説明

汚染配管被覆方法と汚染配管被覆装置

【課題】 簡易な構成で、完全また強固に人体に危険な物質で汚染された配管を被覆する汚染配管被覆方法と汚染配管被覆装置とを提供しようとする。
【解決手段】
従来の人体に有害な物質で汚染された配管を被覆する汚染配管被覆方法にかわって、配管の1対の端部のうちの一方の端部から内部へ気体を流入可能にし他方の端部から負圧により内部の気体を吸引する配管吸引工程と、気体を流入可能にした端部から時間の経過と共に固化する液状樹脂を投入する樹脂投入工程と、を備え、前記樹脂投入工程を前記配管吸引工程の途中で実施する、ものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体に有害な物質により汚染された配管を被覆する汚染配管被覆方法と汚染配管被覆装置とに係る。特に配管の内部を被覆する構成に特徴のある汚染配管被覆方法と汚染配管被覆装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電設備等において一定の期間が経過すると、設備に用いた配管等の機材がその寿命あるいは償却期間を迎え、排棄処分をしなければならない。
この様な排棄処分での問題は、施設内の設備や機器が放射能化し、または放射性物質で汚染されていることである。
例えば、熱交換器の配管等の内壁にはトリチウムが浸透している。
通例、この様な放射能化し、または放射性物質で汚染された機器は、小さな寸法に裁断され、ドラム管等に入れられて、特定の場所に長期間保管される。
ここで、放射能化し、または放射性物質で汚染された配管等の、人体に有害な物質で汚染された配管を汚染配管と呼称する。
【0003】
以下に、汚染配管を保管するための処理工程を説明する。処理工程は、分解工程と切断工程と収納工程と保管工程とで構成される。
分解工程は、機器を分解して、個々の配管にする工程である。
切断工程は、配管を所定の長さに切断する工程である。
収納工程は、切断された配管を保管用ドラム管にいれる工程である。
保管工程は、管理された所定の場所に保管用ドラム管を保管する工程である。
また、処理工程は、分解工程と切断工程と溶解工程と収納工程と保管工程とで構成される。
溶解工程は、切断された配管を溶解し、インゴット状態にする工程である。
収納工程は、そのインゴットを保管用ドラム管にいれる工程である。
【0004】
ところで、切断工程前の一時保管の時、または切断工程の時に、配管の放射能化した部分や、配管に付着した放射性物質が、切りくずとして飛散したり、配管の内部に浸透したトリチウム等がガス化して拡散する恐れがある。
その恐れに対応するために、各種の試みが行われている。
例えば、ドライアイスを配管の表面にブラストして、汚染物質を剥離させ、剥離した保線物質をフィルタで捕集する。その後で、配管を切断する。
また例えば、配管の表面に塗材を塗布しつつ、配管を切断する。汚染物質は、塗材に塗りこめられる。
また例えば、配管を高温にして、汚染物質をガス化して取出して、別途の方法でガスを捕集する。その後で、配管を切断する。
【0005】
【特許文献1】特開平10−68800号
【特許文献2】特開2001−83295号
【特許文献3】特開平11−281792号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した方法では、ガス化した放射性物資を完全に捕集するのに困難があり、また、配管の内壁を完全また強固に塗材で被覆できなかった。
【0007】
本発明は以上に述べた問題点に鑑み案出されたもので、簡易な構成で、完全また強固に人体に危険な物質で汚染された配管を被覆する汚染配管被覆方法と汚染配管被覆装置とを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る人体に有害な物質で汚染された配管を被覆する汚染配管被覆方法を、配管の1対の端部のうちの一方の端部から内部へ気体を流入可能にし他方の端部から負圧により内部の気体を吸引する配管吸引工程と、気体を流入可能にした端部から時間の経過と共に固化する液状樹脂を投入する樹脂投入工程と、を備え、前記樹脂投入工程を前記配管吸引工程の途中で実施する、ものとした。
【0009】
上記本発明の構成により、配管の1対の端部のうちの一方の端部から内部へ気体を流入可能にし他方の端部から負圧により内部の気体を吸引する途中で、時間の経過と共に固化する液状樹脂を気体を流入可能にした端部から投入するので、気体が配管の一方の端部から他方の端部へ流れ、液状樹脂が気体に乗って移動しつつ配管の内側に付着して時間の経過とともに固化し、人体に有害な物質が配管から出るのを抑制する。
【0010】
さらに、本発明の実施形態に係る汚染配管被覆方法は、前記配管吸引工程において、配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部の側の側面から配管の内部へ気体を吸込ませる。
上記本発明の構成により、前記配管吸引工程において、配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部の側の側面から配管の内部へ気体を吸込ませるので、気体が配管の一方の端部から他方の端部へ蛇行しつつ流れ、液状樹脂が気体に乗って蛇行しつつ移動して配管の内側に付着して固化する。
【0011】
さらに、本発明の実施形態に係る汚染配管被覆方法は、配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部から多数の微小な固形物を投入するフィラー投入工程を備え、
前記フィラー投入工程を前記配管吸引工程の途中の前記樹脂投入工程の後で実施する。
上記本発明の構成により、前記配管吸引工程の途中の前記樹脂を投入した後で配管の端部から内部に多数の微小な固形物を投入するので、固形物が気体に乗って移動しつつ配管の内側の液状樹脂に付着し、固化した液状樹脂の強度が向上する。
【0012】
さらに、本発明の実施形態に係る汚染配管被覆方法は、配管の中を通過可能なピグを配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部から投入するピグ投入工程を、備え、前記ピグ投入工程を前記配管吸引工程の途中の前記樹脂投入工程の後で実施する。
