説明

汚濁物除去方法および汚濁物除去装置

【課題】浮遊汚濁物質をより多く除去できる汚濁物除去方法および汚濁物除去装置を提供する。
【解決手段】 浮遊汚濁物質が含まれている測定水の汚濁を除去する汚濁物除去方法において、
タンク内をメッシュ状の金網で仕切って2つの部屋を形成する第1のステップと、
一方の部屋に前記測定水を導入させ、前記金網を通過した測定水を他方の部屋に流入させる第2のステップと、
前記他方の部屋に流入した測定水を前記一方の部屋に測定水を導入開始後から所定期間排出する第3のステップと、
この第3のステップ終了後に前記他方の部屋に流入した測定水を採取して分析側に送る第4のステップと、
を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮遊汚濁物質が含まれている測定水の汚濁を除去する汚濁物除去方法および汚濁物除去装置に関する。たとえば本発明を下水道施設の細菌反応槽(ばっ気槽)の水を測定する前処理に用いることにより、測定水から浮遊物(Suspended Solids)を安定して除去でき、測定精度の向上に資する。
【背景技術】
【0002】
下水に活性汚泥を混ぜて、空気を吹き込むと、活性汚泥と下水がよく混じり合い、好気性細菌は吹き込まれた空気中の酸素の助けを借りて、どんどん汚れを食べてゆき、時間が経つに従って、しだいに大きな固まりとなる。
下水処理は、このように活性汚泥に空気を送り込みながらかき混ぜ(エアレーション)、好気性の微生物のはたらきによって汚れ(主に有機物)を分解し、さらに疑集剤を加えて化学的にリンを取り除く方法である。
【0003】
エアレーションによって下水中のリンのほとんどはリン酸イオン(PO43-)になり、この中に疑集剤のポリ塩化アルミニウム(PAC)を加えるとリン酸イオンはアルミニウムイオン(Al3+)と反応して、リン酸アルミニウム(AlPO4)となって沈殿する。この沈殿物を余剰汚泥として最終沈殿池から引き抜くことで、リンを除去する。
【0004】
このようにしてリンが除去された下水(測定水)については、分析する前に沈殿物を取り除いた状態で分析計側に送り込む必要がある。一般に測定計器類は精密機器であるため汚れに弱く、汚れた測定水を分析計側へ送ると、分析計内の配管やフィルタが詰まり、指示誤差の原因となる。
【0005】
そこで、沈殿物が沈降分離することを利用して、オーバーフロータンクにこの測定水を流し込んで、所定時間静止した状態を維持させておいて沈降させ、上部の上澄み液をポンプで採取して分析計側に送るという構成、いわゆる、サンプル前処理部を設ける。
【0006】
図3は従来のサンプル前処理部を示す図である。サンプル前処理部は、図3に示すように、オーバーフロータンクTK1内をメッシュ状の金網11で仕切って形成された、第1および第2の2つの部屋で構成される。
【0007】
金網11を仕切りにした第1の部屋12の側壁の略中央位置に洗浄水を金網11方向に噴射させる第1のスプレー14を設け、この第1のスプレー14よりも上部位置にオーバーフローした測定水を流し出すオーバーフロー口(図示せず)を設け、底部には測定水を入れるための測定水口16を設け、その近傍位置に部屋内部の水を排出する第1のドレン口17を備えた構造となっている。
【0008】
第1のスプレー14は電磁弁SV1を介在させて洗浄水を供給するパイプ(図示せず)に連通している。オーバーフロー口は排水パイプ(図示せず)に連通している。測定水口16は、バルブMV1を介在させて測定水を供給するパイプ(図示せず)に連通している。第1のドレン口17はピンチ弁PV1を介在させて排水パイプに連通している。
【0009】
また、金網11で仕切られた第2の部屋13の側壁の略中央位置に洗浄水を金網11方向に噴射させる第2のスプレー15を設け、この第2のスプレー15の噴射方向を避ける位置であって底部から離れた中空位置に配置してなる測定水を吸い込む吸い込み口23を設け、底部に部屋内部の水を排出するための第2のドレン口18を備えた構造となっている。
【0010】
第2のスプレー15は電磁弁SV2を介在させて洗浄水を供給するパイプに連通している。第2のドレン口18はピンチ弁PV2を介在させて排水パイプに連通している。
