説明

水餃子の皮の製造機

【課題】
従来技術の問題点であった水餃子用の皮は中厚で3mm以上、縁部は0.5mm以下の不等厚形状が求められ、しかも水分を40〜45%もの多くを含むものが好まれることから、それを満足する水餃子用の皮を自動機で製造することである。
【解決手段】
水餃子の皮の製造機を、水平に、しかも間欠的に送り込まれる厚皮帯が停止したその厚皮帯の下面を平板で支持し、平板の上方から停止している厚皮帯に向けて降下する加振器付凹円錐成形型によりプレス成形した後、前記加振器付凹円錐成形型を上昇退避させるとともに、厚皮帯は、送り込まれたと逆方向に間欠的に送り出される流れ作業工程の1つを担うよう設けることを主とすることで解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水餃子料理を作る前段階での生餃子製造工程の一つである皮の自動製造機に関する。
【背景技術】
【0002】
古来、餃子は中国が発祥の地といわれ、現在中国では水餃子、日本では焼き餃子が一般的となっている。生餃子とは、茹でる前の水餃子若しくは焼く前の焼き餃子のことであり、長い間手作りであったが、25年ほど前から、人件費の高騰、安全衛生から生餃子を自動機で製造することが行われるようになった(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
しかし、生餃子の自動製造機で現在実用になっているものは、皮厚が0.8mm程度の一定厚みで可能な焼き餃子のみであり、水餃子用については、茹で工程で皮が開いてしまったり、破れてしまうことがあり、皮をのし棒で伸ばして不等厚にする手作りに依存せざるをえなかった。過去に皮を不等厚にしようとする考えは存在したものの実現するまでには至らなかった(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
餃子の皮の直径は水餃子用、焼き餃子用を問わず80〜84mmで変わりは無いが、水餃子用の皮は中厚で3mm以上、縁部は0.5mm以下の不等厚形状が求められ、しかも水分を40〜45%もの多くを含むものが好まれることが、水餃子用の皮を自動機で製造しようとすることの障害になっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平2−31930号公報
【特許文献2】特公昭61−29710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術の問題点であった水餃子用の皮は中厚で3mm以上、縁部は0.5mm以下の不等厚形状が求められ、しかも水分を40〜45%もの多くを含むものが好まれることから、それを満足する水餃子用の皮を自動機で製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
水餃子の皮の製造機を、水平に、しかも間欠的に送り込まれる厚皮帯が停止したその厚皮帯の下面を平板で支持し、平板の上方から停止している厚皮帯に向けて降下する加振器付凹円錐成形型によりプレス成形した後、前記加振器付凹円錐成形型を上昇退避させるとともに、厚皮帯は、送り込まれたと逆方向に間欠的に送り出される流れ作業工程の1つを担うよう設けることを主とする。
【0008】
さらに、前記平板にもまた加振器を付け、前記加振器付凹円錐成形型の縁部には、ミシン目突起を設け、平板とミシン目突起の接触を感知して、プレス成形加工完了を認知し、前記加振器付凹円錐成形型を上昇退避させ、前記平板はプレス成形時、若干リフトする構造を付加すれば、より好ましい水餃子の皮の製造機になる。
【発明の効果】
【0009】
従来技術では困難であった水餃子用の皮は水分を40〜45%もの多くを含むものでありながら、中厚で4mm、縁部は0.2mmの不等厚形状が振動エネルギーによってすばやく簡単に自動機で製造することが可能になった。
【0010】
生餃子の自動製造機で現在実用になっているものは、皮厚が0.8mm程度の一定厚みで可能な焼き餃子のみであったが、水餃子用についても、茹で工程で皮が開いてしまったり、破れてしまうことがあって、皮をのし棒で伸ばして不等厚にする手作りに依存する難作業から開放され、2列の餃子機で1時間に10000個の大量生産ができた。さらに、自動機では手作りでは果たせなかった均一化により、水餃子の形にデザイン改善の可能性が生まれた。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例を示す断面図である。