上記本発明の構成により、ピグが配管の中を通過可能であり、前記配管吸引工程の途中の樹脂を投入した後で配管の端部から前記ピグを投入するので、ピグが配管の一方の端部から他方の端部へ移動する際に、ピグの作用で、液状樹脂をが吹き上げられ配管の内面に均等に付着する。
【0013】
さらに、本発明の実施形態に係る汚染配管被覆方法は、前記ピグが配管の内のり形状とほぼ同形状の断面を持ち柔軟素材でできたボール体である。
上記本発明の構成により、ピグが配管の内部を移動するにつれて、気体がピグと配管の内壁の隙間から吹き出て配管の内面に付着した液状樹脂を吹き飛ばして、液状樹脂が配管の内面に均等に付着する。
【0014】
さらに、本発明の実施形態に係る汚染配管被覆方法は、前記ピグが配管の内のり寸法より小さなスポンジ状の柔軟素材できた複数の物体である。
上記本発明の構成により、ピグが配管の内部を移動するにつれて、ピグが配管の内壁に付着した液状樹脂を擦って、液状樹脂が配管の内面に均等に付着する。
【0015】
さらに、本発明の実施形態に係る汚染配管被覆方法は、配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部を一方の端部から他方の端部に切り替え気体を吸引する端部を他方の端部から一方の端部に切り替える切換工程を、備える。
上記本発明の構成により、配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部を一方の端部から他方の端部に切り替え、気体を吸引する端部を他方の端部から一方の端部に切り替えるので、液状樹脂が配管の一方の端部から他方の端部にかけて一様に配管の内壁に付着する。
【0016】
さらに、本発明の実施形態に係る汚染配管被覆方法は、前記配管吸引工程で吸引した気体から固体分を捕集するフィルタ工程を、備える。
上記本発明の構成により、前記配管吸引工程で吸引した気体から固体分を捕集するので、人体に危険な物質により環境を汚染することを抑制できる。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明に係る人体に有害な物質で汚染された配管を被覆する汚染配管処理装置を、配管の1対の端部のうちの一方の端部から内部へ気体を流入可能にし他方の端部から負圧により内部の気体を吸引する配管吸引機構と、気体を流入可能にした端部から時間の経過と共に固化する液状樹脂を投入する樹脂投入機構と、を備えるものとした。
【0018】
上記本発明の構成により、配管吸引機構が配管の1対の端部のうちの一方の端部から内部へ気体を流入可能にし他方の端部から負圧により内部の気体を吸引し、樹脂投入機構が気体を流入可能にした端部から時間の経過と共に固化する液状樹脂を投入するので、他方の端部から配管の内部の気体を吸引しながら、気体が流入する一方の端部から内部へ前記液状樹脂を投入すると、液状樹脂が気体の流れに乗って移動しつつ配管の内側に付着して時間の経過とともに固化し、放射性物質が配管から出るのを抑制される。
【0019】
さらに、本発明の実施形態に係る汚染配管被覆装置は、前記配管吸引機構が配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部の側の側面に配管の内部へ気体を吸込ませる貫通孔を設けられる、
上記本発明の構成により、貫通孔が配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部の側の側面から配管の内部へ気体を吸込ませるので、他方の端部から配管の内部の気体を吸引しながら、気体が流入する一方の端部から前記液状樹脂を投入すると、気体が配管の一方の端部から他方の端部へ蛇行しつつ流れ、液状樹脂が気体の流れに乗って蛇行しつつ移動して配管の内側に付着して固化する。
【0020】
さらに、本発明の実施形態に係る汚染配管被覆装置は、配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部から多数の微小な固形物を投入するフィラー投入機構を、備える。
上記本発明の構成により、フィラー投入機構が配管の端部から多数の微小な固形物を投入するので、配管の気体を吸引している際に液状樹脂を投入した後で前記固形物を投入すると、前記固形物が気体に乗って移動しつつ配管の内側の液状樹脂に付着し、固化した液状樹脂の強度が向上する。
【0021】
さらに、本発明の実施形態に係る汚染配管被覆装置は、前記配管吸引機構が配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部から内部にピグを投入することをできるピグ投入機器と気体を吸引する端部から出た前記ピグを受け取ることをできるピグ受取機構とを有し、前記ピグが配管の中を通過可能である。
上記本発明の構成により、前記ピグが配管の中を通過可能であり、ピグ投入機器が配管の一方の端部から内部にピグを投入することをでき、ピグ受取機構が配管の他方の端部から出た前記ピグを受け取ることをできるので、液状樹脂を投入した後で、配管の一方の端部から前記ピグを投入し、配管の他方の端部からでた前記ピグを受け取ると、ピグが配管の一方の端部から他方の端部へ移動する際に、ピグの作用により液状樹脂が配管の内面に均等に付着する。
【0022】
さらに、本発明の実施形態に係る汚染配管被覆装置は、前記ピグが配管の内のり形状とほぼ同形状の断面を持ち柔軟素材でできたボール体である。
上記本発明の構成により、ピグが内のりの円形な配管の内部を移動するにつれて、気体がピグと配管の内壁の隙間から吹き出て配管の内面に付着した液状樹脂を吹き飛ばして、液状樹脂が配管の内面に均等に付着する。
【0023】
さらに、本発明の実施形態に係る汚染配管被覆装置は、前記ピグが配管の内のり寸法より小さなスポンジ状の柔軟素材できた複数の物体である。
上記本発明の構成により、ピグが配管の内部を移動するにつれて、ピグが配管の内壁に付着した液状樹脂を擦って、液状樹脂が配管の内面に均等に付着する。
【0024】
