃縮される回転式炉を開示する。米国特許第5,632,863号Meadorは、使用済みバッテリを処理することもできる熱分解性の方法を開示する。 米国特許第5,567,223号Lindgren et al. は、水銀に汚染された物質をセレン化水銀にするために、熱ガス流中、セレンの存在下において炉の中で加熱し、脱汚染された物質をさらなる使用のために残すプロセスを説明する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これらの各方法は、水銀汚染物質中の水銀の含有量を減少させるためのプロセスを提供する機能的な必要性を満たしているが、さらに効率的で経済的な方法が必要である。さらに、たとえばフライアッシュの処理など、ある場合では、前記物質中の炭素レベルの減少も必要になることが多い。したがって、水銀で汚染された物質の水銀および炭素含有量の両方を同時に減少させることができる方法が必要である。
【0012】
したがって、本願発明の目的は、水銀で汚染された物質から水銀を減少させる、改善された方法の提供である。前記方法にはマイクロ波エネルギーを使用する。
【0013】
本願発明の目的はまた、マイクロ波を用いて、水銀汚染物質中の水銀および炭素含有物を減少させる方法の提供である。
【0014】
さらなる本願発明の目的は、本願発明にしたがったプロセスにけるバブリング流動層反応容器の使用の提供である。
【0015】
さらなる本願発明の目的は、本願発明にしたがったプロセスにけるホスト層物質の使用の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願発明は、マイクロ波エネルギーを用いて、フライアッシュおよび吸着媒物質からなる水銀で汚染された固体混合物から水銀を熱分解するために用いるプロセスおよび手段を開示する。このプロセスを用いて、前記水銀を、後に濃縮される熱ガス流中の熱蒸気として取り出し、固体残留物、つまり前記フライアッシュまたは前記吸着媒物質を再利用またはクリーンな廃棄のために残す。
【0017】
本願発明のプロセスには、任意の炎または燃焼ガスを必要とすることなく、水銀を蒸発させるのに必要な熱を提供するためのマイクロ波エネルギーの使用が含まれる。たとえば水銀で汚染された物質を連続的に供給および排除し、マイクロ波エネルギーをかける金属流動層容器などのプロセスに用いる手段は、その他のレトルト装置および熱分解装置よりも優れた利点を有するコンパクトで効率的な装置である。
【0018】
この場合、マイクロ波加熱の基本的なメカニズムは、電気的変位電流および伝導電流の両方を用いて電磁気エネルギーを物質内部で直接熱に転換する、誘電性およびオーム加熱の燃焼である。このエネルギー転換の効率は、処理する物質の誘電特性に依存する。この場合、フライアッシュおよび吸着媒物質の両方とも、管理された方法で急速に加熱することができる重要なレセプタ元素、主に炭素を含有する。この水銀は、通常の大気圧下では温度が約357℃(水銀の沸点)まで上昇した時に蒸発する。
【0019】
バブリング流動層反応容器の使用にはいくつかの実用的な利点がある。その利点には、マイクロ波エネルギーの自己封じ込め、水銀蒸気の洗浄を補助するための天然の物質撹拌、物質の容器への連続的な流入出、および固体とガス流の自然分離が含まれる。
【0020】
第1の局面によると、本願発明は、水銀で汚染された物質中の水銀レベルを減少させる方法であって、当該方法が、前記の水銀で汚染された物質をマイクロ波反応装置に入れるステップと、前記マイクロ波反応装置に前記の水銀で汚染された物質に撹拌を起こすためのガス流を提供するステップと、前記の水銀で汚染された物質をマイクロ波放射に曝露して温度を少なくとも357℃に上げて、水銀と処理した物質を含有する蒸気相をつくり出すステップと、を含む、方法を提供する。
【0021】
第2の局面によると、本願発明は、水銀で汚染された物質中の水銀レベルを減少させる方法であって、当該方法が、炭素を含まない物質をマイクロ波反応装置に入れるステップと、前記の水銀で汚染された物質をマイクロ波反応装置に入れるステップと、前記マイクロ波反応装置に前記の水銀で汚染された物質および炭素を含まない物質に撹拌を起こして混合物を形成するためのガス流を提供するステップと、前記の水銀で汚染された物質をマイクロ波放射に曝露して温度を少なくとも357℃に上げて、水銀と処理した物質を含有する蒸気相をつくり出すステップと、を含む、方法を提供する。
【0022】
第3の局面によると、本願発明は、水銀で汚染された物質中の水銀および炭素レベルを減少させる方法であって、当該方法が、前記の水銀で汚染された物質をマイクロ波反応装置に入れるステップと、前記マイクロ波反応装置に前記の水銀で汚染された物質に撹拌を起こすためのガス流を提供するステップと、前記の水銀で汚染された物質をマイクロ波放射に曝露して温度を少なくとも600℃に上げて、水銀と処理した物質を含有する蒸気相をつくり出すステップと、を含む、方法を提供する。
【0023】
