説明

水門の警報監視装置、水門の警報監視方法、プログラム

【課題】警報を行う機能が正常に機能するか否かを把握することができる水門の警報監視装置を提供する。
【解決手段】水門の開閉時に警報を行う警報装置と出力制御装置との間に介挿され警報を行う際に前記出力制御装置から前記警報装置に供給される電流を検出して電流値を得る信号検出部と、前記出力制御装置から前記警報装置に対して警報が指示された際に、前記信号検出部の検出結果に基づいて、前記警報装置に電流が供給されたか否かを判定する判定部と、前記判定部の判定結果を出力する出力部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水門の警報監視装置、水門の警報監視方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
河川に設置された水門を監視制御するシステムでは、水門のゲートの開閉時は河川を利用する人や船舶に注意を促すために、警報音声を周辺に放音したり、ゲートの通行可否を信号灯で通知することが行われている。このような技術に関連するシステムも提供されている(例えば、特許文献1参照)。このような、警報音声出力装置や信号灯においては、一般的に、警報音声出力がスピーカー出力のONとOFFのみ、信号灯がLED発光のONとOFFのみで出力することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−066480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した技術においては、警報音声出力装置や信号灯に故障などの問題が発生すると、警報を行うことができないという問題がある。また、定期点検等も行われているが、故障が発生した後、次回の定期点検が実施されるまでの間、これらの警報機器の故障に気づかず、動作できないまま放置される可能性もあるという課題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、警報を行う機能が正常に機能するか否かを把握することができる水門の警報監視装置、水門の警報監視方法、プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、水門の開閉時に警報を行う警報装置と出力制御装置との間に介挿され警報を行う際に前記出力制御装置から前記警報装置に供給される電流を検出して電流値を得る信号検出部と、前記出力制御装置から前記警報装置に対して警報が指示された際に、前記信号検出部の検出結果に基づいて、前記警報装置に電流が供給されたか否かを判定する判定部と、前記判定部の判定結果を音または光によって出力する出力部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように、この発明によれば、警報を行う際に出力制御装置から警報装置に供給される電流を検出し、警報装置に電流が供給されたか否かを判定し、その結果を出力するようにしたので、警報を行う機能が正常に機能しているか否かを把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の一実施形態による水門の警報監視装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態による水門の警報監視装置について図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施形態による水門の警報監視装置の構成を示す図である。
信号灯1は、発光することによって警報を行うLED(発光ダイオード)であり、信号灯出力部3からの指示に応じて発光する。この信号灯1には、複数のLEDが設けられる。例えば、青色のLEDと赤色のLEDとが設けられる。
警報音声出力装置2は、スピーカーであり、警報音声出力部4からの指示に応じて音声を放音する。信号灯出力部3は、監視制御システム処理部10からの指示に従い、信号灯1に電力を供給し、発光させる。警報音声出力部4は、監視制御システム処理部10からの指示に従い、警報音声出力装置2に電力を供給し、警報音を放音させる。
【0010】
電流計5は、信号灯出力部3と信号灯1の赤色のLEDとの間に介挿され、信号灯出力部3から赤色のLEDに供給される電流を検出し、検出結果を監視制御システム処理部10に供給する。電流計6は、信号灯出力部3と信号灯1の青色のLEDとの間に介挿され、信号灯出力部3から青色のLEDに供給される電流を検出し、検出結果を監視制御システム処理部10に供給する。電流計7は、警報音声出力部4と警報音声出力装置2との間に介挿され、警報音声出力部4から警報音声出力装置2に供給される電流を検出し、検出結果を監視制御システム処理部10に供給する。
【0011】
光センサ8は、検出素子が信号灯1の近傍に設けられ、信号灯1のLEDから出力される光を検出し、検出結果を監視制御システム処理部10に供給する。音センサ9は、検出素子が警報音声出力装置2の近傍に設けられ、信号灯1のLEDから出力される光を検出し、検出結果を監視制御システム処理部10に供給する。
【0012】
監視制御システム処理部10は、警報を行う際に信号灯出力部3から信号灯1に供給される電流や警報音声出力部4から警報音声出力装置2に供給される電流の基準値をメモリ装置等によって記憶する記憶部を内部に備えている。すなわち、監視制御システム処理部10は、警報音声出力装置2、信号灯2が正常動作した際の電流値を出力動作時の正常動作判定用の電流閾値となる基準値として記憶しており、警報音声出力,信号灯のON制御時に、警報音声出力部4と警報音声出力部4との間に設けられた電流計7、信号灯出力部3から信号灯1との間に設けられた電流計5、6から通知された電流値と、この基準値とを比較し、基準値未満である場合、警報音声出力部4と警報音声出力装置2、信号灯出力部3と信号灯1に異常があると判定する処理を行う。
また、監視制御システム処理部10は、電流値に異常が無と判定された場合でも、スピーカー外部に設けられた音センサ9と、信号灯1の外部に設けられた光センサ8により、デバイス(信号灯1、警報音声出力装置2)から正しく出力が行われているか否かを判定する。
【0013】
また、監視制御システム処理部10は、信号灯出力部3、警報音声出力部4、信号灯1、警報音声出力装置2のいずれかに異常があると判断した場合に、その異常を出力する出力部を有する。この出力部は、例えば、ディスプレイ装置や警報ランプ、スピーカ等であり、異常が発生していることを画面に表示したり、警報ランプやスピーカーで警報を出力する。
【0014】
上述の構成により、警報音声出力部4と警報音声出力装置2との間と、信号灯出力部3と信号灯1との間に設けた各電流計5、6、7により、スピーカーという音声デバイス、及びLEDという光デバイスが動作しているかどうかを電流値により確認することができる。