さらに、本発明の実施形態に係る汚染配管被覆装置は、前記配管吸引機構が配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部を一方の端部から他方の端部に切り替え気体を吸引する端部を他方の端部から一方の端部に切り替えることをできる切換機構を有する。
上記本発明の構成により、配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部を一方の端部から他方の端部に切り替え、気体を吸引する端部を他方の端部から一方の端部に切り替えることをできるので、気体を流入する端部と気体を吸引する端部とを交替させながら、配管の内部に液状樹脂を投入する作業を繰り返すと、液状樹脂が配管の一方の端部から他方の端部にかけて一様に配管の内壁に付着する。
【0025】
さらに、本発明の実施形態に係る汚染配管被覆装置は、前記配管吸引機構が、吸引した気体から固体分を捕集するフィルタ機器を有する。
上記本発明の構成により、吸引した気体から固体分を捕集するので、人体に危険な物質により環境を汚染することを抑制できる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように本発明に係る放射性物質等の人体に有害な物質で汚染された配管を被覆する汚染配管被覆方法と汚染配管被覆装置は、その構成により、以下の効果を有する。
配管の一方の端部に気体を流入可能にし、他方の端部から負圧により気体を吸引し、配管の一方の端部から前記液状樹脂を投入するので、気体が配管の一方の端部から他方の端部へ流れ、液状樹脂が気体に乗って移動しつつ配管の内側に付着して時間の経過とともに固化し、人体に危険な物質が配管から出るのを抑制される。
また、気体を端部から吸引する際に気体を流入可能にする端部の側の側面から配管の内部へ気体を吸込ませるので、気体が配管の一方の端部から他方の端部へ蛇行しつつ流れ、液状樹脂が気体に乗って蛇行しつつ移動して配管の内側に付着して固化する。
また、気体を他方の端部から吸引する際に液状樹脂を投入した後で配管の一方の端部から多数の微小な固形物を投入するので、固形物が気体に乗って移動しつつ配管の内側の液状樹脂に付着し、固化した液状樹脂の強度が向上する。
また、気体を他方の端部から吸引する際に液状樹脂を投入した後で配管の中を通過可能なピグを配管の一方の端部から投入するので、ピグが配管の一方の端部から他方の端部へ移動する際に、ピグの作用により液状樹脂が配管の内面に均等に付着する。
また、前記ピグが配管の内のり形状とほぼ同形状の断面を持ち柔軟素材でできたボール体である、ピグが配管の内部を移動するにつれて、気体がピグと配管の内壁の隙間から吹き出て配管の内面に付着した液状樹脂を吹き飛ばして、液状樹脂が配管の内面に均等に付着する。
また、前記ピグが配管の内のり寸法より小さなスポンジ状の柔軟素材できた複数の物体であるので、ピグが配管の内部を移動するにつれて、ピグが配管の内壁に付着した液状樹脂を擦って、液状樹脂が配管の内面に均等に付着する。
また、気体を流入可能にする端部と気体を吸引する端部とを交替させながら、配管の内部に液状樹脂を投入する作業を繰り返すと、液状樹脂が配管の一方の端部から他方の端部にかけて一様に配管の内壁に付着する。
また、吸引した気体から固体分を捕集するので、人体に危険な物質で環境を汚染するのを抑制できる。
従って、簡易な構成で、完全また強固に放射性物質等の人体に危険な物質で汚染された配管を被覆する汚染配管被覆方法と汚染配管被覆装置とを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0028】
最初に、本発明の実施形態に係る汚染配管被覆装置20を、図を基に、説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る汚染配管被覆装置の概念図である。
【0029】
汚染配管被覆装置20は、汚染配管を被覆する装置であり、配管吸引機器100と樹脂投入機器200とフィラー投入機器300とで構成される。
汚染配管10は、人体に有害な物質で汚染された配管である。例えば、汚染配管は、放射性物質で汚染された配管である。例えば、トリチウムが、汚染配管の壁面の内部に浸透している。
【0030】
配管吸引機器100は、配管の1対の端部のうちの一方の端部から内部へ気体を流入可能にし他方の端部から負圧により内部の気体を吸引する機器である。
例えば、配管吸引機器100は、負圧発生機器110と真空配管120とビグキャッチャー130と吸込配管140と接続継手150と切換機構160とフィルタ機器170とで構成される。
配管吸引機器100は、ボルト、モータ、開閉弁等の小形の機能部品を除く主要な構造体が樹脂性であるのが好ましい。
この様にすると、作業完了後に、汚染物質に汚染された配管吸引機器を溶解してブロック状に減容することが容易であり、保管に必要な体積を少なくすることができる。
【0031】
負圧発生機器110は、負圧を発生させる機器である。例えば、負圧発生機器110は、バキュームチャンバー111と真空ポンプ112とで構成される。
バキュームチャンバー111は、内部を負圧に維持できる容量の大きな容器である。バキュームチャンバー111は、吸引配管120によりピグキャッチャー130に連通される。
真空ポンプ112は、バキュームチャンバー111の内部を排気することをできるポンプである。真空ポンプ112の吸気側が、バキュームチャンバー111に連通される。真空ポンプ112の排気側が、フィルタ170に連通される。
真空ポンプ112を作動させると、バキュームチャンバー111の内部を負圧状態にすることができる。
【0032】
真空配管120は、負圧発生機器110とピグキャッチャー130とを連通する配管であり、第一真空配管120aと第二真空配管120bとで構成される。第一真空配管120aと第二真空配管120bとは、配管の1対の端部の側へ各々配置される。
一般に、真空配管120は、フレキシブルなバキュームホースでできている。
第一真空配管120aは、第一ピグキャッチー130aとバキュームチャンバー111とを連通する。
第二真空配管120bは、第二ピグキャチャー130bとバキュームチャンバー111とを連通する。
【0033】
図2は、本発明の実施形態に係るピグキャチャーの側面断面図である。
図3は、本発明の実施形態に係るピグキャチャーのA−A断面図である。
