説明

決済端末、決済処理システム、及び決済処理方法

【課題】非接触ICチップを利用して優遇条件付き決済カードを利用可能にする決済端末、決済処理システム及び決済処理方法を提供すること。
【解決手段】所定の取引相手との間で利用された場合に取引条件が優遇される優遇条件付きの決済カードに関し当該決済カードの発行者が発行したユーザ情報が格納される第1格納領域と所定の取引相手が発行した優待ユーザ情報が格納される第2格納領域とが設けられた非接触ICチップに対し第1及び第2格納領域に対するアクセス認証を経て第1格納領域のユーザ情報及び第2格納領域の優待ユーザ情報を読み出すリーダ/ライタに接続された決済端末が提供される。当該決済端末はリーダ/ライタにより第2格納領域の存在が確認された場合に決済カードが優遇条件付きの決済カードであると判断し、優遇条件付きの決済カードである場合に優遇条件が適用された取引条件をユーザに提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済端末、決済処理システム、及び決済処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触IC(Integrated Circuit)チップが携帯電話等の携帯機器に搭載されるようになり、その非接触ICチップの機能を利用して電子取引が行われるようになってきた。例えば、非接触ICチップを搭載した携帯機器のユーザは、その非接触ICチップに記録された電子マネーやポイント等を用いて商品やサービスを手にすることができる。その際、ユーザは、非接触ICチップの情報を読み取り/非接触ICチップに情報を書き込むためのリーダ/ライダに対して上記の携帯機器を翳すだけである。このとき、リーダ/ライタは、非接触ICチップとの間で情報が記録された記録領域へのアクセス認証を実施し、認証処理が完了した後で電子マネーやポイント等の情報にアクセスする。そのため、十分に高い信頼性を持った電子取引が実現される。
【0003】
こうした非接触ICチップを搭載した携帯機器を用いて実現される電子取引の決済方法として、例えば、次に挙げるような後払い決済方式が知られている。(1)一つは、実際に購入した商品等の代金を支払うためのクレジットカードの番号が非接触ICチップに登録されており、取引事業者が、リーダ/ライダを用いて読み出した番号のクレジットカードに対して、後日、代金の請求を行うというものである。(2)もう一つは、決済事業者によりクレジットカードに紐付けられたユーザ情報を非接触ICチップに登録しておき、取引事業者が、リーダ/ライダを用いて読み出したユーザ情報を決済事業者に通知した上で、そのユーザに対する代金の請求を行うというものである。
【0004】
ところで、近年、提携クレジットカードと呼ばれるクレジットカードが普及してきた。これは、クレジットカードの決済事業者と提携した提携事業者の優遇特典が付与されたクレジットカードである。例えば、クレジットカードの決済事業者と提携関係を結んだ他の事業者の店舗で、そのクレジットカード決済による取引が締結された場合に、その取引条件が優遇されるというものである。取引条件の優遇には、例えば、取引価格の割り引きやポイントの付与、ポイント付与率の拡大等がある。ところが、こうした優遇条件付きの提携クレジットカードを利用した決済取引を非接触ICチップによる電子取引に適用するには、いくつかの工夫が必要になる。特に、決済対象のクレジットカードが提携先の事業者によって提携クレジットカードであると認識できるようにする工夫が必要である。
【0005】
上記のような取引に関する技術として、例えば、下記の特許文献1には、ある店舗の会員に対し、その会員が当該店舗を利用した際に付与されるポイントをコンピュータにより管理するポイント管理システムに関する技術が開示されている。当該技術は、会員をグループ毎に管理し、各会員に付与されるポイントをグループ毎に集計して、グループ単位でポイントを利用できるようにするというものである。
【0006】
また、下記の特許文献2には、磁気カードを利用可能な複数台の自動取引端末装置をホストシステムに対して公衆回線を介して接続することで取引処理を実行するマルチホスト自動取引方式に関する技術が開示されている。さらに、下記の特許文献3には、クレジットカード等の代金支払い業務に利用されるカード処理装置の技術が開示されている。この技術は、カードに記録された会社コード、及び識別データに基づいて設定されるカード処理情報を用いて当該カードによる業務を処理するというものである。
【0007】
【特許文献1】特開2003−109116号公報
【特許文献2】特開昭60 −198676号公報
【特許文献3】特開平6 − 44268号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記各文献に記載の方法を用いても、非接触ICチップによる電子取引において、決済対象のクレジットカードが提携クレジットカードであるか否かを提携先事業者が判断することは難しい。この問題に関し、例えば、上記(1)の方法において、クレジットカードに磁気情報等として記録されている種々のカード情報を非接触ICチップに登録しておくことで、そのクレジットカードが、他の事業者による優待特典付きの提携クレジットカードであることを判断することが可能であると考えられる。但し、上記(1)の方法を用いると、非接触ICカードにクレジットカード情報が直接登録されてしまうため、セキュリティ上好ましくないことは言うまでもない。
【0009】
一方、上記(2)の方法を利用した場合、決済対象のクレジットカードが提携クレジットカードであるか否かを提携先事業者が判断することは、現状、技術的及び実運用上困難である。特に、決済端末によるローカル処理で、決済対象のクレジットカードが提携クレジットカードであるか否かを判断することは難しい。
【0010】
現実的ではないが、例えば、全ての紐付け情報と、それに対応するクレジットカード情報とを決済端末又はそれに接続されたリーダ/ライダに格納しておき、非接触ICチップから読み取った紐付け情報をクレジットカード情報に読み替える方法も考えられる。ところが、この方法を用いるには、紐付け情報をクレジットカード情報に読み替えるための情報を格納しておくために、決済端末又はリーダ/ライダに非常に大きな記憶容量が必要になる。その上、紐付け情報等の登録や更新等に非常に手間が掛かるという問題がある。そのため、現実的ではないのである。
【0011】
上記のように、非接触ICチップを利用した電子取引において、取引対象のクレジットカードが提携クレジットカードであるか否かを決済端末等のローカル処理で判断することが難しい。そのため、ユーザは、このような電子取引を行う際に、即座に優遇条件の適用を受けることが難しくなる。つまり、同じ提携クレジットカードを決済に利用しているにも関わらず、クレジットカードそのものを利用した場合と、非接触ICチップによる電子取引を利用した場合とで、提供される取引条件が異なるというユーザにとって不都合な状況が発生する。こうした理由から、決済端末又はリーダ/ライダのローカル処理で提携クレジットカードを認識できるようにする技術が求められているのである。
【0012】
尚、上記のような電子取引の決済には、クレジットカード以外にも、デビットカードやポイントカード等の種々の決済カードが利用され得る。これらの各種決済カードについても、非接触ICチップを利用した電子取引において実質的に同一の問題が発生する。そのため、これらの問題をも含めて、それを解決する技術の開発が求められているのである。そのため、以下の説明において、決済カードと称した場合には、それがクレジットカードに限定されるものではなく、種々の決済カードが対象に含まれる点に注意されたい。
【0013】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、非接触ICチップによる電子取引において、決済対象となる決済カードが優遇条件付きであるか否かを決済端末側のローカル処理により判別することが可能な、新規かつ改良された決済端末、決済処理システム、及び決済処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、所定の取引相手との間で利用された場合に取引条件が優遇される優遇条件付きの決済カードに関し、当該決済カードの発行者が発行したユーザ情報が格納される第1格納領域と、前記所定の取引相手が発行した優待ユーザ情報が格納される第2格納領域とが設けられた非接触ICチップに対し、前記第1及び第2格納領域に対するアクセス認証を経て、前記第1格納領域のユーザ情報、及び前記第2格納領域の優待ユーザ情報を読み出すリーダ/ライタに接続された決済端末が提供される。当該決済端末は、前記リーダ/ライタにより前記第2格納領域の存在が確認された場合に前記決済カードが優遇条件付きの決済カードであると判断する判断部と、前記判断部により前記優遇条件付きの決済カードであると判断された場合に前記優遇条件が適用された取引条件をユーザに提示する条件提示部とを備えることを特徴とする。
【0015】
上記のように、前記判断部は、前記リーダ/ライタにより前記第2格納領域の存在が確認された場合に前記決済カードが優遇条件付きの決済カードであると判断するものである。また、前記条件提示部は、前記判断部により前記優遇条件付きの決済カードであると判断された場合に前記優遇条件が適用された取引条件をユーザに提示するものである。尚、前記条件提示部は、前記判断部により、その決済カードが優遇条件付きでないと判断された場合、通常の取引条件をユーザに提示する。
【0016】
このように、非接触ICカードを利用して取引する際、その非接触ICカードに格納されたユーザ情報に対応する決済カードが優遇条件付きであるか否かを決済端末側のローカル処理で実行できるようになる。つまり、決済カードの決済処理事業者に対し、その決済カードが優遇条件付きのものであるか否かを決済端末側から問い合わせること無く、その決済カードが優遇条件付きか否かを判断することが可能になる。このとき、上記の決済端末は、前記第2格納領域の存在有無を判断基準とするため、決済カードの優遇条件を判断する処理を高速に実行することができる。
【0017】
また、前記決済端末は、前記条件提示部により取引条件が提示され、さらに、ユーザにより取引内容の指定、及び決済方法の指定が行われた後で、前記リーダ/ライタに対し、当該取引の決済処理を要求する決済処理要求を前記非接触ICチップに送信するように制御する決済処理要求送信部と、前記決済処理要求に応じて返信された決済処理結果を受信した後、前記非接触ICチップと前記リーダ/ライタとの間の通信が終了した後に前記優遇ユーザ情報を前記リーダ/ライタから取得する優遇ユーザ情報取得部とをさらに備えていてもよい。このように、前記決済端末は、前記優遇ユーザ情報取得部により取得された優遇ユーザ情報を前記取引結果、及び前記ユーザ情報と共に保持しておき、その情報を前記決済カードの決済処理を実行する基幹システムに対して送信することもできる。
