説明

汚泥の脱水処理方法及びその脱水処理システム

【課題】廃水処理により発生する汚泥の処理に当たって、最終的な脱水処理の効率を向上させ、低含水率の脱水ケーキを安定して得ること。
【解決手段】廃水処理設備から発生する汚泥濃度が1〜5%の汚泥に凝集剤を添加して1次凝集処理を行い、次に1次凝集処理後の汚泥をその汚泥濃度が6〜8%となるように高濃度濃縮処理し、次いで濃縮処理後の汚泥に凝集剤を添加して2次凝集処理を行い、さらに2次凝集処理を行った高濃度汚泥に脱水処理を施すことを特徴とする汚泥の脱水処理方法およびそのシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は汚泥の処理方法、特に下水処理等の廃水処理設備から発生した下水汚泥(有機汚泥)の脱水処理方法及びそのシステム(設備)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、有機物質を含む下水等の廃水(原水)は最初沈殿池(最初沈殿槽)、生物処理槽及び最終沈殿池(最終沈殿槽)からなる廃水処理設備により処理されており、この廃水処理設備では最初沈殿池における初沈汚泥(生汚泥)と最終沈殿池における余剰汚泥の2種類の汚泥が大量に発生することになり、これらの汚泥は水分濃度が20〜30%(含水率70〜80%)程度の脱水ケーキにいたるまで濃縮、脱水処理が施されて減容化されることになるが、その際にコストを含めていかに効率的に処理するかがこの技術分野における大きな課題のひとつとなっている。
【0003】
かかる両汚泥の処理に当たっては、一般には初沈汚泥は重力によりその汚泥濃度(以下単に濃度という場合がある)を約4%に濃縮処理し、余剰汚泥は生物処理を経たものであるため重力沈降性が悪いことから重力以外の機械(遠心濃縮機、常圧濃縮機およびベルト濃縮機)を用いて約4%に濃縮処理し、こうして別々の濃縮処理が行われた汚泥を貯留槽に貯めて約4%に濃縮し、さらに必要に応じてメタンなどの有価ガスの回収と減容化を兼ねてこの混合汚泥を消化処理して約2%の消化汚泥となし、これらの混合汚泥乃至消化汚泥を最終的に脱水処理して前記の水分濃度の脱水ケーキとなす方法が採用されている。
【0004】
そして、従来、この脱水処理を行う有効な脱水機としてスクリュープレスが汎用されている。
【0005】
このスクリュープレスは、例えば特許文献1に記載されるように円筒スクリーンをその中間部において汚泥供給側の濃縮ゾーンとケーキ排出側の圧搾脱水ゾーンに分割し、濃縮ゾーンの始端側から汚泥を供給し、スクリュー軸を回転させて、汚泥を順次上記濃縮ゾーン、圧搾脱水ゾーンを移送、通過させながら濃縮、脱水する形式の脱水機である。
【0006】
しかし、このような脱水機内に上記濃縮ゾーンと圧搾脱水ゾーンとが連続して共存する脱水方式にあっては濃縮ゾーンと脱水ゾーンの両方に適した凝集操作(処理)ができないという難点を有していた。すなわち、脱水機内の濃縮ゾーンにおいては事前の凝集処理によって汚泥粒子を比較的粗大で大量の水分を除去できる凝集フロックに形成させる必要があり、一方、汚泥の圧搾脱水ゾーンにおいては事前の凝集処理により緻密で強固な凝集フロックを形成させておかなければならないが、上記従来のスクリュープレスを用いる脱水方式では同じ円筒スクリーン内で濃縮と圧搾脱水が連続的に行われるため、単一の凝集処理しかできず、濃縮と圧搾脱水にそれぞれ適した凝集処理を個別に独立して施すことができない。
【0007】
このため、かかる従来技術では脱水におけるの濃縮及び(または)圧搾脱水が不十分となり、全体として脱水効率が低下してしまい、この結果、低含水率の脱水ケーキが安定して得られ難いという問題を有していた。
【特許文献1】特表2003−513805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような従来の問題を解決し、廃水処理により発生する汚泥の処理に当たって、最終的な脱水処理の効率を向上させ、低含水率の脱水ケーキを安定して得ることをその課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題の達成のために完成された本発明の汚泥の脱水処理方法の要旨とする構成は以下のとおりである。