ピグキャッチャー130は、ピグ投入機構とピグ受取機構とを兼ねる機器である。
ピグ投入機器は、配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部からピグを投入することをできる機器である。
ピグ受取機構は、気体を吸引する端部から出たピグを受け取ることをできる機器である。
ピグキャッチャー130は、容器本体131と容器蓋体132と孔空き板133と流入フランジ134と吸込フランジ135と真空フランジ136と覗き窓137と計測器138と排出弁139とで構成される。
容器本体131は、容器蓋体132と流入フランジ134と吸込フランジ135と真空フランジ136とを除いて密閉される構造体である。
例えば、容器本体131は、上部に開口を設けられ側壁に流入フランジ134と吸込フランジ135と真空フランジ136とを設けられた円筒状の上部構造と下側へすぼまっり下端に排出口を持った下部構造とで構成される。
流入フランジ134と吸込フランジ135と真空フランジ136とは、容器本体131に固定され、外部とボルト接続可能なフランジである。
容器蓋体132は、容器本体131の開口を閉止可能な蓋体である。例えば、容器蓋体132は、容器本体131の上部の開口とフランジ結合する鏡板である。
孔空き板133は、容器本体131の下部に設けられ、ピグより小さな多数の孔が設けられた板である。孔空き板133は、容器本体131を上部空間と下部空間とに分離する。
【0034】
第一真空配管120aが、第一ピグキャッチャー130aの真空フランジ136にボルト結合される。
第二真空配管120bが、第二ピグキャッチャー130bの真空フランジ136にボルト結合される。
後述する第一流入弁162aが、第一ピグキャッチャー130aの流入フランジ134にボルト結合される。
後述する第二流入弁162bが、第二ピグキャッチャー130bの流入フランジ134にボルト結合される。
覗き窓137は、ピグキャッチャーの内部を目視観察するための窓である。例えば、覗き窓137は、容器蓋体132に設けられる。
計測器138は、ピグキャッチャーの内部状態を計測する機器である。例えは、計測器138は、放射線量を測定する機器である。
排出弁139は、容器本体131の排出口に連通し、下部空間に溜まった固体分を排出する弁である。
【0035】
吸込配管140は、ピグキャッチャー130と配管10の端部とを連通するための配管であり、第一吸込配管140aと第二吸込配管140bとで構成される。第一吸込配管140aと第二吸込配管140bとは、配管の1対の端部の側に各々配される。
例えば、吸込配管140は、フレキスブルなバキュームホースである。バキュームホースが、ピグキャッタチャー130の吸込フランジ135と配管10の端部に結合した接続継手150とを連通する。
【0036】
図4は、本発明の実施形態に係る接続継手その1の断面図である。
図5は、本発明の実施形態に係る接続継手その2の断面図である。
接続継手150は、配管10の端部と結合可能な継ぎ手であり、第一接続継手150aと第二接続継手150bとで構成される。第一接続継手150aと第二接続継手150bとは、配管の1対の端部の各々に配置される。
例えば、接続継手150は、継手本体151と接続部152とで構成される。
継手本体151は、配管10の内のり形状とほぼ同一の内のり形状を持った筒状部材である。例えば、配管が円管である場合、継手本体150は、円管と同一または僅かに大きな内径をもった円筒状部材である。
継手本体151は、貫通孔153と樹脂受け入れ口154とフィラー受け入れ口155とが設けられる。
貫通孔153は、配管の一方の端部の側の側面に設けられ、配管の内部へ気体を吸込ませることのできる孔である。
貫通孔153の中心軸が配管の側面に交差しているのが好ましい。特に、貫通孔153の中心軸が、配管の中心軸に対して偏心しているのが好ましい。
樹脂受け入れ口154は、液状樹脂を配管の端部から内部に投入するために、樹脂投入機器200を挿入する口である。
フィラー受け入れ口155は、フィラーを配管の端部から内部に投入するために、フィラー投入機器300を挿入する口である。
接続部152は、継手本体151の端面に設けられた配管の端部と結合する部分である。
図4は、配管10の端部がフランジである場合に、接続部は同一の寸法をもったフランジであるのを示す。
図5は、配管10の端部が切りっぱなしである場合に、接続部は配管の端部が挿入されるソケット状であるのを示す。
【0037】
切換機構160は、配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部を一方の端部から他方の端部に切り替えて、気体を吸引する端部を他方の端部から一方の端部に切り替えることをできる機器であり、第一吸引弁161aと第二吸引弁161bと第一流入弁162aと第二流入弁162bとで構成される。
第一吸引弁161aは、バキュームチャンバー111と第一ピグキャッチャー130aとを連通する途中に設けられる開閉弁である。例えば、第一吸引弁161aは、バキュームチャンバー111と第一真空配管120aとの接続箇所に設けられる。
第二吸引弁161bは、バキュームチャンバー111と第二ピグキャッチャー130bとを連通する途中に設けられる開閉弁である。例えば、第二吸引弁161bは、バキュームチャンバー111と第二真空配管120bとの接続箇所に設けられる。
第一流入弁162aは、第一ピグチャンバー130aの流入フランジ134に接続された開閉弁である。
第二流入弁162bは、第二ピグチャンバー130bの流入フランジ134に接続された開閉弁である。
図1において、第一吸引弁161aを閉じて第一流入弁162aを開いて、第二吸引弁161bを開いて第二流入弁162bを閉じると、配管の左側の端部から内部へ気体を流入可能にし右側の端部から負圧により内部の気体を吸引することを可能にする。
また、第一吸引弁161aを開いて第一流入弁162aを閉じて、第二吸引弁161bを閉じて第二流入弁162bを開くと、配管の右側の端部から内部へ気体を流入可能にし左側の端部から負圧により内部の気体を吸引することを可能にする。
【0038】
フィルタ機器170は、吸引した気体から固体分を捕集する機器である。
