説明

沸騰水型原子炉の蒸気系統を試験するためのシステムおよび方法

【課題】BWRの主蒸気システムの音響負荷を決定するために、BWRの蒸気システムの縮尺模型に試験を行うシステムおよび方法を提供すること。
【解決手段】沸騰水型原子炉(BWR)に見込まれる音響負荷を予測するためのシステムおよび方法は、BWRの縮尺模型、縮尺模型に空気流れを発生するための試験治具、および評価されているBWRに関するプラント動作に音響負荷がどのように影響を与えることができるか予測するためにシステムの挙動を監視するための1つまたは複数の測定デバイスを備えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に沸騰水型原子炉(BWR)の蒸気系統を試験するための方法および装置に関し、より詳細には、ある縮尺のBWRの蒸気系統の縮尺模型に試験を行うための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
沸騰水型原子炉(BWR)などの原子炉の原子炉圧力容器(RPV)は、一般に全体的に円筒形状を有し、たとえばボトムヘッド(bottom head)および取り外し可能なトップヘッド(top head)によって両端を閉じられている。上部格子板は一般に、RPVの中の炉心板の上に間隔を置いて配置されている。炉心シュラウドまたはシュラウドは、一般に炉心を取り囲み、シュラウド支持構造によって支持されている。シュラウドは、一般に円筒形状を有し、炉心板と上部格子板の両方を取り囲む。円筒形の原子炉圧力容器と円筒形状になったシュラウドとの間に配置された空間および環状部分がある。
【0003】
熱が炉心内で発生し、炉心を通って上方に循環した水は、少なくとも部分的に蒸気に変換される。気水分離器が蒸気と水を分離する。残留水が炉心の上に配置された蒸気乾燥器によって蒸気から除去される。脱水された蒸気は、容器のトップヘッド付近の蒸気出口を通ってRPVを出る。
【0004】
従来のBWRは、動作中に蒸気乾燥器の空気音響学的負荷から生じる損傷を受ける可能性がある。従来のBWRには、本来の認可された熱出力を超えた出力レベルで動作した後、蒸気乾燥器のかなりの劣化を受けたものもある。たとえば蒸気乾燥器の空気音響学的負荷は、動作中に蒸気乾燥器の振動を招くおそれがあり、それは蒸気乾燥器の構成要素の異常な磨耗、または場合によってはひび割れとして表面化する可能性がある。
【0005】
蒸気乾燥器の損傷は、プラントが所望の出力レベルで操作することを妨害するおそれがある。さらに、蒸気乾燥器に対する修理に関連する費用(時間、資金など)は、かなりのものになる可能性がある。したがって、BWR蒸気乾燥器に見込まれる音響負荷の性質を予測できることが望ましい。
【0006】
従来、BWR蒸気乾燥器に見込まれる音響負荷の性質を予測するのに使用されたいくつかの方法がある。これらの方法には、(1)異なるBWR構成および異なる動作状態からのプラント内の動作データに基づいた経験的で一般的な負荷見積り、(2)様々な出力レベルで音響負荷を測定するための、プラント固有の容器内計装プログラム、(3)計装ラインまたは主蒸気ライン濾過ゲージから所望の出力レベルで得られるプラント内データによって駆動されるプラント構成の音響学的回路模型、(4)プラント固有の構成に関して行われる計算流体力学(CFD)分析が含まれる。
【0007】
経験的で一般的な負荷見積りは不正確であり、データが、考慮されるプラント以外の原子炉プラントから入ることにより阻害される。したがって考慮されるプラント対して負荷見積りが控えめであるか、または控えめでないか決定するのにプラント固有の情報は、まったく使用されない。この方法は、どのプラントに対しても音響負荷の定義を生成する試みにおいて、BWR蒸気システムから入手可能な全ての情報を使用する。プラント固有の用途に対するこの方法の適性は、実証することが困難である。多くの公益企業は、負荷の予測があまりにも控えめであることを訴えている。米国原子力規制委員会(NRC)は、経験的な方法は、蒸気乾燥器の故障があったプラントと、そうでないプラントを区別するのに十分でないことを訴えている。
【0008】
公益企業が、蒸気乾燥器の実際の負荷を測定するための容器内計装プログラムを推進することを決定した場合もある。しかし、この方法には費用がかかり、それによって多くの公益企業にとって望ましくない手法になっている。さらに、この方法はチャネルが限定され、それは限定された数の計器しか動作データを得るために蒸気乾燥器に配置できないことを意味する。この数は一般に約40前後の計器配置である。容器内計装を使用するには、容器内試験が行われる時間の前に、蒸気乾燥器の脆弱な領域が知らされることも必要である。さらに、原子炉が可動状態に戻り、動作するようになると、計器を再配置する機会がまったくない。
【0009】