第4の局面によると、本願発明は、水銀で汚染された物質中の水銀および炭素レベルを減少させる方法であって、当該方法が、炭素を含まない物質をマイクロ波反応装置に入れるステップと、前記の水銀で汚染された物質をマイクロ波反応装置に入れるステップと、前記マイクロ波反応装置に前記の水銀で汚染された物質および炭素を含まない物質に撹拌を起こして混合物を形成するためのガス流を提供するステップと、前記の水銀で汚染された物質をマイクロ波放射に曝露して温度を少なくとも600℃に上げて、水銀と処理した物質を含有する蒸気相をつくり出すステップと、を含む、方法を提供する。
【0024】
第1および第3の局面の好ましい実施態様では、前記方法はさらに、前記反応装置から蒸気相を取り出すステップと、マイクロ波放射の曝露を終了するステップと、前記反応装置から処理された物質を取り出すステップと、前記反応装置中に新たに水銀で汚染された物質を導入するステップと、を含んでもよい。 第2および第4の局面の好ましい実施態様では、前記方法はさらに、前記反応容器から蒸気相を取り出すステップと、マイクロ波放射の曝露を終了するステップと、前記反応容器から処理された物質を取り出すステップと、前記反応容器中に新たに炭素を含まない物質を導入するステップと、前記反応装置中に新たに水銀で汚染された物質を導入するステップと、を含んでもよい。
【0025】
より好ましくは、上述のステップは連続的で任意であってよく、前記方法はさらにサイクロン式分離器などのろ過装置で蒸気相に導入するステップを含んでもよい。本願発明による方法はまた、水銀を含む前記蒸気相を容器に捕捉するステップをさらに含んでもよい。
【0026】
本願発明の方法に用いるマイクロ波反応装置は好ましくは流動層反応容器であり、前記マイクロ波放射の周波数は約300mHz乃至約30GHzであってよい。好ましくは、前記周波数は、約915MHz乃至2450MHzの産業科学医療用(ISM)周波数帯であってよい。特定のエネルギーを産出するのに十分なマイクロ波放射のパワーレベルおよびプロセス寿命時間は、約2 kW-h/t乃至約20 kW-h/tの間であってよい。
【0027】
上述の本願発明の第2および第4の局面における、炭素を含まない物質に対する水銀で汚染された物質の比は、約25/75乃至約75/25の間であってよい。好ましくは、この比は約50/50である。この水銀で汚染された物質の水銀含有量は最高50重量%であってもよく、本願発明の方法に従って処理された物質の水銀含有量は約10ppb未満であってよい。好ましくは、前記の処理された物質の水銀含有量は5ppb未満である。前記の水銀で汚染された物質の炭素含有量は、最高60重量%であってよい。
【0028】
第6の局面によると、本願発明にしたがった方法を実行するために特別に採用された装置が提供される。
【0029】
本願発明による水銀で汚染された物質の水銀含有量の減少の方法にはマイクロ波エネルギーを用い、効率的、経済的で用途が広い。
【0030】
本願発明のこれらおよびその他の利点は、以下の詳細な説明を読み、図を参照することによって明らかになるだろう。
本願発明は図解された実施態様に関連して説明されるが、そのような実施態様が本願発明を制限することを意図しないことは理解されよう。これに対し、付属の特許請求によって定義される本願発明の精神および範囲内に含まれるであろう変更、改変、および等価物のすべてを包含することを意図する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本願発明の好ましい実施態様を図示する図1を参照すると、水銀で汚染された物質の給入流(1)をバブリング流動層として機能するマイクロ波反応容器(2)に連続して導入する。バブリング流動層の操作は当業に公知である。この好ましい実施態様に不可欠なのが、前記の水銀で汚染された物質に加えてホスト層物質からなる二重組成物流動層の使用である。前記ホスト層物質は、当面のプロセスに不活性で、化学的または機械的な影響のないプロセスの操作条件に耐えうる炭素を実質的に含有しない鉱物として選択される。前記ホスト層物質はさらに、吸着媒物質の前記反応容器内での流動性がより高くなるように、吸着媒物質よりも十分に大きなサイズ分布と密度を有するものとして記述される。それにもかかわらず、ホスト層物質の動力学的作用は、前記ホスト層物質および前記吸着媒物質の給入流が、前記反応容器内で1つの統合された流動層溶媒を形成するものである。上述のサイズおよび密度特性に加えて、前記ホスト層物質には、前記層内のその他の物質の特性に無関係に、マイクロ波エネルギーによって直接加熱できるようなマイクロ波感受性物質が選択される。ホスト物質の割合が少なくとも50重量%であるこの2重組成物流動層の使用によって、炭素リッチ吸着媒物質の溶解またはクリンカーを生じることなく著しい高温で操作できるプロセスが可能になることが明らかになった。
【0032】
前記反応容器(2)内の給入物質(1)は、ノズルシステムまたは固体プレートに密集させた開口部を通して前記反応装置の基部に注入して物質を前記反応容器中に効果的に浮遊させるガス流(3)によって流動層を形成する。流動層操作のこの局面は、前記物質を効果的に浮遊させるために必要なガス速度によって決定され、当業者に公知である。この流動ガスは前記反応容器を通り、サイクロン式分離器などのろ過装置(4)を通って排出される。このろ過装置で、取り込まれた微細粒子のすべてまたは大半を前記ガス流から取り除く。その後、実質的には微粒子を含まないこのガス流(5)を、水銀除去などのさらなる処理にかけることができる。