【図2】図1におけるA部を拡大して示す図である。
【図3】本発明の水餃子製造の流れ作業を示す断面図である。
【図4】本発明の水餃子の皮のみの製造の流れ作業を示す断面図である。
【図5】本発明の水餃子の皮と焼き餃子の皮とを対比して示した断面図で、(a)は焼き餃子の皮、(b)は水餃子の厚皮帯、(c)は本発明の水餃子の皮のプレス成形品を示している。
【図6】本発明の水餃子の皮のプレス成形時の厚皮帯生地移動を示す断面図で縦尺度を横尺度の10倍に描いてある。
【図7】本発明の水餃子の皮で作った餃子の1実施例で、(a)は正面図、(b)は中央断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の水餃子の皮は、流れ作業で即水餃子に加工される場合と、水餃子の皮のまま販売され、各店或いは各家庭思い思いの具で思い思いの形に包む半自動2種類があり、前者を実施例1、後者を実施例2として説明する。
【実施例1】
【0013】
図3により、本発明のあらましを説明する。厚皮帯製造装置20と間欠送り装置28と打ち粉付着装置30と本願水餃子の皮の製造機40、皮打ち抜き装置50と皮絞り装置70と皮の合せ目形成装置80とから流れ作業で即水餃子に加工されるシステムは成り立っている。
【0014】
図3における皮帯製造装置20と間欠送り装置28と打ち粉付着装置30と打ち粉塗布ブラシ31と余剰打ち粉回収ボックス32は従来の焼き餃子用の自動製造装置にも使われている構造であるので、その説明は省くが、厚皮帯製造装置20では厚皮帯25の水分を45%にして、第1番ローラ21で厚さ10mm、第2番ローラ22で厚さ4mm、第3番ローラ23で厚さ2mmで実施した。
【0015】
図1と図2により本発明を説明する。本発明の水餃子の皮の製造機40は、上流から水平に、しかも間欠的に送り込まれる厚皮帯25が停止したその厚皮帯25の下面を平板43で支持し、平板43の上方から停止している厚皮帯25に向けて降下する加振器付凹円錐成形型42によりプレス成形した後、前記加振器付凹円錐成形型42を上昇退避させるとともに、厚皮帯25は、プレス成形された水餃子の皮10と共に送り込まれたと逆方向の皮打ち抜き装置50に向けて間欠的に送り出される。
【0016】
図2ではA部に、凹円錐成形型の縁部46を拡大して示している。そして実線で示したものは下降する凹円錐成形型42が厚皮帯25に接した時の状態を、二点鎖線で示したものはプレス成形が完了して、凹円錐成形型42が平板43に接触した時の状態を、示したものである。凹円錐成形型42と平板43の接触部は1mm程の幅をもたせ、ミシン目の孔を形成させるため0.2mmほどの突起をつけることがある。また、平板43はミシン目直径よりやや大きい円形とし、プレス成形時、若干リフトすると、厚皮帯25は曲げを受けて開くので、成形は一層円滑になる。
【0017】
本発明の骨子である振動エネルギーによるプレス成形であるが、粘着物である厚皮帯25は振幅を受けて小刻みに叩かれる状態になりあたかも流体のように変形する。前述の凹円錐成形型の縁部46はナイフエッジのように厚皮帯25に食い込んで行き縁部を境として、内側と外側は別個に変形が進行する。実施例の直径84mm、厚さ2mmの皮の体積は約10ccであるが、内側ではこの体積が保存されたまま変形が進行すると考えられる。
【0018】
図6では内側の変形の様子を、尺度を変えて示している。実施例では、D1が84mm、tが2mm、h1が0.2mm、θが7.7°(7度42分)、としてh2=h3=1.8mmを目標にすると、D2は31mmになり、この間0.4秒程で、2.8ccの移動があったことになる。プレス成形と呼んでいるが大きな圧力はかけていない。
【0019】
振動パワーは成形型の質量に比例し、振幅の2乗に比例し、振動速度の3乗に比例する。最適選択にはいたっていないが乾電池パワーでも十分である。振動は叩きであるから、厚皮帯25の上面に水分が浮いてくる。一般には型離れが良く適当とされるが、過不足に対しては、通気孔45に管を挿して、打ち粉スプレー若しくは霧で調節することがある。また、図1では、加振器41をリング状大型のもので描いているが、凹円錐成形型42の内部に締結して、配線は通気孔45から取り出す小型方式を採る事も可能である。試験では、ON、OFF時の振幅が過大になる障害から、常時加振、方向性無視が選択されている。