【0018】
上記のように、前記決済処理要求送信部は、前記条件提示部により取引条件が提示され、さらに、ユーザにより取引内容の指定、及び決済方法の指定が行われた後で、前記リーダ/ライタに対し、当該取引の決済処理を要求する決済処理要求を前記非接触ICチップに送信するように制御するものである。また、前記優遇ユーザ情報取得部は、前記決済処理要求に応じて返信された決済処理結果を受信した後、前記非接触ICチップと前記リーダ/ライタとの間の通信が終了した後に前記優遇ユーザ情報を前記リーダ/ライタから取得するものである。
【0019】
このような構成を適用することで、所定時間又は所定回数の取引が完了した後で、前記優遇ユーザ情報と共に、決済に必要な取引内容等の情報を基幹システムにまとめて送信することができる。そのため、基幹システムは、各取引が優遇条件で行われたものか否かが判別可能になり、優遇条件で行われた各取引の決済金額について、必要に応じて該当する取引相手(提携相手)に対して請求や問い合わせをすることが可能になる。また、所定量の取引内容等の情報を蓄積しておくことで、決済端末が有する通信回線が基幹システムに常時接続されている必要が無くなり、決済端末及び基幹システムのセキュリティを向上させる効果が得られる。その他、通信頻度が低下することで、決済端末の消費電力を低減することができる。
【0020】
尚、前記基幹システムは、前記カード特定情報と前記優遇ユーザ情報とを対応付ける第2対応付け情報を保持し、且つ、前記第1及び第2対応付け情報を用いて前記優遇ユーザ情報を提供するものであってもよい。また、前記第1格納領域には、前記ユーザ情報として前記決済カードを特定するためのカード特定情報に対応付けられた第1対応付け情報が格納されていてもよい。さらに、前記第2格納領域は、次のように生成される。
【0021】
まず、前記非接触ICチップを搭載する情報処理装置は、当該非接触ICチップの第1格納領域に格納された前記第1対応付け情報を読み出して前記基幹システムに送信する。そして、当該第1対応付け情報に応じて前記基幹システムから提供された前記優遇ユーザ情報を取得し、前記非接触ICチップに前記格納領域を生成するエリア発行システムに対して、前記優遇ユーザ情報を提供し、前記第2格納領域の生成を要求する。そして、前記エリア発行システムは、前記第2格納領域を生成し、その中に前記優遇ユーザ情報を格納する。このようにして前記第2格納領域が生成され、優遇ユーザ情報が格納される。
【0022】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、所定の取引相手との間で利用された場合に取引条件が優遇される優遇条件付きの決済カードに関する情報が格納される非接触ICチップを搭載した情報処理装置と、前記情報処理装置を制御して前記非接触ICチップ内に前記情報が格納される格納領域を生成するエリア発行システムと、非接触通信により前記非接触ICチップに格納された情報を読み出すリーダ/ライタと、当該リーダ/ライタにより読み出された情報を取得し、その情報に応じて前記取引条件をユーザに提示する決済端末と、を含む決済処理システムが提供される。
【0023】
前記非接触ICカードは、前記決済カードのユーザ情報が格納された第1格納領域を有する記憶部を備えている。また、前記エリア発行システムは、前記情報処理装置を制御して前記所定の取引相手に対応する第2格納領域を前記非接触ICカードの記憶部に生成する領域生成部を備えている。さらに、前記リーダ/ライタは、非接触通信を用いて当該情報処理装置に搭載された非接触ICチップの記憶部に前記第2格納領域が存在するか否かを判断する領域判断部と、前記領域判断部による判断結果を前記決済端末に通知する通知部と、を備えている。そして、前記決済端末は、前記リーダ/ライタから取得した前記判断結果に応じて前記決済カードが前記所定の取引相手に対する優遇条件付きの決済カードであるか否かを判断する判断部と、前記判断部により前記決済カードが優遇条件付きである場合に前記優遇条件が適用された取引条件をユーザに提示する条件提示部とを備えている。
【0024】
上記の非接触ICカードが備える記憶部は、前記決済カードのユーザ情報が格納された第1格納領域を有するものである。上記のエリア発行システムが備える領域生成部は、前記情報処理装置を制御して前記所定の取引相手に対応する第2格納領域を前記非接触ICカードの記憶部に生成するものである。このように、非接触ICカードの記憶部は、複数の格納領域を設けることが可能である。そして、その格納領域は、エリア発行システムが備える領域生成部により生成される。このとき、エリア発行システムは、情報処理装置が有する非接触ICカードへのアクセス手段を利用して非接触ICカードの記憶部に格納領域を生成する。そして、エリア発行システムは、同アクセス手段を利用して格納領域に情報を格納する。
【0025】
上記のように、エリア発行システムは、非接触ICカードの記憶部に、所定の取引相手に対応する格納領域を生成することができる。そのため、非接触ICカードの記憶部に設けられた格納領域を検索し、上記の第2格納領域の有無を判別することにより、その非接触ICカードの第1格納領域に対応する決済カードが前記所定の取引相手との間の提携関係を有する決済カードであるか否かが判別できるようになる。その結果、この判別の際に、第1格納領域に格納されたユーザ情報を基幹システムに通知して、そのユーザが優遇条件の適用対象であるか否かを判別する処理が不要になり、優遇の適用/非適用に関する判断がリーダ/ライタ、及び決済端末でのローカル処理により実行できるようになる。
【0026】
上記のリーダ/ライタが備える領域判断部は、非接触通信を用いて当該情報処理装置に搭載された非接触ICチップの記憶部に前記第2格納領域が存在するか否かを判断するものである。また、上記のリーダ/ライタが備える通知部は、前記領域判断部による判断結果を前記決済端末に通知するものである。上記の決済端末が備える判断部は、前記リーダ/ライタから取得した前記判断結果に応じて前記決済カードが前記所定の取引相手に対する優遇条件付きの決済カードであるか否かを判断するものである。また、上記の決済端末が備える条件提示部は、前記判断部により前記決済カードが優遇条件付きである場合に前記優遇条件が適用された取引条件をユーザに提示し、一方で、前記決済カードが優遇条件付きでない場合に前記優遇条件が非適用の取引条件を提示するものである。
【0027】
このように、上記のリーダ/ライタにより非接触ICチップの記憶部に前記第2格納領域が存在するか否かが検索され、その存在が判別されることで、上記の通り、その非接触ICカードの第1格納領域に対応する決済カードが前記所定の取引相手との間の提携関係を有する決済カードであるか否かを判別することができる。この処理において、リーダ/ライタは、格納領域の有無のみを検索対象としているため、迅速に処理を完了できる。また、この処理結果が決済端末に通知され、決済端末の条件提示部によりユーザに提示される。そのため、決済カードのユーザは、非接触ICチップを利用した取引であっても、その取引現場で即座に優待条件を確認することが可能になる。尚、条件提示部は、表示装置に取引条件を表示してもよいし、取引価格等の取引条件を音声で通知してもよい。
【0028】
また、前記エリア発行システムは、前記所定の取引相手から発行された優遇ユーザ情報を前記第2格納領域に格納する優遇ユーザ情報格納部をさらに備えていてもよい。さらに、前記リーダ/ライタは、前記非接触ICチップの記憶部にアクセスするためのアクセス認証を行う認証部と、前記認証部によりアクセス認証が成功した場合に前記非接触ICチップの記憶部に設けられた前記第1格納領域のユーザ情報、及び前記第2格納領域の優遇ユーザ情報を読み出すユーザ情報読出部をさらに備えていてもよい。その場合、前記リーダ/ライタの通知部は、前記ユーザ情報、前記優遇ユーザ情報、及び前記領域判断部による判断結果を前記決済端末に通知する。
【0029】
一方、この場合において、前記決済端末は、前記表示部に表示された取引条件で取引が成立した場合に、当該取引の結果と、前記ユーザ情報及び前記優遇ユーザ情報とを記録する記録部をさらに備えていてもよい。これらの情報が記録部に記録され、前記決済カードの決済処理を実行する基幹システムに対し、前記記録部に記録された前記取引結果、ユーザ情報、及び優遇ユーザ情報が送信されることで、基幹システムで決済処理が実行され、非接触ICカードを利用した優遇条件での取引、決済処理が完了する。
【0030】
このように、優遇条件がユーザに提示され、その優遇条件で取引が成立した後、取引結果及びユーザ情報に加えて、優遇ユーザ情報が基幹システムに送信される。そのため、基幹システムは、優遇ユーザ情報を所定の取引相手に提示して優遇条件分の支払いを要求したり、その優遇適用に関する問い合わせをするのに利用できる。その結果、決済カード自体を利用した取引の場合と同様に、非接触ICチップによる優遇取引の決済処理が実現される。
【0031】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、所定の取引相手との間で利用された場合に取引条件が優遇される優遇条件付きの決済カードに関する決済処理方法が提供される。当該決済処理方法は、前記決済カードの発行者が発行したユーザ情報が格納される第1格納領域と、前記所定の取引相手が発行した優待ユーザ情報が格納される第2格納領域とが非接触ICチップに設けられるステップと、前記非接触ICチップの情報を読み出すためのリーダ/ライタにより、前記第1及び第2格納領域に対するアクセス認証を経て、前記第1格納領域のユーザ情報、及び前記第2格納領域の優待ユーザ情報が読み出されるステップと、前記リーダ/ライタに接続された決済端末により、前記リーダ/ライタにより前記第2格納領域の存否が確認されるステップと、前記決済端末により、前記第2格納領域が存在する場合に前記決済カードが優遇条件付きの決済カードであると判断されるステップと、前記決済端末により、前記優遇条件付きの決済カードであると判断された場合に前記優遇条件が適用された取引条件がユーザに提示されるステップとを含むことを特徴とする。
【0032】