【0011】
第2の部屋13には第2の部屋13に取り込んだ測定水を静止した状態にしたときの上澄み液を採取する吸い込み口23を設けた構造となっている。吸い込み口23は、ポンプPU1を介して分析側である測定計器2に連通している。
【0012】
このような構成からなるオーバーフロータンクTK1において、第1および第2のスプレー14、15が金網11に対して洗浄水を噴射させることで金網11を洗浄する。なお、第1および第2のスプレー14、15で金網洗浄手段を形成する。
【0013】
このような構成からなるサンプル前処理部においては、オーバーフロータンクTK1内に取り入れた測定水を金網11を通過させ、その金網11を通過した測定水を所定時間静止した後に上澄み液を採取する。
【0014】
図4は従来の汚濁物除去装置の動作シーケンスを示す図である。各シーケンスについて順次説明する。
【0015】
(1)シーケンスSEQ1
モーターバルブMV1を開の状態にして測定水を第1の部屋12に導入する。金網11を通過した測定水が第2の部屋13に流入する。測定水が金網11を通ることで浮遊汚濁物質がろ過された測定水が第2の部屋13に供給される。この間、モーターバルブMV1以外のバルブは閉の状態にしておく。
【0016】
(2)シーケンスSEQ2
モーターバルブMV1を閉の状態にするとともに、ポンプPU1を駆動させて第2の部屋13にて沈降分離した測定水の上澄み液を吸い込み口23から吸い込む。採取された測定水は分析側へ送られ、測定が開始される。
【0017】
(3)シーケンスSEQ3
ピンチ弁PV1,PV2を開の状態にし、第1および第2の部屋から測定水を排出する。
【0018】
(4)シーケンスSEQ4
ピンチ弁PV1,PV2を閉の状態にする。電磁弁SV1,SV2を開の状態にし、洗浄水をスプレー14,15に供給し、金網11方向に洗浄水を噴射する。これにより金網11が両面から洗浄される。
【0019】
(5)シーケンスSEQ5
電磁弁SV1,SV2を閉の状態にする。ピンチ弁PV1,PV2を開の状態にし、第1および第2の部屋から洗浄水を排出する。
【0020】
上記のシーケンスSEQ1〜SEQ5を繰り返し行うことで、所定大きさの浮遊沈殿物を金網で強制的に除去して沈降分離した測定水を採取して分析計側に送ることができる。
【0021】
下記特許文献1には、オーバーフロータンク内において金網を利用して浮遊汚濁物を除去した後の測定水を分析計側に送るようにした汚濁物除去方法および汚濁物除去装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2007−263633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、洗浄直後の金網11はメッシュの開口部分が大きいため、測定水の導入当初は第2の部屋13に大きな汚濁物が流入してきてしまう。そのため、金網11によってある程度の汚れ除去効果は得られるものの、第2の部屋13の測定水も汚れが多く残ったものとなってしまう。その結果、分析側へ送られる測定水にも汚れが多く含まれ、測定計器類が汚濁物に含まれる測定成分も測定してしまい、指示値が高くなってしまう。また、測定計器内の配管やフィルタに詰まりが発生しやすく、清掃やフィルタ交換などのメンテナンスを頻繁にしなければならない。
【0024】
本発明は、従来の問題をなくし、浮遊汚濁物質をより多く除去できる汚濁物除去方法および汚濁物除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
このような課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
浮遊汚濁物質が含まれている測定水の汚濁を除去する汚濁物除去方法において、
タンク内をメッシュ状の金網で仕切って2つの部屋を形成する第1のステップと、
一方の部屋に前記測定水を導入させ、前記金網を通過した測定水を他方の部屋に流入させる第2のステップと、
前記他方の部屋に流入した測定水を前記一方の部屋に測定水を導入開始後から所定期間排出する第3のステップと、
