説明

水銀分析装置およびその方法

【課題】試料中の水銀を捕集する流路における水銀の残留をなくする水銀分析装置およびその方法を提供し、水銀を高感度かつ高精度で分析することを目的とする。
【解決手段】本発明の水銀分析装置は、試料ガスS中の水銀を捕集する水銀捕集管4に試料ガスSを流す試料ガス導入流路2と、水銀が捕集された水銀捕集管4を加熱して水銀を気化させる加熱気化装置5と、気化された水銀を測定する水銀測定器6と、試料ガス導入流路2の水銀捕集管4の上流側の流路接続部3で接続され、気化された水銀を水銀測定器6に運ぶためのキャリアガスGを流すキャリアガス供給流路7とを備え、流路接続部3は、外管75の中空部に内管25が貫通した二重管であり、試料ガスSまたはキャリアガスGのいずれか一方のガスが内管25の中空部251を流れ、他方のガスが内管25の外壁252と外管75の内壁752の間の管状空間753を流れる二重の流路を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料ガス中の水銀を水銀捕集管に捕集後、水銀捕集管を加熱気化装置で加熱して水銀捕集管に捕集された水銀を気化させて分析する水銀分析装置およびその水銀分析方法に関する。特に、原子蛍光分析または原子吸光分析の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から原子吸光分析法による水銀分析は、長年にわたり環境分析や品質管理分析などで広く使用され、原子蛍光分析法による水銀分析もかなり以前から使用されている。例えば、廃棄物焼却炉や火力発電炉などの煙道排気ガス中の水銀測定が様々な方法でなされている。
【0003】
例えば、特許文献1では、ガス中の水銀を連続測定している。この測定はゴミ焼却炉の煙突から排出される排ガス中の水銀分析であり、その煙突内に還元装置を構成する配管の先端を臨ませ、吸引ポンプを作動させることにより、前記排ガスが配管から導入されて還元反応器内を通過し、還元された水銀は、排ガスとともに還元装置の配管を経て分析器に送られ、この分析器により水銀の分析が行われる。
【0004】
しかし、目的や用途によってオフライン測定であるバッチ測定も行われている。従来からバッチ測定用の加熱分解による水銀分析装置がある。例えば、試料を試料容器に入れ、その試料容器を試料加熱炉に挿入し、空気ポンプによって所定流量の空気を流しながら、試料加熱炉で試料を加熱分解し、試料から発生した水銀を水銀捕集管で捕集して、原子吸光分析法または原子蛍光分析法で測定する水銀分析装置がある。また、例えば、ゴミ焼却炉の煙突から排出される排ガスの所定量を吸引ポンプによって流して、試料ガス中の水銀を水銀捕集管で捕集後、原子吸光分析法または原子蛍光分析法で測定する水銀分析装置がある。
【特許文献1】特開2001−33434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
試料ガス中の水銀を水銀捕集管に捕集して測定していると、試料ガス導入口から水銀捕集管までの流路の配管内に水銀が残留し、水銀を含まないガスをサンプリングしても、配管内の残留水銀が水銀捕集管の充填剤に捕らえられることでブランク値が高くなる。特に高濃度の水銀を含むガスをサンプリングした後のブランク測定時にはその現象が顕著に現れ、ブランクを下げるために水銀を含まないガスをサンプリングする空運転を長時間行う必要があり、低濃度の水銀分析が困難になるという問題があった。特に、原子蛍光分析法では微量の水銀を高感度に測定するため、この水銀の残留が測定値に大きく影響する。
【0006】
本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたもので、試料中の水銀を捕集する流路における水銀の残留をなくする水銀分析装置およびその方法を提供し、水銀を高感度かつ高精度で分析することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の水銀分析装置は、試料ガス中の水銀を捕集する水銀捕集管に試料ガスの所定量を流す試料ガス導入流路と、水銀が捕集された前記水銀捕集管を加熱して水銀を気化させる加熱気化装置と、前記加熱気化装置によって気化された水銀を測定する水銀測定器と、前記試料ガス導入流路における前記水銀捕集管の上流側の流路接続部で接続され、前記加熱気化装置によって気化された水銀を前記水銀測定器に運ぶためのキャリアガスを流すキャリアガス供給流路とを備えた試料ガス中の水銀を分析する水銀分析装置であって、前記流路接続部は、外管の中空部に内管が貫通した二重管であり、試料ガスまたはキャリアガスのいずれか一方のガスが前記内管の中空部を流れ、他方のガスが前記内管の外壁と前記外管の内壁の間の管状空間を流れる二重の流路を有する。