このように、非接触ICカードを利用して取引する際、その非接触ICカードに格納されたユーザ情報に対応する決済カードが優遇条件付きであるか否かを決済端末側のローカル処理で実行できるようになる。つまり、決済カードの決済処理事業者に対し、その決済カードが優遇条件付きのものであるか否かを決済端末側から問い合わせること無く、その決済カードが優遇条件付きか否かを判断することが可能になる。このとき、上記の決済端末は、前記第2格納領域の存在有無を判断基準とするため、決済カードの優遇条件を判断する処理を高速に実行することができる。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように本発明によれば、非接触ICチップによる電子取引において、決済対象となる決済カードが優遇条件付きであるか否かを決済端末側のローカル処理により判別することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0035】
<本発明の一実施形態>
本発明の一実施形態について説明する。本実施形態は、例えば、携帯電話等に搭載された非接触ICチップを利用して後払い決済する方式に適用可能であり、決済対象となる決済カードのカード番号を非接触ICチップに登録せずに、決済端末側で、その決済カードが優遇特典付きであるか否かを判別する技術に関するものである。
【0036】
[決済処理システム1000のシステム構成]
まず、図1を参照しながら、本実施形態に係る決済処理システム1000のシステム構成について説明する。図1は、本実施形態に係る決済処理システム1000のシステム構成例を示す説明図である。以下では、その概要について簡単に説明し、次いで、より詳細な説明を加えることにする。
【0037】
(概要)
図1に示すように、決済処理システム1000は、主に、携帯機器100と、決済事業者システム200と、提携先システム300と、により構成される。また、携帯機器100には、非接触ICチップ110が搭載されている。決済処理システム1000は、この非接触ICチップ110を利用した電子取引において、決済カード20が優待特典付きであるか否かを提携先システム300で判別する処理を実現するものである。
【0038】
以下の説明において、決済カード20の利用者をユーザ(User)と呼び、決済カード20のユーザ情報を管理し、その決済処理を行う者を決済事業者と呼ぶことにする。また、決済事業者と提携し、その提携先で決済カード20を利用した取引を行う際に、その取引条件が優遇されるように設定された決済カード20を「優遇条件付き」決済カード又は「優待特典付き」決済カードと呼ぶことにする。尚、以下の説明において、優遇条件と優待特典とは、実質的に同一の意味で用いられる。
【0039】
また、この決済カード20は、通常、決済事業者による決済処理に用いられる。例えば、接触型のクレジットカードリーダ/ライダ10により、決済カード20に記録されたユーザ情報、提携先情報、又はカード番号等のカード情報が読み出され、或いは、取引情報や決済情報等が読み書きされて決済処理が行われる。尚、決済カード20は、例えば、磁気カードや接触型のICカード等、金融機関やクレジットカード会社等で決済に利用されるカードである。このカード情報には、例えば、指紋認証や静脈認証等の生体認証に用いる情報やパスワード等の種々の認証処理に利用される情報が含まれていてもよい。
【0040】
さて、本実施形態に係る決済処理の概要について説明する。当該決済処理の前段処理として、まず、携帯機器100の非接触ICチップ110内に、決済事業者が関わる情報を格納するための決済事業者エリアと、決済カード20の提携先が関わる情報を格納するための提携先エリアとが生成(以下、「発行」と表現する場合がある。)される。そして、この決済事業者エリアに決済カード20のカード情報に紐付けされた紐付け情報が格納される。一方、提携先エリアには、決済カード20のユーザが提携先の会員であることを示す提携先会員情報が格納される。これらのエリア発行処理は、決済事業者システム200に含まれるエリア発行システム204により実行される。
【0041】
このように、携帯機器100の非接触ICチップ110には、決済カード20の紐付け情報が格納された決済事業者エリアと、提携先会員情報が格納された提携先エリアとが設けられる。これらのエリアが設けられた状態で、ユーザは、提携先システム300のリーダ/ライダ310に携帯機器100を翳す。すると、提携先システム300の決済端末330に接続された表示装置332に優遇条件が適用された取引条件(例えば、価格、付与されるポイント数、発行されるクーポン等)が表示される。このような状況を実現するのが、本実施形態に係る決済処理システム1000の目的である。
【0042】
その際、提携先システム300は、非接触ICチップ110に設けられた提携先エリアの存在を確認し、決済事業者エリアに格納された紐付け情報で紐付けられた決済カード20が提携先の優遇条件付き決済カードであると判別している。このように、提携先システム300のローカル処理にて、その判別処理が実行される。そのため、ユーザは、その場で即座に優待特典(例えば、割り引き、ポイント付与、クーポン配布等)を受けることができる。これらの一連の工程に係る技術が本実施形態の技術的特徴を構成している。
【0043】
以上、本実施形態に係る決済処理システム1000の概要について簡単に説明した。上記の通り、本実施形態に係る技術を適用すると、非接触ICチップ110による電子取引であっても、提携先システム300内のローカル処理で優待の有無を判別することが可能になり、スピーディに優待サービスを提供することができるようになる。もちろん、非接触ICチップ110には、決済カード20のカード番号や各種の認証情報等が含まれていないため、セキュリティ上も好ましい状態である。
【0044】
尚、上記のローカル処理とは、例えば、提携先システム300が優待の有無を判別するために、決済事業者システム200等との間で通信する必要が無く、決済端末330、及びリーダ/ライタ310だけで、その処理が完結することを意味している。
【0045】
(詳細)
引き続き図1を参照しながら、決済処理システム1000のシステム構成について、より詳細に説明する。本実施形態に係る決済処理工程は、大きく分けて「決済事業者エリアの登録処理工程」「提携先エリアの登録処理工程」「提携先システム300等による優遇判別工程」がある。そこで、以下では、決済処理システム1000の全体構成を説明した後、各処理工程における決済処理システム1000の構成要素が有する機能、及びこれらの各処理工程の流れについて詳細に説明する。
【0046】
(システムの全体構成)
図1に示すように、決済処理システム1000は、携帯機器100と、決済事業者システム200と、提携先システム300とにより構成されている。
【0047】
(携帯機器100)
携帯機器100は、非接触ICチップ110の他に、例えば、エリアアクセスアプリケーション132、134と、表示画面152と、端末制御用アプリケーション154と、非接触通信用のアンテナ802とを有している。エリアアクセスアプリケーション132、134は、非接触ICチップ110内に設けられた記憶領域(エリア)にアクセスするための手段である。表示画面152は、携帯機器100又は非接触ICチップ110に格納された情報、リーダ/ライタ310から取得した情報、決済事業者システム200等から取得した情報等を表示する表示手段である。
【0048】
端末制御用アプリケーション154は、携帯機器100の機能を制御するための手段である。例えば、端末制御用アプリケーション154は、携帯機器100の通信機能や通話機能、或いは、内部に保持するコンテンツの再生機能や演算機能等を制御するためのプログラムである。アンテナ802は、非接触ICチップ110により制御され、リーダ/ライダ310との間で非接触通信するためのループ・アンテナである。
【0049】
(非接触ICチップ110)
非接触ICチップ110は、所定のアプリケーション(例えば、エリアアクセスアプリケーション132、134)、又はアクセス認証が成功したリーダ/ライタ310のみによりアクセス可能なセキュアメモリ(以下、単に記憶領域と呼ぶ。)を有している。この記憶領域は、例えば、決済事業者エリア、提携先エリアのようなエリア毎に分けられていると同時に、サービスやユーザ情報毎に階層的なエリア構造を有している。そして、各階層の領域毎に認証鍵が設けられており、リーダ/ライダ310には、各領域に設けられた認証鍵に対するアクセス認証が求められる。そのため、各エリアに格納された情報は、独立してセキュアな状態に保たれる。そのため、高いセキュリティが要求される金融取引についても利用可能なのである。
【0050】
(非接触ICチップ110の記録構造について)
ここで、図2を参照しながら、非接触ICチップ110の記憶領域が有する領域構造について簡単に説明する。図2は、非接触ICチップ110が有する記憶領域の構造例を示す説明図である。各領域には、アクセス認証のための認証鍵が設けられており、アクセス認証が成立した場合にのみ、その領域へのアクセスが可能になる。その意味で、セキュアな構成を有していると言える。
【0051】
図2に示すように、上記の記憶領域は、階層構造を有し、上位の階層から順にシステム定義ブロックSysと、エリア定義ブロックAと、サービス定義ブロックSvcとにより構成される。さらに、サービス定義ブロックSvcには、ユーザ情報Uが格納される。
【0052】
(システム定義ブロックSys)
システム定義ブロックSysには、例えば、システムコードと、システム鍵情報と、システム鍵バージョン情報とが格納される。システムコードとは、システム定義ブロックSysに対応付けられたシステムの管理者を表す2バイト長のコードである。システム鍵情報とは、リーダ/ライタ310からシステム定義ブロックSysにアクセスされる際に、リーダ/ライタ310との間で相互認証に利用されるシステム単位の鍵情報である。システム鍵バージョン情報とは、システム鍵情報の世代管理をするための情報である。上記の各情報に基づき、システム定義ブロックSysには、システムの種別(例えば、リーダ/ライタ310の種別等)との対応関係が定義付けされている。
【0053】
(エリア定義ブロックA)
