説明

汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法

【課題】汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法を提供することを課題とする。
【解決手段】汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法であって、自動清掃装置で実行され、清掃経路を生成して自動清掃装置に未清掃領域の清掃をガイドするために用いられ、未清掃領域内で複数の格子を定義できる。該方法は、まず未清掃領域において自動清掃装置を移動させて汚れを清掃し、また、掃除したゴミ量を継続して検出することで、現位置格子の汚れ具合を取得する。現位置格子の汚れ具合が閾値を超えた時、格子を汚れ格子としてマークする。アルゴリズムを実行し、マークした汚れ格子に基づき、全ての汚れ格子を通過できる最短経路を探索して清掃経路とする。最後に、清掃経路に基づき自動清掃装置が移動して各汚れ格子を通過させ、順番通り各汚れ格子を清掃することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動清掃装置の清掃走行経路ガイドに関し、特に、汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動清掃装置は、通常集塵装置で、自身で移動動力及び障害物検出機能を持ち、未清掃領域を自走して清掃する。
【0003】
未清掃領域を確実に掃除するため、自動清掃装置には、1つ以上の走行経路ガイド手段が備えられ、特定の経路に基づき、未清掃領域を清掃するようガイドしている。
【0004】
前記走行経路ガイド手段において、最も簡単なのが、単純モード切替型ガイド手段である。単純モード切替型ガイド手段において、自動清掃装置には、例えばbounce清掃走行経路モード、wall follow清掃走行経路モード、Snake清掃走行経路モードといった複数の種類の清掃走行経路モードが内蔵されている。自動清掃装置は通常タイムスケジューリングを切替根拠とし、指定された時点に経路、自動清掃装置が該時点に対応する清掃走行経路モードに切り替わる。単純モード切替型ガイド手段を通じて、自動清掃装置は、異なる清掃走行経路モードを実行し、且つ異なるゴミの散乱、汚れ具合に対して良好な清掃効果を果たすことができる。しかし例えば間仕切り形態が特殊な部屋/家屋、或いは障害物の多い家屋のように複雑な室内環境にとって、この種の単純モード切替型ガイド手段は、やはり自動清掃装置で清掃作業を十分終えることができることを保証できない。
【0005】
単純モード切替型ガイド手段について、人工知能を取り入れた改良プランが提出されている。人工知能を取り入れたモード切替型ガイド手段において、自動清掃装置にやはり複数の種類の清掃走行経路モードが内蔵されているが、各種センサーを通じてゴミの散乱及び汚れ具合を検出するため、自動清掃装置内に汚れ検出手段が更に設けられている。人工知能によるゴミの散乱及び汚れ具合の分析を通じて、自動清掃装置は複数の種類の清掃走行経路モードから清掃作業を終えることができるものを選択することで清掃走行経路モードに切り替えることができる。人工知能を取り入れた後、自動清掃装置に内蔵される清掃走行経路モードはやはり単純モード切替型と同じだが、自動清掃装置は、人工知能を通じて最適な清掃走行経路モードを選択することで、清掃作業を十分完成させることができる。
【0006】
前記の2種類のガイドモードにおいて、自動清掃装置は盲目的に前進し、障害物或いは予め設定された領域境界に当たった時進行方向を変更する。このような状況において、自動清掃装置が特定の局部的な領域を通らない或いはあまり通らない状況が起きる可能性があるため、該特定の局部的な領域の清潔状況が悪くなっていた。
【0007】
よって、更にシステム化されたナビゲーション型ガイド手段が開示され、SLAMアルゴリズム(simultaneous localization and mapping、同時に位置を推定しマップを作成する技術)を自動清掃装置内に取り入れた。自動清掃装置が清掃過程において、同時に未清掃領域のマップを作成する。自動清掃装置が汚れ検出手段に合せ、未清掃領域において最適な清掃オペレーションを策定し、未清掃領域内を隅々まで確実に清掃されるよう確保する。
【0008】