さらに、警報音声出力装置2の外部の音センサ9と、信号灯1の外部の光センサ8により、デバイスからの出力有無を確認することができる。
従って、水門など河川に設置されたゲートを監視制御するシステムにおける警報音声出力装置、信号灯について、その出力部からデバイス間,デバイス自体に故障などのトラブルが発生していた場合、その故障の発生を検出し、発生箇所を特定することができる。
【0015】
以下、水門の警報監視装置の動作について図1を用いて説明する。ここでは、警報音声出力装置2、信号灯1の正常動作時の電流値が基準値として、監視制御システム処理部10の記憶部に記憶される。例えば、この基準値は、警報音声出力部4と警報音声出力装置2との間と、信号灯出力部3と信号灯1との間それぞれに設置された電流計5、6、7の値をそれぞれ確認し、監視制御システム処理部10の記憶部に、警報音声出力装置2、信号灯1の正常動作判定用の電流閾値として予め記憶しておく。ここでは、電流計5、6、7に対応するそれぞれの基準値が記憶される。
【0016】
警報監視装置100の監視制御システム処理部10は、監視を開始し、水門のゲートが開閉する際、電流計5、6、7が検出する電流値を得る。監視制御システム処理部10は、各電流計から電流値が得られると、それぞれの電流値に対応する基準値とを比較し、基準値未満であるか否かを判定する。そして、監視制御システム処理部10は、電流計5、6、7の電流値のうち、いずれかの電流値が、その基準値未満であると判断した場合、異常であると判断し、その基準値未満であった電流値を計測した電流計が接続された信号灯出力部3あるいは警報音声出力部4の系統に異常があることを検出し、検出結果を出力する。
【0017】
一方、監視制御システム処理部10は、電流計5、6、7の電流値が、すべて基準値以上であると判断した場合には、光センサ8と音センサ9との検出結果を得て、光センサ8が信号灯1からの光を検出しているか否かを判定し、光を検出している場合には異常なしと判断し、光を検出していない場合には、異常があることを検出し、検出結果を出力する。
また、監視制御システム処理部10は、音センサ9が警報音声出力部4からの音を検出しているか否かを判定し、音を検出している場合には異常なしと判断し、光を検出していない場合には、異常があることを検出し、検出結果を出力する。
【0018】
上記説明したように、水門のゲートを管理する監視制御装置100における警報音声出力装置、信号灯の信号灯出力部3または警報音声出力部4から出力デバイスまでの間の部分に電流計を設け、更に、出力デバイスの外部にも音センサ,光センサを設けるようにしたので、警報時において、監視制御システム処理部10から警報指示を信号灯出力部3または警報音声出力部4に行っているにもかかわらず、信号灯出力部3または警報音声出力部4から信号灯1あるいは警報音声出力装置2に電流が出力されていない場合には、信号灯出力部3または警報音声出力部4に異常があるものとして判断することができる。また、信号灯出力部3または警報音声出力部4に異常がない場合であっても、光センサ8、音センサ9によって、光あるいは音が出力されているか否かを検出するようにしたので、これらの出力デバイスに異常があるか否かを判断することができる。このように、警報を行う系統のいずれの箇所に異常があるか、その問題箇所の判定を行うことができる。
【0019】
また、図1における監視制御システム処理部10、信号灯出力部3、警報音声出力部4の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより警報の監視を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0020】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0021】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0022】
1 信号灯
2 警報音声出力装置
3 信号灯出力部
4 警報音声出力部
5、6、7 電流計
8 光センサ
9 音センサ
10 監視制御システム処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水門の開閉時に警報を行う警報装置と出力制御装置との間に介挿され警報を行う際に前記出力制御装置から前記警報装置に供給される電流を検出して電流値を得る信号検出部と、
前記出力制御装置から前記警報装置に対して警報が指示された際に、前記信号検出部の検出結果に基づいて、前記警報装置に電流が供給されたか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を出力する出力部と、
を有することを特徴とする水門の警報監視装置。
【請求項2】
前記警報を行う際に前記出力制御装置から前記警報装置に供給される電流の基準値を記憶する記憶部を有し、
前記判定部は、前記記憶部に記憶された基準値と前記信号検出部の検出結果とを比較し、前記検出結果が前記基準値未満である場合に前記出力部によって異常を表す出力を行う
ことを特徴とする請求項1記載の水門の警報監視装置。
【請求項3】
音または光を検出するセンサを有し、
前記判定部は、前記検出結果が前記基準値以上である場合に、前記センサが前記警報装置からの音または光を検出しているか否かを判定し、音または光が検出されていない場合に、前記出力部によって異常を表す出力を行う
ことを特徴とする請求項2記載の水門の警報監視装置。
【請求項4】
水門の開閉時に警報を行う警報装置と出力制御装置との間に介挿され警報を行う際に前記出力制御装置から前記警報装置に供給される電流を検出して電流値を得て、
前記出力制御装置から前記警報装置に対して警報が指示された際に、前記得られた電流値に基づいて、前記警報装置に電流が供給されたか否かを判定し、
前記判定結果を出力する
ことを特徴とする水門の警報監視方法。
【請求項5】
コンピュータに、
水門の開閉時に警報を行う警報装置と出力制御装置との間に介挿され警報を行う際に前記出力制御装置から前記警報装置に供給される電流を検出して電流値を得る信号検出手段、
前記出力制御装置から前記警報装置に対して警報が指示された際に、前記信号検出手段の検出結果に基づいて、前記警報装置に電流が供給されたか否かを判定する判定手段、
前記判定手段の判定結果を出力する出力手段、
を実行させるためプログラム。

【図1】
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【公開番号】特開2011−180997(P2011−180997A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46856(P2010−46856)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】