エリア定義ブロックAは、システム定義ブロックSysの下位に位置する階層である。エリア定義ブロックAには、例えば、エリアコードと、エリア鍵情報と、エリア鍵バージョン情報とが格納される。エリアコードとは、エリアを識別するためのコードである。エリアとは、種別毎に纏めて管理されるサービスの一群を表す単位である。エリアには、例えば、改札に係る複数のサービスを纏めて管理するための改札エリアや、所定の決済に係る複数のサービスを纏めて管理するための決済サービス等がある。エリア鍵情報とは、リーダ/ライタ310からエリア定義ブロックAにアクセスされる際に、リーダ/ライタ310との間で相互認証に利用されるエリア単位の鍵情報である。エリア鍵バージョン情報とは、エリア鍵情報の世代管理をするための情報である。上記の各情報に基づき、エリア定義ブロックAには、エリアの種別(例えば、改札や決済等)との対応関係が定義付けされている。
【0054】
(サービス定義ブロックSvc)
サービス定義ブロックSvcは、エリア定義ブロックAの下位に位置する階層である。サービス定義ブロックSvcには、例えば、サービスコードと、サービス鍵情報と、サービス鍵バージョン情報とが格納される。サービスコードとは、サービスを個々に識別するためのコードである。サービスとは、種別毎に纏めて管理されるユーザ情報Uの一群を表す単位である。サービスには、例えば、ユーザが利用した乗車区間を管理するための乗車区間サービスや、ユーザが利用した決済情報(例えば、残高等)を管理するための決済サービス等がある。サービス鍵情報とは、リーダ/ライタ310からサービス定義ブロックSvcにアクセスされる際に、リーダ/ライタ310との間で相互認証に利用されるサービス単位の鍵情報である。サービス鍵バージョン情報とは、サービス鍵情報の世代管理をするための情報である。上記の各情報に基づき、サービス定義ブロックSvcには、サービスの種別(例えば、乗車区間や残高等)との対応関係が定義付けされている。
【0055】
(ユーザ情報U)
ユーザ情報Uは、サービス定義ブロックSvcに格納される具体的な情報である。例えば、乗車区間サービスに対応するユーザ情報Uには、“乗車駅:新宿、降車駅:大崎”等の具体的な乗車区間を表す情報が含まれる。また、決済サービスに対応するユーザ情報Uには、“残高100円”、“残100ポイント”、又は“100”等の具体的な残高を表す情報が含まれる。これらのユーザ情報Uは、リーダ/ライタ310を介して実際に読み書きされる情報である。
【0056】
上記のように、記憶領域を階層構造にした上で、階層毎に相互認証用の鍵情報を格納しておき、各階層にアクセスする際に相互認証を要求することで、システム、エリア、又はサービス単位での安全な情報管理が可能になる。また、システム単位、エリア単位、又はサービス単位での認証制御が可能になり、システム管理者、エリア管理者、又はサービス提供者の選別や管理が容易になる。但し、システム数やエリア数等が増加するにつれ、階層構造が複雑になるため、所定階層の検索処理や認証処理に対する負担が大きくなってしまうという点に注意が必要である。
【0057】
(決済事業者システム200)
再び図1を参照する。決済事業者システム200は、エリア発行システム204と、基幹システム206と、アプリケーション提供システム252とを含んでいる。尚、エリア発行システム204は、決済事業者システム200とは独立した別のシステムとして構成されていてもよい。
【0058】
(エリア発行システム204)
エリア発行システム204は、携帯機器100のエリアアクセスアプリケーション132、134を制御し、非接触ICチップ110に記録領域を発行する手段である。また、エリア発行システム204は、記憶装置202に記録された情報を発行済みの記録領域に格納することができる。尚、記憶装置202には、決済カード20のユーザ情報、決済カード20のカード情報、提携先エリアに関する提携先エリア情報、提携先会員情報等の他、ユーザ情報と提携先会員情報とを紐付ける紐付け情報、ユーザ情報と提携先エリア情報とを紐付ける紐付け情報、そして、カード情報とユーザ情報とを紐付ける紐付け情報等が記録されている。
【0059】
(基幹システム206)
基幹システム206は、記憶装置208を有し、記憶装置208に記録された会員情報等のユーザ情報を利用して、決済カード200のユーザ情報を管理する会員情報管理システムである。また、基幹システム206は、決済カード20を利用して取引が行われた場合に、その取引の決済処理を実行するシステムでもある。つまり、基幹システム206は、決済カード20による取引内容に応じてユーザの口座から支払金額を差し引いたり、或いは、ユーザに取引金額の支払いを請求したりする。
【0060】
さらに、基幹システム206は、その取引が優待特典として優遇金額で行われていた場合に、例えば、その優遇分の金額を提携先に請求したり、或いは、提携先の決済口座から引き落としたりする。尚、記憶装置208には、カード番号等のカード情報やユーザ情報の他に、カード情報とユーザ情報とを紐付ける紐付け情報が記録されている。以下の説明において、基幹システム206のユーザ情報管理機能に着目して、基幹システム206のことを会員情報管理システム206と呼ぶ場合がある。
【0061】
(アプリケーション提供システム252)
アプリケーション提供システム252は、携帯機器100にエリアアクセスアプリケーション132、134や端末制御用アプリケーション154を提供するためのシステムである。アプリケーション提供システム252には、記憶装置254が設けられており、その中にエリアアクセスアプリケーション132、134や端末制御用アプリケーション154が記録されている。そのため、アプリケーション提供システム252は、携帯機器100から所定のアプリケーションのダウンロード要求を受けると、その所定のアプリケーションを記憶装置254から読み出して携帯機器100に送信する。
【0062】
(提携先システム300)
提携先システム300は、リーダ/ライタ310と、決済端末330とを含んでいる。
【0063】
(リーダ/ライダ310)
リーダ/ライダ310は、非接触ICチップ110に接続されたアンテナ802との間で電磁誘導を利用して非接触通信し、非接触ICチップ110に格納された情報を読み出したり、又は非接触ICチップ110に情報を書き込んだりする。このとき、リーダ/ライダ310は、非接触ICチップ110が有する各エリアについてアクセス認証を実行し、各エリアに格納された認証鍵によるアクセス認証が成功した場合に、そのエリアに格納された情報にアクセスすることができる。
【0064】
例えば、リーダ/ライタ310は、非接触ICチップ110の決済事業者エリア、又は提携先エリアの存在を確認し、各エリアに対するアクセス認証を試みる。各エリアに対するアクセス認証が成功すると、リーダ/ライダ310は、決済事業者エリアに格納された会員情報や提携先エリアに格納された提携先会員情報等の情報を読み出すことができる。リーダ/ライダ310は、このようにして読み出された会員情報や提携先会員情報等の各種情報を決済端末330に伝達する。
【0065】
また、リーダ/ライタ310は、提携先エリアの有無のみを確認し、その確認結果を決済端末330に通知するように構成されていてもよい。この場合、提携先エリアの有無を示す確認結果により、決済端末330において、その非接触ICチップ110に対応する決済カード20が優待特典付きの決済カードか否かが判断される。このように構成することで、決済カード20が優待特典付きか否かを判断するに際し、リーダ/ライダ310は、非接触ICチップ110の階層的な記憶領域内に格納された情報を読まずに済むため、その判断処理が全体として高速に実現される。
【0066】
(決済端末330)
決済端末330は、表示装置332に接続されており、リーダ/ライタ310から取得した情報に応じて取引条件を表示装置332に表示する。このとき、決済端末330は、リーダ/ライタ310から取得した上記の確認結果に応じて、その取引条件に優遇条件を適用するか否かを判断し、その判断結果に応じた取引条件を表示する。ユーザは、決済端末330を操作し、表示装置332に表示された取引条件で取引を行うことができる。尚、ユーザ操作により取引が完了した後、その取引結果、及び提携先会員情報等の情報は、決済端末330に記録され、即座に又は所定期間の経過後に基幹システム206に送られる。但し、基幹システム206に送る手段としては、ネットワークを介した通信手段でもよいし、或いは、任意のリムーバブルメディアに情報を記録して送ってもよい。
【0067】
以上、本実施形態に係る決済処理システム1000のシステム構成について詳細に説明した。上記の通り、本実施形態に係る決済処理システム1000は、携帯機器100に搭載された非接触ICチップ110の記憶領域に設けられた提携先エリアの存在の有無を判断して、決済カード20が優待特典付きであるか否かを判断できる。そのため、提携先エリアに格納された提携先会員情報等の情報にリーダ/ライダ310からアクセスせずとも、優待特典の有無を高速に判別することが可能になる。
【0068】
このとき、リーダ/ライダ310に接続された決済端末330は、決済事業者システム200に対して問い合わせ等を行っておらず、提携先システム300内のローカル処理で上記の判別処理を実現している。その結果、ユーザは、非接触ICチップ110を利用したとしても、即座に優待特典を受けることが可能になる。以下、上記のシステム構成を踏まえ、「決済事業者エリアの登録処理工程」「提携先エリアの登録処理工程」「提携先システム300等による優遇判別工程」の各工程に係る各システムの機能構成、及び各工程における処理の流れについて詳細に説明する。
【0069】
(決済事業者エリアの登録処理工程について)
まず、図3及び図6を参照しながら、本実施形態に係る決済事業者エリアの登録処理工程における携帯機器100、決済事業者システム200の機能構成、及び当該処理工程の流れについて説明する。図3は、本実施形態に係る決済事業者エリアの登録処理工程における携帯機器100、及び決済事業者システム200の機能構成を示す説明図である。図6は、本実施形態に係る決済事業者エリアの登録処理工程の流れを示す説明図である。
【0070】
まず、図3を参照する。図3に示したように、決済事業者エリアの登録処理工程では、携帯機器100に搭載された非接触ICチップ100、及び決済事業者用プログラム132と、決済事業者システム200に含まれるエリア発行システム204とが主に利用される。尚、エリア発行システム204に接続された記憶装置202には、決済カード20のユーザ情報である会員情報D1(ABC)、カード番号等のカード情報D2(123)、及び会員情報D1(ABC)とカード情報D2(123)とを紐付ける紐付け情報D3(123:ABC)が記録されているものとする。
【0071】
上記の機能構成を踏まえ、図6を参照しながら、決済事業者エリアの登録処理工程の流れを説明する。この工程は、非接触ICチップ110に決済事業者エリア112が設けられ、その決済事業者エリア112に会員情報(D1)が格納された図3に示すような状態にすることを目的とするものである。