理論上システム化されたナビゲーション型ガイド手段は、好適なガイドモードで、清掃作業を確実に終えることができるが、実務上、検出手段の欠点、集塵手段の設計不良等により、特定の局部的な領域の清掃が不確実になり、検出手段の誤判により清掃効果に影響し、清掃時間が長くなる経路といった問題が起きていた。このため、如何にして汚れ検出手段の検出結果及び清掃領域マップを通じて最適な清掃オペレーションを策定するかが、解決を待たれる問題であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、公知技術のナビゲーション手段において特定の局部的な領域の清掃が不確実で、検出手段の誤判により清掃効果に影響し、清掃時間が長くなる経路といった問題が存在することに鑑み、最適化清掃経路を生成して自動清掃装置に清掃作業を終えさせるようガイドすることに用いる汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明は、自動清掃装置で実行され、清掃経路を生成して自動清掃装置が清掃経路に基づいて未清掃領域を清掃するために供する汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法を提供し、該未清掃領域内で複数の格子を定義できる。
【0011】
前記方法は、未清掃領域内において自動清掃装置を移動させ、また自動清掃装置で汚れを掃除するステップと、自動清掃装置の移動過程において、自動清掃装置の現位置に対して位置を推定するため、同時に位置を推定しマップを作成するアルゴリズムを継続して実行するステップと、自動清掃装置の移動過程において、清掃したゴミ量を検出することで、現位置格子の汚れ具合を取得するステップと、該現位置格子の汚れ具合が閾値を超えた時、格子を汚れ格子としてマークするステップと、マークした汚れ格子に基づき、全ての汚れ格子を通る最短経路を探索して清掃経路とするステップと、清掃経路に基づき自動清掃装置を移動して各汚れ格子を通り、順番通り各汚れ格子を清掃するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0012】
清掃過程において、実際に吸引して掃除したゴミ量によって汚れ具合を評価し、未清掃領域内の各格子の汚れ具合を正確に評価させることができることで、新しい清掃経路を計画させる。この清掃経路は、汚れ具合に基づき次の清掃作業時優先的に掃除する汚れ格子を設定して、清掃効果を高めることができる。同時に、汚れ格子に基づき、できる限り自動清掃装置が進むべき最短経路を探索し、従って該未清掃領域の清掃に要する時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例で開示した汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法の実行に用いる自動清掃装置の回路領域図である。
【図2】本発明の第1の実施例で開示した汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法である。
【図3A】本発明の第2の実施例で開示した汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法である。
【図3B】本発明の第2の実施例で開示した汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法である。
【図3C】本発明の第2の実施例で開示した汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法である。
【図4A】遺伝的アルゴリズムにおいて、Pi格子から生成した複数本の清掃経路を示す図である。
【図4B】遺伝的アルゴリズムにおいて、Pi格子から生成した複数本の清掃経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の内容をより完全に理解するために、以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0015】
本発明の実施例で開示した自動清掃装置100の回路領域図の「図1」を参照しながら説明する。図1に示されるのは、未清掃領域を清掃するために用いられ、該未清掃領域内において複数の格子を定義できる。自動清掃装置100には、制御モジュール110と清掃モジュール120と検出モジュール130と移動モジュール140と探査モジュール150と電池モジュール160とを、含み、機体内に設置される。
【0016】
電池モジュール160は、電力を制御モジュール110と清掃モジュール120と検出モジュール130と移動モジュール140と探査モジュール150に供給するために用いられる。検出モジュール130と清掃モジュール120と移動モジュール140と探査モジュール150とは、制御モジュール110に電気的に接続する。清掃モジュール120は、負圧を発生して汚れを吸引することで未清掃領域にある例えば塵埃或いは小さな紙くず等の汚れを掃除して該未清掃領域を清掃するために用いられる。検出モジュール130は、清掃モジュール120が掃除したゴミ量を検出することで、各格子の汚れ具合を取得するために用いられる。移動モジュール140は、機体の移動に用いられる。制御モジュール110は、移動モジュール140を制御して機体が清掃経路に沿って移動することで該未清掃領域の各格子を清掃させるために用いられる。