(1)廃水処理設備から発生する汚泥濃度が1〜5%の汚泥に凝集剤を添加して1次凝集処理を行い、次に1次凝集処理後の汚泥をその汚泥濃度が6〜8%となるように高濃度濃縮処理し、次いで高濃度濃縮処理後の汚泥に凝集剤を添加して2次凝集処理を行い、さらに2次凝集処理を行った高濃度汚泥に脱水処理を施すことを特徴とする汚泥の脱水処理方法。(請求項1)。
(2)前記高濃度濃縮処理をベルト式濃縮機を用いて行うこと特徴とする上記1に記載の汚泥の脱水処理方法(請求項2)。
(3)前記脱水処理を回転加圧脱水機を用いて行うことを特徴とする上記1または2に記載の汚泥の脱水処理方法(請求項3)。
(4)廃水処理設備から発生する汚泥にさらに消化処理を施した汚泥を対象としていることを特徴とする上記1に記載の汚泥の脱水処理方法(請求項4)。
(5)廃水処理設備から発生する汚泥濃度が1〜5%の汚泥に凝集剤を添加して1次凝集処理を行なう1次凝集処理槽と、一次濃縮処理後の汚泥をその汚泥濃度が6〜8%となるように高濃度濃縮処理する高濃度濃縮機と、前記高濃度濃縮機により高濃度濃縮処理を終えた汚泥に凝集剤を添加して2次凝集処理を行なう2次凝集処理槽と、2次凝集処理を行った高濃度汚泥を脱水処理する高濃度汚泥脱水機とを含むことを特徴とする汚泥の脱水処理システム(請求項5)。
(6)廃水処理設備から発生する汚泥にさらに消化処理を施した汚泥を対象としていることを特徴とする請求項5に記載の汚泥の脱水処理システム(請求項6)。
(7)前記高濃度濃縮機がベルト式濃縮機であることを特徴とする上記5または6に記載の汚泥の脱水処理システム(請求項7)。
(8)前記高濃度汚泥脱水機が回転加圧脱水機であることを特徴とする上記5〜7のいずれかに記載の汚泥の脱水処理システム(請求項8)。
【発明の効果】
【0010】
廃水処理により発生する汚泥の処理に当たって、これら汚泥の濃縮、脱水処理の効率を向上させ、低含水率の脱水ケーキを安定して高い生産性のもとに低コストで得ることが可能となるといった優れた効果を有する。
【0011】
特に濃縮ゾーンと圧搾脱水ゾーンを有する従来のスクリュープレスを用いた汚泥処理に比べて、濃縮工程と脱水工程を分離、独立させ、両工程に適した凝集処理をそれぞれ事前に行うことにより、汚泥の高濃度濃縮とその後の脱水処理を極めて効率よく実施でき、凝集処理コスも下げることができる。また、高濃度汚泥脱水機の負荷を大幅に軽減できるため、電力などのエネルギーコストも下げることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明者らは前記課題を達成すべく、種々検討、分析を行った結果、従来の濃縮ゾーンと圧搾脱水ゾーンを有する従来のスクリュープレスを用いた脱水処理においては、汚泥供給側の濃縮ゾーンとケーキ排出側の脱水ゾーンとによって、汚泥の濃縮と圧搾脱水を連続的に行う方式そのものに前述した問題を招来する根本的な原因があると考えた。
【0013】
そこで、本発明者らは、従来のスクリュープレスを適用した上記濃縮ゾーンと脱水ゾーンが連続、一体化した脱水処理の工程を、高濃度処理(二次濃縮処理ということがある)と高濃度汚泥脱水処理の二つの工程に分離し、それぞれの工程での目的に最適な処理、操作並びに機器を選定できるようにして、上述の問題を解決し、本発明の完成に至ったものである。
【0014】
以下、本発明の特徴をその実施形態を中心に詳述することにする。図1は、本発明にかかる汚泥の脱水処理方法及び脱水処理システムの実施形態を示した処理フロー図である。
【0015】
同図において、各種有機物を含む下水等の廃水は最初沈殿槽1、生物処理槽(図示しない)及び最終沈殿槽2からなる廃水処理設備に導入、処理され、浄化されるが、一方でこの廃水処理設備の最初沈殿槽1からは初沈汚泥Aが、また、生物処理を経た最終沈殿槽2からは余剰汚泥Bがそれぞれ大量に発生する。初沈汚泥Aの汚泥濃度が約1%、余剰汚泥Bの汚泥濃度が約0.6%が通常である。