【0072】
図6を参照する。まず、ユーザは、携帯機器100を起動し、決済カード20の会員情報D1を登録するための決済事業者エリアを登録する操作を行う(S102)。この操作に応じて、携帯機器100の決済事業者用プログラム132は、会員情報D1を発行させるための要求メッセージを会員情報管理システム206に送信する(S104)。次いで、会員情報管理システム206は、受信した要求メッセージに応じて会員情報D1を発行し、決済事業者用プログラム132に送信する(S106)。
【0073】
次いで、決済事業者用プログラム132は、会員情報管理システム206から会員情報D1を取得すると、エリア発行システム204に対し、その会員情報D1を提示して決済事業者エリア112の発行を要求する(S108)。次いで、エリア発行システム204は、決済事業者用プログラム132からの発行要求を受信すると、非接触ICチップ110に決済事業者エリア112を生成し、その決済事業者エリア112に会員情報D1を登録する(S110)。その登録処理が完了すると、エリア発行システム204は、登録処理の結果を決済事業者用プログラム132に通知する(S112)。
【0074】
以上説明した処理工程を経て、図3に示すような決済事業者用エリアが生成される。尚、上記工程の中で、非接触ICチップ110とエリア発行システム204との間の遣り取りは、携帯機器100の通信機能を利用して実現される。
【0075】
(提携先エリアの登録処理工程について)
次に、図4及び図7を参照しながら、本実施形態に係る提携先エリアの登録処理工程における携帯機器100、決済事業者システム200の機能構成、及び当該処理工程の流れについて説明する。図4は、本実施形態に係る提携先エリアの登録処理工程における携帯機器100、及び決済事業者システム200の機能構成を示す説明図である。図7は、本実施形態に係る提携先エリアの登録処理工程の流れを示す説明図である。
【0076】
まず、図4を参照する。図4に示したように、提携先エリアの登録処理工程では、携帯機器100に搭載された非接触ICチップ100、及び提携先用プログラム134と、決済事業者システム200に含まれるエリア発行システム204とが主に利用される。
【0077】
尚、エリア発行システム204に接続された記憶装置202には、決済カード20のユーザ情報である会員情報D1(ABC)、カード番号等のカード情報D2(123)、及び会員情報D1(ABC)とカード情報D2(123)とを紐付ける紐付け情報D3(123:ABC)の他に、優待会員識別情報D4(T1)、及び会員情報D1(ABC)と優待会員識別情報D4(T1)とを紐付ける紐付け情報D3(ABC:T1)が記録されているものとする。
【0078】
この優待会員識別情報D4(T1)には、提携先エリア情報D41、及び提携先会員情報D42が含まれる。そのため、上記の紐付け情報D3(ABC:T1)は、会員情報D1(ABC)と提携先エリア情報D41とを紐付ける紐付け情報、及び会員情報D1(ABC)と提携先会員情報D42とを紐付ける紐付け情報により構成されていてもよい。
【0079】
上記の機能構成を踏まえ、図7を参照しながら、提携先エリアの登録処理工程の流れを説明する。この工程は、非接触ICチップ110に決済事業者エリア112、及び提携先エリア114が設けられ、決済事業者エリア112に会員情報(D1)が格納され、提携先エリア114に提携先会員情報D42が格納された図4に示すような状態にすることを目的とするものである。
【0080】
図7を参照する。まず、ユーザは、携帯機器100を起動し、提携先会員情報D42を登録するための提携先エリアを登録する操作を行う(S202)。この操作に応じて、携帯機器100の提携先用プログラム134は、非接触ICチップ110に対し、決済事業者エリア112に格納された会員情報D1の読み出し要求を通知する(S204)。この要求に応じ、非接触ICチップ110は、決済事業者エリア112に格納された会員情報D1を提携先プログラム134に伝達する(S206)。これらの処理により、提携先用プログラム134による会員情報D1の読み出し処理が完了する。尚、会員情報管理システム206は、会員情報D1、カード情報D2、優待会員識別情報D4を予め紐付けて紐付け情報D3を生成しておく(S208)。
【0081】
次いで、提携先用プログラム134は、会員情報管理システム206に対し、決済事業者エリア112から読み出した会員情報D1を送信して優待認証を要求する(S210)。この優待認証の要求を受け、会員情報管理システム206は、予め生成しておいた紐付け情報D3を用いて優待認証を実施する(S212)。この優待認証とは、決済カード20が優待特典付きであるか否かを判断するための処理である。この処理は、会員情報管理システム206により、例えば、会員情報D1に紐付けされた優待会員識別情報D4が存在するか否かが判別されることで実現される。
【0082】
この処理を経て、会員情報D1に対応する決済カード20が優待特典付きであると判別されると、会員情報管理システム206は、その会員情報D1に対応する提携先エリア情報D41、及び提携先会員情報D42を提携先プログラム134に送信する(S214)。次いで、提携先プログラム134は、提携先エリア情報D41、及び提携先会員情報D42をエリア発行システム204に送信し、提携先エリア114の発行、及び提携先会員情報D42の登録を要求する(S216)。
【0083】
次いで、エリア発行システム204は、提携先用プログラム134から受信した提携先エリア情報D41に基づいて非接触ICチップ110に提携先エリア114を発行し、その提携先エリア114に提携先会員情報D42を格納する(S218)。この登録処理が完了すると、エリア発行システム204は、その登録処理の結果を提携先用プログラム134に通知する(S220)。
【0084】
以上説明した処理工程を経て、図4に示すような提携先用エリアが生成される。この処理において、提携先エリア114を生成する前段で優待会員の認証が予め行われているため、この提携先エリア114の有無を判断することにより、決済カード20が優待特典付きか否かを判断することができるのである。尚、上記工程の中で、非接触ICチップ110とエリア発行システム204との間の遣り取りは、携帯機器100の通信機能を利用して実現される。
【0085】
(提携先システム300等による優遇判別工程について)
次に、図5及び図8を参照しながら、本実施形態に係る提携先システム300等による優遇判別工程について、携帯機器100、決済事業者システム200の機能構成、及び当該処理工程の流れを説明する。図5は、本実施形態に係る提携先システム300等による優遇判別工程における携帯機器100、及び決済事業者システム200の機能構成を示す説明図である。図8は、本実施形態に係る提携先システム300等による優遇判別工程の流れを示す説明図である。
【0086】
まず、図5を参照する。図5に示すように、上記の優遇判別工程における携帯機器100、及び決済事業者システム200の機能構成は、基本的に図3及び図4に示した機能構成を組み合わせたものである。但し、決済事業者用プログラム132が会員情報管理システム206にアクセスする工程に対応するため、決済事業者システム200の内部に会員情報管理システム206を明示した。尚、会員情報管理システム206と決済事業者用プログラム132との間で行われる情報の遣り取りは、図中に示すように、エリア発行システム204を介して行われてもよいし、或いは、直接的に行われてもよい。
【0087】
尚、図5において、通信経路P1は、携帯機器100とエリア発行システム204との間の無線又は有線通信経路を示す。一方、通信経路P2は、非接触ICチップ110とリーダ/ライタ310との間の非接触通信による通信経路を表す。この非接触通信は、携帯機器100の非接触通信部140により実現される。この非接触通信部140は、例えば、図13に示すアンテナ802やフロントエンド回路804等の回路構成、及び図1に示した端末制御用アプリケーション154等により構成される。この非接触通信部140を介してリーダ/ライタ310は、非接触ICチップ110の決済事業者エリア112、又は提携先エリア114に格納された情報を読み出したり、当該各エリアに情報を記録することができる。また、リーダ/ライタ310により読み出された情報は、決済端末330に通知される。
【0088】
上記の機能構成を踏まえ、図8を参照しながら、提携先システム300等による優遇判別工程の流れについて説明する。
【0089】
図8を参照する。まず、ユーザは、非接触ICチップ110内に決済事業者エリア112、及び提携先エリア114が生成された携帯機器100をリーダ/ライタ310に翳す(S302)。このとき、決済端末330は、表示画面332に商品情報等の表示データを表示し、ユーザに提示している(S304)。尚、決済端末330によるユーザへの情報提示方法は任意である。例えば、音声により商品情報等を提示する方法であってもよいし、携帯機器100の表示画面152に商品情報等が表示されるように携帯機器100を制御して情報を提示する方法であってもよい。このように提示された情報を受け、ユーザは、決済端末330を操作して商品等の選択を行う(S306)。
【0090】
次いで、リーダ/ライタ310は、非接触ICチップ110に対して接続要求を発信する(S308)。このとき、リーダ/ライタ310は、非接触ICチップ110に対し、ポーリングコマンドで通信状態を確立するための接続要求を送信する。非接触ICチップ110は、そして、非接触ICチップ110は、その接続要求に応じて応答コマンドをリーダ/ライタ310に送信する(S310)。
【0091】
次いで、リーダ/ライタ310は、提携先エリア114の存在を確認するための確認要求、及びその提携先エリア114に格納された提携先会員情報D42等の優待会員情報に対する読み込み要求を非接触ICチップ110に対して送信する(S312)。次いで、非接触ICチップ110は、この確認要求、及び読み込み要求に応じて提携先エリア114の有無、及び優待会員情報をリーダ/ライタ310に送信する(S314)。次いで、リーダ/ライタ310は、非接触ICチップ110から受信した提携先エリア114の有無を示す情報を決済端末330に通知する(S316)。以下の説明では、提携先エリア114が存在するものと仮定する。
【0092】