例えば、フィルタ170は、負圧発生機器110から排出した気体から汚染物質等の人体に危険な物質を捕集する機器である。
例えば、フィルタ機器170は、サイクロンフィルタ171とバグフィルタ172とフィルタブロア173とで構成される。
サイクロンフィルタ171は、サイクロン式のフィルタであって、遠心分離により気体の中の比較的大きな粒子を捕集する。
バグフィルタ172は、バグ式のフィルタであって、バグによって微細粉を捕集する。
フィルタブロア173は、負圧発生機器110から排出した気体を吸引する排風機である。
【0039】
樹脂投入機器200は、配管の端部から時間の経過と共に固化する液状樹脂を投入する機器であり、第一樹脂投入機器200aと第二樹脂投入機器200bとで構成される。
第一樹脂投入機器200aと第二樹脂投入機器200bとは、配管の1対の端部の側に各々に配される。
例えば、液状樹脂は、エポキシ樹脂、水中ボンドと塗料の混合物、ニス等である。エポキシ樹脂は硬化剤を混入して用いられる。
例えば、樹脂投入機器200は、樹脂ホッパー201と樹脂投入弁202と樹脂投入ノズル203と樹脂投入ノズル駆動機構(図示せず)とで構成される。
樹脂ホッパー201は、液状樹脂を貯留するホッパー状の容器である。
樹脂投入弁202は、樹脂ホッパー201と樹脂投入ノズル203とを繋ぐ開閉弁である。
樹脂投入ノズル203は、接続継手150の樹脂受け入れ口154に挿入可能なノズルである。
樹脂投入ノズル駆動機構(図示せず)は、樹脂投入ノズル203を上下に移動させて、樹脂投入ノズル203を接続配管150の内部に入れたり、抜いたりするための機構であり。
樹脂投入ノズル203を接続配管150の中に入れて、樹脂投入弁202を開くと、樹脂ホッパー201に貯留する液状樹脂が樹脂投入ノズル203を通って接続配管150に入り、気体の流れに乗って配管10の内部へ送られる。
【0040】
フィラー投入機器300は、配管の一方の端部から多数の微小な固形物(以下、フィラーと呼ぶ。)を投入する機器であり、第一フィラー投入機器300aと第二フィラー投入機器300bとで構成される。第一フィラー投入機器300aと第二フィラー投入機器300bとは、配管の1対の端部の側に各々に配される。
例えば、フィラーは、硝子センイ、無機系中空微粒子、鉛等の金属フィラメント等である。
例えば、フィラー投入機器300は、フィラーホッパー301とフィラー投入弁302とフィラー投入ノズル303とフィラー投入ノズル駆動機構(図示せず)とで構成される。
フィラーホッパー301は、フィラーを貯留するホッパー状の容器である。
フィラー投入弁302は、フィラーホッパー301とフィラー投入ノズル303とを繋ぐ開閉弁である。
フィラー投入ノズル303は、接続継手150のフィラー受け入れ口155に挿入可能なノズルである。
フィラー投入ノズル駆動機構(図示せず)は、フィラー投入ノズル303を上下に移動させて、フィラー投入ノズル303を接続配管150の内部にいれたり、抜いたりするための機構であり。
フィラー投入ノズル303を接続配管150の中に入れて、フィラー投入弁302を開くと、フィラーホッパー301に貯留するフィラーがフィラー投入ノズル303を通って接続配管150に入り、気体の流れに乗って配管10の内部へ送られる。
【0041】
次に、本発明の実施形態に係る汚染配管被覆方法を、図を基に説明する。
図8は、本発明の実施形態に係る汚染配管被覆方法のフローチャート図である。
【0042】
汚染配管被覆方法は、人体に有害な物質で汚染された配管を被覆する方法であって、配管吸引工程S10と樹脂投入工程S20とピグ投入工程S30とフィラー投入工程S40と切換工程S50とフィルタ工程とで構成される。
【0043】
配管吸引工程S10は、配管の1対の端部のうちの一方の端部から内部へ気体を流入可能にし他方の端部から負圧により内部の気体を吸引する工程である。
負圧に引っ張られて、気体が配管の一方の端部から他方の端部に流れる。
【0044】
樹脂投入工程S20は、配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部から時間の経過と共に固化する液状樹脂を投入する工程である。
樹脂投入工程S20を配管吸引工程S10の途中で実施する。
液状樹脂が、気体の流れに乗って噴霧状になり、配管の一方の端部から他方の端部へ流れながら、配管の内壁に付着する。
投入する液状樹脂の量を適当な量にすると、配管の一方の端部に投入した液状樹脂のほどんどが配管に壁面に付着し、他方の端部からはほぼ気体だけが排出する。
特に、配管吸引工程S10において、配管の一方の端部の側の側面から配管の内部へ気体を吸込ませるのが好ましい。
この様にすると、配管の流れる気体の流線に乱れが発生して、気体が配管の一方の端部から他方の端部に蛇行しつつ流れる。樹脂は、気体の流れに乗って蛇行しつつ移動し、配管の内壁に均等に付着する。
気体を吸い込ませる向きを配管の中心線に偏心させると、気体が配管の一方の端部から他方の端部に旋回しつつ流れ、樹脂は気体の流れに乗って旋回しつつ移動する。
【0045】
ピグ投入工程S30は、配管の中を通過可能なピグを配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部から投入する工程である。
ピグ投入工程S30を配管吸引工程S10の途中の樹脂投入工程S20の後で実施する。
この様にすると、ピグが、配管の内部を通過して、ピグの作用により液状樹脂をより均等に配管の内面に付着させる。
【0046】
図6は、本発明の実施形態に係るピグ投入工程の作用図その1である。
前記ピグが配管の内のり形状とほぼ同形状の断面を持ち柔軟素材でできたボール体であるのが好ましい。
この様にすると、ピグが配管の中を通過する際に、気体がピグの外周と配管の内壁との隙間から吹きだし、配管の壁面に付着した液状樹脂を吹き上げる。吹き上がった液状樹脂が、再度配管の壁面に付着するので、液状樹脂が均等の配管の内壁に付着する。
【0047】
図7は、本発明の実施形態に係るピグ投入工程の作用図その2である。
また、ピグが配管の内のり寸法より小さなスポンジ状の柔軟素材できた複数の物体であるのが好ましい。