【0020】
水餃子の皮の製造機40から水平に送り出された厚皮帯25は、通常2列のプレス成形された水餃子の皮10を付けたまま皮打ち抜き装置50の真円カッタ51で切り離され、具供給装置60で具Gが中央に乗って水餃子の皮絞り装置70で所望する形にされ、皮の合せ目形成装置80で生水餃子が完成する流れ作業工程をとる。皮打ち抜き装置50で抜き粕となった厚皮帯25はホッパ26に戻され、再利用されるから抜き効率などを深く考慮しなくても良い。
【0021】
図4により、本発明のあらましを説明する。厚皮帯製造装置20と間欠送り装置28と打ち粉付着装置30と本願水餃子の皮の製造機40、皮打ち抜き装置50とから流れ作業で、20枚ほどの重ねたロット型水餃子の皮10加工されるシステムである。水餃子はその水餃子の皮作りがのし棒を使う最も難作業であるから、水餃子の皮のパック販売などが有用になる。この場合、型水餃子の皮10の水分は控え目にして、成形時スプレー打ち粉をする事が多い。
【実施例2】
【0022】
さて、実施例2は、本願水餃子の皮の製造機40によってプレス成形するまでの工程は実施例1と同じである。次の皮打ち抜き装置50は真円カッタ51とダイス52によって水餃子の皮10はトレイ53に積み上げられパック販売されて、半手作りの水餃子となる。皮打ち抜き装置50で抜き粕となった厚皮帯25はホッパ26に戻される処理は実施例1と同様である。
【0023】
本発明で製造された水餃子の皮10は、従来の手作りの皮に較べて真円で均一である。従来の不均一な形をカバーするためのヒダの必然性は消滅した。図7で示したようにハマグリのようなデザインも可能になる。また歴史的にそうだったように、図5の焼き餃子の皮は水餃子の皮にならないが、水餃子の皮は焼き餃子の皮としてはもったいないほど上等なものになる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は振動の僅かなエネルギーを利用して、水餃子の皮の製造を自動化することができた。この技術は国内にとどまらずアジア全体に広まり、新しい食文化を拓く可能性をもっている。
【符号の説明】
【0025】
10 水餃子の皮
20 厚皮帯製造装置
21 第1番ローラ
22 第2番ローラ
23 第3番ローラ
24 つき板
25 厚皮帯
26 ホッパ
28 間欠送り装置
30 打ち粉付着装置
31 打ち粉塗布ブラシ
32 余剰打ち粉回収ボックス
40 水餃子の皮の製造機
41 加振器
42 凹円錐成形型
43 平板
44 ミシン目突起
45 通気孔
46 凹円錐成形型の縁部
50 皮打ち抜き装置
51 真円カッタ
52 ダイス
53 トレイ
60 具供給装置
70 水餃子の皮絞り装置
80 皮の合せ目形成装置
81 合せ目
θ 凹円錐補角
G 水餃子の具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平に、しかも間欠的に送り込まれる厚皮帯が停止したその厚皮帯の下面を平板で支持し、平板の上方から停止している厚皮帯に向けて降下する加振器付凹円錐成形型によりプレス成形した後、前記加振器付凹円錐成形型を上昇退避させるとともに、厚皮帯は、送り込まれたと逆方向に間欠的に送り出される流れ作業工程の1つを担う水餃子の皮の製造機。
【請求項2】
請求項1において、前記平板にもまた加振器が付けられている水餃子の皮の製造機。
【請求項3】
請求項1において、前記加振器付凹円錐成形型の縁部には、ミシン目突起が設けられている水餃子の皮の製造機。
【請求項4】
請求項3において、前記平板とミシン目突起の接触を感知して、プレス成形加工完了を認知し、前記加振器付凹円錐成形型を上昇退避させる水餃子の皮の製造機。
【請求項5】
請求項2において、前記平板はプレス成形時、若干リフトする構造を付加した水餃子の皮の製造機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−205922(P2011−205922A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74814(P2010−74814)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000219417)東亜工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】