説明

決済システム、暗証番号入力装置、及び決済端末

【課題】クレジットカードやデビットカードを用いた暗証番号の入力を伴うカード決済を行うに際し、処理の進捗を顧客に知らせて顧客への便宜を図ること。
【解決手段】外部機器と通信接続され、商取引を決済処理する決済端末と、暗証番号を入力する操作部を備えた暗証番号入力装置とを通信接続し、決済用カードのカード情報と前記暗証番号入力装置を介して入力される暗証番号とを用いて商取引をカード決済する決済システムであって、前記決済端末にカード決済の進捗状況を特定させ、暗証番号入力装置に通知させる。暗証番号入力装置では、決済端末から通知されたカード決済の進捗状況を段階的に表すグラフィックをディスプレイに表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレジットカードやデビットカードを用いたカード決済により、商取引を会計する決済システム、このシステムで用いられる暗証番号入力装置及び決済端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クレジットカードやデビットカード等のカード媒体を用いて商取引の代金を支払う、いわゆるカード決済が広く利用されている。カード決済は、決済端末に暗証番号入力用のピンパッドを接続した決済システムを用いて行われる。
【0003】
決済システムを用いて決済する際には、決済端末或いはピンパッドに設けられたカードリーダに前記カード媒体を挿入し、クレジットカード番号等のカード情報を読み取り、ピンパッドを介した暗証番号の入力を受け付ける。そして、入力された暗証番号の認証、読み取ったカード情報に基づく問合せ情報の作成、決済機関が運用する管理センタへの問合せ情報の送信等が実行される。前記管理センタでは、信用照会やオーソリゼーションが実行され、その結果を決済端末に送信する。決済端末は、前記管理センタから承認情報を受信したならば、当該カード媒体を用いたカード決済を行う。
【0004】
このように、カード媒体から情報が読み取られた後、カード決済が行われるまでに、複数のステップを踏む必要がある。通常は、決済端末と前記管理センタとの遣り取りの進捗状況を決済端末のオペレータに知らせるべく、決済端末のディスプレイに進捗状況を知らせるメッセージやアニメーションが表示される。
【0005】
このように処理の進捗状況をオペレータに知らせる先行技術としては、例えば特許文献1に開示されたファクシミリ装置が知られている。この装置は、原稿を読み取る際に送信原稿枚数を計数して送信先装置に送信するものであり、データ受信時には、送信元の同装置から受信した送信原稿枚数と、受信済みの原稿枚数とを同時に表示出力することで通信の進捗状況をオペレータに知らせている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記したように、オペレータは決済端末のディスプレイを介してカード決済の進捗を知ることができる。しかしながら、カードの所有者たる顧客は、前記ディスプレイを見ることができず、処理の進捗を知ることができないため、顧客は会計を終えるまでにどの程度の時間が掛かるのか分からないし、ピンパッドの操作が適切であったかどうかについて疑問に思い、不安になることがある。このような現状を踏まえて、顧客にもカード決済の進捗が分かるようにして欲しいとの要望があった。
【0007】
本発明は、上記のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、クレジットカードやデビットカードを用いた暗証番号の入力を伴うカード決済を行うに際し、処理の進捗を顧客に知らせて顧客への便宜を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、次の手段を講じている。
【0009】
本発明の第1の視点は、カードの暗証番号を入力する暗証番号入力手段と、この暗証番号入力手段により入力された暗証番号を出力する暗証番号出力手段とを有する暗証番号入力装置と、前記暗証番号出力手段により出力された暗証番号を受信する受信手段と、この受信手段を介して受信した暗証番号を外部機器に送信する送信手段とを有する決済端末とを備える決済システムであって、前記決済端末は、前記送信手段を介して前記外部機器に送信された暗証番号を用いて前記外部機器との間で行われる処理の進捗状況を特定する進捗特定手段と、この進捗特定手段によって特定される前記暗証番号を用いた処理の進捗状況を前記暗証番号入力装置に出力する状況出力手段と、を備え、前記暗証番号入力装置は、前記決済端末から通知される前記暗証番号を用いた処理の進捗状況を表示する表示手段を備えた決済システムである。
【0010】
本発明の第2の視点は、カードの暗証番号を入力する暗証番号入力手段と、この暗証番号入力手段により入力された暗証番号を、外部機器と接続された決済端末に出力する暗証番号出力手段と、前記決済端末が前記暗証番号出力手段を介して出力された暗証番号を用いて前記外部機器との間で行う処理に関し、前記決済端末から出力される当該処理の進捗状況を表示する表示手段を備えた暗証番号入力装置である。