この様にすると、ピグである複数の物体が配管の中を通過する際に、物体が配管の壁面に付着した液状樹脂を擦って、液状樹脂を吹き上げる。吹き上がった液状樹脂が、再度配管の壁面に再度付着するので、液状樹脂が均等の配管の内壁に付着する。
【0048】
フィラー投入工程S40は、配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部から多数の微小な固形物を投入する工程である。微小な固形物をフィラーと呼称する。
フィラー投入工程S40を配管吸引工程S10の途中で樹脂投入工程S20の後で実施する。
この様にすると、フィラーが気体の流れに乗って配管の中を移動して、配管の内壁に付着した液状樹脂に付着する。
特に、配管吸引工程S10において、配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部の側の側面から配管の内部へ気体を吸込ませるのが好ましい。
この様にすると、配管の流れる気体の流線に乱れが発生して、気体が配管の一方の端部から他方の端部に蛇行しつつ流れる。フィラーは、気体の流れに乗って蛇行しつつ移動し、配管の内壁に均等に付着する。
気体を吸い込ませる向きを適切に設定すると、気体が配管の一方の端部から他方の端部に旋回しつつ流れる。例えば、気体の流れを配管の中心軸に対して偏心させる。
【0049】
切換工程S50は、配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部を一方の端部から他方の端部に切り替えて、気体を吸引する端部を他方の端部から一方の端部に切り替える工程である、
樹脂投入工程S20、ピグ投入工程S30またはフィラー投入工程S40のうちの少なくともひとつの工程を、切換工程S50を間に挟んで、実施する。
この様にすると、液状樹脂またはフィラーが、配管の内壁の長手方向に均一に付着する。
【0050】
フィルタ工程は、配管吸引工程で吸引した気体から固体分を捕集する工程である。
フィルタ工程を配管吸引工程を実施する間中実施する。
この様にすることにより、吸引された気体に含まれる人体に危険な物質を周囲にまき散らすことを防止する。
【0051】
図8に示す汚染配管被覆方法を、工程を実施する順番に従って、説明する。
ここで説明の便宜のために、図1を正面に見て、配管の1対の端部のうち、左手側の端部を左端部、右手側の端部を右端部と呼称する。
汚染配管被覆方法の一例は、第一被覆工程S100とフィラー被覆工程S200と第二被覆工程S300とで構成される。
図9の(A)は、汚染配管被覆工程を実施する前の配管の内壁の様子を示す。
【0052】
−第一被覆工程S100−
第一被覆工程S100は、配管の内壁に一層目の液状樹脂を被覆する工程であり、配管吸引工程S10と樹脂納入工程S20とピグ投入工程S30と切換工程S50とが組合わされて構成される。
(配管吸引工程S10を実施し、その間に樹脂投入工程S20を実施する。)
最初に、左端部から内部へ気体が流入可能にし、右端部から負圧により内部の気体を吸引する。
気体が配管の左端部から右端部に流れる。液状樹脂を左端部から内部へ投入する。液状樹脂が気体の流れに乗って、左端部から右端部へ配管の中を通過して、配管の内壁に付着する。
この際に、配管の左端部の側の側面から配管の内部へ気体を吸込ませるのが好ましい。
【0053】
(配管吸引工程S10を実施し、その間にピグ投入工程S30を実施する。)
気体が配管の左端部から右端部に流れる。ピグを左端部から内部へ投入する。ピグが気体の流れに乗って、配管の中を通過して、右端部から排出される。ピグの作用により、液状樹脂が配管の内壁に均一に付着する。
【0054】
(切換工程を実施する。)
気体を流入可能にする端部を左端部から右端部に切り替えて、気体を負圧により吸引する端部を右端部から左端部に切り替える。
【0055】
(配管吸引工程S10を実施し、その間に樹脂投入工程S20を実施する。)
気体が配管の右端部から左端部に流れる。液状樹脂を右端部から内部へ投入する。液状樹脂が気体の流れに乗って、右端部から左端部へ配管の中を通過して、配管の内壁に付着する。
この際に、配管の右端部の側の側面から配管の内部へ気体を吸込ませるのが好ましい。
【0056】
(配管吸引工程S10を実施し、その間にピグ投入工程S30を実施する。)
気体が配管の右端部から左端部に流れる。ピグを右端部から内部へ投入する。ピグが気体の流れに乗って、配管の中を通過して、左端部から排出される。ピグの作用により、液状樹脂が配管の内壁に均一に付着する。
図9の(B)は、第一被覆工程が終了した後の配管の内壁を示す。
【0057】
ーフィラー被覆工程S200−
フィラー被覆工程S200は、配管の内面に付着したまだ固化していない液状樹脂にフィラーを付着させる工程であり、配管吸引工程S10とフィラー投入工程S40と切換工程S50とを組合わせて構成される。
【0058】
(配管吸引工程S10を実施し、その間にフィラー投入工程S40を実施する。)
気体が配管の右端部から左端部に流れる。フィラーを右端部から内部へ投入する。フィラーが気体の流れに乗って、配管の中を右端部から左端部へ通過して、配管の内壁に付着した未だ固化していない液状樹脂に付着する。
【0059】
(切換工程を実施する。)
気体を流入可能にする端部を右端部から左端部に切り替えて、気体を負圧により吸引する端部を左端部から右端部に切り替える。
【0060】
(配管吸引工程S10を実施し、その間にフィラー投入工程S40を実施する。)
気体が配管の左端部から右端部に流れる。フィラーを左端部から内部へ投入する。フィラーが気体の流れに乗って、配管の中を左端部から右端部へ通過して、配管の内壁に付着した未だ固化していない液状樹脂に付着する。
図9の(C)は、フィラー被覆工程が終了した後の配管の内壁の様子を示す。
【0061】
−第二被覆工程S300−
第二被覆工程S300は、配管の内壁に液状樹脂を被覆する工程であり、配管吸引工程S10と樹脂納入工程S20とピグ投入工程S30と切換工程S50とが組合わされて構成される。
第二被覆工程S300の構成は、第一被覆工程S100の構成と同じなので、説明を省略する。
図9の(D)は、第二被覆工程S300が終了した後の配管の内壁の様子を示す。