【0033】
前記反応容器に給入された物質は、たとえばオーバーフロー排出管(6)の手段によって連続的に除去し、さらなる処理または使用のためにホッパー(7)またはその他の好適な容器に収集する。
【0034】
前記反応容器には、マイクロ波発生装置(8)を連結するための手段、普通は導波管(9)であって、当該導波管において、前記反応容器の大気を前記導波管から効率的に分離するためのマイクロ波透過バリア(10)を取り付けた導波管を装着する。
【0035】
マイクロ波エネルギーは、マイクロ波場を効率的に含有するのに好適な金属物質でつくられた反応容器に供給される。前記反応容器内にある流動化物質に接触させると、マイクロ波エネルギーの相当部分が熱に転換され、それによって流動層温度が上昇する。前記マイクロ波エネルギーの流動層物質へのカップリング効率は、前記導波管に取り付けたチューニング装置(11)によって制御される。そのようなチューニング装置は、出力伝達を連続的に最適化するように電気的に制御することもできる。前記流動層の温度が通常大気圧下の水銀の沸点である約357℃に達した時、水銀は蒸気相を通り、流動ガス流にのって前記容器から排出される。前記流動ガスは、層物質を燃焼させたい場合には周囲空気であってよく、または前記ガスは、前記反応容器の加熱プロセスが前記吸着媒物質を燃焼できないように、水銀または炭素に対して不活性(たとえば窒素)であるように選択してもよい。
【0036】
前記反応容器に存在する前記熱ガス流は、上述のサイクロン式分離器を通る。ガス温度は水銀の沸点以上に維持されるため、水銀蒸気がガス放出口(5)に送られて、そこで濃縮または回収のためにろ過される。
【0037】
サイクロン式分離器(12)で取り出した微粒子をその他の廃棄用固体と合わせる(7)。
【0038】
流動層の当業に知られるとおり、ガス漏れを防ぐために、前記反応容器(及びサイクロン式分離器)への物質流の出入りには各種バルブ(13)を用いる。
【0039】
前記加熱プロセスを監視および制御するために、各種装置(14)を前記装置に取り付ける。温度プローブを流動層内およびガスの注入および排出ラインを含む給入および排出ラインの各所に取り付ける。ガス圧および生成物モニターをすべてのガスラインに取り付ける。前記反応容器を通る物質流の測定は、フローメータまたは質量測定器によって行う。このように装置を取り付けたシステムは、最小-最大境界線内でのシステム操作を維持するために、手動または自動で操作することができる。
【0040】
前記ホスト層物質の組み入れは、汚染された物質の注入流と合体させた別個の給入流(15)によって行われ、前記反応装置によるホスト層物質の損失を埋め合わせるように制御される。必要であれば、前記ホスト層物質は再構築された吸着媒物質から分離され(たとえば浮選または重力分離)、再利用のために注入ホッパへ再循環されてもよい。
【0041】
本願発明の好ましい実施態様によると、不活性ガスが流動化に用いられる場合、水銀で汚染された物質を燃焼せずに効率的に水銀でパージし、吸着媒物質の再利用を可能にすることもできる。そのように放出された水銀は、上述の通り、効率的に捕捉することもできる。この水銀のレトルト方法は、主にマイクロ波エネルギーを用いた熱発生の効率性と迅速性のために、他の加熱手段よりも非常に優れた利点を有する。
【実施例1】
【0042】
図1に概略的に示した装置を、水銀を含有していることがわかっている一定量の石炭燃焼フライアッシュを処理するために組み立てた。マイクロ波周波数は915MHzを用いた。流動化ガスは周囲空気とした。
【0043】
フライアッシュ原料を温度約820℃で処理した。約400分間のテスト時間中、この物質を約6lbs/分の速度で反応容器に通した。
【0044】
この原料に含まれる水銀の量を測定したところ、79ppbであった。LOI(強熱減量)として特徴付けした未燃焼炭素含有量を測定したところ、8.5%であった。
【0045】
処理済みの灰のサンプルを実験中定期的に採取し、その水銀含有量を測定した。えられた結果を、下記の表1に示す。処理済み物質のLOIは1.5%であった。
【0046】
【表1】
水銀の測定値
【0047】
このプロセスが水銀の状態変化に関して安定状態に達したところ、排気物質(生成物およびサイクロン廃棄)の水銀含有量が初期値よりも実質的に減少した。給入速度を減速することによって、前記反応装置内の物質の平均残留時間が延長され、水銀レベルをさらに減少することができるであろうと十分に期待できる。それでも、水銀濃度の減少における前記プロセスの有効性は明らかである。
【実施例2】
【0048】
図1に概略的に示した装置を、水銀を含有していることがわかっている一定量の石炭燃焼フライアッシュを処理するために組み立てた。マイクロ波周波数は915MHzを用いた。流動化ガスは周囲空気であった。
【0049】
細粒炭原料を温度約820℃で処理した。約500分間のテスト時間中、この物質を約6lbs/分の速度で反応容器に通した。