【0011】
本発明の第3の視点は、カードの暗証番号を入力する暗証番号出力手段から出力される前記暗証番号を受信する受信手段と、この受信手段を介して受信した暗証番号を外部機器に送信する送信手段と、この送信手段を介して前記外部機器に送信された暗証番号を用いて前記外部機器との間で行われる処理の進捗状況を特定する進捗特定手段と、この進捗特定手段によって特定される前記暗証番号を用いた処理の進捗状況を前記暗証番号入力装置に出力する状況出力手段とを備えた決済端末である。
【発明の効果】
【0012】
このような手段を講じた本発明によれば、クレジットカードやデビットカードを用いた暗証番号の入力を伴うカード決済を行うに際し、処理の進捗を顧客に知らせて顧客への便宜を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態における決済システムの構成を示す外観図。
【図2】同システムで使用される決済端末の制御回路を示すブロック図。
【図3】同システムで使用される決済端末が記憶したテーブルのデータ構造を示す図。
【図4】同システムで使用されるピンパッドの制御回路を示すブロック図。
【図5】同システムで使用されるピンパッドが記憶したテーブルのデータ構造を示す図。
【図6】同システムで使用される決済端末及びピンパッドのCPUが実行する処理のフローチャート。
【図7】同システムで使用される決済端末のディスプレイに表示されるグラフィック例を示す図。
【図8】同システムで使用されるピンパッドのディスプレイに表示されるグラフィック例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
この実施形態は、小売店や飲食店等で使用される決済システムに本発明を適用した一例である。
【0015】
図1は、本実施形態における決済システムの構成を示す外観図である。
このシステムは、決済端末1と、ピンパッド2とを接続ケーブル3で相互通信可能に接続して構成されている。
【0016】
決済端末1の本体10は、ディスプレイ11と、磁気カードリーダ12と、後述のレシートプリンタ16により印刷されたレシートが排出されるレシート発行口13と、商用交流電源等の外部電源からの電源供給をオン/オフする電源スイッチ14とを備えている。また、本体10の後部からは、クレジットカード等の決済機関が運営する管理センタとインターネットを介して通信接続するための通信ケーブル15が延出している。
ディスプレイ11は、表示面を覆うようにタッチパネル17が設けられたLCD(Liquid Crystal Display)であり、取引のカード決済に必要な情報等が選択的に表示される。
磁気カードリーダ12は、磁気ストライプが設けられたクレジットカードやデビットカード等のカード媒体がスライドされたことに応じて、前記磁気ストライプに記憶されたカード番号等のカード情報を読み取る。
【0017】
ピンパッド2の本体20は、ディスプレイ21と、操作部22とを備えている。また、本体20の後部側には、後述のICカードリーダライタ23によるデータ読み出し/書き込み対象となるICカードを挿入するためのカード挿入口が設けられている。
ディスプレイ21は、英数字等のキャラクタやグラフィックを表示可能な、いわゆるドットマトリクス方式のLCDであり、暗証番号の入力に関するメッセージやカード決済の進捗を示すグラフィックを表示する。
操作部22は、本実施形態における暗証番号入力手段として機能するものであり、数値入力用のテンキー、入力済みの数値を訂正するための訂正キー、入力された暗証番号を確定するための確定キー等で構成されている。
次に、決済端末1の制御回路について説明する。
図2は、決済端末1の制御回路を示すブロック図である。本体10には、メインの制御手段として機能するCPU(Central Processing Unit)100が内蔵されている。そして、このCPU100に対し、ROM(Read Only Memory)101,RAM(Random Access Memory)102,時計回路103,通信I/F(Interface)104、接続I/F105、表示コントローラ106、入力コントローラ107、カードリーダコントローラ108、及びプリンタコントローラ109等がアドレスバスやデータバス等のバスライン110を介して接続されて、制御回路が構成されている。
そして、通信I/F104に前記通信ケーブル15が接続され、接続I/F105に前記接続ケーブル3が接続され、表示コントローラ106に前記ディスプレイ11が接続され、入力コントローラ107に前記タッチパネル17が接続され、カードリーダコントローラ108に前記磁気カードリーダ12が接続され、プリンタコントローラ109に前記レシートプリンタ16が接続されている。