【0008】
本発明の水銀分析方法は、試料ガス中の水銀を捕集する水銀捕集管に試料ガスの所定量を流す試料ガス導入流路と、水銀が捕集された前記水銀捕集管を加熱して水銀を気化させる加熱気化装置と、前記加熱気化装置によって気化された水銀を測定する水銀測定器と、前記試料ガス導入流路における前記水銀捕集管の上流側の流路接続部で接続され、前記加熱気化装置によって気化された水銀を前記水銀測定器に運ぶためのキャリアガスを流すキャリアガス供給流路とを準備し、前記流路接続部を、外管の中空部に内管が貫通した二重管により形成し、前記試料ガスまたは前記キャリアガスのいずれか一方のガスを前記内管の中空部に流し、他方のガスを前記内管の外壁と前記外管の内壁の間の管状空間に流して試料ガス中の水銀を分析する。
【0009】
本発明の水銀分析装置または水銀分析方法によれば、流路接続部において試料ガス導入流路とキャリアガス供給流路とが独立しており、試料ガスがキャリアガス供給流路に接触しないので、キャリアガスに試料ガスによる残留水銀が含まれず、水銀を高感度かつ高精度で分析することができる。
【0010】
本発明において、試料ガスが前記内管の中空部を流れ、キャリアガスが前記内管の外壁と外管の内壁の間の管状空間を流れることが好ましい。この構成により、内管の内壁の表面積は管状空間の内管の外壁および外管の内壁の表面積に比べかなり小さく、構造が複雑でないので試料ガスS中の水銀が残留せず、吸着も生じにくく配管内面の汚染を防止することができる。このように、残留水銀をなくし汚染を防止できるので、配管を加熱する加熱部材を必要とせずコストダウンを図ることができる。
【0011】
本発明において、前記水銀測定器が原子蛍光分析装置であることが好ましい。水銀測定器を原子蛍光分析装置にすることにより、さらに高感度の分析をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の第1の実施形態である水銀分析装置について説明する。この水銀分析装置1は、試料ガス中の水銀の含有量を定量する水銀分析装置1であり、図1に示すように、試料ガス導入口21より試料ガスSを導入して試料ガスS中の水銀を捕集する水銀捕集管4に試料ガスSの所定量を流す試料ガス導入流路2と、水銀捕集管4を加熱して捕集された水銀を気化させる加熱気化装置5と、加熱気化装置5によって気化された水銀を測定する水銀測定器6と、試料ガス導入流路2の水銀捕集管4の上流側で流路接続部3によって接続され、加熱気化装置5によって気化された水銀を水銀測定器6に運ぶためのキャリアガスGを流すキャリアガス供給流路7と、水銀捕集管4のガス出口42に接続された測定流路8を備えている。測定流路8は上流側から順に水銀測定器6、ガス切り替え弁81、水銀除去フィルタ82、吸引ポンプ83および第1のガス流量制御手段84を有し、さらにガス切り替え弁81によってキャリアガスGに水銀測定器6を迂回させるバイパス流路9が設けられている。
【0013】
試料ガスSは、例えば、煙道排気ガスのように試料自体がガス状である試料に限らず、石英ボートに固体試料を収容して加熱分解装置で加熱分解することによって固体試料中の水銀をガス状にした試料、溶液試料を還元気化法で溶液試料の水銀をガス状にした試料などであってもよい。
【0014】
図2に示すように、流路接続部3は、例えばT字型の三方管31と異径ジョイント32および同径ジョイント33によって試料ガス導入流路2の配管25とキャリアガス供給流路7の配管75が接続されている。詳細には、三方管31の上流側にある異径ジョイント32によって試料ガス導入流路2の配管25と三方管31とが接続され、三方管31の下流側にある同径ジョイント33によって三方管31とキャリアガス供給流路7の配管75とが接続されており、試料ガス導入流路2の配管25が三方管31とキャリアガス供給流路7の配管75の中空部を貫通している。
【0015】
試料ガス導入流路2の配管25は、例えば外径3mm、内径2mmまたは1mmのテフロン(登録商標)管、三方管31は例えば外径6mm、内径4mmのガラス管、キャリアガス供給流路7の配管75は、例えば外径6mm、内径4mmのテフロン(登録商標)管であり、キャリアガス供給流路7の配管である外管75の中空部に試料ガス導入流路2の配管である内管25が貫通した二重管である。詳細には図3に示すように、試料ガスSが内管25の中空部251を流れ、キャリアガスGが内管25の外壁252と外管75の内壁752の間の管状空間253を流れる二重の流路を形成している。図2に示すように内管25は水銀捕集管4を加熱する加熱気化装置5のヒータ51の近傍まで延伸し、水銀捕集管4の内部に試料ガスSが導入される。三方管31はテフロン(登録商標)製ジョイントであってもよい。