【0016】
本発明ではまず、これら初沈汚泥Aと余剰汚泥Bとをそれぞれ従来と同様にして、初沈汚泥Aは沈降槽などの重力式濃縮機3により、また余剰汚泥Bは遠心濃縮機、常圧濃縮機およびベルト濃縮機などの機械式濃縮機4により、それぞれ汚泥濃度(以下単に濃度という場合がある)を1〜5%(例えば4%)に濃縮処理(1次濃縮処理)する。そして1次濃縮処理を行った両汚泥を汚泥貯留槽5に送り、両者を攪拌、混合した状態で貯留する。
【0017】
次に、汚泥貯留槽5から混合汚泥Cを抜き出して、1次凝集処理槽6に送り、凝集処理を行う。この1次凝集槽においては凝集剤P1を添加、混和し、特に有機物を含む汚泥粒子を凝集させて2〜4mmの比較的大きく大量な水分を除去できる汚泥フロックとなし、混合汚泥Cの性状を次工程の高濃度濃縮処理(前記1次濃縮処理と区別するため以下このように称する)が容易となる形態に調質する。
【0018】
凝集剤P1としては、カチオン系、両性及びポリアミジンなどの高分子凝集剤が有効で推奨される。凝集剤P1の添加量は高分子凝集剤の場合は0.2%以上、特に0.5〜2%とすることが好ましい。また、1次凝集槽における汚泥Cと凝集剤P1の混和に際しては上記フロック形成のため比較的緩やかな攪拌(緩速攪拌)で混和することが好ましい。
【0019】
なお、ここでの凝集処理では、従来のように高濃度濃縮に適した形態のフロック形成のみを考慮すればよいので、従来に比べて簡単に処理条件を選定できる利点がある。
【0020】
また、本発明では上記のように混合汚泥Cを直接1次凝集処理槽6に供給しても良いが、一旦これを図1の破線の矢印が示すように消化槽10に送り、ここで消化処理を行ない、汚泥濃度が約2%程度の消化汚泥Sとしたものを1次凝集処理槽6に送っても良いものである。
【0021】
次に、1次凝集処理を経た混合汚泥すなわち、1次凝集汚泥Dを1次凝集処理槽6から抜き出して、高濃度濃縮機7に送り、その汚泥濃度を6〜8%の高濃度に濃縮処理する。
【0022】
本発明では、従来の濃縮ゾーンと脱水ゾーンを有するスクリュープレスを用いた脱水処理を、この二次濃縮処理と後述する高濃度汚泥脱水処理とに分離し、それぞれ独立した別工程で行うのが重要な特徴の一つである。これによって、前記の如く、本工程の高濃度濃縮処理に適した事前の凝集処理(1次凝集処理)が可能となり、すなわち、この凝集処理により、前述のように対象となる汚泥粒子が粗大で大量の水分を除去できる汚泥フロックに調質、制御されるため、この凝集フロック間の自由水をここでの高濃度濃縮処理によって効果的に分離、除去できる。
【0023】
従って、1〜5%(例えば通常の汚泥は4%、また消化汚泥では2%)の濃度で供給される汚泥を、6%以上の高濃度に容易にかつ安定して高めることができ、この結果、高濃度汚泥脱水処理後の脱水ケーキの含水率を安定して目標の20〜30%の範囲に減少させることができる。
【0024】
この高濃度濃縮処理に用いる高濃度濃縮機としては6%以上の濃度が有利に実現できる観点でベルト式濃縮機が特に好ましいといえる。
【0025】
このベルト式濃縮機について以下に詳しく説明する。図2は本発明において高濃度濃縮機として用いられるベルト式濃縮機の1例の構成を説明するための概略断面図、図3は図2のY−Y矢視図である。
【0026】
図2において、5はベルト式濃縮機を示しており、一対のローラ13a,13bを、各々図示しない回転軸によりフレーム14に軸支されるとともに、その排出側のローラ13bを駆動モータ(図示せず)により回転駆動し、これらのローラ13a,13bに跨って掛装された透水機能を有する無端ベルト12を、汚泥の供給側から排出側へ向かって走行させている。この無端ベルト12は、金属製のメッシュ状形態をなすものやポリエステル等の合成樹脂製のろ布などのろ過体で構成される。