さらに、いくつかの団体では、プラント固有の蒸気システムの音響学的回路の概算が作り出された。これらの分析模型は、RPV、主蒸気ラインまたは主蒸気ラインの濾過ゲージに取り付けられた計装ラインから得られる不安定な圧力データから蒸気乾燥器への音響負荷を予測するのに使用される、有効な伝達関数である。音響学的回路模型および方法は、データが所望の音響負荷状態の動作状態にあるプラントから得られない限りプラント固有の負荷を予測するのに使用することができない。不安定な圧力データが液体の水および蒸気の両方を含む計装ラインの端部で得られ、したがってかなりの温度勾配を示す。計測ラインの状態は、蒸気ラインの不安定な圧力の正確な予測を証明することを困難にする。さらに、主蒸気ラインの濾過ゲージを使用すると、主蒸気ラインの振動によって、所望の音響的な圧力に入った機械的な信号を含むデータがもたらされ、したがって、この方法を適用するには多数の濾過ゲージ、およびかなりの信号処理の管理を行う必要がある。言い換えると、全ての音源の配置および特性を完全に理解せずに、システムの別の位置からの応答を使用するシステムの1つの部分でのシステム応答の予測は、この方法によって得られる負荷予測を証明するのを困難にする。
【0010】
いくつかのCFD分析が蒸気乾燥器に見込まれる負荷を理解しようとして行われてきた。しかし、この手法を評価するための経験的なデータの不足、蒸気システムを概算するのに必要になる模型の物理的な寸法、蒸気乾燥器の不安定な圧力変動の正確な予測を行うのに必要になる計算資源によってこの手法が実用的になることを妨害する。この技術は、BWR蒸気システムによって示される産業の複雑な問題に対して使用するにはまだ十分に円熟していない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の例示の実施形態が、BWRおよびその構成要素に見込まれる音響負荷を予測するためのシステムに向けられている。システムは、BWRの縮尺模型、縮尺模型に空気流を発生するように構成された試験治具、およびシステムの挙動をモニタするための1つまたは複数の測定デバイスを備えることができる。
【0012】
本発明の別の例示の実施形態は、BWR蒸気乾燥器に見込まれる音響負荷を予測する方法に向けられている。この方法は、評価されるBWRの縮尺模型を提供するステップと、縮尺模型を通る空気流を発生させるステップと、評価されるBWRにおいて音響負荷がプラントの動作にどのように影響するか予測するために縮尺模型のシステム挙動をモニタするステップとを含む。
【0013】
本発明の別の例示の実施形態は、BWRに見込まれる音響負荷を予測する方法に向けられている。この方法は、BWRの縮尺模型から得られたデータをプラント状態に変換するために、次元分析から導出されたスケーリング則を使用することを含む。
【0014】
本発明の例示の実施形態は、本明細書で下記に与えられた詳細な説明、および同様の要素が同様の参照番号によって表される添付の図面からより完全に理解されるであろう。その実施形態は、例示として与えられるに過ぎず、したがって本発明を限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下にさらに詳細に説明される本発明の例示の実施形態は、BWRの主蒸気システムの音響負荷を決定するためのシステムおよび方法に向けられている。さらに具体的には、本発明の例示の実施形態は、動作中に生じる可能性のある音響負荷を決定するためにBWRの蒸気システムの縮尺模型に試験を行うように向けられている。
【0016】
図1は、例示のBWRの縮尺模型の音響学的試験システム100の概略図である。図2は例示の試験治具110を示し、図3は、BWRの縮尺模型の音響学的試験システム100のBWRの縮尺模型120に連結された模型の主蒸気ライン190の例を示す。BWRの縮尺模型の音響学的試験システム100は、ある部分、システムの音響がシステムの幾何学形状および流体の特性に左右されるという前提に基づいている。
【0017】
したがって、縮尺模型の音響学的試験システム100の特性モードは、流体方程式を左右する次元分析を使用して導出される適切なスケーリング則によって評価される原子炉プラントの特性モードに関連付けることができる。これらの関係は、第1の原理手法を設計することから得られる。縮尺模型を設計し、動作させる際に考慮されるべき重要な要因には、模型およびプラント内で流体のマッハ数を保ち、一定の幾何学的縮尺を維持することが含まれる。言い換えると、BWRの縮尺模型120および主蒸気ライン縮尺模型190の全ての態様が同じ任意の縮尺に構築され、模型の空気流れのマッハ数がプラントの蒸気流れマッハ数と同じであると、BWRの縮尺模型120および主蒸気ライン縮尺模型190の通常の音響モードは、以下の式(1)の関係によって評価されるプラントでの通常の音響モードと比例的に関連付けられる。
