説明

油中水乳化剤形の皮膚外用剤

【課題】 油中水乳化剤形の皮膚外用剤に於いて、防腐力を向上せしめる技術を提供する。
【解決手段】 1)有機変性粘土鉱物と、2)銀乃至は銀セラミック担持体とを、油中水乳化剤形の皮膚外用剤に含有させる。前記有機変性粘土鉱物は、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド変性ヘクトライトであることが好ましく、前記銀乃至は銀セラミック担持体は、コロイド状の銀、銀ゼオライト担持体及び銀ヒドロキシアパタイト担持体であることが好ましい。更に、酸化亜鉛などの抗菌性成分を含有することも出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関し、更に詳細には油中水乳化剤形の皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料等の皮膚外用剤の分野に於いて、製品の微生物に対する安定性を維持することは非常に重要なことであり、この目的で種々の防腐剤が使用されている。この様な防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンなどのパラベン類、フェノキシエタノールなどがイオン性を有しない防腐剤として知られている。しかしながら、これらの防腐剤の内、パラベン類は、環境科学的な面から、或いは、スティギングなどの偶発的に発生する一過性の刺激に対する安全性面の配慮から、その使用は必然的に制限を受けるようになって来つつある。この様な制限によって最も影響を受けるのは、近年化粧持ちの良さで多用されるようになっている油中水乳化剤形である。油中水乳化剤形の内、有機変性粘土鉱物を乳化成分として使用するものは、多くの水相を包含できるので、使用感も油っぽさが無く、保湿性にも優れる好ましい性質を有する。しかしながら、この様な製剤の特徴から、防腐剤を油相中に配向させやすく、実用に足る防腐力を得るためにはどうしてもパラベン類の配合に頼らざる状況にあった。このしように制限がかかることは、前記油中水乳化剤形に於いて、新規の防腐手段を開発しなければならないことを意味し、その様な技術開発が望まれている現状にあった。
【0003】
油中水剤形の製剤における防腐力向上策としては、例えば、酸化亜鉛を含有せしめ、この防腐・殺菌力を利用する方法が存する(例えば、特許文献1を参照)。しかしながら、この様な手段では酸化亜鉛に起因する隠蔽性の発現により、化粧料としての機能を損なうことが存した。
【0004】
一方、コロイド状の銀、銀ゼオライト担持体或いは銀ヒドロキシアパタイト担持体等の銀乃至は銀の担持体を抗菌成分として化粧料などの皮膚外用剤に含有せしめる技術は既に知られている。(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5を参照)しかしながら、かかる成分を油中水乳化剤形の皮膚外用剤に配合し、その防腐力を向上せしめる試みは為されていないし、この様な成分の配合により、油中水乳化剤形の防腐力の向上が為しうることも全く知られていない。
【0005】
【特許文献1】特開2003−335615号公報
【特許文献2】特開2004−161632号公報
【特許文献3】特開2006−169222号公報
【特許文献4】特開2003−176220号公報
【特許文献5】特開2000−247822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、油中水乳化剤形の皮膚外用剤に於いて、防腐力を向上せしめる技術を提供すること課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、油中水乳化剤形の皮膚外用剤に於いて、防腐力を向上せしめる技術を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、銀乃至は銀セラミック担持体を含有せしめることにより、この様な防腐力が得られることを見いだし、発明を完成させた。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
(1)1)有機変性粘土鉱物と、2)銀乃至は銀セラミック担持体とを含有することを特徴とする、油中水乳化剤形の皮膚外用剤。
(2)前記有機変性粘土鉱物は、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド変性ヘクトライトであることを特徴とする、(1)に記載の皮膚外用剤。
(3)前記銀乃至は銀セラミック担持体は、コロイド状の銀、銀ゼオライト担持体及び銀ヒドロキシアパタイト担持体であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の皮膚外用剤。
(4)更に酸化亜鉛を含有することを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、油中水乳化剤形の皮膚外用剤に於いて、防腐力を向上せしめる技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(1)本発明の皮膚外用剤の必須成分である有機変性粘土鉱物
本発明の皮膚外用剤は有機変性粘土鉱物を必須成分として含有することを特徴とする。ここで有機変性とは、粘土鉱物の一部に有機化合物の一部を共有結合乃至はイオン結合を介して強固乃至は緩やかな結合を生ぜしめ、有機化合物の性質の一部乃至は全部を粘土鉱物に付与させることを意味し、この様な変性としては4級アミン基と粘土鉱物のアニオン部分を結合させる方法、カルボキシル基と粘土鉱物のカチオン部分を結合させる方法等が例示でき、4級アミン基と粘土鉱物のアニオン部分を結合させる方法が特に好ましく例示できる。粘土鉱物を変性させる4級アミノ基を有する化合物としては、特に限定されるわけではないが、クオタニウムと称される化合物が例示される。クオタニウムとは、低分子の置換第4級アンモニウム塩であって、国際基準化粧品原材料(INCI)に登録された化粧料原料が好ましい。さらに、粘土鉱物を変性させる4級アミノ基を有する化合物は、クオタニウム化合物のなかでも、従来の皮膚外用剤に含有されるクオタニウム化合物であることが好ましい。従来の皮膚外用剤で使用されているクオタニウム化合物としては、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド等が好ましく例示される。ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド等は、粘土鉱物とともに安定な油中水乳化構造を形成することができるので好ましい。