前記の凝集処理を終えた1次凝集汚泥Dを、1凝集処理槽より抜き出して汚泥ポンプにより無端ベルト12の一端側に設けられた供給槽17に送り込む。そして、この供給槽17に設けられた撹拌機17aによって供給槽17内の汚泥Dを攪拌、均一化し、前記無端ベルト12の一端側が同供給槽17の汚泥の上層部に浸漬する様に汚泥液面を制御しつつ汚泥供給口14aから、前記無端ベルト12上へ汚泥を供給する。
【0027】
ベルト式濃縮機5は、無端ベルト12上の一端側のこの様な汚泥供給口14aと、この無端ベルト12の他端側に濃縮後の汚泥を排出する汚泥排出口14bとを有する。
【0028】
そして、この無端ベルト12は汚泥の搬送先側が高くなるように傾斜配設されている。処理後の汚泥濃度を6〜8%の高濃度に維持するためにはこの無端ベルトの12の傾斜角度を2〜12度に設定することが好ましい。
【0029】
また、前記フレーム14は、この無端ベルト12下方に、前記汚泥が無端ベルト12の進行に伴い濃縮される際、透過された透過水を集水し、フレーム4外に排出する排水口14cを有している。
【0030】
汚泥供給口14aから前記無端ベルト12の一端側上面に供給された汚泥は、当該無端ベルト12の進行とともに汚泥自身の自重により、その汚泥フロック間の水分(自由水)を当該無端ベルト12を介して透過させ、透過水として分離しながら濃縮処理する。
【0031】
このベルト式濃縮機11には、汚泥Dをより効率的に濃縮処理すべく、無端ベルト12を構成するろ過体(ろ布)の表面に付着した汚泥を掻き取り、排除するための倒伏お椀型を有した複数の汚泥セパレータ20が、ベルト搬送方向に対して略直角に並列しても設置された複数の給水ヘッダー管22の下部に、無端ベルト12の上面に接した状態で略千鳥状に配設されている。さらに、各汚泥セパレータ20の内部には、ベルト搬送方向に対して略直角に設けた給水ヘッダー管22に接続された洗浄スプレイノズル(図示せず)が収納され、ここからスプレイ水を同ベルト12に噴射することにより、汚泥の除去直後のベルト上面を確実に洗浄することができる。
【0032】
このようにして濃縮処理された無端ベルト12上の汚泥は、スクレーパ18によって掻き取られ、高濃度汚泥として汚泥排出口14bから排出され、必要に応貯留槽内に貯留された後、次工程に給送することになる。なお、汚泥から分離された透過水は、排水口14cから分離液タンク(図示せず)へ回収され、更に、その上澄液を洗浄水タンク(図示せず)へ移送して、ここから無端ベルト12の裏面に向けて設置された洗浄ノズル19に送られ、同ベルト12に付着、残留する汚泥を洗い流すための洗浄水として再利用される。
【0033】
さて、以上に説明したベルト式濃縮機などの高濃度濃縮機7により6〜8%に高濃度濃縮した高濃度汚泥Eを、本発明ではさらに2次凝集処理槽8に送り、凝集剤P2を添加、混和し、再び凝集処理(2次凝集処理)を行ない、濃縮処理後の汚泥粒子を凝集させて0.5〜3mmの比較的小さく、強固で緻密な汚泥フロックを形成させる。これは、高濃度汚泥脱水処理において脱水圧力に十分耐え、脱水操作を効果的に促進させるためにその形態を調質するためである。
【0034】
凝集剤P2としては、カチオン系、両性及びポリアミジンなどの高分子凝集剤が前述の1次凝集処理の場合と同様に有効で推奨される。またポリ硫酸第二鉄などの無機凝集剤を用いても良い。
【0035】
また、この2次凝集槽における汚泥Eと凝集剤P2の混和に際しては上記フロック形成のため比較的強度の高い攪拌(急速攪拌)で混和することが好ましい。
【0036】
なお、ここでの凝集処理においても、濃縮汚泥の圧搾脱水に適した形態のフロックのみを考慮すればよいので、やはり、従来に比べて簡単に処理条件を選定できる利点がある。
【0037】
そして、2次凝集槽8にて凝集処理を経た汚泥を同凝集槽8より抜き出して、2次凝集処理汚泥Fとして高濃度汚泥脱水機7に供給し、ここで高濃度汚泥脱水処理を施して、含水率が70〜80%(水分:20〜30%)の脱水ケーキGとする。
【0038】