【0018】
【数1】

【0019】
同様に、模型の圧力は、式(2)によるプラントの圧力に関連付けられる。
【0020】
【数2】

【0021】
したがって、次元分析から導出されたスケーリング則は、模型から得られたデータをプラント状態に転換するために、使用することができる。
【0022】
BWRの縮尺模型の音響学的試験システム100は、試験治具110、BWRの縮尺模型120および主蒸気ライン縮尺模型190を備えることができる。試験治具110は、空気流れを発生させ、空気をBWRの縮尺模型120に送る構成要素を含むことができる。
【0023】
図2に示すように、試験治具110は、送風機130、入口管140、流量計150、およびマフラ160を備える。送風機130は、空気流れをもたらすように構成され、その流れは、入口管140を通ってBWRの縮尺模型120に送ることができる。送風機130によって発生された空気流れは、動作しているBWRで発生する流れと同様にBWRの縮尺模型120に流れをシミュレートするのに使用され、それによって音響負荷が生じ、それは上述のように様々な問題をもたらす可能性がある。
【0024】
例示の送風機130は、Sonic 70 Centrifugal Blowerなどの電気式遠心送風機であることができる。
【0025】
入口管140は、送風機130をBWRの縮尺模型120に連結する。入口管140は、それが共に連結する(たとえば送風機130、流量計150、BWRの縮尺模型120、マフラ160などの)構成要素の環境および特性に応じて(たとえば寸法、および材料が変化できるように)調整することができる様々な区画から構成することができる。
【0026】
ベンチュリ流量測定デバイスとして実施できる流量計150、およびマフラ160は、送風機130とBWRの縮尺模型120との間に配置できる。流量計150は、システムの空気流れを測定するのに使用できる。流量計150の測定値は、モニタされ、記録され、および/またはBWRの縮尺模型試験システム100に対する制御機構の一部として使用できる。たとえば、流量計150からの測定値は、送風機130を制御するのに使用できる。測定デバイス、その位置、および使用のさらなる例は、後に説明される。
【0027】
マフラ160は、BWRの模型120を試験治具110によってシステムに入るノイズから実質的に分離するのに使用される。たとえば、試験治具110によって発生したノイズには、送風機130の翼通過周波数(VPF)、入口管140に関連したオルガン管モード(organ pipe mode)などが含まれる可能性がある。マフラ160は、たとえば暖房、換気、および空調システム(Heating Ventilation and Air Conditioning systems)に使用されるような吸収性のマフラであることができる。
【0028】
BWR蒸気乾燥器に見込まれる音響的負荷を予測する方法は、評価されるBWRの縮尺模型120を提供するステップと、BWRの縮尺模型120を通る空気流を発生させるステップを含むことができる。評価されるBWRにおいて音響負荷がプラントの動作にどのように影響するか予測するために、BWRの縮尺模型120のシステム挙動をモニタすることができる。モニタするステップはさらに、BWRの縮尺模型試験システム100の1つまたは複数の圧力変動、BWRの縮尺模型試験システム100の全空気流れ、BWRの縮尺模型試験システム100の絶対空気静圧(absolute static air pressure)、およびBWRの縮尺模型試験システム100の空気温度をモニタするステップ、および/または(たとえば管長さ調整器200、リリーフ弁入口長さ調整器300など)1つもしくは複数の調整可能な構成要素を調整するステップ、測定値を記録するステップ、および/または1つもしくは複数の調整可能な構成要素をさらに調整するステップ、および追加の測定値を記録するステップとを含み、それによってBWRの縮尺模型試験システム100に関するパラメトリックデータ(parametric data)を得る。
【0029】
図4に示すように、BWRの縮尺模型120は、縮尺版のRPV170、蒸気乾燥器180、およびRPVトップヘッド175を含むことができる。BWRの縮尺模型120に対して使用される縮尺は、たとえばマフラ160の出口でのフランジ直径によって決定することができる。BWRの縮尺模型120を製造するために選択される材料は、空気が蒸気乾燥器180の表面、RPV170およびトップヘッド175を通って漏洩するのを防止する必要がある。したがって、平方インチ当たり約2から5ポンドの内圧(標準)に耐えることが可能な任意の材料がBWRの縮尺模型120を製造するのに適することができる。BWRの縮尺模型120に対する例示の材料には、RPV170用のアクリル製品、および蒸気乾燥器180用のニッケルめっきされたポリマーが含まれる。RPV170のトップヘッド175はステンレス鋼であることができる。模型の主蒸気ライン190もステンレス鋼であることができる。これらはBWRの縮尺模型120、模型の主蒸気ライン190の異なる構成要素の例示に過ぎず、本発明をどのようにも限定しない。