【0016】
この流路接続部3の変形例として、図2に示す内管25の配管材料を耐熱性のある、例えばガラス管にして、図4に示すようにガラス管26の先端をヒータ51によって加熱される水銀捕集管4の充填剤45の近傍まで延伸する。内管25の先端がヒータ51の端部まで延伸することによって、内管25の先端に残留した水銀も確実に気化させることができる。さらに、水銀捕集管4の中まで延伸しているので外管75と区分された領域がさらに広がり、キャリアガスGに残留水銀がより含まれなくなる。
【0017】
水銀捕集管4には水銀を捕集する充填剤45として、例えば金属水銀と反応してアマルガムを生成する金や銀などの粒状体やウール状細線、金や銀などを表面にコーティングした多孔質担体や海砂などが用いられる。ガス切り替え弁81は水銀の測定時に測定流路8を解放しバイパス流路9を閉鎖する、試料ガスSの水銀を水銀捕集管4に捕集するときはバイパス流路9を解放し測定流路8を閉鎖する。第1のガス流量制御手段84は、例えばマスフローコントローラであり、測定流路8およびバイパス流路9のガス流量を制御する。加熱気化装置5は、水銀を捕集する水銀捕集管4を加熱炉内に収容しており、水銀捕集管4を加熱して捕集された水銀を気化させる。
【0018】
水銀測定器6は試料ガスS中の水銀の含有量を定量する原子蛍光分析装置6であり、高感度に測定するために、キャリアガスGとしてアルゴンガスGが用いられる。これはキャリアガスGとして空気を用いると、水銀の分析線である紫外線の253.7nm(ナノメートル)が吸収されるためである。そのため通常、試料ガスSから水銀を捕集する段階では空気Gが用いられ、測定段階ではアルゴンガスGが用いられる。
【0019】
キャリアガス供給流路7はアルゴンガスGを供給するアルゴンボンベなどのアルゴンガス供給源71と、アルゴンガスGの流量を制御する、例えばマスフローコントローラである第2のガス流量制御手段72と、アルゴンガスG中の水銀を除去する水銀除去管73とを有する。水銀除去管73には水銀を捕集する充填剤として、例えば金属水銀と反応してアマルガムを生成する金や銀などの粒状体やウール状細線、多孔質担体の表面に金や銀などをコーティングしたものなどが用いられ、水銀除去フィルタ82には活性炭が充填されている。
【0020】
図5に示すように原子蛍光分析装置6は、加熱気化装置5で加熱気化された水銀が導入される測定セル62に水銀の分析線を放射する水銀ランプ61と、測定セル62に導入された試料ガスS中に存在する水銀から発生する水銀の蛍光を検出する検出器63と、その検出強度に基づいて試料ガスS中の水銀の含有量を算出する検出処理部64とを備えている。
【0021】
次に、本発明の水銀分析装置1と従来の水銀分析装置との差異を明確にするために、水銀測定器に原子蛍光分析装置を用いた従来の水銀分析装置、特に流路接続部について説明する。
【0022】
従来の水銀分析装置は流路接続部30が、第1の実施形態の流路接続部3のように外管75の中空部に内管25が貫通した二重管ではなく、図7に示すように、試料ガス導入流路12とキャリアガス供給流路17とが単管の構造の三方管123で接続されている。三方管123は同径ジョイント121、同径ジョイント122によって、例えば外径6mm、内径4mmである試料ガス用テフロン(登録商標)管125と水銀捕集管4とを接続している。
【0023】
従来の三方管123では試料ガスS中の水銀が水銀捕集時に同径ジョイント121、122内面および三方管123の内面に残留したり、吸着したりして水銀を含まないガスをサンプリングしても配管内の残留水銀が水銀捕集管4の充填剤45に捕らえられてブランク値が高くなり、特に高濃度の水銀を含むガスをサンプリングした後のブランク測定時にはその現象が顕著に現れ、低濃度の水銀分析が困難であった。
【0024】
次に、本発明の水銀分析装置1を用いて試料ガスSを分析する分析方法について説明する。図1に示すように、試料ガスSが、例えば0.5L/min.(リットル/分)の流量になるように吸引ポンプ83および第1の流量制御手段84によって試料ガス導入口21から導入され、加熱されていない加熱気化装置5の加熱炉内に収容された水銀捕集管4に入り、水銀が捕集される。このとき、ガス切り替え弁81はバイパス流路9を解放し測定流路8を閉鎖している。
【0025】
次に、バイパス流路9をアルゴンガスGによってパージする第1のアルゴンガスパージに入る。キャリアガス供給流路7からアルゴンガスGが、例えば0.5L/min.の流量になるように第2の流量制御手段72によって制御されてキャリアガス供給流路7に導入されてバイパス流路9がアルゴンガスGによってパージされて、バイパス流路9が空気からアルゴンガスGの雰囲気に置換される。このとき、バイパス流路9の流量は第1の流量制御手段84によって例えば0.2L/min.の流量になるように制御されている。