次いで、決済端末330は、優遇条件を適用した取引内容、及び決済方法を表示画面332に表示してユーザに提示する(S318)。ユーザは、表示装置332に表示された優遇条件の取引内容、及び決済方法を確認し、決済端末330を操作して決済方法を選択する(S320)。次いで、決済端末330は、リーダ/ライタ310に対し、非接触ICチップ110に決済要求を送信するように通知する(S322)。次いで、リーダ/ライタ310は、非接触ICチップ110に対して決済処理、及び認証処理の要求を送信する(S324)。次いで、非接触ICチップ110は、決済処理、及び認証処理を実行した後、その結果をリーダ/ライタ310に返信する(S326)。
【0093】
次いで、リーダ/ライタ310は、ユーザに対して携帯機器100をリーダ/ライタ310から外すように通知し(S328)、提携先会員情報D42等の優待会員情報を決済端末330に送信する(S330)。その後、決済端末330は、上記の取引に係る決済内容の他、優待会員情報を保持しておき、即座に又は後で基幹システム206に送信する。
【0094】
以上説明した処理工程を経て、取引/決済処理が実行される。上記のように、リーダ/ライタ310は、非接触ICチップ110に提携先エリア114が存在するか否かを確認し、その確認結果を決済端末330に通知する。その時点で、決済端末330は、非接触ICチップ310に対応する決済カード20が優待特典付きであるか否かが判断できるため、即座に優遇条件を適用後の取引内容をユーザに提示することができるようになる。その際、決済端末330は、他のシステムに対して問い合わせをしたり、予め保持する情報を参照するといった処理を必要としない。そのため、決済端末330又はリーダ/ライタ310は、大容量の記憶手段を保持する必要も無く、ローカル処理にて上記の優待判別処理を実現することができる。
【0095】
(まとめ)
ここで、図9、図10、図11を参照しながら、上記の技術を実現するために、携帯機器100、決済事業者システム200、決済端末330、及びリーダ/ライタ310が有する機能について整理する。
【0096】
(携帯機器100)
図9に示すように、携帯機器100は、主に、ネットワーク通信制御部172と、決済事業者用プログラム132と、提携先用プログラム134と、非接触ICチップ制御部174と、非接触ICチップ110と、非接触通信部140とにより構成される。
【0097】
ネットワーク通信制御部172は、決済事業者システム200との間で通信するための有線又は無線の通信手段を制御する手段である。非接触ICチップ制御部174は、非接触ICチップ110の動作を制御するための制御手段である。特に、非接触ICチップ制御部174は、決済事業者用プログラム132、及び提携先用プログラム134に基づいて非接触ICチップ110にアクセスするための手段である。
【0098】
尚、決済事業者用プログラム132、提携先用プログラム134は、例えば、図12に示すハードウェア構成のうち、ROM704、RAM706、記憶部720、又はリムーバブル記録媒体728に記録される。また、非接触ICチップ制御部174は、図12に示すハードウェア構成のうち、例えば、CPU702の演算処理機能により実現される。さらに、ネットワーク通信制御部172は、図12に示すハードウェア構成のうち、通信部726により実現される。
【0099】
また、決済事業者用プログラム132は、決済カード20の会員情報を非接触ICチップの決済事業者エリア112に登録するための会員情報登録機能132aを有する。一方、提携先用プログラム134は、会員情報読込機能134aと、優待認証要求機能134bと、優待情報登録機能134cとを有している。会員情報読込機能134aは、非接触ICチップ110の決済事業者エリア112に格納された会員情報を読み込む機能である。優待認証要求機能134bは、決済事業者エリア112から読み出された会員情報を決済事業者システム200の会員情報管理システム206に提示して優待認証を要求する機能である。
【0100】
優待情報登録機能134cは、優待認証の後、会員情報管理システム206から取得した提携先会員情報等の優待情報を非接触ICチップ110の提携先エリアに登録する機能である。つまり、優待情報登録機能134cは、エリア発行システム204に対し、提携先エリア情報、及び提携先会員情報を提示して非接触ICチップ110の提携先エリア114が発行された際に、その提携先エリア114に優待情報を登録する機能である。
【0101】
尚、携帯機器100は、上記の機能の他、ユーザによる入力操作を受け付けるための入力手段やユーザに情報を表示する表示手段(表示画面152)等が設けられている。例えば、ボタン等の入力手段は、決済事業者用プログラム132や提携先プログラム134により、決済事業者システム200や非接触ICチップに対する処理要求を発信するための指示や、その他の操作をユーザが行うために利用される。
【0102】
(決済事業者システム200)
図10に示すように、決済事業者システム200は、エリア発行システム204の機能と、会員情報管理システム206の機能と、ネットワーク通信部210とにより構成される。ネットワーク通信部210は、携帯機器100との間で有線又は無線を介して通信する通信手段である。
【0103】
エリア発行システム204の機能構成には、主に、決済事業者エリア発行部204aと、提携先エリア発行部204bと、決済事業者エリア読込/書込部204cと、提携先エリア読込/書込部204dとが含まれる。
【0104】
決済事業者エリア発行部204aは、携帯機器100を通じて非接触ICチップ110に決済事業者エリア112を発行する手段である。提携先エリア発行部204bは、携帯機器100を通じて非接触ICチップ110に提携先エリア112を発行する手段である。決済事業者エリア読込/書込部204は、携帯機器100の決済事業者用プログラム132の要求に応じて会員情報等の情報を非接触ICチップ110の決済事業者エリア112に書き込んだり、或いは、決済事業者エリア112から情報を読み出す手段である。提携先エリア読込/書込部204dは、携帯機器100の提携先用プログラム134の要求に応じて会員情報や提携先会員情報等の情報を非接触ICチップ110の提携先エリア114に書き込んだり、或いは、提携先エリア114から情報を読み出す手段である。
【0105】
一方、会員情報管理システム206の機能構成には、主に、会員情報発行部206aと、カード情報/会員情報紐付け部206bと、優待会員認証部206cと、優待会員情報発行部206dとが含まれる。
【0106】
会員情報発行部206aは、携帯機器100の決済事業者用プログラム132の要求に応じて会員情報を送信する手段である。カード情報/会員情報紐付け部206bは、決済カード20のカード情報と、その会員情報とを紐付けて保持する手段である。優待会員認証部206cは、携帯機器100の提携先用プログラム134により送信された会員情報を紐付け情報と照合し、その会員情報のユーザが提携先の優待会員であるか否かを判別する手段である。優待会員情報発行部206dは、優待会員認証部206により優待会員であると認証された場合に、その提携先の情報(提携先エリア情報等)、及び提携先会員情報を携帯機器100に送信する手段である。
【0107】
(リーダ/ライタ310)
図11に示すように、リーダ/ライタ310の機能構成には、主に、決済事業者用アプリケーション312と、提携先用アプリケーション314と、通信部316と、非接触ICチップ318とが含まれる。
【0108】
決済事業者用アプリケーション312は、非接触ICチップ110の決済事業者エリア112に格納された会員情報等の情報を読み出したり、或いは、決済事業者エリア112に情報を書き込んだりする手段である。提携先用アプリケーション314は、非接触ICチップ110の提携先エリア114に格納された提携先会員情報等の情報を読み出したり、或いは、提携先エリア114に情報を書き込んだりする手段である。通信部316は、決済端末330との間で通信する手段である。非接触ICチップ318は、携帯機器100に搭載された非接触ICチップ110との間で通信及び認証処理を実行する手段である。尚、非接触ICチップ318と、決済事業者用アプリケーション312又は提携先用アプリケーション314との間には、その間の処理に係る制御、通信、データ管理等を行うミドルウェア(非図示)が介在する。
【0109】
(決済端末330)
引き続き図11を参照する。決済端末330の機能構成には、主に、表示装置332と、取引機能提供部334と、入力装置336と、記憶装置338と、リーダ/ライタ駆動制御部340とが含まれる。
【0110】
取引機能提供部334は、例えば、POS(Point of sale)アプリケーションであり、ユーザにより選択された決済方法により取引商品の売買処理(集計等)を提供する手段である。また、取引機能提供部334は、決済方法や取引内容等を表示装置332に表示させる機能も提供する。入力装置336は、例えば、表示装置332の画面上に形成されるタッチパネルやテンキー等の操作手段であり、決済方法や取引商品等の内容をユーザが選択するために利用される。
【0111】
記憶装置338には、携帯機器100の非接触ICチップ110に提携先エリア114が存在するか否かを示す識別情報(リーダ/ライタ310から送信された確認情報)に基づき、優遇条件の適用/非適用を判別するための優待判別データが記録される。また、記憶装置338には、優遇条件が適用された場合の取引内容(例えば、優待価格やポイント付与率等)が記録される。さらに、記憶装置338には、リーダ/ライタ310から取得した提携先会員情報等の優待情報が記録される。
【0112】
そのため、取引機能提供部334は、記憶装置338の情報を参照し、表示装置332に表示する取引条件等を判断する。また、リーダ/ライタ駆動制御部340は、リーダ/ライタ310によるポーリングコマンド等の発信制御を含めた駆動制御をして携帯機器100の非接触ICチップ110から情報を取得する手段である。尚、取引機能提供部334、及びリーダ/ライタ駆動制御部340は、図12に示すハードウェア構成のうち、例えば、CPU702の演算処理機能により実現される。また、入力装置336は、図12のハードウェア構成のうち、入力部716の機能により実現される。さらに、記憶装置338は、図12に示すハードウェア構成のうち、記憶部720、又はリムーバブル記憶媒体728等により実現される。
【0113】
以上、本実施形態に係る決済処理システム1000のシステム構成、各構成要素の機能構成、及び、本実施形態に係る決済処理方法の各工程について詳細に説明した。上記の通り、携帯機器100に搭載された非接触ICチップ110を利用する電子取引に関し、非接触ICチップ110に登録された決済カード20の会員情報を用いて後払い決済方式でも、ユーザは、決済カード20に付与された優待特典を享受することができるようになる。
