説明

汚泥燃料化装置

【課題】乾燥排ガスから安定的に排熱回収し、効率良く運転することが可能な汚泥燃料化装置を提供する。
【解決手段】汚泥燃料化装置1は、乾燥機20と熱分解炭化炉40と燃焼炉50と排熱回収熱交換器80と排熱回収ボイラ60とを有する。乾燥機20は、有機性含水汚泥を乾燥処理して乾燥汚泥を生成する。熱分解炭化炉40は、乾燥機20で生成された乾燥汚泥を炭化処理して炭化物を生成する。燃焼炉50は、炭化処理が行われたことにより発生した熱分解ガスを燃焼処理する。排熱回収熱交換器80は、乾燥処理が行われたことにより発生した乾燥排ガスの保有する熱量を温水として回収する。排熱回収ボイラ60は、燃焼処理が行われたときに発生した燃焼排ガスを加熱源として、排熱回収熱交換器80で生成された温水を供給して蒸気を生成し、この蒸気の熱源を乾燥機20の乾燥処理に利用させるために供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、汚泥燃料化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題の高まりに応じて、下水汚泥、産廃汚泥等の有機性含水汚泥の有効利用に関する技術開発が盛んに行われている。しかし従来有機性含水汚泥については、大半が埋め立て処理あるいは焼却処理されており、エネルギーの有効利用がされていないのが実情である。
【0003】
そこで、安定した収集量が見込める下水汚泥、産廃汚泥等の有機性汚泥を、炭化処理により固体燃料化して、セメント製造用、石炭火力発電用等の燃料に再生するシステムが考えられている。これにより化石燃料使用量を減らすことができ、COの排出低減を図ることが可能になる。
【0004】
このシステムでは、有機性汚泥を乾燥機で乾燥した後、炭化炉で酸素の少ない状態で加熱して炭化処理を行い、固体燃料を生成する。
【0005】
有機性含水汚泥を乾燥させる乾燥機としては、高温の燃焼ガスを生成し、この燃焼ガスを乾燥機内に導入して有機性汚泥を直接加熱若しくは間接加熱することにより乾燥させる方式のものがある。
【0006】
このような方式の乾燥機では、通常停止時や異常が発生した際の非常停止時にはまず有機性含水汚泥の供給が停止されるが、有機性含水汚泥が乾燥機内に供給されない状態で燃焼ガスが直接流入されると、乾燥機内が高温雰囲気となり乾燥機本体が損傷したり、周辺機器に損傷を与えたりするおそれがある。
【0007】
この為、有機性含水汚泥を乾燥させる乾燥機の加熱源を蒸気とし、有機性含水汚泥を間接的に乾燥させることで乾燥機内の温度を一定に保持し、安全で安定的に乾燥運転する蒸気間接加熱方式を用いることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−91496号公報
【特許文献2】特許第3605262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、この蒸気間接加熱方式を用いた場合、乾燥機から排出されるガス中には粉塵と湿り蒸気が多量に含まれているため、熱交換器の乾燥排ガス側が粉塵交じりの水分で閉塞され排熱回収することが困難になることがある。そのため乾燥機からの排ガスはそのままスクラバでミスト除去して大気へ放出しており、装置全体のエネルギー効率が落ちるという問題があった。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、乾燥排ガスから安定的に排熱回収し、効率良く運転することが可能な汚泥燃料化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための実施形態によれば汚泥燃料化装置は、乾燥機と熱分解炭化炉と燃焼炉と排熱回収熱交換器と排熱回収ボイラとを有する。乾燥機は、有機性含水汚泥を乾燥処理して乾燥汚泥を生成する。熱分解炭化炉は、乾燥機で生成された乾燥汚泥を炭化処理して炭化物を生成する。燃焼炉は、炭化処理が行われたことにより発生した熱分解ガスを燃焼処理する。排熱回収熱交換器は、乾燥処理が行われたことにより発生した乾燥排ガスの保有する熱量を温水として回収する。排熱回収ボイラは、燃焼処理が行われたときに発生した燃焼排ガスを加熱源として、排熱回収熱交換器で生成された温水を供給して蒸気を生成し、この蒸気の熱源を乾燥機の乾燥処理に利用させるために供給する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態による汚泥燃料化装置の構成を示す全体図である。