【0026】
次に、測定流路8をアルゴンガスGによってパージする第2のアルゴンガスパージに入る。このとき、キャリアガス供給流路7および測定流路8のアルゴンガス流量は第1のアルゴンガスパージのときとそれぞれ同じであり、ガス切り替え弁81は測定流路8を解放しバイパス流路9を閉鎖している。
【0027】
第1および第2のアルゴンガスパージ後、ガス切り替え弁81が測定流路8を解放しバイパス流路9を閉鎖している状態で、加熱気化装置5の加熱炉内の水銀捕集管4を600〜800℃に加熱して加熱気化された水銀を、キャリアガス供給流路7からアルゴンガスGを、例えば0.17L/minの流量で流し、吸引ポンプ83および第1の流量制御手段84によって、例えば0.07L/min.の流量になるように調節して原子蛍光分析装置6の測定セル62に導入して測定する。試料ガスSが導入された測定セル62に水銀ランプ61から水銀の分析線を放射し、検出器63で測定セル62中の存在する水銀から発生する蛍光である水銀の分析線強度を検出し、その検出強度に基づいて検出処理部64で試料ガスS中の水銀を定量する。なお、水銀捕集管4の捕集された水銀だけを気化させ、他のガスを気化させないために水銀捕集管4の水銀捕集時の加熱温度は150〜200℃が好ましい。
【0028】
12ng(ナノグラム)の水銀量に相当する所定量の標準試料ガスSを第1の実施形態の水銀分析装置1と従来の水銀分析装置とを用いて上記の分析方法で測定し、その測定直後にブランク測定を各々2回測定したブランク測定値を下表に示す。
【0029】

【0030】
上表に示すように、第1の実施形態の水銀分析装置1で測定したブランク値は従来の水銀分析装置で測定したブランク値に比べて1/10になっており、水銀分析装置1では残留水銀が極めて少なくなっていることが分かる。
【0031】
従来の水銀分析装置の流路接続部30は、上記したように三方管123は同径ジョイント121、ジョイント122によって、例えば外径6mm、内径4mmである試料ガス用テフロン(登録商標)管と水銀捕集管4とが接続されている。そのため、配管の内径が太く試料ガスSとの接触面積が大きく、かつ流路接続部30の構造が複雑であるため、試料ガスS中の水銀が残留しやすいが、第1の実施形態の流路接続部3の内管25は内径も小さく、中空部251にはジョイントなどを有していない直管であり、水銀がほとんど残留しない。したがって、第1の実施形態のように、流路接続部3において水銀の残留をなくすためには試料ガス導入流路2の配管が内管25であり、キャリアガス供給流路7の配管が外管75であるのが好ましい。
【0032】
第1の実施形態によれば、流路接続部3において試料ガス導入流路2とキャリアガス供給流路7とが独立しており、試料ガスSがキャリアガス供給流路7に接触しないので、キャリアガスGに残留水銀が含まれておらず、水銀を高感度かつ高精度で分析することができる。さらに、試料ガス導入流路2の配管である内管25は内径が細い直管であり、構造が複雑でないので試料ガスS中の水銀が残留せず、吸着も生じにくく配管内面の汚染を防止することができる。このように、残留水銀をなくし汚染を防止できるので、配管を加熱する加熱部材を必要とせずコストダウンを図ることができる。
【0033】
以下、本発明の第2実施形態である水銀分析装置10について説明する。図1に示すように、この水銀分析装置10は、第1の実施形態に係る水銀分析装置1の水銀測定器である原子蛍光分析装置6が原子吸光分析装置60に置き換えられ、キャリアガスGとして空気が用いられる装置であり、その他の構成は水銀分析装置1と同じである。キャリアガス供給流路7は空気Gを供給する、例えば空気圧縮機である空気供給源75と、空気Gの流量を制御する、第2のガス流量制御手段76と、空気中の水銀を除去する水銀除去管77とを有する。原子吸光分析装置60は、図6に示されるように、加熱気化装置5で加熱気化された水銀が導入される測定セル602に水銀の分析線を放射する水銀ランプ601と、水銀ランプ601から放射される分析線の強度を検出する検出器603と、検出器603が検出した分析線の強度に応じて試料ガスS中の水銀の含有量を定量する検出処理部604を備えている。
【0034】
第2の実施形態の水銀分析装置10を用いた水銀の分析方法においては、空気圧縮機75からキャリアガスとして空気Gが供給され、検出器603が検出した水銀ランプ601から放射される分析線の強度に応じて、検出処理部604が試料ガスS中の水銀の含有量を定量する以外は第1の実施形態の方法と同様であるので、説明を省略する。