【0017】
本発明の第1の実施例で開示した汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法の「図2」を参照しながら説明する。図2に示されるものは、清掃経路を生成し、自動清掃装置100が該清掃経路に基づき該未清掃領域を清掃するために用いられる。前記自動清掃装置100の制御モジュール110は制御コードの実行により汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法を実行する。自動清掃装置100が該未清掃領域を清掃する過程において、制御モジュール110が各格子の汚れ具合を分析し、以って清掃経路を生成すると共に保存する。その後の清掃作業において、自動清掃装置100の制御モジュール110が該清掃経路をロードして、該清掃経路に沿って自動清掃装置100を移動させ、清掃経路の格子を通過することで清掃を強化できる。
【0018】
自動清掃装置100が起動した後、該未清掃領域内で該自動清掃装置100を移動させるため、制御モジュール110は実行する制御コードに基づき、移動モジュール140の駆動を開始する。同時に、Step110に示すように制御モジュール110も清掃モジュール120を起動し、清掃モジュール120に負圧を発生して汚れの掃除を開始させる。
【0019】
移動モジュール140が自動清掃装置100を移動させる過程において、制御モジュール110が探査モジュール150を通じて周囲環境のパラメータを取得し、Step120に示すようにSLAM(同時に位置を推定しマップを作成する)アルゴリズムを継続して実行することで、該未清掃領域の各格子マップを作成して、これら相対位置の関係を生成すると共に自動清掃装置100の現位置に対して位置を推定する。
【0020】
同時に、Step130に示すように検出モジュール130は、清掃モジュール120が掃除したゴミ量を継続して検出することで、現位置格子の汚れ具合を取得し、制御モジュール110が格子の汚れ具合を分析させる。
【0021】
Step140に示すように該現位置格子の汚れ具合が閾値を超えた時、制御モジュール110が該格子を汚れ格子としてマークする。
【0022】
清掃作業が終了した後、Step150に示すように制御モジュール110がマークした汚れ格子に基づき、全ての汚れ格子を通過できる最短経路を探索して、清掃経路とし、且つ制御モジュール110は該清掃経路 における同一汚れ格子の重複通過を避けさせる。
【0023】
最後に、制御モジュール110が移動モジュール120を制御し、Step160に示すように清掃経路に基づき自動清掃装置100を移動し、自動清掃装置100に各該汚れ格子を通過させ、順番通り各該汚れ格子を清掃させる。
【0024】
一般的に言うと、住居環境において比較的汚い場所とは、通常いくつかのゾーンに集中し、例えば台所の床、玄関付近である。本発明の1つ或いは複数の実施例において、自動清掃装置100が1個の格子を清掃する度に、検出モジュール130を通じて各格子の汚れ具合を継続して検出して汚れ格子を生成することで、汚れ格子に対して清掃を強化し、家庭内環境の清掃効率を大幅に向上させるよう確保できる。
【0025】
実務的に、検出モジュール130をマイクとすることができる。清掃モジュール120が掃除したゴミ量を検出する方法は、該マイクにより清掃モジュール120が運転して汚れを掃除した時の騒音値を取得し、騒音値の大きさで汚れ具合を判断する。通常、格子の汚れ具合が高い時、清掃モジュール120が負圧で汚れを吸引する時、高いゴミ量により相対的に大きな騒音が発生し、よって騒音値の大きさからシステムの既存ノイズを差し引いた後、該格子の汚れ具合とすることができる。
【0026】
その他、検出モジュール130を光検出モジュール130とすることができ、清掃モジュール120が汚れを掃除している時に生じる気流の光透過率を検出して汚れ具合とすることに用いられる。光透過率が高い場合、ゴミ量が少ないため汚れ具合が低いことを示し、光透過率が低い場合、ゴミ量が多いので汚れ具合が高いことを示す。
【0027】