【0050】
この原料に含まれる水銀の量を測定したところ、33ppbであった。LOI(強熱減量)として特徴漬けした未燃焼炭素含有量を測定したところ、17.5%であった。
【0051】
処理済みの灰のサンプルを実験中定期的に採取し、その水銀含有量を測定した。えられた結果を、下記の表2に示す。処理済み物質のLOIは0.4%であった。
【0052】
【表2】
水銀の測定値
【実施例3】
【0053】
図1に概略的に示した装置を、水銀を含有していることがわかっている一定量の石炭燃焼フライアッシュを処理するために組み立てた。マイクロ波周波数は915MHzを用いた。流動化ガスは周囲空気とした。
【0054】
フライアッシュ原料を温度約820℃で処理した。約400分間のテスト時間中、この物質を約6lbs/分の速度で反応容器に通した。
【0055】
この原料に含まれる水銀の量を測定したところ、142ppbであった。LOI(強熱減量)として特徴漬けした未燃焼炭素含有量を測定したところ、4.5%であった。
【0056】
処理済みの灰のサンプルを実験中定期的に採取し、その水銀含有量を測定した。えられた結果を、下記の表3に示す。最終LOIは0.3%であった。
【0057】
【表3】
水銀の測定値
【0058】
前述の例から明らかなように、本願明細書に開示されるプロセスは前記物質の初期水銀含有量またはそのLOIに関係なく水銀濃度の減少に有効である。
【0059】
本願明細書に記載の例は、容易に使用することができる無認可操作用の電磁気ISM(産業科学医療用)周波数帯の範囲内であるマイクロ波周波数915MHzで行われたが、主要な効果がマイクロ波の当業者に公知の様式で共鳴反応容器の範囲内におさまるように、一般にマイクロ波領域内の任意の周波数を使用してもよいということは、本願発明の範囲内である。
【0060】
上述の例において、処理操作が主に灰の中の未燃焼炭素の燃焼および水銀の気化を目的としているため、流動ガスは周囲空気を用いた。上述の例と直接類似するように、本願発明者らが実施したとおり、周囲空気の代わりに、燃焼せずに効率的に物質を加熱できるような(マイクロ波の吸収に起因する)たとえば窒素などの不活性ガスを用いてもよい。
【0061】
さらに、上述の例では、灰に含まれる未燃焼炭素の燃焼の目的で、操作温度として約820℃を用いているが、水銀の気化のためには357℃を達成することのみが必要であって(通常の大気圧下)、したがって、本願発明にしたがったプロセスは、灰の抗生物質が著しく溶解したり凝集化したりする温度を超えなければ、357℃よりも高い任意の温度で操作してもよい。そのような条件は鉱物および原鉱を冶金処理する当業者には知られているであろう。
【0062】
上述の例では、バブリング流動層の既知の原理に基づいて操作する反応容器を使用しているが、マイクロ波含有容器として使用することができるその他の容器デザインを用いることも可能であることは本願発明の範囲内である。これには、流動層を伝達する回転炉、振動ドラム、マルチモード空洞共振器、充填管、およびコンベヤー式空洞共振器が、それらに限定されずに含まれる。
【0063】
したがって、本願発明にしたがって、マイクロ波エネルギーを用いた、水銀に汚染された物質の水銀含有量を減少させる方法であって、上述の必要性および利点を十分に満たす方法を提供したことは明らかである。本願発明は、図解した実施態様を併用して説明されているが、上述の説明に関して、当業者には多くの変更、改変、およびバリエーションが明白であることは明らかである。 したがって、本願発明の精神および広い範囲内に入る、そのようなすべての変更、改変およびバリエーションを包含することを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本願発明に記載の方法の実施態様を実現するための装置を図示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水銀で汚染された物質中の水銀レベルを減少させる方法であって、当該方法において、
(a) 水銀で汚染された物質をマイクロ波反応装置に入れるステップと、
(b) 前記の水銀で汚染された物質の実質的に下方からガス流を導入するステップであって、当該ステップにおいて前記ガスおよび水銀で汚染された物質が前記マイクロ波反応装置中で流動化層を形成し、前記ガス流が前記の水銀で汚染された物質に撹拌を生じるようなステップと、
(c) 前記の水銀で汚染された物質をマイクロ波放射に曝露して温度を少なくとも約357℃に上昇させ、水銀および処理された物質の蒸気相を生成するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
水銀で汚染された物質中の水銀レベルを減少させる方法であって、当該方法において、
(a) 炭素を含有しない物質をマイクロ波反応装置に入れるステップと、
(b) 水銀で汚染された物質を前記マイクロ波反応装置に入れるステップと、