時間が経過すると、液状樹脂が固化して、フィラーで強度を増した樹脂が配管の内壁を被覆する。
【0062】
配管の内壁が水溶性の高いもので覆われている場合、第一被覆工程での液状樹脂として水中ボンド等と塗料材料との混合物をもちい、第二被覆工程での液状樹脂としてエポキシ樹脂を用いる。
また、配管の内壁が柔らかい壊れやすいもので覆われている場合は、第一被覆工程での液状樹脂としてニス等の固定化性の高いプライマーを用い、第二被覆工程での液状樹脂としてエポキシ等の塗料材料を用いる。
また、液状樹脂として塗料に鉛粉を混入させたものを用いることもある。
【0063】
上述の実施形態の汚染配管被覆装置と汚染配管被覆方法とを用いれば、以下の効果を発揮する。
トリチウム等の放射性物質で汚染された配管の内壁を被覆するのに、配管10の一方の端部から内部へ気体を流入可能にして、配管10の他方の端部から負圧により内部から気体を吸引し、配管10の一方の端部から液状樹脂を投入し、液状樹脂を固化させる様にしたので、配管の内壁に液状樹脂が付着して固化して、配管の内壁の放射性物質を塗りこめることができる。また、配管10の内部が負圧になるので、配管にピンホール等があっても、放射性物質がそのピンホールから外部へ漏れる恐れがすくない。また、配管の内部を負圧にするので、配管に亀裂等があっても、配管が破裂して破片が周囲に飛び散る恐れが少ない。また、配管の内部を負圧にするので、配管の内部の気体の密度が小さくて圧力損失がすくない。また、配管の内部を負圧にするので、汚染配管被覆装置と配管の結合が簡易な構造でできる。また、作業をしている際に、危険な物質で周囲を汚染する恐れが少なくなる。
また、配管の気体が流入する端部の側の側面から配管の内部へ気体を吸込める様にしたので、配管の中を流れる気体の流線に乱れを生じて、配管に乗った液状樹脂やフィラーが配管の内壁に頻繁にぶつかり、液状樹脂がフィラーが配管の内壁に均一に付着する。
また、吸い込む気体の中心軸を配管の中心軸と偏心させたので、気体が配管の中で旋回しつつ流れ、液状樹脂やフィラーが旋回しつつ流れる。
また、配管の一方の端部に、液状樹脂を投入した後でピグ30を投入する様にしたので、ピグ30が配管の内壁に付着した液状樹脂を再度吹き上げて、液状樹脂が配管の内壁へさらに均一に付着する。
また、配管の内のりが円形である場合に、ピグ30を配管の内径より僅かに大きな直径をした球体としたので、ピグが配管のなかを負圧に引っ張られて進む際に、ピグの外面と配管の内面の隙間から気体がピグの進行方向へ吹きだし、配管の内壁に付着した液状樹脂を吹き上げるので、吹き上がった液状樹脂が再度配管の内面に付着して、液状樹脂が配管の内面に均一に付着する。
また、ピグが配管の内のり寸法より小さなスポンジ状の柔軟素材できた物体としたので、ピグが配管のなかを負圧に引っ張られて進む際に、ピグが配管の内壁に付着した液状樹脂を擦って、舞い上がった液状樹脂が再度配管の内面に付着して、液状樹脂が配管の内面に均一に付着する。
また、気体を流入可能にする端部を一方の端部から他方の端部に切り替えて気体を吸引する端部を他方の端部から一方の端部に切り替えて、液状樹脂を配管の端部に投入し、また、ピグを配管の端部に投入し、フィラーを配管の端部に投入する作業を繰り返す様にしたので、配管の内壁に長手方向に均一に液状樹脂やフィラーが付着する。
また、液状樹脂を配管の内壁に被覆させた後、固化する前にフィラーを配管の端部かた内部に投入する様にしたので、フィラーが固化していない液状樹脂に付着して、固化した後の樹脂の強度が向上する。
また、液状樹脂の投入とフィラーの投入を交互におこなう様にしたので、樹脂とフィラーが層状化して、配管の内壁を被覆する層の強度が向上する。
【0064】
本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
配管処理工程の一例として、配管吸引工程とピグ投入工程とフィラー投入工程と切換工程を組合わせた例を説明したがこの組み合わせに限定されず、例えば、組合わせる工程の数を変更してもよいし、いくつかの工程を省略してもよい。
また、配管の内部へ気体を吸込ませる貫通孔を配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部の側の側面に設ける例を説明したがこれに限定されず、例えば、貫通孔を処理対象である配管の長手方向の途中に設けてもよい。
また、配管の1対の端部の一方から液状樹脂、フィラーまたはぴグを投入した後で、切換工程を実施して配管の1対の端部の他方から液状樹脂、フィラーまたはぴグを投入する例で説明したがこれに限定されず、他といえば、配管の1対の端部のうち一方からのみ液状樹脂、フィラーまたはぴグを投入してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施形態に係る汚染配管被覆装置の概念図である。
【図2】本発明の実施形態に係るピグキャチャーの側面断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るピグキャチャーのA−A断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る接続継手その1の断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る接続継手その2の断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係るピグ投入工程の作用図その1である。
【図7】本発明の実施形態に係るピグ投入工程の作用図その2である。
【図8】本発明の実施形態に係る汚染配管被覆方法のフローチャート図である。
【図9】本発明の実施形態に係る汚染配管被覆方法の作用図である。
【符号の説明】
【0066】
10 汚染配管
20 汚染配管被覆装置
30 ピグ
40 液状樹脂
50 固形物
100 配管吸引機器
110 負圧発生機器
111 バキュームチャンバー
112 真空ポンプ
120 真空配管
120a 第一真空配管
120b 第二真空配管
130 ピグキャッチャー
130a 第一ピグキャッチャー
130b 第二ピグキャッチャー
131 容器本体