【0114】
この効果を得るために、本実施形態では、提携先会員識別情報(提携先毎のエリア、提携先優待会員情報)を非接触ICチップ110に保持する方法を提案した。この方法を用いることで、リーダ/ライタ310に携帯機器100が翳された際に、そのリーダ/ライタ310が接続された機器(決済端末330)のみのオフライン処理(ローカル処理)で、ユーザに優遇条件の取引内容を提供することが可能になる。
【0115】
その結果、ユーザは、例えば、磁気カードやICカード等の提携クレジットカードに紐付けられた会員情報しか非接触ICチップ110に登録されていない場合でも、スピーディに優待サービスを受けることができるようになる。一方、優待特典を提供する提携先としては、決済端末330において、例えば、クレジットカードの情報、及び会員情報を保持しておく必要がなくなり、当然、これらの情報を突合して優待会員の判別をする必要がなくなる。そのため、スピーディなユーザへの応答が実現される。また、ローカル処理のため、優待会員の判別に際して通信処理が発生せず、通信処理による遅延も発生しない。
【0116】
また、携帯機器100に搭載された非接触ICチップ110には、決済事業者エリア112と提携先エリア114とが個別に用意されるので、既に決済事業を展開している事業者であっても、非接触ICチップ110のメモリフォーマットの構成を変更することなく、サービスを提供することが可能となる。さらに、理論上は提携先の数に上限を設ける必要がなくなり、高い拡張性が実現される。但し、提携先数の上限については、割り当てられるコード値の上限に依存して決定される。
【0117】
尚、本実施形態の説明において示した構成は一例に過ぎないが、この構成は、現状の電子決済スキームに手を加えずに済むように構成されており、導入しやすいという利点がある。特に、電子決済用の携帯機器向けアプリケーションを改造するのではなく、それとは別の提携先用の携帯機器向けアプリケーションを活用している点、非接触ICチップ110のエリア、及びエリアアクセス用のアプリケーションを提携先毎に用意している点等が上記構成において有利な点である。
【0118】
[ハードウェア構成]
上記装置、機器、又はシステムが有する各構成要素の機能は、例えば、図12に示すハードウェア構成を有する情報処理装置により、上記の機能を実現するためのコンピュータプログラムを用いて実現することが可能である。図12は、上記装置の各構成要素が有する機能を実現することが可能な情報処理装置のハードウェア構成を示す説明図である。
【0119】
図12に示すように、前記の情報処理装置は、主に、CPU(Central Processing Unit)702と、ROM(Read Only Memory)704と、RAM(Random Access Memory)706と、ホストバス708と、ブリッジ710と、外部バス712と、インターフェース714と、入力部716と、出力部718と、記憶部720と、ドライブ722と、接続ポート724と、通信部726とにより構成される。
【0120】
CPU702は、例えば、演算処理装置又は制御装置として機能し、ROM704、RAM706、記憶部720、又はリムーバブル記録媒体728に記録された各種プログラムに基づいて各構成要素の動作全般又はその一部を制御する。ROM704は、例えば、CPU702に読み込まれるプログラムや演算に用いるデータ等を格納する。RAM706は、例えば、CPU702に読み込まれるプログラムや、そのプログラムを実行する際に適宜変化する各種パラメータ等を一時的又は永続的に格納する。これらの構成要素は、例えば、高速なデータ伝送が可能なホストバス708によって相互に接続されている。また、ホストバス708は、例えば、ブリッジ710を介して比較的データ伝送速度が低速な外部バス712に接続されている。
【0121】
入力部716は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ、及びレバー等の操作手段である。また、入力部716は、赤外線やその他の電波を利用して制御信号を送信することが可能なリモートコントロール手段(所謂、リモコン)であってもよい。なお、入力部716は、上記の操作手段を用いて入力された情報を入力信号としてCPU702に伝送するための入力制御回路等により構成されている。
【0122】
出力部718は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma DisplayPanel)、又はELD(Electro−Luminescence Display)等のディスプレイ装置、スピーカ、ヘッドホン等のオーディオ出力装置、プリンタ、携帯電話、又はファクシミリ等、取得した情報を利用者に対して視覚的又は聴覚的に通知することが可能な装置である。
【0123】
記憶部720は、各種のデータを格納するための装置であり、例えば、ハードディスクドライブ(HDD;Hard Disk Drive)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、又は光磁気記憶デバイス等により構成される。
【0124】
ドライブ722は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体728に記録された情報を読み出し、又はリムーバブル記録媒体728に情報を書き込む装置である。リムーバブル記録媒体728は、例えば、DVDメディア、Blu−rayメディア、HD−DVDメディア、コンパクトフラッシュ(CF;CompactFlash)(登録商標)、メモリースティック、又はSDメモリカード(Secure Digital memory card)等である。尚、リムーバブル記録媒体728は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit Card)、又は電子機器等であってもよい。
【0125】
接続ポート724は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1374ポート、SCSI(Small Computer System Interface)、RS−232Cポート、又は光オーディオ端子等のような外部接続機器730を接続するためのポートである。外部接続機器730は、例えば、プリンタ、携帯音楽プレーヤ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、又はICレコーダ等である。
【0126】
通信部726は、ネットワーク732に接続するための通信デバイスであり、例えば、有線又は無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、又はWUSB(Wireless USB)用の通信カード、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、又は各種通信用のモデム等である。また、通信部726に接続されるネットワーク732は、有線又は無線により接続されたネットワークにより構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、可視光通信、人体通信、放送、又は衛星通信等である。
【0127】
[非接触ICチップ110の回路構成]
ここで、図13を参照しながら、非接触ICチップ110の回路構成について簡単に説明する。図13は、非接触ICチップ110の回路構成の一例を示す説明図である。図13に示すように、非接触ICチップ110は、例えば、アンテナ802と、フロントエンド回路804と、変調器806と、コマンド再生器808と、クロック再生器810と、制御回路812と、暗号化回路814と、メモリ816と、により構成される。
【0128】
アンテナ802は、ループ・アンテナにより構成され、リーダ/ライタ310が有するループ・アンテナと磁気的に結合してコマンドや電力を受け取ることができる。フロントエンド回路804は、リーダ/ライタ310から送出された搬送波を整流して直流電源を再生する。また、フロントエンド回路804は、取得した13.56MHzの搬送波を分周してコマンド再生器808、及びクロック再生器810に入力する。
【0129】
コマンド再生器808は、入力された搬送波からコマンドを再生して制御回路812に入力する。クロック再生器810は、入力された搬送波からロジック回路を駆動するためのクロックを再生して制御回路812に入力する。また、フロントエンド回路804は、再生した電源を制御回路812(CPU)に供給する。
【0130】
全ての回路に電源が供給されると、制御回路812は、再生されたコマンドに応じて各回路を駆動する。尚、制御回路812から出力されたデータは、暗号化回路814により暗号化されてメモリ816に格納される。尚、メモリ816は、例えば、磁気的、光学的、又は光磁気的に情報を記録する記憶装置であってもよいし、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の半導体記憶装置であってもよい。
【0131】
一方、メモリ816内に格納された暗号化データを送信する場合、フロントエンド回路804は、変調器806により変調された暗号化データに基づいてアンテナ802の給電点にある負荷インピーダンスを変化させ、その変化によりアンテナ802によって誘起される磁界を変化させる。この磁界変化により、磁気的に結合したリーダ/ライタ310のアンテナを流れる電流変化が誘起されて暗号化データが伝送される。
【0132】
[リーダ/ライダ310の回路構成]
次に、図14を参照しながら、リーダ/ライタ310の回路構成について簡単に説明する。図14は、リーダ/ライタ310の回路構成の一例を示す説明図である。図14に示すように、リーダ/ライタ310は、例えば、アンテナ902と、フィルタ932と、受信アンプ934と、周波数変換器936と、識別器938と、ロジック回路940と、制御回路912と、メモリ916と、変調器946と、局部発振器950と、送信アンプ948とにより構成される。
【0133】
リーダ/ライダ310は、非接触ICカード等との磁気的な結合を利用してコマンドや電力を供給する。このリーダ/ライダ310は、制御部912(CPU)の制御により、非接触ICチップ110に電力を供給して活性化させてから、所定の伝送プロトコルに従って通信を開始する。このとき、リーダ/ライダ310は、通信接続の確立、アンチコリジョン処理、及び認証処理等を行う。