【図2】第1実施形態による汚泥燃料化装置の排熱回収熱交換器の構成を示す断面図である。
【図3】第2実施形態による汚泥燃料化装置の構成を示す全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〈第1実施形態〉
本発明の第1実施形態による汚泥燃料化装置1について、図1を参照して説明する。
【0014】
図1に示すように、汚泥燃料化装置1は、下水汚泥、産廃汚泥等の有機性含水汚泥が投入される有機性含水汚泥投入ホッパ10と、有機性含水汚泥投入ホッパ10の下部に接続され、投入された有機性含水汚泥を移送する含水汚泥投入機(投入フィーダ)11と、含水汚泥投入機11により移送され投入された有機性含水汚泥を乾燥処理して乾燥汚泥を生成する乾燥機20と、乾燥機20で生成された乾燥汚泥が投入される乾燥汚泥投入ホッパ30と、乾燥汚泥投入ホッパ30の下部に接続され、投入された乾燥汚泥を移送する乾燥汚泥投入機31と、乾燥汚泥投入機31により移送され投入された乾燥汚泥を炭化処理して炭化物を生成する熱分解炭化炉40と、熱分解炭化炉40で炭化処理が行われたことにより発生した熱分解ガスを燃焼処理する燃焼炉50と、燃焼炉50で燃焼処理が行われたことにより発生した燃焼排ガスを加熱源として蒸気を生成し、乾燥機20の乾燥処理に利用させるために供給する排熱回収ボイラ60と、乾燥機20で乾燥処理が行われたときに発生した乾燥排ガスから粉塵を回収する粉塵回収装置70と、粉塵が回収された乾燥排ガスの保有する熱量を温水として回収する排熱回収熱交換器80とを有する。
【0015】
乾燥機20は、排熱回収ボイラ60で生成された蒸気が供給される外側ジャケット部21と、外側ジャケット部21の内側に位置し外気と隔離され、回転自在に設置された内部ディスク部22とを有する。内部ディスク部22は、穏やかに回転しながら、投入された有機性含水汚泥を、外側ジャケット部21に供給された蒸気を加熱源として無酸素状態で間接加熱して乾燥する。例えば、外側ジャケット部21に供給された160℃程度の蒸気で含水率80%以上の有機性含水汚泥を間接加熱することで、含水率20%程度の乾燥汚泥が生成されるとともに、90℃程度の乾燥排ガスが排出される。
【0016】
熱分解炭化炉40は外熱式ロータリーキルン型の炭化炉であり、外部エネルギーにより加熱される外側ジャケット部41と、外側ジャケット部41の内側に位置し外気と隔離され、回転自在に設置された内部回転ドラム42とを有する。内部回転ドラム42は、穏やかに回転しながら、投入された乾燥汚泥を、外側ジャケット部41で発生した熱により無酸素状態で炭化処理をする。
【0017】
熱分解炭化炉40の出口側には炭化物排出ダクト43が設置されており、内部回転ドラム42で炭化処理された乾燥汚泥が炭化物として炭化物排出ダクト43から排出される。排出された炭化物は接続された炭化物冷却器44で冷却され、炭化物貯留ホッパ45に貯留される。
【0018】
貯留された炭化物は、炭化物貯留ホッパ45内の高さまたは重量が所定レベル以上になると搬出されるように制御され、利用先での利用方法に合わせた形状の固体燃料として生成される。
【0019】
また、熱分解炭化炉40の炭化処理で発生した熱分解ガスは、熱分解炭化炉40の内部回転ドラム42と燃焼炉50とを接続する熱分解ガスラインを経て燃焼炉50に供給され、燃焼炉50内の燃焼バーナ51の燃料として吸引される。
【0020】