(c) 前記の水銀で汚染された物質の実質的に下方からガス流を導入するステップであって、当該ステップにおいて前記ガスおよび水銀で汚染された物質が前記マイクロ波反応装置中で流動化層を形成し、前記ガス流が前記の水銀で汚染された物質および前記の炭素を含まない物質に撹拌を生じて混合物を形成するステップと、
(d) 前記の水銀で汚染された物質をマイクロ波放射に曝露して温度を少なくとも約357℃に上昇させ、水銀および処理された物質の蒸気相を生成するステップと、
を含む、方法。
【請求項3】
水銀で汚染された物質中の水銀および炭素レベルを減少させる方法であって、当該方法において、
(a) 水銀で汚染された物質をマイクロ波反応装置に入れるステップと、
(b) 前記の水銀で汚染された物質の実質的に下方からガス流を導入するステップであって、当該ステップにおいて前記ガスおよび水銀で汚染された物質が前記マイクロ波反応装置中で流動化層を形成し、前記ガス流が前記の水銀で汚染された物質に撹拌を生じるようなステップと、
(c) 前記の水銀で汚染された物質をマイクロ波放射に曝露して温度を少なくとも約600℃に上昇させ、水銀および処理された物質の蒸気相を生成するステップと、
を含む、方法。
【請求項4】
水銀で汚染された物質中の水銀および炭素レベルを減少させる方法であって、当該方法において、
(a) 炭素を含有しない物質をマイクロ波反応装置に入れるステップと、
(b) 水銀で汚染された物質を前記マイクロ波反応装置に入れるステップと、
(c) 前記の水銀で汚染された物質の実質的に下方からガス流を導入するステップであって、当該ステップにおいて前記ガスおよび水銀で汚染された物質が前記マイクロ波反応装置中で流動化層を形成し、前記ガス流が前記の水銀で汚染された物質および前記の炭素を含まない物質に撹拌を生じて混合物を形成するステップと、
(d) 前記の水銀で汚染された物質をマイクロ波放射に曝露して温度を少なくとも約600℃に上昇させ、水銀および処理された物質を含む蒸気相を生成するステップと、
を含む、方法。
【請求項5】
請求項1または3に記載の方法であって、さらに、
(d) 前記反応装置から蒸気相を取り出すステップと、
(e) マイクロ波放射の曝露を終了するステップと、
(f) 前記反応装置から処理された物質を取り出すステップと、
(g) 新たな水銀で汚染された物質を前記反応装置に導入するステップと、
を含む、方法。
【請求項6】
請求項2または4に記載の方法であって、さらに、
(e) 前記反応装置から前記蒸気相を取り出すステップと、
(f) マイクロ波放射の曝露を終了するステップと、
(g) 前記反応装置から処理された物質を取り出すステップと、
(h) 新たな炭素を含まない物質を前記反応装置に導入するステップと、
(i) 新たな水銀で汚染された物質を前記反応装置に導入するステップと、
を含む、方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法であって、当該方法においてステップ(d)乃至(g)が連続して生じるステップである、方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法であって、当該方法においてステップ(e)乃至(i)が連続して生じるステップである、方法。
【請求項9】
請求項5または6に記載の方法であって、さらに、ろ過装置中に前記蒸気相を導入するステップを含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、当該方法において前記ろ過装置はサイクロン式分離器である、方法。
【請求項11】
請求項5または6に記載の方法であって、さらに、水銀を含有する蒸気相を容器中に捕捉するステップを含む、方法。
【請求項12】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の方法であって、当該方法において前記マイクロ波反応装置が流動層反応容器である、方法。
【請求項13】
請求項1または2に記載の方法であって、当該方法において前記マイクロ波放射が周波数300MHz乃至30GHzを有する、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、当該方法において前記周波数は900 MHz 乃至3000 MHzである、方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、当該方法において前記周波数は、約915MHz乃至2450MHzの産業科学医療用(ISM)周波数帯である、方法。
【請求項16】
請求項3または4に記載の方法であって、当該方法において前記マイクロ波放射が周波数300MHz乃至30GHzを有する、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、当該方法において前記周波数は900 MHz 乃至3000 MHzである、方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法であって、当該方法において前記周波数は、約915MHz乃至2450MHzの産業科学医療用(ISM)周波数帯である、方法。
【請求項19】