【0030】
図5は、BWRの縮尺模型120に取り付けられた模型の主蒸気ライン190を備える例示のBWRの縮尺模型120を示す。模型の主蒸気ライン190は、1つまたは複数のタービン入口500をBWRの縮尺模型120に連結することができる。模型の主蒸気ライン190は、タービン弁400(たとえば、タービン塞止弁、など)、管長さ調整器200、均圧ヘッダ(equalizing header)900、主蒸気隔離弁(main steam isolation valves)800、流量計150、ならびに安全およびリリーフ弁700を備えることができる。
【0031】
上述の例示の模型構成要素は、蒸気システムの特徴を制御するように機能することができる。しかし、模型の弁(たとえばタービン弁400、管長さ調整器200、均圧ヘッダ900、主蒸気隔離弁800、流量計150、安全およびリリーフ弁700)は、実動するBWRに備えられる弁と同じ機能を有する可能性があり、または有する可能性がない。たとえば、模型の安全およびリリーフ弁700は、実働するBWRの音響キャビティを模型化するためだけに使用でき、BWRの縮尺模型音響学試験システム100で超過圧力保護機能を満たすように設計されたものではない。
【0032】
模型の主蒸気ラインは、システムが模型の主蒸気ライン190の様々な位置で分解できるように、ユニオンを使用して設計することができる。これによって、システムから様々な構成要素を除去することが可能になり、それによって模型が空気音響学的発生源を割り出すために使用できるようになる。さらに、システムは、模型の主蒸気ライン190の弁(たとえば、主蒸気隔離弁、タービン塞止弁、タービン制御弁など)がシステム挙動へのその効果を調査するために調整可能な構成要素と共に備えられるように設計することができる。
【0033】
管長さ調整器(たとえば管長さ調整器200、リリーフ弁入口調整器300など)が、BWRの縮尺模型120に連結された蒸気システムの特徴を調整するのに使用できる。
【0034】
図6は、本発明に使用できる管長さ調整器200の例示の実施形態を示す。図6では、管長さ調整器200は、縮尺模型BWR120に連結された蒸気ラインの全体の経路長さを増加および/または縮小するように構成される。図6に示すように、管長さ調整器200は、第1の管区画210、第2の管区画220、管長さ調整デバイス230、長さ調整設定デバイス240、第1のブラケット260、第2のブラケット270、およびOリングを備えることができる。第1の管区画210は、管長さ調整器200の第2の管区画220に挿入されるように構成可能であり、またはその反対が可能である。管長さ調整デバイス230は、第1の管区画210、第2の管区画220に連結できる。管長さ調整デバイス230は、第2の管区画220に、およびそこから第1の管区画210を挿入し、後退させるように構成され、それによって図6に示すように管長さ調整器200の点Aから点Bへの経路長さを変更する。
【0035】
長さ調整設定デバイス240は、使用者に長さ調整を表す読取り値を提供することができる。長さ調整設定デバイス240は、管長さ調整デバイス230によって調整される長さを決定するのに使用される基準線250を含む。管長さ調整デバイス230が第1のブラケット260と第2のブラケット270の間の距離を増加させるように調整されると、第2の管区画220に挿入される第1の管区画210の量が減少し、したがって点Aと点Bの間の経路長さを増加させる。図6に示すように、長さ調整設定デバイス240に含まれる基準線250は、点Aと点Bの間の経路長さが増加する量を決定するために、第1のブラケット260と連結して使用できる。動作中に空気がシステムから漏洩するのを防止するために、210と220の間の境界面を封止するためにOリングが使用できる。
【0036】
図7は、本発明の例示の実施形態による模型の弁調整器の例である。図7では、模型のリリーフ弁の入口長さ調整器300が完全に挿入された位置と完全に後退した位置の両方で示されている。リリーフ弁入口長さ調整器300は、弁管310、弁挿入部320、弁挿入頂部330、弁長さ設定デバイス340、弁ハウジング350、および弁座360を備えることができる。リリーフ弁入口長さ調整器300は、リリーフ弁入口の効果的な長さを調整するように構成できる。たとえば、弁挿入部320は、弁管310に調整可能に挿入されるよう構成でき、したがってリリーフ弁の効果的な長さを変化させる。長さ調整は、ネジ付きシャフト320および弁座360に取り付けられた弁挿入頂部330を回転させることによって得られる。330が回転されると、320が模型の弁ハウジング350内で上方または下方にネジ山に従って移動し(thread)、それによって弁座360が移動して弁管310に入りまたはそこから出る。Oリングシール370は、空気が弁管310と弁座360の間で漏洩するのを防止することができる。