その他、汚れ格子の間は、必ず隣接する必要がなく、ばらばらに分布することになり、この場合関連度の分析により、これら汚れ格子を通じて複数の格子を有する少なくとも1つの汚れ領域を決定できる。全面的に該汚れ領域の所属格子を清掃するため、該汚れ領域に対し清掃走行経路モードを実施するステップを制御モジュール110の該清掃経路内に加える。前記清掃走行経路モードは、bounce清掃走行経路モード、wall follow清掃走行経路モード、Snake清掃走行経路モード、或いは異なる走行経路モードの組合せとすることができ、清潔格子が隣接の汚れ格子の影響を受けないように該汚れ領域内の各格子が清掃強化を確保される。
【0028】
汚れ格子を通じて汚れ領域を決定する方法は、クラスタリングアルゴリズム(clustering Algorithm)とすることができ、例えばファジィC-meansアルゴリズムで、その計算過程を以下に例示する。
【0029】
各汚れ格子をxにさせ、該汚れ格子xはk個目の汚れ領域に属する帰属度をuk(x)とする。各汚れ格子xにとって、帰属度の総和は1とする。
【0030】
【数1】

【0031】
【数2】

【0032】
中心位置centerkを決定した後、汚れ格子xのk個目の汚れ領域に対する帰属度はuk(x)であると、下の式で決定できる。
【0033】
【数3】

【0034】
k個目の汚れ領域に属する汚れ格子xは、帰属度uk(x)の大きさによって配列され、複数の汚れ領域を決定できる。
【0035】
例えば、台所において、某特定領域或いは台所全体が通常未清掃領域内の最も汚れているゾーンであるが、制御モジュール110は必ず台所内の各格子を汚れ格子としてマークする必要がなく、このように容易に多くの汚れが見過ごされるが、汚れ具合は閾値を下回る格子である。クラスタリングアルゴリズムを通じて台所全体が属するゾーンを汚れ領域と定義でき、清掃経路を生成する時、この汚れ領域内で特に最短経路を計画する必要がなく、該ゾーンを大範囲の汚れと見なして直接各種清掃走行経路モードを実施することで、全面的に各格子を清掃する。
【0036】
前記ファジィC-meansアルゴリズムは、クラスタリングアルゴリズムの1つの例示のみで、本発明で採用するクラスタリングアルゴリズムはこれにだけに限らない。
【0037】
また前記複数の汚れ領域が定義された後、計画された清掃経路は必ず各汚れ領域を通過することができ、更に順番通り汚れ領域内において各種清掃走行経路モードを実施しなければならない。清掃経路が生成する前、まず面積の広さ及び汚れ具合に基づき各汚れ領域にウエイト値を与え、ウエイト値の大きさによって汚れ領域の順位を決定し、該順位によって清掃経路を生成することができる。
【0038】
各汚れ領域のウエイト値を決定する方法のうちの1つの例示を以下通りとする。
【0039】
【数4】

式の中のwiはi個目の汚れ領域のウエイト値、Liが汚れ具合、Aiがi個目の汚れ領域の面積とする。k1、k2は定数である。
【0040】
同様に、前記ウエイト値の計算式は、1つの例示のみであり、本発明の実施例で採用するウエイト値の計算式はこれだけに限らない。
【0041】
本発明の第2の実施例で開示した汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法の「図3A」、「図3B」及び「図3C」を参照しながら説明する。「図1」に示すように、自動清掃装置100は内蔵する電池モジュール160により電力を供給し、該電池モジュール160が有限の電力量を備える。自動清掃装置100は電池モジュール160の電力を消費した後、運転を維持するため電池モジュール160に充電しなければならない。よって、自動清掃装置100は、電池モジュール160の電力量が低い時、自動的に充電場所に戻って充電しなければならない。同時に、自動清掃装置100も継続して清掃作業を行わず、起動された時、又はスケジューリング時間になった時、自動的に起動して清掃作業を行う。よって、第1の実施例の流れは、更に以下の通り拡充できる。
【0042】
「図3A」、「図3B」及び「図3C」に示すように、自動清掃装置100が起動した後、制御モジュール110が実行する制御コードに基づき、同様に清掃プロセスを実行し、Step210〜Step240に示すように清掃経路により一つ一つの格子を清掃すると共に汚れ格子を継続してマークする。
【0043】
汚れ格子を清掃する度に、制御モジュール110は、Step241に示すようにまず各汚れ格子がすでに清掃を終えたかどうかを判断する。
【0044】
Step241において、制御モジュール110が該清掃経路内の各汚れ格子が全て清掃を終えたと判断した場合、Step242に示すように電池モジュール160に充電するため、制御モジュール110が移動モジュール140を制御して自動清掃装置100を充電場所に移動させる。同時に制御モジュール110がスタンバイ状態に切り替わり、起動命令の入力を待つ。
【0045】
Step243に示すように。所定の待ち時間が経過する度に、制御モジュール110は該起動命令の入力の有無を判断する。
【0046】