【0134】
リーダ/ライダ310は、局部発振器950を利用して搬送波を生成する。情報を送信する場合、まず、制御回路912は、メモリ916からデータを読み出してロジック回路940に伝送する。そして、変調器946は、ロジック回路940から出力された信号に基づいて局部発振器950により生成された搬送波を変調する。さらに、送信アンプ948は、変調器946から出力された変調波を増幅し、アンテナ902を介して送信する。
【0135】
一方、情報を受信する場合、まず、アンテナ902を介して受信された変調波は、フィルタ932を通した上で受信アンプ934に入力される。そして、受信アンプ934により増幅された信号は、周波数変換器936により周波数変換されてロジック回路940に入力される。さらに、ロジック回路940から出力された信号は、制御回路912によりメモリ916に記録される。
【0136】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本発明の一実施形態に係る決済処理システムの構成例を示す説明図である。
【図2】同実施形態に係る非接触ICチップの記録構造を示す説明図である。
【図3】同実施形態に係る決済事業者エリアの登録機能の構成を示す説明図である。
【図4】同実施形態に係る提携先エリアの登録機能の構成を示す説明図である。
【図5】同実施形態に係る電子決済利用時の機能構成を示す説明図である。
【図6】同実施形態に係る決済事業者エリア登録方法の流れを示す説明図である。
【図7】同実施形態に係る提携先エリア登録方法の流れを示す説明図である。
【図8】同実施形態に係る電子決済利用方法の流れを示す説明図である。
【図9】同実施形態に係る携帯機器の機能構成例を示す説明図である。
【図10】同実施形態に係る決済事業者システムの機能構成例を示す説明図である。
【図11】同実施形態に係る決済端末側の機能構成を示す説明図である。
【図12】同実施形態に係る各装置のハードウェア構成例を示す説明図である。
【図13】同実施形態に係る非接触ICチップの構成例を示す説明図である。
【図14】同実施形態に係るリーダ/ライダの構成例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0138】
1000 決済処理システム
100 携帯機器
110 非接触ICチップ
112 決済事業者エリア
114 提携先エリア
132 決済事業者用プログラム(エリアアクセスアプリケーション)
134 提携先用プログラム(エリアアクセスアプリケーション)
134a 会員情報読込機能
134b 優待認証要求機能
134c 優待情報登録機能
140 非接触通信部
152 表示画面
154 端末制御用アプリケーション
172 ネットワーク通信制御部
174 非接触ICチップ制御部
200 決済事業者システム
202、208、254 記憶装置
204 エリア発行システム
204a 事業者エリア発行部
204b 提携先エリア発行部
204c 決済事業者エリア読込/書込部
204d 提携先エリア読込/書込部
206 基幹システム(会員情報管理システム)
206a 会員情報発行部
206b カード情報/会員情報紐付け部
206c 優待会員認証部
206d 優待会員情報発行部
210 ネットワーク通信部
252 アプリケーション提供システム
300 提携先システム
310 リーダ/ライダ
312 決済事業者用アプリケーション
314 提携先用アプリケーション
316 通信部
318 非接触ICチップ
330 決済端末
332 表示装置
334 取引機能提供部
336 入力装置
338 記憶装置(優待判別データ)
340 リーダ/ライダ駆動制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の取引相手との間で利用された場合に取引条件が優遇される優遇条件付きの決済カードに関し、当該決済カードの発行者が発行したユーザ情報が格納される第1格納領域と、前記所定の取引相手が発行した優待ユーザ情報が格納される第2格納領域とが設けられた非接触ICチップに対し、前記第1及び第2格納領域に対するアクセス認証を経て、前記第1格納領域のユーザ情報、及び前記第2格納領域の優待ユーザ情報を読み出すリーダ/ライタに接続された決済端末であって、
前記リーダ/ライタにより前記第2格納領域の存在が確認された場合に前記決済カードが優遇条件付きの決済カードであると判断する判断部と、
前記判断部により前記優遇条件付きの決済カードであると判断された場合に前記優遇条件が適用された取引条件をユーザに提示する条件提示部と、
を備えることを特徴とする、決済端末。
【請求項2】
前記条件提示部により取引条件が提示され、ユーザにより取引内容の指定、及び決済方法の指定が行われた後で、前記リーダ/ライタに対し、当該取引の決済処理を要求する決済処理要求を前記非接触ICチップに送信するように制御する決済処理要求送信部と、
前記決済処理要求に応じて返信された決済処理結果を受信した後、前記非接触ICチップと前記リーダ/ライタとの間の通信が終了した後に前記優遇ユーザ情報を前記リーダ/ライタから取得する優遇ユーザ情報取得部と、
をさらに備え、
前記優遇ユーザ情報取得部により取得された優遇ユーザ情報を前記取引結果、及び前記ユーザ情報と共に保持しておき、前記決済カードの決済処理を実行する基幹システムに対して送信することを特徴とする、請求項1に記載の決済端末。
【請求項3】
前記第1格納領域には、前記ユーザ情報として前記決済カードを特定するためのカード特定情報に対応付けられた第1対応付け情報が格納されており、
前記第2格納領域は、
前記カード特定情報と前記優遇ユーザ情報とを対応付ける第2対応付け情報を保持し、且つ、前記第1及び第2対応付け情報を用いて前記優遇ユーザ情報を提供する基幹システムに対し、
前記非接触ICチップを搭載する情報処理装置により、
当該非接触ICチップの第1格納領域に格納された前記第1対応付け情報が読み出されて前記基幹システムに送信され、当該第1対応付け情報に応じて前記基幹システムから提供された前記優遇ユーザ情報が取得され、前記非接触ICチップに前記格納領域を生成するエリア発行システムに対し、前記優遇ユーザ情報が提供されて前記第2格納領域の生成が要求された上で、前記エリア発行システムにより生成されて前記優遇ユーザ情報が格納されたものであることを特徴とする、請求項2に記載の決済端末。
【請求項4】
所定の取引相手との間で利用された場合に取引条件が優遇される優遇条件付きの決済カードに関する情報が格納される非接触ICチップを搭載した情報処理装置と、前記情報処理装置を制御して前記非接触ICチップ内に前記情報が格納される格納領域を生成するエリア発行システムと、非接触通信により前記非接触ICチップに格納された情報を読み出すリーダ/ライタと、当該リーダ/ライタにより読み出された情報を取得し、その情報に応じて前記取引条件をユーザに提示する決済端末と、を含む決済処理システムであって、
前記非接触ICカードは、
前記決済カードのユーザ情報が格納された第1格納領域を有する記憶部を備え、
前記エリア発行システムは、
前記情報処理装置を制御して前記所定の取引相手に対応する第2格納領域を前記非接触ICカードの記憶部に生成する領域生成部と、
を備え、
前記リーダ/ライタは、
非接触通信を用いて当該情報処理装置に搭載された非接触ICチップの記憶部に前記第2格納領域が存在するか否かを判断する領域判断部と、
前記領域判断部による判断結果を前記決済端末に通知する通知部と、
を備え、
前記決済端末は、
前記リーダ/ライタから取得した前記判断結果に応じて前記決済カードが前記所定の取引相手に対する優遇条件付きの決済カードであるか否かを判断する判断部と、
前記判断部により前記決済カードが優遇条件付きである場合に前記優遇条件が適用された取引条件をユーザに提示する条件提示部と、
を備えることを特徴とする、決済処理システム。
【請求項5】
前記エリア発行システムは、前記所定の取引相手から発行された優遇ユーザ情報を前記第2格納領域に格納する優遇ユーザ情報格納部をさらに備え、
前記リーダ/ライタは、
前記非接触ICチップの記憶部にアクセスするためのアクセス認証を行う認証部と、
前記認証部によりアクセス認証が成功した場合に前記非接触ICチップの記憶部に設けられた前記第1格納領域のユーザ情報、及び前記第2格納領域の優遇ユーザ情報を読み出すユーザ情報読出部と、
をさらに備え、
前記通知部は、前記ユーザ情報、前記優遇ユーザ情報、及び前記領域判断部による判断結果を前記決済端末に通知し、
前記決済端末は、前記条件提示部により提示された取引条件で取引が成立した場合に当該取引結果、前記ユーザ情報、及び前記優遇ユーザ情報を記録する記録部をさらに備え、
前記決済カードの決済処理を実行する基幹システムに対し、前記記録部に記録された前記取引結果、ユーザ情報、及び優遇ユーザ情報が送信されることを特徴とする、請求項4に記載の決済処理システム。
【請求項6】
所定の取引相手との間で利用された場合に取引条件が優遇される優遇条件付きの決済カードに関する決済処理方法であって、
前記決済カードの発行者が発行したユーザ情報が格納される第1格納領域と、前記所定の取引相手が発行した優待ユーザ情報が格納される第2格納領域とが非接触ICチップに設けられるステップと、
前記非接触ICチップの情報を読み出すためのリーダ/ライタにより、前記第1及び第2格納領域に対するアクセス認証を経て、前記第1格納領域のユーザ情報、及び前記第2格納領域の優待ユーザ情報が読み出されるステップと、
前記リーダ/ライタに接続された決済端末により、前記リーダ/ライタにより前記第2格納領域の存否が確認されるステップと、
前記決済端末により、前記第2格納領域が存在する場合に前記決済カードが優遇条件付きの決済カードであると判断されるステップと、
前記決済端末により、前記優遇条件付きの決済カードであると判断された場合に前記優遇条件が適用された取引条件がユーザに提示されるステップと、
を含むことを特徴とする、決済処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−193155(P2009−193155A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−30839(P2008−30839)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(504134520)フェリカネットワークス株式会社 (129)
【Fターム(参考)】