この第3のステップ終了後に前記他方の部屋に流入した測定水を採取して分析側に送る第4のステップと、
を備えることを特徴とする。
【0026】
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の汚濁物除去方法において、
前記第3のステップにおける前記所定期間は、前記測定水を前記分析側で分析可能な程度にろ過するために必要な目詰まりを前記金網に発生させる期間とすることを特徴とする。
【0027】
請求項3に記載の発明は、
請求項1または2に記載の汚濁物除去方法において、
前記第3のステップにおける前記所定期間は、経験的に定められることを特徴とする。
【0028】
請求項4に記載の発明は、
前記測定水がばっ気槽内に導かれた下水であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の汚濁物除去方法。
【0029】
請求項5に記載の発明は、
浮遊汚濁物質が含まれている測定水の汚濁を除去する汚濁物除去装置において、
前記測定水が導入される第1の部屋と、
この第1の部屋とメッシュ状の金網で仕切って形成された第2の部屋と、
これら第1および第2の部屋の前記測定水の導入および排出を制御する制御部と、
を備え、
この制御部は、前記第1の部屋に前記測定水を導入して前記金網を通過した前記測定水を前記第2の部屋に流入させるとともに、前記第1の部屋への前記測定水の導入開始から所定期間前記第2の部屋に流入してくる前記測定水を排出し、その後に前記第2の部屋に流入してくる測定水を採取して分析側に送ることを特徴とする。
【0030】
請求項6に記載の発明は、
請求項5に記載の汚濁物除去装置において、
前記所定期間は、前記測定水を前記分析側で分析可能な程度にろ過するために必要な目詰まりを前記金網に発生させる期間であることを特徴とする。
【0031】
請求項7に記載の発明は、
請求項5または6に記載の汚濁物除去装置において、
前記所定期間は、経験的に定められることを特徴とする。
【0032】
請求項8に記載の発明は、
請求項5〜7のいずれかに記載の汚濁物除去装置において、
前記測定水がばっ気槽内に導かれた下水であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明の汚濁物除去方法によれば、
タンク内をメッシュ状の金網で仕切って2つの部屋を形成する第1のステップと、一方の部屋に前記測定水を導入させ、前記金網を通過した測定水を他方の部屋に流入させる第2のステップと、前記他方の部屋に流入した測定水を前記一方の部屋に測定水を導入開始後から所定期間排出する第3のステップと、この第3のステップ終了後に前記他方の部屋に流入した測定水を採取して分析側に送る第4のステップとを備えたことにより、
金網に意図的に目詰まりを発生させ、目詰まりした状態で測定水をろ過するため、測定水から浮遊汚濁物質を安定して大幅に除去できる。
【0034】
本発明の汚濁物除去装置によれば、
測定水が導入される第1の部屋と、この第1の部屋とメッシュ状の金網で仕切って形成された第2の部屋と、これら第1および第2の部屋の前記測定水の導入および排出を制御する制御部とを備え、
この制御部は、前記第1の部屋に前記測定水を導入して前記金網を通過した前記測定水を前記第2の部屋に流入させるとともに、前記第1の部屋への前記測定水の導入開始から所定期間前記第2の部屋に流入してくる前記測定水を排出し、その後に前記第2の部屋に流入してくる測定水を採取して分析側に送ることにより、
金網に意図的に目詰まりを発生させ、目詰まりした状態で測定水をろ過するため、測定水から浮遊汚濁物質を安定して大幅に除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の汚濁物除去方法および汚濁物除去装置の一実施例として、本発明を下水道施設の細菌反応槽(ばっ気槽)の水を測定する前処理に用いた例を示す図である。
【図2】本実施例の汚濁物除去装置の動作シーケンスを示す図である。
【図3】従来のサンプル前処理部を示す図である。
【図4】従来の汚濁物除去装置の動作シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0036】