一方、乾燥機20の乾燥処理で発生した乾燥排ガスは、乾燥機20と燃焼炉50とを接続する乾燥排ガスラインの下流に設置された乾燥排ガスブロワ23により吸引され、粉塵回収装置70で粉塵が回収される。
【0021】
粉塵回収装置70としては、サイクロン方式、バグフィルタ方式等のものがあり、有機性含水汚泥性状、乾燥排ガス成分、排ガス流量、レイアウト等に応じて適宜最適な方式が選択される。粉塵回収装置70にサイクロン方式を利用する場合は、乾燥排ガスに遠心力を与えて粉塵を分離捕集する際に、排ガス流速を高めて集塵効率が高まるように設計する。またエアジェットクリーニング装置を内蔵することで運転中でも自動クリーニングが行うことができる。一方、バグフィルタ方式を利用する場合は、排ガスが円筒状に成型されたテフロンフェルトやガラス繊維等のろ布を通過することによりダストを分離捕集する。ろ布表面に付着した粉塵は、運転中でもパルスジェット式の洗浄機構により一定時間毎に払い落とされ、ロータリーフィーダにより排出される。
【0022】
粉塵が回収された乾燥排ガスは排熱回収熱交換器80に送出される。排熱回収熱交換器80の一例としての、掻き取り式の排熱回収交換器80Aを図2に示す。
【0023】
図2に示す排熱回収熱交換器80Aは傾けて設置されており、水または温水が流入される外部水冷ジャケット801と、乾燥排ガスが流入される内部管802とを有する。
【0024】
外部水冷ジャケット801には、水または温水が、排熱回収交換器80A下部の水入口ノズル803から流入されて上部の水出口ノズル804から流出される。
【0025】
また、内部管802には、乾燥排ガスが、排熱回収交換器80Aの上部の乾燥排ガス入口ノズル805から流入されて下部の乾燥排ガス出口ノズル806から流出される。
【0026】
内部管802内には、モータ807の駆動により回転する掻き取り羽根808が設置されており、この掻き取り羽根808が回転することにより内部管802内の乾燥排ガスが撹拌され熱回収効率を向上させることができる。
【0027】
このように排熱回収熱交換器80Aが、外部水冷ジャケット801および内部管802の二重管で構成されることにより、内部管802を通る90℃程度の乾燥排ガスの熱が外部水冷ジャケット801を通る水または温水により回収され、水出口ノズル804からは70〜80℃程度の温水が流出される。
【0028】
ここで乾燥排ガスが内部管802を通る際に、乾燥排ガスが冷却されドレンが凝縮生成されるが、当該排熱回収熱交換器80Aが傾けて設置されているため内部管802の内面、掻き取り羽根808表面を流下し、内部管802内の流路下部に溜まっていく。この溜まったドレンは、内部管802の最下部の内部管最下部ノズル809から流下され排出させることができる。この内部管最下部ノズル809の下部側にはスチームトラップ、ドレン排出電磁弁等のドレン自動回収装置82を設置することで、ドレンの自動回収を行うことが可能となる。
【0029】
尚、排熱回収熱交換器80Aの内部管802、外部水冷ジャケット801の径、肉厚、長さ、スクリュー形状等は、乾燥排ガス、水または温水の設計仕様等に応じて適宜最適設計することが好ましい。
【0030】
この掻き取り式の排熱回収熱交換器80Aはドレン、粉塵等の回収効率を高める方式の熱交換器で、熱交換器が長くなるという欠点があるが、傾けて設置することでスリムに配置できるというメリットがある。
【0031】
また、内部管802のサイズをある程度大きくすることで、内部管802内面で凝縮したドレンが流下し易いようにすることができる。
【0032】
また、排熱回収熱交換器80Aの水出口ノズル804から流出された温水は、温水ダクト83を介して排熱回収ボイラ60に供給される。排熱回収熱交換器80Aで予熱された温水が排熱回収ボイラ60に供給されることにより、通常の軟水処理された低温水が供給される場合に比べ、排熱回収ボイラ60の蒸気発生量を高めることができ、排熱回収効率を高めランニングコストも低減させることができる。
【0033】