請求項1または2に記載の方法であって、当該方法において、約2 kW-h/t乃至約20 kW-h/tの特定のエネルギーを産出するのに十分なマイクロ波放射のパワーレベルおよびプロセス寿命時間を使用する、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、当該方法において、前記マイクロ波放射のパワーレベルおよびプロセス寿命時間が約2 kW-h/t乃至約5 kW-h/tである、方法。
【請求項21】
請求項3または4に記載の方法であって、当該方法において、約4 kW-h/t乃至約20 kW-h/tの特定のエネルギーを産出するのに十分なマイクロ波放射のパワーレベルおよびプロセス寿命時間を使用する、方法。
【請求項22】
請求項2または4に記載の方法であって、当該方法において、炭素を含まない物質に対する水銀で汚染された物質の比、25:75乃至75:25を使用する、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、当該方法において、前記比が約50:50である、方法。
【請求項24】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の方法であって、当該方法において前記ガスが周囲空気および水銀および炭素に関して不活性なガスからなるグループから選択される、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、当該方法において、前記の水銀および炭素に関して不活性なガスは窒素および二酸化炭素から選択される、方法。
【請求項26】
請求項1または2に記載の方法であって、当該方法において、前記ガスが前記の水銀および炭素に関して不活性である、方法。
【請求項27】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の方法であって、当該方法において前記の水銀に汚染された物質中の水銀レベルが最高約50重量%である、方法。
【請求項28】
請求項3乃至4のいずれか1つに記載の方法であって、当該方法において前記の水銀に汚染された物質中の炭素レベルが最高約60重量%である、方法。
【請求項29】
請求項2または4に記載の方法であって、当該方法において前記の炭素を含有しない物質が、水銀で汚染された物質よりも大きいサイズ分布および密度を有するマイクロ波感受性物質であって、二酸化マンガン、シリカ、酸化金属、珪質酸化物、およびそれらの混合物からなるグループから選択される、方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法であって、当該方法において前記の炭素を含まない物質が二酸化マンガンおよびシリカからなるグループから選択される、方法。
【請求項31】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の方法であって、当該方法において前記の処理された物質が約10ppb未満の水銀含有量を有する、方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、当該方法において、前記水銀含有量が約5ppb未満である、方法。
【請求項33】
連続的に維持することができるプロセス中で、水銀で汚染された物質中の水銀レベルを減少させる方法であって、当該方法において、
(a) 水銀で汚染された物質をマイクロ波反応装置に入れるステップと、
(b) 前記の水銀で汚染された物質の実質的に下方からガス流を導入するステップであって、当該ステップにおいて前記ガス水銀で汚染された物質が前記マイクロ波反応装置中で流動化層を形成し、前記ガス流が前記の水銀で汚染された物質に撹拌を生じるようなステップと、
(c) 前記の水銀で汚染された物質をマイクロ波放射に曝露して温度を少なくとも約357℃に上昇させ、水銀および処理された物質を含む蒸気相を生成するステップと、
を含む、方法。
【請求項1】
水銀で汚染された物質中の水銀レベルを減少させる方法であって、当該方法において、
(a) 水銀で汚染された物質をマイクロ波反応装置に入れるステップと、
(b) 前記の水銀で汚染された物質の実質的に下方からガス流を導入するステップであって、当該ステップにおいて前記ガスおよび水銀で汚染された物質が前記マイクロ波反応装置中で流動化層を形成し、前記ガス流が前記の水銀で汚染された物質に撹拌を生じるようなステップと、
(c) 前記の水銀で汚染された物質をマイクロ波放射に曝露して温度を少なくとも約357℃に上昇させ、水銀および処理された物質の蒸気相を生成するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
水銀で汚染された物質中の水銀レベルを減少させる方法であって、当該方法において、
(a) 炭素を含有しない物質をマイクロ波反応装置に入れるステップと、
(b) 水銀で汚染された物質を前記マイクロ波反応装置に入れるステップと、
(c) 前記の水銀で汚染された物質の実質的に下方からガス流を導入するステップであって、当該ステップにおいて前記ガスおよび水銀で汚染された物質が前記マイクロ波反応装置中で流動化層を形成し、前記ガス流が前記の水銀で汚染された物質および前記の炭素を含まない物質に撹拌を生じて混合物を形成するステップと、