起動命令が入力された場合、Step250、Step260に示すように制御モジュール110が自動清掃装置100を再起動させて、改めて計画された清掃経路をロードし、改めて該清掃経路に基づき清掃作業を行う。
【0047】
前記起動命令は、機体に設置された操作盤から発することができ、また遠隔地から命令を発して、制御モジュール110に対しリモート起動を行うこともできる。
【0048】
起動命令の入力がなかった場合、Step224に示すように制御モジュール110が更にスケジューリング表をチェックして、今の時間がスケジューリング時間になったかどうかを判断する。
【0049】
スケジューリング時間になった場合、Step250、Step260に示すように制御モジュール110が自動清掃装置100を再起動させて、改めて計画された清掃経路をロードし、改めて該清掃経路に基づき清掃作業を行う。スケジューリング時間になっていない場合、起動命令の入力を改めて待つ。
【0050】
同様に、該清掃経路内の全ての汚れ格子の清掃作業を終えていない場合、Step245に示すように該制御モジュール110がまず電池モジュール160に十分な電力が残っているかどうかを判断することで、次の格子を清掃した後で充電場所に戻ることができる。電力が残っている場合、現在の清掃経路に基づき、次の汚れ格子を継続して清掃する。
【0051】
前記清掃過程において、制御モジュール110は依然探査モジュール150を通じて環境パラメータを取得してSLAMアルゴリズムを行うことで、マップを更新すると共に自動清掃装置100の現位置に対して位置を推定する。同時に、汚れ格子のデータ記録を更新するため、制御モジュール110が検出モジュール130を通じて掃除中格子の汚れ具合を継続して判断する。
【0052】
電池モジュール160の電力が次の格子の清掃を終えてから充電場所に戻ることに不足し、つまり直接充電場所に戻ることに供給できない場合、Step242に示すように自動清掃装置100を充電場所へ移動して電池モジュール160に充電する。
【0053】
スケジューリング起動或いは起動命令を受信して起動した後、制御モジュール110が終わっていない清掃経路をロードし、引き続き清掃作業を終える。
【0054】
マークした汚れ領域の実施例において、自動清掃装置100が少なくとも1つの対応する汚れ領域に対して清掃作業を行うよう駆動するため、スケジューリング内で特定のスケジューリング時点を指定できる。例えば夕飯時間帯の後、台所ゾーンを清掃する。或いは昼間の出勤時間の後、居間又は寝室ゾーンを清掃する。
【0055】
制御モジュール110は、起動される度(スケジューリング起動或いは手動起動を問わず)に、清掃経路を改めて計画できる。該清掃経路には優先的に清掃する格子を通過する経路と充電場所に戻る経路とを含むことができる。これをもって自動清掃装置100は電池モジュール160が保存する電力を十分運用して清掃作業を継続して実施させると共に自動清掃装置100が充電場所に戻ることができる。
【0056】
該実施例において、制御モジュール110はまず電池モジュール160の電力量を判断して、自動清掃装置100が継続して運転できる時間を決める。例を挙げると、制御モジュール110は電池モジュール160の電力量が飽和の30%とし、自動清掃装置100の27分間継続運転を供給できると判断した場合、制御モジュール110は27分間継続運転の清掃経路を計画する。
【0057】
制御モジュール110は、継続運転可能な時間を清掃作業実施の清掃段階及び清掃作業を実施せず、充電場所に戻る復帰段階を区分する。清掃段階は一定の比率を設定でき、例えば27分間の継続運転可能な時間の3分の2で、つまり18分間とする。制御モジュール110は格子の大きさ及び自動清掃装置100の移動速度を通じて、清掃段階において自動清掃装置100が通過できる格子数を推算する。例えば、各格子の大きさは60cm×60cmで、また自動清掃装置100の移動速度は6秒毎に1個の格子を横断でき、18分間以内に自動清掃装置100は180個の格子を通過することができる。
【0058】
自動清掃装置100の現位置(例えば充電場所の位置)に基づき、制御モジュール110は180個の格子から複数の清掃段階の清掃経路を生成できる。
【0059】
制御モジュール110が移動モジュール140を制御して自動清掃装置100を移動させるため、複数の清掃段階の清掃経路から清掃効果最適化清掃経路を探索することができる。
【0060】
清掃効果最適化清掃経路を探索した時、各汚れ格子のウエイト値及び単一格子の自動清掃装置100が重複通過された回数によって、積分を生成できる。
【0061】
例えば清掃経路が汚れ格子を通る度に、正相関の汚れ具合に1ポイントを加点する。単一格子は自動清掃装置100が1回重複通過した場合、1ポイント減点する。最終的に清掃経路の積分を見つけ出した後、積分が最高のものを清掃効果最適化清掃経路とする。