【0035】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用・効果を有している。
【0036】
なお、上記の実施形態では、試料ガスSが内管25の中空部251を流れ、キャリアガスGが内管75の外壁252と外管75の内壁752の間の管状空間253を流れる二重の流路を形成しているが、試料ガスSが内管75の外壁252と外管75の内壁752の間の管状空間253を流れ、キャリアガスGが内管25の中空部251を流れる二重の流路を形成してもよい。また、上記の実施形態では、波長非分散型の原子蛍光分析装置6または原子吸光分析装置60を図示しているが、本発明においては波長分散型の原子蛍光分析装置または原子吸光分析装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1および第2の実施形態である水銀分析装置の概略ブロック図である。
【図2】同水銀分析装置の流路接続部の概略図である。
【図3】同水銀分析装置の流路接続部の断面図である。
【図4】同水銀分析装置の他の流路接続部の概略図である。
【図5】本発明の第1の実施形態である水銀分析装置の原子蛍光分析装置の概略ブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施形態である水銀分析装置の原子吸光分析装置の概略ブロック図である。
【図7】従来の水銀分析装置の流路接続部の概略図である。
【符号の説明】
【0038】
1 10 水銀分析装置
2 試料ガス導入流路
3 30 流路接続部
4 水銀捕集管
5 加熱気化装置
6 60 水銀測定器
7 キャリアガス供給流路
8 測定流路
9 バイパス流路
G キャリアガス
S 試料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料ガス中の水銀を捕集する水銀捕集管に試料ガスの所定量を流す試料ガス導入流路と、
水銀が捕集された前記水銀捕集管を加熱して水銀を気化させる加熱気化装置と、
前記加熱気化装置によって気化された水銀を測定する水銀測定器と、
前記試料ガス導入流路における前記水銀捕集管の上流側の流路接続部で接続され、前記加熱気化装置によって気化された水銀を前記水銀測定器に運ぶためのキャリアガスを流すキャリアガス供給流路と、
を備えた試料ガス中の水銀を分析する水銀分析装置であって、
前記流路接続部は、外管の中空部に内管が貫通した二重管であり、試料ガスまたはキャリアガスのいずれか一方のガスが前記内管の中空部を流れ、他方のガスが前記内管の外壁と前記外管の内壁の間の管状空間を流れる二重の流路を有する水銀分析装置。
【請求項2】
請求項1において、
試料ガスが前記内管の中空部を流れ、キャリアガスが前記内管の外壁と前記外管の内壁の間の管状空間を流れる水銀分析装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記水銀測定器が原子蛍光分析装置である水銀分析装置。
【請求項4】
試料ガス中の水銀を捕集する水銀捕集管に試料ガスの所定量を流す試料ガス導入流路と、
水銀が捕集された前記水銀捕集管を加熱して水銀を気化させる加熱気化装置と、
前記加熱気化装置によって気化された水銀を測定する水銀測定器と、
前記試料ガス導入流路における前記水銀捕集管の上流側の流路接続部で接続され、前記加熱気化装置によって気化された水銀を前記水銀測定器に運ぶためのキャリアガスを流すキャリアガス供給流路と、
を準備し、
前記流路接続部を、外管の中空部に内管が貫通した二重管により形成し、
前記試料ガスまたは前記キャリアガスのいずれか一方のガスを前記内管の中空部に流し、他方のガスを前記内管の外壁と前記外管の内壁の間の管状空間に流して試料ガス中の水銀を分析する水銀分析方法。
【請求項5】
請求項4において、
試料ガスを前記内管の中空部に流し、キャリアガスを前記内管の外壁と前記外管の内壁の間の管状空間に流す水銀分析方法。
【請求項6】
請求項4または5において、
前記水銀測定器として原子蛍光分析装置を用いる水銀分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−122160(P2010−122160A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298077(P2008−298077)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(599102310)日本インスツルメンツ株式会社 (20)
【Fターム(参考)】