図1は、本発明の汚濁物除去方法および汚濁物除去装置の一実施例として、本発明を下水道施設の細菌反応槽(ばっ気槽)の水を測定する前処理に用いた例を示す図である。本実施例は、従来例を示す図3に対し、制御部3を追加したものである。従来例と同一構成には同じ番号を付して説明を省略する。
【0037】
図1で、第2の部屋13には第2の部屋13に取り込んだ測定水を採取する吸い込み口23を設けた構造となっている。吸い込み口23は、ポンプPU1を介して分析側である測定計器2に連通している。
【0038】
このような構成からなるオーバーフロータンクTK1において、第1および第2のスプレー14、15が金網11に対して洗浄水を噴射させることで金網11を洗浄する。なお、第1および第2のスプレー14、15で金網洗浄手段を形成する。
【0039】
このような構成からなるサンプル前処理部においては、オーバーフロータンクTK1内に取り入れた測定水を金網11を通過させ、その金網11を通過した測定水を採取する。
【0040】
モーターバルブMV1、ピンチ弁PV1,PV2、電磁弁SV1,SV2の開閉制御は制御部3からの制御信号に基づいて行われる。
【0041】
図2は本実施例の汚濁物除去装置の動作シーケンスを示す図である。本実施例の動作シーケンスは、従来例を示す図4に対し、シーケンスSEQ1の前段にシーケンスSEQxを設けたものである。各シーケンスについて順次説明する。
【0042】
(1)シーケンスSEQx(期間t)
モーターバルブMV1を開の状態にするとともに、ピンチ弁PV2も開の状態にする。
モーターバルブMV1を開の状態にすることで第1の部屋に測定水が導入される。第1の部屋12に入った測定水は、金網11を通って第2の部屋13に入り、そのまま第2の部屋からドレン排出される。金網11は測定水が通ることによって目詰まりが起き、第2の部屋には大きな汚れが流入しなくなっていく。シーケンスSEQxの期間tは、第2の部屋に流入する測定水が、分析側で分析可能な程度に汚濁物が除去されるかどうかを目安に設定する。すなわち、期間tは、測定水を分析側で分析可能な程度にろ過するための目詰まりを金網11に発生させるのに必要な期間とする。具体的な期間の長さは経験的に求める。
【0043】
(2)シーケンスSEQ1
モーターバルブMV1は開の状態を維持させるとともに、ピンチ弁PV2を閉の状態にし、金網11を通過した測定水を第2の部屋13に溜める。金網11には、シーケンスSEQxにより、分析側で分析可能な程度に汚濁物をろ過するのに十分な目詰まりが発生しているため、金網11を通過して第2の部屋13に流入してくる測定水は十分に汚濁物が除去されたものとなる。
【0044】
(3)シーケンスSEQ2
モーターバルブMV1を閉の状態にするとともに、ポンプPU1を駆動させて第2の部屋13から測定水を吸い込み口23から吸い込む。採取された測定水は分析側へ送られ、測定が開始される。
【0045】
(4)シーケンスSEQ3
ピンチ弁PV1,PV2を開の状態にし、第1および第2の部屋から測定水を排出する。
【0046】
(5)シーケンスSEQ4
ピンチ弁PV1,PV2を閉の状態にし、電磁弁SV1,SV2を開の状態にする。電磁弁SV1,SV2を開の状態にすることで、洗浄水がスプレー14,15に供給され、金網11方向に洗浄水が噴射されることで、金網11が両面から洗浄される。このとき、スプレー14とスプレー15の両者が同時に噴射すると、金網11の両面が同時に洗浄される。
【0047】
(6)シーケンスSEQ5
電磁弁SV1,SV2を閉の状態にする。ピンチ弁PV1,PV2を開の状態にし、第1および第2の部屋から洗浄水を排出する。
【0048】
上記のシーケンスSEQx〜SEQ5を繰り返し行うことで、金網11により汚濁物を十分に除去した測定水を採取して分析計側に送ることができる。
【0049】
本実施例の効果を従来例と比較した結果について記載する。下水道施設の細菌反応槽(ばっ気槽)の水は非常に汚れが強く、大量の汚濁物を含んでいる。シーケンスSEQxがない従来例においては、第2の部屋13に流入した測定水にも汚濁物が多く残り、強く濁って見えた。これに対し、金網11として200meshの金網を用い、シーケンスSEQxの期間tを1分間として本実施例を実施した結果、第2の部屋13に溜まる測定水は汚濁物が大幅に除去されたものとなり、見た目はほぼ真水状態となった。また、細菌の活性度合や浮遊汚濁物質の大きさに関わらず、安定して浮遊物を除去できた。