一方、排熱回収熱交換器80Aから排出された乾燥排ガスは、スクラバ81において冷却されるとともにミストが除去され、燃焼炉50において燃焼用空気として利用され脱臭処理される。
【0034】
そして、この燃焼炉50で発生した燃焼排ガスを加熱源とする排熱回収ボイラ60において排熱回収熱交換器80Aから供給された温水から蒸気を発生させ、乾燥機20に供給される。また、排熱回収ボイラ60を出た燃焼排ガスは洗浄装置90にて脱硝、脱硫処理され、燃焼排ガスブロワ91で吸引され排気塔92から大気へ放出される。このとき、排熱回収ボイラ60から出た燃焼排ガスを加熱源として加熱した空気を白煙防止用空気として、排気塔92から排気される燃焼排ガスに混合させてもよい。
【0035】
一方、排熱回収熱交換器80Aでは、内部管802の乾燥排ガス流路側には微量の粉塵も流入する為、乾燥排ガス流路側の内部管802内面、掻き取り羽根808表面で徐々に付着、沈着してスケール化し、伝熱特性を低下させ、更にそのスケールが増大してスラッジ堆積量が増えると、乾燥排ガス流路側を塞いでしまうに至る。
【0036】
本実施形態では、排熱回収熱交換器80Aの内部管802に乾燥排ガス入口ノズル805から水蒸気を導入する洗浄機構を設けることにより、水蒸気による内部管802の洗浄を行うことを可能にする。この場合、乾燥排ガス出口ノズル806には配管810を介して粉塵回収槽811が接続され、洗浄後に内部管802から流出された気体(乾燥排ガス+水蒸気+粉塵)が粉塵回収槽811に流入されて気体中の粉塵が回収され排出される。
【0037】
粉塵回収槽811では、流入した洗浄後の気体の流速を高めて螺旋状に流下させ、遠心力で粉塵が分離されて下部の粉塵回収部811aに回収される。尚、この粉塵回収槽811の構造については、粉塵回収効率が高まるように粉塵回収槽811の本体胴の径、高さ、形状、角度、ノズル径、設置位置等を水蒸気の条件等に応じて適宜最適設計することが好ましい。また、粉塵が分離された後の気体(乾燥排ガス+水蒸気)は、汚泥燃料化装置1のスクラバ81に送風するように、配管812により接続される。
【0038】
このように気体である水蒸気を利用して掻き取り式の排熱回収熱交換器80Aの内部管802を洗浄することにより、排熱回収熱交換器80Aを分解せずに、汚泥燃料化装置1の運転を停止させることなく内部管802の流路に付着したスケール、堆積したスラッジ等を洗浄し排出することが可能になる。このとき、汚泥燃料化装置1の運転中に排熱回収ボイラ60で発生した蒸気を使用して、排熱回収交換器80Aの内部管802の洗浄を行うようにしてもよい。
【0039】
以上の本実施形態によれば、排熱回収熱交換器80に溜まるドレンを逐次排出しながら汚泥燃料化装置1を運転することにより、乾燥排ガスの保有する熱量を温水として安定的に回収して効率よく汚泥燃料化処理を行うことができる。また、排熱回収熱交換器80で生成された温水を排熱回収ボイラ60に供給することで、排熱回収ボイラ60に流入される水を予熱して温度を高めることができ、排熱回収ボイラ60の負荷およびランニングコストを低減させることができる。
【0040】
また、上記実施形態においては排熱回収熱交換器80として、傾けて設置された掻き取り式の排熱回収熱交換器80Aを利用した場合について説明したが、これには限定されず、縦型に設置された二重管で構成された排熱回収熱交換器を用いたり、乾燥排ガスの流路に複数の電熱プレートを設置してこれらに水または温水を流入して乾燥排ガスの熱を水または温水により回収するプレート式排熱回収熱交換器を用いたりしてもよい。排熱回収熱交換器80の構成は、乾燥機20からの乾燥排ガスの排熱量、排熱ボイラでの必要発生蒸気量、蒸気圧等に応じて適宜最適な状態に設計することが好ましい。
【0041】
また、上記実施形態においては排熱回収熱交換器80に水蒸気を流入させて洗浄する場合について説明したが、水蒸気に替えて洗浄用ガスを流入させるようにしてもよい。この場合、汚泥燃料化装置1の運転中に使用する際は、粉塵等が可燃性ガスで発火することを防止する為、圧縮窒素等の不活性ガスを使用するのが安全である。