【0018】
ROM101には、後述のカード決済処理にて使用するテーブル101a等の固定的データが記憶されている。図3にテーブル101aのデータ構造の一例を示している。テーブル101aは、重複しない一意のパラメータと、クレジットカード等を用いたカード決済時における前記管理サーバとの通信の進捗状況と、各進捗状況を段階的に表すグラフィックデータとで構成されている。前記グラフィックデータは、ディスプレイ11への表示用である。
【0019】
RAM102には、処理場面に応じて各種の作業用記憶領域が形成される。時計回路103は、決済端末1で使用するシステム日時を計時する。
【0020】
通信I/F104は、通信ケーブル15を介して行われる前記管理センタとの通信を制御する。接続I/F105は、接続ケーブル3を介してピンパッド2に動作電源を供給するとともに、ピンパッド2との通信を制御する。
【0021】
表示コントローラ106は、ディスプレイ11の画面表示を制御する。タッチパネル17は、例えば抵抗膜方式のタッチパネルであり、ユーザが指先やタッチペンにて接触操作した位置に応じた電気信号を出力する。入力コントローラ107は、タッチパネル17から出力される電気信号に基づいて接触位置座標を算出し、CPU100に通知する。
【0022】
カードリーダコントローラ108は、磁気カードリーダ12による磁気カード媒体の読取タイミングを制御し、磁気カードリーダ12が読み取ったカード情報をCPU100に通知する。
【0023】
レシートプリンタ16は、熱転写により感熱紙等のレシート用紙にキャラクタ等のパターンを形成させる、いわゆるサーマルプリンタである。プリンタコントローラ109は、RAM102に作成される印字データに基づいてレシートプリンタ16を駆動し、レシートやジャーナルを印字させる。
【0024】
CPU100は、ソフトウェアを用いた情報処理により、次の(1)〜(5)の機能を実現する。
(1)接続I/F105を介してピンパッド2から出力される暗証番号を受信する受信機能。
(2)受信機能を介して受信した暗証番号を前記管理センタに送信する送信機能。
(3)送信機能を介して前記管理センタに送信された暗証番号を用いて前記管理センタとの間で行われる処理の進捗状況を特定する進捗特定機能。特に本実施形態では、カード決済において行われる前記管理センタとの通信に関する進捗状況を特定する。
(4)進捗特定機能によって特定される前記暗証番号を用いた処理の進捗状況をピンパッド2に出力する状況出力機能。特に本実施形態では、進捗状況を示すパラメータを介してピンパッド2にカード決済の進捗状況を通知する。
【0025】
(5)進捗特定機能によって特定される前記暗証番号を用いた処理の進捗状況をディスプレイ11に表示する端末側表示機能。
【0026】
次に、ピンパッド2について説明する。
図4は、ピンパッド2の制御回路を示すブロック図である。本体20には、メインの制御手段として機能するCPU200が内蔵されている。そして、このCPU200に対し、ROM201,RAM202,時計回路203,接続I/F204、表示コントローラ204、入力コントローラ205、カードリーダライタ(RW)コントローラ206等がアドレスバスやデータバス等のバスライン207を介して接続されて、制御回路が構成されている。
そして、接続I/F203に前記接続ケーブル3が接続され、表示コントローラ204に前記ディスプレイ21が接続され、入力コントローラ205に前記操作部22が接続され、カードリーダライタコントローラ206に前記ICカードリーダライタ23が接続されている。
【0027】
ROM201には、後述のカード決済処理にて使用するテーブル201a等の固定的データが記憶されている。図5にテーブル201aのデータ構造の一例を示している。テーブル201aは、前記テーブル101aと同一のパラメータと、各パラメータで示される進捗状況を段階的に表すグラフィックデータとで構成されている。前記グラフィックデータは、テーブル101aに記憶されたグラフィックデータとは異なり、ディスプレイ21への表示用である。
【0028】
RAM202には、処理場面に応じて各種の作業用記憶領域が形成される。接続I/F203は、決済端末1から前記接続ケーブル3を介して供給される動作電源を取り込んで各部に供給するとともに、決済端末1との通信を制御する。
表示コントローラ204は、ディスプレイ21の画面表示を制御する。入力コントローラ205は、操作部22が押下げられた操作キーに応じて出力するキー信号を取り込んで、CPU100に通知する。
【0029】
ICカードリーダライタ23は、クレジットカード番号等のカード情報を記憶したICを有するICカードに対して、情報の読み取り/書き込みを行う接触式のカードリーダライタである。カードリーダライタコントローラ206は、ICカードリーダライタ23によるICカードの読み取り/書き込みタイミングを制御し、ICカードリーダライタ23が読み取ったカード情報をCPU200に通知する。カード情報を受け取ったCPU200は、該カード情報を接続I/F203及び接続ケーブル3を介して決済端末1に送信する。