【0037】
弁長さ調整設定デバイス340は、リリーフ弁の効果的な長さを決定するために弁挿入頂部330と連結して使用できる。弁挿入頂部330が回転され、弁座360が弁管310内に、またはそこから外に移動すると、弁キャビティの長さが弁長さ設定デバイス340の目盛りから読み取られる。
【0038】
図8は、測定デバイス50がその上に装着された例示の縮尺模型の蒸気乾燥器である。測定デバイス50は、様々な特徴を測定するために、圧力、温度、流れなどのうちの1つまたは複数として実施できる。測定デバイス50は、蒸気乾燥器180の上に配置されて示されているが、測定デバイス50は、BWRの縮尺模型120の様々な構成要素、主蒸気ライン190、および試験治具110上の位置に配置できることに留意されたい。測定デバイス50は、BWRの縮尺模型の音響学的試験システム100でのデータを得ることが望ましいどの場所にも配置できる。さらに、周囲空気が試験流体として使用されることにより、センサ穴を追加しまたはプラグ止めすることによってセンサ位置を容易に追加しまたは取除くことができるのでセンサを追加し、取り外すことが容易である。
【0039】
測定デバイスは、1つまたは複数の所望の特性を測定するように構成された任意の適切なデバイスによって実施できることが当業者に明白になる。たとえば、1つまたは複数の測定デバイス50は蒸気乾燥器模型の圧力変動を測定するように構成でき、および/または1つまたは複数の測定デバイス50は、不安定な圧力変動を測定するために、マイクロフォンのセンサダイアフラム(図示せず)が蒸気乾燥器180の外側表面と同一平面になるように装着されたマイクロフォン(図示せず)であることができ、1つまたは複数の測定デバイス50は、蒸気乾燥器180の絶対空気静圧をモニタするように構成された圧力変換器であることができ、1つまたは複数の測定デバイス50は、蒸気乾燥器180の空気温度をモニタするように構成された温度センサであることができる。
【0040】
さらに、BWRの縮尺模型の音響学的試験システム100を制御するために、測定デバイスの測定値を記録し、モニタし、使用することができる。データ取得システムが、1つまたは複数の測定デバイスから取得された時刻暦データを記録し、モニタし、分析するのに使用できる。たとえば、模型の蒸気乾燥器から測定された時刻暦データが蒸気乾燥器の変動負荷を形成するのに使用できる。さらに、模型の蒸気システムのその他の場所から測定された時刻暦データは、空気音響的発生源の位置および励起メカニズムを割り出すために使用できる。
【0041】
例示の装置および方法論は、公益企業がプラント固有のデータを得ることを可能にすることができ、従来のプラント固有の試験プログラムよりも少ない資金で設計および製造が可能であり、現行の容器内試験に対して可能であるよりも多くのセンサ位置を可能にすることができる。さらに、例示のBWRの縮尺模型の音響学的試験システム100を使用することで、負荷がその時点で不明である出力レベルでプラントが動作することを防止することができる。これは、試験がBWRの縮尺模型の音響学的試験システム100を使用して完了することができるからである。従来の音響学的回路模型の手法を使用して、データを得るためにプラントの出力レベルを上昇させる必要がある。したがって、調整された出力レベルで損傷を与える負荷が存在すると、実際のBWRの構造疲労が生じる可能性があり、構成要素の修理および/または交換が必要になる。
【0042】
例示のBWRの縮尺模型の音響学的試験システム100は、パラメータ解析も行うことができるようにし、したがって公益企業が起こりうる問題を予測し、さらに必要であれば、おそらく損傷を与えるであろう出力レベルで縮尺模型に関連したプラントを動作させる前に、許容できる修理を予定することを可能にする。
【0043】
このようにして本発明の例示の実施形態が説明され、その実施形態は、多くの様式で変更できることが明らかになる。そのような変更形態は、本発明の例示の実施形態の趣旨および範囲から逸脱するものとは見なされず、当業者に明白になるそのような全ての変更は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】例示のBWRの縮尺模型の音響学的試験システムの概略図である。
【図2】本発明の例示の実施形態による例示の試験治具の図である。
【図3】本発明の例示の実施形態によるBWRの縮尺模型に連結された、模型の主蒸気ラインの図である。