【0042】
また、水蒸気に替えて洗浄用水または薬品液等の液体を流入させるようにしてもよい。この場合、薬品としては例えば、スケールの除去効果が高まる弱酸水溶液(蟻酸、クエン酸、酢酸、リン酸等)を使用することができ、洗浄後は洗浄液を排出して低濃度の水酸化ナトリウム水溶液または重炭酸ソーダ水溶液にて中和した後、十分に水洗するようにしてもよい。このように洗浄用水または薬品液等で排熱回収熱交換器を洗浄することにより、排熱回収熱交換器内の乾燥排ガス側の伝熱面表面に粉塵が付着、堆積することにより熱伝導率の低下、熱交換効率の低下、圧力損失の増大、さらには排熱回収熱交換器ないの閉塞を回避し、長期に渡って安定的に確実に排熱回収を行うことができ、ランニングコストを大幅に低減させることができる。
【0043】
〈第2実施形態〉
本発明の第2実施形態による汚泥燃料化装置2について、図3を参照して説明する。
【0044】
汚泥燃料化装置2は、乾燥機20および粉塵回収装置70に対し複数(本実施形態においては3つ)の排熱回収熱交換器80X、80Y、および80Zが並列して設置され、これら排熱回収熱交換器80X、80Y、および80Zは、スクラバ81および排熱回収ボイラ60にそれぞれダクトで接続されている
このように複数の排熱回収熱交換器80X、80Y、および80Zが並列して設置されることにより、いずれかの排熱回収熱交換器が稼動していれば汚泥燃料化装置2の稼動が可能であるため、洗浄を行う排熱回収熱交換器の稼動を停止させることが可能になる。
【0045】
図3は、排熱回収交換器80X、80Yが稼動中で80Zが洗浄の為に停止中の状態を表している。
【0046】
ここでは、排熱回収熱交換器80Xが稼動中であり、排熱回収熱交換器80Xに水を流入するダクトに設置されたバルブ84X−1と、排熱回収熱交換器80Xに乾燥排ガスを流入するダクトに設置されたバルブ84X−2と、排熱回収熱交換器80Xから排出される乾燥排ガスを排出するダクトに設置されたバルブ84X−3と、排熱回収熱交換器80Xから排出される温水が通るダクト中に設置されたバルブ84X−4とが開状態であることを示している。
【0047】
また排熱回収熱交換器80Yが稼動中であり、排熱回収熱交換器80Yに水を流入するダクトに設置されたバルブ84Y−1と、排熱回収熱交換器80Yに乾燥排ガスを流入するダクトに設置されたバルブ84Y−2と、排熱回収熱交換器80Yから排出される乾燥排ガスを排出するダクトに設置されたバルブ84Y−3と、排熱回収熱交換器80Yから排出される温水が通るダクト中に設置されたバルブ84Y−4とが開状態であることを示している。
【0048】
また排熱回収熱交換器80Zが洗浄のために停止中であり、排熱回収熱交換器80Zに水を流入するダクトに設置されたバルブ84Z−1と、排熱回収熱交換器80Zに乾燥排ガスを流入するダクトに設置されたバルブ84Z−2と、排熱回収熱交換器80Zから排出される乾燥排ガスを排出するダクトに設置されたバルブ84Z−3と、排熱回収熱交換器80Zから排出される温水が通るダクト中に設置されたバルブ84Z−4とが閉状態であることを示している。そして、排熱回収熱交換器80Zに洗浄用の水蒸気やガス等を流入するダクトに設置されたバルブ84Z−5が開状態にされ、排熱回収熱交換器80Zの洗浄が行われる。
【0049】
また、排熱回収熱交換器80Xまたは80Yの洗浄処理を行う際は、上記説明と同様にそれぞれ対応するダクトのバルブを閉状態に切り替え、運転させる排熱回収熱交換器に接続されたバルブを開状態に切り替えることにより、当該洗浄処理を行いながら汚泥燃料化装置2の運転を継続することが可能である。
【0050】
以上の本実施形態によれば、汚泥燃料化装置2内に複数の排熱回収熱交換器80X、80Y、および80Zを並列して設置して運転切り替え可能な構成とすることにより、いずれかの排熱回収熱交換器で洗浄処理を行うために運転を停止させても他の排熱回収熱交換器を稼動させることにより汚泥燃料化装置2の運転を継続することができるため、常時安定して汚泥燃料化装置を運転でき、ランニングコストを大幅に低減さえることができる。また、停止させた排熱回収熱交換器では、洗浄処理を確実に実行することができる。