【0030】
CPU200は、ソフトウェアを用いた情報処理により、次の(6)〜(7)の機能を実現する。
(6)操作部22を介して入力された暗証番号を決済端末1に出力する暗証番号出力機能。
(7)決済端末1から出力される前記暗証番号を用いた処理の進捗状況をディスプレイ21に表示する表示機能。特に本実施形態では、カード決済の進捗状況をディスプレイ21にグラフィック表示する。
【0031】
次に、決済端末1およびピンパッド2の動作について説明する。
図6は、ICクレジットカードを用いて決済を行う場合に、決済端末1のCPU100及びピンパッド2のCPU200が実行する処理のフローチャートである。
【0032】
取引の開始当初において、決済端末1のCPU100は、取引対象である商品や役務の名称や価格で構成される取引情報の入力を待ち受けている(ステップS101,ステップS102のNo)。このとき決済端末1を操作する店員は、ディスプレイ11の画面表示にしたがってタッチパネル17を操作することで取引情報を入力する。店員は、取引対象となる全ての商品等について取引情報を入力し終えると、ディスプレイ11の画面表示に従ってタッチパネル17を操作することで、取引情報の入力完了を宣言する。
【0033】
取引情報の入力完了が宣言されると(ステップS102のYes)、CPU100は、カード読取コマンドを接続I/F203を介してピンパッド2に送信する(ステップS103)。
【0034】
ピンパッド2のCPU200は、決済端末1から送信されるカード読取コマンドの受信を待ち受けている(ステップS201)。そして、接続I/F203を介して前記カード読取コマンドを受信したならば(ステップS201のYes)、CPU200は、ICクレジットカードの読み取りを受け付ける状態で待機する(ステップS202,S203)。このとき、顧客が自身のICクレジットカードを前記カード挿入口に挿入すると、ICカードリーダライタ23により該カードのICに記憶されたカード情報が読み取られる。このカード情報がカードリーダライタコントローラ206を介してCPU200に通知されると(ステップS203のYes)、CPU200は、当該カード情報を接続I/F203を介して決済端末1に送信する(ステップS204)。
【0035】
決済端末1のCPU100は、ピンパッド2から送信されるカード情報の受信を待ち受けている(ステップS104)。そして、接続I/F105を介してカード情報を受信したならば(ステップS104のYes)、暗証番号の要求コマンドを接続I/F105を介してピンパッド2に送信する(ステップS105)。
【0036】
ピンパッド2のCPU200は、決済端末1から送信される暗証番号の要求コマンドの受信を待ち受けている(ステップS205)。そして、接続I/F203を介して前記要求コマンドを受信したならば(ステップS205のYes)、CPU200は、暗証番号の入力を受け付ける状態で待機する(ステップS206,S207)。顧客が操作部22の置数キーを介して4桁の暗証番号を入力すると(ステップS207のYes)、CPU200は、入力された暗証番号を接続I/F203を介して決済端末1に送信する(ステップS208)。
【0037】
決済端末1のCPU100は、ピンパッド2から送信される暗証番号の受信を待ち受けている(ステップS106)。そして、接続I/F105を介して暗証番号を受信したならば(ステップS106のYes)、受信した暗証番号とステップS104の処理にて受信したカード情報とに基づいて周知の手順のカード決済処理を行う。この処理では、前記管理センタとの通信の確立、カード情報及び暗証番号の前記管理センタへの送信、暗証番号の認証結果及び信用照会結果の受信、取引情報の前記管理センタへの送信、オーソリゼーション結果の受信等が行われる。
【0038】
カード決済処理を実行している間、CPU100は、所定のタイミングでカード決済処理の進捗状況を特定する(ステップS108)。すなわち、前記したカード決済処理の周知の手順のうち、いずれの処理を実行中であるかを特定する。進捗状況を特定するタイミングは、例えば各処理の切り替わり時である。或いは、時計回路103によって一定時間が計時される度に進捗状況を特定するようにしてもよい。
【0039】
カード決済処理の進捗状況を特定したならば、CPU100は、当該進捗状況に割り当てられたグラフィックデータをテーブル101aから特定し、表示コントローラ106を介してディスプレイ11に表示させる(ステップS109)。さらに、CPU100は、当該進捗状況を示すパラメータをテーブル101aから特定し、接続I/F105を介してピンパッド2に送信する(ステップS110)。このようにパラメータを介してカード決済の進捗状況がピンパッド2に通知される。
【0040】