本発明では従来の濃縮ゾーンと圧搾脱水ゾーンを有するスクリュープレスを用いた脱水処理を、前記工程の高濃度濃縮処理と本工程の高濃度汚泥脱水処理とに分離し、それぞれ独立工程としたことに大きな特徴がある。これにより、本工程の高濃度汚泥脱水処理に適した事前の凝集処理(2次凝集処理)が可能となり、すなわち、この凝集処理により、前述のように対象となる汚泥粒子が比較的小さく、強固で緻密な汚泥フロックに調質、制御されるため、この汚泥フロック中の内部水を本脱水処理によって効果的に分離、除去できることになる。
【0039】
従って、先の高濃度濃縮処理において得られた6〜8%の高濃度の2次凝集処理汚泥をこの最後の脱水処理により、目標となる70〜80%の低含水率の脱水ケーキを安定して得ることができるのである。
【0040】
さて、高濃度汚泥脱水機9としては公知の脱水機が使用できる。本技術は高濃度濃縮機で濃度6〜8%まで高めており、高濃度汚泥脱水機での水分除去負荷いわゆるろ過の負荷を低減していることから、ろ過を基本とした脱水機が有効であり、下記に示す回転加圧脱水機はろ過脱水機として省エネルギー、省スペースの観点で特に優れており、さらに性能が向上する。生産性の観点から回転加圧脱水機を用いることが特に好ましい。
この回転加圧脱水機についても以下に詳しく説明することにする。
【0041】
図4は本発明において脱水機として用いられる回転加圧脱水機の1例の構成を説明するための概略側面図、図5は図4のO点を通る概略縦断面図である。
【0042】
図においてこの回転加圧脱水機9は、図示しない減速機付の駆動装置によって、0.5〜1.3rpmの回転速度で回転される駆動軸32を備えおり、この駆動軸32には、ボス部材33を介して互いに対向した円盤状の第1ろ過板37と第2ろ過板38とが固設されている。これら第1ろ過板37と第2ろ過板38は前記駆動軸32により矢印で示した回転方向にする回転する構成となっている。また、第1ろ過板37と第2ろ過板38は多数の水透過穴(図示せず)を有していて、両ろ過板37、38と、同両ろ過板の駆動軸32側端部に配設された環状の内輪スペーサ34と、同両ろ過板の周方向端部にこの内輪スペーサ34と同心的に配設された環状の外輪スペーサ35とによって脱水処理室41が形成されている。
【0043】
前記外輪スペーサ35には、この外輪スペーサ35の中心側に、前記内輪スペーサ34の外周面に密接する凹曲面を有する仕切りスペーサ36が設けられている。この仕切りスペーサ36は、上部仕切りスペーサ36aと、この上部仕切りスペーサ36aと空間36cを隔てた下方位置の下部仕切りスペーサ36bとからなる二股形状に構成されている。そして、この仕切りスペーサ36の下部仕切りスペーサ36bの下側には、横方向に開口する汚泥流入口41aが形成されている。
【0044】
また、この仕切りスペーサ36の上部仕切りスペーサ36aの上側に、横方向に開口する脱水ケーキ排出部40が設けられている。 前記脱水処理室41は前記汚泥流入口41aから前記脱水ケーキ排出部40側に向って順に、前記汚泥流入口41aから流入する、調質された汚泥をろ過するろ過ゾーン41bと、ろ過水が除去された汚泥を圧搾脱水する圧搾脱水ゾーン41cとに区分されている。前記汚泥流入口41aには、下側に開口する汚泥入口39a、汚泥流路を介して前記汚泥流入口41aに汚泥を供給する汚泥供給部39が取付けられている。
【0045】
また、前記脱水ケーキ排出部40の排出口40aには、脱水処理室41の圧搾脱水ゾーン41c内の圧搾脱水汚泥に対してアクチュエータなどにより背圧を付与するための背圧板45が垂直に設けられている。前記脱水処理室41内には、第1ろ過板37と第2ろ過板38との相対する面(内側面)にエッジが鋭角的に接触して、第1ろ過板37と第2ろ過板38の相対する内側面に付着する汚泥中の微粒子塊や脱水ケーキを掻取るスクレーパ41dが3枚ずつ(両側で6枚である)設けられている。第1カバー42、第2カバー43それぞれの下部には、下方に突出するドレン管44が設けられており、前記汚泥供給部39、汚泥入口39aを経て脱水処理室41内に供給され、前記第1,2ろ過板37,38に設けられた多数の水透過穴37a,38aを通して、前記第1カバー42内、前記第2カバー43内に排出された汚泥中の水分は、前記ドレン管44から機外に排水されるようになっている。