一方、4級アミノ基を有する化合物で変性される粘土鉱物(未変性粘土鉱物)としては、従来の皮膚外用剤に含有される粘土鉱物であれば特段の限定無く使用することができる。従来の皮膚外用剤に含有される粘土鉱物としては、スメクタイト系のヘクトライト、ベントナイトやモンモリロナイト;カオリナイト;イライト;マリーン粘土鉱物(海泥);デザートローズ粘土鉱物;パスカライトなどが好ましく挙げられる。これらのうち、油中水乳化構造を安定化させることができるベントナイト、ヘクトライト、モンモリロナイト又はカオリナイトが好ましく例示される。本発明の皮膚外用剤に含有される4級アミノ基を有する化合物で変性された粘土鉱物の製造方法の一例を以下に説明する。前記未変性粘土鉱物を分散媒に分散させる。該分散剤は水系の溶媒であることが好ましく、水であってもよい。分散未変性粘土鉱物を含む分散液に、さらに4級アミノ基を有する化合物を加え、よく撹拌する。4級アミノ基を有する化合物は、水に溶解されて加えられてもよい。加えられる4級アミノ基を有する化合物の量は、分散未変性粘土鉱物の量に対して0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜15質量%であることがより好ましい。この様な構成を取ることにより、乳化系において、好ましい使用感を呈するためである。撹拌後、分散質を濾取し、脱水、乾固することにより本発明における変性粘土鉱物を得ることができる。あるいは、分散質を濾取することなく、減圧濃縮することにより分散剤を除去して乾固させることにより、本発明における変性粘土鉱物を得ることもできる。得られた変性粘土鉱物は、好ましくは所望のサイズ(粒径が1〜1000μmであることが好ましい)に粉砕され、本発明の皮膚外用剤に含有される。本発明における変性粘土鉱物は、前述したように調製して使用されることもできるが、市販されているものを使用することもできる。市販されている変性粘土鉱物には、化粧料などの皮膚外用剤などとして用いられているものもある。市販されている変性粘土鉱物としては、例えば、エレメンティス社より「ベントン38V」の名称で販売されている、ジメチルジステアリルアンモニウム変性ヘクトライトなどが好ましく例示される。本発明の皮膚外用剤においては、かかる成分は0.5〜10質量%好ましく含有され、より好ましくは1〜5質量%含有される。かかる成分は、高内相の油中水乳化物を形成する作用に優れる。
【0010】
(2)本発明の皮膚外用剤の必須成分である銀又は銀セラミック担持体
本発明の皮膚外用剤は、銀又は銀セラミック担持体を必須成分として含有することを特徴とする。ここで、銀とは金属銀であり、その存在形態は固体そのものとして、微細な粒子として、或いは更に微細なコロイド状態の均一分散物として含有することが可能であり、これらの内ではコロイド状態のものを含有することが好ましい。コロイド状態の銀は、銀イオンを含む溶液中に、該銀イオンを還元しうる金属を共存せしめ、銀イオンと金属銀の平衡になるようにpH調整剤で調整した銀コロイド液として含有させることが出来る。この様な銀コロイド液は前記の如くに都度調整し、用いることも出来るし、既に市販されているものを購入して利用することも出来る。好ましい市販品としては、例えば、三井金属工業株式会社製の「銀コロイド溶液」や株式会社 新光化学工業所製の「銀コロイド」等が好適に例示できる。かかる銀コロイドの形態であれば、本発明の皮膚外用剤に於いては、0.01〜10質量%含有することが好ましく、0.05〜5質量%含有することがより好ましい。
【0011】
又、銀セラミック担持体は、ゼオライトなどの微細なセラミック上に銀を真空蒸着など行って担持することにより製造することが出来る。この様な担持体には既に市販されているものが存し、かかる市販品を購入し利用することが出来る。好ましい市販品としては、例えば、株式会社シナネンゼオミック「ゼオミック」等が好適に例示できる。かかる担持体の形であれば、本発明の皮膚外用剤に於いては0.01〜5質量%含有することが好ましく、0.05〜1質量%含有することがより好ましい。
【0012】
(3)本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は、前記必須成分を含有し、皮膚に外用で投与されることを特徴とする。本発明に言う、皮膚外用剤とは、皮膚に外用で投与されるものであれば特段の制限は受けず、例えば、医薬部外品を包含する化粧料、皮膚外用医薬、皮膚外用雑貨などが好適に例示できる。これらの内では、化粧料に適用することが特に好ましい。又、本発明の皮膚外用剤は油中水乳化剤形であることを特徴とする。ここで、本発明に言う、油中水乳化剤形とは、外相に連続相として油相が存在する乳化剤形の総称であり、該連続相中に水滴が分散する油中水滴型乳化剤形に止まらず、水中油乳化滴が分散するO/W/O等の複合乳化系も包含する。これは連続相に防腐成分が配向し、水滴乃至は乳化滴の防腐力が低下する現象は油相が外相に存在する限り生ずるからである。
【0013】
本発明の皮膚外用剤においては、かかる成分以外に、通常皮膚外用剤で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。
【0014】
これらの任意成分の内、特に好ましいものとしては、防腐力を向上せしめる成分であり、この様な成分としては例えば酸化亜鉛、脂肪酸亜鉛石鹸などが好ましく例示できる。前記酸化亜鉛はハイドロジェンメチルポリシロキサン焼付などの表面処理をして用いることも出来るが、付着維持性は向上するものの、防腐力自体は低下するので好ましくない。又、粒径は細かい方が好ましいが、好ましい粒径範囲としては0.1〜50μmが好ましく例示できる。かかる成分は唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有させることも出来る。好ましい含有量は0.1〜10質量%であり、より好ましくは1〜5質量%である。酸化亜鉛については、塗布後、白くなって、隠蔽性を発現するので、この様な外観が皮膚外用剤の品質を損なう場合には、その配合は好ましくない。
【0015】
以下に、実施例を挙げて、本発明について、更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0016】
以下に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である、クリーム(化粧料)を作製した。まず予め、イ、ロの成分を70℃に加温し、ハを予めゲル化させておいたニに攪拌下徐徐に加え乳化し、これを攪拌冷却し、油中水乳化剤形(油中水滴乳化剤形)のクリーム1を得た。同様にして、「銀コロイド溶液」を水に置換した比較例1、酸化亜鉛に置換した比較例2、メチルパラベン0.2質量%と水0.8質量%に置換した比較例3も同様に製造した。
【0017】
【表1】