132 容器蓋体
133 孔空き板
134 流入フランジ
135 吸込フランジ
136 真空フランジ
137 覗き窓
138 計測器
139 排出弁
140 吸引配管
140a 第一吸引配管
140b 第二吸引配管
150 接続継手
150a 第一接続継手
150b 第二接続継手
151 継手本体
152 接続部
153 貫通孔
154 樹脂受け入れ口
155 フィラー受け入れ口
160 切換機構
161a 第一吸引弁
161b 第二吸引弁
162a 第一流入弁
162b 第二流入弁
170 フィルタ機器
171 サイクロンフィルタ
172 バグフィルタ
173 フィルタブロア
200 樹脂投入機器
200a 第一樹脂投入機器
200b 第二樹脂投入機器
201 樹脂ホッパー
202 樹脂投入弁
203 樹脂投入ノズル
300 フィラー投入機器
300a 第一フィラー投入機器
300b 第二フィラー投入機器
301 フィラーホッパー
302 フィラー投入弁
303 フィラー投入ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体に有害な物質で汚染された配管を被覆する汚染配管被覆方法であって、
配管の1対の端部のうちの一方の端部から内部へ気体を流入可能にし他方の端部から負圧により内部の気体を吸引する配管吸引工程と、
気体を流入可能にした端部から時間の経過と共に固化する液状樹脂を投入する樹脂投入工程と、
を備え、
前記樹脂投入工程を前記配管吸引工程の途中で実施する、
ことを特徴とする汚染配管被覆方法。
【請求項2】
前記配管吸引工程において、配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部の側の側面から配管の内部へ気体を吸込ませる、
ことを特徴とする請求項1に記載の汚染配管被覆方法。
【請求項3】
配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部から多数の微小な固形物を投入するフィラー投入工程を備え、
前記フィラー投入工程を前記配管吸引工程の途中の前記樹脂投入工程の後で実施する、
ことを特徴とする請求項1に記載の汚染配管被覆方法。
【請求項4】
配管の中を通過可能なピグを配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部から投入するピグ投入工程を、
備え、
前記ピグ投入工程を前記配管吸引工程の途中の前記樹脂投入工程の後で実施する、
ことを特徴とする請求項1に記載の汚染配管被覆方法。
【請求項5】
前記ピグが配管の内のり形状とほぼ同形状の断面を持ち柔軟素材でできたボール体である、
ことを特徴とする請求項4に記載の汚染配管被覆方法。
【請求項6】
前記ピグが配管の内のり寸法より小さなスポンジ状の柔軟素材できた複数の物体である、
ことを特徴とする請求項4に記載の汚染配管被覆方法。
【請求項7】
配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部を一方の端部から他方の端部に切り替え気体を吸引する端部を他方の端部から一方の端部に切り替える切換工程を、
備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の汚染配管被覆方法。
【請求項8】
前記配管吸引工程で吸引した気体から固体分を捕集するフィルタ工程を、
備えることを特徴とする請求項1に記載の汚染配管被覆方法
【請求項9】
人体に有害な物質で汚染された配管を被覆する汚染配管処理装置であって、
配管の1対の端部のうちの一方の端部から内部へ気体を流入可能にし他方の端部から負圧により内部の気体を吸引する配管吸引機構と、
気体を流入可能にした端部から時間の経過と共に固化する液状樹脂を投入する樹脂投入機構と、
を備えることを特徴とする汚染配管被覆装置。
【請求項10】
前記配管吸引機構が配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部の側の側面に配管の内部へ気体を吸込ませる貫通孔を設けられる、
ことを特徴とする請求項9に記載の汚染配管被覆装置。
【請求項11】
配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部から多数の微小な固形物を投入するフィラー投入機構を、
備えることを特徴とする請求項9に記載の汚染配管被覆装置。
【請求項12】
前記配管吸引機構が配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部から内部にピグを投入することをできるピグ投入機器と気体を吸引する端部から出た前記ピグを受け取ることをできるピグ受取機構とを有し、
前記ピグが配管の中を通過可能である、
ことを特徴とする請求項9に記載の汚染配管被覆装置。
【請求項13】
前記ピグが配管の内のり形状とほぼ同形状の断面を持ち柔軟素材でできたボール体である、
ことを特徴とする請求項12に記載の汚染配管被覆装置。
【請求項14】
前記ピグが配管の内のり寸法より小さなスポンジ状の柔軟素材できた複数の物体である、
ことを特徴とする請求項12に記載の汚染配管被覆装置。
【請求項15】
前記配管吸引機構が配管の1対の端部のうち気体を流入可能にする端部を一方の端部から他方の端部に切り替え気体を吸引する端部を他方の端部から一方の端部に切り替えることをできる切換機構を有する、
ことを特徴とする請求項9乃至請求項12に記載の汚染配管被覆装置。
【請求項16】
前記配管吸引機構が、吸引した気体から固体分を捕集するフィルタ機器を有する、
ことを特徴とする請求項9に記載の汚染配管被覆装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−53013(P2006−53013A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−234153(P2004−234153)
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【出願人】(595090716)有信株式会社 (6)
【Fターム(参考)】