【0046】
かかる回転加圧脱水機により、2次凝集処理汚泥Fを脱水処理する場合は、前記2次凝集処理槽8から抜き出した同汚泥Fを汚泥圧入ポンプ(図示省略)により最大100kPa(約1.0kgf/cm)に加圧して汚泥供給部39の下側に開口する汚泥入口39a、汚泥流路、および汚泥流入口41aを介して0.5〜1.3rpmのゆっくりした速度で回転されている脱水処理室41の下側のろ過ゾーン41bに連続供給することによって脱水を行う。
【0047】
そして、脱水処理室41の下側のろ過ゾーン41bに供給された汚泥は、このろ過ゾーン41bでろ過され、徐々に流動性が失われる。こうして流動性が低下した汚泥は、多数の水透過穴が設けられた円盤状の第1ろ過板37、および第2ろ過板38の表面にケーキ層を徐々に形成しながら、これら第1ろ過板37、第2ろ過板38の回転により圧搾脱水ゾーン41c側に移動する。これら第1ろ過板37、第2ろ過板38の表面に形成されたケーキ層により固形物の捕捉が向上するためにろ液は清浄になる。
【0048】
そして、前記圧搾脱水ゾーン41c領域中における汚泥は、前記脱水ケーキ排出部40の排出口40aに設けられた背圧板45の押圧力制御により背圧が最大600kPa(約6.0kgf/cm)の一定圧力(調整可能である)に保持され続ける。流動性を失った汚泥は、これら第1ろ過板37、第2ろ過板38によるせん断力と、背圧板45による発生する背圧により圧搾脱水される。最終的に、圧搾脱水された低含水率になった脱水ケーキGは、背圧板45を押し退けて脱水ケーキ排出部40から機外へ排出されることになる。
【0049】
本発明にける2次凝集処理汚泥Fの脱水処理をこうした回転加圧脱水機を用いることにより、上記のような汚泥の脱水過程において、スクレーパ41dで掻取られた脱水ケーキ片は、このスクレーパ41によって外輪スペーサ35の方向向きの作用力を受け、外輪スペーサ35側に移動するため、第1,2ろ過板37,38の回転中心から離れた脱水処理室41内における位置の脱水ケーキの密度の低下の程度を軽減することができる。これにより、第1,2ろ過板37,38のろ過面の全幅に亘る圧搾力分布が均等化され、ろ過面の全幅に亘るろ過機能が改善される。また、この回転加圧脱水機では、第1ろ過板37と第2ろ過板38の相対する内側面のそれぞれに付着する汚泥中の微粒子塊や脱水ケーキは、両端が締結されて撓むことなく、エッジが第1ろ過板37と第2ろ過板38の内側面に鋭角的に接触するスクレーパ41dによって掻取られ、ろ過面の全幅に亘って水透過穴の目詰まりが効果的に防止されるため汚泥を能率良く脱水することができる。
【0050】
なお、以上説明した実施形態においては、1次凝集処理される1〜5%の汚泥濃度を有する対象汚泥として、初沈汚泥Aと余剰汚泥Bとをそれぞれ、重力式濃縮機3及び機械式濃縮機4により1次濃縮したのちこれらを混合、貯留したものについて説明したが、これに限らず、あらかじめ両汚泥A、Bを混合したものを機械式濃縮機4により一括して1次濃縮したものでも良く、また、初沈汚泥Aと余剰汚泥Bのいずれか一方を1次濃縮したものを対象としても勿論かまわないものである。
(実験例)
本発明の効果を明確にするため以下の実験を行った。
【0051】
ビーカー試験により、3%の濃度に調整した汚泥(混合生汚泥)を用意し、本発明の実施例としてこの汚泥に0.5%の両性高分子凝集剤(シンコーフロックC6228)を添加して1次凝集処理を行った後にこれを6.4%の高濃度に濃縮処理し、この高濃度汚泥にさらに0.2%の両性高分子凝集剤(シンコーフロックC6228)を添加して2次凝集処理を行った後に高濃度汚泥脱水操作を施して脱水ケーキとなし、この脱水ケーキの含水率を測定したところ、75.7%であった。
【0052】