【0062】
清掃効果最適化清掃経路の1つの例示は実数型遺伝的アルゴリズムで、染色体を下の式として設計する。
【0063】
【数5】

【0064】
式の中において、gi={1、2、…、8}で、「図4A」に示すように八方向の格子を表わす。例えば自動清掃装置100の初期位置がP0の場合、次の位置のP1はg1=1、2、3、….、8のいずれかとなり、つまり「図4B」内の1〜8のいずれかの位置に到達できる。
【0065】
最適化関数を定義する。
【0066】
【数6】

【0067】

【0068】

【0069】
制御モジュール110が遺伝的アルゴリズムにより予め設定された反復作業の実施を終えてから、Zの最大値及び対応する染色体を見つけ出し、該染色体は清掃効果最適化清掃経路である。
【0070】
上記の遺伝的アルゴリズムは1つの例示のみで、本発明で清掃効果最適化清掃経路を探索する方法はこれに限らない。
【0071】
また清掃段階に対して復帰段階が単純し、汚れ具合を考慮する必要がなく、P180からP0への最短経路である清掃段階の最後位置から充電場所への最短経路を直接探索するだけでよい。
【0072】
本発明の実施例で開示した汚れ検出手段を搭載した清掃走行経路ガイド方法を通じて、未清掃領域内の各格子の汚れ具合は正確に評価されることで、新しい清掃経路を計画できる。該清掃経路は汚れ具合に基づき優先的に掃除する格子を設定できる以外に、できる限り自動清掃装置が進行しなければならない最短経路を探索し、従って該未清掃領域の清掃に要する時間を短縮できる。
【符号の説明】
【0073】
100 自動清掃装置
110 制御モジュール
120 清掃モジュール
130 検出モジュール
140 移動モジュール
150 探査モジュール
160 電池モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動清掃装置で実行され、清掃経路を生成して前記自動清掃装置が前記清掃経路に基づいて、複数の格子を定義できる未清掃領域を清掃するために供する汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法であって、前記方法には、
前記未清掃領域内において前記自動清掃装置を移動させ、また、前記自動清掃装置で汚れを掃除することと、
前記自動清掃装置の移動過程において、前記自動清掃装置の現位置に対して位置を推定するため、同時に位置を推定しマップを作成するアルゴリズムを継続して実行することと、
前記自動清掃装置の移動過程において、掃除したゴミ量を検出することで、前記現位置格子の汚れ具合を取得することと、
前記現位置格子の汚れ具合が閾値を超えた時、前記格子を汚れ格子としてマークすることと、
マークした前記汚れ格子に基づき、全ての前記汚れ格子を通る最短経路を探索して清掃経路とすることと、
前記清掃経路に基づき前記自動清掃装置を移動して各前記汚れ格子を通り、順番通り各前記汚れ格子を清掃することとを、含むことを特徴とする汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法。
【請求項2】
掃除したゴミ量を検出するステップとして、マイクで汚れを掃除した時の騒音値を取得して前記格子の汚れ具合とすることを特徴とする請求項1に記載の汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法。
【請求項3】
掃除したゴミ量を検出するステップとして、汚れを掃除した時に生じた気流の光透過率を検出して汚れ具合とすることを特徴とする請求項1に記載の汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法。
【請求項4】
前記汚れ格子を通じて複数の格子を有する少なくとも1つの汚れ領域を決定し、また、全面的に前記汚れ領域の所属格子を清掃するため、前記汚れ領域に対し清掃走行経路モードを実施するステップを前記清掃経路内に加えるステップを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法。
【請求項5】
前記清掃走行経路は、bounce清掃走行経路モード、wall follow清掃走行経路モード、Snake清掃走行経路モード、或いは、これらの組合せの中から選ばれた少なくとも1種類であることを特徴とする請求項4に記載の汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法。
【請求項6】
前記汚れ領域を生成する方法は、クラスタリングアルゴリズムとすることを特徴とする請求項4に記載の汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法。