前記パラメータをピンパッド2に送信した後、CPU100は、カード決済が完了したか否かを判定する(ステップS111)。カード決済に関する前記管理センタとの通信が全て完了しており、ステップS108の処理にて特定される進捗状況が決済の完了を示している場合、CPU100は、カード決済が完了していると判定する(ステップS111のYes)。このとき、CPU100は、プリンタコントローラ109を介してレシートプリンタ16を駆動し、当該取引の詳細情報を有する伝票を、店舗用、クレジット事業者用、顧客用の3つに分けて印字させる(ステップS112)。以上で決済端末1における一商取引分の処理が終了する。
【0041】
一方、ピンパッド2に進捗状況を示すパラメータを送信した後、未だカード決済が完了していないならば(ステップS111のNo)、CPU100は、ステップS107〜S110の処理を繰り返す。
【0042】
決済端末1に暗証番号を送信した後、ピンパッド2のCPU200は、決済端末1から送信される前記パラメータの受信を待ち受けている(ステップS209)。そして、接続I/F203を介して前記パラメータを受信したならば(ステップS209のYes)、CPU200は、テーブル201aから当該パラメータに割り当てられたグラフィックデータを特定し、表示コントローラ204を介してディスプレイ21に表示させる(ステップS210)。
【0043】
しかる後、CPU200は、決済端末1にてカード決済が完了しているか否かを判定する(ステップS211)。決済端末1から受信したパラメータが決済の完了を示している場合には、決済端末1にてカード決済が完了していると判定し(ステップS211のYes)、一連の処理を終了する。一方、決済端末1から受信したパラメータが決済の完了以外の他の段階を示している場合には、決済端末1にてカード決済が完了していないと判定し(ステップS211のNo)、CPU200は、ステップS209〜S210の処理を繰り返す。
【0044】
前記ステップS109の処理にて決済端末1のディスプレイ11に表示されるグラフィック例を図7に示している。この例では、カード決済の進捗状況を矢印の本数で示している。ステップS107の処理が開始された当初においては、ディスプレイ11に1本の矢印を有する画面11aが表示される。その後、徐々にカード決済が進行するにつれて画面11b,画面11cのように右端に向けて矢印の本数が増加していく。このグラフィックは、一商取引の終了とともにディスプレイ11から消去される。
【0045】
前記ステップS210の処理にてピンパッド2のディスプレイ21に表示されるグラフィック例を図8に示している。この例では、カード決済の進捗状況を長尺状のバーの積み重ねによって示している。ステップS107の処理が開始された当初においては、ディスプレイ21に一本のバーを有する画面21aが表示されている。その後、徐々にカード決済処理が進行するにつれて画面21b,画面21cのように、長手方向幅が延長されたバーが上方向に向けて積み重ねられていく。このグラフィックは、一商取引の終了とともにディスプレイ21から消去される。
【0046】
以上説明したように、本実施形態における決済システムでは、決済端末1により特定されるカード決済の進捗状況をピンパッド2のディスプレイ21に表示させて、現在の進捗状況を顧客に知らせている。したがって、顧客は、会計終了までに要する時間の目安を容易に把握できる。また、顧客は、処理が進行していることを認識できるので、ピンパッドの操作が適切であったかどうかについて不安になることもない。
【0047】
また、ディスプレイ21には、段階的に変化するグラフィックを用いてカード決済の進捗状況が表示される。このようにグラフィックを用いることで、顧客は、視覚的に容易にカード決済の進捗状況を認識することができる。
【0048】
また、カード決済の進捗状況は、決済端末1のディスプレイ11にも表示される。したがって、ピンパッド2を操作する顧客のみならず、決済端末1を操作する店員もカード決済の進捗状況を知ることができる。このように店員と顧客の双方にカード決済の進捗状況を知らせることができれば、両者の意思疎通が図り易いので、円滑な会計処理の進行が期待できる。
【0049】
なお、本発明は前記実施形態に開示した内容そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0050】
例えば、前記実施形態では、本発明をカード決済用の決済端末1と、ピンパッド2とを有するシステムに適用した例について説明した。しかしながら、カード決済処理が可能なPOS(Point Of Sales)端末やECR(Electric Cash Register)等を決済端末として採用してもよい。また、本体の客面側にピンパッドを組み込んだ決済端末に本発明を適用してもよい。さらに、決済端末やピンパッドと別体のカードリーダを決済端末に接続して決済用のカード媒体を読み取らせるようにしてもよい。
【0051】