【0050】
この測定水を採取して分析側で測定したところ、浮遊物の影響が大幅に低減され、指示値に高い信頼性が得られることがわかった。また、汚れによる測定計器の故障やフィルタの詰まりが発生しにくくなり、清掃やフィルタ交換などのメンテナンスの頻度を格段に減らすことができた。本実施例のような下水道施設の細菌反応槽(ばっ気槽)の水の測定の例では、従来例では1〜2日に1度の頻度でメンテナンスを行わなければならなかったのに対し、本実施例を適用した場合のメンテナンス頻度は1ヶ月に1度程度となった。
【0051】
なお、期間tを何通りか変化させ、金網11によるろ過後の測定水を分析側の測定計器類で計った指示値と、ラボで測定した手分析の値との比較を行ったところ、期間tを延ばすほど手分析との誤差が小さくなり、指示値の信頼性が高くなることがわかった。
【0052】
また、従来例では第2の部屋13に流入した測定液を沈降分離させるための静止時間が必要であったが、本発明によれば第2の部屋13に溜まるのは十分に汚濁物が除去された測定水となるため、沈降分離のための静止時間を設ける必要がなく、サンプル前処理にかかる時間を短縮できる。
【0053】
本実施例の汚濁物除去方法によれば、
オーバーフロータンクTK1内をメッシュ状の金網11で仕切って2つの部屋(第1の部屋12と第2の部屋13)を形成する第1のステップと、一方の部屋(第1の部屋12)に測定水を導入させ、金網11を通過した測定水を他方の部屋(第2の部屋13)に流入させる第2のステップと、他方の部屋(第2の部屋13)に流入した測定水を一方の部屋(第1の部屋12)に測定水を導入開始後から所定期間(期間t)排出する第3のステップ(シーケンスSEQx)と、この第3のステップ終了後に他方の部屋(第2の部屋13)に流入した測定水を採取して分析側に送る第4のステップとを備えたことにより、
金網11に意図的に目詰まりを発生させ、目詰まりした状態で測定水をろ過するため、測定水から浮遊汚濁物質を安定して大幅に除去できる。
金網11を通過した測定水をしばらく排出し、あえて金網11の目を詰まらせ、負荷をかけた状態でろ過した測定水から分析側へ送るサンプルを採取するようにしたことで、定量的にきれいな測定水を分析側へ送ることができる。
【0054】
また、第3のステップにおける期間tは、測定水を分析側で分析可能な程度にろ過するために必要な目詰まりを金網11に発生させる期間とするため、分析側の測定計器類にかかる負担が大幅に軽減され、指示値の信頼性を高めることができる。
【0055】
また、第3のステップにおける期間tを経験的に定めることにより、本実施例の汚濁物除去方法を適用するアプリケーションごとに最適な期間を設定できる。
【0056】
また、本実施例の汚濁物除去方法をばっ気槽内に導かれた下水を測定する場合の前処理に適用すれば、測定水中の浮遊物の影響が大幅に低減され、測定指示値の信頼性を高めることができるとともに、測定水の汚れによる測定計器の故障やフィルタの詰まりが発生しにくくなり、清掃やフィルタ交換などのメンテナンスの頻度を格段に減らすことができる。
【0057】
また、本実施例の汚濁物除去装置によれば、
測定水が導入される第1の部屋12と、この第1の部屋12とメッシュ状の金網11で仕切って形成された第2の部屋13と、これら第1および第2の部屋の測定水の導入および排出を制御する制御部3とを備え、
この制御部3は、第1の部屋12に測定水を導入して金網11を通過した測定水を第2の部屋13に流入させるとともに、第1の部屋12への測定水の導入開始から所定期間(期間t)第2の部屋13に流入してくる測定水を排出し、その後に第2の部屋13に流入してくる測定水を採取して分析側に送ることにより、
金網11に意図的に目詰まりを発生させ、目詰まりした状態で測定水をろ過するため、測定水から浮遊汚濁物質を安定して大幅に除去できる。