【図4】本発明の例示の実施形態による例示のBWRの縮尺模型の図である。
【図5】本発明の例示の実施形態によるBWRの縮尺模型に連結された、模型の蒸気システムの例示の実施形態の図である。
【図6】本発明の例示の実施形態による管長さ調整器の図である。
【図7】本発明の例示の実施形態によるリリーフ弁入口長さ調整器の図である。
【図8】本発明の例示の実施形態による、測定デバイスがその上に装着された蒸気乾燥器の縮尺模型を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
50 測定デバイス
100 音響学的試験システム
110 試験治具
120 BWRの縮尺模型
130 送風機
140 入口管
150 流量計
160 マフラ
170 縮尺版のRPV
175 トップヘッド
180 蒸気乾燥器
190 蒸気ライン
200 管長さ調整器
210 第1の管区画
220 第2の管区画
230 管長さ調整デバイス
240 長さ調整設定デバイス
250 基準線
260 第1のブラケット
270 第2のブラケット
280 Oリング(図示せず?)
300 リリーフ弁入口調整器
310 弁管
320 弁挿入部
330 弁挿入頂部
340 弁長さ設定デバイス
350 弁ハウジング
360 弁座
370 Oリングシール
400 タービン弁
500 タービン入口
700 リリーフ弁
800 主蒸気隔離弁
900 均圧ヘッダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
沸騰水型原子炉(BWR)の蒸気乾燥器に見込まれる音響負荷を予測するためのシステムであって、
BWRの縮尺模型と、
前記BWRの縮尺模型に空気流れを発生させるように構成された試験治具と、
システム挙動をモニタするように構成された前記BWRの縮尺模型に取り付けられた少なくとも1つの測定デバイスとを備えるシステム。
【請求項2】
前記BWRの縮尺模型が、原子炉圧力容器、蒸気乾燥器、および少なくとも1つの主蒸気ラインの縮尺模型を備えることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記BWRの縮尺模型が少なくとも1つの調整可能な構成要素を備えることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの調整可能な構成要素が、管長さ調整器およびリリーフ弁入口長さ調整器のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記試験治具が空気流を発生させるように構成された少なくとも1つの送風機を備えることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記試験治具が、そこから前記縮尺模型に空気を搬送するように構成された入口管、および前記試験治具を前記縮尺模型に連結し、前記試験治具によって前記システムに入るノイズを低減するように構成されたマフラをさらに備え、前記入口管が空気を前記マフラに移送するようにも構成されたことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの測定デバイスが、システム内の圧力変動を測定するように構成されたことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの主蒸気ラインが、管長さ調整器、リリーフ弁入口長さ調整器、調整可能な主蒸気隔離弁、調整可能なタービン塞止弁、および調整可能なタービン制御弁から選択された少なくとも1つの調整可能な構成要素と連結するようになされたことを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項9】
沸騰水型原子炉(BWR)の蒸気乾燥器に見込まれる音響負荷を予測するための方法であって、
評価されるBWRの縮尺模型を提供するステップと、
前記縮尺模型を通る空気流れを発生させるステップと、
評価されている前記BWRでのプラント動作に音響負荷がどのように影響を与えるか予測するために、前記縮尺模型のシステム挙動をモニタするステップとを含む方法。
【請求項10】
モニタするステップが、前記システム内の圧力変動、全システム空気流れ、前記縮尺模型内の絶対空気静圧、および前記システム内の空気温度のうちの少なくとも1つをモニタするステップを含むことを特徴とする請求項9記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−127633(P2007−127633A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−288173(P2006−288173)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】