(d) 前記の水銀で汚染された物質をマイクロ波放射に曝露して温度を少なくとも約357℃に上昇させ、水銀および処理された物質の蒸気相を生成するステップと、
を含む、方法。
【請求項3】
水銀で汚染された物質中の水銀および炭素レベルを減少させる方法であって、当該方法において、
(a) 水銀で汚染された物質をマイクロ波反応装置に入れるステップと、
(b) 前記の水銀で汚染された物質の実質的に下方からガス流を導入するステップであって、当該ステップにおいて前記ガスおよび水銀で汚染された物質が前記マイクロ波反応装置中で流動化層を形成し、前記ガス流が前記の水銀で汚染された物質に撹拌を生じるようなステップと、
(c) 前記の水銀で汚染された物質をマイクロ波放射に曝露して温度を少なくとも約600℃に上昇させ、水銀および処理された物質の蒸気相を生成するステップと、
を含む、方法。
【請求項4】
水銀で汚染された物質中の水銀および炭素レベルを減少させる方法であって、当該方法において、
(a) 炭素を含有しない物質をマイクロ波反応装置に入れるステップと、
(b) 水銀で汚染された物質を前記マイクロ波反応装置に入れるステップと、
(c) 前記の水銀で汚染された物質の実質的に下方からガス流を導入するステップであって、当該ステップにおいて前記ガスおよび水銀で汚染された物質が前記マイクロ波反応装置中で流動化層を形成し、前記ガス流が前記の水銀で汚染された物質および前記の炭素を含まない物質に撹拌を生じて混合物を形成するステップと、
(d) 前記の水銀で汚染された物質をマイクロ波放射に曝露して温度を少なくとも約600℃に上昇させ、水銀および処理された物質を含む蒸気相を生成するステップと、
を含む、方法。
【請求項5】
請求項1または3に記載の方法であって、さらに、
(d) 前記反応装置から蒸気相を取り出すステップと、
(e) マイクロ波放射の曝露を終了するステップと、
(f) 前記反応装置から処理された物質を取り出すステップと、
(g) 新たな水銀で汚染された物質を前記反応装置に導入するステップと、
を含む、方法。
【請求項6】
請求項2または4に記載の方法であって、さらに、
(e) 前記反応装置から前記蒸気相を取り出すステップと、
(f) マイクロ波放射の曝露を終了するステップと、
(g) 前記反応装置から処理された物質を取り出すステップと、
(h) 新たな炭素を含まない物質を前記反応装置に導入するステップと、
(i) 新たな水銀で汚染された物質を前記反応装置に導入するステップと、
を含む、方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法であって、当該方法においてステップ(d)乃至(g)が連続して生じるステップである、方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法であって、当該方法においてステップ(e)乃至(i)が連続して生じるステップである、方法。
【請求項9】
請求項5または6に記載の方法であって、さらに、ろ過装置中に前記蒸気相を導入するステップを含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、当該方法において前記ろ過装置はサイクロン式分離器である、方法。
【請求項11】
請求項5または6に記載の方法であって、さらに、水銀を含有する蒸気相を容器中に捕捉するステップを含む、方法。
【請求項12】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の方法であって、当該方法において前記マイクロ波反応装置が流動層反応容器である、方法。
【請求項13】
請求項1または2に記載の方法であって、当該方法において前記マイクロ波放射が周波数300MHz乃至30GHzを有する、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、当該方法において前記周波数は900 MHz 乃至3000 MHzである、方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、当該方法において前記周波数は、約915MHz乃至2450MHzの産業科学医療用(ISM)周波数帯である、方法。
【請求項16】
請求項3または4に記載の方法であって、当該方法において前記マイクロ波放射が周波数300MHz乃至30GHzを有する、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、当該方法において前記周波数は900 MHz 乃至3000 MHzである、方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法であって、当該方法において前記周波数は、約915MHz乃至2450MHzの産業科学医療用(ISM)周波数帯である、方法。
【請求項19】