金網11を通過した測定水をしばらく排出し、あえて金網11の目を詰まらせ、負荷をかけた状態でろ過した測定水から分析側へ送るサンプルを採取するようにしたことで、定量的にきれいな測定水を分析側へ送ることができる。
【0058】
また、期間tは、測定水を分析側で分析可能な程度にろ過するために必要な目詰まりを金網11に発生させる期間とするため、分析側の測定計器類にかかる負担が大幅に軽減され、指示値の信頼性を高めることができる。
【0059】
また、期間tを経験的に定めることにより、本実施例の汚濁物除去装置を適用するアプリケーションごとに最適な期間を設定できる。
【0060】
また、本実施例の汚濁物除去装置をばっ気槽内に導かれた下水を測定する場合の前処理に適用すれば、測定水中の浮遊物の影響が大幅に低減され、測定指示値の信頼性を高めることができるとともに、測定水の汚れによる測定計器の故障やフィルタの詰まりが発生しにくくなり、清掃やフィルタ交換などのメンテナンスの頻度を格段に減らすことができる。
【0061】
本実施例におけるオーバーフロータンクTK1は特許請求の範囲におけるタンクに相当する。
【符号の説明】
【0062】
TK1 オーバーフロータンク
11 金網
12 第1の部屋
13 第2の部屋
2 測定計器
3 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮遊汚濁物質が含まれている測定水の汚濁を除去する汚濁物除去方法において、
タンク内をメッシュ状の金網で仕切って2つの部屋を形成する第1のステップと、
一方の部屋に前記測定水を導入させ、前記金網を通過した測定水を他方の部屋に流入させる第2のステップと、
前記他方の部屋に流入した測定水を前記一方の部屋に測定水を導入開始後から所定期間排出する第3のステップと、
この第3のステップ終了後に前記他方の部屋に流入した測定水を採取して分析側に送る第4のステップと、
を備えることを特徴とする汚濁物除去方法。
【請求項2】
前記第3のステップにおける前記所定期間は、前記測定水を前記分析側で分析可能な程度にろ過するために必要な目詰まりを前記金網に発生させる期間とすることを特徴とする請求項1に記載の汚濁物除去方法。
【請求項3】
前記第3のステップにおける前記所定期間は、経験的に定められることを特徴とする請求項1または2に記載の汚濁物除去方法。
【請求項4】
前記測定水がばっ気槽内に導かれた下水であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の汚濁物除去方法。
【請求項5】
浮遊汚濁物質が含まれている測定水の汚濁を除去する汚濁物除去装置において、
前記測定水が導入される第1の部屋と、
この第1の部屋とメッシュ状の金網で仕切って形成された第2の部屋と、
これら第1および第2の部屋の前記測定水の導入および排出を制御する制御部と、
を備え、
この制御部は、前記第1の部屋に前記測定水を導入して前記金網を通過した前記測定水を前記第2の部屋に流入させるとともに、前記第1の部屋への前記測定水の導入開始から所定期間前記第2の部屋に流入してくる前記測定水を排出し、その後に前記第2の部屋に流入してくる測定水を採取して分析側に送ることを特徴とする汚濁物除去装置。
【請求項6】
前記所定期間は、前記測定水を前記分析側で分析可能な程度にろ過するために必要な目詰まりを前記金網に発生させる期間であることを特徴とする請求項5に記載の汚濁物除去装置。
【請求項7】
前記所定期間は、経験的に定められることを特徴とする請求項5または6に記載の汚濁物除去装置。
【請求項8】
前記測定水がばっ気槽内に導かれた下水であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の汚濁物除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−257359(P2011−257359A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134136(P2010−134136)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】