また、前記実施形態では、矢印や長尺状のバーの増減によりカード決済の進捗状況を表すとした。しかしながら、プログレスメータによる表示や、パーセンテージによる表示等、他の方法で進捗状況を表すようにしてもよい。
【0052】
また、前記実施形態では、ICクレジットカードを用いたカード決済における処理の一例について説明した。しかしながら、デビットカードや磁気クレジットカードを用いたカード決済等、暗証番号の入力を要する他のカード決済に本発明を適用してもよい。例えば、デビッドカードを用いて取引を決済する場合、ステップS103の処理にてピンパッド2にカード読取コマンドを送信せずに、磁気カードリーダ12によるデビッドカードの読み取りを受け付ける(ステップS104)。そして、デビッドカードが磁気ガードリーダ12にスライドされカード情報が読み取られると、このカード情報とピンパッド2から送信される暗証番号とを用いて以降の決済処理を進行する。
【0053】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、前記実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、要旨を逸脱しない範囲内で前記実施形態に示される全構成要素に周知技術や慣用技術を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…決済端末、2…ピンパッド、3…接続ケーブル、11,21…ディスプレイ、21a,21b,21c…画面、22…操作部、23…ICカードリーダライタ、100,200…CPU、101a,201a…テーブル、
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】特開平4−120971号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードの暗証番号を入力する暗証番号入力手段と、この暗証番号入力手段により入力された暗証番号を出力する暗証番号出力手段とを有する暗証番号入力装置と、
前記暗証番号出力手段により出力された暗証番号を受信する受信手段と、この受信手段を介して受信した暗証番号を外部機器に送信する送信手段とを有する決済端末とを備える決済システムであって、
前記決済端末は、
前記送信手段を介して前記外部機器に送信された暗証番号を用いて前記外部機器との間で行われる処理の進捗状況を特定する進捗特定手段と、
この進捗特定手段によって特定される前記暗証番号を用いた処理の進捗状況を前記暗証番号入力装置に出力する状況出力手段と、を備え、
前記暗証番号入力装置は、前記決済端末から通知される前記暗証番号を用いた処理の進捗状況を表示する表示手段を備えていることを特徴とする決済システム。
【請求項2】
前記暗証番号入力装置の表示手段は、前記暗証番号を用いた処理の進捗状況をグラフィック表示することを特徴とする請求項1に記載の決済システム。
【請求項3】
前記決済端末の送信手段によって前記暗証番号が送信される外部機器は、カード決済の管理センタであり、
前記決済端末の進捗特定手段は、前記カード決済において行われる前記管理センタとの通信に関する進捗状況を特定することを特徴とする請求項1に記載の決済システム。
【請求項4】
前記決済端末は、前記進捗特定手段によって特定される前記暗証番号を用いた処理の進捗状況を表示する端末側表示手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の決済システム。
【請求項5】
カードの暗証番号を入力する暗証番号入力手段と、
この暗証番号入力手段により入力された暗証番号を、外部機器と接続された決済端末に出力する暗証番号出力手段と、
前記決済端末が前記暗証番号出力手段を介して出力された暗証番号を用いて前記外部機器との間で行う処理に関し、前記決済端末から出力される当該処理の進捗状況を表示する表示手段を備えたことを特徴とする暗証番号入力装置。
【請求項6】
カードの暗証番号を入力する暗証番号出力手段から出力される前記暗証番号を受信する受信手段と、
この受信手段を介して受信した暗証番号を外部機器に送信する送信手段と、
この送信手段を介して前記外部機器に送信された暗証番号を用いて前記外部機器との間で行われる処理の進捗状況を特定する進捗特定手段と、
この進捗特定手段によって特定される前記暗証番号を用いた処理の進捗状況を前記暗証番号入力装置に出力する状況出力手段と、
を備えていることを特徴とする決済端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−123661(P2011−123661A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280584(P2009−280584)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】