請求項1または2に記載の方法であって、当該方法において、約2 kW-h/t乃至約20 kW-h/tの特定のエネルギーを産出するのに十分なマイクロ波放射のパワーレベルおよびプロセス寿命時間を使用する、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、当該方法において、前記マイクロ波放射のパワーレベルおよびプロセス寿命時間が約2 kW-h/t乃至約5 kW-h/tである、方法。
【請求項21】
請求項3または4に記載の方法であって、当該方法において、約4 kW-h/t乃至約20 kW-h/tの特定のエネルギーを産出するのに十分なマイクロ波放射のパワーレベルおよびプロセス寿命時間を使用する、方法。
【請求項22】
請求項2または4に記載の方法であって、当該方法において、炭素を含まない物質に対する水銀で汚染された物質の比、25:75乃至75:25を使用する、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、当該方法において、前記比が約50:50である、方法。
【請求項24】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の方法であって、当該方法において前記ガスが周囲空気および水銀および炭素に関して不活性なガスからなるグループから選択される、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、当該方法において、前記の水銀および炭素に関して不活性なガスは窒素および二酸化炭素から選択される、方法。
【請求項26】
請求項1または2に記載の方法であって、当該方法において、前記ガスが前記の水銀および炭素に関して不活性である、方法。
【請求項27】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の方法であって、当該方法において前記の水銀に汚染された物質中の水銀レベルが最高約50重量%である、方法。
【請求項28】
請求項3乃至4のいずれか1つに記載の方法であって、当該方法において前記の水銀に汚染された物質中の炭素レベルが最高約60重量%である、方法。
【請求項29】
請求項2または4に記載の方法であって、当該方法において前記の炭素を含有しない物質が、水銀で汚染された物質よりも大きいサイズ分布および密度を有するマイクロ波感受性物質であって、二酸化マンガン、シリカ、酸化金属、珪質酸化物、およびそれらの混合物からなるグループから選択される、方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法であって、当該方法において前記の炭素を含まない物質が二酸化マンガンおよびシリカからなるグループから選択される、方法。
【請求項31】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の方法であって、当該方法において前記の処理された物質が約10ppb未満の水銀含有量を有する、方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、当該方法において、前記水銀含有量が約5ppb未満である、方法。
【請求項33】
連続的に維持することができるプロセス中で、水銀で汚染された物質中の水銀レベルを減少させる方法であって、当該方法において、
(a) 水銀で汚染された物質をマイクロ波反応装置に入れるステップと、
(b) 前記の水銀で汚染された物質の実質的に下方からガス流を導入するステップであって、当該ステップにおいて前記ガス水銀で汚染された物質が前記マイクロ波反応装置中で流動化層を形成し、前記ガス流が前記の水銀で汚染された物質に撹拌を生じるようなステップと、
(c) 前記の水銀で汚染された物質をマイクロ波放射に曝露して温度を少なくとも約357℃に上昇させ、水銀および処理された物質を含む蒸気相を生成するステップと、
を含む、方法。
【図1】
【公開番号】特開2006−289321(P2006−289321A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−117642(P2005−117642)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(505141417)ヘンドリックス ホールディング カンパニー,インク. (1)
【氏名又は名称原語表記】Hendrix Holding Company, Inc.
【住所又は居所原語表記】3618 Sunset Boulevard West Columbia, South Carolina 29169 USA
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(505141417)ヘンドリックス ホールディング カンパニー,インク. (1)
【氏名又は名称原語表記】Hendrix Holding Company, Inc.
【住所又は居所原語表記】3618 Sunset Boulevard West Columbia, South Carolina 29169 USA
【Fターム(参考)】
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