【請求項7】
前記汚れ格子で複数の汚れ領域を決定することは、まず面積の広さ及び汚れ具合に基づき各前記汚れ領域にウエイト値を与え、ウエイト値の大きさによって前記汚れ領域の順位を決定し、また、前記順位によって前記清掃経路を生成することを特徴とする請求項4に記載の汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法。
【請求項8】
特定時点に前記自動清掃装置を駆動して少なくとも1つの対応する前記汚れ領域を清掃するステップを更に含むことを特徴とする請求項4に記載の汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法。
【請求項9】
前記清掃経路内の各前記汚れ格子の清掃を終えた後、前記自動清掃装置を充電場所に移動して充電することを特徴とする請求項1に記載の汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法。
【請求項10】
前記自動清掃装置は充電を行う時、起動命令の入力を待ち、また、起動命令が入力された後、前記清掃経路に基づいて自動清掃装置が各前記汚れ格子を通過するよう移動させ、順番通り各前記汚れ格子を清掃するステップを更に実行することを特徴とする請求項9に記載の汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法。
【請求項11】
前記自動清掃装置は充電を行う時、スケジューリング表をチェックし、今の時間がスケジューリング時間になったかどうかを判断するステップと、
現在の時間が前記スケジューリング時間になった場合、前記清掃経路に基づいて自動清掃装置が各前記汚れ格子を通過するよう移動させ、順番通り各前記汚れ格子を清掃するステップとを、更に実行することを特徴とする請求項9に記載の汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法。
【請求項12】
前記格子を清掃する度に、次の格子の清掃を終えた後充電場所に復帰することができるため前記自動清掃装置に十分な電力があるかどうかを判断するステップと、
十分な電力がある場合、前記自動清掃装置は現在の清掃経路に基づいて、次の汚れ格子を継続して清掃し、前記自動清掃装置の電力が次の格子の清掃を終えてから前記充電場所に復帰することに不足した場合、前記自動清掃装置を前記充電場所に移動させて充電するステップとを、更に含むことを特徴とする請求項9に記載の汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法。
【請求項13】
前記清掃経路を生成する前に、
前記自動清掃装置の継続運転可能な時間を決定し、また、前記継続運転可能な時間を清掃段階、及び、復帰段階に区分することと、
前記清掃段階において前記自動清掃装置が通過できる格子数を決定することと、
前記自動清掃装置の現位置、及び、前記格子数によって複数の前記清掃段階の前記清掃経路を生成することと、
清掃効果最適化清掃経路を探索することで、前記自動清掃装置を移動させて清掃することを、含むことを特徴とする請求項1に記載の汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法。
【請求項14】
清掃効果最適化清掃経路を探索するステップには、
前記清掃経路が汚れ格子を通過する度に、正相関の汚れ具合に1ポイント加点させ、且つ、前記清掃経路が1個の格子を重複通過する度に、1ポイント減点することと、
加点と減点を総計して各前記清掃経路の積分を見つけ出して、積分が最高のものを清掃効果最適化清掃経路とすることとを、含むことを特徴とする請求項13に記載の汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法。
【請求項15】
前記復帰段階の経路を探索するステップには、
清掃効果最適化清掃経路の終点と起点間の最短経路を探索して、前記復帰段階の経路とすることを含むことを特徴とする請求項13に記載の汚れ検出手段を組み込んだ清掃走行経路ガイド方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2012−210395(P2012−210395A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162041(P2011−162041)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(502263178)微星科技股▲分▼有限公司 (14)
【Fターム(参考)】