【0018】
<試験例1>
前記乳液1及び比較例1〜3について、防腐剤の効きにくい、真菌(アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger))に対しての抗菌性を調べた。即ち、培地としては、はSDA培地を用いた。方法は、上記平板培地に検体を0.1ml塗抹し、白金耳で接種し、接種後1日よりコロニー数をカウントし、以下のランクに従ってランキングした。即ち、ランク0:0、ランク0.5:1〜10、ランク1:11〜200、ランク1.5:201〜500、ランク2:501〜1000、ランク2.5:1001〜3000、ランク3:3001〜5000、ランク3.5:5001〜10000、ランク4:10000〜のランクを使用した。この比較は、それぞれのランクの標準写真を用意し、この写真と検体の状況を比較しランク付けしておこなった。結果を表2に示す。これより、POE(20)セスキオレートとレシチンとがフェノキシエタノールと1,−ペンタンジオールの抗菌性を低下させており、ヒドロキシエタンジホスホン酸はこの抗菌力低下作用を抑制していることがわかる。
【0019】
【表2】

【実施例2】
【0020】
実施例1と同様に操作して、クリーム2を作製した。このものの防腐ランクはランク0であった。
【0021】
【表3】

【実施例3】
【0022】
実施例1と同様に操作して、クリーム3を作製した。このものの防腐ランクはランク0であった。
【0023】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、化粧料などの皮膚外用剤に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)有機変性粘土鉱物と、2)銀乃至は銀セラミック担持体とを含有することを特徴とする、油中水乳化剤形の皮膚外用剤。
【請求項2】
前記有機変性粘土鉱物は、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド変性ヘクトライトであることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記銀乃至は銀セラミック担持体は、コロイド状の銀、銀ゼオライト担持体及び銀ヒドロキシアパタイト担持体であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
更に酸化亜鉛を含有することを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2008−150330(P2008−150330A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−340707(P2006−340707)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】