一方、比較例として3%の濃度に調整した上記と同一の汚泥に同じ凝集剤を0.7%添加して凝集処理を行った後に、従来の脱水操作を施して脱水ケーキとなし、この脱水ケーキの含水率を測定したところ、80.3%であった。
【0053】
従って、本発明の実施例によれば、比較例と比べて、凝集剤の合計添加量が同じ0.7%にもかかわらず、その含水率の差が4.6%と飛躍的に低減していることが分かり、本発明の優れた効果が確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の汚泥処理方法及び汚泥処理システムの実施形態を説明するフロー図である。
【図2】本発明の濃縮処理に用いられるベルト式濃縮機の構成を説明する概略断面図である。
【図3】同ベルト式濃縮機の構成を説明する図2のY−Y矢視図である。
【図4】本発明の脱水処理に用いられる回転加圧脱水機の構成を説明する概略側面図である。
【図5】同回転加圧脱水機の構成を説明する図4のO点を通る概略縦断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1:最初沈殿槽 2:最終沈殿槽 3:重力式濃縮機
4:機械式濃縮機 5:貯留槽 6:1次凝集処理槽
7:高濃度濃縮機 8:2次凝集処理槽 9:高濃度汚泥脱水機
A:初沈汚泥 B:余剰汚泥 C:混合汚泥
D:1次凝集汚泥 E:高濃度汚泥 F:2次凝集処理汚泥
G:脱水ケーキ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃水処理設備から発生する汚泥濃度が1〜5%の汚泥に凝集剤を添加して1次凝集処理を行い、次に1次凝集処理後の汚泥をその汚泥濃度が6〜8%となるように高濃度濃縮処理し、次いで濃縮処理後の汚泥に凝集剤を添加して2次凝集処理を行い、さらに2次凝集処理を行った高濃度汚泥に脱水処理を施すことを特徴とする汚泥の脱水処理方法。
【請求項2】
前記高濃度濃縮処理をベルト式濃縮機を用いて行うことを特徴とする請求項1に記載の汚泥の脱水処理方法。
【請求項3】
前記脱水処理を回転加圧脱水機を用いて行うことを特徴とする請求項1または2に記載の汚泥の脱水処理方法。
【請求項4】
廃水処理設備から発生する汚泥にさらに消化処理を施した汚泥を対象とした請求項1に記載の汚泥の脱水処理方法。
【請求項5】
廃水処理設備から発生する汚泥濃度が1〜5%の汚泥に凝集剤を添加して1次凝集処理を行なう1次凝集処理槽と、一次濃縮処理後の汚泥をその汚泥濃度が6〜8%となるように高濃度濃縮処理する高濃度濃縮機と、前記高濃度濃縮機により高濃度濃縮処理を終えた汚泥に凝集剤を添加して2次凝集処理を行なう2次凝集処理槽と、2次凝集処理を行った高濃度汚泥を脱水処理する高濃度汚泥脱水機とを含むことを特徴とする汚泥の脱水処理システム。
【請求項6】
廃水処理設備から発生する汚泥にさらに消化処理を施した汚泥を対象とした請求項5に記載の汚泥の脱水処理システム。
【請求項7】
前記高濃度濃縮機がベルト式濃縮機であることを特徴とする請求項5または6に記載の汚泥の脱水処理システム。
【請求項8】
前記高濃度汚泥脱水機が回転加圧脱水機であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の汚泥の脱水処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−165964(P2009−165964A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7235(P2008−7235)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【特許番号】特許第4253353号(P4253353)
【特許公報発行日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000192590)株式会社神鋼環境ソリューション (534)
【Fターム(参考)】