【0051】
これらの複数の排熱回収熱交換器は、同一形態の熱交換器を複数台設置しても、異なる形態の熱交換器を設置してもよいが、同一形態の熱交換器を設置すれば同じ部品を他の熱交換器にも流用でき、互換性があるためメンテナンスが行い易く、ランニングコストも低減させることができる。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1、2…汚泥燃料化装置
10…有機性含水汚泥投入ホッパ
11…含水汚泥投入機
20…乾燥機
21…外側ジャケット部
22…内部ディスク部
23…乾燥排ガスブロワ
30…乾燥汚泥投入ホッパ
31…乾燥汚泥投入機
40…熱分解炭化炉
41…外側ジャケット部
42…内部回転ドラム
43…炭化物排出ダクト
44…炭化物冷却器
45…炭化物貯留ホッパ
50…燃焼炉
51…燃焼バーナ
60…排熱回収ボイラ
70…粉塵回収装置
80、80A、80X、80Y、80Z…排熱回収熱交換器
81…スクラバ
82…ドレン自動回収装置
83…温水ダクト
84X−1〜84X−4、84Y−1〜84Y−4、84Z−1〜84Z−5…バルブ
90…洗浄装置
91…燃焼排ガスブロワ
92…排気塔
801…外部水冷ジャケット
802…内部管
803…水入口ノズル
804…水出口ノズル
805…乾燥排ガス入口ノズル
806…乾燥排ガス出口ノズル
807…モータ
808…掻き取り羽根
809…内部管最下部ノズル
810…配管
811…粉塵回収槽
811a…粉塵回収部
812…配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性含水汚泥を乾燥処理して乾燥汚泥を生成する乾燥機と、
前記乾燥機で生成された乾燥汚泥を炭化処理して燃料とするための炭化物を生成する熱分解炭化炉と、
前記熱分解炭化炉で炭化処理が行われたことにより発生した熱分解ガスを燃焼処理する燃焼炉と、
前記乾燥機で乾燥処理が行われたことにより発生した乾燥排ガスの保有する熱量を温水として回収する排熱回収熱交換器と、
前記燃焼炉で燃焼処理が行われたときに発生した燃焼排ガスを加熱源として、前記排熱回収熱交換器で生成された温水から蒸気を生成し、この蒸気の熱源を前記乾燥機の乾燥処理に利用させるために供給する排熱回収ボイラと
を備えることを特徴とする汚泥燃料化装置。
【請求項2】
複数の排熱回収熱交換器が前記乾燥機に対して並列に設置され、これらの排熱回収熱交換器の中のいずれかが、前記乾燥排ガスの保有する熱量を温水として回収する処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の汚泥燃料化装置。
【請求項3】
前記排熱回収熱交換器内に水蒸気を流入して、当該排熱回収熱交換器内の粉塵を洗浄する洗浄機構と、
当該排熱回収熱交換器から流出された洗浄後の気体中の粉塵を回収する粉塵回収槽と
をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の汚泥燃料化装置。
【請求項4】
前記排熱回収熱交換器は、回転自在な掻き取り羽根を有する掻き取り式の排熱回収熱交換器が傾けて設置されたものである
ことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の汚泥燃料化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−60480(P2013−60480A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198045(P2011−198045)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】